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第2章 必修教科等の研究 10 学校保健 睡眠に関する保健指導の展開-セルフマネジメント力の育成を目指して-

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Academic year: 2021

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学校保健 

 学校保健



睡眠に関する保健指導の展開

 -セルフマネジメント力の育成を目指して- 藤本 理沙子            1.主題によせて (1)はじめに 近年の社会情勢の急激な変化が子どもたちの心身 の健康に与える影響は非常に大きい。心理的なスト レスや悩み,いじめ,不登校など心の健康問題が多 様化かつ複雑化しており,その問題解決に向けて学 校が組織的に対応していくことが求められている。 そしてこの先も社会は変化し続け,その都度新たな 健康課題が顕在化してくると予想される。心身の健 康を保持増進しようと意識したり行動したりするこ とはセルフマネジメントのひとつであり,どんなに 社会が変化しようとも生涯にわたって普遍的に問題 解決を図っていく力になると考える。 セルフマネジメント力の育成において,最も大切 なのは基本的な生活習慣の確立である。人はまず身 体があって,心がある。規則正しい生活習慣を送る ことで身体の健康の保持増進を図り,その上でスト レスへの対処法を身につけるなどしてメンタルヘル ス面を管理することが,心身共に健康であることに 不可欠であると考える。 ストレス社会と言われる現代で,子どもたちが生 涯にわたってたくましく自分らしく生きていくため の力を身につけさせたい。そのために,生活習慣の 確立とメンタルヘルスの2つの面から指導していき たい。  (2)本校生徒の実態 本校生徒の健康課題の一つとして,就寝時間が遅 い生徒が多いことがある。通塾等で帰宅時間が遅く, 日を越えてから就寝する者も少なくない。 また,試験前や学校行事等のときには,その対策 や準備に睡眠時間を削って取り組んで体調を崩し, 保健室で休養する者や欠席する生徒が毎回必ずい る。学習面や進路,人間関係の悩み等によるストレ ス反応として身体症状が表れるケースも少なくな い。 保健室に来室した生徒に対して,身体の不調の要 因を考えさせたり,睡眠をはじめとする生活習慣が 身体や心に及ぼす影響について話すことは,日々個 別の保健指導として行っている。その際,自律神経 の働きや仕組みを説明しながら心身の健康状態を自 己管理していくポイントを伝えるようにしている。 中学生で自律神経について理解している者はほとん どおらず,関心を持った様子で聞く様子や納得した ような表情が伺える。このことを,個別の保健指導 にとどまらず,集団の保健指導へ拡げ,今まで取り 組んできた睡眠に関する保健指導につなげたいと考 えた。  (3)昨年度までの取り組み 睡眠に関する保健指導の実践は,今年度で3年目 となる。 平成24年度より1,2年生を対象に睡眠に関す るアンケート調査を実施している。アンケートから, 学年が上がるにつれて睡眠状態が悪化する傾向が伺 え,また,日中の眠気等への影響は睡眠時間の短さ だけで説明できないという結果から,平成25年度 には睡眠の質に着目した授業を実践した。*1 平成25年度のアンケート調査では,インターネ ットの利用状況から,非依存群よりも依存傾向群で, 本論の要旨 急速に変化する社会の中で,子どもたちが生涯にわたってたくましく自分らしく生きる力を育てるた め,健康教育の充実が求められている。時代の変化に伴い,新たな健康課題は次々と顕在化してくるが, 社会がどのように変化しようとも普遍的に問題解決を図っていく力となるのが「セルフマネジメント力」 であると考える。セルフマネジメント力の育成を目指し,基本的な生活習慣の確立に向けた,睡眠を切り 口とした保健指導を展開する。また,ストレス社会と言われる現代において,心の健康問題は喫緊の健康 課題であり,身体と心の両面から健康を考えさせることが必要であると考える。睡眠に関する保健指導の 実践は今年度で3年目となるが,今年度は睡眠に加えて,自律神経の仕組みに触れることでストレスマネ ジメントと関連づけた指導を考案した。その指導方法や内容について検討した。   キーワード  セルフマネジメント力,睡眠,養護教諭,授業実践 — 110 —

