兵庫県の方言語彙 : 言語地図とその解釈
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(2) )219 (3θ. 田 良 二 鎌. 兵庫 県 は近畿 方言圏 にあ るが 、 県北部 と県南 部 と には大 きな差 があ り、北部 の但馬 は中 国方言圏 にあ る。 但馬 と播磨 と の違 いの主な事 象 は次 のよう であ る。 但馬 播磨 ︵ 摂津 ・丹波 ・淡路 ︶ 乙種 アクセ ント 甲種 アクセ ント アイ連母音 同化 アイ連母音 不同 化 単音節 長音 化 な し 単音節 長音化有 り ダ ・ザ ・ラ行 訛音 化無 し ダ ・ザ ・ラ行訛 音化有 り ︵ 洗 ︶ アラ ッテ ︵ 洗 ︶ ア ロー テ 駅 カ ラ待 ツ ︵ 駅 で︶有 り 駅カ ラ待 ツ 無 し 指定 助動 詞 ダ ・ダ ロ 指定助動詞 ヤ ・ヤ ロ ︵一部 、 ジ ャ 。ジ ャ ロ︶ ︵一部、ジ ャ ・ジ ャ ロ︶ 会 ︶ アー テ ︵ ︵ 買 ︶カ ー テ ︵ 会 ︶オーテ ︵ 買 ︶ コーテ ︵ 起 ︶オキ ョー、 オキ ュー ︵ 意 志 ︶ ︵ 起 ︶オキ ヨー ︵ 意志 ︶. このよう な大 きな違 いを持 つ県 北 部 と南 部 と の間 における語彙 面 で の相違 はど のよう にな って いるだ ろう か。 但馬 と鳥 取県東 部 と の関係 、 ま た、京 都府 と の関係 。. 県南 部 の播 磨 ・丹波 ・摂津 と の関係 や、神 戸 ・声 屋 ・西宮 ・尼崎 な ど の市部 と、 そ の他 の郡部 と の関係 など、 いろ. いろ の面 で語 のう つり かわり に つ いて言 語地 理学 的研究を試 みた いと思 った のであ る。. 語 の移 り変 わ りを み るため には 、全国 的視 野 に立 って見 る べきも のと思 った ので、調査語彙は ﹃ 全 日本言 語地図﹄ ︵.
(3) 兵庫 県 の方言語彙 21θ (31). 、﹃ 中国五県言語地図﹄ ︵ 広戸惇著︶からと ったも のに約五十 の語を つけ加えた。 六巻、国立国語研究所編︶ 日本言 語地図﹄ の番 号 によ る。 調査地点 は次 の通 り であ る。地点番 号 は ﹃. 88 “Φ 宮津市宮津. 8 8 bω ク 加悦 町. 88 あト ク 野田川町. 88 ﹄o 与謝郡岩滝 町岩滝 口. 88 ﹄卜 中 郡大宮 町. R器 LO 天田郡下夜久 野額 田局. R8 ﹄∞ ク 野中支所. R8 おo 熊 野郡久 美浜町. 88 おω 中 郡峰 山町. 38 “ド 竹 野郡網 野字俵 野. R 〓 ﹄H ・ 美 方 町 石寺. 貧 8 6N ク 村 岡 町 長瀬. R ミ ヽo ク 温泉 町湯. R ミ ﹄﹃ 美 方 郡浜坂 町 居組. 2 8 Lい ク 香住 町香 住. 2 8 じo ク 竹 野町. R 3 ﹄o 城 崎 郡 日高 町. R3・ ∞Φ ク ク 久 畑. 23o N∞ ク 但東 町. R 〓 二い 出 石 郡出 石町内 町. 2 8 ヽN 豊 岡市豊 岡. 8 8 二N ″ ク 石 生. 8 8 “ド ク ク 天 岡. 8 8 ふo 氷 上 部氷 上 町御 油. R 〓 bド ク 生 野町. 露 器 ふF ク 朝 来 町. R S Lい ク 山東 町 梁 瀬. R お おN 朝来 郡和 田山 町 和 田 山. R お ヽo ク 養 父町. R 〓 二o ク ク 八鹿. R 〓 ふΦ ク 八鹿 町 高 柳. R 〓 b﹃ ク ク 樽 見. R 〓 二o ク 大 屋 町筏. R 〓 ヽo 養 父郡 関宮 町 関 宮. 8 〓 工N 舞鶴市西舞鶴. R 〓 二ω ク 村 岡町村 岡. 8 8 ﹄ド ク 山南 町 岡本. 兵庫 県. 8 8 ふい 加佐郡大 江町字南有路. 露〓 o いω ク ク 福 岡. R 器 ﹄0 ク 青 垣 町 遠 坂 佐 治. 京都府. 88 ﹄い 福 知山市下柳町. 露 〓 ヽ卜 養 父 郡関宮 町出 合.
