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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 研究開発投資の費用対効果の定量的検討 : 重点4分野 の比較と国際比較 Author(s) 中山, 智弘; 田中, 一宜 Citation 年次学術大会講演要旨集, 25: 848-852 Issue Date 2010-10-09Type Conference Paper Text version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/9425
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2G13
研究開発投資の費用対効果の定量的検討
~重点4分野の比較と国際比較~
○中山智弘、田中一宜(科学技術振興機構) 1.はじめに 現在、平成23年度よりスタートする第4期科学技術基本計画の策定 に向け、総合科学技術会議を中心として議論が進められているところ である。 科学技術分野におけるイノベーションを、効果的かつ効率的に進め るためには、これまで進められてきた政策(投資)とその効果を明らか にし、そこから得られるエビデンスを政策決定に利用していく、「エビデ ンス・ベース」の科学技術政策立案が求められている。 本検討は、第4期科学技術基本計画策定の議論に資するエビデン スとなることを意図し、重点推進4分野(ライフサイエンス、環境、情報 通信、ナノテクノロジー・材料)の、特許出願状況、政府による研究開 発投資の状況、学術論文数等の関係を明らかにし、研究開発の費用 対効果に関して考察した。今後も我が国が科学技術の成果を基に、 産業の国際競争力を強化し、持続的発展をしていくには、主要各国、 各地域の分野ごとの研究成果や費用対効果を明らかにし、戦略的な 研究開発への投資配分を進めていく必要がある。 2.各分野の比較と国際比較の結果 (1)研究開発投資額の比較 重点推進4分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジ ー・材料)について、分野ごとに日本、米国、EU、中国、韓国の政府研 究開発投資の推移を比較した(図 1)。また、国別の推移を比較した (図2)。 分野別に動向を整理すると、ライフサイエンス分野では、米国で突 出した投資がなされている。次いで、EU、日本の順である。日本は 2003 年頃までは EU に匹敵する研究開発投資がなされていたが、最 近は低調である。情報通信分野では、中国が巨額の投資を行ってい る。日本は、2006 年より今回比較対象とした国・地域中最下位になっ ている。環境分野では、EU の投資が多い。日本は 2005 年までは伸び が大きかったが、2006 年には減速している。ナノテクノロジー・材料分 野では、日本は過去米国並みの投資規模であったが、2006 年以降、 急速に落ち込んでいる。一方で、中国の進展が著しい。 次に、国別の動向を整理する。日本は、総額としては、ライフサイエ ンス分野への投資が群を抜き、次いで情報通信、環境、ナノテクノロジ ー・材料の順である。この傾向は 2001 年以後変わっていない。米国に おいては、ライフサイエンス系への研究開発投資が質・量ともに他の3 分野を圧倒している。EU もライフサイエンス分野への政府投資が最大 であるが、それに次いで、環境、情報通信への投資が拮抗している。 中国では、情報通信、ライフサイエンス、ナノテクノロジー・材料、環境 の順である。韓国でも情報通信への投資が最大、次がライフサイエン ス、そして環境、ナノテクノロジー・材料の順になっている。 ライフサイエンス分野 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万 $ 日本 米国情報通信分野EU 中国 韓国 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万 $ 日本 米国環境分野EU 中国 韓国 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万 $ 日本 ナノテクノロジー・材料分野米国 EU 中国 韓国 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万$ 日本 米国 EU 中国 韓国 図1 重点4分野への 政府研究開発投資の推移 JST研究開発戦略センター(CRDS)まとめ 出典:日本:内閣府発表資料、米国:OSTP 発表資 料(2002-2008)、EU:欧州統計 DB(EUROSTAT)デー タと FP6 データに基づく 25 カ国の推計、中国: JST 中国の科学技術分野別活動の現状及び動向調 査 (2009)、韓国:OECD の政府研究開発投資デー タ(2009年 8 月ダウンロード)と JST 韓国の 科学技術とイノベーション政策最新動向(2008) から、2005 年の予算比率をもとに各年を推計。(2)学術論文数(被引用度トップ1%)の推移の比較
