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視覚障害者の道路環境に関する実態

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Academic year: 2021

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(1)視覚障害者の道路環境に関する実態 高山佳子* ・大野久奈** A. research. on. the road. Yoshiko. of the. conditions. TAKAYAMA. and. Hisana. visual. handicapped. OoNO. 1.問題と目的 1965年,日本人によって点字ブロックが考案された。これは,三宅精一氏が,友人の 岩崎英行氏の失明をきっかけに,視覚障害者の安全対策のために考案したものである。点 字ブロックとは,正確には,視覚障害者用ブロックといい"視覚障害者が通常の歩行状態 において,主に足の裏の触感覚でその存在および大まかな形状を確認できるような突起を 表面につけたブロックであり,道路および沿道に関してある程度の情報を持って道路を歩 行中の視覚障害者により正確な歩行位置と歩行方向を案内するための施設”である。この 点字ブロックには,線状ブロックと点状ブロックの2種類がある。線状ブロックとは,並 行する線状の突起をその表面につけたブロックのことであり,歩行方向を示すものである。 ただし,案内誘導すべき方向と線状突起とを平行にすることによって整合させるものとさ れている。、また,点字ブロックとは点状の突起をその表面につけたブロックであり,視覚 障害者に位置(危険,注意,施設)を認知させるのを目的とするものである。 このように点字ブロックは2種類に分けられてはいるが,その材質や敷設の仕方に関す る統一性は現在のところない。点字ブロックは現在,歩行補助具としてきわめて需要が高 く,特に駅のホームなどでは必要不可欠なものになっている。しかし,このように点字ブ ロックにも様々な問題点があり,この敷設が直ちに視覚障害者の歩行環境の改善になると いうわけではない。視覚障害者の歩行のための安全設備としては,点字ブロックの他に, 音響信号機やランドチャイムなども普及しつつあるが,やはりこれらだけでは視覚障害者 の歩行環境が整備されたことにはならない。 近年わが国では,福祉の街づくりとして道路を整備してはいるのだが,我々でさえも歩 きにくいと感じている歩道を,目の不自由な人たちが歩き易いと感じているはずはないだ ろう。現在わが国の道路環境を視覚障害者自身はどのようにとらえているのか,どのよう に改善してはしいと願っているのだろうか。. 本研究では,視覚障害者にとっての道路環境について,物的・人的な面からの実態を把 握し,どのような問題点を抱えているのか,どのように現在の道路環境を改善していかな *教育学部特殊教育教室 *. *川崎市立稗原小学校.

(2) 190. 高山佳子・大野久奈. ければならないのかを検討することを目的として行なう。また,これからの福祉の街づく りとして視覚障害者だけでなく,車椅子の人や高年齢者にとっての道路環境の在り方を考 えたい。. 法. 2.方 (1)対. 象. 対象者は,自杖によって単独歩行が可能な視覚障害者62名(男性44名,女性13名) である。年齢別にみると, 不明者16名で,. 30代9名,. 20代13名,. 40代11名,. 50代11名,. 60代2名,. 20代-60代の成人を対象とした。. 視力別でみると,. 0.04以上0.3未満を弱視,. 0.04未満を全盲とすると,弱視7名,全盲. 55名であった。しかし,本論文では視覚障害者にとっての道路環境としてみていくので, 弱視・全盲の区別をせず考察したい。また,弱視を0.04以上0.3未満としたのは,文部 省による基準を用いた。 (2)手. 続. き. 本人に対して直接インタビューの形式でアンケート調査をおこなった(付録に示す)0 アンケート内容は, の横断について,. Ⅰ.調査対象者の実態,. Ⅱ.道路での単独歩行について,. Ⅲ.道路 Ⅳ.人的歩行環境について,の4つに大きく分け,それぞれについて質. 問項目を設けた。 (3)調査期間 1991年11月-1992年1月 3.結. 果. (1)外出状況について 表1は,視覚障害者の外出回数について示したものである。. これによれば,. 「毎日外出. する+者が43名(69.4%)で 表1日常生活での外出回数. 最も多く,次いで「週1-2回+ (19.4%),. 「週3-4回+. 実数 ■%■. (8.1. %)と続いており, .=れらを合 わせると96.8%に達する。ま た,外出目的は様々であること が分かる(表2)0 視覚障害者にとって体の一部 分ともなる自杖の使用について. 表2. 毎日外出する. 外出の目的 実数. %. 通勤・通学. 25. 40.3. 43. 69.4. 週3-4回. 5. 8.1. 訓練など. 24. 38.7. 週2-3回. 1. 1.6. 買物など. 12. 19.4. 週1-2回. 12. 19.4. 治療など. 1. 1.6. 月2-3回. 1. 1.6. 月1回. 0. 0. は表3より「いっも使用している+者が55名(、88.7%)と最も多い。. また,弱視者の中 に.は昼間はある程度見えるので自杖は使用しないで夜だけ使うという人が少なくないこと が分かった。.