(4) 良. 二. (32)2f7 田 鎌. R 〓 bΦ 神 崎 郡 大 河 内 町 寺 前. 2 8 おΦ 西 脇 市 堀 田 町. R お おN 加 西 市 上 道 山 町. 8 お ﹄N ク 東 条 町 吉 井. 2 お 工∞ ク 社 町 家 原. R お ﹄∞ 加東 郡 滝 野 町 河 高. R 3 お﹃ ク 八千 代 町 下 三原. 8 8 3o ク 黒 田 庄 町 喜 多. R 〓 あ﹃ ク 中 町 安 楽 田. 寸 凱立 日上 NO ク ク 知 0卜ωΦo. R 〓 8o ク 加 美 町 鳥 羽市 原. 8 8 おい ク 今 田 町 釜 屋. 8 〓 二N ク 篠 山 町 東 本 庄. 8 8 工∞ ク 篠 山 町 西 浜 谷. 8 8 お﹃ ク ク 小 坂. 8 8 6o 多 紀 郡 西 紀 町 本 郷. 8 8 らヽ ク ク 下 三井 庄. 8 8 6ト ク 春 日 町 稲 塚. 8 8 ヽい 氷 上 郡 市 島 町 梶 原南. 8 認 おo 伊 丹 市 南 野 字 辻. 8 8 LH 三本 市 細 川 町桃 津. 2 お おo 小 野市 久 保 木 町. 露 & ふo 竜 野 市 竜 野 町 門外. 露 ミ ユN ク ク 久 崎. R ミ ら∞ ク 上 月 町櫛 田. R ミ らo ク 南 光 町米 田. R ミ 馬﹃ ク 三 日月 町 三 日 月. R ミ “ト ク ク 佐 用. R ヽ お卜 佐 用 郡 佐 用 町上 石井. R 器 ﹄N ク 波 賀 町 道 谷. 露 葛 b﹃ ク 千 種 町 岩 野辺. 一 貫 谷口 ∞N ク ク 一 〇卜ω∞・. 露 〓 “o ク 山 崎 町 高 下. R 〓 ﹄ω ク 一宮 町横 山. R 〓 Lω 宍 粟 郡 波 賀 町 谷. R & 馬Φ ク 福 崎 町. 露 〓 “0 ク 市 川 町鶴 居. R 8 工H 神 崎 郡 神 崎 町 加納. R 昭 エト ク 塩 谷西. R 昭 おo 赤 穂 市 加 里屋 砂 子. R ミ ふ卜 赤 穂 郡上 郡 町 本 町. R 昭 馬Φ 相 生市 相 生. R 3 エド 高 砂市 曽 根 町. 2 〓 ら﹃ 姫 路市中 三階 町. 2 3 bo 明石市大 久 保 町. 8 認 二い 伊 丹市 北 伊 丹. 8 認 二ω 宝 塚 市 口谷. 8 認 L∞ ク 小 野. 8 8 ふΦ ク 加 母. 8 8 “Φ 三 田市 母 子. 8 8 ヽΦ ク 生 田区 北 長狭 通. 3 認 ふo 神 戸市 灘 区 畑 原 通. 8 認 ﹄N 芦 屋市 浜 町. 8 認 ふω 西 宮 市 社 家 町. 8 認 ふ﹃ 尼 崎市 西 本 町.
