• 検索結果がありません。

京阪神交通圏における鉄道・自動車交通需要と都市構造

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "京阪神交通圏における鉄道・自動車交通需要と都市構造"

Copied!
26
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)商経学叢. 第57巻 第3号2011年3月. 京 阪神交通 圏 にお け る鉄道 ・自動車 交通需 要 と都 市構造 ー ー. ノ. 小 要旨. 司. 雅. 本 稿 で は,強 都 心 型 の 都 市 構 造 が 鉄 道 中 心 の 交 通 体 系 を 形 成 し,自 動 車 交 通 需 要 を 抑. 制 す る効 果 が あ る と考 え,京 阪 神 交 通 圏 を 対 象 に して,鉄 道 と 自動 車 交 通 需 要 の 相 互 関 係 を 明 らか に しな が ら,人 口 と雇 用 の 中 心 都 市 へ の 集 積 が 鉄 道 と 自動 車 交 通 に及 ぼ す 影 響 につ い て 実 証 分 析 を 試 み た 。 そ の 結 果,人. 口 と雇 用 の 郊 外 化 が 鉄 道 需 要 を 減 少 させ,こ の こ とが 自. 動 車 交 通 需 要 の 増 加 を 助 長 す る こ とが 明 らか とな った 。 そ こで,再 都 市 化 政 策 を 積 極 的 に 進 め るべ きで あ ろ うが,本 稿 の 政 策 的 含 意 と して は,人. 口 と雇 用 の 郊 外 化 を 抑 止 し,鉄 道 需 要. を 維 持 す る こ とを 提 案 した い 。. キ ー ワー ド. 都 市 構 造,郊 外 化,鉄 道 需 要,自 動 車 交 通 需 要,エ ネ ル ギ ー 問 題. 原 稿 受 理 日2011年3月15日. Abstract forms. We railway. demand. for. the effect ences tion. assume. that. oriented. transportation. automobile. traffic.. of population. area. with. railway. demand. implication, spreading. the. and. we will. that. suburbanization. should. be remained. in this. paper.. Key words. urban. structure,. demand,. energy. between. effort. be controlled. suburbanization, problem. and. has. as. strong-centre. a suppressive. analysis. concentrations. to increase. a vigorous. placed. empirical. of population. promote. make. the. and automobile. the relations. suburbanization. structure system. And. for railway. clarifying. that. urban. and employment. to the demands. evident. the. the two. and. have influ-. As a result,. it has become. can. of car use.. the demands. railway. city. transporta-. to reurbanization, and. on the whether. in Keihanshin. employment. the demand. effect. is attempted. to a central. traffic. pattern. demand,. but. diminish. the. As a policy suggest. that. for railway. must. automobile. traffic.

(2) 第57巻. 1.は. 第3号. じ. め. に. 経 済 活 動 の 場 で あ る都 市 は,自 動 車 の 普 及(モ ー タ リゼ ー シ ョン)と 高 密 度 な 鉄 道 シ ス テ ムの 整 備 に よ り郊 外 化 が 進 行 して,大 都 市 圏 を 形 成 す る に至 った 。 今 日,後 者 の 影 響 力 は次 第 に小 さ くな りつ つ あ るが,自 動 車 交 通 は依 然 と して 都 市 圏 の 拡 大 を 促 進 し,そ の 一・ 方 で 都 市 圏 の 拡 大 その もの が 自動 車 交 通 の 増 加 を 招 いて い る。 自動 車 交 通 は我 々 に多 大 な 便 益 を 与 え て い るが,同 時 に様 々な 社 会 的 費 用 を 発 生 させ て い る。 こ こで,国. 内旅 客 輸 送 量(単 位:人. キ ロ)と その エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 分 担 率 か らエ. ネ ル ギ ー 効 率 性 を算 出 す る と,2008年 度 時 点 で 鉄 道 は3.5%の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 で全 旅 客 輸 送 量 の29.0%を 輸 送 して い る。 一 方,自 家 用 自動 車 は全 輸 送 量 の57.7%を 輸 送 す るた め に83.0%も の エ ネ ル ギ ー を 消 費 して い る。 この よ うに,低 公 害 ・省 エ ネ ル ギ ー の 観 点 に立 つ と,自 動 車 交 通 はエ ネ ル ギ ー 効 率 の 悪 い交 通 手 段 と言 え る(1)。 したが って,エ ネ ル ギ ー 効 率 の よ い交 通 手 段 へ の シ フ トが 政 策 的 に求 め られ る こ と にな るが,本 稿 で は,都 市 構 造. 人 口 ・雇 用 の 空 間 分 布. に注 目 した い。 な ぜ な ら ば,東. 京 や 大 阪 と い っ た大 都 市 圏 で は,「 強 都 心 型 」 の都 市 構 造 が鉄 道 中心 の交 通 体 系 を形 成 し, この こ とが 自動 車 交 通 を 抑 制 す る一 因 とな って い る と考 え られ るか らで あ る。 そ して,鉄 道 事 業 者 の 採 算 が 悪 化 し,現 在 の 交 通 体 系 を 維 持 す る こ とが 困 難 にな る に した が って,鉄 道 か ら自動 車 交 通 へ の モー ダル シ フ トが 起 こ るで あ ろ う。 以 上 の 問 題 意 識 か ら,本 稿 で は,最 も卑 近 な 大 阪 都 市 圏 を 例 に あ げ,エ ネ ル ギ ー 問 題 の 観 点 か ら,都 市 構 造 の 変 化 が 鉄 道 と 自動 車 交 通 の 需 要 に与 え る影 響,お つ い て考 え た い(2)。 近 年,大. よ び両 者 の 関 係 に. 阪 都 市 圏 の鉄 道 需 要 は大 き く減 少 を続 け て お り,景 気 後 退 や. 都 市 構 造 の 変 化 な どが 原 因 と考 え られ て い る。 そ こで,ま ず2に お いて,都 市 構 造 と交 通 の 関 係 を論 じた 諸 説 の紹 介 ・整 理 を 行 な う。3で. は,「 国勢 調 査 』 か ら得 た 大 阪府 内 の 交. 通 流 動 デ ー タ を用 いて,都 市 構 造 と交 通 流 動 の 関 係 を 定 量 的 に把 握 し,交 通 流 動 ご との 特 徴 につ いて 述 べ る。4で. は,大 阪 都 市 圏 の 鉄 道 需 要 に影 響 す る諸 要 因 を 統 計 学 的 に分 析 し. (1)二 酸 化 炭 素 を は じめ とす る温 室 効 果 ガ ス が 地 球 温 暖 化 の原 因 で あ る と して,現 在,わ が 国 の 様 々な 分 野 で 「低 炭 素 社 会 」 の 構 築 が進 め られ て い るが,Lomborg(2001)の よ うに,地 球 温 暖 化 「問 題 」 に懐 疑 的 な 研 究 も多 く存 在 す る。 した が って,本 稿 で は地 球 温 暖 化 問 題 と 自動 車 交 通 を 直 接 的 に関 連 付 けず,エ ネ ル ギ ー 問 題 の 観 点 か ら論 じる こ とに す る。 (2)斎 藤(1980a)は,省 空 間 ・低 公 害 ・省 エ ネル ギ ー が 大 都 市 に お け る鉄 道 見 直 し論 の3本 柱 で あ る と指 摘 して い る。 また,斎 藤(1980b)は,自 動 車 交 通 の省 エ ネ ル ギ ー 問 題 に つ い て,都 市 計 画 との 緊 密 な 連 携 が 重 要 で あ る と論 じて い る。 -244(734)一.

(3) 京 阪 神 交 通 圏 にお け る鉄 道 ・自動 車 交 通 需 要 と都 市 構 造(小 川D て,人. 口 ・雇 用 の 空 間 配 置 と 鉄 道 ・自 動 車 交 通 需 要 の 関 係 を 明 らか に す る 。 そ して 最 後 の. 5で 結 論 を 述 べ る こ と に す る 。. 2.都. 市 構 造 と交 通 に 関 す る 諸 説(3>. (1)都 市 構 造 と 自動 車 交 通Thomsonの Thomson(1978)は,最. 都市 交 通 戦 略. 適 な都 市 交 通 体 系 が 都 市 構 造. や都心部の経済活動の大 きさ. た とえ ば,人 口 ・雇 用 の 密 度. に よ って 決 定 され る と した うえ で,世 界 の30都 市 を 都 市. 構造 の違 い に よ って5つ に分 類 しq),そ れ ぞれ の タ イ プが採 るべ き都市 交 通戦 略 を示 した(5)。 Thomsonは. まず,ロ サ ンゼ ル ス,デ. (fullmotorization)と. トロイ ト,デ ンバ ー な ど の都 市 を 「自動 車 依 存 型 」. 分 類 した 。 これ らの 都 市 で は都 市 機 能 が都 心 部 に 集 積 せ ず,都 市. 全 体 に分 散 して お り,市 街 地 が 広 範 囲 で か つ 低 密 に拡 が って い る。 都 市 機 能 が 都 心 部 に集 積 した状 態 で 自動 車 を 利 用 しよ う とす る と,人 口が 増 え る と と も に混 雑 は次 第 に激 し くな る(6)。しか し,都 市 機 能 が 拡 散 して い る都 市 構 造 で あれ ば,た とえ人 口 が増 え た と して も, 混 雑 を回 避 す る こ とが で き,自 動 車 が 自 由 に利 用 で き る よ うに な る。 こ の よ うに,Thomsonは 分 散 化 した 都 市 構 造 が 自動 車 交 通 を 促 進 す る こ とを 示 唆 して い る。 次 に,彼 は シ カ ゴ,ボ ス トン,メ ル ボル ンな ど,20世 紀 以 前 か ら都 心 部 に求 心 力 が あ っ た都 市 を 「弱 都 心 型 」(weak-centre)と 加 に よ って,人. 位 置 付 け た。 これ らの 都 市 で は,自 動 車 交 通 の 増. 口や 雇 用 の 郊 外 化 が 進 み,郊 外 が 都 心 部 よ りも力 を 持 って い る。 そ の た め. に,郊 外 に は道 路 容 量 の 大 き い環 状 道 路 が 都 心 部 を 取 り巻 くよ う に整 備 され て お り,郊 外 の 居 住 者 は 自 由 に 自動 車 を 利 用 で き る。 ただ し,都 心 部 の 就 業 者 全 員 が 自動 車 で 通 勤 で き な い た め,中 量 の 輸 送 力 を 持 っ た放 射 状 の 鉄 道 シ ス テ ムが 必 要 とな り,こ れ が 整 備 可 能 か ど うか は,都 心 部 の 経 済 活 動 の 大 き さ に左 右 され る。 都 心 部 の 経 済 活 動 が 小 さ く,整 備 が. (3)Thomson(1978)とNewman&Kenworthy(1989)の を 参 考 に され た い。. 詳 細 な 紹 介 につ いて は,小 川(2001). (4)5つ の 都 市 交 通 戦 略 の1つ で あ る 「低 コス ト型 」(low-cost)は て い るた め,こ こで はあ え て 紹 介 を 避 け る こ とに す る。. 発 展 途 上 国 の 都 市 を対 象 と し. (5)Thomsonが 分 類 した5つ の 交 通 戦 略 は,都 市 構 造 と交 通 体 系 の相 互 関係 を整 理 した 都 市 構 造 論 と,そ の 都 市 構 造 の も とで 都 市 が 積 極 的 に 採 るべ き交 通 政 策 を 示 した 都 市 戦 略 論 が 一 体 化 して お り,必 ず し も明 快 で な い 面 が あ る。 前 者 は 都 市 交 通 戦 略 とい う よ りむ し ろ都 市 交 通 体 系 そ の も の で,現 状 の 都 市 構 造 と交 通 体 系 を 肯 定 的 に 捉 え て い る。 後 者 は強 都 心 型 の都 市 構 造 を基 本 に 「自動 車 抑 制 戦 略」 が 含 まれ て い る。 な お,山 田(2002)も この 不 明快 な 点 を 指 摘 して お り,都 市 構 造 と交 通 手 段 の 二 軸 か ら都 市 交 通 構 造 の 分 類 を 行 な って い る。 (6)Thomsonは ロ ン ドンを 例 にあ げ,混 雑 を 考 慮 す る と,都 心 部 へ の 自動 車 利 用 は12万 台 が 最 大 で あ る と推 計 して い る。 -245(735)一.