(3) 191. 視覚障害者の道路環境に関する実態. 次に外出. 表3. 表4. 白杖使用の有無. 時の介助者. 介助者の有無. %. 実数. %. 55. 88.7. いっも単独. 44. 7l.0. 1. 1.6. だいたい単独. 12. 19.3. 0. 0. だいたい介助者付. 6. 9.■7. いっも介助者付. 0. 0. 実数. の必要性で. いっも使用している. あるが,「い. たいてい使用している. つも単独で 外出する+. ・ときどき使用している あまり使用していない. 5. 乳1. 者が44名. 家の周りでは使用していない. 0. 0. (71.0%),. いっも使用していない. 1. 1.6. 「だいたい. 単独+の者が12名■. (19.3%)で90.3%の人が全くかほとんど介助者なしで歩行が可能で. ある(表4)0 (2)道路での単独歩行について. 表5. 道路でけがをした事がありますか. "単独歩行”というのは,視覚障害者が家族. %. 実数. やガイドヘルパーといった援助者なしで,白杖. ある. 2. 3.2. などの補助具を使って歩行することであり,一. ない. 59. 95.2. 般の通行人などに必要に応じて援助依頼のでき. しそうになった畢はある. 1. 1.6. る歩行のことである。 「道路でけがをした事がありますか+という問いに 対して「ある+. 2名(3.2%),. 「ない+. 表6. 道路で危険を感じますか. 59名(95.2%). 実数. %. 49. 79.0. であった(表5)。けがをしたという人が少なかった. いっも感じる. のは,けがの程度をここでは"入院を必要としたもの”. ときどき感じる. 9. 14.5. と限定したためである。入院する程のけがではないが,. はとんど感じない. 3. 4.9. いっも感じない. 1. 1.6. "電信柱にぶつかって痛ができた”. "トラックの荷台. やサイドミラ-にぶつかって顔面を切った”. "溝に落. ちて軽く捻挫した”というような小さなけがは日常的にかなり多い。 本調査対象者のはとんどの者が「道路でいっも危険を感じている+ あるいは「ときどき危険を感じる+. (9名,. (49名,. 79.0%),. 14.5%)と答えており,道路で危険を感じて. いる者は非常に多い(表6)。そこで,-危険を感じるであろう対象物を列挙し,それぞれ について,危険を感じるか否かの回答を求めた。表7に示すように,危険を感じる対象と しては, 「歩道上の放置物+ 50名(83.3%)が最も多い。中でも放置自転車に対しては28% (46.7%)の人が危険を感じているo次いで多かったの拭「歩道を走っている自転車+. 44名. (73.3%)である。歩道上を走る自転車には自杖をひかれて白杖を曲げられたり,真っ二つ に折られたり,また自杖をひかれた時にそのはね返りで腰や足にあざを作ったりしている。 その他にも,自転車がすれすれを通っていくため一瞬ひやっとする,荷台に指を挟まれて けがをしそうになったという人も少なくない。 「危険を感じる対象+として3番目に多かっ たものは「駐車中の自動車+. 39人(65.0%)で,. 「走っている自動車+ 34名(56.7%)よ. りも多かった。これは走っている自動車は歩道上を走らないという安心があるからで駐車.