(5) 兵庫 県 の方言語彙. 216(33). 鳥 取県 R 葛 おω 岩 美 郡 岩 美 町 岩 井 R 葛 ﹄o 八 頭 郡 郡 家 町 奥 谷. ク 英 田町上 山. ク 作 東 町 川北. Nω 英 田郡大 原 町下 町 〇卜ω﹃o. ク ク 小船. 0卜H﹃・ ∞い 八 頭 郡若 桜 町中 原 一卜N﹃・ H∞. R 〓 あo ク 船 岡 町 郡 家 Oトト〇・ ΦΦ. 岡山県. R 葛 ふH ク 八東 町 大 字 安 井 宿 Oトト一o ∞い. R 〓 お∞ ク 用瀬 町 用 瀬. R 葛 ヽN ク ク 北 山. ﹁ 躁ご く る ぶし ︵ 人間 の足 の下端 にお いて両側 へ突出 し て いる骨 の突起 の ことであ る。. R 〓 ﹄﹃ 勝 田郡 勝 田町 真 加 部. R 昭 二o 備 前 市 三 石. oヽい一Lo 和 気 郡 吉 永 町 吉 ヽ 水中. R 〓 二い ク 和 気 町 和 気. R 〓 ふo 津 山市 堀 坂. ﹃ 日本 国 語大 辞 典﹄ ︵ 小学館 ︶の語源説 によれば、① ク ルフシ ︵ 転節 ︶ の義 ︹ 和 訓栞︺、② クルクルブ シ ︵ 枢節 ︶の. 大 言 海︺、③ ﹁ 眼踵 ﹂ の別音 バξ l り に ラ行音を は さんだ語 ︹ 約 ︹ 日本 語原考 ・与謝 野寛︺ とあ る。 ﹁ 躁﹂ の字 は古 く から使 われ て いたよう であ る。. 正 倉 院文書 ・神亀 三年 、山背国愛宕 郡雲 上 里計帳 ︵ 寧楽遺 文 ︶に ﹁ 男出 雲 臣 石楯 、年参拾歳 、残疾右足 躁筋絶 左上 頬 黒 子﹂ とあ る。. 県 下 の南 部 一帯 にウ メボ シ ︵ 四九地点 ︶と ウ メノボ シ ︵一地点 ︶があ り、北 部 の但馬地区 では クルブ シ含 一 五地点︶、. ク ルビ シ ・グ ルブ シ ・ク ロボ シ各 一地点 、計 二八地点 のクルブ シ系 であ る。 このク ルブ シ系 は但馬 に接 す る京 都 ・鳥 取 にあ り、岡 山も ク ルブ シ系 である。.
(6) ツノ コブ ・ツノ コブ シ ・ツノ コボ シ ・ツノブ シなど の ツノ コブ系 は いず れも鳥 取県 に つなが る但馬南部地域 であ る。 但馬 に続 く京 都 地域 にはな いことから ここでは 一応東 山陰 系 のも のとみる。. ツノ コブ と同 じ コブ系 に、 コブと、 アシ ノ コブ ・サ ンネ ン コブ ・ソト コブ ・コブ ラ ・ソト コブ ラ ・コブ シがあ る。. いず れ も地 点 は少な いが中 国地方側、鳥 取 ・岡山側 にあ る こと から みて、先 の ツノ コブと同 じ系統 であ り、 ツノ コブ. から コブ にな り、単な る コブ と混同す るた め か、足 の外 側 と いう意味 で、 ソト コブ とか、 アシ ノ コブなど の形 にな り、. ﹁ふく ら はぎ﹂ の意 の コブ ラと混同 したた め か、 ソト コブ ラから、 コブ ラな ど の形が でたも のかと思われ る。 コブ シ は、 ﹁ 攀 ﹂ の形 と同意 にと ったも のかと思 わ れ る。. ① 押 え つけなが ら強 く回す 、 または丸 め る さまを いう。② いか にも丸くて大 き いさま。③ かたく て丸 みを 持 ったも の. グ リグ リと アシ ノグ リグ リが県下 に広 く 、播磨 と但馬 にみられ るが、 この種 のも のを 一般 にグ リグ リと いう こと。 が内 部 で ゆれ動 く さま。 な ど から これも コブ と同様 に 一般 的名称 とみられ る。. シ にな り 、鳥 取県 に入 リ コブ系 にな って いる。 ツノ コボ シは、 ﹁ 角﹂ と ﹁子﹂ ﹁ 星﹂ か、﹁ 角﹂ と ﹁コブ シ ︵ 攀 と の音. 図﹄ でも 、県南 部 は ウ メボ シ系 であ り、京 都北 部 は ツノブ シで これが県北 東部 の出 石郡 に続 き、但馬西部 で ツノ コボ. 周辺 分布 の原則 によ るも のであ る。京 都 側 に残 る ク ルブ シ系 もあ るが、京 都府 で の外側、周辺部 であ る。﹃日本 言 語地. ク ルブ シ系 は京 都を中 心 とした古 く からあ る形 であ るが、あ とからできた ウ メボ シ系 によ って周辺 に追 いやられ た. この地 図 から次 のよう に考 え る。. あ ろう か。 いず れも地点 数 は合 計三地 点 であ る。. て いると ころを 何 と言 います か﹂など の形 でたず ね て いるた め、﹁かかと ︵ 踵と や ﹁ 足首﹂ と間違 え て答 えたも ので. キビ ス ・アシ クビ は、 これを被 調査者 にたず ね るとき、調査者 が自分 の足 の ﹁ く る ぶし﹂を指 し て、フ﹂この骨 の出. カ タ ツムリ ・ツンブ リ ・ツノブ リ ムシは いず れも京 都側 にあ る。 ラ ﹂ れもそ の形状 から出 たも のと思われ る。. 二. (34)215 良 田 鎌.
