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中国語における正反疑問文とその選択原理について

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Academic year: 2021

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

中国語における正反疑問文とその選択原理について The Conditions on Selection of "X not-X" Question in Chinese

Author(s) 沈 国威(SHIN Kokui)

Citation 文林(BUNRIN),No.26:37-66

Issue Date 1992

Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文

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中 国 語 にお け る正 反 疑 問文 と そ の選 択 原 理 にっ い て

中国語 にお け る正 反疑 問 文 と

その選 択 原 理 に つ いて

要 旨 「田 中君 は学 生 です か。 」 とい う文 は、 中 国 語 で は、a)「 田 中 是 学 生 嘱?」b)「 田 中 是 不 是 学 生?」 と二 通 りに表 現 す る こ とが で き る。 前 者 は 「是 非 疑 問文 」 、 後 者 は 「正 反 疑 問 文 」 と呼 ば れ て い る。 本稿 は、 疑 問形 式 によ って、"質 問"と して の発 語 内的 力 に、 強 弱 の差 が 存 在 す る とい う仮 説 を提 唱 し、 そ れ に よ って正 反 疑 問文 の選 択 原 理 の解 明 を 試 み た。 本 稿 は、 正 反 疑 問文 は是 非 疑 問文 よ り"力"の 強 い疑 問形 式 で あ っ て、 正 反 疑 問文 の独 特 の表 現 効 果 は、 正 に そ の"力"の 強 さに 由 来 す る も の で、 正 反 疑 問文 の多 用 は、 中 国語 の 「対 話 的」 性 質 と密接 な関係 が あ る、 とい う結 論 に至 った。 1・0は じめ に 是 非 疑 問 文、 正 反疑 問 文 、選 択 疑 問 文、 そ して 疑 問 詞 疑 問 文 は、 中国 語 にお け る疑 問 表 現 の基 本 的 類 型 で あ る。 そ の うち、 正 反 疑 問 文 は、 言 語 類 型 論 的 に見 て も、 異色 な存 在 で あ る。 これ まで に も、 参 考 文 献 に示 さ れ て い る よ うに、正 反 疑 問 文 につ いて の考 察 は、 幾 つ か 見 られ は す る もの の、 未 だ そ の形 式 的 意 味 や 発 話 意 図 、 選 択 原 理 にっ い て、 妥 当 な説 明 が与 え ら れ る に は至 って い な い。

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文林 二十六号 本 稿 は、 正 反 疑 問 文 の形 式 とそ の形 式 に託 され た意 味 を分 析 す る もの で あ る。 と りわ け、 何 ゆえ 正 反疑 問文 が選 択 され るか と い う運 用 論 の角 度 か ら問題 点 に接 近 し、 よ り説 得 力 の あ る解 釈 を 試 み た い。 2・0中 国 語 の 疑 問 表 現 に つ い て 平 叙 文 に対 す る疑 問 文 は、話 し手 が 命題 の真 偽 にっ いて の 判 断 を 成 立 さ せ る為 の情 報 を確 定 で きず 、 そ れ を 聞 き手 に求 め る文 の形 式 で あ る と、 一 般 論 的 に定 義 付 け る こ とが 出来 る。 情 報 の 不 確 定 と は、 木 村 ・森 山1991に 従 って 、 「話 し手 にお いて 、相 互 排 除 的 な複 数 の判 断 が 、 未 決 着 の ま ま並 立 す る」 と い う状 態 で あ る と規 定 した い。 この よ うな 疑 問文 本 質 論 を踏 まえ て、 本 題 に入 る前 に、 まず、 正 反疑 問 文 を 除 く、 中 国語 の他 の疑 問表 現 を簡 単 に整 理 して お く。 2・1是 非 疑 問文(Yes--No疑 問文) 中 国語 に お い て是 非 疑 問文 は、 陳述 文(or描 写 文)+疑 問形 態 素 か ら 構 成 され て い る。 い わ ゆ る疑 問形 態 素 に は、 文 末 助 詞 、 例 え ば 「嘱 」 、 あ るい は上 昇 イ ン トネ ー シ ョンな どが あ る。 平 叙 文 とい う名 に統 一 され た 陳述 文(判 断詞 「是 」 を 含 む文)と 描 写 文 (そ の 他 の 動 詞 文)は 、 あ る命 題 につ い て、 そ の真 偽 を 問 題 に し、 話 し手 の判 断 、 判 定 を表 す もの で あ る。 この よ うな 文 に文 末 助 詞 「嘱 」 を っ け れ ば、 話 し手 は、 該 当命 題 に つ い て の判 断、 判 定 が 不 能、 或 はそ れ を放 棄 す る と い う意 味 に な る。 例 を示 せ ば次 の よ う にな る。 {1)田 中 是 日本 人 嘱? (田 中 は 日 本 人 か)

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中国語における正反疑 問文 とその選択 原理につ いて (2)田 中 学 習 漢 語 囑?(田 中 は 中 国語 を勉 強 して い るか) 判 断 、 判 定 を対 話 の相 手 に委 ね る ことに お い て共 通 点 を 有 しなが ら、 ⑧ 田 中 明 天 去 北 京 咀 。(田 中 は、 明 日、北 京 に行 くだ ろ う) (4)下 午 要 下 雨 咀 。(午 後 、 雨 が 降 る だ ろ う) の よ うに、 言 表 内容 に蓋 然 的 に言 及 す る こ と もあ る 「噌 」 と違 って、 「嘱 」 はあ くま で も、 相 手 に対 して、 情 報 提 供 を求 め る とい う言 表 態 度 に の み 関 わ る文 末 助 詞 と考 え られ る。 この意 味 に お いて 「囑 」 は命 題 の成 否 に 関 し て 中立 的 で あ る と言 え る。 是 非 疑 問 文 の焦 点 、 す な わ ち疑 問点 に つ い て は、 これ ま で は、文 の形 式 上 、 疑 問点 を卓 越 させ る こ とが で きな いが、 ス トレスの 置 き方 によ って 、 明 示 す る こ とが 出 来 る と され て い る。 「是 」 「是 … 的 」構 文 も関 わ るので、 本 稿 で は、 深 入 り しな いが 、 疑 問 点 は当該 成 分 が 担 う情 報 量 と正 比例 の 関 係 に あ り、 述 部 の 「核 」(core)か ら離 れ て い く傾 向 が あ る と指 摘 す る に と どめ た い。(削) 2・2疑 問 詞 疑 問 文 と選 択 疑 問 文 命 題 全 体 で は な く、 存 在 す る不 確 定 の部 分 の み に つ い て、 話 し手 が、 聞 き手 に情 報 の提 供 を求 め る の は、 疑 問詞 疑 問文 で あ る。 そ の際、話 し手 は、 「誰 ダ レ、 ロ那JLド コ、 梛 介 ド レ、 什 歴 ナ ニ、 急 歴 ドウ、 多 少 イ ク ラ、 為 什 ロ那ナ ゼ」 な ど の い わ ゆ る 「疑 問詞 」 で も って、 現実 世 界 を 仕 切 り、 不 確 定 部 分 を あ る範 疇 内 に 限定 す る。 この よ うな 下位 範 疇 化 、 つ ま り、疑 問詞 の

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文林 二十六号 実 在 と選 択 は、 汎 言 語 的 な もの と考 え られ る。 疑 問 詞 に よ って 指 定 さ れ た 不 確定 部 分 は、 即 ち質 問 の焦 点 で あ る。 同範 疇 な ら一 っ 以 上 の疑 問 点 もあ り得 るが 、範 疇 を跨 る不 確 定 要 素 の共 存 は、 疑 問 文 と して は普 通 あ り得 な いo ⑤ 誰 教 給 誰 漢 語?(誰 が 誰 に中 国 語 を 教 え るか) (6)??誰 、 在 ロ那几 教 什 座 外 語? (誰 が ど こで どん な外 国 語 を教 え る の か) 接 続 詞 「還 是(ソ レ トモ)で 二 っ の 命 題 を 連 結 させ る選 択 疑 問 文 は、 回 答 の範 囲 を限 定 して 聞 き手 に提 示 す る点 にお いて 疑 問 詞 疑 問 文 と共 通 す る が 、 二 項 対 立 的 に選 択 させ る点 は、正 反 疑 問 文 にっ なが る。選 択疑 問文 は、 原 理 的 に正 反 疑 問 文 と おな じな ので 、 以下 で は、 必 要 に応 じて 触 れ る こと にす る。 2・3疑 問 文 の"力"に つ いて 言 語 行 為 理 論 に よれ ば、 す べ て の 発 話 は、 特定 の"力"(forces)を 持 っ て い る。 疑 問 文 も例 外 で は な い(以 下 「疑 問 文 」 と い う用 語 は'`質 問 Question"の 意 味 に お い て用 い る こ とが あ る)。 疑 問 文 が 、 言 語 場 に お いて 適 切 条 件 が 満 た され て 発 せ られ る限 り、 聞 き手 は、 それ に答 え る義 務 が 課 せ られ る こ と にな る。 そ れ 故 に、 聞 き手 の行 為 を拘 束 す る意 味 に お い て 、 質 問 を発 す る こ と は、 即 ち 、 命 令 を 下 す(或 は依 頼 す る)こ とで あ る と見 る こ とが で き る。 違 う点 は、 聞 き手 に動 作 行 為 の実 行 を強 制 す る の で はな く、 情報 を 提 供 す るた めの 発 言 、 っ ま り 「回答 」 と称 す る言 語 行 動 を 要 請 す る こ とに あ る。 この 聞 き手 に対 す る回 答 へ の拘 束 力、或 は要 請力 を、

