わが国製造企業における品質管理システム : 機械,電機,自動車製造事業所の実証分析
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(2) 横浜経営研究. (272). 28. 例えば,. (World. WCM. Class. Manufacturing). という概念を最初に提唱したschonberger. (1986)は,. 第4号(1998). 供給業者との関係,仕事-の態度,労務管理, トップ・マネジメントの支援の5項目について. WCMに顕著に見られる特徴のひ. 測定尺度を構成し,品質成果およびJITに関す. とつとして,品質を戦略的武器と捉え,欠陥品. る慣行や成果との関連性について実証分析を行. (Total Quality Control)に. ゼロを目指すTQC. 第Ⅷ巻. っている.これらの一連の研究を基礎として,. 全社的に取り組んでいることを挙げており,顧. 新たな質問票を開発し,. 客の工場見学,業績情報のタイムリーなフィー. 対象にデータ収集を行っているが,本論ではこ. ドバック,管理者による現場支援,統計的工程. 5カ国の製造事業所を. のうちわが国46製造事業所に関するデータのみ. 管理の活用,供給業者の品質評価,工程能力分. を用いた分析結果を報告する.. 析, JITとの連携等,様々な試みが密接な関連. まず次節で分析データについて簡単に述べた. を持ちつつ,実施されていることを指摘してい. 後,. る.. の信頼性と妥当性をチェックする.この測定尺. また,わが国の自動車産業をモデルとした リーン生産方式を紹介したwomack,. 度を用いて,. Jones. and. (1990)においても,リーン生産の前提. Roos. 3節で品質管理システムに関する測定尺度 4節でわが国の製造企業における. 品質管理システムの特徴を明らかにするととも に,その他の生産管理システム要素や製品の競. として,品質サークル,改善制度,ライン停止. 争力との関連性を調べ,最後に結論をまとめ,. 権限,. 今後の課題について触れる.. 「5つのなぜ」等が簡単ではあるが説明. されている.トヨタ生産方式のひとつの柱であ 2.データ. る自働化,全社的推進組織と職能別管理体制, 総員参加によるQC,. 「品質は工程でつくり込. む」という意識などトヨタのTQC. (Total. 分析データは,世界的水準製造システムに関 する国際比較研究の一環としてわが国の46製造. QualityControl)については,大野(1978)千. 事業所に対す声質開票調査により収集されたも. 門田(1991),小川(1994)が詳しい.. のである.対象業種は典型的加工組立型製造業. 本論の目的は,製造事業所を中核とした. である機械,電機,輸送機器(自動車関係)の. TQMが機能するには,どのような前提条件が. 3業種で,我々がwCMとして選定した企業の. 満たされていなければならないか,また,品質. 製造事業所が32あり,残りは無作為抽出によっ. 管理報システムの精査が人的資源管理, 産,情報システム,技術開発とどのような関連. て選定された製造事業所である.いずれの製造 事業所においても,重複部分は相当量あるが基. を持ち,果たして製品の競争力を高めることに. 本的には異なった15種類の質問調査票に工場長. 繋がるのかといった論点を実証的に検討するこ. から直接要員までの26名が回答している.質問. とにある.そのためには,. 調査票の概要,対象製造事業所の選定方法等の. Flynnetal.. JIT生. (1990). が提示した実証分析の方法論に従って設計され. 詳細については,松井(1996)を参照してほし. た質問調査票を用いてデータを収集し,品質管. い.. 理システムの諸側面に関する測定尺度を個別に. 検討しておく必要がある. and. Schroeder. andSakakibara. Flynn,. (1995)およびFlynn,. Sakakibara Schroeder. (1995)は,コアとなる品質管. 理慣行として,工程フロー管理,製品設計過程,. 回答のコーディング,リバース尺度の変換等. を行った後, 2つのレベルのデータベースを構 築した.ひとつは,個々の回答者の回答をベー スとした個人レベルのデータベースであり,. 統計的工程管理/情報フィードバックの3項目,. 1,196レコード(-26名×46事業所)を含む. 主に,定性的で主観的な判断を伴う変数の測定. 品質管理のインフラ慣行として,顧客との関係,. 尺度を構成する際に,その信頼性と妥当性をチ.
(3) わが国製造企業における品質管理システム(松井. 美樹). (273). 29. エツクするために用いられる.もうひとつは,. い.また,尺度構成の妥当性を調べるためには,. 個々の回答者の回答を集約した製造事業所全体. 用意された質問項目に対する因子分析が一般に. の測定値をベースとした工場レベルのデータ. 利用される.因子分析の結果,固有値が大きく. ベースであり,レコード数は当然46となる.個 別質問項目ないし測定尺度の製造事業所全体の. 寄与率が高い単一因子が抽出され,すべての質. 問項目に対する因子負荷量が0.4以上であれば,. 測定値としては,原則として,該当する質問項. これらの質問項目から測定尺度を構成すること. 目のすべての回答者の回答を平均した値を採用. が妥当と判定される.ここでは,初期解として. した.. 主成分解を用い,固有値が1を超える因子のみ. 4節を始めとして,主要な実証分析はこ. の工場レベルのデータベースを用いて行われる.. を抽出した.. 両データベースを用いて,次節では,製造企. 信頼性と妥当性のテストにおいては,. WCM. 業における品質管理システムに関する測定尺度. 企業の製造事業所の個人レベルデータ,無作為. について検討する.. 抽出された製造事業所も含めた全事業所の個人 レベルデータおよび工場レベルデータの3種の. 3.品質管理システム関連測定尺度の信頼性と. データベースを利用した.これらの分析結果に. 妥当性. 食い違いがある場合には,全事業所の個人レベ. 製造企業における品質管理システムに関連す. ルデータによる結果を優先して,最終的に採用. る測定尺度(以下,簡単にTQM関連測定尺度 と略す)として,ここでは, 続的品質改善努力」,. 「3S活動」,. 「顧客志向」,. 「統計的工程管理の励行」,. 「継. 「顧客満足. 度」, 「現場への業績情報フィードバック」, 守管理」,. する質問項目と測定尺度を決定した.. 「保. 「品質改善. 「品質での供給業者との協力」,. に対する報酬」,. 「品質に対するトップのコミットメント」, 客とのTQM連結」,. 「顧. 「新製品における品質の考. 慮」の12個を取り上げた.各測定尺度を構成す. (1). 3S活動. この尺度は,従業員がそれぞれの職場に誇り を持ちつつ,その職務を迅速に遂行できるよう に,現場を整然と組織化し,保持するための努 力をマネジメントが払ってきたかを評価しよう とするもので,いわゆる3S. (整理,整頓,清. 潔)活動がどの程度浸透しているかを以下の5. るために用意した質問項目は以下に示すように. つの質問項目によって問うている.回答者は, 生産技術担当者1名,品質管理担当者1名,直. 4個から8個で,質問項目番号の後に続くNは. 接要員4名の計6名である.. ノーマル尺度,. Rはリバース尺度によって測定. ①N. されていることを示している.すべての質問項. 目は5点リッカート尺度(1-全く同意しない, 2-余り同意しない,. 3-どちらとも言えない,. 4-かなり同意する,. 5-強く同意する)で測. 置くことを重視する.. ②N ③N. 信頼性については,測定尺度の内的整合性を. 表すα係数を基準に判定した.新たに開発さ. 我々の工場はいつも清潔に保たれてい る.. ④R. 督者4名,現場の直接要員12名の計20名中の3 から13名である.. 我々は工場を整頓し清潔にするするこ とを誇りにしている.. 定されている.回答者は工場長,生産管理担当 者,生産技術担当者,品質管理担当者,現場監. 全ての工具と備品を決められた場所に. 必要な工具を見つけるのにしばしば困 ることがある.. ⑤R. 我々の工場は乱雑で汚い.. 表1には,これら5個の質問項目を用い,. れた測定尺度が信頼に足ると判断されるには,. WCM企業の製造事業所の個人レベルデータ, 無作為抽出された製造事業所も含めた全事業所. このα係数の値が0.6を以上でなければならな. の個人レベルデータおよび工場レベルデータそ.