(4) 第57巻. 第3号. 困 難 な 場 合 は 自動 車 依 存 型 に移 行 す る こ と にな り,一 方 で 建 設 が 進 め ば,次 に説 明 す る強 都 心 型 の 都 市 に成 長 す るで あ ろ う。 この よ う に,弱 都 市 型 の 都 市 は不 安 定 ・不 均 衡 と い う 問 題 を抱 え て い る た め,都 市 計 画 に よ る都 心 部 と郊 外 の 最 適 な 均 衡 動 の バ ラ ンス. が 必 要 で あ る と,Thomsonは. 就 業 人 口や 経 済 活. 指 摘 して い る。. 表1Thomsonの. 都市交通戦略の特徴. 土地利用. 道路. 公共交通. 人 口 ・雇 用 密 度. 自動車依存型都市. 郊外 (都心 不 在). 格子状. バ ス. 低. 弱都心型 都市. 弱都心 郊外. 放射状 環 状. 鉄. 道(放 射 状). 中. 強都心型 都市. 強都心 副都心(鉄 道上 に位置). 放射状 内環状. 鉄 道(放 射 状) 地 下 鉄(都 心 部). 高. 自動車抑制型都市. 強都心 副都心(鉄 道上 に位置). 放射状 外環状. 鉄 道(放 射 状) 鉄 道(環 状) 地 下 鉄(都 心 部). 高. 注)Thomson(1978),小. さ らに,パ をThomsonは. 川(2001),橋. 本(2000)を. リ,ニ ュー ヨー ク,東 京,ト. も とに 作 成 。. ロ ン トな ど,求 心 力 の あ る都 心 部 を 持 つ 大 都 市. 「強 都 心 型」(strong-centre)と. 位 置 づ け た(7)。これ らの都 市 で は,自 動. 車 交 通 が 増 加 す る以 前 か ら都 心 部 の 経 済 活 動 は大 き いが,都 心 部 の 魅 力 の 維 持 と強 化 を 念 頭 に お い た都 市 計 画 が 不 可 欠 にな る。 な ぜ な らば,郊 外 で の 道 路 整 備 が 進 み,都 心 部 よ り も郊 外 の ほ うが 便 利 にな れ ば,郊 外 化 が 進 み,都 心 部 は相 対 的 な 力 を 失 う こ と にな るか ら で あ る。 ま た,道 路 と並 行 す る放 射 状 の 鉄 道 シ ス テ ムの サ ー ビス水 準 が 低 下 した 場 合,自 動 車 を利 用 して 都 心 部 へ 向 か う こ と に は限 界 が あ る た め,混 雑 が 激 し くな る につ れ て,長 期 的 に は都 市 機 能 が 分 散 す る こ と にな ろ う。 したが って,道 路 と並 行 す る放 射 状 の 鉄 道 シ ス テ ムの サ ー ビス水 準 を 維 持 ・改 善 しな が ら,他 方 で は,都 心 部 に は輸 送 力 の あ る交 通 シ ステム. た とえ ば,駅 間 距 離 が 短 く,高 頻 度 の 運 行 が 可 能 な 地 下 鉄. を 整 備 して,都. 心 部 を強 化 す る必 要 が あ る。. (7)本 稿 で 論 じ る大 阪 はThomsonの 研 究 で言 及 さ れ て い な い が,松 澤(2002)は 大阪市を都心部 に大 きな 雇 用 を も ち,交 通 鉄 道 網 が 利 用 可 能 な 強 都 心 構 造 と位 置 づ け て い る。 この よ うに,上 記 の 大 都 市 と同 様 の 都 市 構 造 で あ る と判 断 で き るた め,本 稿 で は,大 阪 も 「強 都 心 型 」 の 都 市 と し て 捉 え る こ と にす る。 一246(736)一.

(5) 京 阪 神 交 通 圏 にお け る鉄 道 ・自動 車 交 通 需 要 と都 市構 造(小 刀D. 自動 車依存 型都 市. 811●. o巳. 暉. ■. `■. 1. 曜. 弱都 心型 都市. 1巳. i. フ リー ウ ェ イ. フ リ ー ウ エイ. 幹線道路 鉄道 副都心. 一. 幹 線 道 路 ●. 副 都 心. ■. 強都 心 型都市. グ?↓ →+H+← ●. 自動車 抑制 型都 市. 黛.∴.、T. プリ_ウ.イ. 眸 組 遺蹄. 斡日遵路. バ ス 襲究 道 賄. 餓遭+H+H+H荘. 遭. 嗣都心. ●. 訓 郡心. (出 所)Thomson(1978)p.100,131,136,267.. 図1Thomsonの. 都 市 交 通 戦 略 の 図 示.

(6) 第57巻. 第3号. 最 後 の都 市 交 通 戦 略 は 「自動 車 抑 制 型 」(traffic-limitation)と に は,ロ. 呼 ば れ る もの で,こ. こ. ン ドンや シ ンガ ポー ル な どの 都 市 が 分 類 され た。 これ らの 都 市 は多 額 の 道 路 投 資. を回 避 す る 目的 も あ って,積 極 的 に 自動 車 交 通 を抑 制 しよ う と した(8)。こ こ で は,「 社 会 的 限 界 費 用 価 格 形 成 」 に も とつ い た課 金 政 策 を 最 善 解 と して い るが,そ の 実 施 が 当 時 の 技 術 で は困 難 で あ っ た た め,次 善 解 と して,他 の 抑 制 政 策 が 採 用 され た 。 具 体 的 に は,公 共 交 通 が 利 用 可 能 な 地 区 に人 々を 誘 導 す る こ とや,混 雑 が 起 き た際 は 自動 車 利 用 の 抑 制. た. とえ ば,多 様 な駐 車 料 金 の設 定,自 動 車 の 進 入 禁 止,バ ス や 自転 車 ・歩 行 者 の 優 先 措 置 を行 な う と い う もの で あ る。 ま た,強 都 市 型 の 都 市 と 同様,公 共 交 通 が 整 備 され た 強 都 心 が 必 要 で,そ れ を 核 と して 地 区 ・郊 外 ・近 隣 セ ン ター が 互 い に結 びつ き,ト. リ ップが 短 く. な る よ う に配 置 され て い る。 都 心 部 は放 射 状 の 鉄 道 シ ス テ ムで 副 都 心 と結 ばれ,副 都 心 は 互 い に環 状 の 鉄 道 シ ス テ ムで つ な が って い る。 以 上 がThomsonの. 都 市 交 通 戦 略 の概 要 で あ り,自 動 車 交 通 が 都 市 構 造 や 交 通 体 系 と大. き く関 係 して い る こ とを 確 認 で き た。 都 市 機 能 が 分 散 し,低 密 で 都 心 部 が は っ き りと しな い広 範 囲 な 都 市 が 形 成 され る と,自 動 車 依 存 型 の 都 市 に近 づ き,人 々の 自動 車 利 用 は多 く な る。 逆 に,都 心 部 に経 済 活動 が集 積 す る と,鉄 道 を 中心 と した交 通 シス テ ム が構 築 さ れ, 相 対 的 に 自動 車 利 用 が 抑 え られ るの で あ る。. (2)都. 市 構 造 と ガ ソ リ ン 消 費Newman&Kenworthyの. コ ン パ ク トシ テ ィ 論(9). 都 市 計 画 論 者 で あ るNewman&Kenworthy(1989)は て,ヒ. ュ ー ス トン の よ う な 自動 車 依 存 型 都 市 と,ニ. 1人 あ た りの 年 間 ガ ソ リ ン 消 費 量 が お よ そ40%も. ア メ リカ国 内の 都 市 統 計 を 用 い ュ ー ヨ ー ク の よ う な 強 都 心 型 都 市 で は, 異 な っ て い る と 強 調 し,こ. の 違 いを 都 市. 構 造 に関 す る変 数 で 説 明 しよ う と試 み た。 (8)ロ ン ド ン で は1963年 に 『ブ キ ャ ナ ン ・ レ ポ ー ト』(万 礁'c'η7bwη3),1964年 に 『ス ミー ド ・ レ ポ ー ト』(Roα4Pr'c'ηg),1967年 に 『都 市 道 路 の 利 用 改 善 」(B6"6rσ ∫6σ7b槻Roα43)が 発表 さ れ,早 くか ら 自 動 車 交 通 の 増 加 に 警 鐘 が 鳴 ら さ れ て い た 。 現 在,ロ ン ド ン の 中 心 部(「 イ ン ナ ー ・ リ ン グ ・ ロ ー ド」 の 内 側)を 通 過 ・駐 車 す る 車 両 に 対 して,交 通 混 雑 税 が 課 さ れ て い る 。 ま た, シ ン ガ ポ ー ル で は,1975年 (ALS:都 グ(ERP:電. に 都 心 部 の 混 雑 緩 和 を 目 的 と し た エ リア ・ ラ イ セ ン シ ン グ ・ス キ ー ム. 心 乗 り入 れ 賦 課 金 制)が 導 入 さ れ,現 在 で は エ レ ク ト ロ ニ ッ ク ・ロ ー ド ・プ ラ イ シ ン 子 式 道 路 料 金 シ ス テ ム)が 実 施 さ れ て い る 。 な お,ロ ー ドプ ライ シ ン グ に関 す る理. 論 と 政 策 に つ い て は,山. 田 編(2001)が. 参 考 にな る。. (9)Newman&Kenworthy(1989)は 「コ ン パ ク ト シ テ ィ 」 と い う言 葉 を 明 示 的 に 使 用 し て い な い が 明 ら か に そ の 内 容 を 指 し て い る た め,こ こ で は コ ン パ ク ト シ テ ィ と し て 解 釈 す る 。 な お,谷 口(2002)は,①. 居 住 や 就 業 と い っ た 都 市 活 動 の 空 間 的 密 度 が 高 い 地 域 と い う 「密 度 」 の 面 と,. ② 都 市 機 能 が 集 積 す る 中 心 核 や 公 共 交 通 網 の 沿 線 地 域 と い う 「形 態 」の 面 か ら,コ ン パ ク ト シ テ ィ を 定 義 づ け て い る 。 ま た,Gordon&Richardson(1997)は,コ ン パ ク ト シ テ ィ を3つ の概念 ① 比 較 的 に 人 口 密 度 の 高 い 都 市 や 都 市 圏(マ ク ロ ア プ ロ ー チ),② 人 口密 度 の 高 い近 隣住 区 や コ ミ ュ ニ テ ィ(ミ ク ロ ア プ ロ ー チ),③ 多 極 型 都 市 や 郊 外 化 し た 分 散 型 都 市 に 対 す る 中 心 市 街 地(都 市 空 間 ア プ ロ ー チ)に. 分 類 ・整 理 し て い る 。. 一248(738)一.