被引用度が上位1%(トップ1%)の論文について、重点分野別に 1999~2007 年の論文数を集計し、各国 の推移を比較した。さらに、日・米・EU・中・韓の中でのシェアを算出し、その推移を比較した(図3)。
図3 被引用度トップ1%の論文数の比較
JST研究開発戦略センター(CRDS)まとめ
出典:トムソン・ロイター Essential Science Indicators (ESI) 2009 1st bimonthly period dataset から集計。 シェアは、日本、米国、 EU、中国、韓国における合計に占める割合 0 5 0 0 1 ,0 0 0 1 ,5 0 0 2 ,0 0 0 2 ,5 0 0 3 ,0 0 0 19 9 9 2 0 00 2 0 0 1 2 00 2 2 0 03 20 0 4 2 00 5 2 0 0 6 2 00 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU ラ イ フ サ イ エ ン ス (件 数 ) 0 % 1 0 % 2 0 % 3 0 % 4 0 % 5 0 % 6 0 % 7 0 % 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU ラ イ フ サ イ エ ン ス (シ ェ ア ) 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 E U 情 報 通 信 (件 数 ) 0 % 1 0 % 2 0 % 3 0 % 4 0 % 5 0 % 6 0 % 7 0 % 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU 情 報 通 信 (シ ェ ア ) 0 10 0 20 0 30 0 40 0 50 0 60 0 70 0 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 00 5 2 0 0 6 2 0 0 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU 環 境 (件 数 ) 0 % 10 % 20 % 30 % 40 % 50 % 60 % 70 % 1 9 99 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 20 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 00 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU 環 境 (シ ェ ア ) 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 20 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 00 6 2 0 0 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU ナ ノ テ ク ・材 料 (件 数 ) 0 % 1 0 % 2 0 % 3 0 % 4 0 % 5 0 % 6 0 % 7 0 % 1 9 9 9 2 00 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 00 5 2 0 0 6 2 0 0 7 日 本 中 国 韓 国 米 国 EU ナ ノ テ ク ・材 料 (シ ェ ア ) 日・米・EU・中・韓 の合計に占める シェアを算出。 日・米・EU・中・韓 の合計に占める シェアを算出。 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万 $ ライフサイエンス 情報通信 環境 ナノテクノロジー・材料 日本 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万$ ライフサイエンス 情報通信 環境 ナノテクノロジー・材料 米国 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年 百万 $ ライフサイエンス 情報通信 環境 ナノテクノロジー・材料 中国 0 5 0 0 1 , 0 0 0 1 , 5 0 0 2 , 0 0 0 2 , 5 0 0 3 , 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 年 百万$ ラ イ フ サ イ エ ン ス 情 報 通 信 環 境 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー ・ 材 料 韓 国 0 1,0 00 2,0 00 3,0 00 4,0 00 5,0 00 6,0 00 7,0 00 2 001 200 2 200 3 2004 2 005 2 006 200 7 年 百万$ ( PP P) ラ イ フ サ イ エ ン ス 情 報 通 信 環 境 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー ・ 材 料 E U 図2 各国の政府研究開発投資の推移 JST研究開発戦略センター(CRDS)まとめ 出典:図1と同様。
