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中日における語意の異同

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Academic year: 2021

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(1)Title. 中日における語意の異同. Author(s). 池澤, 稔; 何, 宝年. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. A, 人文科学編, 45(2): 61-69. Issue Date. 1995-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4317. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 育大学紀要 (第1部A) 第45巻 第2号. 平成 7年3月. i do Un i i fEduca i Se i t l t t ofHokka ver s on( c onIA)Vo yo -45 .2 ,No. March , 1995. 中 日 に お け る 語 意 の 異 同 池. 運. 稔 ・ 何. 宝. 年. らい 漢字が日本に伝わってからすでに千数百年を経過している‐ 漢字がなければ成り立たないといえるほど日 語 に は多 く の 漢字 が用 い ら れている‐ 同 じ文字 を用 い ている こ と によ っ て 中 日両 国の 人々 は相 手 の 話 し ,. いることば (音声言語) の意味がたとえ分からなくても, 筆談 (文字言語) を通してコミュニケーション を図ることができるという考えをもつことは自然なことである‐ しかし 時代の変遷と社会環境の相異は , , 語 (漢字) の表わす語意・用法の違いの幅を大きくしていったと考えな ければならない. 用語の共通点と, 表わす語意や用法の共通性とが同等であると安易 に考えることは 適切なコミュニケ- , シ ョ ンを行 なう 上 で逆 に支 障 となる こ と を意 識 してお か ね ばな らな い‐ 中日両 国の 人々 の今後 の 交 流 がス ム ー ズ に行 な わ れる こ と の 一助 にすべ く 中日 両 国で用 い られている こ ,. とば (漢字構成の用語) の語意・用法について調査・分類を行ない その異同について考察する , ‐. 1. 研究の経緯. 1. 用例の収集. 用例を次の手法で収集した‐ 朝日新聞と北海道新聞の二紙 (朝刊) のすべての記事の中から きわだった特徴をもっ と私が判断した用 , 語を摘出した‐ 期間は, 平成5年10月から平成6年5月までの8か月間である‐ 日常生活で私が経験した会話に出てくる用語の中から, きわだっ た特徴があると私が判断したものを取り 上げた. 2 語意・用法の確認 次の辞典によって語意・用法を確認した‐ 『大. 辞. 林』. 三. 省. 堂. 『日 本 国語 大 辞典』. 小. 学. 館. 『大 漢和 辞典』. 大 修館 書店. 『中 日 辞 典 』. 小. 『中 日 辞 典』. 北京商務印書館. 3. 分. 学. 館. 類. 収集した用 語の語意・用法の特徴 に基づいて 次の二類八群に分類した , ‐. 語順が逆で語意が同じ用語 ①. 語意が同じか, 類似している二つの漢字で構成された用語 61.

(3) . . 池 洋. ②. 稔 ・ 何. 宝 年. 語順の相違が両国の文法の相違による用語. 〈二類〉 基本の用語と語順が同じで, 語意が異なる用語 (注; 「基本」 の概念は, ここでは 「本字」 のこと であ る). 基本の語意は同じであるが, 敷街された語意や比輪的な意味が相違する用語 ④ 用語の一部の漢字の語意が異なることによって, 全体の語意が相違する用語. ③. ⑤. 品詞が異なることによって語意が相違する用語. ⑥ 用法に枠組みがある用語 ⑦. 発音が異なることによって語意が相違する用語. ⑧ その他 (語意の重心の違い, 特徴のなさ). ロ 用. 語 例 (注:提示順は中日の順である). 〈一類〉 語順が逆で語意が同じ用語 ①. 語意が同じか, 類似している二つの漢字で構成された用語 和平. 命逼. 介鍔. 牧要. 砧研 ・. 圧抑. 平和. 運命. 紹介. 買収. 研錯. 抑圧. 劉 船. 「樵 遥. 朴素 「 . 「牌位 . 「洗 慰 . r告誠. 」慰撫. L . 紛糾. 」運搬. L素朴. L位 牌. . 戒告. ‘. 遺漏. 悪劣. 秩累. 漏池. 劣悪. 累積. 「容 許一. 苦 「痛 . 「称呼. L許容. 」苦痛. 」呼称. . . 驚〔 麗 噛 霊 霊〔 書〔 墨 夏曝 噛 絵〔 裏 墨 纂[ ② 語順の相違が両国の文法の相違による用語. 三 蓋〔 喜 憂 喜 甚震 轟 膏壇 覇 蟻 〔 養〔 埋 三 〈二類〉 基本の用語と語順が同じで, 語意が異なる用語 ③ 基本の語意は同じであるが, 敷宿された語意や比嚇的な意味が相違する用語. ご 言豪=す す 重 〈議漉: 二 二 三ニーニず 圃 滑 わ な い).. 束争議 難題誓鰯 醤萱 結 著整え繋駕す こ 跳・ る. つ い ( し ず 豊麗 も ; ; 三雲』 墓園 喜豊三冨三 毒三 宝 驚 錦 繍 < 、 て い う).. りしている一丈夫だ ‐ ’壮健だ 結責4 叢 1餐に 雛 塾菱議 蒙. ‐ こが 至 蚤 篠慧夏 喜義簾 璽蚤 蒸 董墓 愛<萎 一M. 勲 ぽ たと .. i 身4霧憲三無裏議題二罫線蟹憂欝素養禦ぎ 韓 : 62.