(7) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D これ まで の 研 究 で は,都 市 の 人 口や 面 積 が 人 々の 交 通 行 動 に影 響 す る と考 え られ て いた が,こ れ らの 変 数 と ガ ソ リ ン消 費 量 の 間 に有 意 な 関 係 を 確 認 で きな か った 。 そ こで,集 的 な 土 地 利 用 で は 自動 車 利 用 が 少 な くな る と結 論 す る研 究 を 参 考 に して,彼 積 を示 す 都 市 密 度. 人 口密 度 や 就 業 者 密 度. 中. ら は都 市 の 集. に注 目 した 。 また,都 心 部 に雇 用 が 集 積. す る と,鉄 道 需 要 が 大 き くな る こ とが 既 存 研 究 で 示 され て い る た め,都 心 部 の 強 さ 心 部 の 就 業 人 口 と,都 市 人 口 に対 す る その 割 合. 都. を 重 要 な 都 市 構 造 の 変 数 と した 。. そ して,こ れ らの 都 市 構 造 の 変 数 と ガ ソ リン消 費 量 の 関 係 を 相 関 分 析 に よ って 求 めた と こ ろ,い ず れ の 変 数 も統 計 学 的 に有 意 な 結 果 とな り,都 心 部 が 高 密 度 で 経 済 活 動 が 大 き い 都 市 ほ ど,ガ ソ リ ン消 費 量 が 少 な くな る傾 向 が 明 らか とな った。 彼 ら は こ の 結 果 を も っ て,ヒ. ュ ー ス トンや フ ェニ ック スが ボ ス トンや ワ シ ン トンの よ うな 都 市 構 造 にな れ ば,ガ. ソ リ ン消 費 を20∼30%節. 約 す る こ とが で き,さ. らにニ ュー ヨー クの 水 準 まで 都 市 密 度 を 高. めれ ば,ガ ソ リン消 費 量 を よ り一 層 節 約 で き る と指 摘 した⑩。 さ らに,Newman&Kenworthyは. 分 析 を国 際 比 較 へ 拡 張 す る こ とで,都 市 構 造 とガ ソ. リ ン消 費 量 の 関 係 を よ り広 い視 野 か ら明 示 しよ う と した。 と い うの は,ガ ソ リン消 費 量 の 分 散 は 国 際 統 計 の 方 が大 き く,平 均 的 にみ て,ア ヨ ー ロ ッパ の 都 市 の4倍. メ リカ の 都 市 が 消 費 す る ガ ソ リ ン量 は. も あ っ たか らで あ る。 そ こで,彼. らは国 内比 較 と 同様 に,都 市 活. 動 の 集 積 を示 す 人 口密 度 や 就 業 者 密 度 に注 目 し,こ れ らの 変 数 が ガ ソ リン消 費 量 と強 い相 関 関 係 に あ る こ とを 明 らか に した。 ま た,都 心 部 の 就 業 者 割 合 との 間 に も負 の 相 関 関 係 を 確 認 した。 一 方 ,国 内比 較 の 場 合 と異 な り,都 心 部 の 就 業 人 口 は有 意 な 結 果 とな らな か った 。 これ に対 して,Newman&Kenworthyは. ヒュ ー ス トンとハ ンブル グ を例 に あ げて,都 心 部 の. 交 通 体 系 が 大 き く関 係 して い る点 を強 調 して い る。 ヒ ュー ス トンが17万4,000人,ハ. ンブ. ル グが18万7,000人 と,都 心 部 の就 業 人 口 は ほ ぼ 同 じで あ る が,ヒ ュー ス トン は 自動 車 志 向 型 で 都 心 部 に広 大 な 駐 車 スペ ー スが 確 保 され て い るが,ハ. ンブル グ は鉄 道 志 向 型 の 都 市 で. 駐 車 スペ ー スが 限 られ て い る。 つ ま り,都 心 部 の 駐 車 政 策 が 重 要 で あ り,そ れ に よ って, 都 心 部 の 就 業 人 口が ガ ソ リ ン消 費 量 に対 して,正. と負 の ど ち らの 影 響 を 与 え るか が 決 ま る. と論 じて い る。 さ らに,課 税 や 規 制 な どの 経 済 的 手 法 で しか ガ ソ リ ン消 費 量 を 減 少 で きな い と主 張 す る 経 済 学 者 の 考 え 方 に対 して,都 市 計 画 に も ガ ソ リン消 費 を 節 約 す る効 果 が あ る と反 論 し,. ⑩. 日本 の 県 庁 所 在 都 市 の ガ ソ リン消 費 と都 市 構 造 の 関 係 を 計 量 的 に分 析 した 研 究 と して,小 川 ・ 山田(2001,2002)が あ る。 -249(739)一.

(8) 第57巻. 第3号. 再 都 市 化 政 策 と 交 通 体 系 の 転 換 を 提 案 し た 。 ヨ ー ロ ッパ の 都 市 は 郊 外 化 の 過 程 に あ る が, ア メ リ カ の 都 市 ほ ど 急 速 に は 拡 散 しな か っ た 。 そ の 理 由 は ヨ ー ロ ッパ の 都 市 が 再 都 市 化 に 向 け て 努 力 して い る た め で あ り,そ. の 結 果,ヨ. 密 度 で あ る と 指 摘 して い る 。 な お,ア トラ ン ドは 他 の 都 市 と 異 な り,現. ー ロ ッパ の 都 市 は ア メ リ カ の 都 市 よ り も 高. メ リ カ の 都 市 の な か で も,サ. 在,再. 都 市 化 政 策 が 進 め られ て い る 。 サ ン フ ラ ン シ ス コ. の 中 心 業 務 地 区 に は 多 く の 人 々 が 居 住 し て お り,フ と,極. ン フ ラ ン シ ス コや ポー. ェ ニ ッ ク ス や ヒ ュ ー ス ト ン と比 べ る. めて 高 密 度 で あ る。. 以 上 がNewman&Kenworthyに. よ る コ ン パ ク ト シ テ ィ論 で あ る 。 彼 ら は 都 市 構 造 と. ガ ソ リ ン消 費 の 間 の 負 の 関 係 を 明 らか に す る こ と で,都 節 約 型 の 都 市 モ デ ル を 構 築 し よ う と し た 。 そ して,再 心部の強化. と,交. 通体系の転換. 市 計 画 論 の 立 場 か ら,エ 都市化政策. 公 共 交 通 の 整 備,自. ネルギー. 都 市 密 度 の 増 加 と都. 転 車 利 用 ・徒 歩 の 促 進. を. 提 案 し た(1D。. (3)都. 市 発 展 と 交 通 需 要Klaassen,Bourdrez&Volmullerの. ThomsonとNewman&Kenworthyの 要 を 抑 制 し,エ. 地 域 サ イ クル モ デ ル⑫. 諸 説 か ら,強 都 心 型 の 都 市 構 造 が 自 動 車 交 通 需. ネ ル ギ ー 効 率 的 な 都 市 モ デ ル で あ る こ と が 導 か れ た が,都. 市 は生 き物 の よ. う な ラ イ フ サ イ ク ル を 持 っ て い る と い う 。 こ れ がKlaassen,Bourdrez&Volmuller (1981)に よ ぶ)と. よ る 「地 域 サ イ ク ル モ デ ル 」 で,都 就 業 人 口(以. 下,「 雇 用 」 と よ ぶ)が. 市 の 発 展 と も に 居 住 人 口(以 量 的,空. 下,「 人 口 」 と. 間 的 に 変 化 を 続 け,そ. れ に よ っ て,. 交 通 需 要 の 発 生 傾 向 も 大 き く変 動 す る と い う。 彼 ら は 大 都 市 圏(metropolitanarea)を 中 心 都 市(centralcity)と. 郊 外(suburban)に. 区 分 し て,中. の 相 対 的 な 規 模 と 変 化 に も と づ き ⑱,都 市 の 発 展 段 階 を4つ 都 市 化,再. 都市化. ま ず,第1の. に 分 類 し,各. 段 階 で は,中. 心 都 市 と郊 外 の 人 口や 雇 用. の段階. 都 市 化,郊. 外 化,逆. 段 階 に お け る 交 通 需 要 の 特 徴 に つ い て 示 した 。. 心 都 市 の 人 口成 長 が 郊 外 よ り も大 き く,こ の 段 階 は 「都 市 化 」. あ る い は 「集 中 的 都 市 化 」(centralization)と 心 都 市 が 郊 外 の 人 口 を 吸 収 す る た め,中. よ ば れ る 。 ま ず,①. の 絶 対 的 集 中 で は,中. 心 都 市 の 人 口 が 増 加 す る 一 方 で,郊. 外 の 人 口 は減. qDGordon&Richardson(1989,1997)は 市 場 を 重 視 す る 経 済 学 の 立 場 か ら,Newman&Kenworthyが 提 案 した エ ネ ル ギ ー 節 約 型 の 都 市 モ デ ル と,そ れ に よ っ て 導 か れ る 政 策 を 批 判 し て お り, コ ンパ ク ト シ テ ィ を め ぐ る1つ の 大 き な 論 争 と な っ て い る 。 な お,こ の 論 争 に つ い て は,小 川 (2001)が. 詳 し いの で 参 考 に され た い 。. ⑰. 地 域 サ イ ク ル モ デ ル に つ い て は,山 田(1983)が 最 も 丁 寧 に 紹 介 し て お り,非 た め,本 稿 もそ れ に依 拠 して 説 明 を 進 め る こ とに す る。. ⑱. 人 口 と 雇 用 の 変 化 に は 若 干 の タ イ ム ラ グ が あ る が,人 て い る もの と考 え られ る。 -250(740)一. 常 に 参 考 にな る. 口が 先 行 す るか た ちで ほぼ 並 行 的 に動 い.

