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被服の損傷に関する研究 : 理学的機構に基く変化について

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(1)Title. 被服の損傷に関する研究 : 理学的機構に基く変化について. Author(s). 池田, ヨシエ. Citation. 北海道學藝大學紀要. 第二部, 6(2): 75-86. Issue Date. 1955-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5471. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第6 巻 第 2 号. 北 海 道 学 芸 大 学 記 要 (第二部). 昭和30年1 2月. 被 服 の 損 傷 に 関 す る 研 究 理学的機構に基く変化について 池. 田. ヨ. シ. エ. 北海道学芸大学函館分校被服研究室. Yos i e IKBDA: A Study on ln jur i es of C1 othi ng -- Changes based o i i 行c Dなechani I Sc I ent - sm -. 1. 緒. 言. 被服原料の大部分を輸入にまつ現状に於て叉衣服費が家庭経済の数割を占めていることを思うと. き、 被服の保命材料の完全消 費が急務である。 しかしこれらをはばむ摩擦をはじめ伸張 撃 圧 抗 、 、 探、 或は洗剤、 光線、 汗、 其の他汚物等物理的、 化学的な諸機構に基く被服の損傷が問題である 。 そこで物理 的損傷機構が材質紡織の特 性に及ぼす影 響を究明し 以て損傷防止対 策及び被服の種 、 類或は用途に 応じた材料の選択に寄与して被服材料の材質紡織が夫 々有する性能を遺感なく発揮せ しめ る一 助 に した い。. 本研究は女部省及び道 開発局より研究助成金或は補助金を受けて試みたもの 一部である 。 =. 1. 供. 試. 材. 実 験. 方. 法. 料. 材料は代表的材質の羊毛、 絹、 木綿、 麻、 人絹、 化繊の6種に亘り 基本的織方の平織のものを 、 用いた。 何れも 白色で其厚さ密度等の諸元は次表の通りである 。 試. 試 羊. 料 毛. 絹 木. 綿 麻. 2 方. 沸十. 絹. 化. 繊. 諸. 元. 本 / ド i勘i 早島 摺度 F1備. モスリン 羽 二 重 キャラコ. 平 織. リ ン ネ ル. 人. の. 羽 二 重 ル ピカル ロヒ トロ. ″. 20 0 . 18 0 .. 28. 28. 56. 31. 0 16 . 0 2 .8. 37. 32. 25. 18. 17 0 . 0 2 ,2. 36. 22. 26. 25. 考. 半合成繊維. 法. 被服の損傷即ち材料に及ぼす変化の機構として摩擦、 伸張、 撃圧、 抗採、 洗剤 染剤 光線 温 、 、 、 熱、 乾湿、 汗、 其の他汚物の付着等多方面に亘っているが、 何れも自然損傷によったものは上述の 機構が単一に作用 して居らず、 叉同一機構が同程度に作用 している材料を揃える事は非常に困難な ので人為 的に次の方法で各材料に夫々機構を同一に付与した。 尚これは専用の装置は用いず 電気 、 - 75 -.