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学校保健  就寝時刻・睡眠潜時・起床時刻・熟睡感・日中の眠 気・活気において有意な差が認められ,今や子ども たちに身近なスマートフォンやタブレット端末等と の付き合い方の指導の必要性が伺えた。*2 平成26年度のアンケート調査においても,平成 24・25年度と同様に学年が上がるにつれて睡眠 習慣が悪化することが伺えたので,1年生の早い時 期から睡眠の役割や心身の健康との関係などを指導 しておくことが必要であると考えて,1・2年生の 授業で保健指導を実施した。また,3年生の希望者 に(株)日立社製のライフ顕微鏡による睡眠調査を 行って,個別に調査結果を返す際に保健指導を行っ た。 アンケート調査で睡眠に障害ありとされる生徒が 全体の2割を越えていたことは,非常に驚く結果で あった。睡眠に障害ありの群となしの群との間で, 就寝時刻と睡眠時間において有意な差が認められた ことから,睡眠の質に着目しつつ,やはり十分な睡 眠時間の確保が大切であることを,生徒が自ら意識 して生活できるよう指導していく必要があると言え る。*3  2.研究目的  1年生から保健指導の機会を設定することで睡眠 について正しい知識を持たせ,学年が上がるにつれ て睡眠習慣が悪化しないよう,生徒が就寝時刻等を 意識して生活しようとする意欲や態度を育てる。ま た,自律神経の働きを理解させ,心身の健康とのつ ながりを学ばせることで,身体と心両面から健康を 考えさせる。  3.研究方法 (1)授業実践 1年生と2年生を対象に,学活の時間に担任と養 護教諭がT.T.で授業を行った。  (2)ミニ保健指導  3年生を対象に,身体測定後に保健指導を行った。  4.授業実践 (1)題材名・対象・時期 「ストレスとのつき合い方」 (第1学年,平成27年7月)  (2)学習目標 ・ストレスとは何か理解する。 ・ストレスとのつきあい方を考える。 ・ストレス解消法の一つとして,10秒呼吸法を体 得する。  (3)学習計画   (4)資料・教材・準備 ワークシート,スライド,ゴムボール  (5)指導に際し工夫した点 ・「ストレス」と聞くと,悪いイメージが浮かびや すい。授業の中で生徒たちにストレスの印象を聞い たところ,同様であった。緊張を伴うものや苦手な ものはストレッサーとなるが,ときにはそれが逆に やる気を起こさせてくれたり,それを乗り越えるこ とで成長できたり,自信につながることは多々あり, 良い刺激となる。ストレスは人生のスパイスであり, 悪いものばかりでないと伝えることで,生徒たちの ストレスに対するイメージを転換させた。 ・ストレス反応は,同じストレッサーであっても, 個人要因(性格や気質,そのときの体や心の状態) によって表れ方が異なることを強調した。 ・自律神経の仕組みについて触れることで,後の睡 眠に関する保健指導につなげることを意識した。  (6)生徒の様子から 表1 生徒のワークシートより ・ストレスはありすぎるとだめだけど,ストレ スが全くなかったらおもしろみがなくなること に気付いた。 ・最初の気持ちはイライラしていたけど,2回 目(リラックスをしたあと)の気持ちはイライ 学習内容・活動 指導・支援事項 1 本時の学習テーマを理解す る。 「最近、イライラすることがあった人います か。」 紙芝居「イライラしたときどうする?」を読 み進める。 2 今までの自分を振り返り,イラ イラするのはどんなときか,ワー クシートに記入し,発表する。 「皆はどんなときにイライラしますか。」 生徒の意見を聞きながら「人間関係」「周 りの環境」「個人的要因」の3つの観点で 整理していく。 