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中国 語 にお け る正 反 疑 問 文 とそ の 選 択 原 理 に っ い て 本 稿 で は 、 疑 問 文 の"力"と 称 す る 。(庄2) と こ ろ で 、"力"の 存 在 だ け で な く、 異 な る 疑 問 形 式 で は"力"に 差 が 存 在 す る こ と も指 摘 し て お か な け れ ば な ら な い 。 運 用 上 の 諸 要 素 も 絡 む の で 、 あ く ま で も一 般 論 的 に と ど ま る が 、 聞 き 手 へ の 働 き 掛 け の"力"と し て は 、 次 の よ う に 、 命令表現 〉 疑問表現 〉 疑念表現 〉 叙述表現 〉 感嘆表現 と連 続 的 に捕 らえ る こ とが 出来 よ う。 そ して 、 疑 問 文 諸 形 式 の 中 で は、 是 非 疑 問 文 に比 べ て、 疑 問 詞 疑 問 文 や 選 択 疑 問 文 は、 よ り`'力"の 強 い質 問 形 式 で あ る と規 定 す る こ とが可 能 で あ る。 これ は一 つ の言 語 事 実 と して 、 内 省 的 に直 感 す る ことが で き るが 、 実 証 す る こ とは、 必 ず し も容 易 で はな い。 こ こで は次 の現 象 を証 拠 と して 指 摘 した い。 まず 、 疑 問 文 に対 す る返 事 の しか た に注 目 しよ う。 これ まで の研究 で は、 応 答 の しか た は、 そ の ま ま疑 問 形 式 を分 類 す る基 準 に もな って い る。例 え ば 是 非 疑 問 文 は、 「咽 ウ ン」 「対 ハ ア」 「是 ハ イ」 「不 イ イ エ」 の よ うな 応 答 詞(の み)に よ る返 事 が可 能 で あ り、 「頭 を振 る」 「うな ず く」 「O Kサ イ ンを 出 す 」 と い うよ うな身 体 言 語 に よ る応 答 で もよ い場 合 も少 な く な 。(往3)一 方 、 疑 問詞 疑 問 文 の 場 合 は、 返 事 に 「咽 」 「対 」 「是 」 「不 」 な どの 応 答 詞 が 用 い られず 、 身 体 言 語 に よ る回答 も、 現 場 直示 的 な 動作 で な けれ ば な らな い。 こ の よ うな現 象 は、 正 に疑 問文 の"力"の 差 の 具 現 と 考 え る こ とが 出 来 る。 っ ま り、 疑 問 詞 疑 問文 は、 言 語 行 為 か 指 示行 為 を 強 要 す るの に 対 して 、 是 非 疑 問 文 は、 非 指 示 的身 体 言 語 も許 され るので あ る。 次 に、 日本 語 で はYesNo疑 問 文 か ら疑 問 詞 疑 問 文 を 経 て 命 令 表 現 に

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文林 二十六 号 接 近 して い く現 象 が観 察 さ れ る。 例 え ば 、 次 の よ うに、 埋 め込 み成 分 と し て、 命 令形 を取 る明示 的 遂 行 動 詞 と共 起 で き るの は、YES-No疑 問 文 で はな く、疑 問詞 疑 問 文 の ほ うで あ る。(中 国 語 にっ いて は後 述) *田 中 は 日本 人 で あ るか 言 って くだ さ い/教 え ろ/答 え ろ/ ○ 誰 が 日本 人 で あ るか 言 え/答 え ろ/教 え ろ/〔 注4) な お 、 正 反 疑 問 文 の'`力"に っ い て は 、3・3で 述 べ る こ と に す る 。 3・0正 反 疑 問 文 につ いて 以 上 の議 論 を踏 ま えて 、 中 国 語 独 特 の 質 問 形 式 で あ る正 反 疑 問 文 にっ い て、 考 え る こ とにす る。 正 反 疑 問 文 は、 そ の名 の通 り、 述 部 の肯 定 ・否 定 と い う相 反 す る形 式 を並 列 させ る こ と に よ って 構 成 され て お り、 次 の よ う な基 底 形 を持 っ と考 え られ る。(注5) (7)他 是 学 生 不 是 学 生?(彼 は学 生 か、 学 生 で はな いか) ⑧ 老 王 他 椚 工 作 忙 工 作 不 忙? (王 さん らは仕 事 が 忙 しいか 、 仕 事 が忙 し くな いか) {9)伯{椚 喫 飯 不 喫 飯? (君 達 は、 ご飯 を食 べ るか、 ご飯 を食 べ な いか) (以 下 、 肯 定 ・否 定 並 列 形 式 を 「X∼X」 と記 す) 実 際 の 発 話 にお いて 、 表 現 の簡 潔 さ の為 に、 重 複 す る要 素 を引 き出 して 、 rX∼X」 の外 に置 くの が普 通 で あ り、 複 雑 で 長 い述 部 の 場 合 は、 特 に そ

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中国語における正反疑 問文 とその選択原理にっ いて うで あ る。 正 反 疑 問 文 の疑 問 点 が 「X∼X」 に あ るの で 、 この よ うな変 形 操 作 は、 また質 問点 の 明示 化(以 下 、 焦 点 化 と称 す る)を 兼 ね る。上例 は、 変 形 後 、 次 の よ うに な る。 (7')他 是 不 是 学 生? (8')老 王 他 椚 工 作 忙 不 忙? (9')弥 椚 喫 不 喫 飯? 以 上 で分 か る よ う に、 正 反 疑 問文 は、 文 末 助 詞 や疑 問詞 、 上 昇 イ ン トネ ー シ ョンな ど と い った疑 問形 態素 を い っさ い必 要 と しな い(と い うよ り、 す べ て の疑 問形 態 素 と共 起 で きな い とい った方 が正 確 で あ ろ う)。 正 反 疑 問文 は、 形式 上 、二 っ の選 択 肢 を並 列 させ る点 にお い て、 選 択 疑 問 文 に近 似 して お り、 そ の 派生 形 と も言 わ れ て い るが、 特 定 の命 題 にっ い て そ の 真偽 を 問 う、 と い う論理 的 意 味 で は、 む しろ是 非 疑 問 文 と同 じで あ る。 原理 的 に、 他 の言 語 にお いて も存在 可 能 だ が 、 少 な くと も、 日本 語 、 英 語 、 フ ラ ンス語 、 ロ シ ア語 な ど の諸 言 語 にお いて 、 こ の形 式 は、 普通 の 疑 問 形 式 で はな く、 特 別 な 意 味 が生 じるか 、 迂 言 的 表 現 と な る。 3・1正 反 疑 問 文 の 選 択 原 理 につ いて 正 反 疑 問 文 との 間 に、 用 法 や 意 味 に お い て示 差 的 特 徴 が生 じ得 る の は、 是 非 疑 問 文 の み で あ る。 と こ ろ で二 つ の疑 問形 式 は ど う違 うか、 換 言 す れ ば 、 中 国語 話 者 は、 なぜ 、 ど の よ うな文 脈 で、 是 非 疑 問文 で は な く、 正 反 疑 問 文 を 選 択 す る の だ ろ うか。 ま た、 ど の よ うな文 脈 で は選 択 しな い、 或 は出 来 な いの か 。

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文 林 二 十 六 号 正 反 疑 問 文 と 是 非 疑 問 文 と の 分 布 比 率 に つ い て 、 広 範 囲 に わ た る 言 語 資 料 を 対 象 と す る 調 査 は 、 ま だ 見 な い が 、 小 規 模 の 統 計 を 試 み た も の に 、 劉 1986が あ る 。 そ れ に よ れ ば 、 正 反 疑 問 文 は 、 是 非 疑 問 文 と で 、 は ぼ1:2 の 割 合 で 使 用 さ れ て お り、 使 用 頻 度 に お い て 、 是 非 疑 問 文 よ り ず っ と 少 な い と い う こ と で あ る。 こ れ は 、 構 文 上 、 正 反 疑 問 文 が 、 よ り 多 く の 制 限 を 受 け て い る か ら だ 、 と結 論 づ け られ て い る(注6)。 しか し、 あ る 文 型 の 選 択 を 左 右 す る の は、 そ の 複 雑 さ で は な く、 あ く ま で も伝 達 の 目 的 で あ ろ う 。 更 に、 た と え 劉 の 調 査 結 果 を そ の ま ま 受 け 入 れ る と して も、 是 非 疑 問 文 で も事 が 足 り る質 問 の 半 分 は 、 中 国 語 話 者 が 、 正 反 疑 問 文 と い う、 よ り複 雑 な 形 で 行 っ て い る と い う こ と に な る 。 何 故 だ ろ うか 。 わ れ わ れ は 、 選 択 に 当 た っ て ど の よ う な 原 理 が 働 い て い る の か と い う問 い に 答 え な け れ ば な ら な い 。 これ ま で 二 っ の 質 問 形 式 の 意 味 、 用 法 の 違 い に つ い て 幾 つ か の ア プ ロ ー チ が 試 み られ た 。 こ こ で は ま ず こ れ ら の ア プ ロ ー チ を 詳 細 に 検 討 し て み る こ と に す る 。 趙 元 任 は 、 そ の 著 『AGrammarofSpokenChinese』(1968:800) の 文 末 助 詞 の 項 で 、 「嘱 」 付 き の 疑 問 文 に っ い て 、 次 の よ うに 述 べ て い る。 鳴ma,particleforyes-or-noquestions:外 頭 下 雨 了 鳴?Isitraining outside?伯{還 打 算 出 去 嘱?Areyoustillplanningtogoout?This formofaquestioncontainseitheraslightoエconsiderabledount aboutanaffirmativeanswer,implyingaprobabiユityofless50%, Whenthequestioncontainsanegativeadverb,itisarhetorical questlon,…

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中 国 語 に お け る 正 反 疑 問 文 と そ の 選 択 原 理 に つ い て