まず、分野別に動向を整理すると、ライフサイエンス分野では、EU が順調にシェアを伸ばし、米国と日本は低落傾 向である。件数は少なく目立たないが、中国と韓国がシェアを拡大している。 情報通信分野では、中国が急速に成長している。EU はシェアを維持し、日本と米国は低下傾向にある。環境分野 では、中国と EU がシェアを拡大し、米国が減少している。日本のシェアは微増傾向である。ナノテク・材料分野では、 中国が急速に成長を遂げている一方、日本と米国のシェアが低下傾向である。中国は8倍以上に論文数を伸ばして おり、2002 年前後に日本を逆転している。本比較は被引用数の特に高い「トップ1%論文」での比較であることから、 中国が学術論文の質において急速にその存在感を高めているということになる。 全体的な傾向としては、米国はいずれの分野においても高いシェアを有しているが、低下傾向にある。特に「ナノテ ク・材料」「情報通信」の低下は顕著である。日本の「ナノテク・材料」は、他分野と比較してシェアが高いが、近年は低 下傾向にある。その一方で、中国は「ナノテク・材料」「情報通信」のシェアを急速に拡大している。つまり、中国の成長 に伴って日本やアメリカのシェアが相対的に低下している。先進国の中では、EUが健闘している。 (3)特許出願数の推移の比較 特許出願数について、重点分野別に 1995~2007 年の出願件数を集計し、各国の推移を比較した。さらに、 日・米・EU・中・韓の中でのシェアを算出し、その推移を比較した(図4)。 図4 重点4分野における特許出願数とシェアの推移 JST研究開発戦略センター(CRDS)まとめ
出典:WIPO "World Patent Report 2008"、EPO PATSTAT April 2009 より作成。各国・地域が出願人として含まれている 特許出願を、重点推進 4 分野で区分しながら集計。シェアは、日本、米国、EU、中国、韓国における合計に占める割合 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 ライフサ イエ ン ス (件 数 ) 0 10 20 30 40 50 60 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 ライ フサ イエ ン ス (シ ェア ) 0 20, 000 40, 000 60, 000 80, 000 100, 000 120, 000 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 情 報 通 信(件 数 ) 0 10 20 30 40 50 60 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 情 報 通 信 (シェア) 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 環 境 (件 数 ) 0 10 20 30 40 50 60 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米国 EU 中 国 韓国 環境(シェア) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 ナ ノテ ク・材 料 (件 数 ) 0 10 20 30 40 50 60 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 年 日 本 米 国 EU 中 国 韓 国 ナ ノテ ク・材 料 (シ ェア ) 日・米・EU・中・韓 の合計に占める シェアを算出。 日・米・EU・中・韓 の合計に占める シェアを算出。
まず、分野別に動向を整理すると、ライフサイエンス分野では、最も大きなシェアを占めているのは米国である。日 本は米国に次いで出願数が多いが、1995 年以降の増加は米国、EU27 カ国に及ばず、2007 年には EU とほぼ同規 模になった。日本、EU の比較対象国に占めるシェアはいずれも減少傾向にあり、米国は 1995 年以来ほぼ一定であ る。シェアを増加させているのは韓国および中国である。中国は、出願数そのものは比較対象国の中では大きくない が、1995 年以来の増加率が大きく、2005 年には韓国の出願数を超えている。 情報通信分野では、近年に至るまで最も大きな出願数を占めていたのは日本であったが、比較対象の他国の出願 数が増加する中、日本の出願数は横ばいであり、そのためシェアは大きく減少している。米国のシェアは 1995 年以来 増加し、EU27 カ国はほぼ横ばいである。韓国はこの分野では EU27 カ国を上回るシェア 15.2%を占めている。 