(9) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D 少 す る。 た だ し,都 市 圏 全 体 の 人 口 は 中心 都 市 の 人 口集 中が 大 き いた め,増 加 の 過 程 に あ る。 その 後,遠 隔 の 地 域 か ら人 口流 入 が 起 こ り,中 心 都 市 の 人 口が 増 加 す る と と も に郊 外 の 人 口 も増 加 に転 じる。 これ が ② の 相 対 的 集 中で あ る。 この 都 市 化 の 段 階 で は,中 心 都 市 の 人 口が 増 加 し続 けて い る た め,中 心 都 市 の 内 々交 通 量 は人 口 に ほぼ 対 応 して 増 加 す る。 他 方,郊 外 に お け る 内 々交 通 量 は,郊 外 の 人 口が 増 加 して い るが,中 心 都 市 が 支 配 的 で あ る た め,増 加 す る よ りむ しろ減 少 す る。 中心 都 市 と郊 外 の 間 の 交 通 需 要 は相 対 的 に小 さ い が,郊 外 の 人 口増 加 と 中心 都 市 の 求 心 力 が 大 き い た め に増 加 の 傾 向 に あ る。. 表2都. 都市の発展段階. 1都. 市. H郊. 皿. 外. 人. 口 変. 化. 都 市 発 展 の タイ プ. 化. 化. 逆都 市 化. IV再. 市 の発 展 段 階 のパ タ ー ン. 都 市 化. 中心都市. 田(1983)p.7.を. (注)+は. 人 口 増 加,一. 外. 都. 市. 圏. ①. 絶対的集中. 十十. 一. ②. 相対的集中. 十十. 十. 十十十. 成. ③. 相対的分散. 十. 十十. 十十十. 長. ④. 絶対的分散. 一. ⑤. 絶対的分散. 一一. ⑥. 相対的分散. 一一. ⑦ ⑧. (出 所)山. 郊. 相対的集中 絶対的集中. 十. 十十. 十. 十. 一. 一. 一一一. 一. 一. 一. 十. 一. 一. 一. 一. 一. 衰 退. 一. 参 考 に作 成 。 は 人 口 減 少 を 示 し,そ. れ らの 数 は相 対 的 な 大 き さを 示 す 。. 中心 都 市 か ら郊 外 へ の分 散 が支 配 的 に な る の が,郊 外 化(suburbanization)の あ る。 この 段 階 の 前 半(③)で. 段階で. は,中 心 都 市 の 人 口が 増 加 して い る もの の,郊 外 で の 成 長. が 中心 都 市 を上 回 る た め,人 口の 相 対 的 な 分 散 が 進 行 す る。 そ して,④ の 絶 対 的 分 散 に移 る と,中 心 都 市 へ の 人 口流 入 が 次 第 に減 少 し,逆 に郊 外 へ の 流 出が 増 加 す るた め,中 心 都 市 の 人 口 は減 少 し,郊 外 は さ らに支 配 的 にな る。 つ ま り,非 都 市 的 地 域 で あ る郊 外 に様 々 な 都 市 機 能 が 拡 散 し,そ この 人 口密 度 が 上 昇 しな が ら都 市 が 外 側 へ 膨 張 す る過 程 で あ る。 この よ う に,郊 外 化 は 「分 散 化 」 と特 徴 づ け られ,第2の. 都 市 化 と して も位 置 づ け られ る. た め 「分 散 的 都 市 化 」 と も よ ばれ る。 この 段 階 で は,中 心 都 市 その もの の 人 口が 減 少 す る か ら,中 心 都 市 の 内 々交 通 量 は横 ば い とな り,④ で は減 少 傾 向 に移 行 す る。 た だ し,中 心 都 市 と郊 外 の 間 の 交 通 需 要 は逆 に高 ま り,特 に郊 外 か ら中心 都 市 へ の 交 通 量 は極 めて 大 き な もの とな る。 郊 外 の 内 々交 通 量 は郊 外 が 支 配 的 にな る につ れ て,増 加 す る傾 向 に あ る。 -251(741)一.

(10) 第57巻. 第3号. 交通量. 中 心 都市 の 内 々交 通量. 郊 外 の 内 々交 通 量. 中 心都 市 二郊 外 間 の交 通量. 中心 都 市 ⇒ 郊 外 一一一一郊 外 ⇒ 中 心 都 市. 都 市 発 展 の タイ プ (出所)山. 田(1983)p.9.を 図2都. 参 考 に 作 成。. 市 の 発 展 段 階 と交 通 需 要 の パ タ ー ン. 郊 外 の 人 口 は増 加 して い るが,中 心 都 市 の 人 口減 少 が さ らに進 む た め,都 市 圏 全 体 の 人 口が 減 少 して,逆 都 市 化(disurbanization)も. し くは 反 都 市 化(counter-urbanization). と い う段 階 を迎 え る。 ⑤ の 絶 対 的 分 散 で は,郊 外 の 人 口が 依 然 と して 上 昇 して い るが,中 心 都 市 の 人 口減 少 に相 殺 され て い る。 続 く⑥ の 相 対 的 分 散 で は,中 心 都 市 だ けで な く,郊 外 の 人 口 も減 少 を始 め る た め,都 市 圏 全 体 は大 き く衰 退 す る。 逆 都 市 化 段 階 の 交 通 需 要 の 特 徴 と して,ま ず,中 心 都 市 の 衰 退 と と も に,中 心 都 市 内 々 の交 通 量 が減 少 す る。 そ して, 郊 外 化 の 段 階 で 大 き く増 加 を 続 けて き た郊 外 の 内 々交 通 量 も郊 外 の 衰 退 に と もな って 次 第 に減 少 す る。 しか し,中 心 都 市 と郊 外 間 の 交 通 需 要 の う ち,中 心 都 市 か ら郊 外 へ の 交 通 量 は郊 外 の 方 が 中 心 都 市 よ り も成 長 して い る た め,大 き くな い もの の増 加 傾 向 に あ る。 他 方,郊 外 か ら中心 都 市 へ の 交 通 量 は⑤ の 絶 対 的 分 散 を ピー ク に減 少 し始 め る。 この よ うな 都 市 圏 の 衰 退 に対 して,中 心 都 市 で 再 活 性 化 政 策 が 実 施 され るな ら ば,中 心 都 市 の 人 口が 減 少 か ら増 加 へ と転 じ,都 市 の 再 生 が 起 こ る可 能 性 が あ る。 この 段 階 は再 都 一252(742)一.

(11) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D 市 化(reurbanization)と. よ ば れ,都 市 圏 の 新 たな 成 長 の 第 一 歩 とな る。 再 都 市 化 の 前 半. 段 階 で あ る相 対 的 集 中(⑦)で. は,中 心 都 市 と郊 外 が と も に減 少 して い るた め,中 心 都 市. の 内 々交 通 量,郊 外 の 内 々交 通 量,中 心 都 市 と郊 外 間 の 交 通 量 の す べ て が 減 少 す るが,⑧ の 絶 対 的 集 中 を迎 え る と,中 心 都 市 に人 口が 回 帰 す る こ とで,中 心 都 市 の 内 々交 通 量 が 再 び増 加 す る よ う にな る。. 3.交. 通 需 要 の パ ター ン と交 通 手 段. (1)交 通 流 動 の 分 類 前 節 の 最 後 で,地 域 サ イ クル モ デル を 整 理 し,都 市 の 発 展 段 階 と交 通 需 要 の パ ター ンを 確 認 したが,次. に交 通 需 要 パ ター ンと その 交 通 手 段 につ いて み て お きた い。 こ こで は,図. 3の よ う に,大 阪市 を 中心 都 市,大 阪 市 を 除 く大 阪 府 下 の 市 町 村 を 郊 外 と定 義 して,r国 勢 調 査 報 告 』 の15歳 以 上 自宅 外 就 業 者 お よ び通 学 者(常 住 地 べ 一 ス)の デ ー タを 用 いて,大 阪 府 下 の 自家 用 自動 車 交 通 の 実 態 を明 らか にす るω。. 【 郊外】 (大阪 市 以 外 の 大 阪 府) 【中心 都 市 】 (大阪市). 流動②. L. 流動③. 図3中. L. 流動④. 心 都 市 ・郊 外 と交 通 流 動 の 分 類. (2)交 通 流 動 の 変 化 図3で 定 義 した① か ら④ の 交 通 流 動 を 整 理 した もの が 表3と 表4で 動 に つ い て み て お こ う 。 流 動 ① か ら④ の い ず れ も,総. ⑭. 流 動 は1990年. あ るが,ま ず は総 流. な い し1995年 を ピ ー ク. 交 通 流 動 の 傾 向 とそ の 交 通 手 段 を 把 握 す る こ とを 目的 と して い るた め,こ こで は,大 阪 府 を1 つ の 都 市 圏 と して 定 義 す る こ と にす る。 また,自 動 車 交 通 の な か で 高 い 割 合 を 示 す 自由 目的 や 業 務 目的 の ト リ ップが 含 まれ て い な い が,こ れ も同 様 の 理 由に よ る。 一253(743)一.

(12) 第57巻. 第3号. に 減 少 して い る 。 通 勤 ・通 学 時 の 交 通 需 要 は 派 生 需 要 と して の 特 性 を 持 ち,本. 源的需要で. あ る 通 勤 ・通 学 行 動 に 大 き く依 存 す る 。 大 阪 府 下 の15歳 以 上 就 業 者 数 は1995年. の4,874,506. 人 か ら2000年. の4,621,881人. へ5.2%減. 少,2000年. か ら2005年. の4,326,711人. い る た め,総. 流 動 の 減 少 は 主 に 景 気 後 退 に よ る も の と 考 え られ る 。 しか しな が ら,減. は 流 動 ご と で 大 き く異 な っ て い る 。 流 動 ③ が ピ ー ク 時 の お よ そ20%の 13%前. 後 の 減 少 で あ る の に 対 して,流. 動 ④ は お よ そ6%の. く は 依 然 と して 中 心 都 市 に あ る た め,中. へ6.4%減. 低 下,流. 少 して 少率. 動 ① と③ が. 減 少 に留 ま って い る。 雇 用 の 多. 心 都 市 と関 係 す る流 動 ① か ら③ が 景 気 後 退 の 影 響. を 強 く受 け て い る こ と が 原 因 で あ ろ う 。. 表3交 年代. 合計. 1970. 3,122,503. 1975. 3,335,348. 1980. 3,569,306. 1985. 3,967,038. 1990. 4,205,196. 1995. 4,319,079. 2000. 4,026,248. 2005. 3,822,797. 通流動別 にみた総流動の変化. 流動① 1,063,697(34.1) 972,511(29.2) 953,274(26.7) 1,023,071(25.8) 1,035,319(24.6) 1,052,836(24.4) 958,744(23.8) 909,599(23.7). 流動②. 流動③. 153,891(4.9) 166,161(5.0) 184,093(5.2) 199,524(5.0) 217,472(5.2) 211,118(4.9) 195,405(4.9) 184,812(4.8). (出所)総 務 省 統 計 局 編 『国勢 調 査 報 告 』 よ り算 出。 (注)カ ッコ内 は総 流 動 合 計 に 占め る各 流 動 の 割 合(%)を. 次 に,総 流 動 合 計 に 占 め る流 動 別 の 割 合(表3の. 713,686(22.9) 807,972(24.2) 817,126(22,9) 868,850(21.9) 943,840(22.4) 938,589(21,7) 812,902(20.2) 744,394(19.5). 流動④ 1,191,229(38.1) 1,388,704(41.6) 1,614,813(45,2) 1,875,593(47.3) 2,008,565(47.8) 2,116,536(49,0) 2,059,197(51.1) 1,983,992(51.9). 示 して い る。. カ ッコ 内の 値)を 時 系 列 で み る と,流. 動 ① は次 第 に低 下 し,流 動 ② は ほ ぼ横 ば い,流 動 ③ はわ ず か な 減 少 傾 向 に あ る。 そ の 一 方 で 流 動 ④ は増 加 を して お り,人 々の 動 きが 中心 都 市 よ りも郊 外 で 次 第 に大 き くな って い る こ と を把 握 で き る。 この こ と は,今 後,総 流 動 全 体 が 増 加 した場 合,流 動 ④ の 交 通 量 が 大 幅 に増 加 す る こ とを 示 唆 して い る。. (3)交 通 流 動 と交 通 手 段 さ らに,自 動 車 交 通 に注 目 しな が ら,各 流 動 の 交 通 手 段 につ いて 述 べ よ う。 流 動 ① は大 阪 市 に常 住 し,大 阪 市 を 従 業 地 ・通 学 地 とす る就 業 者 ・通 学 者 で あ る。 中心 都 市 で あ る大 阪 市 に は,地 下 鉄 を は じめ とす る公 共 交 通 シ ス テ ムが 整 備 され て お り,徒 歩 や 自転 車 で 移 動 可 能 な コ ンパ ク トな 都 市 構 造 で あ る た め,総 流 動 は大 き いが 自動 車 交 通 は低 め に抑 え ら れ て い る。 ま た,大 阪 市 内で は道 路 混 雑 が 激 しい た め,そ の こ とが 自動 車 交 通 を 抑 制 す る 一 因 にな って い る と考 え られ る。 -254(744)一.