(4) . 中日における語意の異同. せを求める一華美である ‐ ,豪華である 考究<室 霧 誓言呈 が 蔓憲三 r. 労連;箆車も、 鉄 豊 言 電 面<裏 書麗晶驚喜渓谷 美 麗 蓄 美驚懸義 三 発 . 挫傷. く董覆 重 驚 喜 ※. 収 鰍<=. 一意欲 ‐ ,勢いなどをそぐ ,くじく .. ちぢむ, ちぢめる ÷→(笑顔や光線などが)消えてなくなる, 言行を慎しむ, おとなしくす する‐ ち ぢむこ と, ち ぢめる こと.. 1 罵驚董 馨 ;麗二霧 島 島覆琵 議会著ご 華麗驚直 畳ま と ‐ 鼓 動く董譲蔓騒ご1驚喜霧繋ぎ農業為事務繋争. 奔. こと, 鋪. え動 かす こ と‐. 出扶. 出頭< 出頭 出会. 頭を 出す ÷→ 顔 を出す, 先頭 に 立 つ, 困難 を脱する, ち ょっ と上 回る, 端 数 がつく‐. 頭を出す ÷→官庁などの呼び出しを受けて出かけること, 他より抜きん出ること, 立身出 世する こ と, 主 君 の そ ば近 く つ とめる こ と‐. 重鎮 軍事上の重要な都市, 要衝 -→軍権を持って要職についた重臣 (古典) ‐. 重鎮 < 鹸. 軍事上の重要な都市, 要衝 一 ある団体・社会などで重きをなす人物, 大立て者.. だ ん も を そ 明 ら か の す に る ‐ 掲 禦公言三重隷蔓 示<電 延電 車蒋;禦ぎ ; 星 美 善三ひ ④ 用語の一部の漢字の語意が異なることによって, 全体の語意が相異する用語. く;鰯三島 型メ 急 用 豊麗金 ー 信 心<置 き 編 :庵 麗 騒:基 も よ うと )ひ そか にた くらむ ‐ 暗 算<竃雛 詩 錆 一喜誓書奇警 饗し 理 髪 琴 た な,職務上の怠慢又は過失 ‐ 失職<く美麗 距 麗 墨 守果 さ い. *凝墨漉遡よ る 耽 のん 縁 公 約<禦夏談議』乗 言ぎ躍塁 誓 車 言驚喜謬- 三島豊 量 当 せ 覆 美樹る こ 縁故. な. とを約束 した政策.. を 」 = 下 る ‐ ’ 水<事 下 業 ≦ 徴会 費を裏 至 蓋 蔓 言 善雄某 ¥慧 @) え ら る 参. 較K馨麗 養喜義盈豊麗蔓もの . 嫉用“醐 蹴に鋤る.獅 嬬 と最低の差, 日較差, 年較差など‐. 63.