(7) 兵庫 県 の方言語彙. 214(35). 訛 か。 ﹁子 ﹂ ﹁ 節 ﹂ か。. いず れ に し ても 、 コブ は ど こ にでも 生 ま れ 得 る 形 であ り 、 特 に、 アシ ノ コブ は す ぐ 考 え ら れ る名 称 であ る。 同 様 に 、. 足 の両 側 に出 て いる こと か ら ﹁ 角 ﹂ も考 え 得 る し 、 そ れ と合 わ せた ツ ノ コブ 。 ま た 、﹁関 節 ﹂と いう ような ことから ﹁フ. シ ・ブ シ ︵ 節 と は 考 えられ る こと であ る。 こ の よ う な こと か ら 、 ツ ノ系 と コブ 系 は いず れ も 新 し い語 形 であ ろ う が 、 そ の分 布 の ひ ろ が り か ら み て ま だ 新 し いも の と 見 る べき だ ろ う 。. ク ルブ シ系 が 標 準 語 形 にな って いる のも 、 京 都 に と って は古 い語 形 が 、 東 京 に移 動 し て いる も の と み る。 変 化 形 を 次 のよ う にみ る。. ∽>ZZ国Zバ〇 国⊂. ∽〇弓〇バ〇 ”C. >∽HZOバ〇”C. ︲ 田 バ ⊂ ” C ⊂ ∽ H ︲ ︲ ︲ ︷ 一 ︲ バ〇”C∽甲︱︱︱バ〇”⊂. ∽目. バ〇”C”> ︱ ∽〇 弓oバo”⊂”>. 弓CZO ”C ∽甲︱︱︱↓CZO バ〇”⊂ ∽HII出目 一﹂々¨蓄¨]¨. ↓CZO”C”甲︱︱︲↓CZO”C”H 〓C∽目.
(8) 田. 鎌. (36)213. 二. 良. (図 一 ). 「 くるぶ し」 5590 ・・. /′. 峨﹄ 一. ´ 力. /・. 0^. 預. \. . ■︱︱1/ ︲︲ コ 、. ロ. ′. 〓. ^. ヰ. 子. ヽ. 7. 小 イ. L. X 一. 7. %︶ ´. ノ. Aロ. . A. 口 . r)`. 口 `、. △. ^ ・. 0. 01 1. 0● ν. 合 │°. °. 9. O O. 。. △. ο. o. . 。. O . 〉. °. ヽ. 拳 ν. ガ. ロ. O. 0. ・ 白. o. ア シ ノ ウ メボ シ(1). ロ. ク ル ブ シ囲. l. ロ. ク ル ビ シ(1). a. グ ル フヽス 1). 白. ク ロ ボ シ(1). △. コ フ12). ▲. ア シ ノ コ フ11). B ハ X X 六 ▼子 +. o. ウ メ ホ シに動. サ ン ネ ン コ フ11) ソ トコ フ11). ▼ ツ ノブ シ(3) ハ グ リ グ リ(9). コ ブ ラ(1). ^ア` シ ノ グ リ グ. ソ トコ ブ コ ブ シ(1). ど. ノ ン「プリ(4) ノブ. 1リ. ム シ(3). ツ ノ コ フ13). =ツ ノ. ッ ノ コ ブ シ(1). イ アシクビ(1). ツ ノ コ ボ シ(1). (1). lり. キ ビ ス(2). (数 字 はf吏. 用地点数. ).