(4) (274). 30. 横浜経営研究. 第m巻. 第4号(1998). 表1信頼性と妥当性(3S活動) wcM. 個人レベルデータ. 全 事 個人レベルデータ. 所 工場レベルデータ. 0.80442. 0.89025. 0.71286. 0.69617. 0.78288. @ ③ ④ ⑤. 0.76560. 0.78904. 0.89914. 0.87009. 0.83994. 0.91504. 0.66604. 0.61447. 0. 64448. 0.85417. 0.85370. 0.93782. 固有値 寄与率 抽出因子数:. 3.0246. 2.9191. 3.5535. 60.49%. 58.38%. 71.07%. 1. 1. 1. 0.81523. α係数:. 因子負荷量(第一因子のみ) ・-i・. 表2. :. 信頼性と妥当性(継続的品質改善努力) wcM. 個人レベルデータ. 全 事 個人レベルデータ. 業 所 工場レベルデータ. 0.64756. 0.76655. : 因子負荷量(第一因子のみ) 0.76262 ①. 0.79641. 0.85247. 0.72494. 0.78950. 0.87183. 0,81122. 0.81828. 0.92750. 0.51127. 0.42254. 0.40982. 2.0266. 2.1057. 2.5150. 50.67%. 52.64%. 62.87%. 1. 1. 1. α係数:. ・≡・ I. ・.I_(. ④ 固有値 寄与率 抽出因子数:. 0.¢3308. れぞれについて計算されたα係数と因子分析 の結果が示されている.いずれのデータについ. 管理担当者1名,直接安貞4名の計6名である. ①N. α係数と因子負荷量は基準値を大きく 上回り,固有値が1を超える因子は表1に示さ. ②N. 「3S活動」の測定尺度として,上記5. 個全ての質問項目の算術平均値を以下の分析で は使用する.. (2)継続的品質改善努力 この尺度は,従業員が継続的品質改善にどの. 品質の不断の向上が全ての作業工程で 強調されている.. れている第一因子のみであるので,信頼性と構. 成の妥当性に問題はないと判断される.したが. 品質向上は自分達の責任だと全ての従 業員は信じている.. ても,. って,. 業. ③N. 私は品質向上のために常に努めている.. ④R. 私は品質向上を優先しない.. 表2に示されているように,上記4個の質問 項目を用いた場合,いずれのデータについても, α係数の値は基準値0.6を上回り,固有値が1 を超える因子は第一因子甲みであった.第一因. 程度積極的に取り組んでいるかを計ろうとする. 子因子負荷量も全て基準値o.4以上である.た. もので,以下の4個の質問項目から構成される・. だし,質問項目④については特に全事業所を対. 回答者は,同じく,生産技術担当者1名,品質. 象とした場合に基準値ぎりぎりの水準である..
(5) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表3. 美樹). (275). 信頼性と妥当性(顧客志向). WCM. 個人レベルデータ 0.68954. 全 事 個人レベルデータ. 業. 所 工場レベルデータ. 0.67175. 0.75721. 0.68853. 0.63013. 0. 53504. ・I_!・. 0.46878. 0.48900. 0.60247. ・.Ii・ ④. 0.65703. 0.66285. 0.85088. 0.54265. 0.55303. 0.55347. α係数:. 因子負荷量(第一因子のみ) ・享・. :. 0.68286. 0.63051. 0.75700. ・f7'. 固有値 寄与率. 0.74131. 0.75212. 0. 79986. 2.4358. 2.3446. 2.8924. 40.60%. 39.08%. 48.21%. 抽出因子数:. 1. 1. 1. ・r_-.. 31. 質問項目④は品質改善を継続的に行っているか. ⑥N. 否かではなく,多様なその他の製造目的と比較 して,品質向上の優先度を問うものである.当. 我々は定期的に顧客の要求を調べてい る.. 表3によれば,上記6個の全質問項目を用い. 然のこととして継続的品質改善に全社的に取り. て計算されるα係数の値はいずれのデータに. 組んでいるとしても,費用削減や柔軟性向上等. ついてもo.6を上回っている.固有値が1を超. の目的の方をより重視しているという場合も考. える因子も第一因子のみで,その因子負荷畳も. えられる.とはいえ,この質問項目を残してお. 全て0.4を超えており,全質問項目を利用して. いても測定論上特段の問題はないと判断し,. ち,信頼性と構成の妥当性において特段の問題. 「継続的品質改善努力」の測定尺度として,上. はないと判断される.したがって,. 「顧客志向」. 記4個全ての質問項目の算術平均値を採用する. の測定尺度として,上記6個の質問項目の算術. こととした.. 平均値を採用することとした.. (3)顧客志向 この尺度は,製造部門ないし製造事業所にお. (4)顧客満足度 この尺度は,顧客満足のレベルがどの程度で. ける顧客との接触,顧客ニーズ-の対応のレベ. あると製造部門が考えているかを測定しようと. ルを評価しようとするもので,以下の6個の質. するもので,以下の8個の質問項目が用いられ. 問項目を用いた.回答者は,生産技術担当者1. た.回答者は,生産技術担当者1名,品質管理. 名,品質管理担当者1名,直接要員4名の計6. 担当者1名,直接要員4名の計6名である.. 名である.. ①N. ①N. 我々は顧客としばしば密接に接触する.. ②R. 顧客は我々の工場を滅多に訪れない.. (丑N ④N. に満足している.. ②N. 我々の顧客は彼らの問題に対する我々. 顧客は品質と配送成果について我々に. の早い対応に喜んでいるようである.. フィードバックする.. ③N. 我々の顧客が競合他社に移る可能性は. 我々の顧客は製品設計過程に積極的に. 介入する. ⑤N. 顧客は我々が提供する製品やサービス. 非常に少ない.. ④N. 我々は顧客のニーズに迅速に対応しよ うと努めている.. 我々は多数の反復取引の顧客を持って いる.. (9N. 我々の工場は顧客の標準に常に適合し.
(6) 32. (276). 横浜経営研究 表4. 第m巻. 信頼性と妥当性(顧客満足度) 全 個人レベルデータ. wcM. 個人レベルデータ. α係数:. 所 工場レベルデータ. 0.86384. 0.92278. 0.91943. 0.77127. 0.86128. 0.88096 0.58812. 0.82293. 0.85253. 0.85262. o.86284. 0.74550. 0.73903. o.76695. :. o.30336. 削除. o.27901. 削除. 0.58680. o.37340. 削除. o.39056. 削除. 0.25790. 削除 0.70855. 0.71002. 削除. o.29241. ⑧R. 業. 0.86207. o.74178. 0.69660. ⑦N. 事. 0.81188. 0.81037. 0.72240. 因子負荷量(第-一因子のみ). ⑥R. 第4号(1998). 0.72337. 0.69600. o.36654. 削除. 0.37857. 削除. 0.82460. 0.87191. 0.88004. o.70179. 0.79146. 0.81017. o.80378. 0.64290. 0.67652. o.65201. 0.66285. 0.72322. 0,71696. 3.1245. 2.8913. 3.2611. 2.9837. 3.9152. 3.7579. 39.06%. 57.83%. 40.76%. 59.67%. 48.94%. 62.63%. 2. 1. 2. 1. 3. 1. ている.. ランド・ロイヤルティとはむしろ別個のものと. 我々の工場では顧客の満足は余り重要. みなすべきであろう.質問項目⑥については,. な問題ではない.. 「継続的品質改善努力」の質問項E]④と同様,. 顧客は過去3年間に渡って製品の品質. 他の製造目的と比較して,顧客満足度をどの程. について十分に満足してきた.. 度優先しているかを問うものとなっており,実. 総じて,過去3年間の我々の工場の品. 際の顧客の満足水準を直接対象としたものでは. 質は業界の基準に比べて低かった.. ない.. 表4が「顧客満足度」の信頼性・妥当性分析. そこで,問題が発見された質問項目を削除し,. の結果である.上記8個の全質問項目を用いた. 信頼性と構成の妥当性を再テストした.その結. 場合,すべてのデータについて¢係数は基準. 果,すべてのデータについて,. 値0.6を相当程度上回っており,信頼性には問. 超えるとともに,固有値が1を超える因子は第. α係数は0.8を. 題がない.これに対して構成の妥当性に関して. 一因子のみとなり,残された質問項目の因子負. は注意が必要である.すべてのデータについて. 荷量もすべて基準値をクリアできるようになっ. 固有値が1を超える因子が複数抽出されており,. た.最終的には,全事業所の個人レベルデータ. 個人レベルのデータについては第一因子因子負. を重視するという原則に従い,. 荷量も質問項目③と④と⑥,全事業所の工場レ. の測定尺度として,全質問項目の算術平均値に 加え,質問項目①②⑤在)⑧の算術平均値も計算. ベルデータについても質問項目④と⑥が基準値. 「顧客満足度」. o.4を下回っている.第二因子はこれらの質問 項目に強い関連をもつ因子である.質問項目③. し,以下の分析では後者を利用することとした.. と④が加えられた背景には,製品やサービスの. この尺度は,品質を維持向上させ,生産性を. (5)現場-の業績情報のフィードバック. 品質に対する顧客の満足度が高ければ,顧客の. 高めていくために,現場の作業者に彼らの業績. ブランド・ロイヤルティも高くなるという前提. 情報が適時かつ(図表や言葉などを使った)効. がある.しかし,顧客の価格弾力性が高い製品. 果的方法で提供されているかどうかを評価しよ. やサービスについてはこの前提は成り立たず,. うとするもので,以下の7個の質問項目が用い. よって,品質に対する顧客の満足度と顧客のブ. られた.回答者は,生産技術担当者1名,品質.
