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太陽電池による微生物制御

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Academic year: 2021

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(1)太 陽 電 池 に よ る 微 生 物 制 御 浅 田 祥司・ 来原 みの り・ 吉本. 隆光. *. は じめ に 現在 の私 たちの豊 かで,快 適 な生 活 は石油 ,石 炭 ,天 然 ガスとい った化石 燃料 によ って支 え られて い る。 しか も,人 口増加 ,経 済発展 によ る生活 の高 度化 は エ ネル ギーの大量消費 を促進 し,化 石燃料 へ の依存 は一層強 まるばか りで あ る。 こ う した傾 向 は,限 りあ る化石燃料 の枯渇 とい う深刻 な不安 を将来 に もた らす だ けで な く,現 在既 に私 た ちの 日常生 活 に も大 きな影響 が 出始 めて い る。 エ ネ ル ギ ー獲得 のために石油 や石炭 を燃 やせ ば燃 やす ほど,発 生 す る三 酸化炭素 (C02)な どによる地 球温 暖化 が進 む よ うにな る。 さ らに,亜 硫酸 ガ スな どの硫 黄酸化物. (SOx)や 窒素酸化物 (NOx)な どによ る酸性雨 は森林. を枯死 させ,湖 沼 の魚 を死滅 させ,生 態系 の破壊 を一層強 めてい くばか りで あ る。 さまざまな問題 を抱 えた化石燃料 と異 な り,エ ネル ギ ー源 と して の太陽電 池 は実 に優 れた長所 を も って い る。. 1)太. 陽電池 自体 の エ ネル ギ ーの源 は太 陽光 で あ り, そ の寿命 は半永久. 的,そ のエ ネ ル ギ ー量 はまさに無 尽蔵 で あ る. 2)太 陽電池 は光 を直接電気 に変換す るため,化 石燃料 の よ うに環境汚染 物質 を排 出せ ず,極 めて ク リー ンな エ ネ ル ギ ー源 で あ る 3)太 陽電池 の変換効率 は発電 規模 に関係 な くほぼ一 定 であ る。そ のため 通常 の火力,水 力 ,原 子力 による発電 のよ うに大規模集 中方式 は不要 で あ り ,. *大 阪市立此花工業高校.

(2) 108. 太陽電池 による微生物制御. 立地 問題 ,建 設 時期 な どに左 右 されな い. 4)太 陽電池 は,エ ネル ギ ー消費 の場所 で発電 す るため,送 電 コス トがか か らず,送 電 ロ ス も生 じな い. 5)太 陽電池 は,化 石燃料 のよ うに戦争 や為替 な どの要 因 でその コス トが 必要以上 に乱高下 しな い こ う した長所 が広範 囲 に認 め られて い る一 方 ,そ の短所 と して は入 射 エ ネ ル ギ ー不足 で大電 力 には大面積 が必要 ,太 陽電池 の 出力 は気象条件 によ って 変動 ,太 陽電 池 は化学 電 池 と異 な り蓄電 機 能 が な い,太 陽電 池 の高 コ ス ト (現 時点 で は,化 石燃料 によ る発電 に比 べ,. 1ヮ ッ ト当 り約 10倍 の電力料金. 1'2)。. とな る)と い った点 が指摘 されて い る. 言 うまで もな く,太 陽電池普及 の最大 の課題 はそ の コ ス ト低減 であ り,そ の鍵 は太 陽電池 の変換効率 を如 何 に して理 論効率 にまで近 づ けるか,太 陽電 池 の用途 を開発 し需要 を如何 に して増 やすか にかか って いる。 本研究 は,太 陽電池 の もつ 優 れた特性 を生 か しつつ,太 陽電池 の電気分解 へ の利用 とい う新 しい分野 の可能性 を探 ろ うと した もので あ る。電気分解 自 体 の用途 は広 く,従 来 か らさまざまな提案 が報告 されて きたが,何 よ りもそ の高 い ラ ンニ ング コ ス トが大 きなネ ックとな って いた。 もし,電 源 と して太 陽電池 を利用 で きるな らこの ネ ックは当然解消 され,電 気分解 は太 陽電池 に と って極 めて魅力的 な分野 にな るので はないだ ろ うか。 具体 的 には電気分解 を利用 した微生物制御 につ いて検討 す ることに した。 これを取 り上 げた理 由 と して は. ,. i.海 や河川 の汚染 が深刻 にな るにつ れ,新 しい水質浄化手段 の必要性 が 増大 して いること 五。 浄化 の対象 とな る海水 や汚水 には,電 気分解 に不可欠 な塩 分 が必要量 含 まれて い ること 面.電 気分解 で発生 す る塩 素 の殺菌効果 には持続性 があ り,太 陽電池 を組 み込 んだ全 体 の シス テ ムの 中 に蓄電機能 を必 要 と しな い こと 市.塩 素 によ る微生物制御 には既 に相 当長 い歴史 があ り,基 礎 および応 用.