(9) 兵庫 県 の方言語彙. 212(37). ﹁ お手 玉﹂. ﹁お 手 玉 ﹂ は 、 女 児 の遊 び の道具 で、 小 豆 な ど を 入 れ て作 った 小 さな 布 袋 で 、 これ を 幾 つか持 って投 げ 受 け る遊 び. に使 う も の で あ る 。 こ こ で は 、 そ の ﹁ 遊 び ﹂ そ のも のを 言 う の で は な く 、 そ の道 具 の意 味 であ る。. ﹁お手 玉 ﹂ の方 言 語 形 は 全 国 に多 く 、 ﹃日本 言 語 地 図 ﹄ で は約 二百 五十 種 の語 形 が で て いる。. イ シ ナ ゴ 系 は 北 九 州 と兵 庫 ・鳥 取 東 部 と岡 山 に目 立 つ。 兵 庫 で は 、県 中 央 部 を 横 切 る 形 で 、 これ が京 都 府 東 へと つ な が って いる 。 丹 波 と摂 津 には な い。. オジ ャ ミ系 は 、 京 都 府 中 南 部 から 丹波 o摂 津 に続 く 。 これ は 、京 都府 か ら 石 川 県 へ続 く も の であ るが 、途 中 の福 井 県 は と 切 れ て いる 。. ま た 、 二 重 か ら 東 海 方 面 を も 含 め て いる。 西 は 香 川 ・徳 島 ・高 知 であ り 、 広 島 ・宮 崎 に目 立 つ分 布 を な し て いる。 兵 庫 県 の但 馬 は コボ シが 二地 点 とズ ズ が 一地 点 で あ る。 そ の ほ か 、 摂 津 か ら播 磨 南 部 には いろ いろ の語 形 が 入 り 混 って いる。. 図 3 ︶ にみ る よ う に、 オ テダ マ ・テダ マが 神 戸 これ が ﹃日 本 言 語 地 図 ﹄ か ら みた状 態 であ る が 、 今 回 の調 査 で は ︵ や 但 馬 ・播 磨 な ど 合 計 七 地 点 に点 在 す る。 これ は標 準 語 形 であ る た め であ ろ う 。. こ のよ う に方 言 語 形 が 各 地 に多 い場合 であ って、 し か も 、 標 準 語 形 が各 地 に点 在 す る 場 合 は、 そ の標 準 語形 は 一応. 無 視 す る と いう か 、 別 に見 ても よ いも のと思 う 。 標 準 語 形 は教 科 書 語形 、 新 聞 語 形 、 テ レビ 語 形 であ って、 ど こ の地. の人 でも 一応 は そ れ を 知 って いるも のであ る 。 即 ち 、 理 解 語 形 であ る。 イ ン フォ ー マント は使 用 語形 と 理解 語 形 とを 誤 って答 え る こ と が あ る も の であ る。. 標 準 語 形 が 使 用 語 形 であ る な らば 、点 在 ・散 在 の形 よ り も 、 いく ら か の使 用 地 域 範 囲 が あ るも のであ る。. オジ ャ ミ系 は 丹 波 お よ び そ れ に接 す る京 都 府 側 に多 く 、 ま た 、 東 播 磨 に多 いこと は ﹃日本 言 語 地 図 ﹄ と 一致 す る も.
(10) 図 3 ︶ で は 、 オ ジ ャ ミ、 四十 七 地 点 。 オ ジ ャ メ、 の であ る。︵ 一地 点 であ る。﹃日本 言 語 地 図 ﹄と異 な る こと は、 但 馬 に 四 地 点 オ ジ ャ ミが あ る こと であ る 。. これ は播 磨 か ら 新 し く 入 った も の と思 わ れ る。 し か も 、 これ は 、 但 馬 唯 一の都 市 部 、 豊 岡 市 と、 そ の次 に大 き な 町 の香 住 町 であ る こ と は 地 方 に お け る文 化 的中 心地 であ る か ら であ る。. 但 馬 は ナ ンゴ 系 であ る。﹃日本 言 語 地 図 ﹄で は 先 に記 し た よ う に、イ シナ ンゴ は県 中 央 部 を 占 め て いた が 、 いく ら か. 北 寄 り にな った と いう こと は 、 周 辺 分 布 にな った と いう こと にな ろ う か。﹃ 日本 言 語 地 図 ﹄の 調 査 が 昭 和 三十 年 頃 であ. る か ら 、僅 か 二十 年 で そ れ 程 動 く と は考 え ら れ な いが 、 一応 そ のよ う に見 てお く こと にす る。. ﹃日本 言 語 地 図 ﹄ で は こ の辺 り に コボ シは 二 か 所 で あ った も のが 今 回 は鳥 取 県 境 八 頭 郡 若 桜 町 あ た り に コボ シキ 、. 鳥 取 か ら コボ シ 系 が 一か所 入 って来 て いるが 県 境 で あ る。. 兵 庫 県 美 方 郡 に コボ シが 一か 所 見 ら れ るだ け であ る。 