(4) 192. 高山佳子・大野久奈. 中の自動車は歩道に乗り上げている場合が. 表7. どんなものに危険を感じますか (60名に対する複数回答). 多いためであった。特に,トラックは白杖 でとらえにくいため非常に危険なものとな. 歩道上の放置物. る。路上駐車は交通の妨げになるだけでな. 実数. %.. 50. 83.3. く,視覚障害者にとっては歩きにくく,危. 看板. 0. 0・.. 険物にもなり,心労につながるものである。. 商品の張りだし. 2. 3.3. その他,危匪を感じる対象としては「電信. 放置自転車・バイク. 柱・標識+. 33名(55.0%),. 28. 通行人. 「工事現場+. 12名(20.0%)がある。電信櫨・標識は. 歩道上を走っている自転車. 歩道の中よりに付けられたものに危険を感. 走っている自動車. さて,歩道として歩ける道路にもいろい ろあるがそれによって歩き易さは変わって くるのだろうか。. 「車道と段差によって区. 別されている歩道の方が歩き易い+ (72.6%)に対して,. 45名. 「車道と段差によって. 区別されていない歩道の方が歩き易い+ 9名(14.5%)であった(表8)。段差が あると落ちることがあるため恐いという人. 30.0 73.3. 34. 56.7. ・39. 65.0. 側溝. 21. 35.0. 電信柱L・標識. 33. 55.0. 石ころや段差などらまづくもの. 25. 41.7. 12. ■20._0. 駐車中の自動車. じていることが多い。. .18 44. 46.7. そゐ他 工事現場 駅のホーム. 6. 10.0. 階段. 2. 3.3. 街路樹・植木. 2■. 3.3. 落下物. 1. 1.7. もいたが,段差で車道との区別がつくため 表8. 歩道の種類によ?て歩き易さば. 表9. 変わってきますか. 点字ブロックの存在に串って 歩き易さは変わってきますか. 実数. %. 45. 72.6. 点字ブロックがついている 歩道が歩き易い. 9. 14.5. 点字ブロックがついていない 歩道が歩き易い. どちらも変わらない. 0. 0. その他・無回答. 8. 車道と段差によって区別 されている歩道が歩き易い 車道と段差によって区別. されていない歩道が歩き易い. その他・無回答. 歩道を歩いているという安心感が得られる,段差によっ. 実数・. 37名で59.7%を占めている(表9)。また,. ■思わない. 「思わない+. 8名(12.9%). であり(表10),点字ブロックの有効性・必要性がうか. 0. 0 27.4. 12.ら. あればいいと思いますか. 思う. て「思う+51名(82.3%). 59.7. 表10点字ブロックがもっと. ブロックがっいている歩道の方が歩き易い+という人が クがもっとあればいいと思いますか+という質問に対し. 37. 8. て伝い歩きができるという人が多かった。 次に,点字ブロックの有効性についてであるが「点字 「点字ブロッ. %. 17. どちらも変わらない. 12.9_. 実数. その他・無回答. 51. 8・ .3. % 82.3 12.9. 4.8.

