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桐生大学紀要.第29号 2018
食物アレルギーを抱える人々も摂取可能な「牛乳」の代替食デザートの一提案
One suggestion of the substitute meal dessert of “the milk” which the people with food
allergy can consume
村田 有希
*,中山 優子
*群馬県立精神医療センター
Yuki Murata
*, Yuko Nakayama
*Gunma Prefectural Psychiatric Medical Center
はじめに
食物アレルギーとは「食物によって引き起こされる 抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利 益な症状が惹起される現象」と定義されている.また 食物アレルギーの多くは乳児期に発生し,成長ととも に軽快していく.こうした点から本稿では,乳児期や 幼児期・学童期の食物アレルギーを持つ人の食の制限 によって与えられる心理的・社会的な負担に着目し た.また,筆者自身も幼少期に卵アレルギーを抱えて いたという経験もあり,自身が感じていた負担や制限 などから栄養士・管理栄養士として食物アレルギーを 抱える人に食事の楽しさを伝える為,心理的・社会的 な負担を解消できるような除去食のレシピを作成し, 広めていくことで除去食の可能性を広めていきたいと 考え,「食物アレルギー対応食 料理コンテスト」に応 募したので報告する.活動内容
牛乳に着目した大きな理由としては,鶏卵とは違い 牛乳のアレルゲンは加熱や発酵などによってもアレル ゲン性の変化を受けにくいため,食品の混入に厳重に 注意する必要がある.また牛乳には乳児・幼児・学童 期の子供に重要なカルシウムが多く含まれているた め,代替えにする食品にもカルシウムを多く含む食品 が求められるためである. 牛乳は特定原材料7品目にも選定されており,食品 アレルギー物質表示の義務付けがされているため,代 替えにする食品にもカルシウムを多く含む食品が求め られる. 上記の理由に加えて,祝い事で使用されることが多 い生クリームを,牛乳を使用せずに作成出来たならば 多くの牛乳・乳製品アレルギーを抱える人へ,食べる 喜びに活用していくことが出来ると考えたからである. 1 .食品表示について ①.義務表示と推奨表示 ■ 義 務 表 示: 特 定 原 材 料7品目(卵・乳・小麦・そ ば・落花生・えび・かには,容器包装されている加工 食品中にごく微量含まれた場合に必ず表示する. ■推奨表示:特定原材料に準ずるもの20品目(いく ら,キウイフルーツ,くるみ,大豆,バナナ,やまい も,カシューナッツ,もも,ごま,さば,さけ,い か,鶏肉,りんご,まつたけ,あわび,オレンジ,牛 肉,ゼラチン,豚肉は,特定原材料に準じた表示が推 奨されているが,表示されない場合がある. このため特定原材料7品目以外のアレルゲン含有に ついては,製造・販売会社への問い合わせが必要であ る.加工食品は,予告なく規格変更されることがある ので,購入ごとに表示を再確認する. ②.代替表記,拡大表記,特定加工食品 ■特定原材料等と同じものであることが理解できる表 示として,「代替表記」,「拡大表記」,「特定加工食品」 が認められている.なお,「特定加工食品」は,経過 措置期間後は廃止される.これらには,特定原材料名 が表記されないので見落とさないように注意する. ③.注意喚起表示 ■表示の欄外に食品製造過程で,特定原材料等が意図 せず混入すること(コンタミネーション)を排除でき ない場合,注意喚起表示することが促されている. ■表示の欄外に「本品製造工場では○○(特定原材料94 桐生大学紀要.第29号 2018 等の名称)を含む製品を生産しています」などと表記 される.これを注意喚起表示という. ■原材料に特定原材料等の表記がなく,注意喚起表示 のみであれば,基本的に摂取できる.(ただし,特定 原材料等に対する最重症の患者を除く.) 2 .食物アレルギーを抱える人への支援 食物アレルギーを抱える人への支援のために,不必 要な食事の除去は「栄養補給・消化機能の増強・摂取 機能の発達の助長・精神発達の助長・正しい食習慣の 発達・身体発育」など,心身においては大変重要な意 味をもつ.自身も幼少期に卵・乳アレルギーがあり, 卵・乳を食べることが出来ず大変苦労した経験があ る.特にケーキやムース・クッキーなどの菓子類は 卵・乳を使用した製品が多いため食べることができな かった.その後,卵・乳アレルギーは寛解したが,幼 少期に卵・乳を食べられなかったことは今でも鮮明に 思い出すことが出来る.このような経験から,幼少期 における食体験の重要性を実感している.この経験か ら,小さな子供でも簡単に作ることが出来るパフェを 考え付いた.特定原材料7品目を全て使用していない ので,アレルギーを抱える人には安全なデザートの一 品となっている.
実践活動の成果
1 .「牛乳」の代替食 筆者は,2017年4月から卒業研究「即時型食物アレ ルギーと食事療法」のテーマで研究を始めた.2018年 3月に一般財団法人ニッポンハム食の未来財団・農林 水産省・女子栄養大学出版部が主催する「第3回 食 物アレルギー対応食 料理コンテスト2017」に応募し た. ①.料理名:ソイ♪ソイ♪ソイ♪クリームパフェ ②.レシピに使用した食品の原材料名の写真を図1に 示す. ③.レシピ完成写真を図2に示す. ④.生クリーム作成について 豆乳とサラダ油で生クリームを作成することに成功 した. 大豆には,レシチンと呼ばれるリン脂質が含まれて おり,これが乳化剤としての役割を果たすので豆乳 1:サラダ油2の割合でミキサーにかけることでクリー ム状を形成することが出来た.レモン汁とバニラエッ センスを添加することで,大豆臭は削減された. レシチンは,現在食品や医薬の乳化剤としても使用 されている. 図2 レシピ完成写真 図1 使用食品の原材料95 桐生大学紀要.第29号 2018 ⑤.トッピング トッピングは,特定源材料7品目を使用しないこと を前提として材料を選んだ. 特定原材料7品目を使用しないことで,より多くの アレルギーを抱える人でも調理し食べられるように配 慮し,缶詰を使用した.アレルギーに該当する食品が 少ない場合には生の果物などを変更して,アレンジを 加えて楽しむことが出来ためである. ⑥.ソイ♪ソイ♪ソイ♪クリームパフェの応用 アレルギーを抱える人でも疎外感を感じなくても良 いように,たくさんの人が集まって食事をする誕生日 会や子供会などがおすすめできる.また,パフェであ れば作成から盛り付けまで子供と一緒に作成するのも 容易であるため楽しく,安全に調理することが出来る と考える.なお,料理名の由来は,子どもの笑顔と美 味しさを想像したものである.