(3) 浅田 祥司・ 乗原みの り・ 吉本 隆光. 109. の両面 にわた る多 くの成果 ,実 績 を生 かす ことがで きる こと とい った点 が挙 げ られ る。 一 方 ,微 生物制御 に電気 エ ネ ル ギ ー を直接 あ るいは間接 に利用 した従来 の 研究報告 で は,電 源 ,電 解装 置,安 全性 ,殺 菌対象 な どの理 由 か ら,多 量 の 塩素発生 を伴 わな い小 さな電流量 で,供 試菌 には感受性 の高 い大腸菌 を用 い 3∼ 6)。. た例 が ほ とん どで あ る. これ に対 し,今 回 は無限で ク リー ンな太 陽 エ ネル ギ ーを電気変換す る太 陽 電池 の特性 につ いて予 め検討 した結果 ,太 陽電池 は通常 のバ ッテ リーな どに 比 べ,さ まざまな条件下 (電 流値 ,発 生塩素量 ,供 試菌 な どを含 め)で も安 全 にか つ容易 に安定 した電 気分解 がで きる事実 を見 出 し, これを利用 した微 生物制御 の可能性 につ いて報告 す る。. 実 験 方 法. (i)電 気分解 電気分解 の実験 は主 と して電 極 には炭素棒 ,電 解液 には食塩水 (1∼ 4%),. 2A)を 使用 し,電 気 分解 時 の電流 お よび電 圧 測定 用 に は電流 計 を直列 に,電 圧 計 を並 列 に接 続 し,電 流制御用 には可変抵抗 を並列 に接続 して行 な った (図 1)。. 電気分解 の電源 には単結 晶形 の大型太陽電池 (27V×. (ii)殺 菌効果 実験 の便宜上 ,図 1に 示 した電 解槽 は上部 が 開放 されて い るた め,実 験 中 だ けで な く実験前 に も雑菌汚染 の可能性 が考 え られ る。 しか し,太 陽電池 に よる電気分解 で発生 す る塩 素 は雑菌汚染 を防 ぐのに充分 な濃度 で あ り,塩 素 抵抗性 の極 めて 強 い細菌胞子 を用 いれば この 問題 は解消 で きる ことにな る。 JJπ s 本実験 で は,電 気分解 によ る殺菌効果 をみ るため の供試菌 と して,β αεグ. szbガ Jグ s168の 胞子懸濁液 を用 いた。. その胞子懸濁液 は,液 体 ブイ ヨン培地 (Difco)中 で 7日 間振盪培養後 ,加.