(3) . 池. ヨ. 田. シ. エ. ミシンの各部 を利用 した。 11 0ポンドの圧力で接解 ミ シンの糸巻の小輪のはずみ車と接する ゴム輪に、 単位面積当り/ 摩擦 させ毎分300回転し摩擦の量を時間的に3分毎5段 階にした。. 0gの差を以て5種類 の錘を下げ張力を加えた。 単位面積当り36 0回落下 00g木片を毎分15 木の台 (板谷の楓) 上に試材をおき3糎上方より単位面積当り1 打撃 量を ) 打撃 させ (この装置はミ シンのテ← ブル上に装置し木片 の持上はミシンの天びんを利用 した 時間的に 3 分毎に5段階にした。 方力により 単位面積当り1okgの差を以て5段階に圧力を加えた。 圧迫 試材に3cmの正方形ボール紙3枚を5mm間隔に並べてはりつけ、 端のボー ル紙 1枚をミ 抗探 伸張. 00回上下運動をさせ抗採 シンの滑り板上に固定し他端の1枚を針留に軽く結びつけ、 針棒を毎分2 量は時間的に10分毎5段階にした。 以上5種の機構 を各サンプルにあたえ、 先ずスンプ法により組織の変化を顕微鏡下に於いて原形 と比較観察を行い、 同時に気孔の大いさはミクロメー タにより其の径及び縦を測 定し、 即ち断面積 5 を以て示し、 厚さの測定は螺旋徴計叉は自動測微計を使用したかったがないのでガラス板上に 枚 のサンプルを重ね、 更に其の上にガラス板 (スライ ドガラス) をのせ其の間隔を測定した。 さと其れをとり去り 次に性能測定について弾力は単位面積当りloogの錘を1分間下げ其の時の長, 1分後の長さとの差を以て弾性度とみた。 伸力はサンプルを単位面積当り毎分30gづつ荷重し切 断 寸前に於ける長さを以て伸力度とした。 強靭力は伸力と同様な方法にょり切 断された時の錘の総重 cc空ァンプルを同一 サンプル3枚で包み、 中に温湯を入れ放熱状態を測定し 量とした。 保温力は1o た。 これ ら機構変化の状態性能につき相関的に検討考察した。 m. 実. 験 結. 果. 1 組 織 の 変 化 原形 (第1 図) を対称に顕微鏡観察による組織変化の状態から述べる。 第1図 羊. 原. 形. 麻. 毛. 摩擦されたものは第 2図の加く摩擦方向と並行 の糸は殆ん どその組織に変化が認められない が、 摩擦方向に直角な糸は組織が乱れ、 かつ所々の繊維が切断して居り切断の程度は摩擦の量 (回 ,即ち其比率は漸次増加の傾向にある。 尚これを更に拡大 して見たが 数) に対 じ雑級数的に増大し、 ・以上は各材質の共通な点であるr が、 前述 個々の繊維の欠壊或は磨滅等 の異状は認められなかった。 . (第2図2 ) 化繊 ) 絹, ) 麻 (第2図4 (第2図1 ) の乱れ方は、 木綿 (第2図3 . ,に於て最も激しく次は羊毛, ) の順で、 人絹は一番乱れ方が少なく、 いわば丸い束状 の繊維を解いて平 )二人絹 (第2図5 (第2回6 A. 一 76 一.

(4) 関. の 損 傷 に. , 逓 週 欄鰹 { 欄 騰. . ・ ・ 謝 灘 灘 電 導 , -. ー . ゞ. 面に並べた様になった。 叉繊維の切断面が著しく不規則になっていることも認められた 。 摩 擦 に. r l r l l 〜 ・ 1 1 l i r 栴. 鞭 . 三 雲 - 、 , . ・ キ ー .. ‐ - 〒 、 ≧ - r墓 - . ・ 千尋十 む 十 十 十 十 十 十 L 滋 認 ※ 熟 ま 義海 - - ・ ● ● : r . ふ 声ん雑 r な. 震 馨 繋 , 滋 欝 慶 ザ デ. 1 1 . ・ 1 . ・ 1 . ,. ‘ ※ 類 纂霧. , 繊 麗 鱗欝 騨 爵 総 瀦 . 儀 蹴 嚢 欝 二. 」r. 一. 一 77. . -.

(5) . ヨ. 池. 田 3. シ エ 6. 綿. 木. 化. 繊. 伸張されたものは第3図及び第4図の如く伸張方向に並行な糸は各材質と共に繊維の逸脱が なく糸が細くなり、 張力を直接受けた糸の各繊維が互に密着した点が認められた。 しかし羊毛 (第 B. 3図1 ) は比較的細変が少なかった。 叉直角の方向にある糸は逆に大きくなった様に ) 木綿 〔第3図3 見たが各繊維の平均間隔は原形より小さくとも大きくなったことは認められず、 原形でみえなかっ た繊維がみえ、 即ち顕微鏡下の繊維の本数の増加が見られた。 気孔の形状については原形のほ ゞ正 方形に対し、 伸張の方向に細長い矩形に変化したことが認められた。 張力の増加に伴い繊維の切断 は当然のことで第4図中の5写真の加く人絹は3 、 4本乃至数本づつが殆 んど同一点で切断しているo C 打撃を加えられたもの第 5図の加く、 本来束状された繊維の集合体である糸で織られたもの が、J 恰も平紐で織られたもの、 或は気孔が小さく畳表の如く 教られた。 尚この変化は麻、 羊毛、 木 綿に於て比較的少なかった。 これら変化の機構との関係は、 伸張したものに於ては殆ん ど並行して 第う 図 1. 羊. 2. - ,. 張 力 に よ る 変 化 1ー一. 毛. 絹 ‐. 4. 5. 華義 言浮. . . ー 78. “ 二ぶざまト ; き き 一身. 人. 麻. 絹.