(7) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表5. (277). WCM. o.74723. 因子負荷量(第一因子のみ) 0.72300 ①. 全 個人レベルデータ. 事. 業. 所 工場レベルデータ. 0.76442. 0. 76000. 0.76974. 0.82555. 0.84637. :. 0.72203. 0.72450. 0.73585. 0.80477. 0.80775. ・;・・. 0,69600. 0.70110. 0.69255. 0.69872. 0.77633. 0. 77668. ・:ti・. 0. 72848. 0.74259. 0.71773. 0.73731. 0.78111. 0.79236. ④ ⑤ @ ⑦. 0,51000. 0.49853. 0.52272. 0.49468. 0.63339. 0.61685. 0.68214. 0.69016. 0.69653. 0.70523. 0.81791. 0.81556. 0.69308. 0.69935. 0.69965. 0.70645. 0.78142. 0.79676. 0.32474. 削除. 0.38668. 削除. 0.29331. 削除. 固有値:. 2.8491. 2.7783. 2.9171. 2.8144. 3.6273. 3.5640. 寄与率: 抽出因子数. 40.70%. 46.30%. 41.67%. 46.91%. 51.82%. 59.40%. 2. 1. 2. 1. 2. 1. 管理担当者1名,直接安貞4名の計6名である. ①N ②N ③N ④R ⑤N ⑥N. れている.. って違った受け止められ方をする可能性が示唆 される.実際,わが国のWCM企業の製造事業 所の現場ではほとんど例外なく多数の図表が掲. 計画遵守状況を示す図表が製造現場に. 示されており,情報フィードバックの効果的メ. 掲示されている. 機械の故障頻度を示す図表が製造現場. ディアとなっている.加えて,質問項目⑦のよ うに,管理者が作業者の仕事の質に言及するな. に掲示されている.. らば,単なる情報フィードバックには留まらず,. 私が良い仕事をしているかどうか言わ. しばしば作業者に対する遺憾,非難,叱責等が. 不良率を示す図表が製造現場に掲示さ. れたことがない.. 含意されることになろう.とりわけ,芳しくな. 従業員は品質についての情報を容易に. い業績のフィードバック・メディアとして,図. 知ることができる.. 表と管理者の言葉は全く異なったものと考える. 従業員は生産性についての情報を容易. べきであろう.. に知ることができる.. ⑦R. 33. 信頼惟と妥当性(現場への業績情報フィードバック). 個人レベルデータ α悌数:. 美樹). そこで,質問項目⑦を除いた6個の質問項目. 管理者は私の仕事の質について言及し. を用いて,再分析を試みた.その結果,すべて. たことがない.. のデータについて,. 表5は,これら全ての質問項目を用いた場合, すべてのデータについて,. α係数の値はさらに上昇. し,固有値が1を超える因子は第一因子のみと. なり,残された質問項目の因子負荷量もすべて. α係数が0.7を上回 り,内的整合性は高水準にあることを示してい. 基準値をクリアした.よって,. る.ただし,固有値が1を超える因子が2つず. 情報のフィードバック」の測定尺度として,全. 「現場-の業績. つ抽出されて,質問項目⑦の第一因子因子負荷. 質問項目の算術平均値に加えて,質問項目⑦を. 量の値が0.4に達していない.第二因子はこの. 除いた6個の質問項目の算術平均値も計算し,. 質問項目⑦に強い関連をもつ因子である.質問. 以下の分析では後者を利用した.. 項目④の第一因子因子負荷量もあまり大きくな いことからみて,少なくともわが国の製造事業. (6)保守管理 この尺度は,作業者自身が実施している日常. 所においては,業績情報のフードバックの方法. の保守業務の水準を評価しようとするもので,. として図表を用いるか言葉で説明されるかによ. 以下の7個の質問項目から構成される.回答者.
(8) 34. 横浜経営研究. (278). 表6. 第珊巻. 信頼性と妥当性(保守管理) 全 個人レベルデータ. wcM. 個人レベルデータ α係数:. 0.64493. 因子負荷量(第一因子のみ) 0.72709 (D o.50425 ② ・.lil L亨・ ⑤ ⑥ ⑦ 固有値:. 0.61786. 第4号(1998). 事. 業. 所 工場レベルデータ. 0.65682. 0.67838. 0.66133. 0.86032. 0.75657. 0.71254. 0.74717. 0.87807. 0.82212. 削除. 0.53512. 0.43125. 0.77562. 0.85615. 0.62656. 0.62541. 0.63168. 0.83192. 0.83572. 0.68663. 0.78120. 削除. 0.87743. :. 削除. 0.38872. 削除. 0.47377. 0.54488. 0.63596. 0.54849. 0.60293. 0.60076. 0.62132. 0.65783. 0.57142. 0.61533. 0.58948. 0. 56988. 0.57031. 0.64253. 0.64678. 0.82454. 0.83427. 2.3235. 2.1274. 2.4499. 2.3037. 3.9244. 3.4136. 寄与率:. 33.19%. 42.55%. 35.00%. 38.40%. 56.06%. 68.27%. 抽出因子数. 2. 1. 2. 1. 2. 1. 削除. は,生産技術担当者1名,生産管理担当者1名,. いて固有値が1を超える因子が2個抽出されて. 品質管理担当者1名,現場監督者2名,直接要. いる.ただし,第一因子因子負荷量が基準値を. 員8名の計13名である.. 下回っているのは,. ①N ②N ③N. WCM企業の製造事業所の. 我々の設備は常に生産の準備が整った. 個人レベルデータを使った場合の質問項目④だ. 状態になっている.. けである.第二因子に強い関連をもつ質問項目. 毎日,我々は保守のためだけの時間を. はデータベース毎に異なっており,. 取ってある.. 品質や計画遵守を実現するための方策. の製造事業所の個人レベルデータについては質 問項目②と④,全事業所の個人レベルデータに. として良い保守を重視する.. ついては質問項目④,丁全事業所の工場レベル. 保守活動の七めに毎日別個のシフトあ. データについては質問顔目⑤と⑥であった・質. るいはシフトの一部を取ってある.. 問項目(参と④は保守のための特別のシフトを明. 同業他社と比べて,修理のための停止. 確に取っているかどうか,質問項目⑤と⑥は設. 時間率が比較的高い.. 備故障率に関する限定的な内容を表しており,. 設備故障が繰り返し起こるがその原因. その他の質問項目と若干異なった意味合いを含. を特定化することが出来ない.. んでいるとも考えられる.実際これらの質問項. 保守部門は機械オペレ一夕が自ら予防. 目を削除すれば因子負荷量すべてが基準値を超. 保全をするのを支援することを重視し. える単一因子か抽出された.しかしながら,い. ている.. ずれの質問項目を削除すべきかについて決定的. WCM企業. /. ④N ⑤R ⑥R ⑦N. 表6に示されているα係数の値から,この. な結論は得られず,また,優先することを原則. 測定尺度を上記7個の質問項目で構成すること. とした全事業所の個人レベルデータについては. が信頼性の点では問題ないとみなすことができ. すべての質問項目の因子負荷量が基準値を上回. る.すべてのデータについて基準値の0.6を上 回っており,特に全事業所の工場レベルのデー. っているため,測定論上の若干の疑問を李みつ つも,. タについては高水準の内的整合性が得られてい. 問項目の算術平均値を採用することとした.. る.一方,構成の妥当性に関する因子分析の結 果は多少の注意を要する.すべてのデータにつ. 「保守管理」の測定尺度としては,全質. (7)続計的工程管理への励行 この尺度は,いわゆる「ばかよけ」ないし自.
(9) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表7. (279). 35. 信頼性と妥当性(統計的工程管理の励行) WCM. 個人レベルデータ. α係数:. 美樹). o.74277. 因子負荷量(第一国子のみ). 全 事 個人レベルデータ. 0.73718. 業 所 工場レベルデータ. 0.77483. 0.89636. :. 0.54934. 削除. 0.49111. 0.52190. 0.61997. 0.59805. 0.66642. 0,84119. 0.68397. 0.71002. 0.73777. 0.87633. 0.82178. 0,80525. 0.81104. 0.90645. 0.54463. 0. 59873. 0.60859. 0.80520. 0.76835. 0.80025. 0.79969. 0.87054. 2.7163. 2.5091. 2.8973. 3.9758. 45.27%. 50.18%. 48.29%. 66.26%. 2. 1. 1. 1. 働化を達成するために生産および補助的事務に. であり,ほんの僅かに1を上回っているにすぎ. おいて統計的工程管理が利用されている程度を. ない.この因子に強い関連をもつ質問項目は,. 測定しようとするもので,以下の6個の質問項. 後述する「新製品における品質の考慮」の測定. 目が用いられた.回答者は,生産技術担当者1. 尺度でも用いられる質問項目①であり,製造段. 名,品質管理担当者1名,直接要員4名の計6. 階での続計的工程管理を対象とした他の質問項. 名である.. 目とは違った内容を含んでいると考えられるが,. ①N. 新製品設計過程において顧客の要求を. ここでの結果はむしろ,統計的工程管理は製品. よく考慮する.. 設計の段階から始まっていると見なすべきであ. ②N. 工程は誤操作に対応出来ている.. ろう.. ③N. 製造現場の設備や工程の大部分で統計. データについて質問項目①を除いた場合,確か. 的品質管理が実施されている.. に単一因子が抽出されるものの,. ④N ⑤N ⑥N. wcM企業の製造事業所の個人レベル. 法をできるだけ利用している.. α係数の方 は低下してしまうという問題も生じている.全 事業所の個人レベルデータを重視するという原. 生産工程が正常かどうかを決めるのに. 則に従い,. 図表を使っている.. 度としては,上記6個の全質問項目の算術平均. 我々は工程を統計的工程管理によって. 値を用いることとした.. 工程の変動を減少するために統計的技. 監視している.. 表7が「統計的工程管理の励行」の信頼性・ 妥当性分析の結果である.上記6個の全質問項 目を用いた場合,すべてのデータについてα 係数は0.7を上回る水準にあり,信頼性では問 題ない.また,構成の妥当性に関しても,. wcM企業の製造事業所の個人レベルデータに. 「統計的工程管理の励行」の測定尺. (8)品質改善に対する報酬 この尺度は,従業員が品質改善は報われると 感じているかどうかを明らかにしようとするも ので,以下の6個の質問項目が用いられた.回 答者は,生産技術担当者1名,品質管理担当者 1名,直接要員4名の計6名である. ①N 品質向上に貢献した工員は報奨される.. ついて固有値が1を超える因子が2個抽出され. (勤N. 監督者は品質向上に対して報奨される.. たことを除いてほぼ満足できる水準にあると言. (参N. 私が品質を改善できれば管理者はそれ. える.しかも,この第二因子の固有値は1.0297. に報いてくれる..