Questionsendingin囑maarenotquiteequivalenttotheV.not.V

formofquestions,whichiscompletelynoncommi七alastothe

answer。thus,in休 伯 風 不 伯?Areyouafraidofwind ,一 一doyou

mindthedraft?thechanceofapositiveornegativeanswer ,inthe mindofthequestioner,isjust50:50. 「肯 定 的 な回 答 の可 能 性 にっ いて 少 し、 或 はか な り疑 わ しい。50%を 越 え な い だ ろ う」 との記 述 は、 言 語 事 実 に合 致 して い な い。 趙元 任 の例 は、 質 問 者 が 窓 越 しに雨 音 を 聞 いた 、 或 は、相 手 が 出 か け るた め に着 替 え て い る よ うな場 面 で も用 い られ る し、 ま た我 々 は"疑 わ しい"気 持 ち で 「悠 近 来 身 体 好 嘱?… 近 ご ろお元 気 で す か」 「悠 最近 忙 鳴?… 最 近 、 お 忙 しいで す か 」 と挨 拶 しな いだ ろ う。 Li&Thompson1979は 、 趙 元 任 の見 解 を批 判 して、 両 疑 問 形 式 は、 次 の 原 理 に よ って 選択 され る と主 張 して い る。 TheV-not-Vquestionisusedon!yinanuetralcontextwhereas theparticlequestionmaybeusedinaneutralornon-neutralcontext, Aneutralcontextisoneinwhichthequestionerhasnoassump- tlonsconerningthepropositionwhichisbeingquestionedandwhis-hestoknowwhetheritistrueornot,Wheneverthequestioner bringstothespeechsi七uationanassurnptionabou七thetruthor falsityoftheproposition,thenthatcontextisnon-neutralwith respecttothequestion.

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文 林 誹 ・六 号 っ ま り、 質 問 者 の 命 題 の 真 ・偽 に対 す る仮 説 の 有 無 が 、 質 問 形 式 を 決 定 す る 要 因 で あ り、"仮 説 な し"の 中 立 文 脈(neUtralCOnteX)の 場 合 は 、 是 非 疑 問 文 、 正 反 疑 問 文 の 両 方 が 選 択 さ れ 得 る が 、"仮 説 あ り"の 非 中 立 文 脈(nonneutralcontex)の 場 合 は 、 是 非 疑 問 文 しか 選 択 さ れ 得 な い と い う。 次 の よ う な 例 が そ の 根 拠 と さ れ て い る 。 ⑩a??伯{姓 不 姓 李? (あ な た は李 とい う姓 で す か、 で はな いです か) b伯{姓 李 嘱?(あ な た は李 とい う姓 で す か) Li&Thompsonに よ れ ば 、普 通 、 「李 さん 」 で あ ろ う と い う想 定 を 持 っ て は じめ て 、 「李 と い う御 苗 字 で す か 」 と質 問 す る ので あ るが 、 これ が 正 に非 中 立 の 文 脈 で 、 是 非 疑 問 文 しか 使 え な い所 以 で あ る、 と い う。 しか し、 例 え ば 空 港 な どで 迎 え よ う とす る人 ら しき人 物 に、 (11)悠 是 不 是 李 先 生?(李 さ ん で い ら っ し ゃ い ま す か) と 聞 く の は 、 一 向 不 自 然 で は な い 〔ナ監7)。ま た 正 反 疑 問 文 が 、 非 中 立 の 文 脈 で は 使 え な い と い う 結 論 も、 成 立 し な い 。 次 例 を 見 よ う。 働 小 核 、 伯{看当 兵 好 不 好?喫 香 的 、 喝 辣 的 、 現 成 的 軍装 穿着 、 比伯{ 看 瓜 強 不 強?(小 僧 兵 隊 に な った らい い と思 わ な いか。 ご馳 走 を 食 え る し、 軍 服 もあ る。 そ っ ち の 瓜 の 番 よ り ま し と思 わ な い か) 〈郵 友 梅 〉

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中国語 における正反疑 問文 とその選 択原理 にっ いて これ は兵 隊 を募 る為 に農 家 の子 供 を 説得 す る場 面 で あ る。 説 得 す る側 と して の質 問 者 に と って、 明 らか に非 中 立 の 文 脈 で あ る(「 当 兵 好 不 好 」) は 「看 」 の埋 め込 み文 な の で、 こ こで は触 れ な いが 、 「比 祢 看 瓜 強 不 強 」 は、 肯 定 形 式 の是 非 疑 問 文 に変 え られ な い こ と に注 目 さ れ た い)。 に もか か わ らず、 正 反 疑 問 文 が 使 用 され て い る((13)及 び(19)∼(21)も 参照)。 更 に、Li&Thompson1979の 最 大 の 不 備 は、 いわ ゆ る中 立 文 脈 に お い て、 両 疑 問形 式 が ど の よ うな原 理 に基 づ いて 選 択 され るか を記 述 で きな い点 で あ る。 h&Thompsonに 対 して、 湯 廷 池1984は 、 お お よ そ妥 当 と し た上 で、 次 の よ うに訂 正 を加 え た。 凡 是 問話 者 対 於 問句 命 題 内容 的 真 仮 値 有 所 認 定 時、 用是 非 間 句; 凡 是 問話 者 対 於 問句 命 題 内容 的 真 仮 値 無 所 認 定 時 、 用正 反 問 句 。 (質 問者 は、 質 問 の命 題 内容 の真 偽 値 に っ い て 、 認 定 が あ れ ば 、 是 非 疑 問文 を選 択 し、 認 定 が な け れ ば、 正 反 疑 問 文 を 選 択 す る) しか し、 「認 定」 の有 無 に よ って両 疑 問形 式 が 歴 然 と した分 布 を なす と 主 張 す る湯 の訂 正 は、 相 変 わ らず11)12)の 文 法 性 を説 明 で き な い。 ま た、 是 非疑 問文 が、 「認 定」 あ る場 合 の み 使 わ れ 得 る とい う規 定 も、 事 実 に反 す る。 考古 学者 に科 学 好 きな 小 学 生 が 、 百 万 年 前 の地 球 に人 類 が い たか ど うか 、 と質 問 す る場 面 を 想 定 しよ う。 小 学 生 は、aかbの よ うに聞 く こ と が で き る し、 また 考 古 学 の問 い返 しに対 して 、cdeの どち らか で答 え る こ と も可 能 で あ る。

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文 林 二 十六 号 (13)小 学 生:a.一 百 万 年 前 、 地 球 上 有 人 類 鳴? b.一 百 万 年 前 、 地 球 上 有 没 有 人 類? 学 者:伯{説 泥?(君 は 、 ど う 思 う か ね) 小 学 生:c,我 不 知 道 咽 。(ぼ く、 分 か ら な い よ) d.有!(い た と思 う) e .没 有!(い な か っ た と思 う) (質 問者 、 っ ま り小 学 生 に と って)cは 「中 立 文 脈 」 で あ って 、deは 「非 中 立 文脈 」 で あ るが、 ど ち ら もabと の 間 に適 不 適 の差 が 観 察 さ れ な い。 こ の こ とか ら、 湯 の訂 正 は寧 ろ事 実 か ら遠 の いた と言 わ ざ るを得 な い。 一 方、 大 陸 の学 者 も この 問題 に 注 目 した 。 呂叔 湘1977は 次 の よ う に述 べ て い る。 a)祢 会説 日本 話 鳴?b)仰 会 説 日本話 咀?c)像 会 不 会 説 日本 話?三 個 問句 一個 内容 、 但 是 前 両 句有 傾 向 性、a)傾 向於 懐 疑 、b)傾 向 於肯 定 、 只有c)是 事 実 求 是 的 詞 問。 (a)君 は 日本 語 が話 せ るか。b)君 は 日本 語 が話 せ るだ ろ う。c) 君 は 日本語 が話 せ るか話 せ な い か。 三 っ の質 問文 は 同 じ意 味 を持 っ て い るが、 しか し、a)b)は 傾 向 性 が あ る。a)は 、懐 疑 に傾 き、 b)は 肯 定 に傾 く。c)だ け は 傾 向 性 の な い質 問 で あ る) ま た 王 力1982は 、 「昨 天 他 来 了 嘱?」 「昨 天 他 来 了 没 有?」 、 従 前 我 以 為 這 両 句 話 意

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中国語 にお ける正反疑問文 とその選択原理 につ いて 思 一 様 、近 年 才 考 慮 憧 了 、 其 実 意 思 不 一 様 。(中 略)「 昨 天 他 来 了 鳴?」 心里 仮定 大 概 是 来 了 。 「昨天 他 来 了 没 有?」 那 純 粋 是 疑 問 、 我不 知 道 、 不能 仮定 他 来 了 没 有 。 (「 昨 日彼 が 来 た か 」 「昨 日彼 が来 た か、 来 な か った か」 、 これ ま で 私 は、 二 っ の 質 問 文 は同 じ意 味 だ と思 って いた。 最 近 に な って 、 実 は違 う と分 か っ た。(中 略)「 昨 日彼 が 来 たか」 は、 心 の 中 で 多 分 来 た だ ろ うと仮 定 す るが 、「昨 日彼 が 来 た か 、 来 なか った か」 は、 純 粋 な質 問 で 、 彼 が来 た か ど うか は、 知 らな い、 或 は仮 定 で き な い) と二 っ の疑 問 形 式 の違 い に言 及 した。 両 学 者 は、 是 非 疑 問文 に対 して異 な る見 解 を示 して い る が、 正 反 疑 問文 に対 して は、 同 じ見 方 を して い る と見 て よ い か と思 わ れ る。 劉1986は 、 多 くの デ ー タを 駆使 した 実証 的 な 考 察 で あ る。 両 疑 問形 式 の 実 際使 用 や表 現効 果 に つ い て の 言 及 は、示 唆 に富 む もの が あ るが、 原理 的 な説 明 に は、 必 ず しも成 功 しな か った 伽)。 劉 は、 正 反 疑 問 文 の選 択 原 理 を 説 明 す るた め に 「意 向 」 と い う概 念 を 導 入 し、 正 に こ の 「意 向」 が 、 疑 問 形 式 の 選 択 を 左 右 す る決 定 要 素 で あ る と考 えて い る。 い わ ゆ る 「意 向 」 は、 次 の よ う に定 義 され て い る: 我 椚 把"傾 向"或"心 里 仮 定"叫 意 向、 即 句 意 傾 向。 具 体 的 説 、 意 向 是 問 話 人 在 問 話 時 対 答 案 的傾 向性 、 即 心 中 已有(或 佑 計 出、 推 測 出)答 案 或 没 有 答 案 。 如 果 有 答 案 、 答 案 是 肯 定 的 還 是 否 定 的 ㈱ (我 々 は 「傾 向」 或 は 「心 中 仮定 」 を 意 向 と呼 ぶ 。 即 ち 、文 意 傾 向 で あ る。 具 体 的 に言 え ば 、 意 向 と は質 問 者 が 質 問 す る と きの 答 え に

