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不登校の子どもをもつ母親のgenerativityに関する研究 : ナラティブ・アプローチの視点から

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Academic year: 2021

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(1)不登校の子どもをもつ母親のgeneratiVityに関する研究      一ナラティブ・アプローチの視点から一. 専攻. 学校教育学専攻. コース. 臨床心理学コース. 学籍番号. M10064D. 氏名. 六車則子.          問題と目的. に焦点を絞り,彼らがgeneratiVityをどのように.  本研究は思春期・青年期に不登校をしていた子ど. 発達させてきたかを考察した。generati枇yを明ら. もをもつ中年期の母親を対象に,. かにするには,物語の全体性をみる必要があり(西. E曲son,E.H.(1950)が中年期に顕著になる心理社. 山,2010),その全体性を維持する方法としてシー. 会的課題として提唱したgenerati㎡tyの感覚やそ. クェンス分析を行った。続いて竹家(2008)の方法を. の軌跡について分析考察することを目的とした。そ. 参考に分析した。. してその中で,彼女たちがわが子と向き合う際に抱. える困難や,現役割以外のgeneratiVityの感覚を.         結果と考察. 明らかにし,不登校の子どもをもつ母親の心理療法.  当事者の4名について,個別性を考慮した分析を. 面接でどのような支援が可能かについて,個々の多. 行った。ここではその中のAさんを提示する。. 様性の立場から検討する。その際,母親たちの経験. (1)子孫を生み出すという限局された意味での. やその捉え方は多様であるため,当事者の身になっ. プ壁リエ婚イヴ径イ. て経験の意味を捉えなおすナラティブ・アプローチ.  Aさんは子育てをする上で,親として「世間一般. によって当事者の理解を深め,個人差を考慮した援. の親らしくなかった」自分についての語りが見られ. 助について検討する。. た。子育でよりも仕事を優先させたことや,わが子 が不登校になったときも「それほど困ったことがな.           方法. い親」であったと語った。現在において,長男との. 研究協力者 過去に不登校をしていた子どもをも. 関係に困難はあるものの,これまでわが子以外に強. つ母親4名であった。. く向けられていたAさんのgenerativityが,今後の. 手続き ①書面でインフォームドコンセントをと. 不登校の親の会での学びを通してわが子へ発揮され. り,1回60分程度の半構造化面接を2∼3回行った。. ていくと考えられる。. ②対象者の了解を得た上で,全ての面接はICレコ. A うん,こぶん ’’1 皿してね,もう  たちだけで  おらんでもな,自分たちだけで生活できるというような一  人前になったら,まあもう親いらんわな(笑)。親の会いら  んわな(笑)。ね,だからそこまではきっと親の会は,今か  らひきこもりするんやけどな,ひきこもりの活動もするん. ーダーに録音した。③調査期間はX年5月半ばから 8月上旬であった。④調査場所は対象者の希望に従 って,対象者の自宅等,プライバシーの守れる場所 で行った。.  やけど,そこまではきっと親の会は必要やろうなあと。(略)  もう子ども,卒業してやな,自分が子どもでも産んだらな,. 分析方法 ナラティブ・アプローチの枠組みを用い.  孫でもできたらひょっとしたら,ね。これでもう親いらん  と思ったりもするけどね。そんなん,次世代な,次の,そ  れこそ時代までやっぱりこう引き継いでもらわんと卒業で. ることによって,不登校の子どもをもつ母親の内面.  きひんもんな。. 一136一.

(2) プ壁リエ婚イヴ種イと包括的な意味での雀ラ諸ヴ樫の軌 (2)包括的な意味での雀ネラ種ヴ径. 跡について:苦しみや停滞した状態から,自らアク. Aさんは,仕事や社会的な関心など,子育て以上. ションを起こすことで再生へと近づくことは,わが. により価値をおく事柄があるため,「個としてのアイ. 子の不登校という危機だけでなく,人生においてあ. デンティティ」と「母親アイデンティティ」の葛藤(岡. らゆる困難に遭遇したときに重要であることや,葛. 本,2006)があったことが語られた。. 藤を経験して発達するためには,停滞することや後. A:家庭生活が疎かになってるっていうのは頭ではわかって. 退することは必ずしもマイナスではないことが示. るんやけどね。どうしようもない,それね。両方完壁にやる. 唆された。. のはそれは無理やからね。どっかで,手を抜かなしゃ一ない. (2)現在における子孫を生み出すという限局された. な。うん。. 意味でのプ壁リエ種イウ栓イと包括的な意味での. I:そうなった時にまあ,人の. 雀ラ諸ヴ径について:研究協力者が,他者の. A=うん,ついついだから仕事にね,力を注いだんやろうね。. generatiVityの行動からよい影響を自分に取り入.  社会的活動について,Aさんは,わが子が不登校. れて行動しているということから,他者の行動を柔. になったことで親の会の役員として約10年間活動. 軟に取り入れる姿勢は,自分のやり方だけに留まっ. してきた。当初は,r自分の子どものことで会を行う. て自分本位な行動に陥ることを防ぐと考えられる. のはしんどかった」と語り,親の会に積極的になれ. ことが示唆された。またgenerati杭tyの行動は,. なかった。しかし,その中で不登校について学習し. 共同する相手がいることで活性化され継続される. たことによって,現代の子どもたちは子どもらしく. 可能性が考えられた。. 育つことが出来ない危機的な社会環境にあると感じ. (3)語ることによるインタビュイーの気づきと意味. たとAさんは言った。そして,不登校問題について. づけの変化:研究協力者全員が,わが子の不登校の. 文化的に研究するというような次世代のための創造. 経験を肯定的に意味づけた理由として,彼女たちの. 的なgeneratiVityを語った。. 現在の生活への満足感や精神的健康度,本研究参加. A1今私な, 育文化っていうんかな, 育文化研九みたいな. への動機づけの高さが関連していると考えられた。.  の,本当はしてみたいなと思ったりするけど。(略) I:すごいですね,さすがですね。熱心に。. また,インタビューの中で研究協力者にネガティブ. A熱心というかな。乱やっぱり子どもが好き,好きというか  な,子どもが好きで○O(職業名)になったんやからね。  やっぱり子どもの危機はなんとか救ってやりたいと思うや. な気づきが生じた可能性があったが,それが語られ なかった理由として,筆者との関係性が関連してい.  ん。そういう点では危機的やね,これから。. Aさんのgenerativityは,わが子の不登校の前か らわが子以外の子どもに強く向いていた。そして引 き続きわが子以外の次世代の子どもにその思レ)は向. ることが示唆された。. (4)不登校の子どもをもつ母親への支援:研究協力. 者の語りから,わが子の不登校の経験のなかに共通 して見られた主な困難として,個としてのアイデン. けられていると考えられる。. ティティと母親アイデンティティの葛藤と子育て における上の世代からの影響,教師と親の関係が存.          総合考察  総合考察では,研究協力者の結果の共通点や相違 点について比較・検討することで,generatiVityに. 在することが明らかになった。そこから,それぞれ. について心理臨床学的な観点から可能な支援につ いて考察した。. ついての理解を深めた。. (1)子孫を生み出すという限局された意味での.            主任指導教員(辻河昌登)              指導教員(辻河昌登). 一137一.

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