(10) 36. 横浜経営研究. (280) 表8. 第瑚巻. 信頼性と妥当性(品質改善に対する報酬) 全 個人レベルデータ. wcM. 個人レベルデータ α係数:. 第4号(1998). 所 工場レベルデータ. 0.84495. 0・87354. 0.81928. 0.83414. 0.88244. 0.89626. 0.60003. 0.60039. 0.82764. 0.81382. 0.79072. 0.81631. 0.81335. 0.89839. 0.90558. 0.81861. 0.79778. 0.83737. 0.84893. 0.87816. 削除 削除. o.18978. 削除. 0.40955. 0.37657. 削除. 0.62712. 0.60869. 0.65222. 0.81660. 0.81717. 0.49639. 0.51041. 0.79279 0.79977. 因子負荷量(第一因子のみ). 業. 0.77340. 0.71548. 0,52893. 事. :. -o.04721 o.29986. 削除. 2.2735. 2.2236. 2,5119. 2.4190. 3.5525. 3.4273. 37.89%. 55.59%. 41.86%. 60,47%. 59.21%. 68.55%. 2. 1. 2. 1. 2. 1. 品質向上のアイデアに対してはグルー. 質問項目⑤をそれぞれ削除して,信頼性と構成. プを報奨する.. の妥当性の再検討を行った.その結果,すべて. ⑤N. 工場の生産性に基づく年間ボーナスシ. のデータベースについて,. 上回るに至り,各質問項目の因子負荷量が基準. ⑥N. ステムを採用している. 上着,コーヒーカップなどの非金銭的 誘因が品質向上-の報奨に使われてい. 個人レベルデータを重視するという原則に従い,. る.. 「品質改善に対する報酬」の測定尺度としては,. ④N. 表8に示されるように,全質問項目を用いた 場合のα係数は,全事業所の個人レベルと工. α係数の借は0.7を. 値を超える単一因子が抽出された.全事業所の. 上記6個の仝質問項目の算術平均値に加えて, 質問項目⑤と⑥を除いた4個の質問項目の算術. 場レベルについては基準値0.6を超えているが,. 平均値も計算し,以下の分析では後者を利用し. wcM企業の製造事業所の個人レベルデータに. た.. 関してはこの値に達していない.また,固有値. (9)品質での供給業者との協力. 第一因子因子負荷量が基準値0.4に達せず,か. この尺度は,品質の面での供給業者との相互 作用の程度とタイプを評価しようとするもので,. つ第二因子に強い関連をもつ質問項目は,工場. 以下の6個の質問項目が用いられた.回答者は. 生産性に基づいたボーナス制について尋ねてい. 生産技術担当者1名,品質管理担当者1名,直. る質問項目⑤あるいは非金銭的誘因が使われて. 接要員4名の計6名である.. が1を超える因子も2個ずつ抽出されており,. いるかを尋ねている質問項目⑥となっている. 特に,質問項目⑤については品質改善ではなく,. ①N. 工場の生産性に対する報酬という表現になって. ②N. いるため,残りの質問項目とは異なる内容を含 むと受け取られたようである.. と努力している.. ③N. 品質は供給業者選択の第一の基準であ る.. ④N. 我々は少数の高品質の供給業者に依存 している.. 業所の個人レベルデータについては質問項目⑤ と⑥,全事業所の工場レベルデータについては. 供給業者は我々の新製品開発過程に積 極的に関わっている.. そこで,. α係数と第一因子因子負荷量から 判断して,全事業所及びWCM企業の製造事. 我々は供給業者と長期の関係を築こう. ⑤N. 我々は大抵,品質について適格と認定.
(11) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表9. 全 個人レベルデータ. WCM. ⑥N. 0.71062. o.65140. 因子負荷量(第一因子のみ). (281). 37. 信頼性と妥当性(品質での供給業者との協力). 個人レベルデータ. α係数:. 美樹). 0.62813. 0.69419. 事. 業. 所 工場レベルデータ. 0.73305. 0.80520. :. 0.63183. 0.63968. 0.65077. 0.65465. 0.76813. 0.77068. 0.58475. 0.57257. 0.55003. 0.54779. 0.71896. 0.71670. 0.71190. 0.70676. 0.68768. 0.68409. 0.76703. 0.76627. 0.17341. 削除. 0.12482. 0.80337. 0.80821. 0.79647. 0.79673. 0.89533. 0.66372. 0.67594. 0. 66821. 0.67483. 0.64848. 0.64774. 2.3639. 2.3466. 2.2954. 2.2868. 2.9224. 2.9191. 39.40%. 46.93%. 38.26%. 45.74%. 48.71%. 58.38%. 2. 1. 2. 1. 2. 1. 削除. 削除. 0.07045. 0.89710. した供給業者を使っている.. 平均値も計算し,以下の分析では後者を採用し. 我々は品質や設計変更について供給業. た.. 者と密接な連絡を保っている. 「品質でP供給業者との協力」の信頼性・妥. (10)品質に対するトップのコミットメント この尺度は,継続的改善を追求するトップ・. 当性分析の結果が表9である.上記6個の質問. マネジメントの個人的関与を測定しようとする. 項目をすべて用いた場合,すべてのデータベー. もので,以下の7個の質問項目が用いられた.. スについて,. 回答者は工場長1名,生産技術担当者1名,品. α係数は0.6を上回っており,内. 的整合性は満足できる水準に達している.一方, 固有値が1を超える因子は2個ずつ抽出され,. 質管理担当者1名の計3名である. ①N. 我々の工場の全ての主要な部門の責任. 質問項目④の第一因子因子負荷量は基準値0.4. 者は品質についての責任を受け入れて. を大きく下回っており,この質問項目が第二因. いる.. 子に強い関連をもっている.経営環境が悪化す. ②N. 質改良に直接的な指導力を発揮する.. る中で多くの製造企業は供給業者数を絞り込ん で密接な連携を模索しているとはいえ,多数の. (丑N. 原材料や部品,コンポーネントを外部供給業者 に依存する傾向の大きい加工組立型製造企業に. 工場マネジメントは高品質の製品と品 工場管理評価において品質が最も重要 である.. ④N. 我々の工場の全ての主要な部門の責任. とって,供給業者は少数とは言えないであろう.. 者はジャスト・イン・タイム生産を推. この尺度は供給業者との連携・協力の内容を主. 進するように努めている.. に評価しようとするものであるとし,質問項目. ⑤N. ④を除いて再テストを試みた.その結果,すべ てのデータベースについて,. α係数の値が増. トップマネジメントは生産工程に従業. 員が関与するように強く奨励している. ⑥N. 工場マネジメントは品質改良を目指し. 大するとともに,因子負荷量がすべて0.5を上. たビジョンを作り出し,理解させよう. 回る単一因子が抽出されるに至った.よって,. としている.. 「品質での供給業者の協力」の測定尺度として. ⑦N. 工場マネジメントは品質改良プロジェ. は,上記6個の全質問項目の算術平均値に加え. クトに直接的に関わっている.. て,質問項目④を除いた5個の質問項目の算術. 表10には,これら7個の質問項目をすべて用.
