47. エダラボンは頭部外傷による軸索損傷を阻止し、認知記憶障害を予防する 大田学1)・東洋一郎1)・北原正大1)・八幡俊男1)・津田雅之2)・延本篤也2)・ 藤本康倫1)・清水恵司1) 1)脳神経外科教室・2)動物実験施設 【研究の背景と目的】 びまん性軸索損傷は頭部外傷による死亡の主な要因の一つであり、さら に後遺症として認知機能低下などの高次脳機能障害に大きく関与していると考えられている。ま た、この病態はその診断の難しさから適切な医療や保障が受けられず医学的のみならず社会的問 題となっている。近年、軸索損傷の機序として軸索輸送障害の関与が明らかになってきたが、臨 床的に有効な治療法または治療薬は未だ存在していない。エダラボンはフリーラジカルスカベン ジャーとして神経保護的に機能することが知られており、すでに急性期脳梗塞の治療薬として臨 床の現場で用いられている。今回の研究はエダラボンの頭部外傷後の軸索損傷に対する効果を明 らかにすることを目的とした。 【方法】 C57BL/6 マウスを用いて weight drop 法により頭部外傷を与え、受傷直後にエダラボン あるいは生理食塩水を尾静脈より投与した。マウスはそれぞれ①頭部外傷+生理食塩水投与群、② 頭部外傷+エダラボン(3 mg/kg)投与群、③非外傷+生理食塩水投与群、④非外傷+エダラボン (3 mg/kg)投与群に分けた。頭部外傷 24 時間後に大脳皮質、脳梁、海馬における軸索損傷と酸 化ストレスをそれぞれ抗アミロイド前駆タンパク質(APP)抗体と抗 8-ヒドロキシ-2’-デオキシグ アノシン (8-OHdG)抗体を用いて免疫組織化学法により検討した。また、エダラボンの治療開 始時間と投与量依存的効果についても検討した。認知機能に関しては物体認識試験により頭部外 傷後 9 日目の学習・記憶能力を検討した。 【結果】 頭部外傷+生理食塩水投与群では大脳皮質、脳梁、海馬における APP の細胞内蓄積 が認められ、8-OHdG 陽性細胞数が増加した。これに対し、頭部外傷+エダラボン投与群では同 部位における APP 陽性細胞および 8-OHdG 陽性細胞の数が減少していた。また、APP 陽性細胞 数の減少は少なくとも 1 mg/kg 以上の投与量で、もしくは外傷 6 時間後までの投与によっても確 認された。さらに、物体認識試験において頭部外傷+生理食塩水投与群では著しく物体認識能力 が低下していたが、頭部外傷+エダラボン投与群では非外傷群とほぼ同様の学習・記憶能力を維 持していた。 【まとめ】 エダラボンは頭部外傷による軸索損傷と酸化ストレスを抑制し、認知機能障害を阻 止できる可能性が示唆された。
エダラボンは頭部外傷による軸索損傷を阻止し、認知記憶障害を予防する
1
0
0
全文
関連したドキュメント
学生部と保健管理センターは,1月13日に,医療技術短 期大学部 (鶴間) で本年も,エイズとその感染予防に関す
次に、第 2 部は、スキーマ療法による認知の修正を目指したプログラムとな
水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備 2.1 概要 2.2 水素濃度制御設備(静的触媒式水素再結合器)について 2.2.1
ところで、 2016年の相模原市障害者殺傷事件をきっかけに、 政府
注)○のあるものを使用すること。
防災 “災害を未然に防⽌し、災害が発⽣した場合における 被害の拡⼤を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをい う”
実施にあたっては、損傷したHIC排気フィルタと類似する環境 ( ミスト+エアブロー ) ※1 にある 排気フィルタ
We measured the variation of brain blood quantity (Oxy-Hb, Deoxy-Hb and Total-Hb) in the temporal lobes using the NIRS when the tasks of the memories were presented to the sub-