(13) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D 流 動 ② は大 阪 市 に常 住 し,郊 外 を 従 業 地 ・通 学 地 とす る就 業 者 ・通 学 者 で あ る。 流 動 ② の 総 流 動 は20万 人 ほ どで,流 動 ① の 半 数 に も及 ばな いが,自 動 車 交 通 の 割 合 は流 動 ① と比 べ る と大 き く,2倍 以 上 で あ る。 大 阪 市 と郊 外 を結 ぶ 放 射 状 の鉄 道 シ ス テ ムが 整 備 され て い るが,終 点(destination)に. 交 通 需 要 が 集 中す る流 動 ① や 流 動 ③ と違 い,終 点 が 多 数 で. 相 対 的 に混 雑 が 少 な い た め,人 々 は 自動 車 を 利 用 して い る と推 測 で き る。 流 動 ③ は郊 外 に常 住 し,大 阪 市 を 従 業 地 ・通 学 地 とす る就 業 者 ・通 学 者 で あ る。 流 動 ⑧ の 総 流 動 はか な り大 き く,こ れ は大 阪都 市 圏 がThomsonの. い う 「強 都 心 型 」 の 都 市 構 造. で あ る こ と を裏 づ けて い る。 郊 外 か ら大 阪 市 へ の 交 通 需 要 は都 心 部 難 波,天 王 寺 な ど. た とえ ば,梅 田や. の 一 方 向 に ピー ク時 に集 中す る た め,自 動 車 を 利 用 しよ う とす る と. 道 路 は 混 雑 す る こ と に な る。 大 阪 都 市 圏 は放 射 状 の鉄 道 が 整 備 され て い る た め,多. くの. 人 々 は 自動 車 利 用 を 避 け,鉄 道 で 移 動 して い る と考 え られ る⑮。 流 動 ④ は郊 外 に常 住 し,郊 外 を 従 業 地 ・通 学 地 とす る就 業 者 ・通 学 者 で あ り,流 動 ② や ③ と比 較 す る と鉄 道 の 利 用 割 合 が 小 さ い。 大 阪 都 市 圏 は 「強 都 心 型 」 で 放 射 状 の 鉄 道 シ ス テ ム は整 備 され て い るが,郊 外 の 環 状 方 向 の 公 共 交 通 シ ス テ ム は十 分 な 整 備 水 準 で はな い た め に,交 通 流 動 ④ の 多 くは 自動 車 に依 存 す る こ と にな る。 こ こで 注 目す べ き こ と は,大 阪 市 と関 係 の あ る流 動 ① ・② ・③ の 自動 車 交 通 が1990年 を ピー ク に2000年 に は減 少 して い るの に対 して,交 通 流 動 ④ の 自動 車 交 通 量 は依 然 と して 増 加 して い る こ とで あ る。 前 者 の 減 少 要 因 と して は,大 阪 市 で は この 間,雇 用 が 大 き く減 少 して お り,交 通 需 要 その もの の 減 少 が あ げ られ る。 後 者 につ いて は,郊 外 の 雇 用 が 大 阪 市 と 同様 に減 少 して い るが,人. 口 はわ ず か に増 加 して お り,そ れ が 郊 外 で の 交 通 需 要 を 増 加. させ る一 因 とな って い るで あ ろ う。 ま た,大 阪 市 よ りも郊 外 の 方 が 道 路 建 設 に必 要 とな る 用 地 が 多 く残 り,道 路 の 建 設 ・整 備 が 進 行 して い る た め,郊 外 にお け る 自動 車 利 用 が 促 進 され て い る と考 え られ る。 したが って,流 動 その もの が 大 き い交 通 流 動 ④ の 自動 車 交 通 需 要 を いか に して 抑 制 す る か が 自動 車 交 通 の エ ネ ル ギ ー 問 題 を考 え る 際 に大 きな 課 題 と な る。Klaassen,Bourdrez &Volmullerの. 地 域 サ イ クル モ デル で確 認 した よ う に,都 市 が 郊 外 化 す る と流 動 ④ が 増 加. す る た め,Newman&Kenworthyが. 指 摘 した よ う に,都 市 構 造 を コ ン トロー ル す る政 策. が 必 要 とな るで あ ろ う。 な ぜ な らば,経 済 的 手 法 で あ る ロー ドプ ラ イ シ ン グを 郊 外 の 自動. ⑮. 松 澤(2002)は,大 阪 市 を 含 む5つ の 大 都 市 の 通 勤 時 の 乗 用 車 利 用 者 数 を 調 べ,都 心 部 へ の 自 動 車 利 用 率 が 極 め て 低 く,ま た,自 動 車 利 用 者 数 そ の もの が1970年 か ら1990年 の 間 で ほ とん ど変 化 して い な い こ とを 明 らか に して い る。 -255(745)一.

(14) 第57巻. 表4交. 第3号. 通流動別 にみ た交通手段別 の交通流動. 交通流動① 年代. 総流動. 1970. 1,063,697. 1975. 972,511. 1980. 953,274. 1985. 1,023,071. 1990. 1,035,319. 1995. 1,052,836. 2000. 958,744. 2005. 909,599. 自家用車. (割合). 乗合バ ス. (割合). 鉄道. (割合). 91,143. 8.57. 146,625. 13.78. 383,107. 36.02. 114,201. 11.98. 59,359. 6.23. 361,297. 37.90. 145,812. 14.08. 76,473. 7.39. 450,144. 43.48. 120,260. 12.54. 52,755. 5.50. 369,918. 38.58. 交通流動② 年代. 総流動. 1970. 153,891. 1975. 166,161. 1980. 184,093. 1985. 199,524. 1990. 217,472. 1995. 211,118. 2000. 195,405. 2005. 184,812. 自家用車. (割合). 乗合バ ス. (割合). 鉄道. (割合). 20,303. 13.19. 11,318. 7.35. 107,149. 69.63. 40,388. 21.94. 4,571. 2.48. 117,242. 63.69. 60,556. 27.85. 18,685. 8.59. 146,586. 67.40. 53,005. 27.13. 13,490. 6.90. 106,889. 54.70. 交通流動③ 年代. 総流動. 1970. 713,686. 1975. 807,972. 1980. 817,126. 1985. 868,850. 1990. 943,840. 1995. 938,589. 2000. 812,902. 2005. 744,394. 自家用車. (割合). 乗合バ ス. (割合). 鉄道. (割合). 90,705. 12.71. 18,329. 2.57. 578,555. 81.07. 115,453. 14.13. 4,931. 0.60. 669,276. 81.91. 152,970. 16.21. 138,662. 14.69. 907,888. 96.19. 129,641. 15.95. 103,573. 12.74. 659,000. 81.07. 交通流動④ 年代. 総流動. 1970. 1,191,229. 1975. 1,388,704. 1980. 1,614,813. 1985. 1,875,593. 1990. 2,008,565. 1995. 2,116,536. 2000. 2,059,197. 2005. 1,983,992. 自家用車. (割合). 乗合バ ス. (割合). 鉄道. (割合). 162,843. 13.67. 108,954. 9.15. 324,598. 27.25. 379,905. 23.53. 72,007. 4.46. 414,757. 25.68. 569,949. 28.38. 158,596. 7.90. 507,404. 25.26. 649,581. 31.55. 134,881. 6.55. 437,901. 21.27. (出所)総 務 省 統 計 局 編 『国 勢 調 査 報 告 」 よ り算 出 。 (注)自 家 用 車,乗 合 バ ス,鉄 道 以外 の 交通 手段 も総 流動 に 含 ま れ るが,こ こで は表 記 して い な い 。 ま た,パ ー ク ・ア ン ド・ライ ドな ど,複 数 の 交 通 手 段 を 用 い る場 合 が あ るた め,総 流 動 は各 交 通 手 段 を 足 し合 わ せ た 値 と は必 ず し も一 致 しな い 。 一256(746)一.