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文林 二 十六号 対 す る傾 向 性 の こと、 即 ち す で に答 え を 持 って い る(推 測 や見 計 ら い に よ る)、 或 は持 って いな い。 持 って い る とす れ ば、 肯 定 的 な答 えか 、 否 定 的 な答 え か と い う こ とで あ る) そ し て 、 是 非 疑 問 文 は 、 次 の よ う な 「意 向 」 下 に 用 い られ る と され て い る 。 (1)問 話 人 預 先 有 傾 向 性 的 答 案、 問 話 的 目的是 為 了 従 対 方 得 到 答 案 (質 問 者 は予 あ傾 向 性 の あ る答 え を 持 ち、 質 問 の 目的 は、 相 手 か ら答 えを 得 る為 で あ る) ② 答 案 対 問 話人 併不 重要 、或 問 話 的 目的 不 是 求 得 答 案、而 是別 有 目的。 (答 え は、 質 問者 に と って重 要 で はな く、質 問 の 目的 は答 え を得 る た め で はな く、 ほか に あ る) (3)問 話人 預 先没 有 傾 向性 的答 案 、 問話 的 目的 是 為 了 従 対 方 得 到 答 案 。 (質 問 者 は予 め 傾 向 性 の あ る答 え を 持 って お らず 、 質 問 の 目的 は相 手 か ら答 え を得 る為 で あ る) α)②の場 合 は、 正 反 疑 問文 は選 択 され な い と い う。 一 方、正 反疑 問文 は、 次 の よ うな 「意 向」 を持 っ。 (1')問 話 人 預 先 没 有 傾 向 性 的 答 案 、 希 望 従 対 方 得 到 答 案 。 (質 問者 は、 予 め傾 向性 の あ る答 え を 持 って お らず 、 相 手 か ら答 え を得 た い) (2')有 時 間 話人 預 先 有 自己 的 答 案 、 但 想 了 解 対 方 的観 点 、 希 望 対 方 説 出答 案 。

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中国語 における正反疑問文 とその選択原理 につ いて (時 に は、 質 問 者 は予 め 自分 な りの答 え を持 って い るが 、 しか し 相 手 の見 解 を知 りた い ので 、 相手 に答 え て ほ しい) し か し 「意 向 」 に よ っ て 、 両 疑 問 形 式 の 選 択 条 件 が 明 らか に 示 せ た と は 言 え ま い 。 例 え ば1)と3)は 相 互 矛 盾 の 記 述 で あ る し、1)と(2')の 違 い は, 必 ず し も 区 別 が で き な い 。3)と(1')も 、 同 義 反 復 に 過 ぎ な い 。 ま た 、2) の よ う な い わ ゆ る 「発 語 媒 介 行 為(perlocutionaryact)と し て 正 反 疑 問 文 も用 い ら れ る こ と は 、 明 らか で あ る 。((12)(19)(26)(28)(29)な ど を 参 照)。 さ ら に 重 要 な の は 、 「意 向 」 は 正 反 疑 問 文 の 表 現 効 果 の 説 明 に 全 く 無 力 だ と い う こ と で あ る 。 正 反 疑 問 文 の 選 択 原 理 を 解 明 す る に は 、 別 の 角 度 か ら の ア プ ロ ー チ が 必 要 で あ ろ う。 3・2疑 問文 の 「見 込 み」 に つ い て 前節 で分 か るよ うに、 これ まで の研 究 は、 用 語 の 不統 一 と概 念 の 混 乱 が あ る もの の 、 い ず れ も質 問 者 と質 問 内 容 や予 想 され 得 る回 答 との 間 にお け る心理 的 な 関 わ り方 に 注 目 し、 そ れ に よ って 両 疑 問 形 式 の 選 択 原 理 を説 明 しよ うと した(由゜)。この 関 わ り方 を、 本稿 で は、 「見 込 み 」 とい う用 語 で 捉 え 直 す こ と にす る。 い わ ゆ る 「見 込 み」 は、 命 題 の成 否 や、 ひ い て は会 話 双 方 を取 り ま く言 語 環 境 に関 す る質 問 者 の(推 理 、 推 量 等 に よ る)予 測 、判 断 と い う、言 表 内容 に 向 け られ る陳 述 姿 勢 と定義 す る こ とが で き、言 表事 態 め あて の モ ダ リテ ィに属 され て い る と考 え られ る。 そ れ で は、 質 問 者 の 「見 込 み」 と疑 問文 とは、 どの よ うな 関 係 に あ る のだ ろ うか 〔注11)。も し聞 き手 か ら必 要 な 情 報 を得 る こ とを 疑 問 文 の 本 務 だ とす れ ば 、 最 も疑 問 文 ら しい 疑 問 文 は (51)

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文林 二十六号 「見 込 み」 な しに発 せ られ る もの の は ず で あ ろ う。 しか し一 方 、 常 識 と し て、 場 面 にそ ぐわ ぬ、 突 拍 子 もな い 質 問 を す る こ とは考 え られ な い。 質 問 す る以 上 、 該 当問 題 に関 心 が あ り、 何 らか の 期 待 や 予 見 を持 つ 場 合 も少 な くな い。 即 ち、 陳 述 態 度 と して の 「見 込 み 」 は、 話 し手 にお いて 全 く任 意 の要 素 で あ る。 更 に、 言 表 事 態 め あ て の モ ダ リテ ィに属 す る 「見 込 み 」 の 出現 が 、 疑 問 文 を その 本 来 も って い る問 い か け の モ ダ リテ ィか ら述 べ 立 て の モ ダ リテ ィに変 質 させ る現 象 が、 広 く観 察 され る。 例 えば 疑 問 文 は、 疑 念 、 推 量 、 確 認 、 断 定 、 反 問 、主 張 な ど意 味 を も表 せ る の はそ れ で あ る。 従 って 「見 込 み」 の有 無 を 云 々 す るよ り は、 特 定 の 疑 問 形 式 に お い て 「見 込 み 」 が 如 何 に して 文 の 形 に 反 映 され 、 聞 き手 に伝 え るか、 と いう こ とは、 もっ と問 題 の 核 心 に近 い と考 え られ る。 この プ ロセ スを 本 稿 で は 「見込 み の 顕 在 化)」 と仮称 す る。 この 際、 留 意 して お か な けれ ば な らな い の は、 あ る疑 問 形式 は、形 式手 段 に よ って 「見込 み 」 を 顕 在 させ 得 る こ と と、 当 の 疑 問形 式 が 「見込 み あ り」 、 即 ち傾 向 性 の あ る、 非 中 立 の文 脈 に お い て 使 用 され 得 る こ と とは、 次元 の異 な る問題 だ と い うこ とで あ る。 以 上 の観 点 か ら、 両 疑 問形 式 と 「見 込 み」 の関 係 を 整 理 す れ ば お お よ そ次 の よ うに な ろ う。 疑 問 形 式 「見込み」顕在化 使 用 環 境 是 非 疑 問 文 無 標 ' 有 標 不 可 可 中 立 文 脈 非中立文脈 正 反 疑 問 文 不 可 不 問 表1に っ いて 、 簡 単 な説 明 を加 え て お く。 是 非 疑 問 文 は、 疑 問 文 ら しさ に よ って 二 分 で き る。 前 者 は 「嘱 」 付 きの、 普通 の疑 問文 音 調 パ タ ー ンで 発 せ られ た無 標 の もので 、 後 者 は、 「嘱 」 及 び そ れ以 外 の文 末 助 詞 、 特 殊

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中国語における正反疑問文 とその選択原理 につ いて な音 調 パ ター ン、 ス トレス配 置、 或 は肯 定 ・否 定 形 式 に よ って有 標化 され た もの で あ る(融 。 普通 の是 非 疑 問 文 は、 質 問 者 の 「見 込 み」 を(も し あ れ ば)顕 在 させ る こ と な く、主 に中立 文 脈 に用 い られ て、 情 報 を 求 め る の に最 もふ さ わ しい形 で あ る。一 方、 有 標 の是 非 疑 問文 は、 質 問者 の 「見 込 み」 を顕 在 さ せ、 聞 き手 に伝 え る こ とが で き、 主 に 非 中立 文 脈 に用 い られ る。 次 は、 「見 込 み」 顕 在 化 の一 部 例 文 で あ る。 (14)峨 、 是 老 王 咽?(あ あ、 王 さん か) ㈲ 祢 明天 去 公 司 開 会 咀?(あ な た は、 明 日会社 の 会議 に出 るだ ろ う) ⑯ 那 個 黄 巻 毛 女 核 子 是 日本 人嘱?(あ の黄 色 い くせ 毛 の 女 の子 は 日本 △ か) α7)他 不 是 大 学 生 囑?連 這 個都 不知 道?(あ いっ は大 学生 で は ないか。 こん な こ と も知 らな いか) (18)明 天 悠 不 去 看 電 影 囑?(明 日、 映 画 を 見 に行 き ませ ん か) qのの 「咽 」 、 ㈲ の 「"巴」 は、 肯 定 的 な 「見 込 み」 で 確 認 の意 味 を 表 した り、 不 確 か な 「見 込 み 」 で 推 量 の意 味 を表 す もので あ る。 ㈲ は、 肯 定 形 式 で否 定 的 な 「見 込 み」 、 或 は信 じ難 い驚 き の気 持 ち を表 す 。 ㈲ は いわ ゆ る 反 語 で 、 断 定 的 な 「見 込 み 」 を表 す 。 そ して⑱ は相 手 が 自分 の提 案 に応 じ な い と い う想 定 上 の 「見 込 み」 で発 せ られ た もの で、 控 え 目で 丁 寧 な表 現 と な る。 こ の よ うに 「見 込 み」 の顕 在 化 に よ って、 是 非 疑 問文 は、 問 い か け の モ ダ リテ ィか ら述 べ 立 て の モ ダ リテ ィへ とず れ込 ん で い き、 回 答 に対 す る要 請 力 は逓 減 して い くの で あ る。 是 非 疑 問 文 と対 照 的 に、 正 反 疑 問文 は、 積 極 的 に質 問者 の 「見 込 み」 を (53)