(5) . . 池 潔. 宝 年. 稔 ・ 何. こ鵠霧 ぎ 意<; 蔓 に蟹そ 含も燃 繍 粉肘磁 合 蓋 ‐ 書熱鑓. 架< 墨 行 1 軍簾 藷言需芝 山驚喜. 三 重 痛 斥<裏繁ョ誉 美 喜 もぎ豪 ; と. え が く つ. 宝 至 墓ニ」 冨 翻 案 豊 三=冨茎 ふ 壷 さ え 〈慧三 え -. す.. ;& 蔓墓踊躍#¥ 蹄 還<罵 む る ‐ ’~≠の 求 人<嚢 炎藁談 蛋 炎 暑還す. 言 辞 退<麗 涯冒 す警 璽 を誓 1 デ議そ そ欄繍 織 繍ぶ. .. 聯 覇欝喜ず 合 : 仕. 隔壁. 言なで呈 軍脇圭 無く盈 主客ニヤ 露繁塗 誉 淀 ヒ も慶 繁ら調蝋除“ 物 をね だる こ と, 心 に わ だかま り のな い こ と, 雑 念 や 欲心 のな い こと‐. ⑤ 品詞が異なることによって語意が相違する用語. ( )聞き苦しい ( 音声が 聞きづらい 言葉が祖野で , ,耳障りである , ,聞こえ嬬い 難 く 茎三富. 外 聞 が 悪 い‐. 聴力 が低下 した 状態‐. 差 別4霧 ≦ 警 鐘豊麗’ 葦簾≧繋議決継 ; (動). 轍 いけ. またその扱い‐. 成 年 の男 子, 夫, 主 人‐. 丈K姦も が. っ蹴 凄か 鞠 ない 酬 ’離r憲一 老<喜 茎雷 ≧重 古 ℃ 勘 よ よ. い. ま, い. “ - ま ‐. ‐. 面 と 向 か っ て, じ か に.. 当 面4書留も靭. に. ・ぽい破 き 蹴 悌 始.. ‐. る 念4重曹 想 ≧ 鴇 醸 翠冬 もご . 成就(名). 成 就<. 業績, 重大事業の達成, (事業を) 達成する, 成し遂げる‐. (他動). 成就(自動) 願いなどがかなうこと, 物事が朔 王んだとおりに完成すること‐. 64. こ と,.

(6) . 中日における語意の異同. 覚く雛墓鷹を喜ぼメ 憂 さ ら 煉 鰍概‐ 憂現. く つ け る 友 ‐ ,見 言畳語 言 麦 費信認裏 声脇要. 迫4豊麗鷹蟹 驚 離 盈 驚喜も 繍 獅 磁‐ 逼 せ さ る ‐ 艇 4墓園 蟻曽墓雑 多 立腹. き 言 墓冨晶蟹連覇豊艶,嘘二 縄<驚. -. 劫(自動) (感情が) 高ぶる, 興奮する, 感動させる‐ (他動). 激 動く=. (名). 激しくゆれ動くこと, 特に社会情勢などが急激に変化すること‐. (自動) ⑥ 用法に枠組みがある用語. る 樹立する )形成する 関係を ‐ ,( ,確立する 建立<窪ま 肇冨 嚢 三吉蓬 鑓 ぎ ,. 献 花<雛 韮 室躍 撒る 書 こ. ・. 境 内<麗 麗雪靴蔓醸 饗整蕎麦な , ‐ 引 導<豪毅亨 ぎ ;急ぎ 蜜饗宴え ・ f 主審墨 も もま餐爾 」綴れ .臓“ , 入るように法語を与えること, 案内, 導くこと‐. 相. 彊雛瀞豪華豪華瀞驚 冨喜義誓言選な鼻あ る対. “ いう, 顔 かたち, 表情‐. 喚く議 題綴喜戸毎慰留寿 召 ぎ 豊 普型 麗 爺 雲隆義 富 髭議事購護れ た 所に出頭を命ずること‐. 告 訴<喜 義 躍』 裏 表 品 関冨も .廠. し獅蹴綿識. 紙 用 ‐ 俸 票4露呈 養鶏舘野雛金 品 害 茎麗筆義三 鳥驚冨た ( 手都農星 受 理<藁 葺 警 裏 雲董憂欝建と .. ける2.. 主 ) ‐ 槍討<驚喜 麗 蟹 暴言薯;;≧¥毒し研究する(に学術上のものを対象とする 65.