(15) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D 車 交 通 に対 して 採 用 す る こ と は必 ず しも最 適 な 政 策 で あ る と は考 え られ な いか らで あ る。 前 述 した よ う に,大 阪 都 市 圏 の 郊 外 で は,環 状 方 向 の 公 共 交 通 シ ス テ ム は十 分 で な く,自 動 車 交 通 の 代 替 とな り得 る公 共 交 通 手 段 が 乏 しい。 したが って,自 動 車 交 通 か らの モ ー ダ ル シ フ トは容 易 に は起 こ らず,大. 4.鉄. きな 減 少 に は至 らな い と考 え られ る⑯。. 道 と自動車交通 の需要分析. (1)先 行 研 究 そ こで 本 節 で は,大 阪 都 市 圏 の 統 計 を 用 いて,都 市 構 造 が 鉄 道 と 自動 車 交 通 の 需 要 に与 え る効 果 と,鉄 道 需 要 が 自動 車 交 通 需 要 に及 ぼす 影 響 を 計 量 的 に明 らか に しよ う。 まず は 計 量 モ デ ル の設 定 に あ た り,す で に2節 で 紹 介 した諸 説 に加 え て 参 考 とな る 山 田 ・綿 貫 (1986)と 徳 岡(2006)を. 紹 介 す る。. 山 田 ・綿 貫(1986)は,関. 西 の 私 鉄5社(阪. 神 ・阪急 ・京 阪 ・近 鉄 ・南 海)お. よ びJR. 西 日本 と大 阪 市 ・神 戸 市 ・京 都 市 営 地 下 鉄 を 対 象 に,定 期 旅 客 と定 期 外 旅 客 の 鉄 道 需 要 関 数 を年 次 デ ー タ(1960∼1992年)に. よ って 推 定 して い る。 被 説 明 変 数 は旅 客 輸 送 人 キ ロで. あ り,沿 線 人 口,自 社 の 実 質 運 賃 水 準,競 合 他 社 の 実 質 運 賃 水 準,自 動 車 保 有 率,実 質 実 収 入 が 説 明 変 数 と して 設 定 され て い る。 ただ し,実 質 実 収 入 は経 済 分 析 で 重 要 な 変 数 で あ るが,自 動 車 保 有 率 と多 重 共 線 の 関 係 に あ る た め,実 際 の 推 定 式 か ら は除 外 され て い る。 分 析 の 結 果,沿 線 人 口 は正,自 社 の 運 賃 水 準 は負,競 合 他 社 の 実 質 運 賃 水 準 は正 の 符 号 を 示 し,有 意 性 が 認 め られ て い る。 徳 岡(2006)は,通. 勤 定 期 旅 客 輸 送 人 員,通 学 定 期 旅 客 輸 送 人 員 お よ び定 期 外 旅 客 輸 送. 人 員 の それ ぞれ につ いて,地 下 鉄 以 外 の 大 都 市 高 速 鉄 道 を 営 む36事 業 者 と地 方 旅 客 鉄 道 を 運 営 す る92事 業 者 の 横 断 面 デ ー タを 用 いて,鉄 道 需 要 関 数 の 推 定 を 行 な って い る。 説 明 変 数 は平 均 運 賃,年 度 末 営 業 キ ロ,列 車 頻 度,JR駅. 密 度,地 方 鉄 道 転 換 線 ダ ミー,人. 口あ. た り道 路 実 延 長,世 帯 あ た り乗 用 車 保 有 台 数,MEA(metropolitanemploymentarea: 大 都 市 雇 用 圏)郊 外 人 口割 合,昼 間 時 人 口密 度 の9つ で あ る。 分 析 の 結 果,係 数 は想 定 さ れ る合 理 的 な 符 号 とな って お り,統 計 学 的 に良 好 な 推 定 式 が 得 られ て い る。. ⑯. 松 澤(2002)は,混 雑 抑 制 の 観 点 か ら,自 動 車 しか 交 通 手 段 が な い 都 市 で は,料 金 賦 課 よ り も 代 替 交 通 手 段 の 整 備 が 先 決 で あ り,混 雑 料 金 の 賦 課(ロ ー ドプ ライ シ ン グ)の み の 解 決 策 は 社 会 的 に容 認 され な いで あ ろ う と述 べ て い る。 -257(747)一.

(16) 第57巻. 第3号. (2)計 量 モデ ル 以 上 の 諸 研 究 を 参 考 に して,鉄 道 ・自動 車 交 通 の 需 要 と都 市 構 造 の 計 量 モ デ ル を 考 え よ う。 計 量 モ デル は図4の 通 りで ⑰,諸 変 数 の 関 係 は以 下 の よ う に考 え られ る。. 燃料価格. 、〆. 〈. 自動車 交 通需 要 ん 一一 て 二二/今. A匿. 景気. 3. 都市構造. V. 鉄道需要. く. 震災. 1. A. 鉄 道サ ー ビス. 図4鉄. ①. 道 ・自動 車 交 通 の 需 要 と都 市 構 造 の 計 量 モ デ ル 図. 都 市 構 造 は鉄 道 需 要 と 自動 車 交 通 需 要 の 両 方 に影 響 を 与 え て い るで あ ろ う。 人 口 と 雇 用 の 中 心 都 市 へ の集 中 は鉄 道 需 要 を高 め,逆. に 自動 車 需 要 を 抑 制 す る と考 え られ. る。 ま た,人 口の 増 加 は鉄 道 と 自動 車 交 通 の 両 方 の 需 要 を 高 め るで あ ろ う。 ②. 重 要 な 経 済 変 数 で あ る景 気 も鉄 道 需 要 と 自動 車 交 通 需 要 に影 響 す るで あ ろ う。 景 気 が 後 退 す れ ば,他 の 財 ・サ ー ビ スの 消 費 と 同様,ま. た派 生 需 要 と い う特 性 か ら,両 者. の 需 要 は減 少 す る と考 え られ る。 景 気 は雇 用 状 況 と連 動 して い るた め,特 に通 勤 時 の 鉄 道 利 用 が 多 い大 都 市 に お いて,鉄 道 需 要 と強 い関 係 に あ るで あ ろ う。 ③. 運 賃 水 準 や 鉄 道 営 業 距 離 な ど の鉄 道 サ ー ビ ス は鉄 道 需 要 に大 き く影 響 す る で あ ろ う。 運 賃 が 高 騰 す れ ば,鉄 道 の 利 用 を 控 え て 他 の 交 通 手 段 を 利 用 す る人 が 増 え る と考 え られ る。 ま た,鉄 道 営 業 距 離 が 長 けれ ば,そ れ だ け広 範 囲 にサ ー ビ スを 供 給 して い る た め,鉄 道 需 要 を 促 進 す る効 果 が あ るだ ろ う。. ④. 燃 料 価 格 は 自動 車 交 通 需 要 に影 響 す るで あ ろ う。 燃 料 価 格 が 高 けれ ば,節 約 しよ う とす る意 欲 が 強 ま り,結 果 と して,自 動 車 交 通 需 要 は減 少 す る と考 え られ る。. ⑤. ⑰. 震 災 は鉄 道 ・自動 車 交 通 需 要 に影 響 を 与 え るで あ ろ う。 震 災 で 鉄 道 の 運 行 が 停 止 す. 図4の 破 線 の 矢 印 は本 来,計 量 モ デ ル に含 む べ き関 係 を 示 して い るが,本 稿 で は除 外 して 分 析 を 行 な って い る。 これ らの 関 係 を 含 ん だ 構 造 型 計 量 モ デ ル の 設 定 は今 後 の 課 題 と した い 。 -258(748)一.

(17) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D れ ば,鉄 道 需 要 は減 少 す る。 自動 車 交 通 需 要 は,鉄 道 運 行 の 停 止 を 受 けて 増 加 す る場 合 も あれ ば,道 路 が 震 災 で 利 用 で きな くな り,減 少 す る こ と も あ るだ ろ う。 ⑥. 鉄 道 需 要 は 自動 車 交 通 需 要 に影 響 す るで あ ろ う。 な ぜ な らば,他 の 諸 条 件 を 一 定 と す れ ば,鉄 道 需 要 の 増 加 は主 に 自動 車 交 通 需 要 か らの シ フ トで あ り,両 者 は競 合 関 係 に あ る と考 え られ る。. 以 上 の 計 量 モデ ル を 関 数 で 表 現 す る と以 下 の よ う にな る。(1)式が 鉄 道 需 要 関 数,(2)式 が 自動 車 交 通 需 要 関 数 で あ る。. R=ア(B,P,F,κ,Cp,Cθ,D). (1)式. ・4=プ(R,B,P,6,Cp,Cθ,D). (2)式. た だ し,R:鉄. 道 需 要,/1. 自 動 車 交 通 需 要,B景. 気 水 準,P:人. 口. F鉄. 道 運 賃,κ. 鉄 道 営 業 距 離,Cp人. 口 集 中 度,Cθ:雇. 用 集 中 度,. 6:燃. 料 価 格,D. 震 災. で あ る。. (3)分 析 対 象 の 地 域 と時 期 分 析 対 象 の 大 阪 都 市 圏 に は様 々な 定 義 が 存 在 す るが,こ 阪 神 交 通 圏」(大 阪 駅 を 中心 と した50kmの. こで は 「都 市 交 通 年 報 』 の 「京. 圏 域)を 用 い る。 そ の 理 由 は,都 市 圏単 位 の. 分 析 は都 市 研 究 に お いて 最 も一 般 的 で あ り,ま た,本 稿 で 分 析 した い鉄 道 需 要 と 自動 車 交 通 需 要 に関 す る デー タが 都 市 圏 単 位 で 集 計 され て い るか らで あ る。 次 に分 析 対 象 の 時 期 で あ るが,京 阪 神 交 通 圏 の 単 位 で 分 析 を 行 な うた め,分 析 は時 系 列 分 析 とな る。 鉄 道 シ ス テ ム は都 市 の 成 長 と構 造 を 規 定 す る要 因 で あ るが,本 稿 で は,鉄 道 需 要 に対 す る都 市 構 造 の 影 響 を 把 握 した い た め,分 析 対 象 時 期 を1980年 か ら最 新 の デ ー タ を入 手 で き る2005年 まで とす る。1980年 に設 定 した理 由 は,徳 岡(2006)に. よ って,鉄 道. シ ス テ ムが 郊 外 の 成 長 を 促 進 す る影 響 力 は1980年 以 降,次 第 に小 さ くな って い る と指 摘 さ れ て い るか らで あ る。. (4)使 用 デ ー タ と変 数 の 概 要 まず,被 説 明 変 数 で あ る鉄 道 需 要 の 変 数 と して 『都 市 交 通 年 報 』 の 京 阪 神 交 通 圏 内の 鉄 軌 道(JR・. 私 鉄 ・地 下 鉄 ・路 面 電 車)輸 送 人 員(単 位:千 人)を 用 い る。 鉄 軌 道 輸 送 人 員 一259(749)一.

(18) 第57巻 表5使. 鉄道需要 平. 均. 変動係数. 0,055. 鉄道営業距離 平. 用変数の記述統計. 自動車交通 需要. 4,882,177. 第3号. 景気水準. 3,586,806. 4,044. 0,193. 人 口集 中度. 人. 0,119. 雇用集 中度. 口. 鉄道運賃. 15,325,383. 12,551. 0,022. 燃料価格. 0,238. 震. 災. 均. 1,431. 0,350. 0,513. 107.46. 0,038. 変動係数. 0,038. 0,025. 0,036. 0,245. 0,196. 図5使. 用 変 数 の 推 移(1990年. 二100と した 指 数).