(6) 3 灘 扉 鰭 慰 謝 馳 駆 麓. . . こ , . ・ .. 研 . 1 1 .J 〜. に. ; 〆 . ;. き 、 ‘ . 〆. ・ 1 11 , 4 ‘. 輸. 麻 圃 総 . 瞳園 圃 園 霊 園 騨 絹 総 園 慶 廠.

(7) . ヨ ,.シ .エ 池、 田 ,. いたのに反し、 打撃の初期に於ては変化が打撃量に追随しなかったが漸次近 づき一定の変化後に並 行した。 叉一定の変化の後に繊維の切 断が始まり、 打撃量を漸増の比率で切断される傾向がみられ た。 尚この切断面を拡大した結果、 羊毛、 木綿は鈍 でその附近の組織に網状の亀裂がみられ、 これ に対し絹、 人絹等は切 断面が斜め、 或は二段になつてその附近の繊維の中軸と並行 の亀裂が所々に みうけられ、 麻には一定の傾向が認められなかった。 第5図 1. 羊. 2. 3. 打 撃 に よ る 変 化 ・. 毛. 4. 5. 絹. 木. ・. 麻. 人. 6ヨイヒ. 綿. 絹. .. 繊. ↓. 圧迫を加えられたものは前述 の打撃を与えたものと殆 んど同一の結果なの で省略する。 なお 抗探の結果については本試験程度 では殆 ルゼ変化 が判然とせず略す。 D. 2 量. 的. 増. 減. としてみた結果1~6の如く サンプルの伸展をこれにか>わる径糸及び緯糸の伸展量の相乗積- 何れも伸を示してい るが、 打撃によるものが最も伸展が大きい。 伸張によるもの 伸展が最も少な A. 0一 -8.

(8) . 被 服 の 損 傷 に 関 す る 研 究. 5 ・ ) 等が比較的伸展が多く麻 (3) が最も少い。 尚伸張によった 。 叉材質別では人絹、 化繊 ( 、6 ものは其伸展曲線が概して 「SJ 型の曲線をなす。 第6図 損 傷 機 構 と 伸 展 率 十lo. 0 十 !. 型一-- 伸 張. --- 摩 擦. .′. モ. ◎ /. +8. … ‐打 撃 ,. ′. ′ . ′. / ′ ′〆 . ′ 1. /. 1 ,. 3 二 4 ・. 毛. 5 o ・ 、 r. l. 、. 2. + o 4 ・ 5. 3,. 2.. 細. 0. ′ ′ / +6 0 / ′ 〆 , / . / +4 / //〆 +2. /,. 3. 2. 1. 4, .木. 4. 5. 0. ,. 綿. 3. 人. 5.. 4 ‐. 5. 3, . 4 ‐. 5. 麻. 3 , .. r4 ‐. ノ . ÷ , ′ , 〆. →. \・ . 0. .・. 2. 1. 3 2,.. 1. 二十8. / ′ 。 ‘ 〆/ ′ / / / o /. ′ .. 0. ,. ′ 。. . +4. 十2. 、. 羊. / /. イ ′ / / , O し -r. /. 2. .. +8. 5 , 0. 4. 2・. 1. 6。. 細. ィヒ ,撤. 第7図 損傷機構と気孔の変化. 伸張. 十. -」 庫 様 . . o 、. -l - o. 2. 1. 1 .. . 、 ・ o ,,, ‐i , 、 . ,. . ◎. 0. ● ヒ ・. ● ◆ }, ,. ・3. 羊. 4. 毛. 二. ●. o ‐ l r. ‐3 0. ’5. ・ 0. 1. 2 2,. 3 競. - 81 -. 、一 4、 5 o. 2. 1 3,. ・3 麻. 4. $.