3 ストレスとは何か,自律神経と の関わりも理解する。 ボールに圧力がかかっている状態を示 し,圧力=ストレッサー,ボールがへこん でいる状態=ストレス反応として説明す る。ストレッサーとストレス反応を総称して 「ストレス」という。自律神経についても触 れる。 4 自分がどのようにストレスを解 消しているか思い出し,発表す る。 「みんなはどんな方法でイライラを静めて いますか。」 5 今の自分のストレス状態を把 握する。 「ワークシートに,今の自分の状態を チェックしましょう。」 6 ストレスへの対処法は良い方 法と悪い方法があることを理解 する。 ストレス対処の種類(取り除く・耐える・逃 げる等)について説明する。良いストレス への対処法をたくさん身につけてほしいこ とを伝える。 7 10秒呼吸法を体得する。 「いつでも・誰でも・どこでも・簡単にできる ストレス対処法を一つ,みんなでやってみ ましょう。」 8 10秒呼吸法をしたあとの心の 変化を見取る。 「今の自分の状態をチェックしましょう。」 9 授業の気付きや感想をワーク シートに記入する。 「今日の授業の感想や気持ちをワーク シートに書きましょう。」 導 入 ま と め 展 開 — 111 —

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学校保健  ラが少しなくなりました。リラックスすること で自分の気持ちが変わることを知って不思議だ なと思いました。 ・友達にも教えてあげたりして,うまくストレ ス解消していきたいです。 ・いつも試合の前に腹痛があるのは,ストレス のせいだとわかった。これからの部活や緊張す る場面では,呼吸を整えたり,肩を上げ下げし て力を抜くことを実践していきたい。              (7)考察  ストレスについては小学校5年生の保健分野「心 の健康」で学習しているため,ストレスに関する知 識はある程度持っていた。しかし,やはり「ストレ ス=悪」と捉えている生徒がほとんどで,ワークシ ートからもストレスが良い刺激になることに驚いた 感想が多く見られ,生徒たちにとって新しい発見で あったようだ。 平成27年(2015年)12月には,労働者が 50人以上の事業所に対しストレスチェック制度を 義務づけるなど,行政もメンタルヘルス対策の取り 組みを強化しており,社会全体で取り組むべき喫緊 の健康課題となっている。ストレッサーを取り除い たり,弱めたり,回避したりすることもストレスの 対処法となるが,ストレスに対する考え方や捉え方 を変えることでストレス耐性を強めることも有効な 方法であり,子どもたちに身につけさせたい力であ る。   5.授業実践2 (1)題材名・対象・時期 「よい睡眠は,お得がいっぱい♪」(第1学年, 平成27年11月)  (2)学習目標 ・睡眠の必要性,重要性を理解できる。 ・自分の睡眠習慣を振り返ることができる。 ・自律神経が睡眠に関係していることを理解できる。  (3)学習計画  (4)資料・教材・準備 班活動用ワークシート,個人ワークシート(図1), スライド  図1 個人ワークシート(表面)  (5)指導に際し工夫した点 ・昨年度までの授業実践では,睡眠習慣のみを振り 返らせていた。今回は起床~就寝まで一日の生活を 振り返らせることで,睡眠に関する課題がある場合, 生活のどの部分が要因となっているのか,また改善 に取り組むにはどのような工夫が可能か探らせた。 ・よい睡眠をとるとどんな「お得」があるか,逆に 学習内容・活動 指導・支援事項 1 本時の学習テー マを理解する。 「みんなが頑張っていることや好きなこと は,どんなことですか。」 「それらをするためには何が欠かせないで しょう。」 「全部必要でしょうが,今日はみんなの人 生の1/3に関係するお話をします。」 「人は人生の約1/3眠っています。今日は, よい睡眠はお得がいっぱいあることをみん なに知ってもらいたいと思います。」 2 自分の生活習慣 について振り返る。 「お得情報を知る前に,まずは自分の生活 習慣について振り返ってみましょう。」 