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文林 二十六号 顕 在 させ 、 そ れ を 聞 き手 に伝 え る こと は 出来 な い。 これ はた ぶ ん 構 文上 か ら来 た 制約 と考 え られ る。 しか し前 節 で、 す で に指 摘 した よ うに(例(11)∼ (13)参照)、 これ は正 反 疑 問 文 が 、 「見 込 み あ り」 の、 即 ち傾 向 性 の あ る、 非 中立 文脈 に お い て用 い られ な い こ とを意 味 しな い。 また一 方 、劉1986は 、 正 反 疑 問 文 に反 語 的用 法 が あ るよ うな 旨 を述 べ て い るが(っ ま り積 極 的 に 「見 込 み」 を顕 在 化 させ る こ とが で き る。 尤 も劉 は この よ う に 明 言 して い な い)、 これ も正 し くな い。 い わ ゆ る 「反 語 」 は、 文 の 表 面 の 形 式 に相 反 す る意 味 を表 す表 現 法 で あ るが、 正 反 疑 問文 に果 して反 語 的用 法 が あるか。 まず、 下 例 を 見 られ た い。 ⑲ 同志 椚 、 建 那 個 水 庫 要 破 壊 自然 環 境 、我 椚 答 応不 答 応?(あ の ダ ム を造 れ ば、 環 境 破 壊 に っ な が る。 わ れ わ れ は認 め られ るか) ⑳ 他 喫 了 人 家 東 西 、 還 罵 人 、 伯{説他壊 不壊?(あ いっ は人 の もの を 食 べ た上 に、 人 の悪 口 を言 うな ん て、 悪 い奴 と思 わ な いか) ⑳ 強 生 打 断了 地 的話 、"比 我 該 優 先考 慮 的 人 多 着 哩!大 毛 二十 九歳 了、 該 不 該 優 先 考 慮?楼 上 張 嬌 家 里 要 了 両 個 、 該 不 該 優 先 考 慮?…"強 生 一 口気 背 了 一 長 串人 、 然 後 、 不 冷 不 熱 地 干 笑両 声 、"還 有 書 記 、 廠 長 的舅 子 、 老 表 該 不 該 優先 考 慮?…"〈 包 川 〉 (強生 が彼 女 の話 を遮 って 、 「俺 よ り先 に考 え な け れ ば な らな い人 が沢 山 い る。 大 毛 は、 も う二 十 九 だ 。 優 先 的 に考 慮 す べ きで は な い か 。 上 の張 お ば さん の う ちだ って 、 子 供 二 人 が 仕 事 に付 いて な い。 優 先 的 に考 慮 す べ きで はな いか」 …強生 は一 気 に何人 もの名前 を言 っ てか ら、 薄 笑 い を浮 か べ て 、 「それ か ら工 場 長 や 上 司 の親 戚 、 縁 故 者 も優 先 に す べ きで はな い のか 」)

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中国語 における正反疑問文 とその選択 原理 につ いて (中 国 の)社 会 的 常識 に よれ ば、 ⑲ は否 定 の 「不 答 応!(認 め な い)」 、 ⑳ は肯 定 の 「壊!(悪 い)」 とい う答 え に な る で あ ろ う。 特 に⑳ は裏 口就 職 を勧 め た母 に反 発 した文 脈 で あ る。 同 じ形 式 だ が、 「強 生 」 は、 「二 毛 」 や 「張 嬌 」 な ど 自分 よ り も っ と困 った人 を優 先 させ るべ きで 、 ボ スの親類 、 縁 故 者 を優 先 させ るべ きで はな い と相 反 す る主 張 を繰 り広 げて い る。 っ ま り、 「見 込 み 」 の 顕在 化 は、文 の形 式 に拘 束 され な い、 文 脈 依 存 的 な もの で あ る。 上 記 の 例 は、 特 定 の環 境 にお い て、 答 え を話 し手 の 主 張 に沿 う方 向 へ 誘 導 す る用 法 と も言 え るが、 そ の答 え は、 文脈 に よ って 予 測 さ れ得 る 場 合 が 多 い。 これ は表 面 の形 式 に相 反 す る意 味 を表 す 「反 語 」 の性 質 と異 な っ た も ので あ ろ う。 要 す る に 、 正 反 疑 問 文 は、Li&Thornpsonや 湯 が 指 摘 した 「文 脈 に よ る制 限」 を受 け る こ と もな く、 劉 が 主張 した 「見 込 み」 顕 在 化 の 用 法 もな い と い う こ とで あ る。 以 上 を要 約 す れ ば、 是 非 疑 問文 は、 問 いか け の モ ダ リテ ィを基 本 と し、 聞 き手 に情 報 提 供 を 求 め る こ とを本 務 と しな が ら、 文 末 助 詞 や、 音 調 な ど の手 段 に よ って、 質 問 者 の対言 的 な姿 勢 や 態 度 を聞 き手 に伝 え る こ とが 出 来 る。 一 方 、正 反 疑 問 文 は、 述 べ立 て の モ ダ リテ ィへ の接 近 が許 されな い。 あ くまで も問 いか けの モ ダ リテ ィ の域 に と ど ま って い る疑 問形 式 で あ る。 両 疑 問文 の相 違 は、 そ の形 式 に 由来 す る も の で あ るが、 これ ま で の研 究 で は、 文 形 式 の表 面 的 現 象 を 、短 絡 的 に捉 え る嫌 い が あ る。 例 え ば、 是 非 疑 問文 に は肯 定、 或 は否 定 の 陳 述 が 含 まれ る の で、 傾 向性 を持 ち得 、 正 反 疑 問文 に は、 同 時 に肯 定 ・否 定 の陳 述 が含 ま れ るの で、 傾 向性 を持 ち得 な い、 な ど と い うの が そ れ で あ る。 以 下 、 両 疑 問文 の形 式 的意 味 に分 析 を加 え、 そ の上 で、 正 反 疑 問 文 の表 現 特 徴 に接 近 して い きた い。

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文林 二十六号 3・3両 疑 問 文 の 形 式 的 意 味 に つ い て さて、 二 っ の疑 問 形 式 に は、 どん な 相違 が 存 在 して い るの で あ ろ うか 。 是 非 疑 問文 が、 命 題 の 一 陳述 的 側面(肯 定or否 定)を 提示 す るの に対 して、 正 反 疑 問文 が 、 同 命 題 の 肯 定 ・否 定 の 陳述 を 同 時 に提 示 す る と ころ に 、 基 本 的 な違 いが 存 す る こ と は、 言 を 待 た な い。 しか しこれ は、 な に を意 味 す る の で あ ろ うか 。 特 定 の命 題 にっ いて の 真 偽 判 断 は、 そ れ を 肯 定 か 否 定 にす る とい う認 識 作 用 に お いて 完 成 され る。 従 って あ る命 題 を め ぐり、 常 に肯定 ・否 定 と い う相 反 す る命 題 陳 述 が ペ ア と して 対称 的 に存 し、 裏 表 を な して い る と考 え られ る。 肯 定 ・否 定 の 判 断 が 、 話 し手 にお いて で は な く、 聞 き手 に よ って 補 完 さ れ る と ころ に、 疑 問 文 が 成 立 す る。 木 村 ・森 山1991は 「肯 定 対 否 定 と い う相 互 排 除 的 な 判 断 の 在 り方 が」 話 し手 にお いて 「未 決着 の ま ま併 置 さ れ る」 と、 ロジ カル な レベル で 、 疑 問 文 の 特 質 を と らえ て い る。 従 って 肯 定 ・否 定 の ど ち らか が 排 除 され れ ば 、 命 題 の真 偽 が 決 定 され る こ と にな り、 疑 問 文 の 目的 が 達 成 され る。 但 し、命題 陳述 の提示 は、疑問 形式 によ っ て 異 な る。 是 非 疑 問 文 は、 肯 定 か 否 定 の 片 方 の命 題 陳 述 の み を 未定 の もの と して 提 示 す るが 、 同一 命題 を め ぐって 両 立 す る陳 述 の一 側面 で あ る故 に、 「祢 是 日本 人 囑?」 と 「祢 不 是 日本 人 鳴?」 と は、 異 な る角 度 か らの 等 価 的 な質 問 とな り、 相 反 の 応 答 詞 に導 か れ る同 じ返 事 が 予 想 され る。 例 え ば、 「山 口百 恵 」 とい う人 物 に対 して、 ㈱a.山 口 是 日本 人 鳴? (山 口 は 日本 人 か 。 b.山 口 不是 日本 人 囑? 対 、 地 是 日本 人 。 は い 、 彼 女 は 日 本 人 だ 。) 不 、 地 是 日本 人 。