(9) . 池. ヨ. 田. シ. エ. r--』、、」 ド ー. 2,. 4 .. 木. 3. 4. 綿. ・ー 、5. o. ,. 2. 5.. 4\. 3. 入. 絹. ー 5. 6. 化. 数 総. B 気孔の大いさ測定の結果を原形との比 でみると、 1~6の如く打撃によったものは最も縮少し - どみられず 叉其 の 大差の変化が殆ん は 伸張によったものは逆に若干づつ拡大し、 摩擦によったも 、. 機構が進むにつれて輪廓が決しかねて測定不能になった。 材質別には余り差がみられなかった。 C 厚さの増減について、 板ガラス上にサンプルを5枚重ねおき、 其の上叉板 ガラスを置き ガラ スとガラスの間隔を測らんとしたが一定の傾向がみられないので省略する。 叉重量の変化について 測定の結果の差がなかった。 3 性 能 の 減 退. 性能については原形の各サンプルに於てすでに性能のそれぞれが異っているので、 減退を云々す‐ る基準を実用的立場より性能の各項目毎に採用 したサンプル中の最も高いものにおいて総てをそれ との比率で結果をみた。 A 弾力性は第8図の如く羊毛が最も大きく麻、 人絹が乏しい。 いわゆる麻はヤング率が最も大 1 ) は概して弾力性が強いも きく羊毛が最も小さい。 減退の仕方は摩擦及び伸張によったもの ( 、2 の程減退率が大きく打撃によったもの (3) は大体並行して減退する。 叉打撃による減退の過程曲. 線の半数ばかりが波形を呈した。 尚伸張によったもの (2) は他の機構によったものに比し、 其初 期から減退がみられ且減退の度が大 である。. 伸張性は第9図の如く羊毛が最も大で麻等が最も小である。 打撃、 摩擦による減退は其 の性 能の高い羊毛、 絹等程甚しい傾向にあるが伸張によったもの (2) は各材質が殆んど同様な比率 で B. 減退し、 即ち其減退曲線は並行し、 叉弾力性に於てもみられたが伸張の場合はそれ 以上に減退がみ られ絹、 麻は直線に近い線をなしている。 C 強靭性は第10図の如く、 麻が最も高く、 人絹が低く なって居り、 摩擦を加え たもの (1) と 伸張したもの (2) とは各材質問の減退の関係即ち曲線の相互関係が類似の傾向になっているが、 打撃を加えたものは全く異なって減退の比率が、 原形の有する性能 と恰も比例した様な傾向を示し. て打撃量の一定限度で殆んど同一な強靭性を有す。 材料別 で特に目立つことは絹が他のものに比 し 損傷の機構の如何によらず減退率が低いことである。 (1) は D 保温性は第11図の如く、 羊毛が最も大で、 人絹、 麻が小になり、 摩擦を加えたもの1 が摩擦が進む に 其初期に於ける減退率は低調 で、 羊毛の如き一時的ながら若干の増加も示している つれ減退の度が加わって来る。 伸張せられたもの (2) は各材質共類似の調子で緩やかな減退に始 り漸次率が高くなっている。 打撃を加 えたもの (3) は各材質共漸次減退をしつ - 82 -. 其の差をせばめ.

(10) . 被 服 の 損 傷 に 関 す る 研 究 第8図. 弾. 力. 性. 2. 3. 4. 第9図. 伸. 張. 性. 1. 2. 3. 4. 5. 3. 4. 5. oo r. 0. 1. 0. 1. 5. 堰. 1 . 摩. 0. 2. T , 厚. 3. 2 , 伸. 張. 4 ‐. 様. 5. \ \、 \\ 、 \. 3 琴. 2 3 ね 羊毛. 5 3 れ.. -本 線 一ゞ--. 一一-- 羊 毛. 〆-」- -人 絹 --- -. 一‐ムー 化 繊. . ”--- 木. 綿. 編. 一,…鱒… 人絹. 麻. ”-… 化繊. 遂には殆ん ど一致 した。 各機構を通じて材質別には特別な傾向もみられないが、 麻の減退が若干緩 やか或は一時的増加がみられた。 .一ー 3 一8.

(11) . 池 o図 第l. 強. 叡. 田 ,ヨ. シ. エ. 第11図. 性. 保. 温. . 性. . :、 -h 々. 一‐、 、. ・ . 、\. 原 2. 1. 0. 擦. ー ,摩. 1. 2. 1 .摩 ,,. 3. \. . \ ・ 、 、 . \. . 3. 4. 5. 4 ‐. 5. 擦. 、 、 ・ ー . -、‐ - ‐ - . ‐ ・、. \・ 、 、 、,. 原 0. 2. 1. 4. 3. . 、\ ‐ ‐ ゞ -- ・ 、 ‐ 、 ゞく. - ニ :ニニ r〉 -. 9 . . . 2. 3 , 者. 3. 琴. 4 ‐. 一一一 ギ 毛 .. ----‐ 木 綿. ---- 縄. 一” -” 人 絹. . 孫 ミ. h‐ご・ゼ ミ きき ‐. . \ \、 、 、 、 . 1. 3. -- - -- -. -.- ー ー---- ー ー. ・ -. 原 0. 2. 2. ィ中. ー・ . \ 、 \ \ 、. 4 0. 1. 5. 1 3. 5. 2. 3. 打. 撃. --- ¥ 毛. 化繊 …-一 . 一 84 一. ‐‐ ・ . - .、 、. 4 ‐. ---- 木綿. ---- 細. ‐… -“ 人 絹. - --- 痢不. --岬 -- .私 級. 5.

