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愛知県藤前干潟に生息する二枚貝の水質浄化能力

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Academic year: 2021

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愛知県藤前干潟に生息する二枚貝の水質浄化能力

川瀬 基弘

愛知みずほ大学人間科学部 1.はじめに 愛知県藤前干潟には,二枚貝類が豊富に生息して おり,それらによる有機物の濾過摂食能力は,自然の 巨大な浄化装置としての役割を果たしている.著者は, 藤前干潟の二枚貝類を用いて,透明度低下の原因と なる植物プランクトンをどの程度取り込み,水質浄 化に寄与しているかを検証するために,実験に取り 組んでいる. 研究途中であるが,実験結果の一部を記録して, 資料として残したい.なお,研究が終了してから, 別途,論文として発表する予定である. この研究は,「室内実験と野外調査による水質浄化 機能の研究」という課題名で,私立大学等経常費補助 金特別対象事業の「教育・学習方法等改善支援」の助 成を受けた.ここに記してお礼申し上げる. 2. 採集・飼育方法 藤前干潟で,コウロエンカワヒバリガイ(平均殻長 21.1 mm),マガキ(52.1 mm),イソシジミ(47.7 mm),ウネ ナシトマヤガイ(27.4mm),ヤマトシジミ(26.2mm),ソトオ リガイ(39.1mm),シオフキガイ(16.9mm),オキシジミ(40. 2mm)を採集した後,実験に用いるために,30 日以上飼 育して馴致させた.貝の餌として Chaetoceros を毎日与 えた. 3. 実験方法 実験では 180×270×120mm のプラスチック容器に Chaetoceros の拡大培養液 2.5L を入れ,明条件容器に は照度 2000lx(40W 普通蛍光灯 1 本)を当て,暗条件 容器はプラスチック容器をアルミ箔で覆い光を遮断し た.明条件,暗条件それぞれに対照区を準備した.実 験は 1 時間毎に,濁度(濁りの除去効果),クロロフ ィル a(Chl.a),全有機炭素(TOC),全窒素(TN),水 温,電気伝導度,水素イオン濃度および,溶存酸素 量を測定した.実験時間を 6 時間とした. 測定項目,測定機器と測定方法は以下の通りであ る.濁度は 5cm セルの使用できる分光光度計[JASCO V-550]を用いた.クロロフィル a (Chl.a)は,試料水をガ ラス繊維濾紙(Whatman GF/F)で吸引濾過し,アセトン 抽出・吸光法の原理でロレンツェン法により蛍光光度 計 [TURNER 10-AU] で 測 定 し た . 全 有 機 炭 素 (TOC)・溶存有機炭素(DOC)及び全窒素(TN)・全溶 存窒素(TDN)の分析には,試料に塩酸 200μL を加 え,TOC 分析装置[SHIMADZU TOC-V,TNM-1]に よる乾式(850℃燃焼)法を用いた. ここでは,濁度(濁りの除去効果)のみを資料とし て紹介する. 4. 結果 貝の軟体部湿重量 1g 当たりの濁度の経時変化を図 1 に示す.ただし,図 1 では,結果が実験条件(初期濁度) に影響される可能性があるため,次式(Nakamura et al., 1988)を変形して無次元化した. ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ − = bt b t

C

C

C

C

T

V

F

ln

0

ln

0 F:濾水量(ml h-1),V:実験に用いた水量(ml),T:実験 時間(h),C0:淡水貝を投入した容器内での実験開始 時の濁度(mg L-1),C t:淡水貝を投入した容器内での t 時間後の濁度(mg L-1),C b0:対照区の容器内での実験 開始時の濁度(mg L-1),C bt:対照区の容器内での t 時 間後の濁度(mg L-1)を表す. また,前式を対照区の変化量で除して,以下のように 変換し,縦軸を無次元化して,1 個体当たりの濁りの除 去効果を示した(図 2). ⎟ ⎠ ⎞ ⎜ ⎝ ⎛ − =

T

V

F

C

C

C

C

b bt t

exp

0 0 図 2 では,個体サイズの影響があらわれる可能性がある ため,図 3 に軟体部単位湿重量の変化を示した. 5. 引用文献

Nakamura, M., Yamamuro, M., Ishikawa, M. and Nishimura, H. ( 1988 ) Role of the bivalve Corbicula japonica in the nitrogen cycle in mesohaline lagoon. Marine Biology, 99, 369-374.