(12) 38. 横浜経営研究. (282) 表10. 第WI巻. 第4号(1998). 信頼性と妥当性(品質に対するトップのコミットメント) wcM. 個人レベルデータ. 全 事 個人レベルデータ 0.80892. 0.83788. 0.69267. 0.77045. 0.81846. 0.90125. 0.57298. 0.48285. 0.58616. 0.64207. 0.69032. 0.62266. 0.69664. 0.76552. 0.73023. 0.77142. 0.82467. 3.4016. 3.3785. 3.7050. 48.59%. 48.26%. 52.93%. 1. 1. 1. 0.80988. α係数:. 因子負荷量(第一因子のみ) 0.68191 匡電 0.84353 ② 0.61166 ③ 0.51400 ④ 0.73130 ⑤ 0.72024 ⑥ ・言・. 固有値 寄与率 抽出因子数:. 所 工場レベルデータ. 業. :. 表11信頼性と妥当性(顧客とのTQM連結) 全 個人レベルデータ. wcM. 個人レベルデータ 0.32629. α係数:. 0.61290. 事. 業. 所 工場レベルデータ. 0.37038. 0. 55128. 0.48543. 0.74038. 0.47837. 0.47300. 0.75371. 0.76489. 0.76271. 0.76408. 0.77717. 0.76830. 因子負荷量(第一因子のみ) 削除. o.51185 0.78366. 0.82040. 削除. 0.60282. 0.81184. 0.87863. 0.86871. 1.7804. 2.3298. 2.2934. 35.80%. 44.51%. 50.70%. 57.33%. 2. 2. 2. 1. -o.oo899 0.55695. 0.80868. 0.75599. 0.81798. 1.8588. 1.7010. 1.7899. 37.18%. 56.70%. 2. 1. α係数. と因子負荷量は基準値を大きく上回り,固有値 が1を超える因子は第一因子のみであるので,. 担当者1名,品質管理担当者1名,直接要員4 名の計6名である. ①N. 「品質に対するトッ. ②N ③N ④N. 顧客は彼らの品質向上努力に我々を巻 き込む.. この尺度は,品質の面での顧客の生産活動と の統合度を測定しようとするもので,以下の5. 我々は,顧客の工場へ無検品納品して いる.. では使用する.. (ll)顧客とのTQM連結. 顧客は我々の工程を適格と認定してい る.. プのコミットメント」の測定尺度として,上記 7個全ての質問項目の算術平均値を以下の分析. 顧客が我々を供給業者として選択する. 第一の基準が品質である.. 信頼性と妥当性は十分に確保されているものと 判断される.したがって,. 0.56017. 個の質問項目が用いられた.回答者は生産技術. いた場合のα係数と因子分析の結果が示され ている.いずれのデータについても,. 削除. -0.25256 0.56741. 0.67556. -0.17550 0. 54584. 削除. ⑤N. 顧客は高品質な製品や工程について.
(13) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表12. WCM. 0.59297. 因子負荷量(第一因子のみ) 0,75403 十 0.66752 ② 0.63846 @ @ 0.63600 固有値 寄与率 抽出因子数:. (283). 39. 信頼性と妥当性(新製品における品質の考慮) 全 個人レベルデータ. 個人レベルデータ α係数:. 美樹). 業. 所 工場レベルデータ. 0.54943. 0.68071. 0.74751. 0.85151. 0.68585. 0.69576. 0.80896. 0.62429. 0.64783. 0.49532. 0.83475. 0.54144. 0.55903. 0.84715 0.82121 0.47126. 削除. 事. 削除. 0.54563. 0.73629. 1.8263. 1.6141. 1.7602. 1.6248. 45.66%. 53.80%. 44.01%. 54.16%. 52.48%. 2. 1. 2. 1. 1. 我々を頼りにしている.. 表11に示されるように,これら5個の質問項. 2.0991. える単一因子が抽出されるが, 依然として基準値o.6に達しない.. α係数の方は WCM企業. 目をすべて用いた場合,いずれのデータベース. の製造事業所の個人レベルデータについては,. についてもα係数の値は基準値o.6を下回って. 質問項目①と③を削除することにより,. いる.また,固有債が1を超える国子がそれぞ. 数は基準値を超え,因子負荷量もすべて基準値. れ2個ずつ抽出され,質問項目③の第一因子因. を上回る単一因子が抽出された.. 子負荷量は負債となっている.この質問項目は. α係. このように,各データベースごとに結果が幾. 第二因子に強く関連するものである.ここでの. 分か異なり,さらに,優先する全事業所の個人. 無検品納品とは,顧客の受入時に顧客による検. レベルデータについては信頼性で満足できる水. 品が行われないことを意図していたのだが,む. 準に達しなかったため,以下の分析ではこの尺. しろ,出荷前の製造事業所での検品が行われて. 度は使用しないこととした.. いないことと解釈されてしまった可能性がある.. そこで,取りあえず,質問項目③を削除して,. (12)新製品における品質の考慮 この尺度は,新製品の設計および導入に対し. 再度,信頼性と妥当性のテストを行った.その. て品質の考慮が及ぼす影響を評価しようとする. 結果,全事業所の工場レベルデータについては,. もので,以下の4個の質問項目が用いられた.. α係数も0.7を上回り,各質問項目の因子負荷 量がすべて0.6以上である単一因子が抽出され. た.しかしながら,全事業所の個人レベルデー タについては,. 回答者は工場長1名,生産技術担当者1名,品 質管理担当者1名の計3名である.. ①N. 設計は十分に見直しされている.. α係数は0.6に達せず,固有値. が1を超える因子も依然2個抽出されている.. ②N. 第一因子因子負荷量はすべて基準値o.4を超え たが,第二因子に比較的強い関連をもつ質問項. こととTQM連結の統合度との関連はあくまで 間接的なものと考えるべきかもしれない.さら. 新製品設計過程において顧客の要求を よく考慮する.. (彰R. 新製品の費用削減は新製品の品質より も重要である.. 目として,質問項目(丑が注目される.顧客が供 給業者を選択する際の第一の基準が品質である. 製品が生産され販売される前に新製品. ④R. 新製品開発過程では計画の遅れは新製 品の品質よりも重要である.. 表12が「新製品における品質の考慮」に関す. に,質問項目①も削除すると,残りの質問項目. る信頼性・妥当性分析の結果である.上記4個. に対してはすべて因子負荷量が基準値o.4を超. の質問項目をすべて用いた場合,全事業所の工.
(14) 40. 横浜経営研究. (284). 場レベルデータについては,. α係数の値が0.6. を超え,また因子負荷量もすべて0.6以上であ. 第Wl巻. 第4号(1998) に,. 10個のTQM関連測定尺度は相互に強い. 正の相関関係にあり,現場レベルとマネジメン. る単一因子が抽出されており,特段も問題は見. ト・レベルでの品質管理システムが相互補完的. 当たらない.しかしながら,個人レベルデータ. 関係にあることの傍証となっている.. については,. α係数が0.6に達せず,固有値が. 1を超える因子も2個抽出されている.第一因. 子因子負荷量はすべての質問項目に対して0.4 を上回ったが,第二因子に比較的強い関連をも. 4.品質管理システムを巡る実証分析 (1)業種別・クラス別比較 まず,品質管理システムに関して,業種毎に. つものは質問項目④であった.新製品開発過程 における日程と品質との重要度については,早. 顕著な差があるのか,また,. 純に品質優先とは言い切れない面があろう.そ. 検討する.ここでの検定仮説は次の2つである.. こで,個人レベルデータについては,質問項目 ④を削除して,再テストを行った.その結果,. 特別な品質管理システムを実施しているのかを [仮説1]機械,電機,自動車のいずれの業種 においても同様な品質管理システム が採用されている.. 残された質問項目に対応する因子負荷量がすべ て基準値を上回る単一因子が抽出されたものの,. [仮説2] wcM企業における品質管理システ ムは,一般の製造企業と変わらない.. α係数はむしろ低下してしまった.少なくと も個人レベルデータに関しては信頼性に疑問が. WCM企業は何か. 前節で信頼性と妥当性のチェックをパスした. 残るため,以下の分析ではこの尺度は使用しな. 10個のTQM関連測定尺度および「TQM」. い.. スーパー尺度の工場レベルデータを算出し,そ れらを用いて業種別,クラス別(WCM企業か. (13) TQMスーパー尺度 最後に,製造事業所における品質管理システ. 無作為抽出企業か)に顕著な差が認められるか. ムの特徴を総合的に評価するため,これまで検 討してきたTQM関連測定尺度から信頼性に. を分析した.. 疑問のあった「顧客とのTQM連結」と「新. ルのTQM関連測定尺度を合成するには,あ. 製品における品質の考慮」を除いた10個の測定. る測定尺度を構成するすべての質問項目の算術. 尺度を用いてスーパー尺度を構成する.この. 平均値をその回答者毎に計算し,個人レベルの. 「TQM」スーパー尺度も測定尺度であるので,. 測定尺度の値を求めた後に,該当製造事業所の. 表13の中に示すように,全事業所の工場レベル. すべての回答者の算術平均値を計算するという. データにより信頼性と構成の妥当性を検証した.. 方法を採用した.こうして求めた工場レベルの. 10個のTQM関連測定尺度から計算された α係数は0.94で,内的整合性は極めて高い. また,固有値が1を超える因子は固有値6.59,. 個人レベルの質問項目毎の回答から工場レベ. TQM関連測定尺度の算術平均値が「TQM」 スーパー尺度である.. このようにして得られた工場レベルの測定尺. 寄与率66%の第一因子のみで,因子負荷量はす. 度を利用して,まず最初にクラスの違いを無視. べて0.7を上回っており,構成の妥当性につい. し,各測定尺度(「TQM」スーパー尺度を含. ても全く問題ないと判断される.したがって,. む)の平均値を業種別に求め,業種による一元. 「TQM」スーパー尺度として,. 配置分散分析を行った.表14の中に示されてい. 「顧客との. [仮説1]を正当化するものである.. TQM連結」と「新製品における品質の考慮」 以外の10個のTQM関連測定尺度の算術平均. る結果は,. 値を使用することとした.. 関連測定尺度について,業種間での差異は全く. ちなみに,. α係数の値からも明らかなよう. 「TQM」スーパー尺度を含め,すべてのTQM といっていいほど見られない..