(5) 193. 視覚障害者の道路環境に関する実態 がえる。. 「どんなところに点字ブロック. 表11どんな所につけてはしいですか (54名に対する複数回答). をっけてほしいですか+という問いで複 数回答を求めたところ「バス停+. 38名. (70.0%)が最も多かった。次いで「公. 商店街. 共施設のまわり+, 「病院のまわり+, 「駅. 病院のまわり. のホーム+などに対して点字ブロックの. バス停. 必要性が高い(義ll)0. 自宅のまわり. 実数. %. 17. 31.5. ■27. 50.0. 38. 7P.0. 9. 16.7. 27. 50.0. 階段の始ま.り. 5. 9.3. 信号機の前. 3. 5.6. 2. 3.7. 4. 7.4. 広い場所を突っ切るところ. 2. 3.7. 公園の出入口. 2. 3.7. タクシ■一乗り場. 1. 公共施設のまわり その他. (3)道路の横断について. まず,過去の道路横断中の事故につい て質問した。それによると,事故にあった ことが「ある+とするもの3名(4.8%), 「あいそうになった事がある+者11名. 、横断歩道の前 車道と歩道の区別のないところ. (17.7%)となっており(表12),道路 の横断は視覚障害者にとってかなりの危 険性を伴うものと考えられる。ちなみに. ・銀行や店の出入口 駅のホーム・構内. 横断する時に危険を感じるか否かの問い に対して, 7割以上の者が,いっもある いはときどき危険を感じると述べている (表13)0 一口に道路の横断といっても様々であ るが,視覚障害者用の信号機である音響. ・1.9. 4. 7.4. 13. 24.1. 広い交差点. 1. 1.9. 避盛路. 1. 1.9. 駅のまわり. 8.. 幅の広い歩道. 1. 14.8 1.9. 信号機を利 用した場合. 表12. 道路の横断中に事故にあった事が. 路の横断に ついてみて. みた。まず;. 横断する時には特に 危険を感じますか. の単独歩行 における道. 衰13. ありますか 実数. %. 実数. %. 36. 58.1 I12.9. ある. 3. 4.8. ない. 47. 75.8. ときどき感じる. あいそうになった事はある.. ll.. 17.・■7. はとんど感じない. 8. 12.9. 1. 1.6. いっも感じない. 8. 12.9. その他・無回答. 2. 3.2. その他.・無回答. 「音響信号. いっも感じる. _8. 機を利用し た事があり. 表14. ますか+と. 音響信号機を利用した. 表15. 危険度は変わりますか. 事がありますか 実数. の問いに対. %. ある. 58■. んどの者. ない. 1. 1.6. あっても利用しない. 2. 3.2. その他・無回答. 1. 1.6. (58名, 5%)が利. (音響信号機を利用した事があると答えた58名の回答). 93.5. してはほと. 93.. 音響信号機の有無によって横断時の. 実数. %. あったはうが危険を感じない. 58. 100. あってもなくても変わらない. 0. 0.

(6) 高山佳子・大野久奈. 194. 用した事があると答えている(表14)。また,音響信号. 表16音響信号機がもっとあれぎ. 機の有効性については「音響信号機があったはうが危険 を感じない+. 100.0%. ればいいと思う+. (表15),. いいと思いますか 実数. 「音響信号機がもっとあ 思う. (表16)と音響信号機の有効. 88.7%. 性・必要性を訴える声が強い。. 55. 思わない. 5.. その他・無回答. 1. %■ 88.7. ・8.1 3.2. (4)人的歩行環境について. 「一般の通行人に声をかけられて手を引いてもらった事がありますか+という問いに対して 「よくある+. 「何回かある+と答えた者が15名(24.2%). と答えた者が38名(61.3%),. でかなり 表17一般の通行人に声をかけ られて手を引いてもらった 事がありますか. の割合に 上ってい る(表17)。. 実数. %. よくある. 38. 61.3. 般の通行. 何回かある. 15. 24.2. 人からの. はとんどない. 5. 声かけに. 一度もない その他・無回答. そして一. 対して,. 表18一般の通行人に声をかけられて手を引いて もらう事についてどう思いますか (58名に対する複数回答) 実数 とてもうれしい. 94.8. もっと積極的に声をかけてほしい. 43. 74.1. 8.1. かえって気を使って疲れる. ll. 19.0. 3. 4.8. その他. 1. 1.6. 手引きの仕方を考えてほしい. 5. 8.6. 目的地と違うところへつれて 行かれて困ろ事がある. 2. 3.4. 視覚障害. 者達はほとんどの者 が「とてもうれしい+. 表19. と答えている(表18)0. 援助依頼をする事は. 表20どんな時に援助依頼をしますか. ありますか. ただ,一般の通行人 に声をかけられる事. (51名に対する複数回答). 実数. % 駅. よくする. 24. 38.7. 「かえって. ときどきする. 16.. 25.L8. ホ-JL、・乗り場. 気を使って疲れる+,. はとんどしない. 14. 22.6. 改札Ll. 「手引きの仕方をもっ. しない. 6. 9.7. その他・無回答. 2. 3.2. について,. と考えてはしい+,. 切符を買うとき′. 横断するとき. ろへつれていかれて困ることがある+の回答もある. 交通量の多いところ. ことは,留意されなければならないだろう。. その他. 一方,自らすすんで「援助依頼をする事はありま すか+という問いに対しては, 「よくする+者は. 電話ボックえ. 24名.(38.7%). 道に迷った■とき. 「ときどきする+者16名(25.8%). 買物の時. であった(表19)。どのようなときに援助を求める かについては, 「駅+ (28名, 54.9%), 「道に迷っ. 初めていくところ. たとき+ (表20)0. 49.0%)などの回答が高かった. 実数. %. 28. 54.9. 16. 31.4. 3. 5.9. 13. 人通りの多い道. 「目的地と違うとこ. (25名,. ”. 55. L25.5. 5. 9.8. 13. 25.5. 8. 15.7. 2.0・. ・1 6. ll.8. 25. 49.0. 9.. 17.6. 工時中¢所.. ・`1. ■2.0. バス停. 2. 3.9. タクシー乗り場. 2. 3.9.