(19) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D は1994年 度 を ピー ク に減 少 を 続 けて お り,鉄 道 事 業 者 が 採 算 べ 一 スで 鉄 道 サ ー ビ スを 供 給 す る こ とが 困 難 にな って きて い る。 ま た,自 動 車 交 通 需 要 の 変 数 に は,同. じ く,京 阪 神 交. 通 圏 内の 自家 用 乗 用 車 の 輸 送 人 員(単 位:千 人)を 選 定 す る。 自家 用 乗 用 車 の 輸 送 人 員 は 1980年 度 か ら2000年 度 まで 増 加 の 傾 向 を 示 して い たが,2001年 次 に説 明 変 数 で あ るが,景 気 水 準 の 変 数 と して,1府2市(大. 度 か ら減 少 して い る。 阪 府 ・京 都 市 ・神 戸 市). の 総 支 出(単 位:百 万 円)を その 人 口で 除 して 消 費 者 物 価 指 数(全 国 年 平 均:平 成17年 基 準)で 実 質 化 した値 を 用 い る。 人 口の 変 数 に は 『住 民 基 本 台 帳 』 か ら抽 出 した 京 阪 神 交 通 圏 の 夜 間 人 口(単 位:人)を. 選 定 す る。. 鉄 道 の サ ー ビス水 準 を 示 す 鉄 道 運 賃 の 変 数 に は,『関西 鉄 軌 道 要 覧 』に記 載 され て い る旅 客 運 賃 収 入 を旅 客 輸 送 人 キ ロで 除 した1人1キ レー トした値(単 位:円)を. ロ あ た りの 運 賃 を 消 費 者 物 価 指 数 で デ フ. 採 用 す る。 た だ し,JR西. 日本 の 数 値 に は,京 阪神 交 通 圏 以. 外 の デ ー タ も含 まれ て い る た め,こ こで は 除外 して い る。 鉄 道 営業 距 離 の変 数 に は,r都 市 交 通 年 報 』 に記 載 の あ る高 速 鉄 道 お よ び路 面 電 車 の 営 業 キ ロ(単 位:km)を. 選 定 した。. ま た,都 市 構 造 の変 数 で あ る人 口集 中度 と して,上 記 の 人 口 に対 す る 中心 都 市(大 阪市 ・ 京 都 市 ・神 戸 市)の 割 合(単 位:%)を 交 通 圏 内 の15歳 以 上 就 業 者(常 (単 位:%)を. 用 い た。 雇 用 集 中度 に は 「国 勢 調 査 』 か ら京 阪 神. 住 地 べ 一 ス)を 算 出 して,そ れ に 占 あ る 中心 都 市 の 割 合. 利 用 し た。 い ず れ の 変 数 もThomson(1978)とNewman&Kenworthy. (1989)が 重 視 した,都 心 部 の強 さを示 す 変 数 で あ る。 な お,『 国 勢 調 査 』 は5年 お きの 調 査 で あ る た め,統 計 が な い年 につ いて は直 線 補 完 を 行 な って い る。 燃 料 価 格 の 変 数 に は,『 エ ネ ル ギ ー ・経 済 統 計 要 覧 』 の ガ ソ リ ン価 格 指 数(全. 国)を 消. 費 者 物 価 指 数 で 除 した値 を 用 い た。 今 日,ガ ソ リンの 市 場 価 格 は高 騰 して い るが,そ の 様 子 は図5か. らも把 握 す る こ とが で き,1998年. か ら増 加 傾 向 を 示 して い る。 また,1995年. 阪 神 淡 路 大 震 災 で 鉄 道 事 業 は大 きな 打 撃 を 受 け た た め,1995年. の. を1と す る震 災 ダ ミー を 震. 災 の 変 数 と して 設 定 し,そ の 影 響 を 吸 収 す る こ と に した。. (5)分 析 方 法 と分 析 結 果 以 上 の変 数 を用 い て,最 初 に(1)式を最 小 二 乗 法 で 推 定 す る⑱。 次 に(2)式を推 定 す るが, (2)式に は 内生 変 数 で あ る鉄 道 需 要 の 変 数 が 含 まれ て い る。 この 場 合,最 小 二 乗 法 で 推 定 す る と,推 定 した値 にバ イ ア スが 生 じる可 能 性 が あ る。 したが って,(2)式 につ いて は,二 段 ㈱. 時 系 列 分 析 を 行 な う場 合,単 位 根 検 定(unitroottest)を 実 施 して,そ れ ぞ れ の時 系 列 デ ー タの 定 常 性 を 確 認 しな けれ ば な らな い。 非 定 常 な 過 程 にあ るデ ー タ同 士 を 回 帰 す る と,① 決 定 係 数 が 高 い,② ダ ー ビ ン ワ トソ ン比 が低 い(誤 差 項 の 系 列 相 関 が大 き い),③t値 -261(751)一. が 高 い な どの 傾/.

(20) 第57巻 階 最 小 二 乗 法 で 推 定 を 行 な う ⑲。 ま た,推 を 示 し,経. 定 式 の 関 数 型 に つ い て は,パ. くつ か の 説 明 変 数 間 で 多 重 共 線 性 の 問 題 が あ る た. 散 拡 大 要 因(VIF:varianceinflationfactor)を. Zηyニ. ラメータが弾性値. 済 学 的 な 解 釈 が 可 能 と な る と い う 理 由 か ら対 数 線 形 型 に 特 定 化 す る 。. ま ず は(1)式 の 推 定 結 果 で あ る が,い め,分. 第3号. ー6.830十. 〇.846Zηyと_1十. 〇.237Zη. 基 準 に変 数 を選 択 した。. β 十 〇.650ZηP十1.780ZηCp-0.030D. (-0.854)(9.691)***(3.607)***(1.433)(4.949)***(-3.089)*** R2=0.976Dレ. Zηy「=-5.470十. 〇.649Zηyヒ_1十. 〇.195Zη. γ=2.778(3)式. 」B十 〇.682ZηP十1.037ZηCθ. 一 〇.023D. (-0.651)(7.025)***(2.804)***(1.369)(4.510)***(-2.272)** R2ニ0.973Dレ. ZγLy7=-8.115十. 〇.936〃Lyヒ_1十. 〇.187ZηB十. γ ニ2.176. (4)式. 〇.557ZγLP-0.153'η17-0.031D. (-0.913)(9.503)***(2.662)***(1.172)(-4.510)***(-3.159)** R2=0.9731)14/=2.468. *は10%有. (5)式. 意 ,**は5%有. 意,***は1%有. 意. を 示. す. その 結 果,鉄 道 需 要 で あ る鉄 道 輸 送 人 員 は昨 年 の 輸 送 人 員 実 績 と景 気 水 準,人. 口,人 口. 集 中度,雇 用 集 中度,鉄 道 運 賃,震 災 ダ ミー で 説 明 す る こ とが で き る。 景 気 水 準 で あ る実 質 総 支 出 は 正 の 値 を 示 し,0.20前 後 で安 定 して い る。 景 気 が10%向 す れ ば,鉄 道 輸 送 人 員 が お よ そ2%増. 上. 加 す る こ とを 示 して お り,派 生 需 要 と して の 特 性 を. 示 して い る。 人 口集 中度 の パ ラ メ ー タ は正 で あ り,中 心 都 市 に人 口が 相 対 的 に集 中 す る と,鉄 道 需 要 が 増 加 す る こ とを 確 認 で き る。 弾 性 値 は比 較 的 大 き く,人 口集 中度 が10%上. \向 が み ら れ,「 み せ か け の 回 帰 」(spuriousregression)と 本 稿 で も,以. 下 の 式 でaugmentedDickey-Fuller検. 和 分 の 次 数 が 一 様 に な ら な か っ た た め,こ. い う誤 った 関 係 が 導 か れ る こ とに な る。 定(ADF検. こ で は,レ. 定)を. 行 な っ た が,各. 変 数の. ベ ル 変 数 を 用 い た 回 帰 分 析 に留 め る こ とに. す る 。 な お,小 川(2003)は 単 位 根 検 定 と 共 和 分 検 定(cointegrationtest)を モ ー タ リゼ ー シ ョ ン の 要 因 を 時 系 列 分 析 で 明 ら か に し て い る 。. 用 い て,日. 本の. ρ △ γ 一 βy・一・+Σ. γ、△y・一・+η. ・. `ニ1 ⑲. 二 段 階 最 小 二 乗 法 で 推 定 した場 合,自 由 度 調 整 済 決 定 係 数 やt値 は一 定 の 目安 を 示 して い るに す ぎず,こ の 場 合 の 決 定 係 数 を 擬 似 決 定 係 数 と よぶ こ とが あ る。 -262(752)一.

(21) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D 昇 す る こ とで 鉄 道 輸 送 人 員 は17%も 増 加 す る。 そ して,こ の 結 果 は徳 岡(2006)と. 比較す. る に値 す る。 徳 岡 はMEA郊. 外 人 口割 合 の符 号 が鉄 道 需 要 に対 して正 の影 響 が あ る と導 い た が,こ の. 結 果 は本 稿 の 結 果 と相 反 す る。 横 断 面 分 析 と時 系 列 分 析 の 違 い も あ り,正 否 の 判 断 は極 め て 難 しいが,雇 用 が 中心 都 市 に集 積 して い る場 合 の み,人. 口の 郊 外 化 は 中心 都 市 と郊 外 の. 結 びつ き を強 め,大 きな 鉄 道 需 要 が 発 生 す る。 逆 に雇 用 の 郊 外 化 が 進 む と,郊 外 間 の 多 様 な 交 通 需 要 が 発 生 し,そ の 対 応 は鉄 道 に と って 不 利 な もの にな るだ ろ う。 一 方,雇 用 が 中 心 都 市 に あ る場 合,中 心 都 市 へ の 人 口回 帰 は鉄 道 需 要 を 促 進 す る結 果 を もた らす 。 雇 用 が 郊 外 化 す る場 合 も,3の(3)の. 考 察 と照 ら し合 わ せ る と,か な りの 割 合 で 鉄 道 が 利 用 され る. と考 え られ る。 したが って,総 計 を 考 え る と,人 口が 中心 都 市 に集 中す る ほ うが 鉄 道 需 要 を増 加 す る効 果 が 大 き い と言 え るで あ ろ う。 雇 用 集 中度 も人 口集 中度 と 同様,鉄 道 需 要 を 増 加 す る効 果 を 持 って い る。 これ も上 記 の 説 明 と 同 じ く,人 口が 中心 都 市 に集 中 して い る場 合,雇 用 が 中心 都 市 へ 集 積 す る こ とで 中 心 都 市 の 内 々交 通 量 を 増 や す こ とな り,そ の 多 くは 自動 車 以 外 の 交 通 手 段 に よ って 担 わ れ る。 逆 に人 口が 郊 外 に あ る場 合,雇 用 の 中心 都 市 へ の 集 中 は,徳 岡が 指 摘 す る よ う に,郊 外 と 中心 都 市 の 結 びつ きを 強 化 し,鉄 道 需 要 は増 加 す る と考 え られ る。 ま た,鉄 道 運 賃 は有 意 な 負 の パ ラ メー タを 示 して い る。 運 賃 の10%の. 増 加 は鉄 道 需 要 を. 1.53%減 少 させ る こ と に な り,交 通 経 済 理 論 と も一 致 す る⑳。 斎 藤(2010)に 圏 の大 手 私 鉄 の平 均 運 賃 額(10km超. 区 間)は2009年. よ る と,大 阪. の デ ー タ で250円 と,東 京 圏 の208円. よ りも高 い水 準 に あ る。 運 賃 弾 性 値 が 非 弾 力 的 で あ る た め,運 賃 の 値 上 げで 増 収 が 見 込 め るが,斎 藤 は この こ と につ いて,鉄 道 離 れ を 食 い止 め る た め に容 易 に運 賃 を 値 上 げす る こ と は難 し く,こ の 点 が 東 京 圏 と異 な る と指 摘 して い る。 震 災 ダ ミー は負 の 値 を 示 して い る た め,震 災 に よ って 鉄 道 需 要 が 減 少 した こ とを 改 めて 確 認 す る こ とが で き た が,そ の 値 は 極 め て 小 さ く,鉄 道 需 要 は震 災 で わ ず か0.03%程 度 し か 減 少 しな か っ た。 人 口 は理 論 的 に重 要 な 変 数 で あ るが,有 意 水 準10%を. 満 た して お らず. 有 意 な 結 果 とな って いな い。 しか し,係 数 の 符号 が想 定 通 りの正 で,値 も0.6前後 で 安 定 し て い る こ とか ら,統 計 学 的 に有 意 で な い に して も,人 口減 少 に よ って 鉄 道 需 要 が 縮 小 す る と い う1つ の 傾 向 を 示 して い る可 能 性 が あ る と考 え られ る。 次 に(2)式に二 段 階 最 小 二 乗 法 を 適 用 し,(1)式 と 同様 の 基 準 で 推 定 を 行 な った と こ ろ,以. ⑦ ① 交 通 需 要 の 弾 力 性 計 測 につ い て は,斎 藤(1991)が な る。 一263(753)一. 多 くの 文 献 を 整 理 して お り,非 常 に 参 考 に.