(7) . 池 湯. 稔 ・ 何. 宝 年. 用い ) る ‐ 千に 伎偏<雛 島 磨 ぎ 永 島(蔓三 ,. 厳重く扇書 就こ喬 連 龍 選 警. 告など ‐ ,由々しい ’重大である ’ひどい ’ 測である. た す ‐ 繊<蓬 豊霊蜜蜂藷夏緊巷弱蒙塵き . 案 見 . ,意 言〆,提 議《 滋 蒙 躍筆 主語誓 建 た た ま く や っ ‐ 三 ÷ 好 球4叢書 重=〆 ; 品溌墨 書 ⑦. 発音が異なることによって語意が相違する用語 i i any p. 宜4 便. 値 段 が安 い, 安価 であ る,(労力 によ らな い)得, ち っ ぽけな利 益, 目先 の利 益, う ま い 汁,. (懲らしめずに) 穏便にすませてやる, (当然被るべき損を被らずに) 得をさせてやる‐. ‐ i any. 適宜 (に), 臨機応 変 (に).. ぐん ぎ. 都 合のよ いこ と, 便利 のよ いこ とそ の とき どき に応 じたや り 方, 特別 な は か らい.. a I a J. み んな, みな さ ん, 著名 な作 家や 芸 術家, 名 門, 名 家.. たいか. 金持ち の家, 巨 匠, 大 きな家, 学問 ・芸 術 技能な どの面 で特 ぐれ名 声の 高 い 人, l 十 十 f f ” にす 十= = … ・ lrー. 大家. 家 柄 の よ い 家.. おや 貸し家の持ち主, 家主. ao. 本場 の, 名 産地 の, 正真 正銘 の, 真 実の, 生粋 の, 本物 の, (仕 事 が) 確 か である, しっ か り し て い る, よ い‐. ao. 地 下 道.. 手堅く着実に物事をすること, 地味で堅実なさま‐ どう 大地に備わった道理, 大地の法則, 地下道, トンネル, 地球の運航する道‐ 6n f u (費やされる) 時間, 暇, 方, とき, 技量, -腕前.. じみち. くふう. 工事で働く労働者. その他 (語意の重心の違い, 特徴のなさ) こうふ. ⑧. 66. いろいろと考えてよい手段を見いだすこと, 考え出した方法, 手段, 禅宗で修行に励む こと, よく考え研究すること..

(8) . 中日における語意の異同. 念 墓零落鋤豪農÷ 頭く壷麗 .. 書状・詩歌などの返しをすること, またその返事や返歌, 酒席での杯のやりとり‐. る ‐ 怠 ;萎え 至欝 嚢 璽 謙三ぎあ 慢4 驚喜 萱夢夏 . 三 心<貫 主 用 迄盈茎 裏 金溌墾麗ら :芳 青まぎけ を 書 く ‐ 票<護 憲一義こ豊墓 灘喜義轡ど 開. る ‐ 庭《駿 留重曹盗 禦ぎ 孝 す. 敷 え驚喜驚なさ 衛<驚冴 董誕言豊 富 冬嘉会圭 三 字 唇 萱 葺 ¥ 島耀三 墓 参 りやすく詳しく説明すること.. 意 を 与 え る ‐ ,注 提 示4 語尾 峯選ま 会議呈 童燦ご ろ し. 合 同<;腔鵠 蜘 淋 M一触. ことま た. ‘する こ. 意<豊繋誓ぶ 盗 * もめ 馴 黙 噛とり誠 用. 得 体雀篠 璽塾雛 塾塁審拳る身榊場脇 凱い. ・. こと 獅 は く .. 供 感4 鰯豊麗…烹翼甑奇こ と .. うやら ,生活状態 ,ど ‐ ,ころ ’くらい 光景 4 欄!談 驚 濃 謬驚喜 繋 湯元メモ 経済. 政 社 や 府 機 関 ・ 会 体 など 団 力瀬棚. 団 体 活 動 情 況 又 に 報〈豊 麗蕪誓 綴 喜喜憂 通 は経験や教訓を知らせる文書) 回状, 回報, (科学研究の1叡兄や成果を報道する雑誌名) .. 作 篇4 嬢 雑言 言挙震 壱辛 島 i 完登 ,窪ぎ くりコ メ. こ と, こ しら. えること, 人の行為のう ち積極的な行為・挙動 (法)‐. 解<手 了 蔓奉 ぎ 書』客 す 車盗壷 重一 身 交代<1 需. る‐. 二. 言. ニ. るこ. 僻 めこと , 甑 “. 鍛‐. る言い聞かせる説明する ナ ,はっきり述べる ,釈明す. 67.