これ も コボ シ が 周 辺 に移 った 、 即 ち 、 ナ ンゴ 系 に押 しや ら れ て. って き た の で 、 オ シ ト 系 が 南 西 部 に追 いや ら れ た 形 と み ら れ る。. こ の形 が も と 県 南 部 に広 く 使 わ れ て いた も の で あ る が 、 関 西 、 特 に近畿 中 央 部 の京 阪 あ た り か ら オジ ャミ系 が 広 が. 、ナ ナ ツ ︵ シ ト ツ ︵一つ︶ 七 ツ︶で ﹁お 手 玉 遊 び ﹂ の と き の ﹁ 数 ﹂ を あ ら わ す も の と 考 え ら れ る。. オ シト系 が 県 南 部 に見 ら れ 、 し か も 、 播 磨 の南 西 部 に多 い、 これ と、 ナ ナ ツ ・オ ナ ナ ツの ナ ナ ツ系 と は とも に、 オ. 神 戸 か ら み れ ば 周 辺 部 に寄 って し ま って いる と いう こ と にな る 。. サ ラ系 は 岡 山 県 境 か らず っと 東 ま であ り 、 明石 市 あ た り ま であ る。 そ れが今 回 は こ の よ う に西 に寄 ってしま って いる。. 兵 庫 県 ︱ ︱ そ の分 布 と 分 流 ︱ ︱ ﹂ 篤武 庫 川 女子大 学 紀 要 ・第 十 集 ﹄ 昭 三 七 ︶ によ る と 、 オ 山 本 俊 治 ・飯 野 百 合 子 ﹁. オ サ ラ系 に、 オ サ ラ ・オ ー サ ラ ・オ ー サ ー ラが あ る 。 これ は いず れ も但 馬南 部 と 岡 山 県 境 であ る。. 周 辺 に移 った 形 と み ら れ る 。. 二. (38)2ff 良 田 鎌.
(11) 兵庫 県 の方言語彙 2fθ (39). 山本 氏 ら の調査 でも、や はり宍粟 郡 と赤穂市、赤穂 郡あ たり の南部 に限られ て いる。 オサ ク ロ系 は、今 回 わず か三地点 にみられ、 これも岡 山県境 であ るが、山本 氏 ら の場合 には明石市 から姫路市を は じめ県南西部 にあ る。ジ ャミと並存 であ るが養父郡 にも みられ る こと から、 これも古 い形 であ り、 いず れも オジ ャミ によ って周辺 に追 いや られた周辺分布 の法則 によ るも のとみられ る。. イイ チ コとイ ッコーが三地点 、播磨 の中央部 にみられ るが山本 氏 ら の調査 では オイ チ コ ・イ ー チ コ ・イ ーテ コがあ り、同 じく播磨中 央 部 の神崎郡あたり に見られ る。. ﹁お手玉﹂ の語形 は ﹃日本言 語地図﹄ や、山本 氏 ら の調査 と、今 回 の調査 とを 比較 す ると、神 戸な どを中 心とす る 県南 部 のオジ ャミ系 がそ の範囲を北 と西 と に広げ 、そ の外 側 にあ ったイ シナゴ系がまた北 と西 と に寄 った こと にな る。 そ し てそ の他 の語形 が山本 氏 ら のも のとくら べて少 な くな って いるよう であ る。. 県南. 東西方言 の境 界を 論 じ る場合 ﹁ 買﹂ のカ ッタと コー タを 問題 にす る ことがあ るが、最近 の若 い人 の間 では関西 でも. ﹁ カ ッテク ルの意 味﹂. (図 二 ).
(12) 田. 鎌. 二. 良. (4θ. )2θ 9. (図 三 ) /馴 1. .. ムが. 6427. ロ. 日 /. 3日 Ц ロ. 相A日. ヽ .\. ロ. ロ. / 田 ノ. 橋V. 口 . ︲ イヽ 7 〆 0 鶴 4 6 ロ. □ ム. ▲. `` ヽ▲. 口. │. ▲日 ョ 1 涯 00. ハ ロ. 目. ▲. ▲. J. ハ ▲ ▲▲. 口﹀. だ. A. lノ. ロ. A. 「 お手玉. A. ハ. _. ▲ ▲. ▲. ▲. ,pi V. 1`. ′ へ、 A. 環. 6541に. ≪. ハ. ρo ヽ. ¶︱ ・ ﹁. 0 0. F A オ. ☆ 人\ ,. ヽ. ヽ 小. ,「 冨. `ト. ● o ▲ ▲. オ テ ダマ(6) テ ダマ(1) オ ジ ヤミはη オ ジ ヤメ(1). 日 タ. 9. オ シナ ゴ(1) オサ ラ(2) オ ーサ ラ(1). ロ ロ ロ ロ ロ. ナ ンゴ(7) イ シナ ンゴ201 イ シナ コ11). 史 オ ーサ ー ラ(1) 43D ナ ナ ツ(1) ● オナナ ツ(1) ハ オサ クロ(1). イ シナ ンコ(1) イ シニ ヤー コ(2). ξ. V. オサ クラ(2) コ ボ シ(1). コボ シキ(1) ロ イ ツコー(1) ■ イイチ コ(2) o ォチ ヤボ コ(2) ☆ オ ンバ ラ(2) O オ シ ト(19 マ オイコ(1) ″. (数 字 は使 用 地 点 数. ).
