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特集「『3・11』後の東北地域と日本の再生」に寄せて

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       第 24 号 『社会システム研究』 2012年 3 月       1

特集「『 3 ・11』後の東北地域と日本の再生」に寄せて

松野 周治

*  本特集に収録された塩谷隆英,岡田知弘,桒田但馬,3氏の論文は,2011年12月 2 日に開催 された社会システム研究所公開シンポジウム「『 3 ・11』後の東北地域と日本の再生:グロー バル化の新段階における地域社会システム再構築」における基調講演並びに報告をもとに執筆 されたものである.  2011年 3 月11日,グローバル金融経済危機からの「回復」過程にある日本を襲った東日本大 震災と福島原発大事故は,21世紀日本の社会経済システムの在り方について根本的検討を迫っ ている.平成バブル崩壊後の20年余,日本は経済と社会の安定成長と発展メカニズム構築のた めに様々な検討と取り組みを展開してきた.しかし,人々の生活の安全とエネルギーの安定確 保という課題に改めて直面する中で,その再検討が必要となっている.その際,地域を基礎に することが重要である.グローバル化の進展の中で地域の役割はますます大きくなってきてお り,「草の根」からの日本再生をグローバル社会の課題と結びつけながら構想する必要がある. なお,東北地域は,地政学的に,東北アジアとの関係が深く,BRICs を構成するロシア並び に中国,さらには朝鮮半島とのつながりの中で,地域再生を構想する必要がある.エネルギー 確保や新たな成長圏づくりという点でも東北アジアの中の日本並びに東北地域という視点は重 要である.こうした視点から,2011年度立命館大学社会システム研究所公開シンポジウムは下 記のプログラムで開催された. 日時:2011年 12月 2 日(金)14:00~17:00 会場:立命館大学びわこ・くさつキャンパス ローム記念館 5 階大会議室 プログラム:  第 1 部 基調講演と報告  開催挨拶と趣旨説明:松野周治(社会システム研究所長)  基調講演:塩谷隆英(北東アジア研究交流ネットワーク副代表幹事)       「東北地域と日本再生の条件:東北アジア地域との連携の中で」 * 執 筆 者:松野周治 機関/役職:立命館大学経済学部 / 教授・立命館大学社会システム研究所長 連 絡 先:〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1 E - m a i l:[email protected] シンポジウム特集

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2 『社会システム研究』(第 24 号)   報告1 :岡田知弘(京都大学大学院教授)        「東北の地域開発の歴史と新たな地域づくり」   報告2 :桒田但馬(岩手県立大学准教授) 「大震災後の北東北地域社会の実態と復旧・復興課題—岩手の地域医療の事 例を中心に—」   第 2 部 パネルディスカッション (司会:松野周治)   発言とコメント:    内山 昭(成美大学副学長),柳ヶ瀬孝三(立命館大学特任教授)   回答とコメント:塩谷隆英,岡田知弘,桒田但馬   全体討論  シンポジウムの第 1 部では,司会(松野)による趣旨説明の後,経済企画庁等で東北の社会 経済発展計画づくりに関わるとともに,平成バブル後の日本経済再生について発言されてきた 塩谷隆英・北東アジア研究交流ネットワーク副代表幹事(元経済企画事務次官・前総合研究開 発機構理事長)が基調講演し,近隣諸国との連携も考慮に入れた多軸分散型国土構造の構築, 北東アジアエネルギー・環境共同体構想の具体化を提起するとともに,経済社会の多元化を進 める中で,日本経済の新たなフロンティアである安全安心に関してイノベーションが可能であ るとした.続く報告では,岡田知弘・京都大学大学院経済学研究科および公共政策大学院教授 が,第 2 次世界大戦前の東北振興の歴史,並びに今回の震災後の現地調査等で収集した詳細な データを踏まえ,「創造的復興」路線ではなく,被災地における地域内再投資力に依拠し,地 域内経済循環を再構築することを通じて地域づくりを進めることの重要性を強調した.また, 桒田但馬・岩手県立大学総合政策科学部准教授が,大震災後の北東北地域社会の実態と復旧・ 復興課題について,岩手県の地域医療の事例をもとに論じ,大震災を理由にした供給体制縮小 ではなく,地域協同型病院等運営(システム化)が最優先課題であるとした.  第 2 部パネルディスカッションでは,内山昭・成美大学副学長,柳ヶ瀬孝三・立命館大学特 任教授から,発言並びに基調講演並びに報告に対するコメントがなされ,その後,会場から提 出された多数の質問への回答も含めて,活発な意見交換,討論がなされた.  2011年11月 4 日から 5 日にかけて,同僚 2 人と岩手県盛岡市および陸前高田市を訪問し,県 庁,市役所,NPO の方々,大学研究者から話を聞くとともに,被災地の現状を視察した.最 も重要な雇用・働く場の確保をはじめ,被災地域の復興と経済再生はこれからが本番であり, 地域内外の力の結集が必要である.具体的現実から出発し,歴史,社会思想等も含めた広い視 野で問題を論じたシンポジウムと,それを基礎にした本特集が,そうした結集に向けて学術面 から貢献できれば幸いである.なお,シンポジウムは,立命館学園の「東日本大震災復興のた めの『私たちの提案』」活動の一つとして開催された.

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