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中国 語 に お け る正 反 疑 問 文 とそ の選 択 原 理 にっ い て (山 口 は 日 本 人 で は な い か 。 い い え 、 彼 女 は 口本 人 だ) 即 ち、 質 問 者 に よ って 提示 され た未 定 の命 題 に対 し、 回 答者 は、 応 答 詞 で も って 賛 同 す るか 否 か を示 す だ け で、 一 方 が認 可 され、 片方 が排 除 され し ま う。 話 し手 にお け る未 定 の命 題 が か く して確 定 され る。 しか し、 こ の よ う に限 定 され た二 つ の選 択 肢 にっ いて 、 片 方 の み を 明 示 す る こ と は、 常 に他方 を強 く暗 示 す る可 能 性 を 孕 む こ と に な ろ う。 その 可 能 性 は、 所 定 の方 法 に よ って、 現 実 化 され 得 る。 反 語 は、 そ の最 も典 型 的 な ケ ー ス と言 え る。 普 通 の(無 標 の)疑 問 文 は、 音 調 パ ター ンや ス トレス 配 置 な ど を変 え る こ と(有 標 化)に よ って 、 表 面 の文 形 式 と相 反 す る意 味 を持 っ 文 と な り(例 え ば、 肯 定 か ら否 定 へ、 質 問 か ら断 定 へ)、 問 いか け の モ ダ リテ ィか ら述 べ 立 て の モ ダ リテ ィに傾 斜 して い く。 一 方、 複 数 の命 題 か ら聞 き手 に よ って成 立 し得 る命題 を指 定 し、 成 立 し 得 な い命 題 を排 除 す る選 択 疑 問 文 と違 って、 正 反 疑 問文 は、 同一 命 題 核 に 対 して 、 肯 定 と否 定 の 陳述 を選 択 疑 問 の連 結 子 や そ の他 の疑 問形 態 素 な ど を一 切 伴 わず に 同 時 に提 示 す るだ け で あ る。 しか し、 これ は情 報 伝 達 の形 と して は、 自 己矛 盾 の状 態 と言 わ ざ るを得 な い 。 この よ うな正 常 な 陳述 様 式 か ら逸 脱 す る形 は、 大 凡 二 つ の方 向 へ 作 用 す る と分 析 され る。 まず話 し 手 に と って み れ ば、 自分 の 内面 に未決 着 の ま ま併 置 され て い る肯定 対 否 定 とい う相 互 排 除 的 な判 断 を 、 そ の ま ま言 語 化 す る こ とは、 該 当 命題 の真 偽 判 断 に っ い て話 し手 自身 の 疑 いの気 持 ち を あ らわ にす る ことに他 な らな い。 実 際 の運 用 に お いて 、 例 え ば 次 の よ うな 独 言 的 な場 面 で話 し手 の 迷 いや 困 惑 の心 情 を強 く表 す 文 脈 に多 用 され る 〔注'3)。

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文林 二十六号 ㈲ 愈 潔 心 想:"他 到 底 認 出我 来 没 有?"(愈 潔 は心 の 中 で 、 「あ いっ は い った い私 の正 体 を見 破 っ た のか ど うか」 と考 え た)〈 郡 友 梅 〉 鋤 地 立刻 警 覚 起 来 、 這 会 不 会 無 柳 的 糾 纏?(彼 女 はす ぐ警 戒 し始 め た。 これ はっ ま らな い っ き纒 で は な いか)〈 王 安 憶 〉 ㈲ 斐 斐 擾 起 頭 、 望 着 他 的 背 影 、 脳 子 里 老 是 纏 続 着 一 個 念 頭:他 会 不 会 有  心?(安 斐 は、 頭 を あ げ て彼 の背 中 を見 た。 「何 か 下 心 を 持 っ て い た の で は な い か」 と い う疑 いが い っ ま で も脳 裏 か ら去 らな い) 〈王安 憶 〉 一 方、 聞 き手 に と って、 話 し手 に よ って提 示 さ れ た 自 己矛 盾 の 陳 述 は、 有 効 的 な情 報 伝 達 と して受 け入 れ る ことが で きな い もの で あ って、 な ん ら か の推 論 に よ って 「修 復 」 しれ な け れ ば な らな い で あ ろ う。 つ ま り話 し手 の非 論 理 的 な陳 述 に対 して 、 聞 き手 は、肯 定 ・否定 どち らか を指 定 す る。 一 即 ち、 ど ち らか 一 方 を排 除 す る こと に よ って、 伝 達 上 、 受 け入 れ可 能 の 状 態 に修 復 す る一 義 務 を負 わ さ れ る こ と に な る。 但 し、 この場 合 、言 語 運 用 に お け る 「省 力 の原 理 」 に反 す る、 疑 似 選 択 疑 問文 と も言 え る正反 疑 問 文 に は、 独 特 な表 現 効 果 が 付 与 さ れ る。 即 ち、 正 反 疑 問 文 は、 肯 定 ・否 定 とい う命 題 の真 偽 判 断 に 関 す るす べ て の選 択 肢 を明 示 す る こ と に よ って、 聞 き手 に、YesかNoか と選 択 を 強 く迫 る ことを 可 能 にす る ので あ る。 本 稿 が提 唱 した疑 問文 の`'力"の 観 点 か らす れ ば、 論 理 的 意 味 に お い て是 非 疑 問文 と同 じで あ る正 反 疑 問 文 は、 疑 問 文 と して の"力"が 、 選 択 疑 問文 並 み に強 め られ た質 問形 式 で あ る。 正 反 疑 問 文 の"力"の 増 大 は、 そ の応 答 の仕 方 に反 映 され て い る。 っ ま り原 理 的 に是 非 疑 問 文 と同 じ応 答 方 式 が許 され る は ず の正 反疑 問文 は 、 実 (58)

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中国語 における正反疑 問文 とその選択 原理 にっ いて 際 に、 身 体 言 語 だ け の返 事 は、 用 い難 く、 「弥 去 不 去?」 の よ う な動 作 動 詞 文 の場 合 に なれ ば 、 「偲」 「対 」 「不」 な ど の応 答 詞 に よ る回 答 さ え 出 来 な い ので あ る。 正 反 疑 問 文 は、 聞 き手 に対 し、 言 語 的 回 答 を 強 要 す る と 理 解 さ れ る。 従 って 正 反 疑 問 文 は、 た だ単 に 情報 を求 め るだ けで は な く、 聞 き手 に お いて 「回 答 」 と い う行 為 を 引 き起 こす こ とに 重 点 を 置 く表 現 に 多 用 さ れて い る。 と りわ け鋤 ㈱ な どの 付 加 疑 問 的 な 用 法 や 「咀 」 付 きの場 合 で は、 詰 問 や 非 難 ひ いて は脅 か し等 、 情 報 請 求 と い う よ り、 聞 き手 目当 て の付 随 的 意 味 も生 じる。 ㈱(悩 火)祢 到 底 送 不 送 他 椚 走?(君 は一 体 彼 らを送 る のか 、 送 らな い の か)〈 星 星 〉 ㈱ …有 這 歴 回 事 没 有?有 没 有?(こ ん な こ とあ る の か、 な い の か、 ど うな ん だ)〈 老 舎 〉 ㈲ 一 声 憤 怒 的 大 叫 、"祢 給 不 給 、 給 不 給?"(怒 鳴 り声 が 聞 こえ た。 「くれ るのか 、 くれ な い のか 、 ど っち だ」)〈 劉 紹 業 〉 ㈲ 伯{説借 不 借 噌?不 借 冴、 這 些 銭 我 都 花 官!(貸 して くれ るの か 、 く れ な い の か、 ど っち な の、 貸 して くれ な か った ら、 この お金 、 全 部 使 っち ゃ うそ。)〈 海 花 〉 以 上 を ま とめ れ ば、 正 反 疑 問文 は、 敢 え て疑 似選 択 の形 を 用 い る こ と に よ って、 対 内 的 に話 し手 の疑 い の度 合 いを 強 調 し、 対 外 的 に聞 き手 の回 答 を要 請 す る力 を強 め る表 現 効 果 を獲 得 す る と分 析 す る こ とが で き る。 ま た是 非 疑 問 文 との相 違 点 か ら見 れ ば、 是 非 疑 問 文 は、 いつ も命 題 の成 否 に関 心 が あ り、 そ れ を め ぐ って 情 報提 供 を求 め た り、 或 は 自分 の見 込 み (59)

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文林 二十六号 を表 した りす る述 べ 立 て の モ ダ リテ ィに連 続 して い る疑 問 形 式 で あ るの に 対 して、 正 反 疑 問 文 は、 「回答 」 とい う聞 き手 の 行 為 を 強 く拘 束 す る こ と に重 点 を置 き、 働 きか け表 現 に っ な が る疑 問形 式 で あ る と言 え よ う(油)。 ま た正 反 疑 問 文 は、 質 問 に対 す る返 事 、 この 場 合 、 っ ま り二 者 択 一 の 判 断 は、 全 く聞 き手 に 委 ね られ て、 話 し手 の 置 嫁 す る余 地 が な いの で、 是 非 疑 問 文 と異 な って 、 形 式 的意 味 か ら逸 脱 して用 い られ る、 例 え ば 、 反 語 や 強 い主 張 、 念 押 しな どの意 味 を表 す、 こ とは あ り得 な い こ とを 付 け加 え て お く。 こ こ に疑 問 文 の"力"に っ い て、 も う一 度 整 理 して み る。 選択 疑 問 文 や 疑 問 詞 疑 問 文 は、 複 数 の命 題 か ら一 個 の 命 題 を 選 定 す る もの で 、 聞 き手 の 回 答 を あ る範 囲 に 限 定 し、 返事 が そ の範 囲 か らの 逸 脱 を許 さな い、 強 力 な 疑 問 形 式 で あ る。 そ れ に対 して 、是 非疑 問 文 は、 片 方 の命 題 を 未 定 の もの と して 提 示 す るに と ど ま る。 また正 反疑 問 文 は、 以 上 の分 析 で 分 か る よ う に、 論 理 的 に は是 非 疑 問 文 と同 じだ が 、 疑 問 文 の"力"で は、 選 択 疑 問 文 や 疑 問 詞 疑 問 文 と同 じ レベ ル の もの だ と考 え られ る。 即 ち、 疑問詞 疑問文 ・選択 疑問文 ・正反疑問文 〉 是非疑問文 これ は、 また 現 場 にお け る直 示 、 言 語 に よ る選 択 指 示 、 応 答 詞 に よ る態 度 表 明 とい う、 聞 き手 に 違 う行 動 を 引 き起 こす"力"の 強 弱 関 係 もで あ る。 3・4何 ゆ え 正 反 疑 問 文 か 以 上 、 正 反 疑 問 文 の 形 式 的 意 味 を考 察 し、 さ らに、 そ れ と是 非 疑 問 文 と の 相 違 点 につ いて も見 て き た。 ま た正 反 疑 問文 の表 現 効 果 や使 用 さ れ や易