(4) 太陽電池 による微生物制御. ①電解槽 ③可変抵抗 ⑤電圧計 ⑦ スターラー 図. ②太陽電池 ④電流計 ⑥炭素電極. 1.回. 路. 図. 熱処理 (90℃ ,10分 間 )に よ り栄養細胞 を死 滅 させ,無 菌水 で 3回 洗浄す る ことによ り調製 した。 一 方 ,電 気分解 による殺菌効果 の判定 のため に,胞 子懸濁液 を電 解槽 中 で 所定濃度 に した後 ,通 電 を開始 し,経 時的 に pH,温 度 を測定 す ると同時 に試 料 を採取 し,残 存生菌数 を常法 によ り標準寒天 平板上 で コロニ ーカ ウ ン トし た。. (市. )残 留塩素. 電気分解 によ り生 じた電 解 液 中 の残留塩素 濃度 は,オ ル ト・ トリジ ン法 7) によ る残留塩素 測定器 (柴 田科学器械 )を 用 い,経 時的 に測定 した。 結 合残 留塩 素 濃度 を求 め る場 合 ,遊 離 残留 塩 素 濃度 を 測定 した状 態 の ま ま, さ らに 5分 間静 置 し,再 び色比 較 を行 な う。 この時読 み取 った値 か ら ,.

(5) 浅田 祥司・ 来原 みの り・ 吉本. 111. 隆光. 前 に測 定 した遊 離 残 留 塩 素 の値 を 引 い た値 を結 合残 留 塩 素 濃 度 と した。. 結 果 お よ び考 察. (i)太 陽電池 の電気特性 まず,太 陽電池 の電流 と電圧 の関係 を調 べ るため,負 荷 (可 変抵抗)を 接 続 し,抵 抗値を徐 々に変 えなが ら電流 と電圧を測定 した。図 2の 結果 (実 線) は,太 陽電池 に特有 の出力特性,即 ちある電圧 まではほぼ一定 の電流 が流 れ る傾向を示 して いる。 次 に,太 陽電池以外 の代表的 な電池 として乾電池,鉛 蓄電池 を取 り上 げ. ,. C. 電気抵抗小. 鉛蓄電池 │. 太陽電池. 電気抵抗大. 10 図. 2。. 20. 圧 電 太 陽 電 地 の 出 力 特 性.

(6) 112. 太陽電池による微生物制御. 同様 に外部可変抵抗 を変 えなが ら電圧 お よび電流 の変化 を測定 した (図 2)。 乾電池 の場合 ,電 流 が流 れ るとと もに電圧 が 直線 的 に降下 して い く。これ は. ,. 乾電池 内 に一 定 の 内部抵抗 が存在 し,電 流 が流 れ るとと もに電圧 降下 も大 き くな るためであ る。 ところが,鉛 蓄電池 の場合 ,ほ とん ど電圧 降下 はな く ,. 急激 な電流変化 を生 じ,短 絡 時 の電流 は測定不可能 であ る。 したが って,鉛 蓄電池 で は内部抵抗 が存在 しな い と考 えて よい。 以上 の ことか ら,太 陽電池 で は仮 に電極 が汚 れ た り,あ るい は損傷 を受 け て抵抗 が増加 す るよ うな事態 にな った と して も,一 定 の電流 が流 れ る,た だ し電圧 は変化 す ることがわか る。 したが って,常 に安定 した状態 で一 定電流. じ 3 ︵. が要求 され る電 気分解 の場合 ,太 陽電池 は他 の乾電池 や鉛蓄電池 に比 べ極 め. 有妥. 並. 列. 2. 」 土―. 1. Q5 電 図. 3。. 圧. 直 列 接 続 お よ び 並 列 接 続.

(7) 浅田 祥司・ 来原 みの り 0吉 本. 隆光. 電圧計. 輪遅当 O卿肥 電極 間距離. 図 4。 電. 解. 槽. て優 れた電源 と言 え よ う。 さ らに,複 数 の太 陽電池 を直列 あ るいは並列 に接続 した場合 につ いて も同 様 の検討 を加 えた。図 3に 示 した結果 か ら,高 い電圧 が必要 な ら直列接続 で 大量 の電流 が必 要 な ら並列接続 で対処 す ることがで きる。 なお,並 列接続 の ,. 場合 ,太 陽電池 の表面 が完全 に同一 面 とな らなければ,各 電池 の照光割合 が 異 な って しま い,起 電 力 に違 いが生 じる。そ の結果 ,電 池 間 に電圧差 がで き. ,. 電池 間 に電流 が流 れ るよ うに な り,必 要 とす る電流量 が得 られな い ことにな.

