保育者の専門性に関する研究 : 保育における「間」に着目して
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(2) て子どもとの関わりを身体全体で覚え、子ども. 者は、その場その場でその状況を把握し、対応. とのつながりを感じることでr間」を生かすこ. しなければならず、瞬間的な判断が必要になる. とができ、r間」を生かすことによって、より一. 場合もある。保育者は、日々の実践を通して、. 層、子どものことを知るのである。事例的考察. 身体全体で培った感覚によって子どもへの関. により、保育者と子どもの関わりにおいて、保. わり方を判断するのであろう。. 育者が生み出す「間」の影響力の大きさが感じ. 従って、保育の申で保育者がr間」を生かす. られ、保育者は、子どもとの信頼関係を築くた. ことは、専門的な知識や技術だけではない判断. めに「間」を生かしていることが窺えた。そし. 力が深く関わっており、保育におけるr間」を. て、保育者が時間的な「間」と空間的な「間」. 生かす保育力が保育者の専門性につながると. を生かすことによって新たに雰囲気的な「間」. いえるであろう。. が生み出され、子どもと保育者の関わりに作用. 研究結果より、保育者が「間」を生かして行. するのではないかということが示唆された。. う保育行為の中に、意味深いケアの要素(メイ. 第2章では、保育者へのインタビューによっ. ヤロフの所論による)が含まれているのではな. て保育者が考える表面にあらわれない援助と. いかということが示唆された。また、本研究で. は、主に見守ることと待つことであることが浮. は、保育におけるr間」を時間的なr間」と空. かび上がってきた。保育者は、子どもと信頼関. 間的なr閻」に着目して考察してきたが、研究. 係を築くために、表面にあらわれない援助を行. を進めていく中で、雰囲気的なr間」があらわ. い、信頼関係が築けると表面にあらわれる援助. れた。時間、空間、雰囲気は、環境の代表的な. を行うパターンと、信頼関係を築くために表面. 要素であり、「間」の問題は、保育における環. にあらわれる援助を行い、信頼関係が築けると. 境の面からも考察ができるのではないかと考. 表面にあらわれない援助を行うパターンがあ. えられる。さらに、「間」というものを子ども. ることがわかり、保育者は、子どもとの信頼関. と保育者のあいだにあるものとして捉え、子ど. 係によって表面にあらわれない援助ができる. もと保育者のあいだにある時間と空間という. だけではなく、表面にあらわれない援助をする. 「間」の意味を探ってきたが、「間」というも. ことによって子どもを理解し、信頼関係を築い. のが情緒性を帯びていることが見えてきた。時. ていけることも捉えられた。. 間的な「間」と空間的な「間」から子どもと保. 第1章と第2章から表面にあらわれない援助. 育者のあいだに漂う情緒的な「間」が生み出さ. としての「間」を生かすには、子どもと保育者. れていると考えれば、時間的な「間」と空間的. との信頼関係が深く関わっているということ. な「間」は次元の異なるものとは言えないので. がわかり、保育における「間」のもつ情緒性が. はないだろうか。子どもと保育者のあいだにあ. あらわれた。保育においては、子どもと保育者. る情緒的な「間」について考察していく必要が. の情緒的な関係が重要であり、保育の中でr間」. あるだろう。以上の点については、今後の課題. を生かす力が保育者の専門性としての保育力. としたい。. に関わっていると考えられる。現場では、子ど. 主任指導教員 名須川知子. もの動きに合わせて常に状況が変化する。保育. 指導教員名須川知子.
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