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中国語 にお ける正反疑問文 とその選択原理 につ いて い文 脈 に も触 れ た 。 これ まで の 研 究 で は、 正 反 疑 問文 の構 文 記 述 に関 心 が集 中 し、 そ の表 現 論 的 特 徴 につ いて の言 及 は少 な か った。 例 え ば、 湯1984が 、 「正 反 問 句 常 常 是 冷 漠 、 不 親 切甚 至 不 礼 貌 的 問 句 。(正 反 疑 問 文 は、 普通 、 冷 淡 で 、 不 親 切 で 、 時 に は失礼 な疑 問形 式 で あ る。)」 と脚 注 で触 れ た程 度 で あ る。 劉1986は 、 用 例 に即 して、 正 反 疑 問 文 の表 現 論 的 特 徴 の分 析 を試 み る数 少 な い もの の 一 っ で あ る。 劉 は次 の よ うに指 摘 して い る。 当両 種 問 句都 真正 表 示 諭 問時 、 総 的来 説 是 非 問句 比 正 反 問句 語 気 要 緩和 、 客 気。 (こ の2種 類 の疑 問文 が、 本 当 に疑 問 を表 す場 合 、一般 的 に言 え ば、 是 非 疑 問 文 の方 が、 正 反 疑 問文 よ り も、 語 気 は柔 らか く、 丁 寧 で あ る。) そ して 正反 疑 問文 は以下 の表 現 に適 して い る と も述 べ て い る。 (イ)質 問者 は、 答 え を 知 りた い とい う切 実 な 気 持 ちを 表 す表 現; (ロ)問 い っ め る、 問 いた だ す、 詰 問 す るな どの 表 現; (ハ)相 手 に 自分 の見 解 を表 明 させ る表 現 。 しか し、 この よ うな 独特 の 表現 効 果 を持 つ 正 反 疑 問 文 の意 味 ・用 法 は、 ど れ も前 述 の 「命 題 の 真偽 値 に対 す る認 定」 や 「意 向」 か らは導 か れ得 な い で あ ろ う。 即 ち前 掲 の研 究 で試 み られ た 説 明 は、 ど れ も正 反 疑 問 文 を 表現 論 的 に特 徴 づ け る こ と は出 来 な い。

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文林 二十六号 しか し 、 是 非 疑 問文 に比 べ て正 反 疑 問文 は、 よ り"力"の 強 い疑 問 形 式 で あ る とい う前 節 の分 析 結 果 を用 い れ ば、 例 え ば劉1986で 個 別 的 に記 述 され た 意 味 ・用法 を、 す べ て無 理 な く、 原 理 的 に 説 明 す る こ とが 可 能 で あ る。 正 反 疑 問文 の不 躾 の 印象 は、 そ の 聞 き手 へ の 強 い拘 束 力 に よ る もの で あ り、 イ ロハ の い ず れ も、 正 反疑 問文 が持 つ 聞 き手 目当 て の 性 質 の現 れ と 考 え られ る。 「疑 問 文 と して の"力"を 強 め る為 」 、 これ こそ 談 話 にお い て正 反 疑 問 文 を 選択 す る動 機 で あ る と結 論 付 け る こ とが 出 来 よ う。 と こ ろで 正 反 疑 問 文 の'`力"は"規 約 的"に 形 成 され た 面 もあ り、 文 脈 に よ って は、 も っ と 強 め られ も弱 め られ も し得 る もの で あ る こ とを 見 逃 して はな らな い。 例 え ば 、 中 立 的文 脈 で は、 両 者 の 表 現 効 果 が 限 りな く接 近 して くる ことは あ る。 両 疑 問形 式 の違 い に つ い て の 説 明 が 長 い間 放 棄 され たの もこ の為 で あ ろ う し、 教育 現場 で は 「他 是 日本 人 嘱?/他 是 不 是 日本 人?」 「伯{忙嘱?/伯{ 忙 不 忙?」 の相 違 の説 明 に 苦 慮 した 経 験 を 持 っ 教 師 も少 な くなか った で あ ろ う。 中 立 的 文脈 で も、 よ り強 力 な 疑 問 形 式 を選 択 す る こと もあ る、 この事 実 を どの よ うに 説 明 す れ ば 、 妥 当 で あ ろ うか 。 水 谷 修1988は 、 水谷 信 子1983を 発 展 させ っ っ 、 興 味 深 い見 解 を示 して い る。 水 谷 修 に よ れ ば 、 言 語 に は、 対 話 型 と共話型 の別 が ある。 キ ャ ッチ ボ ー ル を す るよ うに対 話 者 双 方 が 、 問 い ・答 え る とい う会 話 の運 び方 は、 対 話 的 と言 い、 バ レー ボ ール を す る時 の よ うに 同方 向 に 向 い て、 互 い に相 手 の 話 を 完 結 し合 い、 協 力 しな が ら会 話 を成 立 させ る運 び方 は、 共 話 的 と言 う こ とが で き る。 水 谷 修 に よ る言 語 行 動 の調 査 で は、 次 の よ うな事 例 が報 告 され て い る(水 谷 修1988)。

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中国語 にお ける正反疑問文 とその選択原 理 にっ いて あ る中 国 語 話者 に、 文 学 部 の某 学 生 を訪 ね させ た と ころ、 彼 は、 当 学 部 の 玄 関 で 、 た また ま 出会 った女 性 に、 い き な り某 氏 を知 って い るか と聞 い た 。 そ の 後 、 調 査 者 との 間 に、 次 の よ うな イ ン タ ビ ュー が交 わ され た と い う。 Q二 「ち ょ っ と す い ま せ ん 。 某 氏 と い う人 を 探 し て い る ん で す け ど 、 」 と い う こ と わ り の 文 を 日本 人 な ら入 れ る が 、 そ れ を 入 れ る 発 想 は な い か 。 A:そ う い う 聞 き方 は な い。 「∼ を 探 し て い る か ら 」 と い う 聞 き 方 は な い 。 「∼ を 知 っ て い る か 」 「∼ は い る か 」 そ れ だ け 。 言 語 間 の 談 話 行動 習慣 、 及 びそ れ が外 国 語 習 得 に与 え る影 響 を問 題 点 とす る水 谷 修 の 研 究 は、 多 くの 示 唆 を 与 え て くれ る。 あ いつ ち言 葉 や 断 り接 続 助 詞:ガ 、 ケ レ ドモ の 多 用 、 聞 き手 と話 し手 の 境 界 線 の実 際 の言 語 運 用 に お け る曖 昧 さな どの 点(水 谷 信 子1983参 照)か ら も分 か る よ う に、 日本 語 は、 典 型 的 な 共 話 的言 語 で あ ろ う。 従 って 、 日本 語 で は、 判 断 の決 着 をっ け る こ とを 避 け、 聞 き手 を 同 じ土 俵 に引 きず り込 ん で、 共 通 の話 題 を通 じ て 、 共 通 の 理 解 へ 辿 りつ く意 味 を表 す 形 式 が 発 達 して い る の で あ る。 そ れ に対 して 、 中 国 語 は、 問 い ・答 え の頻 繁 な交 替 に よ って会 話 を成 立 させ る 「対 話 的」 な言 語 と言 え よ う。 正 反 疑 問 文 と い う質 問 形 式 の 存 在 と そ の 多 用 は、 正 に 「対 話 的 」 本 質 の現 れで あ る。 よ り強 力 な質 問形 式 で 聞 き手 を 確 実 に捉 え 、 自分 の 問 い に答 え させ る こと に よ って、 会 話 を構築 して い く。 こ れが コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンに臨 む中 国 語 話 者 の積 極 的 な 姿勢 で あ る。 中国 人 の 日本 語 学 習 者 が 、 一 様 に ガ、 ケ レ ドモ や そ れ らに 関連 す る表 現 形 式 の (63)