(15) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表13. 41. スーパー尺度の信頼性と妥当性. TQM 0.93813. α係数:. (285). 美樹). JIT生産 α係数:. 0.93246. 因子負荷量(第一因子のみ). 因子負荷量(第一因子のみ) 3 S活動. 0.76295. 継続的品質改善努力. 0.85886. 顧客志向. 0.77820. 顧客満足度 現場への業績情報フィードバック. 0.76941. 保守管理. 0.74864 0.92309. 統計的工程管理の励行 品質改善に対する報酬 品質での供給業者との協力 品質に対するトップのコミットメント. 0.81710. 0.86856 0.85924 0.70842. 固有値:. 6.5921. 寄与率:. 65.92%. 抽出因子数:. 1. 0.83157. 日程計画の遵守 設備レイアウト 僕給業者からのJIT配送 顧客とのJIT連結 カンパン方式の採用 MRPのJIT適合 基本計画での混流生産相応 段取り時間の短縮 小口ットサイズ化 固有値: 寄与率: 抽出因子数:. 0.86818. 0.85919 0.83114 0.78696 0.87854. 0.91463 0.83708 0.58225 6.1416 68.24% 1. 情報システム α係数:. 組織特性 0.62690. α係数:. 因子負荷量(第一因子のみ) 組織の集権度. 0.82194. 削除. -o.24847. 組織へのコミットメント. 0.92130. 意思決定での職能間協力 仕事への誇り 固有値:. 0.87238 0.76321 2.2541. 2.2195. 寄与率: 抽出因子数:. 56.35%. 73.98%. 2. 1. 人的資源管理 α係数: 因子負荷量(第一因子のみ). 0.93934 0.88839 0.74021. 0.93884. 現場作業手続の文書化 改善提案制度の機能化 チームワークへの動機づけ. o.79256. 採用・選抜基準 報酬と製造目標の一貫性. 0.80562. 管理者・技術者の現場支援. 0.72218. 小集団活動による問題解決 監督者と作業者のコミュニ. 0.89499. 0.86598 0.72888 0.81551. ケ-ション. 0.85014. 継続的技能訓練. 0.89822. 技能の幅を考慮した報酬体系. 0.63975. 製造と人的資源の適合度. 0.64498. 多能工の育成 固有値:. 0.88553. 寄与率: 抽出因子数:. 64.04%. 7.6849 1. 0,87731. 因子負荷量(第一因子のみ) 0.49825. 活動基準原価の採用 情報システムの効果 本社との調整. 0.84132 0.74839. 業績評価基準の有効性 外部品質情報の把握. 0.79026. 内部品質情報の把握 製造計画の赦密度. 0.81952. 短期的安定性・予測可能性. 0.85080. 0.75576. 0.61195 4.4818. 固有値: 寄与率: 抽出因子数:. 56.02% 1. 技術 α係数:. 因子負荷量(第一因子のみ) 工程革新の実施. 0,86512 :. 0.88762 0.91869. 製品設計への関与 新製品設計の顧客・製造指向 固有値: 寄与率: 抽出因子数:. 0.86846 2.3861 79.54% 1. 製造戦略 α係数:. 因子負荷量(第一因子のみ). 0.93516 :. 新技術に対する予期的対応 製造戦略の浸透度 競争上の顕著な強み. 0.93683 0.73530. 公式的戦略計画-の製造の参画. 0.87702. 職能間統合. 0.78297. 製造戦略と事業戦略の連動. 0.85905. 製造戦略の強さ. 0.90805. ポーターの競争戟略. 0.68747. 設備の自社開発 固有値: 寄与率: 抽出因子数:. 0.84913. 0.72555. 6.0831 67.59% 1.
(16) (286). 42. 横浜経営研究. 表14. 第調巻. 第4号(1998). TQM関連測定尺度の業種別平均値とクラス別平均値. 測定尺度. 機械. 電機. 自動車. F. 無作為. WCM. t. 3S活動. 3.82. 3.88. 3.72. 0 42. 3.92. 3.56. 2.64**. 3 8l. 継続的品質改善努力. 4.09. 4.13. 4.12. 0. 07. 4.20. 3.92. 2.65**. 4. 顧客志向 顧客満足度. 3.58. 3.51. 3.62. 0 37. 3.61. 3.47. 1.34. 3 57. 3.60. 3.54. 3.50. 0 27. 3.62. 3.37. 2.32*. 3 55. ー 17. 3.70. 3.42. 1.86*. 3. 11. 現場への業績情報フィードバックク. 3.51. 3.58. 3.77. 保守管理 統計的工程管理の励行. 3.29. 3.35. 3.47. ー 07. 3.47. 3.14. 3.57**. 3 37. 3.62. 3.72. 3.84. ー24. 3.83. 3.48. 3.00**. 3 73. 3.66. 3.67. 0. 01. 3.83. 3.31. 3.58**. 3 67. 3.85. 3.85. 0 87. 3.88. 3.63. 2.50**. 3 8ー. 4.13. 4.17. 0. 4.22. 3.85. 3.26**. 4. 3.69. 3.74. 3.77. 3,83. 3.52. 3.41**. 15. 16. 15. 32. 3.68 品質改善に対する報酬 3.71 品質での供給業者との協力 4.01 品質に対するトップのコミットメント. TQM. (スーパー尺度). 標本数. 74. 62. ー0. 14. *片側検定により1%水準で有意 **片側検定により5%水準で有意. 表14には,業種を無視してクラス毎に計算さ れた各測定尺度の平均値,および平均値の差の. (p-o.o406)と「現場への業績情報のフィー ドバック」. (p-0.0102)であった.また,辛. 検定に利用されるt値も含まれている.すべて. 均値の差の検定量tはクラス別母集団の分散が. の測定尺度について,. 等しい場合と等しくない場合で異なる.分散比. WCM企業の製造事業所. の平均値は無作為抽出された製造事業所の平均. 検定により有意水準5. 値を上回っている.とりわけ,. しいという仮説が棄却された測定尺度はなかっ. 「継続的品質改善努力」, 工程管理の励行」,. 「3S活動」, 「保守管理」,. 「統計的. 「品質改善に対する報酬」,. 「品質での供給業者との協力」,. 「品質に対する. トップのマネジメント」の7つの測定尺度と 「TQM」スーパー尺度に関しては, 有意な差があると判定された.. 1%水準で 「顧客満足度」. と「現場への業績情報フィードバック」につい ても5. %水準で有意な差が存在する.. %でクラス別母分散が等. たため,すべてクラス別母分散は等しいとして 平均値の差の検定を行っている. 以上の分析では,. TQM関連測定尺度に対す. るクラス効果と業種効果が明確に分離されては いない.そこで,. WCM企業の製造事業所と無. 作為抽出された製造事業所それぞれについて,. 各測定尺度の業種別平均値の相違を検討してみ よう.表15には,各測定尺度についてクラス別. 分散分析や平均値の差の検定においては,. 業種別平均値,クラス別一元配置分散分析の結. 「TQM」スーパー尺度を含めいずれの測定尺度. 果として得られたF値が示されている.. についても,業種別母集団,クラス別母集団と. 企業の製造事業所については,. もに正規分布に従うことが仮定されている.シ. 情報のフィードバック」,. ャビロ・ウイルク検定によって正規母集団から. 行」, 「品質に対するトップのコミットメント」. の無作為抽出標本であるという仮説が有意水準. の測定尺度の平均値で,機械業界が他よりもや. 1ヲ`で棄却されたものは,電機業界の「品質改. や低いものの,. 善に対する報酬り(p-0.008)のみであった.. ない.一方,無作為抽出された製造事業所のみ. また,有意水準5%で棄却されたものもすべて. に限定した場合,. 電機業界に関する測定尺度であり,. 測定尺度の平均値について自動車業界が最高,. 「3S活動」. WCM. 「現場-の業績. 「統計的工程管理の励. 5%水準でも有意な差は見られ. 「保守管理」を除くすべての.