(7) 195. 視覚障害者の道路環境に関する実態. さて,辛. 表21車にはもっと停止や徐行を. 表22. をしてほしいと思いますか. の運転手の 白杖に対す. 実数. %. ドライバ-へのお願い (62名に対する複数回答) 実数. る理解はど. いっもそう思う. 17.. 27,4. 信号無視をやめ七はしい. うだろうか。. ときどきそう思う. 25. 40.3. すれすれを通らないでほしい. 「車にはもっ. あまり思わない.. 9. 14.5. むやみにクラクションを. と停止や徐. 思わない. 8.. その他・無回答. 3. 行をしてほ. 1芦.9 4.8. ますか+と. 表23. 独りでも知らない所に 実数. 対して,「い. %. 52. 83.9. つもそう思. 思う. う+. 思わない. 6. 9.7. その他・無回答. 4. 6.5. (27.4%), 「ときどき. 1..6 8. 12+9. ll. 17.7. 鳴らさないではしし,、 路上駐車をやめてほしい. 交差点で急な右左折を やめてはしい. いこうと思いますか. 4.8. .1. かけてはしい. いう問いに. 17名. 3. 止まってくれた時は声を. しいと思い. %. エンジン音の大きい自動車は やめてはしい. 白線より手前で止まiて はしい. 白杖を見た時は徐行をして 気をっけてほしい. 6. ら.7. 4. 6.5. 1. 1▲6. 4. 6.5. 14. 22.・6. そう思う+. 25名(40.3%)であり,車にもっと停止や徐行をしてほしいと願っている人は67.7%も いる事が分かる(表21)。この他に,ドライバーに頼みたい事を問うたところ,表22の ように多様な要求がみられた。 最後に,. 「独りでも知らないところに行こうと思いますか+との問いに対して,どんど. ん出掛けていきたいと思っている人は52名(83.9%)であり(表23),外出に対する積極 的な姿勢が窺える。. 4.考. 察. 1981年に石井が行なった視覚障害者の交通環境に関する調査によれば,外出時の介助 者の必要性を訴えている視覚障害者は83.9%と高く,本調査結果と.は著しく相違してい る。これは主として,本調査では単独歩行が可能な者を対象としたためであるが,視覚障 害者の外出状況という点から考えると,この10年余りの間に,視覚障害者もかなり単独 で外出できるという状況が生まれてきているためではないかと考えられる。 しかしながら,本調査結果からも明らかなように,視覚障害者にとっての道路環境はま だまだ決して十分満足できるものではない。たとえば,道路で危険を感じる視覚障害者は 非常に多く,放置自転車,路上駐車,歩道の中の電信柱などの問題は深刻である(図1, 2,. 3)。早急な対策が望まれよう。 また点字ブロックにも多くの問題がある。視覚障害者の生の声として,. "点字ブロックは. ぼこぼこしていて白杖が引っ掛かったり,足が痛くなったりして歩きにくい”. "雨が降った. 時には特によく滑るので材質についてもっと配慮してほしい”といった意見も聞く事がで きた。点字ブロックは視覚障害者にとって,横断歩道の手前や階段を知らせる手掛かり一と.