(13) 兵庫県 の方言語彙 2θ θ(41). ﹁ 買 ﹂と ﹁ 借 ﹂と は文 脈. ﹁ 買 ﹂ を カ ッタと いう 傾 向 が で て き て いる。 ま た 、 若 い人 に限 らず いく ら か こ の形 が 一般 化 し て き て いる ことも考 え ら れ る。. 関西 では ﹁ 買 ッタ﹂ と ﹁ 借 ッタ﹂ とは同音衝突す る可能性 が あ る。. 箸﹂ とは文 脈 上そ の違 いは明らかであ る場合 が多 く同音衝突 のおそれはな いが ﹁ 橋﹂ と ﹁ 上区別が つかず 話 し ことば にお いて衝突を お こす。. ここに兵庫県下 におけ る ﹁カ ッテクル﹂ の意味 に ついて調査 したも のを ︵ 図 4︶に示す。. 買﹂ の語形 は、カータ ・カ ー テク ルであり、 ﹁ まず 、但馬地域 にお いては、﹁ 借﹂ はカ レタ oカ レ テ ク ルであ る。. ﹁ 借﹂ のカ レタ ・カ レ テ クルは可能動詞形 から の変化 とみられるが可能 の意味 ではな い。﹁ 貸 ﹂も カ セ ル oカ セ タで 可能 の意味 ではなく使 わ れ る。 ︵ 借 ︶カ レ ン カ レタ カ レル カ レリ ャ カレイ ズ叩令 ︶ カリ ョー釜曇 じ ︵ 貸 ︶カセ ン カ セ タ カセ ル カセリ ャ カセイ 実叩令 ︶ カシ ョー釜思志 ︶ 可能 には助動詞 レ ルを つけ て、 カ レレル、カセレルとな る。. 図 4 ︶の中 におけ る ﹁ ︵ 使 用 せず﹂ は、﹁カ ッテクル﹂ の形 を ﹁ 使 用 せず﹂ で但馬地域 にあ り、 ﹁ 借﹂ はカ レタ ・カ レテク ルで、﹁ 買﹂ はカ ータとな る地域 であ るとみられ る。. 買﹂を コータ、 ﹁ また、京都側 にあ る ﹁ 使 用 せず﹂ は、﹁ 借 ﹂ を カリタとす る地域 と見られ る。本稿 では単 に ﹁カ ッ. テ クルの意味﹂だ け の図 を 示す ので これ にはそ の違 いが出 て いな いが別 に ﹁ 借﹂ の語形を も調 べてあ る。. ﹁ 買﹂ のカ ッテク ルは出 雲 などを はじめとす る東山陰 は いわ ゆる東部式 のも のが多く、 アクセ ント ・音韻 の分 野で. も そう であ るが、文法 では指定 助動詞 はダ の地域 であ り、そ れ と同 じく ﹁ 食﹂ の動詞 も カ ッタ ・ク ッタとなる 買﹂ ﹁.
(14) (42)2θ 7 二 良 田 鎌. 地 域 で あ る 。 ま た 、 関 西 式 の ウ 音 便 で は な く 関 東 式 の促 音 便 形 で あ る 。 東 山陰 では 買 カ ウ カ ッテ ク ル 借 カ リ ル カ リ テ ク ル カ レ ル カ レ テ ク ル. の形 であ り 、 山 陰 の但 馬 で ﹁カ ッテ ク ル﹂ を ﹁買﹂ ﹁ 借 ﹂ の ど ち ら の意 味 でも 使 わ な い地域 で は 買 カ ウ コー テ ク ル カーテクル 借 カ リ ル カ リ テ ク ル カ レ ル カ レ テ ク ル の形 で あ る 。. ﹁ 買 ﹂ は 歴 史 的 には ハ行 四 段 活 用 で あ る か ら ウ音 便 にな る の は当 然 で、. 遂 に か く な り侍 り ぬ れ ば 、 か へり て は つら く な む か し こき 御 心ざ しを 思 う 給 へら れ侍 る ︵ 源 氏物 語 ︶ な ど の例 を 出 す ま でも な いで あ ろ う 。 また、 ﹁ 借 ﹂ も 歴 史 的 に は ラ行 四 段 活 用 であ る。 .な む ︵ 声 は し て涙 は 見 え ぬ ほ と と ぎ す わ が 衣 手 の濡 づ を か ら 古 今集 ︶ ﹁ 借 ﹂ が ラ行 四段 活 用 で あ る か ら カ ッタ と な る も当 然 であ る 。. し た が って、 歴 史 的 には 関 西 で使 わ れ て いる 、 ﹁ 買 ウ タ﹂ の ”c 連母 音 の相 互 同 化 によ り 、 F 二”← ぎ oご と な る こ と は 、 神 戸 の ﹁カ ウ ベ﹂ か ら ﹁コー ベ﹂ と な る の と同 じ であ る 。.