(17) 表15. 3S活動 継続的品質改善努力 顧客志向 顧客満足度 現場への業績情報フィードバック. 機械. 電機. 3.90. (スーパー尺度). 作. M. 自動車. F. 為 自動車. F. 4.04. 3.78. 0 87. 3. 3 39. 3 67. 0.52. 4.28. 4.21. 0. 79. 4 00. 3. 69. 4. 1.98. 3.61. 3.63. 3.58. 0 06. 3 44. 3. ー4. 3 66. 5.33*. 3.63. 3.69. 3.50. 1. 3. 3 09. 3 50. 1.28. 3.54. 3.78. 3.84. ー 47. 3 40. 2. 99. 3. 68. 2.85. 3.40. 3.51. 3.53. 0. 70. 2. 2. 89. 3. 40. 7.19*. 3.91. 3.92. 1. 84. 3 31. 3 14. 3. 76. 4.08*. 3.91. 3.74. 0 45. 3 19. 2. 90. 3 59. 2.44. 3.99. 3.90. 1 51. 3. 50. 3 45. 3 79. 2.27. 4.27. 4.34. 1. 3 75. 3 69. 3. 1.12. 3.90. 3.83. 3.75. 標本数. C. 4.ll. 保守管理 3.70 統計的工程管理の励行 3.80 品質改善に対する報酬 3.77 品質での倶給業者との協力 4.07 品質に対するトリプのコミットメント TQM. 43. TQM関連測定尺度のクラス別業種別平均値 W. 測定尺度. (287). 美樹). わが国製造企業における品質管理システム(松井. 12. 12. 02. 72. 51. 44. 87. 02. 99. 8. **片側検定により1%水準で有意 *片側検定により5%水準で有意. 電機業界が最低となっている.しかし,各業界. 以外の測定尺度については有意なクラス効果が. の平均値が等しいという仮説を棄却できるもの. 確認されており,特に,. は有意水準1%では全くなく,有意水準5%で. 工程管理の励行」,. 「顧客志向」,. 「保守管理」,. 「統計的工程管理の. 「顧客志向」. 励行」の3個の測定尺度であった.. 「保守管. については電機業界が低水準にあり,. 「保守管理」, 「統計的. 「品質改善に対する報酬」,. 「品質に対するトップのコミットメント」,さら に「TQM」スーパー尺度に関しては,. WCM企. 業の製造事業所と無作為抽出された製造事業所. 理」と「統計的工程管理の励行」については自. との間には明確な差異があると判断される.他. 動車業界が高水準にあることが目立った特徴で. 方,業種間の違いに関しては,. ある.この分散分析でも,すべての測定尺度に. 「統計的工程管理の励行」の2測定尺度のみ,. ついてクラス別業種別母集団がすべて正規分布. 5. に従うことが仮定されている.シャビロ・ウイ ルク検定によって,有意水準5. %で正規母集団. 「保守管理」と. %水準で有意と判定されているだけである.. 業種とクラスとの交互作用効果では,. 「保守管. 理」と「品質改善に対する報酬」の2側面で自. からの無作為抽出標本であるという仮説が棄却. 動車業界の無作為抽出された製造事業所が高水. されたのは,いずれも電機業界の無作為抽出さ. 準にあることがやや目立つ程度である.. れた製造事業所の「統計的工程管理の励行」. 以上の分析から,一般に,. [仮説1]は採択. [仮説2]は棄却される.すなわち,無. (p-o.o196),. され,. S活動」. 作為抽出された製造事業所よりもwcM企業の. WCM企業の製造事業所の「3 (p-0.0498)の2個だけであった.. 各測定尺度に対する業種とクラスの違いを同. 製造事業所が,品質管理システムの充実により. 時に評価するには,二元配置分散分析を利用す. 積極的に取り組んでいるが,業種間には顕著な. るのが適当である.業種とクラスのそれぞれの. 差はないと結論づけることができよう.松井. 主効果だけでなく,両者の交互作用効果もモデ. (1997.3)は,製品・工程技術の開発について. ルに組み入れた分析の結果が表16のF値とそ. も同様な結論を導いており,相互補完的関係に. の有意性によって要約されている.. 「顧客志向」. あると見られる技術開発と品質管理システムに.
(18) 44. (288). 横浜経営研究. 表16. 第Ⅶ巻. 第4号(1998). TQM関連測定尺度の二元配置分散分析(F億). 測定尺度. 業種. クラス. モデル全体. クラス*業種. 1.91. 6.10*. 0.14. 継続的品質改善努力. 2.34. 7.83*. 0.43. 1.86. 顧客志向 顧客満足度 現場への業績情報フィードバック 保守管理 統計的工程管理の励行. 1.68. 2.47. 0.70. 2.54. 2.22. 5.03*. 0.06. 2.70. 2.60*. 6.03*. 2.45. 2.ll. 6.19**. 21.00**. 4.23*. 3.30*. 4.92**. 15.11**. 3.83*. 2.97. 品質改善に対する報酬. 4.27**. 14.80**. 0.47. 3.27*. 品質での僕給業者との協力. 2.76*. 8.42**. 1.92. 1.64. 品質に対するトップのコミットメント. 3.35*. 13.88**. 2.35. 0.50. 4.57**. 15.55**. 1.55. 3.31*. 3S活動. TQM. (スーパー尺度). 1.25. **片側検定により1%水準で有意 *片側検定により5%水準で有意. 類似の傾向が見られることは興味深い.これに. 情報システム,技術,製造戦略を取り上げる.. 対して,松井(1996)および(1997.9)に示さ. いずれの要素についても,表13中に列挙された 詳細な個別測定尺度とそれらを合成したスー. れているように,. JIT生産-の取り組みや生産. 情報システムの活用度に関しては,業種間でも. パー尺度が構成され,これらに基づいて測定が. 明確な差異が確認されており,対照自勺である.. 行われた.. 製品に直接関与する最も基本的戦略目標である. まず,. [仮説4]の方から始吟よう.品質管. 品質によって生産活動を組織化し,運営してい. 理システムの充実が製品の競争力につながって. くことは,およそいかなる製造業においても,. いるのか,さらに,製品の競争力を決定づける. 世界的水準のオペレーションを達成するために. 生産管理システム要素の中でTQMはいかなる. 必要不可欠の要件と言える.これら諸要素間の. 地位を占めるのかについて分析する.. 関連については次項でさらに詳しく分析する.. (2)品質管理システムを巡る構造分析 以下では,. 競争力指標としては,工場長が表17の後半部 分に挙げられている11項目について業界内での. TQMへの取り組みがその他の生. 競争優位性を主観的に5段階評価(1. -貧弱ま. 産管理システム要素といかなる関連をもつのか,. たは業界最低,. また,品質管理システムの充実が競争力の源泉. 平均以上,. となっているのかといった製造事業所を中心と. 17には,. した品質管理システムを巡る構造について検討. 争力指標による正準相関分析の結果が示されて. しよう.ここでの主要検定仮説は次の2つであ. いる.正準変数も複数計算されるが,固有値が. る.. 2-平均以下,. 3-平均,. 4-. 5-優位)したものを利用した.秦 10個のTQM関連測定尺度と11個の競. 1を超える正準変数のペアのみを選択すること. [仮説3]品質管理システムとその他の生産管 理システム要素には関連性がない.. [仮説4]品質管理システムの充実と製品の競. とした.その結果,. 3つの正準変数のペアが抽. 出されたが,尤度比検定によって有意水準10% で相関なしという仮説を棄却できるのは第一正. 争力には関連性がない.. 準変数のペア(p-0.0008)のみで,その正準. [仮説3]中のその他の生産管理システム要素. 相関係数は0.9156と極めて高水準にある.また,. としては,組織特性,人的資源管理,. JIT生産,. 冗長度指数は,競争力指標の分散の約40%が.
(19) わがBl製造企業における品質管理システム(松井 表17. 美樹). (289) 45. TQM関連測定尺度と競争力指標との関係 第一正準変数. 第二正準変数. 第三正準変数. 正準相関係数 尤度比. 0.9156. 0.8223. 0.7578. 0.0065. 0.0405. 0.1250. 有意水準 冗長度指数. 0.0008. 0,1439. 0.6147. 0.1505. 0.2143. 0.0414. TQM関連測定尺度と競争力指標の正準変数との相関 3S活動. 0.5246. 0.3749. 0.1133. 0.5614. 0.1170. 0.4690. 0.4547. 0.2668. 0.3919. 現場への業績情報フィードバック. 0.1079. 0.2878. 0,5768. 保守管理 統計的工程管理の励行 品質改善に対する報酬 品質での供給業者との協力 品質に対するトップのコミットメント. 0.2788. 0.3386. 0.3633. 0.3357. 0.2358. 0.3760. 0.4981. 0.0035. 0.3333. 0.4999. 0.1972. 0.2154. 0.4302. 0.4572. 0.0073. 競争力指標とTQM関連測定尺度の正準変数との相関 製造単価 製品の安定性. 0.4547. 0.1181. 0.4328. 0.4082. 0.4980. 0.4258. 0.0074. 0.3039. 0.5260. 0.0322. 0.0025. 0.6557. 0.0646. 製品ミックス変更柔軟性. 0.2027. 0.3690. 数量変更柔軟性. 0.2471. 0.3983. -0.3230 0.1263. 在庫回転率. 0.2690. 0.5918. 0.1477. サイクルタイム. 0.2517. 0.5340. 0.2040. 新製品導入速度. 0.6037. 0.2833. 0.2005. 製品の性能 顧客支援サービス. 0.4919. 0.3161. 0=0624. 0.7617. 0.1591. 予定通りの納品 迅速な納品. TQM関連測定尺度の第一,第二,第三正準変. 質に対するトップのコミットメント」だけが. TQM関連測定尺度と競争力指標の第一正準. 変数との相関(交差負荷量)については, 客志向」, 「3S活動」,. 「顧. 「品質での供給業者との. 「品質改善に対する報酬」,. -0.0155. TQM関連測定尺度と競争力指標の第二正準 「品 変数との相関(交差負荷量)については,. 数によって説明可能であることと示している.. 協力」,. 0.4376. -0.0668. 継続的品質改善努力 顧客志向 顧客満足度. 「顧客満足. 0.4を超えており,競争力指標とTQM関連測. 定尺度の第二正準変数との相関(交差負荷量) については,. 「迅速な納品」,. 「在庫回転率」,. 度」が0.45を超えており,特に競争力に強い影. 「サイクルタイム」,. 響を及ぼす要因と考えられる.一方,競争力指. 支援サービス」,. 標とTQM関連測定尺度の第一正準変数との相. 価」, 「製品の安定性」等が比較的高水準にある.. 関(交差負荷量)については,. 品質に対するトップ・マネジメントのリーダー. 「製品の安定性」. 「予定通りの納品」,. 「新製品導入速度」,. 「顧客 「製品単. や「製品の性能」はもちろんであるが,それ以. シップが十分発揮されている製造事業所では,. 上に「顧客支援サービス」,. 製品の品質だけでなく,納品,製造費用,さら. が0.6を上回っており,. 「新製品導入速度」. TQMの取り組みがアフ. にアフターサービスや新製品開発でも競争力を. ターサービスや新製品開発の分野における競争. 高く評価していると見なせる.また,. 力向上に寄与していることが分かる.. 連測定尺度と競争力指標の第三正準変数との相. TQM関.