(8) 114. 太陽電池による微生物制御. る。 いずれ によせ,太 陽電池 は接続方法 を変 え ることで, 自由 自在 に必要 な容 量 の電圧 ,電 流 を取 り出せ ることが 明 らか とな った。. (li)太 陽電池 による電気分解 へ の影響因子 太 陽電池 によ る電 気分解 に対 し, さまざまな因子 が 直接 ,間 接 を問 わず 影 じ. じ. 20. 2. 電. 流. ――○一一一一―くトーーーー<D. 10. 押 1. 肥. 撲ヽ. 15 日. O―. 電 圧. /. /. /. /尾. /. /. y. 、. ′ ′′ ′′ .・. z全 ゞ. ″ ノ. 5. 0. 。. L 電 図. 5。. 極. 間. 距. 離. 電 極 間 距 離 の 影 響.

(9) 浅田. 祥 司・ 来原 みの り・ 吉本. 隆光. 響 して くる ことは当然予想 され る。 ここで は図 1に 示 した電 解槽 内 に限 って 検討 す ることに した。 図 4に は, この実験 目的 に沿 って電解槽 内を さ らに詳 しく示 して い る。 まず ,炭 素電極 間 の距離 を変 えた場合 ,電 圧 お よび電 流 に どのよ うな影響 がみ られ るか につ いて検討 した。 その結果 が 図 5で あ る。実験 した電極 間距 離 (0∼. 320 mm)の 範囲 内 で は,電 流値 は電 極 間距離 に関係 な く一 定 であ. ︶ ︵ コ. る。 しか し,電 圧 の方 は電 極 間距離 が長 くな るにつ れ,ほ ぼ直線 的 に比 例 し C. 20. 0 電. 25 極. 50 の. 接. 75 液. 100(%). 部. 図 6.電 極 の 接 液 面 積 の 影 響.

(10) 太陽電池 による微生物制御. C︶ ︵. コ ︶ ︵. 15. 電. 流. 電. 圧. 1.5. 1.0. 10. 却一. 5. o。. 0. 5. 0. 5. 10(%). ス キ ム ミル ク 濃 度 図. 7.ス. キ ム ミ ル ク 濃 度 の 影 響. て上 昇 して い く。 これ に対 し,同 様 の実験 を鉛蓄電池 につ いて行 な った とこ ろ,太 陽電池 とは逆 に電圧 が一 定 で,電 極 間距離 とと もに電流値 が下 ってい く結果 とな った。 さ らに,オ ームの法則 か ら抵抗値 を求 め ると,両 電池 とも 電 極 間距 離 が 長 くな るにつ れ 抵抗 値 も比例 して上 って い く傾 向 が認 め られ た。 次 に,炭 素電極棒 が電解溶液 (4%食 塩水 を使用 )に 接 す る面積 の大小 が. ,. 電 圧 お よび電 流 に どの よ うな影響 を もた らす か に つ いて 検 討 した。 この場 合 ,電 極 間距離 は一定 に保 ち,図 4に 示 した電 極 の接液部 の長 さを変 え るこ とで,接 液面積 の大小 に対応 で きるよ うに した。 図 6が その結果 であ る。太.