(8) 高山佳子・大野久奈. 196. 〔図1〕バス停の点字ブロックの上に放置された 自転車. 〔図3〕歩道の真ん中に立っている 電信柱. 〔図2〕歩道の半分以上も乗り上げて駐車している草. して,非常に大切なものである。しかしながら先述したように,点字ブロックにはその形 状や敷設の仕方についての統一性がないのが現状である上に,点字ブロックの敷設が逆に 老人や身体障害者の車椅子や杖歩行の妨げになっている場合が少なくない。点字ブロック の敷設が直ちに道路環境の改善につながると考えるのは早計で,視覚障害者のみならず, 車椅子の人にとっても子どもにとっても歩き易い道路というものをトータルな視点から整 備していく必要に迫られている。. 次に,視覚障害者の道路の横断という視点から,音響信号機について触れておきたい。 音響信号機とは,視覚障害者用信号装置の事である。この視覚障害者用信号装置は,燈 火により表示されている信号の内容を視覚障害歩行者に知らせる装置で,交通信号機の 附加装置とみなされている。しかし法的意味付けはされていない。ただし,視覚障害者用 信号装置は音響により燈色を知らせる機能(音響機能)を備えていなければならず,設置 場所,音源の位置や音響の機能に関する基準はある。例えば"使用する音響は電子音響に よる鳥の鳴声(擬音)の断続音,またはオルゴール式メロディーとする”というようなも のである。本調査から,音響信号機に対する利用度も敷設の要求も高いことが知られた。.

(9) 197. 視覚障害者の道路環境に関する実態. しかし,実際にこれを利用したり敷設したりする際には解決されなければならない問題も 多い。例えば,音響信号機の利用時間が制限されている場合が多く7時-19時の問しか 利用できないといった事がある。これは,信号機から出る音響に対する近隣住民の苦情の ため,早朝夜間は鳴らさないようになっているのである。人通りの少ない早朝や夜間にこ そ音響信号機がはしいという視覚障害者側のニードと地域住民のニードをどのようにかみ. 合わせていくか,非常に難しいところであ卑。押しボタン式への変更や,音響調節の工夫 などいろいろ改善の方向はあるように思われる。 道路環境は安全装置を十分にしていけば良くなるという単純なものではない。むしろ, それよりも大切なものは,人々の視覚障害者に対する理解であろう。視覚障害者の手引き の仕方ひとつをとってみても,正しい知識をもって行える人は少ないであろう。川崎市福 祉センターのように視覚障害者に対する手引きの仕方についてのパンフレットを配付して いるところもあるが,一般的にはまだまだ不十分である。視覚障害者に対する正しい知識 を広め,理解を深めていくための方策が最も求められているところであろう。 ≪参考文献≫ 視覚障害心理学. ・佐藤泰正編著(1988) ・石井. 勇(1981). 学芸図書株式会社. わが国の交通環境と視覚障害者一視覚障害者の立場からみた交通 No.3. システムの問題点一国際交通学会誌Vol.7, 視覚障害者の歩行環境. ・芝田裕一(1991). ≪付. Pp.160-168. 視覚障害研究第33号91-6月号 録≫. 視覚障害者の道路環境に関するアンケート 実施日 名前(イニシャル). [. T. S. 生年月日(M. 平成 性別(男・女). 年. 月. 日). 住所( Ⅰ.調査対象者の実態 ①. 眼疾及び視力. 右限(. ). 左眼(. ②. 視野. 右眼(. ). 左眼(. ③. 日常生活での外出回数について >). ・毎日外出する(通学・通勤・その他< ・週2-3回 ・月2-3回 ・その他. ・週1回 ・月1回.