環境分野でも、近年に至るまで最も大きな出願数を占めていたのは日本であったが、比較対象の他国の出願数が 増加する中、日本の出願数は横ばいであり、そのためシェアは大きく減少している。米国のシェアはほぼ横ばい、 EU27 カ国はやや減少傾向にある。 ナノテク・材料分野では、韓国および中国がシェアを増加させている。特に中国は出願数そのものは比較対象国の 中では大きくないが、1995 年以来の増加率が大きく、2007 年には韓国の出願数を超えている。日本のシェアは低下 傾向であるが、2007 年時点でもシェアの絶対値は高い。 国別に動向を整理する。日本は4分野ともにシェアを低下させている。これは他の国が出願を増加させる中、日本 の出願数の伸びが小さかったためである。2007 年時点で 4 分野中最も世界シェアが大きい分野はナノテク・材料であ る。米国は各分野ともシェアをわずかに増加させている。世界シェアが最も大きい分野はライフサイエンスである。EU は 1995 年から 2000 年にかけては、各分野ともシェアを拡大していたが、その後日本同様に低下の傾向にある。2007 年現在、EU が最も大きなシェアを有するのは環境分野である。韓国は各分野とも 2000 年以降、シェアを拡大させて いる。最も大きなシェアを有する分野は情報通信である。中国は 1995 年当時、いずれの分野のシェアも 2%未満であ ったが、その後の急激な出願の拡大により、最も大きい環境で約 13%、最も小さい情報通信でも約 6%のシェアを獲得 するに至っている。 (4)学術論文数と特許出願数シェアの比較分析 日本、米国、EU、中国、韓国について、重点4分 野ごとに、1999~2007 年の被引用度の上位1%(トッ プ1%)論文の数と、特許出願数のシェアを算出した。 学術論文数と特許出願数のシェアの相関関係を図5 に示す。 これより、日本は全分野において、論文数のシェア に比して特許出願数のシェアが大きく、この観点で は相対的に特許出願を重視している傾向があること がわかる。それに対して、米国は逆に、論文数のシェ アに比して特許出願数のシェアが低く、学術論文を 重視していることが見て取れる。EUは論文数のシェ アと特許出願数のシェアのバランスがとれており、日 米の中間である傾向がある。また、日本の特許出願 数のシェアは中国や韓国に対して優位であるが、学 術論文については中国に肩を並べられつつあること なども見て取れる。 日本のナノテク・材料分野は、特許出願数のシェ アが最も高く、米国のライフサイエンス分野は論文重 視傾向ではあるが、特許出願数、論文数のシェアが ともに高く、それぞれの国の強みであることがわかる。 また、EUにおいては、環境とライフサイエンスが同様 の傾向を示し、競争力が高いことが推察される。韓国 は、情報通信分野の特許シェアが高いことが目立 つ。 韓国(環境) 韓国(情報通信) 韓国(ライフ) 韓国(ナノテク・材料) 中国(環境) 中国(情報通信) 中国(ライフ) 中国(ナノテク・材料) EU(環境) EU(情報通信) EU(ライフ) EU(ナノテク・材料) 米国(環境) 米国(情報通信) 米国(ライフ) 米国(ナノテク・材料) 日本(環境) 日本(情報通信) 日本(ライフ) 日本(ナノテク・材料) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% トップ1%論文数シェア 特許 出 願数シ ェア 特許重視傾向 論文重視傾向 韓国(環境) 韓国(情報通信) 韓国(ライフ) 韓国(ナノテク・材料) 中国(環境) 中国(情報通信) 中国(ライフ) 中国(ナノテク・材料) EU(環境) EU(情報通信) EU(ライフ) EU(ナノテク・材料) 米国(環境) 米国(情報通信) 米国(ライフ) 米国(ナノテク・材料) 日本(環境) 日本(情報通信) 日本(ライフ) 日本(ナノテク・材料) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% トップ1%論文数シェア 特許 出 願数シ ェア 特許重視傾向 論文重視傾向 図5 トップ 1%論文数シェアと特許出願数シェアの関係 JST研究開発戦略センター(CRDS)まとめ
出典:学術論文はトムソン・ロイター Essential Science Indicators (ESI) 2009 1st bimonthly period dataset より、被引用度の上位 1%の数をカ ウントし、日・米・EU・中・韓の合計に対する割合(シェア)を算出。特 許は WIPO "World Patent Report 2008", PATSTAT April2009, EPO において、各国の件数をカウントし、日・米・EU・中・韓の合計に対す る割合(シェア)を算出。シェアは、日・米・EU・中・韓の論文数・特許 出願数の単純な合計値を、各国の論文数・特許出願数で除算したも の。集計対象期間は論文・特許共に 1999~2007 年。