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文林:1・ 六 号 習 得 に 、 戸 惑 い と 困 難 を 感 じ る 所 以 で あ る 。 最 後 に 、 中 国 語 で は 命 令 形 式 の 「イホ説(あ な た 言 い な さ い)」 は 、 ご く 「1然に す べ て の 疑 問 形 式 と共 起 で き る こ と に 触 れ て お き た い 。 「伯く説 」 は、 II'1叔湘1941が"発 問 詞"(あ の ね え)と 見 て い る ほ ど 、 意 味 が 空 洞 化 して い る が 、 疑 問 文 に 更 に 明 示 的 遂 行 動 詞 を 前 接 さ せ 、"力"を 強 め よ う と す る こ と は 、 巾 国 語 の 対 話 的 性 質 の 一 っ の 傍 証 と な ろ う。 4・0終 わ り に 以Lで 、 本 稿 に 予 定 され た 考察 は一 応 終 わ る こ と にな るが 、言 う まで も な く、 まだ 多 くの 問 題 が 取 り残 され て い る。 例 え ば 、 疑 問 文 の``力"に っ いて 、 本 稿 で は、 そ れ と疑 問 形式 との 関 係 を 明 らか に したが 、 今 後 は、 副 詞 、 文 末 助 詞 な どの 生 起 とそ れ に よ る"力"の 変 化 との 相 関 性 を 疑 問 形 式 ごと に詳 し く記 述 す る必 要 が あ る。 また 、lE反 疑 問 文 に関 して 、 精 密 な 構 造 記 述 を は じめ、 「是 不 是」 に よ る焦 点 化 、 「是 不 是 」 「好 不 好 」 「行 不 行 」 等 の付 加 的 要 素 の 表 現 効 果 な ど にっ いて も全 般 的 な 考 察 が 要 請 され よ う。 す べて 後 日の研 究 に待 た れ る と こ ろで あ る。 注: 1,情 報 伝 達 の 理 論 に よれ ば 、 成 分 の 情 報 所 持 量 は、 該 当成 分 の 予 測 可 能 性 と反 比 例 を な し、 文 の 骨組 み よ り、 修 飾 語 や 二 次 的 成 分 の方 が大 き い。cf、 a.伯{是 大 学 生 嘱?(君 は大 学 生 か) b.仰 是 人 民 大 学 的 大 学 生 嘱?(君 は人 民 大 学 の学 生 か) a,他 喝 酒 了嘱?(彼 はお 酒 を 飲 ん だ か) b.他 昨 天 喝 北 京 二 鍋 頭 白酒 了 嘱?(彼 は昨 日北 京 産 の二 鍋 頭 白酒 を飲 んだ か) 2,オ ー ス テ ィ ン1970は す べ て の 発 話 は特 定 の力(forces)を 持 つ と述 べ て い る 。 また 、 サ ール1976は 、 質 問 を 、 命 令 、 依 頼 と と も に 指 示 的(directive)発 話 と分 類 して 、 話 し手 が 聞 き手 に あ る行 為 を さ せ よ う と試 み る もので あ る。

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中 国語 に お け る正 反疑 問 文 と そ の選 択 原 理 にっ いて (『英 語 語 用 論 』 レヴ ィ ンソ ン、 安 井 稔等 訳 を 参 照)。 但 しオ ー ス テ ィ ン らの forcesは 、 本 稿 の"力"と 完 全 に対 応 す る概 念 で は な い。 3.是 非 疑 問 文 の 回答 パ タ ー ンにつ いて 、 更 に詳 し く考 察 す る必 要 が感 じ られ る 。 例 え ば、 一 部 の否 定 形 式 の質 問 に対 して 、 応 答 詞 の み に よ る返 事 は、 非 常 に 不 自然 で あ る。 4.日 本 語 のYes-No疑 問 文 は、 「尋 ね る」 「問 う」 な ど の動 詞 と も共起 しな い 。 5.こ この記 述 は、 極 め て 簡略 化 した も ので あ る。 実 際 に は 「没 有 」 「了 」 「過 」 な ど の否 定、 時制 詞 の共 起 や 焦 点 化 た あ の変 形 な ど に よ り、正 反 疑 問文 の 形 式 は、 頗 る複雑 多 岐 で あ る。 そ の"力"も 一 様 で は な い。 例 え ば 「祢 是学 生不?」 の場 合 、 「不 」 は文 末 助 詞 化 した と言 え よ う。 表 現 効 果 も是 非疑 問 文 に接 近 し て い く(発 生 的 に 「鳴 」 は否 定 辞 の 「無 」 で あ っ た と 指 摘 され て い る 。 王 力 『漢 語 史稿 』 参 照)。 正 反 疑 問 文 に っ い て の精 密 な構 文 記 述 は、 遥 か に本 稿 の 範 囲 を越 え るの で、 詳 しい考 察 は、 別 稿 に譲 りた い。 6.劉1986で は、 あ る一 定 の 傾 向性 を持 つ とい う理 由 で 、 付 加 疑 問 的 な 「是 不 是 」 「好 不 好」 「対 不 対 」 「行 不 行 」 等 が統 計 か ら外 され て い る 。 こ れ ら を加 算 す れ ば、 両 疑 問形 式 の使 用 頻度 は か な り接 近 して く る。 な お 、 付 加 的 な 用 法 は 、 正 反 疑 問 文 の一 側面 で あ って、 外 す理 由 は な い と考 え て い る。 7.「 伯{姓不 姓李?」 が 用 い られ な い の は、 命 題 真 偽 値 に対 す る仮 説 の 有 無 と関 係 な く、 待 遇表 現 の 問 題 と思 わ れ る。 例 え ば 待 遇 的 配 慮 の 要 らな い第 三 者 に っ い て 「那個 人姓 不 姓李?」 と尋 ね る こ と は可 能 で あ る。 8.劉1986は 、趙 元 任1986、Li&Thompson1979、 湯1984な ど大 陸 以 外 の 研 究 を 見 て い な い よ うで あ る。 9.劉 は、 発 話 の 意 図 も 「意 向 」 で あ る と も述 べ て い る。 こ れ は、 疑 問 形 式 を も っ て他 の形 式 的 意 味 、 例 え ば 、 命 令 、 要 求 、 依 頼 な ど を表 す 、 い わ ゆ る 「発 語 媒 介行 為」 を 指 して い る と考 え られ る。 10.趙 元 任:「 質 問 者 の 心 の 中 にあ る答 え 」 、 劉 月 華:「 答 え に対 す る傾 向 性 」 、 Li&Thompson:「 命 題(内 容)の 真 偽 値 に対 す る仮 設 」 、 湯廷 池:「 認 定 」 とそ れ ぞ れ 違 う用 語 が 用 い られ 、 意 味 す る と ころ も微 妙 に異 な って い る。 11.こ こで の 結 論 は 、 他 の 疑 問 形 式 に適 用 され る こ と も可能 だ が、 当面 、 命 題 の 成 否 を 問 題 に す る是 非 疑 問 文 と正 反 疑 問 文 に限 定 す る。 12.見 込 み の 顕 在 化 に は、 陳 述 系 の 副 詞 や助 動 詞 類 も関 与 して い る と思 われ るが 、 具 体 的 な こ とに っ いて は今 後 の 研 究 課 題 と した い。 13.特 に 、話 し手 の 思 い惑 い、 疑 念 、 焦 りを表 す文 末 助 詞 「咤 」 と共 起 す る場 合 で あ る。(木 村 。森 山1991参 照)。 14,(23)∼(25)の 独 言 的 な表 現 も正 反 疑 問文 の 特 質 の一 側 面 で はあ るが 、 話 し 手 が 自分 自身 を 疑 似 的 に聞 き手 と見 な す と考 え られ るの で 、疑 問 文 の'`力"を (65)

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文 林 二 十 六 号 強 め る と い う一 般 化 に抵触 しな い と思 わ れ る。 参 考 文 献: 呂叔 湘1941中 国 文 法 要 略 上 海 商務 印 書館 …1977通 過 対 比 研 究語 法 語 言 教 学与 研 究 第二 集 …1985疑 問 ・否 定 ・肯 定 中 国語 文1985 .4期

Chao,Y.R.(趙 元 任)1968AGrammarofSponkenChinese ,UCLAPress 『中 国 話 的 文 法』 丁邦 新訳 Li,CharlesN.&SandraA.Thompson1979ThePragmaticsofTwo TypesQfYes-NoQuestioninMandarillandItsuniversal Implications,15thRegionalMeetingoftheChicagoLinguistic MeetingoftheChicagoLinguisticSoclety 湯 廷 池1981国 語 疑 問句 的研 究 「漢語 詞 法 句 法 論 集」 収'88台 湾 学 生 書 局 ・1984国 語 疑 問句 研究 続 論 同上 朱 徳 煕1982語 法 講 義 商務 印 書 館 王 力1982関 於 漢 語語 法体 系 問 題 教 学語 法 論 集 林 裕文1985談 疑 問 句 中 国語 文1985.2期 劉 月華1986用"囑"的 是 非 問句 和 正 反 問句 用 法 比 較 『句 型 和 動 詞 』語 文 出版 社 S.C.Levinson1983英 語 語 用論 研 究 出版 社 安 井 稔 ・奥 田夏 子 訳1990 水 谷修1988日 本 語 談 話 進 行 機 能 の 一特 色 「共 話 的 わ た し」 機 能 の 積 極 的 評 価 日本 語 国 際 シ ンポ ジ ウム 『日本 語 教 育 の 現 代 的課 題 』 於 津 田 塾 田 野村 忠 温1991疑 問文 に お け る肯 定 と否定 国 語 学164 仁 田義 雄1991日 本 語 の モ ダ リテ ィ と人 称 ひ っ じ書 房 木村 英 樹 ・森 山卓 朗1991聞 き手 情 報 配 慮 と文 末 形 式 一 日中両 語 を 対 照 して 一 『日本語 と中 国語 の 対 照 研 究14』 引 用一 覧: 包 川=『 母 愛 』 李 鈴 修=『 籠 鷹 志 』 李 唯=『 遠 方 来 的 青 海 客 』 王 安 憶=『 雨、 沙 沙 沙 』 苗 長 水=『 非 凡 的 大 嬢 』 郡 友 梅=『 追 趨 隊 伍 的女 兵 』 星 星=「 明 月 照 星 星 」(『 劇 本 』1991、6)劉 紹 業=『 青 藤巷 挿 曲』 海 花=「 海 蓬 花 」(『 劇 本 』1991、4) 付 記: 本 稿 作 成 に当 た って 、 木 村 英 樹 氏 か ら有益 な ご教 示 を 数 多 く賜 った。 記 して お礼 を 申 し上 げ た い。

参照

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