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コウロエンカワヒバリガイ - 9 - 8 - 7 - 6 - 5 - 4 - 3 - 2 - 1 0 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1) マガキ - 7 - 6 - 5 - 4 - 3 - 2 - 1 0 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1 ) イソシジミ - 9 - 8 - 7 - 6 - 5 - 4 - 3 - 2 - 1 0 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1) ウネナシトマヤガイ - 1 0 - 8 - 6 - 4 - 2 0 2 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1 ) ヤマトシジミ - 2 - 1 .5 - 1 - 0 .5 0 0 .5 1 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1) ソトオリガイ - 6 - 5 - 4 - 3 - 2 - 1 0 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1 ) シオフキガイ - 1 6 - 1 4 - 1 2 - 1 0 - 8 - 6 - 4 - 2 0 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1) オキシジミ - 0 .6 - 0 .5 - 0 .4 - 0 .3 - 0 .2 - 0 .1 0 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁度 ( m g g -1 ) 図 1.藤前干潟に生息する 8 種類の二枚貝の軟体部湿重量 1g 当たりの濁度経時変化 各実験区の濁度の変化量から対照区の増減割合を差し引いて示した.個体サイズの違いが結果に与える影響を考 慮して,貝の軟体部湿重量で除して 1g 当たりの除去効果に換算した.実線は明条件,点線は暗条件示す.

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コウロエンカワヒバリガイ 9 8% 9 8% 9 9% 9 9% 10 0% 10 0% 10 1% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) マガキ 8 4% 8 6% 8 8% 9 0% 9 2% 9 4% 9 6% 9 8% 10 0% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) イソシジミ 8 2% 8 4% 8 6% 8 8% 9 0% 9 2% 9 4% 9 6% 9 8% 10 0% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) ウネナシトマヤガイ 9 0% 9 2% 9 4% 9 6% 9 8% 10 0% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) ヤマトシジミ 95 % 96 % 97 % 98 % 99 % 10 0% 10 1% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) ソトオリガイ 75 % 80 % 85 % 90 % 95 % 10 0% 10 5% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) シオフキ ガイ 94 % 95 % 96 % 97 % 98 % 99 % 10 0% 10 1% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) オキ シジミ 96 % 96 % 97 % 97 % 98 % 98 % 99 % 99 % 10 0% 10 0% 10 1% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) 図 2.藤前干潟に生息する 8 種類の二枚貝の 1 個体当たりの濁りの除去効果 各実験区の濁度の増減割合を対照区の増減割合で除して,濁りの除去効果を百分率で示した.さらに実験に投入し た貝の個体数で除して 1 個体当たりの除去効果に換算した.実線は明条件,点線は暗条件示す.

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コウロエンカワヒバリガイ 8 5% 8 7% 8 9% 9 1% 9 3% 9 5% 9 7% 9 9% 10 1% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) マガキ 9 0% 9 2% 9 4% 9 6% 9 8% 10 0% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) イソシジミ 8 8% 9 0% 9 2% 9 4% 9 6% 9 8% 10 0% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) ウネナシトマヤガイ 7 5% 8 0% 8 5% 9 0% 9 5% 10 0% 10 5% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) ヤマトシジミ 95 % 96 % 97 % 98 % 99 % 10 0% 10 1% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) ソトオリガイ 90 % 92 % 94 % 96 % 98 % 10 0% 10 2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) シオフキ ガイ 60 % 65 % 70 % 75 % 80 % 85 % 90 % 95 % 10 0% 10 5% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) オキ シジミ 99 .0% 99 .2% 99 .4% 99 .6% 99 .8% 10 0.0% 10 0.2% 0 1 2 3 4 5 6 経過時間(h) 濁り の除 去効 果( % ) 図 3.藤前干潟に生息する 8 種類の二枚貝の 1g 当たりの濁りの除去効果 各実験区の濁度の増減割合を対照区の増減割合で除して,濁りの除去効果を百分率で示した.さらに実験に投入し た貝の軟体部湿重量で除して 1g 当たりの除去効果に換算した.実線は明条件,点線は暗条件示す.

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