(9) . 池 淫. m. 考. 稔 ・ 何. 宝 年. 察. 用語が漢字によって構成されているものをみると, 漢語をそのまま導入している場合と日本語の語順によ って構成している場合とがあることがわかる. 漢語をそのまま導入している場合には, 時代の変遷等による 語意・用法の相違が生じることは必然としても, 基本的な語意の共通性は失われることはないと考えられる. それに対して, 日本語の語順で構成している用語の場合は, 一つ一つの漢字は同じであっても用語としての 語意・用法は基本的に日本語であるから, 中国語との共通性を求めることは困難である‐ したがってこの種 の場 合に は, 筆 談 による コミ ュ ニ ケー シ ョ ンの成 立 を 図る こ と は難 しいと 考えな け れ ばな らない‐. 基本的な語意に共通性があるものの, その語意から他の語意が派生する過程には, 民族性や生活習慣, 自 然.風土の特性とのかかわりがあることを十分考慮しなければならない. ことばが文化であるといわれるゆ えんもそこにあるわけであるから, 漢語をそのまま導入した用語であっても, その用語はことばとしては日 本語になっている事実を踏まえなければならない. 日本語として定着する過程において新たな語意が派生す る 状況 につ い て は, 別 の機 会 に調 査 する こ と に したい.. ことばを使用する際に品詞を自覚する作用が両国民の間で大きな相違を示していることは興味深い‐ 語順 によって文中における語の役割 (動詞・目的語等) が定まる中国語に対して, 日本語では他の語との連続の 役割をになう活用形や助詞の存在によって,語順にかかわりなく文中にお・ける語の役割を示すことができる‐ したがって語順は多分に窓意的でありうるようにみえるし, 品詞 (文中における語の役割) も, イメージや 論理の都合に合わせて, 特定品詞化の語尾をつけることによって自在に変身していく‐ このことは, ことば の可能性を広げているようにみえる一方で, 表現されているはずの内容を暖味にする ということにもつなが っ て いる と思 わ れる‐. 日本語には使用範囲の限定さ れているものがある. いわゆる 「役所こと ば」 が卑近な例であるが, この 「役所こと ば」 には使用範囲の限定というほ どの特異性があるとは思われない‐ ところが 皇室に関するこ , と, 宗教に関することゾ 法令に関することにおいては, そのこと以外に用例 はないと断定できるものがある よう であ る‐ この 種 の用 語 には 一部 漢語 に由来する も のもあ る が, 筆 談 に よる コミ ュ ニケー シ ョ ンに は困難. な部分であると考える‐ 価値判断を含む用語は中国においても日本においてもみられるものである‐ 価値基準が文化に根ざすもの と考える立場からすれば, 同一の漢字を用いた用語が示す事柄や状況が必ずしも同一のカテ ゴリーにくくら れるという保証はないことになる. むしろ文化の相違から全く逆の判断を含む用語になる場合もある と考え ることの方が自然である. 日本語は音声言語の際のアクセントやイントネーションに無頓着である という印象を受けることが多い. 例 え ば 「は し」 や 「あ め」 とい っ た同音 異 字 の語 に お い て は, アク セ ン トを意 識 している 面 も感 じられる が,. ほとんどの場合同音異義語の特定化はコンテクストに依存しているといえそう である. アクセントやイント ネーションに対する無頓着性は, 日本語が音声言語としてよりも文字言語として, より機能しているという ことを感じさせる‐. 誘. 詰. Pロ. 用語の収集が十分ではなく, 今後その量を多くすることによってより精細な分類が可能になるものと考え る.. 中国における略字化, 日本における常用漢字 (使用制限) や外来語・専門用語のための新造語など, 漢字 68.

(10) . 中日における語意の異同. の変質を実感する面も多い. こう した変化も, 漢字が本来もっている 「表意・表音」 という機能及びその機 能から生まれることばとしてのすぐれた造語性や記号性に依っていると考えられる‐ 漢字のもつこう したす ぐれた特性は, 読み書きの困難性という負の特性を補っ てあまりあると考える. 本稿で取り上げた漢字用語における語意・用法の相違の分類が, 中日両国民の適切なコミュニケーション の成立に役立つとすればこの上ない喜びである‐. 付. 記. 何宝年氏は, 中国南京師範大学から本学旭川校に研究生 (日本語・日本文化研修留学生) として, 19 93年 10月 か ら1994年 7月 ま で の10か月 間留 学 した‐ 研 究テー マ は, 「中 日 にお ける用 語 の 語意 ・用 法の異 同」 ‐ 漢. 字, 熟語の意味の異同だけでなく, 動詞や助詞の用法が語意と密接にかかわっている点についても, 用例を 収集 して 明 らか に しよう と して いる‐ 本稿 は この 間の研 究 の成果 の 一 部 をま とめたも のである‐ 大方 の御 叱. 正を請う. (池運) 本稿を書くに当たっ て, 旭川校の教官各位の御指導とともに, ホームステイその他旭川市民のみなさんの 温かいはげましが大きな支えとなりました. 記して感謝の意を表します‐ (何) 1994年 7月 (池 運 : 本 学 教 授 旭 川 校). ( 何 : 中 国南 京 師範 大学 講 師本学 旭川 校研 究生). 69.

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