(5)重点4分野への政府投資の費用対効果(政府研究開発投資と論文数、特許出願数との関係) 重点4分野への政府投資に対して、学術論文数と特許出願数を、アウトプットを測る指標として用い費用対効果に ついて検討した。学術論文数と特許出願数(それぞれ 1999 年~2007 年分の集計)と、研究分野別の政府研究開発 投資額(データが存在する 2001 年から 2007 年の集計)の関係を示す(図6)。 特許数、論文数ともに、投資規模に対するアウトプットは分野ごとにほぼ同じ傾向を示す。よって、ある分野への投 資額を変化させた場合でも、この傾向に沿ってアウトプットは推移すると予想される。米国におけるライフサイエンスへ の投資は莫大であり、日本の10倍近くに達する。この巨額の投資により大きな成果が維持されていると考えられる。ラ イフサイエンスの投資に対する費用対効果は低いが、巨額の投資によりアウトプットが保たれていると解釈できる。こ れに対し、ナノテクノロジー・材料は、少ない投資で高いアウトプットを生じる傾向がある分野であることがわかる。 図6 政府による研究開発投資額あたりの生産性 (政府研究開発投資と学術論文数および特許出願数との関係) JST研究開発戦略センター(CRDS)まとめ ※米国のライフサイエンス論文数や政府研究開発投資額が突出しているため、縮小グラフとして示した。
出典:学術論文数はトムソン・ロイター Essential Science Indicators (ESI) 2009 1st bimonthly period dataset から集計。 特許は WIPO "World Patent Report 2008", PATSTAT April2009, EPO より集計。
研究開発投資額については、日本は内閣府発表資料に基づく。米国は OSTP 発表資料(2002-2008)に基づく。EU は欧州統計 DB(EUROSTAT)データ並びに FP6 データに基づき推計。中国は JST 研究開発戦略センター・中国の科学技術分野別活動 の現状及び動向調査 (2009)に基づく。韓国は OECD の政府研究開発投資データ(2009 年 8 月ダウンロード)と JST 研究 開発戦略センター・韓国の科学技術とイノベーション政策最新動向(2008)より推計。 3.おわりに 論文数、特許数、研究開発投資等の分析による、研究開発投資の費用対効果に関する定量的検討を行い、 国際的な比較情報を示した。第3期科学技術基本計画における重点推進4分野の費用対効果を、国際的な比 較と共に示すことができた。 投資の費用対効果の結果から、ある分野への投資を増額した場合、本検討の傾向に沿って研究開発のアウトプッ トは推移すると予想される。我が国として、重点的に投資する分野を決める際の参考として位置づけられるだろう。 中国は学術研究面においても近年急速に成長を続けている。「ナノテク・材料」「情報通信」においては、2000 年代 前半には日本・中国のシェアが逆転するまでに至っており、日本の国際的なプレゼンス低下が懸念される。 本検討は、既存の多くの検討が各分野内に閉じており、分野横断的な比較や検討が行われていないとの問 題意識に基づき、JST研究開発戦略センター(CRDS)において実施したものである。今後、各分野の 研究者数等の情報も加え、より精度の高い分析を行っていくつもりである。 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 1,000,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 日 本 ライフ 中 国 IT 米 国 IT EU IT EU環 境 韓 国 IT 米 国 環 境 日 本 IT 中 国 ライフ 日 本 環 境 韓 国 ライフ 米 国 ナ ノテ ク EUナ ノテ ク 日 本 ナノテ ク 中 国 ナ ノテク 韓 国 ナノテ ク 中 国 環 境 韓 国 環 境 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 1,000,000 0 100,000 200,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 EUライフ 日本ライフ 中国IT 米国ナノテク EUナノテク 米国環境 米国IT EU環境 EU IT 韓国IT 日本 IT 中国ライフ 日本ナノテク 中国ナノテク 中国環境 韓国ナノテク 韓国環境 (百万ドル,PPP,2001~2006年の合計) TOP1%論文数 2001~2006年合計 国別・分野別の投資総額とTOP1%論文数の関係 各分野の政府投資規模 基 礎研究 のア ウト プッ ト (百万ドル,PPP,2001~2006年の合計) 各分野の政府投資規模 実 用 化研 究のアウト プ ッ ト 特許出願数 2001~2006年合計 国別・分野別の投資総額と特許出願数の関係 論文 特許 0 5,000 10,000 15,000 20,000 0 100,000 200,000 0 5,000 10,000 15,000 20,000 0 100,000 200,000 米国ライフ EUライフ 米国ライフ