(11) 浅田 祥司・ 来原みの り・ 吉本 隆光. 117. 陽電池 の場合 ,接 液面積 に関係 な く電流値 は一定 で あ るのに対 し,電 圧 の方 は接液面積 が小 さ くな り外部抵抗 と して抵抗値 が増 え るのに比例 して増加 し て い く傾 向 を示 して い る。 これ に対 し,鉛 蓄電池 の場合 ,電 圧 の方 が一 定 で 電流値 は接液面積 に比 例 して上 昇 した。 ただ し,接 液面積 が大 きいほど抵抗 は小 さ い点 で は太陽電池 と同 じで あ った。 電気分解 の対象 とな る溶液 は単 に ミネ ラル や イオ ンだ けでな く,さ まざま な有機物 を程度 の差 はあれ含 んで い るのが常 であ る。 そ こで スキ ム ミル クを 例 に,有 機物 の影響 につ いて も検討 を行 な った。 図 7に その結果 を示 した。 蛋 白質換算 で牛乳 とほぼ 同 レベ ルの. 10%程 度 まで は,電 圧 お よび電 流 はほ. ぼ一 定 で あ り電気分解 へ の影響 は見 出せ なか った。 また,ス キ ム ミル ク濃度 を さ らに上 げた り,通 電時間 を長 くして影響 の有無 を確認 しよ うと したが. ,. この条件 で は蛋 白変性 が著 しく確認 で きなか った。 スキ ム ミル ク以 外 の有機 物 と して,澱 粉 な どの影響 につ いて は現 在検討 中 で あ る。 電解液 と して水道水 を使 った場合 ,電 流 は測定不能 ,即 ち全 く流 れず,塩 分 の存在 は不可欠 で あ る。 そ こで次 に塩 分濃度 を変 えて電 気分解 で流 れ る電 流 を測定 し,濃 度 の影響 につ いて検討 した。 図 8が その結果 で あ る。塩分濃 度 が2%以 上 であれば,流 れ る電流 は一 定 で変 わ らな い ことを示 して い る。そ の結果 ,何 らか の要 因 で濃度変化 が 多少生 じて も電気分解 には大 きな影響 を お よぼ さな い と考 え られ る。以下 の実験 で は特 に断 わ らな い限 り,海 水 (2 ∼4%)を 想定 して4%濃 度 に電解液 を調製 して使用 す ることに した。 以上 の結果 か ら,太 陽電池 は鉛蓄電池 な どに比 べ. (1)特 有 の 出力特性 のため,電 気分解 時 の電流 は安定 した状態 で一 定 に流 れ,電 源 と して優 れて い る. (2)陽 極 と陰極 の距離,電 極 と電 解液 の接 す る面積 ,あ るい は電 解液 中 の 有機物濃度 が変化 して抵抗 が増 えた と して も,電 流 は一定 に保 たれ るとい う 大 きな利点 が あ り,電 解液 も海水程度 な ら塩濃度 の変動 も問題 にな らな い このよ うな事実 は,太 陽電池 が さまざまな状況 ,条 件下 で も安定 した電源 と して電 気分解 に使 え るとい うだ けでな く,従 来 ラ ンニ ング コス ト (電 気代 ).

(12) ︵じ 3. 太陽電池による微生物制御. O. 2 封ギ. J ■―. 0V. 10 食. 塩. 20(%) 濃. 度. 図 8.食 塩 濃 度 の 影 響 が ネ ックとな って いた電気分解 を広範囲 の分野 に適用 で きる可 能性 を示 して い る。 さ らに,副 生物 の水素 の燃料電池 へ の利用 ,蓄 電機能 を組 み込 んだ シ ステ ム化 とい った ことまで考慮 すれば一層 その可能性 が 強 まるので はないだ ろ うか。 その一 つ と して,太 陽電池 によ る電 気分解 を微生物制御 に使 え るので はな いか と考 え,以 下検討 を行 な った。. (市. )殺 菌効果. 4%食 塩水 の入 った電解槽 中 で細 菌胞子 が約 104/mlに な るよ うに調整後. ,. 通電 を開始 し,経 時的 にサ ンプ リングを行 な って生存率 と残留塩素濃度 を求 めた。.

