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保育者の専門性に関する研究 : 保育における「間」に着目して

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Academic year: 2021

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(1)  保育者の専門性に関する研究. 一保育における「間」に着目して一 学校教育学専攻 幼年教育コース.    M10013J    岩崎成美. 1.問題と日的. 2012年6月から2012年8月に2歳児及び昨年.  子どもと保育者の関係によって保育は成立し. 度と同じ保育士(11年目)を対象とし、総計13. ている。その中で、保育者が身体全体から習得. 回、午前中を中心に約2時間の観察を行い、筆. した感覚を生かして子どもと関わることによっ. 者がその場で筆記記録した。観察後にインタビ. て通じ合い、両者の関係はより一層深まってい. ューによる保育者との保育の振り返りを行い、. くと考えられる。保育者は、保育の場において. 話し合いの内容はボイスレコーダーで録音し、. 常に子どもへの援助を考えている。その援助は、. 逐語録を作成した。. 表面にあらわれるものばかりではなく、表面に.  第2章の保育者へのインタビューについては、. あらわれないものもあり、その中に保育者の専. 2012年6月から2012年8月に筆者が6名の保. 門性が多く含まれているのではないだろうか。. 育者と個別でインタビューを行い、内容は、ボ. それは、保育における時間的な「間」と空間的. イスレコーダーで録音し、逐語録を作成した。. な「間」を生かす保育力ではないかと考えた。. 3.結果と考察.  そこで、本研究では、保育における「間」に.  第1章では、保育観察記録及ぴ保育者との保. 関わる保育者の思いを浮き彫りにし、それがど. 育の振り返りから保育者の援助として「閻」が. のように保育者の援助に関係しているのかとい. 読み取れる場面を抽出し、16事例を構成した。. うことに迫りたい。つまり、保育における「間」. それぞれの事例において、保育者の援助として. とは何かということに着目し、「問」から読み取. のr間」に関わる箇所を抜き出し、r間」と保育. れる保育者の専門的な援助力、専門的な保育カ. 者の思いについて考察した結果、複数に共通す. を探ることを目的とする。. る内容が導き出された。その内訳は、「保育者の. 2.研究方法. 揺らぎ」が4事例7場面、「保育者の判断」が5.  筆者の保育観察記録及ぴ保育観察に登場する. 事例16場面、「保育者の願い」が4事例10場面、. 保育者へのインタビュー結果を基に分析を行う。. 「保育者の挑戦」が3事例9場面であった。. (第1章)また、これとは別の保育所保育士及.  保育者の内面に揺らぎがあり、それが「間」. び幼稚園教諭へのインタビュー結果に基づく分. となってその中で子どもへの関わりが考えられ、. 析を行う。(第2章). 判断が呼び起こされる。「閲」は、保育者の援助.  第1章の事例については、H県下保育園にお. が停止している状態ではなく、保育者は、r閻」. いて、2011年8月から2012年2月に3・4・5歳. に願いを詰め込み、「間」を生かして新しい関わ. 児(縦割りクラス)及ぴ1名の保育士(10年目)、. りに挑戦するのである。保育者は、保育を通し.

(2) て子どもとの関わりを身体全体で覚え、子ども. 者は、その場その場でその状況を把握し、対応. とのつながりを感じることでr間」を生かすこ. しなければならず、瞬間的な判断が必要になる. とができ、r間」を生かすことによって、より一. 場合もある。保育者は、日々の実践を通して、. 層、子どものことを知るのである。事例的考察. 身体全体で培った感覚によって子どもへの関. により、保育者と子どもの関わりにおいて、保. わり方を判断するのであろう。. 育者が生み出す「間」の影響力の大きさが感じ.  従って、保育の申で保育者がr間」を生かす. られ、保育者は、子どもとの信頼関係を築くた. ことは、専門的な知識や技術だけではない判断. めに「間」を生かしていることが窺えた。そし. 力が深く関わっており、保育におけるr間」を. て、保育者が時間的な「間」と空間的な「間」. 生かす保育力が保育者の専門性につながると. を生かすことによって新たに雰囲気的な「間」. いえるであろう。. が生み出され、子どもと保育者の関わりに作用.  研究結果より、保育者が「間」を生かして行. するのではないかということが示唆された。. う保育行為の中に、意味深いケアの要素(メイ.  第2章では、保育者へのインタビューによっ. ヤロフの所論による)が含まれているのではな. て保育者が考える表面にあらわれない援助と. いかということが示唆された。また、本研究で. は、主に見守ることと待つことであることが浮. は、保育におけるr間」を時間的なr間」と空. かび上がってきた。保育者は、子どもと信頼関. 間的なr閻」に着目して考察してきたが、研究. 係を築くために、表面にあらわれない援助を行. を進めていく中で、雰囲気的なr間」があらわ. い、信頼関係が築けると表面にあらわれる援助. れた。時間、空間、雰囲気は、環境の代表的な. を行うパターンと、信頼関係を築くために表面. 要素であり、「間」の問題は、保育における環. にあらわれる援助を行い、信頼関係が築けると. 境の面からも考察ができるのではないかと考. 表面にあらわれない援助を行うパターンがあ. えられる。さらに、「間」というものを子ども. ることがわかり、保育者は、子どもとの信頼関. と保育者のあいだにあるものとして捉え、子ど. 係によって表面にあらわれない援助ができる. もと保育者のあいだにある時間と空間という. だけではなく、表面にあらわれない援助をする. 「間」の意味を探ってきたが、「間」というも. ことによって子どもを理解し、信頼関係を築い. のが情緒性を帯びていることが見えてきた。時. ていけることも捉えられた。. 間的な「間」と空間的な「間」から子どもと保.  第1章と第2章から表面にあらわれない援助. 育者のあいだに漂う情緒的な「間」が生み出さ. としての「間」を生かすには、子どもと保育者. れていると考えれば、時間的な「間」と空間的. との信頼関係が深く関わっているということ. な「間」は次元の異なるものとは言えないので. がわかり、保育における「間」のもつ情緒性が. はないだろうか。子どもと保育者のあいだにあ. あらわれた。保育においては、子どもと保育者. る情緒的な「間」について考察していく必要が. の情緒的な関係が重要であり、保育の中でr間」. あるだろう。以上の点については、今後の課題. を生かす力が保育者の専門性としての保育力. としたい。. に関わっていると考えられる。現場では、子ど.     主任指導教員 名須川知子. もの動きに合わせて常に状況が変化する。保育.     指導教員名須川知子.

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