3 睡眠の役割や重 要性を理解する。 「よい睡眠をとると,どんなお得があるで しょう。逆によい睡眠がとれていないとどん な損なことがあるでしょう。」 4 よい睡眠をとるた めのポイントを,自 律神経を含む身体 の仕組みを理解し ながらワークシート に記入する。 「では,ぐっすり眠るためにはどんなことを すればよいでしょうか。よい睡眠をとるため のポイントはたくさんありますが,これだけ は覚えておいてほしいなと思うポイントを紹 介します。」「ポイント①朝起きたら…」 5 よい睡眠をとるた めのポイントと自分 の生活習慣を比 べ,改善点を探る。 「最初に記入した自分の生活習慣を見な がら,よい睡眠をとるために『こんなことが できていた』というものがあれば書きましょ う。」「よい睡眠への道♪のポイントなどか ら自分の生活に取り入れてみようと思うも のを書きましょう。無理なく継続的にできそ うなものを選びましょう。」 ま と め 6 授業の気付きや 感想をワークシート に記入する。 「今日の授業で気付いたことや感想を書き ましょう。」 導 入 展 開 ID       名前             *下の質問に答えましょう。 ①寝つきがよいですか?   ( よい ・ どちらかというとよい ・ どちらかというと悪い ・ 悪い ) ②朝の目覚めはよいですか?   ( よい ・ どちらかというとよい ・ どちらかというと悪い ・ 悪い ) ③昼間、強い眠気を感じることがありますか?   ( よくある ・ たまにある ・ あまりない ・ まったくない )  *起床時間、朝ご飯の時間など、学校がある日の様子を書きましょう。 起床 ( : ) 朝ご飯 ( : ) 登校 ( : ) 下校 ( : ) 帰宅 ( : ) 晩ご飯 ( : ) お風呂 ( : ) 就寝 ( : ) “ぐっすり♪よい睡眠”への道 ポイント② 朝ご飯は… “ぐっすり♪よい睡眠”への道 ポイント③ 晩ご飯は… “ぐっすり♪よい睡眠”への道ポイント④ お風呂は… “ぐっすり♪よい睡眠”への道 ポイント⑤ 寝る前は… “ぐっすり♪よい睡眠”への道 ポイント① 朝起きたら… ★睡眠のゴールデンタイム★ — 112 —

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学校保健  とれていないとどんな「損」があるか,損得で考え させることで,興味関心を引きつけることを試みた。 また,4人班で話し合ってできるだけ多くの意見を 出させ,生徒が既に持っている知識やイメージの把 握に努めた。 ・起床から就寝の,一日の流れに沿って,よい睡眠 をとるためのポイントを説明した。 ・就寝準備として,副交感神経が有意になった状態 (リラックスした状態)で眠りにつくと良いことを 説明する際,スマホやゲームの利用について触れた。 また,一学期に「ストレスとのつきあい方」で学習 した呼吸法が,効果的であることを伝え,自律神経 が身体と心の健康に密接に繋がっていることを強調 した。 ・振り返りでは,自分の生活習慣の中で,よい睡眠 をとるためのポイントのうち,既にできていること に着目させ,反省ばかりでなく,よい習慣を継続し ていこうとする意欲につなげることを意識した。  (6)生徒の様子から ・グループ活動の際には,ほとんどのグループでよ い睡眠をとることによる「お得」について多くの意 見を出すことができていた。しかし,「お得」にな る理由については,半数程度のグループが何らかの 理由を挙げていたが,多くが曖昧なものであった。 成長ホルモンについて記載しているグループはいく つか見られた。夜しっかり眠ることが体に良いこと はわかっており,どんなふう良いのかも知っている が,体の仕組みから理解している生徒は少ないよう であった。  表2 生徒のワークシートより ・自分がなぜ病気にかかりやすいのか,理由を つかむことができました。これからは免疫力を つけられるように,早寝早起きを心がけたいです。 ・自分の生活習慣が良いことがわかりました。 よい睡眠の効果についても改めて知ることがで きました。 ・寝る1~2時間前には夕食,入浴も済ますこ とができていたので,これからも続けようと思 います。 ・自分の生活をみつめてみて,できていること とできていないことを知ることができて良かっ たです。 ・僕はだいたいポイントをクリアできていたけ ど,これから勉強などで変化してできなくなる かもれないので,常に気をつけるようにしたい と思います。  (7)考察  ワークシートから,1年生の平均起床時刻は6: 36,就寝時刻は23:29であった。中学生にな り,部活動があったり塾や習い事の終了時刻が遅く なったりすることで,小学生のときとは大きく生活 スタイルに変化が生じ,自然と就寝時刻が後にずれ ていく生徒が多い。そのため,1年生では自分の生 活スタイルの変化に目を向けさせ,それに伴ってど のように心身の健康を意識しながら工夫して生活し ていくか考えさせることが大切であると考える。そ の際活用する資料として,附属小学校の6年生に対 してアンケート調査をしていくことも今後検討して いきたい。 また,身体と心はつながっており,身体の健康の ためだけでなく,心の健康のためにも夜しっかりと 眠ることが重要であることを強調していかなくては ならないだろう。1年生で既に平均就寝時刻が23 :29であることと,2つの授業のつながりを強め るために,睡眠に関する保健指導を「ストレスとの つきあい方」の授業から時間をあまり空けず,夏休 み前に実施できるよう計画していくことが望ましい と考える。  6.授業実践3 (1)題材名・対象・時期 「夜ぐっすりで,人生キラキラ」(第2学年,平 成27年12月)  (2)学習目標 ・1年生のときの睡眠習慣と比べながら,今の習慣 を振り返り,見つめ直すことができる。 ・既習の内容も含め,睡眠の必要性・重要性を理解 できる。 ・自律神経の働きと睡眠のつながりについて理解で きる。  — 113 —

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学校保健  (3)学習計画 (4)資料・教材・準備 ワークシート,昨年度のワークシート,スライド  (5)学習において工夫した点 ・1年生のとき(昨年度)に書いたワークシートを 返却し,今の生活習慣と比べることで,生活の変化 に着目させた。また,変化があった場合は,なぜそ のような変化があったのか,その主な要因について 考えさせた。 ・自律神経の働きや仕組みを理解することで,睡眠 の大切さについて医学的根拠をもって納得できるよ うにした。  (6)生徒の様子から ・1年生のときの生活習慣と比べた際,生徒の驚い ている表情が多く見られた。 ・なんとなく気付いたら就寝時間が遅くなっていた 生徒や,塾等の時間の関係や2年生になってやるべ きことが増えたため就寝時間が遅くなっている生徒 など,自分の生活の変化とその要因について振り返 ることができていた。 表3 生徒のワークシートより ・1年生のときと比べて睡眠がしっかり取れて いないので,対策を立てていい睡眠ができるよ うにしたい。でも,GOODなところもあるの で,そこは継続していきたい。 ・最近自分の生活習慣について考えられてなか ったけど,今日考えるよい機会になったのでよ かったです。去年同様,遅寝遅起きは全然なお っていなかったので,これを機に生活リズムを 考えていきたい。 ・最近自分の睡眠の質がすごく悪いことに気付 いた。寝る前にSNSアプリを使ったりするの をやめようと思った。しっかり時間を考えて生 活したい。 ・自分でも睡眠はどうにかして改善しないとい けないと思っていたので,今回授業があって良 かった。帰宅してからの行動をダラダラしない ようにしたい。  (7)考察 直近の生活習慣を振り返るだけでなく,1年生の ときと見比べることは,変化の有無がはっきりとわ かるため,自分の生活を見つめ直す上で効果的であ った。ワークシートから,去年に比べて寝るのが早 くなった生徒や変化がなかった生徒はそれぞれ1割 強あったが,「去年に比べて寝るのが遅くなった」 と記入した者は約半数を占めた。