(12) . 被 服 の 損 傷 に 関 す る 研 究 W. 考. 察. 1 摩擦が加えられたものに於て其方向と並行の糸より直角の糸の方が組織の乱れが多く、 叉織 維が切断するのは直接摩擦なる現象と云うよりは摩擦面の微粒子にサンプルがひつか>り、 其に張. 力が作用するものと考えられる。 これをうらづけるものと して、 繊維組織の欠壊或は磨滅が殆ん ど みとめられないこと、 叉木綿、 羊毛等の如く微粒子にひつか り易い突起を有するものに其変化の. 多い事であるが、 此研究に採用 した羊毛、 木綿は繊維を撚ってあるので変化がある程度阻止される はずであるが反面これらは短体繊維の集合休である点よりすれば、 変化は促進されるわけで繊維 表 面の突起よりも短繊維が主因かもしれない。 2 羊毛に摩擦を加えた場合一定の摩擦量下に於て保温の性能が増加したのは糸組織の乱れによ. るサンプルの包含される空気の量が増 したものと考えられ、 いわゆる含気量の増加である。 3 摩擦量による変化の比率が漸増の傾向を示すのは、 糸の組織のかき乱れた部分が次の摩擦に 一. 対 し微粒子面にひつか. る機会を多くする為と考えられる。 この変化の形式が保温性等の性能を始 め量的変化の過程曲線を拠物線たらしめるものと考えられる。 4. 伸張により其方向にはしる糸が細くなることは当然の事であるが、 それと直角の糸は逆 に太 くみとめられたのは、 所謂みかけの増加で原形に於て棒状に組織されている繊維が、 直角の方向に はしる糸の張力の為に圧迫されて、 平面的に並べかえられた為と考えられる。 故に原形では見られ なかった繊維が見えて来た訳である。 この場合、 羊毛、 木綿に於て比較的変化の少なかったのは材 質其も のの性質と同時に、 撚がかけられてあることによって既に個々の繊維が然ざるものにより、 互に固く密着している為と考えられる。 この事は前項の糸の組織の乱れの場合にも考えられたこと であるが唯此二者に限らず、 総ての組織変化の時にも考えられる事である。 5 伸張されたものに於ける気孔の変化は、 前項の糸の太さの変化より考えられる形状の変化と. 反対に、 伸張の方向に長い矩形になるのは径、 緯両糸の太さ (平面的) の増大の和より両糸の伸縮 .かがわれる 尚大きさの変化について各材質共若干ながら増大していること の和の大なることがぅ 。. は縮む糸の縮度より伸びる糸の伸度の方が大きい事が知れる。 摩擦及び伸張によっては気孔に大し 繊た変化はなかったのに対 し、 打撃によったものに気孔の縮小がみられたのは圧力により束ねられ た維の集団である糸が平面的に並べかえられた為に、 空間即ち気孔をせんきよしたのである。. 6 打撃によった場合にサンプルの伸展が最も多いのは、 恰ものし餅を作る時におさえる理と同 様なわけで、 麻に伸展が比較的少いのは繊維に撚がかけられてると同時に、 太い繊維である事が原 因している。 叉人絹は比較的伸展するのは繊維其ものに弾力性少く、 直接力の作用する機会が多い も の と考 え る。. 7 伸張によって物の伸展曲線 「SJ 型をなした事は多くの織物の伸展性と其機構 (打撃の様に 甚しく無理なものは例外) の間に一定の関係のあることが考えられる。 即ち機構の量が一定の域に たつすると伸展が活発になり、 更に進んで一定の線に及ぶと伸展が殆んどみられない。 このことは 一応総てに当然の事 であるが、 特に伸展性に対 していちじる しい様 である。 8 本実験に於て諸変化の過程が多くは施物線と直線的の2種になっているが、 地物線を画くも. の即ち変化の進み方が漸次増し激しくなっている乱れ方の場合と、 弾力其他の性能で或程度までは 耐えて其の後に変化が本格的に開始執れるものとがあり、 直線的の方は機構が直接変化にあづかる も の と み られ た。. 9. 摩擦或は打撃等によって切断された繊維の切口が、 人絹、 絹等に於て 2段或は鋭く (数段) なっているのは、 繊維の表面にたての溝或は筋がある為に1 本の繊維が恰も更に細 い繊維 を束ねた. かの状態に似て、 これを切断する場合直接機械的に切断しない限り同一平面で切断することは考え - 85 -.