(13) 浅田 祥司・ 来原みの り・ 吉本. 隆光. χ. 100. 冊. 400 緯. OJ占. 10 20 30 40 50 60(min) 理. 処. 時. 間. 図 9. 通 電 処 理 時 間 と 生 存 率 の 関 係 本実験 で使用 した太 陽電池 で は天 気 の悪 い 日で も 200 mA流 れ,胞 子死滅 に通 常必要 とされ る数十. ppm以 上 の塩素濃度 も容易 に確保 で きた。反対 に. ,. 天気 の良 い 日に は 2A流 れ る ので,可 変 抵 抗 によ り必 要電 流値 まで調 整 し た。電解槽 中 の温度 は約 20℃ で,実 験 中 ほ とん ど一 定 で あ った。 pHは 通電 によ り上昇傾 向 を示 し,そ の程度 は電 流値 と通電 時間 に依存 した。通電 1時. mAの 時 pHは 5か ら 6.2ま で,100 mAの 時 pHは ら 6.9ま で,200 mAの 時 pHは 4.5か ら 7.6ま で,400 mAの 時 pHは. 間 で言 えば,50. 4。. 4.5か 4.5か.

(14) 120. 太陽電池 による微生物制御. ら 8.0ま で上 昇 した。 また,残 留塩素測定 は次亜塩素酸 な どの遊離残留塩素 だ けで な く, ク ロ ラ ミンの よ うな結合残留塩素 につ いて も行 な ったが本実験 で は全 く検 出 され なか った。 図 9は ,50. mAか. ら 400 mAの 電流量 で,通 電処理時間 とと もに胞子 の生. 存率 が各 々 どの よ うに変化 したか,そ の結果 を表 わ して い る。また,図 10は その時 の残留塩素濃度 の変化 を示 して い る。. ︵ EQ3 0 0. 0. 通電. 400m△ _″. △/. ´. げ. O〆. 100´ □才. /. ´ □. 0. 10. 20 通. 図. 10.. □一 ―. 50. 0. 単  ざ ゴ  一 黎 暉. β/. 50. 30 電. 時. 60(min). 間. 通 電 時 間 と 残 留 塩 素 濃 度 の 関 係.

(15) 浅田 祥司・ 乗原 みの り・ 吉本. 隆光. N 100 通電 30分 後停止. 200 mA 10 絆. 性. 畑. ヽ. 0.1占. 10. 20 処. 図. H.通. 理. 30 40 時. 50 60(min). 間 (通 電 停 止 後 ). 電 停 止 後 の 処 理 時 間 と生 存 率 の 関 係. 50 mAの 場 合 , この通電 時間 で は残留塩素 濃度 が 10∼ 20 ppmま で とい う低 さのためか,胞 子 の死滅 はゆ るやか に少 し進行 す るだ けで あ る。100 mA 以上 にな ると,数 十. ppmか ら数百 ppmの 残留塩素濃度 とな り,電 流値 に依. 存 じつつ ほぼ対数 的 に生 存率 が低下 して い くよ うに な る。図 10か ら,残 留塩 素 は電流 値 と通電 時間,即 ち電 気量 に依存 してそ の濃度 が上 昇 して い き,高 濃度 に達 すれば液外 へ発生塩素 が 出 て い く傾 向 が認 め られ る。 図 9お よび図 10か らは,胞 子 の死滅 に は電気分解 によ って発生 した遊離 残留塩素 (HOCl,OCl な ど)が 大 きな役害1を はた して い ることが予想 され.