その理由について は,「2年生になってやることが増えた」「塾に通 い始めた」「塾の時間が遅くなった」などが多く挙 げられた。1年生のときに比べて,宿題等の課題が 増えたり,部活動や生徒会活動を中心になって進め るようになったり,学校行事にも工夫と時間をかけ て取り組むようになったりと,1年生と2年生の間 でも生活に大きな変化があるようだ。既習事項の確 認の際,昨年度の学習内容を思いのほか覚えていた が,それが行動につながるよう,生徒たちの様子や 変化をしっかり見取り,自身の生活を振り返る機会 を与えたり,繰り返し指導を行ったりしていくこと が必要である。 授業の評価として,担任に聞き取りを行ったとこ ろ,個人の振り返りはできていたが,他の人と意見 やアイディアを交流させる時間がなかったため,「ほ けんだより」等で紹介すると,参考にする生徒もい るのではないかと意見をもらった。そこで,冬休み に向けて,授業で学んだ知識の定着をねらいとした 学習のまとめと,生徒のワークシートから読み取れ ることや授業での気付き,よい睡眠をとるために立 学習内容・活動 指導・支援事項 導 入 1 本時の学習テー マを理解する。 「昨年,睡眠のことについて勉強しました が,今日はもう少し詳しく勉強していきま す。この授業の学習テーマは『夜ぐっすり で、人生キラキラ』です。」 2 昨年度の学習内 容を思い出しなが ら,睡眠の役割・よ い睡眠をとるため のポイントについて 確認する。 「一年生のとき勉強したことを思い出しなが ら,夜ぐっすり眠るとどんな良いこと(キラキ ラ)があるか思いつくものを挙げてみましょ う。」睡眠の役割を確認し,よい睡眠をとる ためのポイント(就寝時間・就寝前の準備・ 就寝時の環境)を押さえる。 3 現在の生活習慣 を振り返る。 「これからさらに詳しく勉強していきます が、その前にまず今の生活習慣について 振り返ってみましょう。」 4 一年生のときの 生活習慣と今の習 慣を比べて,変化 に気付く。 昨年度のワークシートを配布。「これはみ んなが一年生のときに書いたものです。生 活に変化はあるでしょうか。比べて気付い たことを書いてみましょう。変化があった人 は,なぜこそうなったのか理由も書きましょ う。」 5 自律神経の働き を理解し,睡眠との つながりを知ること で睡眠の大切さに 気付く。 「睡眠と深く関わっているものに『自律神 経』というものがあります。『自律神経』は, 心臓を動かしたり汗をかいたり,食べ物を 消化をしたり,自分ではコントロールできな い,生きていく上で必要な活動の調節を 行っています。『自律神経』がバランスよく 働くと,元気に生活することができ,夜も ぐっすり眠れます。逆にバランスが崩れる と,体調不良や夜眠れない原因になりま す。」 6 副交感神経を優 位にする呼吸法を 体得する。 「いつでもどこでも誰でも簡単に副交感神 経を優位にすることができる方法を身につ けてもらいます。」呼吸法を練習させる。 「寝る前ベッドの中でやってみてください。」 7 よい睡眠をとるた めの作戦を立て直 す。 「自分の生活を振り返って,もう一度よい睡 眠をとるための作戦を立て直しましょう。昨 年度と同じ目標を立てても良いですが,無 理なく継続できそうな目標を選びましょう。」 8 授業の気付きを ワークシートに記入 する。 「今日の授業で初めてわかったことや改め て気付いたこと、自分の生活習慣を見直し て取り組んでみたいことなどを書きましょ う。」 展 開 ま と め — 114 —