(15) 兵庫 県 の方言語彙 2θ 6(43). ﹁ 借 る 。足 る ・飽く ・染 む﹂ は県下 でひろく五段 に活用す るが、但馬 全域 と丹後 ︵ 京都 ︶では この中 の ﹁ 借﹂ だ け が、 カ レ ル ・カ レテクルの 一段 に活用す る。. 図 4︶ の中 で、﹁ ︵ 両方 に使 う﹂と いう地域 が同音衝突 し て いる こと にな る。 しかし、 これは、 かたまり 分布を し て いな い。. ﹃ 日本言 語地図﹄ でも そ う であるよう に播磨を中 心とす る県南 部 ではカ ッテクルは ﹁ 借﹂ の意 に用 いるも のと予想. し て いた のに ﹁ 両方﹂ と いう ことは ﹁ 買﹂ の方も県下各地 でカ ッテク ルと いう形が使われ出 し てき て いる ことを 示す も のであ る。. 但馬 は ﹃ 日本言 語地図﹄ で、 カ ッテクルの語形を使 わな い地域 とな って いる のに、﹁ 買﹂の意 で使う と いう ことは東. 山陰 の影響 によ るも のであ ろう か。あ る いは東 山陰 の影響 と標準 語形 の意識 によるも のであろう か。 カ ーテクルの語 形 が少くな ってき て いる のであ ろうか。. 以上 、﹁ く る ぶし﹂﹁お手玉﹂﹁カ ッテクルの意味﹂の三図 から考 えられ る ことは ﹃ 日本言語地図﹂ とくら べて少 しず つではあ るが神 戸を中 心と し ての使 用語形 が北 と西 と に移動 し て いるよう に見え る。わず か二十年 間 でそ のような こ. とが考え られ るかと いつこと にな るが、﹃日本言 語地図﹄が当時 の六十才代を中 心とした のに対し、今 回 は五十才代を. 中 心 にした こと によるも のかも しれな い。﹃日本言 語地図﹄ の場合 のイ ンフォー マントは現在は八十才代 にな って いる こと にな る。 八十才と五十 才 と の違 いだ ろう か。. また、﹁お手玉﹂を除 く 二図 は ﹃ 日本言 語地図﹄ではも っと単純 な分布 にな って いるのに今回 の方 はやや複雑 にな っ. て いる のは、本稿 ではご く簡 単 な音韻変化形をも示した こと によ るも のかと思う。簡単な音韻変 化形 は同系 とみ て記 号は 一つにした方がよか った かと思 って いる。.
(16) (44)2θ 5 二 良 田 鎌. 本 調査 にあ た っては先 に記 した 六名が百十 三地点を数十 日 にわた って行な ったも のであ るが筆者 も最初 の数 日間、. 行を とも にした。各地 にお いて多 く の方 々にお世 話 にな った。被 調査 名は ここに記さなか ったが深く感 謝 し て いる。.
(17) 2θ イ (45). 兵庫 県 の方言語彙. (図 四 ). 5590. 「 カ ッテ クル の 意味 」. 4 6 0. Lし. / O. 0. n。 ■. 。. り. ° △ 「. O. D. ° △. 一 △ △. △ロ. ●. 口. │. 込 含 口 △. ロ. ヽ. 、. △. △/. ^_レ /. \ ヽ. ◎ 「買」 の意. ■. △. △. ノ. ハ. △. △ 口 . △. 錢ρ ヽ. │'lロ △. △ △ △ △. △. て︱. △ △ . 0△. Δ. △ △. △. ヽ. △ 鳳. Δ. O. ―. \ △。 ︺. 0。. Or. 0. ∫. °. △ 「借 」 の 意. o日. A. )√ ヒ ノ. _/. 日 両方 の意. ― 使用せず.
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