(13) . 田 ヨ. 池. シ エ. られ な いo. 1 0 伸張によって繊維が切断される場合に於ける各繊維の切断関係位置は、 前項の例でも述べた のであるが人絹の場合若干例外的に数本宛が殆ん ど同一位置で切断しているのは、 人絹の繊維が非 常に弱く、 共に個々の太さが均一 である為1本が切断されると其張力が其点で他の繊維に移り殆ん ど同一位置 で切断されたものと考える。 11 打撃によって切断された繊維の切口附近に網状の亀裂が羊毛、 木綿等にみられるのは、 これ が比較的粘性にとんでいるか、 若しくは全く逆に考えられるのであるが、 仮にもろいと見るならば 此網状亀裂は切断部外の所にもみられるはず であるが、 それは認められない故に粘性にとんでいる 為と考える。 尚この外に中軸に並行 な亀裂の生じた人絹等 は、 縦のみぞ或は筋のある為と考えられ る。. 12 羊毛の弾か性或は絹の伸張性等の減退率の甚 しいのは、 羊毛或 は絹等の原形の有するそれら 一般 的な問題 として当然うなずける所であ の高い性能 を失ぅは低い性能に比して中がある。 これは‐. る。. 13 打撃に対し絹は他のものよりも比較的減退の少いのは繊維が細く、 或は其数が多いので教本 の繊維が一諸に機構を受ける故個々の直接打撃を受ける機会が少い為と考えられる。 14 打撃によった場合一定限度に達すると強靭性 及び保温性等が材質の別なく殆 んど同様になる のは其機構の激しさから各サンプル本来の特質を全く失わせる為と考えられる。 V. 要. 摘. 理学的損傷機構として色々教えられるが結果的にみると、 其主なものは摩擦、 伸張、 打撃の3種 となり、 この中で打撃は性能の減退を始め、 諸変化を非常に促進させ、 即ち甚しく損傷せしめるが 現実の問題として本研究 で試みた様な打撃は吾人が被服生活を営むに非常に例の少い損傷機構であ. る。 これに対 し日常最も機会の多い損傷機構は摩擦であるが、 これを分析すると前述の様に伸張と 共に作用 し損傷せしめるのであるから、 この機構について考究する時には、 常に伸張なる機構も併 せて考えなければならない。 尚筆者は損傷の機構を単一 的にあつかって来たのであるが、 実際の場. 合はこれらのものは勿論、 その他広く理化学的な諸機構が有機的に作用 し合って、 かなり違った損 傷を惹起せしめるものと考えられるので、 これは今後の課題である。 一般に被服の損傷を云々する 時、i 性能の減退を指す場合と織物組織の変化を指す場合の2つがあり、 これらは多くの場合平行的. な関係にあるが、 必ずしも常に平行しているとは限らず、 場合によっては2者が全く相反する事も あるが、 如何なる時にあっても2者は常に密接な関連下にある故孤立的に考える事は許されない。 本研究は基本的なしかも比較試験を主体とした研究であるので、 比較試験の原則に従い比較対照 の要素以外はすべて同一条件に於て実施す べきであるが、 いきおい実学的にはしってサンプルを選. 択した為其比較 に当り絶対値を以てすることの出来なかった事は遺憾 であるが、 本研究に於て主な る傾向を把握しえたので、 これを基礎 と して更に逐条的に応用科学としての被服学発展に寄与し、 合理的衣生活への一助にしたい。 W. 1 紡織試験法理論と実際 繊維工業試験法 織. 物. 原. 料. 被服材料学 5 被服工芸学. 新 宮 大 菱 小. 井 坂 住 山 川. 幸 和 吾 衡 安. 参. 考. 女. 長 雄 八 平 朗. 一 86 -. 献.

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