(10) 198. 高山佳子・大野久奈. 。だいたいの行き先( (彰 白杖使用の有無 たいてい使用している あまり使用していない. ・いっも使用している ・時々使用している ・家の周りでは使用していない ⑤. その他(. 介助者の有無 だいたい単独. ・いっも単独 ・いっも介助者付. その他(. Ⅱ.道路での単独歩行について ① 道路でけがをした事がありますか 回) ・ある( どんな状況で. [. ]. けがの程度( 白杖使用の有無(. ) ). ・しそうになった事はある ・ない. ・その他 (参 道路で危険を感じますか ときどき感じる. ・いっも感じる ・はとんど感じない ・その他 ③. いっも感じない. どんなものに危険を感じますか ・歩道上の放置物(看板,商品の張りだし,放置自転車,バイク) ・通行人 ・走っている自転車 ・走っている自動車 t. ・駐車中の自動車 ・側溝 ・石ころや段差などつまづく物 ・その他 ④. ・電信柱. 歩道の種類によって歩き易さは変わってきますか ・車道と段差によって区別されている歩道と車道と段差によって区別されていない歩 道(路側帯)とでは歩き易さは変わりますか 車道と段差によって区別されている歩道が歩き易い 車道と段差によって区別されていない歩道が歩き易い どちらも変わらない. ・点字ブロックのついている歩道とついていない歩道とでは歩き易さは変わりますか 点字ブロックがついている歩道が歩き易い 点字ブロックがついていない歩道が歩き易い どちらも変わらない.

(11) 199. 視覚障害者の道路環境に関する実態 ⑤. 点字ブロックがもっとあればいいと思いますか ・思う どんな所にあればいいと思いますか 病院のまわり 商店街 バス停 自宅のまわり 公共施設のまわり その他 ・思わない. Ⅱ.道路の横断について ①. 道路の横断中に事故にあったことがありますか 回) ・ある( どんな状況で. ]. [. ) ). 白杖の有無( 怪我の程度( ・しそうになった事はある ・ない. ②. ③. 横断するときには特に危険を感じますか ・いっも感じる. ・ときどき感じる. ・ほとんど感じない ・その他. ・いっも感じない. 音響信号機を利用したことがありますか ・ある. 音響信号機の有無によって横断時の危険度は変わりますか あったはうが危険を感じない あってもなくても変わらない その他 ・ない. ④. 音響信号機がもっとあればいいと思いますか ・思う. ・思わない. Ⅳ.歩行環境について ① 一般の通行人に声をかけられて,手を引いてもらったことがありますか ・よくある ・はとんどない. ・その他. ・何回かある ・一度もない.

(12) 200. 高山佳子・大野久奈 ②. 一般の通行人に声をかけられて,手を引いてもらうことについてどう思いますか ・とてもうれしい ・もっと積極的に声をかけてはしい ・かえって気を使ってしまうので疲れる ・その他. ③. 援助依頼をすることばありますか ・よくする. ときどきする. ・ほとんどしない. しない. ・その他 ④. どんな時に援助依頼をしますか ・駅(ホーム,改札口,切符を買うときなど) ・人通りの多い道 ・横断するとき ・交通量のおおいところ ・その他(. ⑤. 車にはもっと停止や徐行をしてはしいと思うことがありますか ・いっもそう思う. ・時どきそう思う. ・あまり思わない ・その他,ドライバーへのお願い. ・患わない. [ ⑥. ]. 独りででも知らない所にいこうと思いますか ・思う 理由. [. ・思わない. ].

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