(16) 122. 太陽電池 による微生物制御. る。 そ こで, この予想 を確 かめ るた めに以下 の実験 を行 な った。. 200 mAで 30分 間通電 した後 , 電 源 を切 り, 電解槽 中 に胞子 懸 濁 液 を 約. 104/mlに な るよ うに投入 した。室温. (約 20℃ )に この電解槽 を放 置 し,経. 時的 に生 存率 を調 べ,同 時 に残留塩素 も測定 した。 この結果 が 図. Hで あ る。. 通電 終 了 直後 ,約 100 ppmだ った残留塩 素 濃度 は放 置時 間 とと もに徐 々 に下 って い く。 そ して,通 電停止後 の生存率低下 は通電 中 の場合 に比 べ やや ゆ るやか にな るが,ほ ぼ 同様 に進 行 し,著 しい違 い は見 出 せ なか った。 この 結果 は,通 電 に伴 う直接 的要 因 によ って胞子 は死 滅す るので はな く,通 電 に よ って発生 す る極 めて寿命 の長 い生成物 ,即 ち ラ ジカルで な く HOCl,OCl な どによ って胞子 は死 滅す ることを強 く示唆 して い る。 電気分解 よる殺菌機構 と して は,直 接作用 と間接作用 によ る ものに大別 で きる。 直接作用 と して は電 極表面 で細胞 が酸化 または還元 され る場合 が考 え られ るが,本 実験 で は細胞 が電 極 に接触 す る頻度 は少 な く, この作用 の殺菌 へ の寄与 はあ った と して も極 めて少 ない と思 われ る。 これ に対 し,間 接作用 は電 解液 中 のイオ ン,溶 媒 ,溶 存気体 な どの酸化還元反応 を経 て生 まれ る も ので,フ リー ラジカル,次 亜塩素酸. (HOCl),次 亜塩素酸 イオ ン (OCl)な. どが主 役 とな る。. Aε んθttε んづ αε ο を供試菌 に, Jグ. 2mAま での極 めて低 い電流 を生理食塩 水. 3∼ 6)が ぁ 中 に通 して電 気分解 を行 ない,そ の殺菌効果 につ いて検討 した報告. る。 これ によると,殺 菌効果 は電流値 とは無関係 に,通 電 した総電気量 (電 流値 ×通電時間)に よ って一 義 的 に決 まること,殺 菌効果 は通電 中 に限 られ. ,. 通電停止後 はみ られな い こと,溶 存酸素濃度 や食塩濃度 が上 るにつ れ殺菌効 果 が 高 まることな どが観察 されて い る。 これ らの結果 は本実験 の場合 とは相 当異 な ってい る。 図 12に は,本 実験 で得 た生 存率低下 と電気量 の関係 を示 した。この結果 か ら,胞 子 の死滅 は電 気量 に依存 しな い ことは明 らかで あ る。 しか も, この場 合 400 mAよ り も 50あ るい は 100 mAと い った低電流 の方 が電 気 的 に は殺 菌効果 が高 い ことを示 して い る。 この理 由 と して. ,.

(17) 浅田 祥司・ 来原 みの り・ 吉本. 隆光. N 100. 0.1. 6x107(c). 0 電 図. 12。. 気. 量. 電 気 量 と生 存 率 の 関 係. 1)高 電流 で は高濃度 の塩素 が溶解度 以上 に発生 して液外 へ 出 て い くた め,電 気 的 な殺菌効率 が低 くな る. 2)高 電流 の方 が pH上 昇 が大 き く,殺 菌効果 が最 も高 い とされ る未解離 の HOClが 減 り,代 りに比 較 的殺菌効果 の低 い OCl が 増 え るた め 3)胞 子 が HOClに 接触 してす ぐ死滅 に至 るので はな く, 多 くの段階 を 経 て死滅 に至 るた め とい った ことが考 え られ る。.