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学校保健  て直した作戦等について紹介する「ほけんだより」 を発行した。1年生でも同様に,冬休み前に発行し, 担任から冬休みの過ごし方について話をする際に活 用するよう依頼した。年に一度の単発の授業で終わ らぬよう,様々な形で何度もアプローチしていくこ とが重要であると考えた。  8.ミニ保健指導 (1)実施時期・対象  平成28年1月に,各クラス1時間ずつ身体測定 の時間を設定している。3年生で身体測定後,保健 指導を実施した。  (2)学習目標 ・自律神経がバランスよくはたらくことが身体の健 康や心の安定につながることを理解した上で,今後 の就寝時刻や睡眠時間を意識して生活しようとする 意欲を高める。 ・副交感神経の働きを高める方法を体得する。  (3)学習計画 (4)資料・教材・準備 スライド  (5)指導に際し工夫した点 ・高校受験を目前に控えた3年生に「大事なときに 自分の力を出し切る方法」として話をすることで, 自分の心身の健康に目を向けさせやすくした。 ・体得した呼吸法を試験前等の緊張したときや就寝 前に習慣的に実施することを勧め,日頃から自分の 心身の健康について取り組めるように働きかけた。  (6)生徒の様子から  保健指導の中で,生徒たちに前日の就寝時間を尋 ねたところ,午前0時を越えて就寝したと答えた生 徒が学級の2/3程度を占めていた。自律神経につ いて知っている者は3年生でも同様に少ないようで あった。1,2年生で同様の呼吸法を行った際には, 途中で笑ってしまって集中できない者や真剣に取り 組めない者も数名いたが,3年生ではそのようなこ とはなく,ほぼ全員が真面目にしっかりと取り組ん でいる様子が印象的だった。  (7)考察 導入で「大事なときに自分の力を出し切る方法」 と受験に役立つ内容を取り上げる形で伝えたこと が,生徒の関心や意欲の高まりにつながったと考え る。保健指導を行う上で,生徒の興味関心をどう引 きつけるか,いかに「自分のこと」として考えさせ られるかで,生徒の授業への姿勢が大きく左右され ることを改めて実感した。指導したことを知識の習 得で終わらせず,実生活に活かすためには導入の創 意工夫がポイントとなる。  6 研究の成果と課題  今年度は,1年生で2時間,2年生で1時間,3 年生で05時間の授業実践と1,2年生の授業後に 号外で「ほけんだより」を発行した。他の教職員の 理解と協力を得て,指導の機会の拡大を図ることが できた。個に応じた保健指導も大切であるが,保健 室を訪れない生徒にも目を向けることを忘れてはな らない。校内で,集団の保健指導を行う機会を積極 的に設定していくよう働きかけていくことが必要で あろう。 本校の総合的な学習の時間の一環である「情報の 時間」では,情報担当教員と各単元を担当する教員 が所属学年を越えて授業を受け持つ。教科横断的な カリキュラムにより,情報の時間で学んだことを他 の場面(他教科や学校生活)で活かすことができて いる。生徒の反応としても,普段関わりの少ない先 生の授業を受けるのは新鮮でおもしろい,といった 声が聞かれる。ここからヒントを得て,例えば朝食 については家庭科で,睡眠については保健体育科で, 心の健康については学級活動で,といったように, 各担当教員と連携をとりながら,セルフマネジメン ト力の育成に取り組んでいきたい。  ■文献 *1 正田理沙子(),セルフマネジメント力 の育成-睡眠の質に着目した保健指導- *2 大平雅子ほか(),中学生におけるイン ターネット利用状況と睡眠習慣の関連 *3 正田理沙子(),セルフマネジメント力 の育成―睡眠に関する保健指導の検討― 学習内容・活動 指示・支援事項 導 入 1 本時の学習テーマ を理解する。 「受験を控えているみんなに“ここ!”ってとき に自分の力を出し切るための方法を伝えたい と思います。」 展 開 2 自律神経の働きや 仕組みを理解する。 「大事なときに力を出し切るには,“身体の調 子が良くて”“心が安定していること”」 自律神経の働きと仕組みを説明し,睡眠不足 が自律神経のバランスを崩す要因になること を言及する。 3 呼吸法を体得す る。 睡眠の大切さを再確認した上で,副交感神経 のはたらきを高める呼吸法を説明し,練習さ せる。 ま と め 4 生活習慣を見直 す。 就寝時間を始めとする生活習慣に気をつけ て,この時期を乗り越えることを伝える。体得し た呼吸法を就寝前に実践することを勧める。 — 115 —

参照

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