(20) 46. 横浜経営研究. (290) 表18. スーパー尺度と競争力指標との関係 第一正 準変数. 第二正 準変数. 正準相関係数 尤度比 有意水準. 0.8549. 0.7767. 0.0330. 0. 1228. 0.0027. 0.1445. 冗長度指数. 0.3077. 0.0389. 第Ⅶ巻. 第4号(1998) %. 係数は0.85で,尤度比検定により有意水準1. で相関なしという仮説を棄却できる.競争力指 標の分散の約31%がスーパー尺度の第一正準変 数によって説明されており,第二正準変数も加. スーパー尺度と競争力指標の正準変数との相関 TQM. 0.5731. 組織特性 人的資源管理 JIT生産 情報システム 技術 製造戦略. 0.4062. -0.3137 0.1781. 0.5105. 0.1254. 0.4854. 0.3673. 0.5784. 0.0954. 0.6652 0.8285. -0.1015 0. 1388. 競争力指標とスーパー尺度の正準変数との相関 0.4899 0. 1090 製造単価 0.4486 製品の安定性 -0.0926 0.5322 0,1167 予定通りの納品 0.5611 0.2001 迅速な納品 0.4011 0.2654 製品ミックス変更柔軟性 0.4713 数量変更柔軟性 -0.0237 0.5723 0. 1858 在庫回転率 サイクルタイム. 0.6749. 新製品導入速度 製品の性能 顧客支援サービス. 0.6498. -0.1972. 0.2361. 0.5058. -0.1705. 0.5472. -0.3396. えると3分の1以上が説明される.. 個々のスーパー尺度と競争力指標の第一正準 変数との相関はすべて0.4を上回っており, 「TQM」スーパー尺度は「製造戦略」,. 「技術」. に次いで「情報システム」と同水準をこ位置して おり,. 「JIT生産」や「人的資源管理」よりも. 高水準である.各競争力指標とスーパー尺度の 第一正準変数との相関もすべて0.4を超えてい る.. よって,生産管理システム要素は製品の競争 力と密接な関連を持っており,品質管理システ ムは生産管理システムの重要な一要素とみなす ことができる.. 正準相関分析では通常,用いられる変数が多 次元正規分布に従っていることが仮定される. 多次元正規性に対する適当な検定方法はないが, 個々の変数の正規性については前述のシャビ ロ・ウイルク検定が利用できる.表17と表18に 示した正準相関分析で使われたTQM関連測定 尺度とスーパー尺度の中で,有意水準1. %で正. 「現場への業績 関(交差負荷量)については, 情報のフィードバック」, 「顧客志向」, 「継続的. 規分布に従うという仮説が棄却されたのは唯一. 品質改善努力」,. あったが,競争力指標の分布についてはすべて. 「3S活動」が0.4を超えてお. り,競争力指標とTQM関連測定尺度の第三正. 準変数との相関(交差負荷量)については,. 「品質改善に対する報酬」. (p-0.007)だけで. o.1%水準で棄却された.競争力指標は1製造 事業所につき工場長1人が主観的に判断したも ので,. 第三正準変数のペアはTQMへの取り組みがコ. WCM企業の製造事業所の場合には5と 評価することも多い.このため,個々の競争力. スト競争力を高める効果をとらえたものと解釈. 指標の分布は,非対称で,正規分布とは大きく. することができる.. 異なる形状をもつと考えられ,正準相関分析の. o.4を上回ったのは「製造単価」だけである.. もちろん,製品の競争力は品質管理システム だけで決まるものではない.そこで,品質管理 システムを含む生産管理システム要素と製品の 競争力との関連を分析してみよう.表18には, 生産管理システム要素を捉えた7個のスーパー. 結果にもバイアスがかかっている可能性がある.. この間題を回避するため,個々の競争力指標 を総合した測定尺度を利用することが考えられ る.. TQM関連測定尺度の場合と同様に,すべ. 尺度と競争力指標による正準相関分析の結果が. ての競争力指標を使って「競争力」測定尺度の 信頼性・妥当性テストを行った結果が表19であ. 示されている.第一正準変数のペアの正準相関. る.. WCM企業の製造事業所,全製造事業所い.
(21) わが国製造企業における品質管理システム(松井 表19. (291). 47. 大きく(全製造事業所の場合,第一因子の固有. 信頼性と妥当性(競争力) WCM. 美樹). 全事業所. 値が5.09であるのに対し,第二因子の固有借は. 1.47,第三因子の固有値は1.01),また,その 0.86196. α係数: 因子負荷量(第一因子のみ) 製造単価. 0.87952. 寄与率も50%近い水準にあるので,実質的には 第一因子のみに注意を向けても問題はない.い. 0.64170. 0.65650. 製品の安定性. 0.65299. 0.68574. 予定通りの納品. 0.69697. 0.74993. 迅速な納品. 0.69433. 0.65041. ることから,第一因子は製造事業所の総合的競. 製品ミックス変更柔軟性 数量変更柔軟性. 0.46400. 0.53969. 0.74832. 0.73765. 争力を反映しているものとみなされる.. 在庫回転率 サイクルタイム. 0.73460. 0.74391. 0.73904. 0.78894. 新製品導入速度. 0.64550. 0.66160. 製品の性能. 0.50815. 0.54531. ることに測定上特段の問題はないと判断される.. 顧客支援サービス. 0.62782. 0.67492. 「競争力」の分布については,有意水準10%で. 固有値:. 4.7362. 5.0885. 寄与率:. 43.06%. 46.26%. も正規分布に従うという仮説は棄却されず,そ. 抽出因子数:. 4. 3. もそもこの測定尺度を合成した初期の目的は達. ずれのデータベースを用いても,すべての競争 力指標の因子負荷量が基準値o.4を上回ってい. し、以上より, 11個の競争力指標すべての算術平. 均値として「競争力」という測定尺度を構成す. せられた.. 10個のTQM関連測定尺度と「競争力」測定 尺度による正準相関分析の結果が表20である.. ずれの場合にもα係数は0.86を超えており,. 競争力指標間の整合性が高いことが分かる.. ll. 個々の競争力指標を用いた場合(表17)と比較. 個の競争力指標は製品のコスト,品質,性能,. して,第一正準変数のペアのみが抽出されるよ. 納品,アフターサービスから,変化-の柔軟性. うになり,第一正準相関係数は0.92から0.80に. まで多様な要因をカバーしているので,一般に. 低下したものの,尤度比検定の有意水準は. はこの種の整合性は期待されない.ある事業所. o.o8%から0.01%へ改善された.冗長度指数も. はコストでは競争力を持つが,品質では別の事. 上昇し,. 業所の競争力が強く,変化への柔軟性ではまた. TQM関連測定尺度の第一正準変数によって説. 別の事業所が優位(=あるといった状況も想定で. 明されるに至った.ここでの正準相関係数と冗. きるからである.ところが,ここで取り上げた. 長度指数は,. わが国の3業種については,個々の競争力指標. 回帰分析における重相関係数と重決定係数に一. の間には非常に強い正の相関関係があり,ある. 致する.また,. 「競争力」測定尺度の分散の約65%が. 「競争力」を被説明変数とする重. 競争力指標で優位にある事業所はその他の指標. TQM関連測定尺度と「競争力」 測定尺度との相関は通常の単相関係数となる.. についても優位な地位を占めている蓋然性が高. すべてのTQM関連測定尺度について「競争. い.. 力」との相関はないという仮説を有意水準5% このことは,構成の妥当性をテストする因子. 分析の結果からも見て取れる.確かに,. 11個の. で棄却でき,特に,. 「品質に対するトップのコ. ミットメント」および「顧客満足度」は「競争. 競争力指標を決定づける因子が1つということ. 力」との相関が0.5を超えている.品質管理シ. はありえない.実際,. wCM企業の製造事業所. ステムの充実に積極的に取り組む製造事業者は. を対象とした場合には4因子,全製造事業所を. 一般に自らの競争力を高く評価する傾向がある と言えよう.. 対象とした場合にも3因子が固有値が1を超え る因子として抽出されている.しかしながら, 第一国子の固有値は他の因子に比べて圧倒的に. 生産管理システム要素を捉えた7個のスー パー尺度と「競争力」測定尺度による正準相関.
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