(18) 124. 太陽電池による微生物制御. 電気分解 によ る殺菌効果 につ いて検討 した両者 の実験結果 は, ともに間接 作 用 に基 くと考 え られ るの に,何 故 この よ うな違 いが 生 まれ たので あ ろ う か。. E εOJグ の場合6),塩 素 イオ ンの陽極酸化. (Cl → ・ Cltt e)に よ って で きる. 塩素 ラ ジカル (O Cl),お よび これか ら誘導 され る短 寿命 の各種活性種 が細胞 の致死損傷 の主役 であ る。 その機構 と して は,細 胞膜破壊 ,溶 菌 ,DNA損 傷 ,致 死 とい った一連 の プ ロセ スが考 え られ る。 これ に対 し,本 実験 の胞子 の場合 ,電 気分解 によ る安定 な最終生成物 と も言 え る次亜塩素酸 (HOCl), 次亜塩素酸 イオ ン. (OCl)が 致死損傷 の主 役 で あ り,主 に酵素蛋 白や核蛋 白. の SH基 の破壊 によ る もの と推定 され る8)。 この よ うに,致 死損傷 の主 役 とその機構 が E ε οJづ の実験 と本実験 とで は 異 な ると考 えた方 が全 体 的 に うま く結果 を説 明 で きよ う。 οJグ の実験 の よ うな低電 流 の電 気分解 は ミネ ラル ウォー 将来 的 に は,E ε ター な どの飲料水 の分野 で有望 と思 われ る。 これ に対 し,本 実験 のよ うな高 電流 の電気分解 は海 に近 い下水処 理 場 ,魚 や員 の養殖場 ,海 水 の膜 によ る淡 水化 プ ロセ スの前 工 程 ,温 水器 の藻処理 な どの分野 で大 いに期待 され るので はな いだ ろ うか。何故 な ら ,. 1)下 水 や海水 には胞子 のよ うに抵抗性 の強 い微生物 が存在 す る 2)下 水 や海水 には有機物 が多 く含 まれ る結果 ,塩 素消費量 ,塩 素要求量 が大 き くな り,低 コス トの大量 の塩素 が要求 され る. 3)下 水 や海水 は天 候 によ って水量変化 ,有 機物濃度 の変動 ,細 菌数 の変 動 が大 き く,常 に電流量 ,発 生塩素量 を変 えて いか ねばな らな いが,本 実験 での場合 , この フ ィー ドバ ック制御 が容易 で,抵 抗 を少 し変 え るだ けで よい 4)塩 素 には殺菌効果 の持続性 があ り,バ ッチ運 転 で よい。 したが って 天候 の悪 い時,夜 間 な ど状況 に応 じて蓄電機能 ,補 助塩素 タ ンクな どを シス ,. テ ム化 して対処 して い ける. 5)感 電 の危険性 が な く,極 めて安全 であ るだ けでな く,電 気代 な どの ラ ンニ ング コス トが不要.

(19) 浅田 祥司・ 乗原 みの り・ 吉本. 125. 隆光. とい った こ とが そ の理 由 と して指 摘 で き るか らで あ る。 今 後 ,太 陽電 池 の新 しい用 途 が 開発 され ,新 規 の 需 要 が増 え るよ うに な る の と と もに,変 換 効 率 の さ らに優 れ た太 陽電 池 が登 場 す るよ うに なれ ば ,そ れ は地 球 環 境 の 問題 解 決 に大 き く貢 献 す る こ と と期 待 され る。. 謝. 辞 本 研 究 に は,大 阪市 立 此 花 工 業 高 校 の 上 市 達 生 ,上 野 准 治 ,井 上利 彦 ,雲. 北 順 一 の諸 氏 に多 大 の 御協 力 を お願 い しま した。 こ こに深 く彼 らの努 力 と情 熱 に感 謝 の意 を記 します。 参考文献. 1)桑 野幸徳 :太 陽電池 を使 いこなす,講 談社 :37,(1992)。 2)桑 野,武 岡 (編 著):太 陽電池活用 ガイ ドブック,パ ワー社 :4,(1992)。 3)西 本,八 田,西 田,博,米 井,鍵 谷 :日 本化学会誌 ,823(1988). 4)K.Shimada and K.Shimahara:Agric.Biolo Chem。 ,45,1589(1981)。 ,19,421(1970). 5)A.Pareilleux and N.Sicard:Appl.Microbiol。. 6)高 野,横 山. (監 修):新 殺菌工学実用ハ ンドブ ック,サ イエンスフォー ラム社. :. 449,(1991).. 7)厚 生省生活衛生局水道環境部. (監 修):上 水試験方法,日. (1985)。. 8)芝 崎. 勲 :新 食品殺菌工学,光 琳 :240,(1983)。. 本水道協会 :309,.

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参照

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