(22) 第57巻 下 の3式. 第3号. が 有 意 な 結 果 と して 得 られ た 。 な お,(6)式. は(3)式,(7)式. は(4)式,(8)式. は(5)式 と 対. 応 して い る 。. Zπノ1=-4.339-0.856Zη. γ 十1.426ZηB十1.893ZηP-0.154Zη. σ. (-0.160)(-2.478)**(5.160)***(1.378)(-1.960)* R2ニ0.975Dレ1/=2.048. Zηノ1=-13.116-0.715Zηy「. (6)式. 十1.310ZηB十2.305ZηP-0.164Zη6. (-0.416)(-1.764)*(4.184)***(1.456)(-1.886)* R2ニ0.971Dレ. εη」4=-18.058-0.692Zηy「. ゾ=1.829. (7)式. 十1.305ZηIB十2.573ZηP-0.131Zη0. (-0.669)(-1.938)*(4.561)***(1.885)*(-1.615) R2ニ0.977Dレ1/ニ1.881. *は10%有. (8)式. 意 ,**は5%有. 意,***は1%有. 意. を 示. す. 自動 車 交 通 需 要 の 変 数 で あ る 自家 用 乗 用 車 輸 送 人 員 は鉄 道 需 要 と景 気 水 準,人. 口,燃 料. 価 格 に よ って 説 明 す る こ とが で き る。 鉄 道 需 要 の パ ラ メー タ は負 の 弾 力 的 な 値 で あ る た め,鉄 道 と 自動 車 交 通 は競 合 関 係 に あ る と言 え る。 新 納(2010)は,運. 賃 の 値 上 げを 実 施 して いな い も とで の 鉄 道 需 要 の 減 少 が. 運 輸 収 入 の 低 下 に直 結 す る た め,鉄 道 事 業 者 は利 益 確 保 の た め に,主 に運 行 頻 度 や 列 車 キ ロ,人 件 費 の 削 減 を 行 な って い る と指 摘 して い る。 した が っ て,鉄 道 需 要 の 減 少 が鉄 道 サ ー ビスの 水 準 を 低 下 させ,そ れ に よ る鉄 道 離 れ が 自動 車 交 通 需 要 を 促 進 す る と考 え て よ い。 この 傾 向 は通 勤 や 通 学 時 よ りも 自 由 目的 の 鉄 道 需 要 に お いて 顕 著 に見 られ,今 動 車 交 通 は 自 由 目的 の 交 通 に お いて,高. 日,自. い割 合 と大 きな 伸 びを 示 して い る。. 景 気 水 準 の 変 数 で あ る1人 あ た り実 質 総 支 出の パ ラ メー タ は正 の 値 を と り,鉄 道 需 要 の 場 合 と 同様,自 動 車 交 通 需 要 を 高 め る要 因 で あ る。 ただ し,パ ラ メー タの 大 き さ は 自動 車 交 通 需 要 の 推 定 式 の ほ うが 大 き い。 これ は 自動 車 が 自 由 目的 の 移 動 で 相 対 的 に よ く利 用 さ れ,自. 由 目的 で あ る余 暇 ・レジ ャー 活 動 が 景 気 に対 して 弾 力 的 で あ るた め と考 え られ る。. 人 口の 変 数 は(8)式の み で あ るが,有 意 で パ ラ メー タの 符 号 も正 で 理 論 と合 致 す る。(3)∼ (5)式と比 べ る と,係 数 が 非 常 に弾 力 的 な 値 とな って い るが,こ れ は,京 阪 神 交 通 圏 の 人 ロ ー264(754)一.

(23) 京阪神交通圏 にお ける鉄道 ・自動車交通需要 と都市構造(小 川D 増 加 の 大 部 分 が 郊 外 に お いて で あ り,郊 外 の 人 々の 自動 車 交 通 へ の 依 存 が 相 対 的 に高 いか らで あ ろ う。 燃 料 価 格 の 変 数 で あ る ガ ソ リ ン価 格 指 数 の 回 帰 係 数 は負 で あ り,ガ ソ リン価 格 の 高 騰 が 自動 車 交 通 需 要 の 減 少 を 促 す こ とが 明 らか にな って い る。 この 変 数 は 自動 車 交 通 需 要 に対 す る課 金 政 策 の 効 果 を 示 して お り,燃 料 価 格 の10%の お よ そ2%押. 上 昇 が 自動 車 交 通 需 要 を. し下 げ る と解 釈 で き る。. さて,自 動 車 交 通 需 要 の 推 定 式 に それ ぞ れ 対 応 す る鉄 道 需 要 の 推 定 式 を 代 入 す る こ とで 誘 導 型(reducedform)が. 得 られ る。 そ こ で次 に誘 導 型 の求 め,自 動 車 交 通 需 要 に影 響 す. る要 因 につ いて 述 べ て お こ う。. Zπ、4ニ1.505-0.724Zηy診_1十1.224Zη. β 十1.337ZηP-1.522ZηCp-0.154Zη6十. 〇.025D (9)式. Zη/1=-9.204-0.465Zηyヒ_1十1.170ZηB十1.817ZれP-0.742ZηCθ. 一 〇.164Zη6十. 〇.017D ⑩ 式. Zπ、4ニ ー12.443-0.648Zη. 】4_1十1.176ZηB十2.188'ηP十. 〇.106'ηF-0.131Zη0十. 〇.022D qD式. (9)式か らqD式 の 結 果 よ り,自 集 中 度,雇. 用 集 中 度,鉄. 動 車 交 通 需 要 の 変 動 を 昨 年 の 鉄 道 需 要 と 景 気,人. 道 運 賃,燃. 料 価 格,震. 動 の 結 果 で 問 題 が な い と し た う え で,も. (1989)が. こ で は 説 明 を 繰 り返 さ ず,人. 口集 中度. 料 価 格 の パ ラ メー タを 比 較 す る こ と に傾 注 す る。. Gordon&Richardson(1989,1997)は,郊. し て も,燃. 口. 災 ダ ミー に よ っ て 説 明 で き る 。 多 くの 変 数. は(3)式 か ら(8)式 ま で の 結 果 と ほ ぼ 一 致 す る た め,こ と 雇 用 集 中 度,燃. 口,人. 外 化 した低 密 度 な 都 市 構 造 は人 々の 最 適 行 し仮 に 高 密 度 の ガ ソ リ ン 節 約 型 都 市 を 形 成 す る と. 料 税 な ど の 課 金 政 策 が よ り効 果 的 で あ る と 主 張 し,Newman&Kenworthy. 提 案 した 政 策 を 厳 し く批 判 した 。 確 か にGordon&Richardsonが. 的 手 法 の 効 果 は 燃 料 価 格 の 係 数 か ら確 認 で き る が,人 の 値 の ほ う が 大 き い た め,都. 主 張 す る経 済. 口集 中度 や 雇 用 集 中度 の パ ラ メー タ. 市 構 造 の コ ン トロ ー ル に も 自 動 車 交 通 需 要 を 抑 制 す る 効 果 が. あ る。 特 に 人 口 の再 都 市 化 に 非 常 に大 き いエ ネ ル ギ ー節 約 効 果 が あ る こ とは 明 らか で あ る。.

(24) 第57巻. 5.お. 第3号. わ. り. に. 地 域 公 共 輸 送 の 交 通 政 策 モ デル につ いて,斎 藤(2010)は,か. つ て は三 大 都 市 圏 と地 方. と い う2分 構 造 で あ っ たが,現 在 は東 京 圏 と その 他 都 市 圏 お よ び小 都 市 ・農 村 の よ う に3 分 化 して お り,大 阪 都 市 圏 は東 京 圏 と異 な る 「その 他 都 市 圏 モ デル 」 に移 行 しつ つ あ る と 論 じて い る。 そ こで 本 稿 で は,鉄 道 需 要 の 減 少 が 鉄 道 の サ ー ビス水 準 を 低 下 させ,鉄 道 か ら 自動 車 交 通 へ の シ フ トを促 して,エ ネ ル ギ ー の 浪 費 につ な が るで あ ろ う との 認 識 の も と,強 都 心 型 の 都 市 構 造 が 鉄 道 中心 の 交 通 体 系 を 形 成 し,自 動 車 交 通 需 要 を 抑 制 す る効 果 が あ る と考 え た。 そ して,京 阪 神 交 通 圏 を 対 象 に して,人. 口 ・雇 用 の 中心 都 市 へ の 集 積 が 鉄 道 需 要 に及. ぼす 影 響 を算 出 しな が ら,鉄 道 と 自動 車 交 通 の 関 係 を 分 析 す る こ とを 試 み た 。 その 結 果,人. 口 と雇 用 の 郊 外 化 が 鉄 道 需 要 を 減 少 させ,こ の こ とが 自動 車 交 通 需 要 の 増. 加 を助 長 す る こ とが 明 らか とな っ た。 したが って,Newman&Kenworthyが. 提案す るよ. うな,再 都 市 化 政 策 を 積 極 的 に進 め るべ きで あ ろ うが,本 稿 で は政 策 的 含 意 と して,現 在 も進 行 して い る郊 外 化 を 抑 止 し,鉄 道 需 要 の 維 持 を 提 案 した い。 な ぜ な ら ば,人 口 と雇 用 の 中心 都 市 へ の 過 度 な 集 中 は道 路 混 雑 を 発 生 させ る こ と にな り,そ の 一 方 で,郊 外 の 都 市 経 営 を よ り困 難 にす る と考 え られ るか らで あ る。 ま た,京 阪 神 交 通 圏 の 人 口減 少 に生 産 年 齢 人 口 は減 少 して い る. すで. も考 慮 に入 れ,現 在 の 需 要 規 模 で 鉄 道 事 業 を 持 続 で き. る組 織 に ス リム化 す る こ と も必 要 で あ ろ う。 な お,郊 外 化 の 進 行 を 抑 え る こ とで 鉄 道 需 要 を 維 持 で き た と して も,混 雑 な どの 外 部 性 が 残 って い る限 り,課 金 政 策 は必 要 と思 わ れ る。 ただ し,前 述 した よ う に,課 金 政 策 は代 替 交 通 手 段 が あ る こ とが 前 提 で あ り,そ れ が な い地 域 で の プ ラ イ シ ン グ は交 通 費 用 を 上 昇 させ る た め,最 適 な 政 策 で あ る と は言 え な いで あ ろ う。 したが って,エ ネ ル ギ ー 消 費 の 観 点 か ら都 市 の 自動 車 交 通 問 題 を 考 え る際,ま ず は都 市 構 造 が 極 めて 重 要 で あ り,人 口 と雇 用 む こ と にな る. よ り拡 大 解 釈 す る と,商 業 ・レジ ャー 施 設 も含. の 郊 外 化 を 抑 え な が ら,部 分 的 に課 金 政 策 な どの 経 済 的 手 法 が 必 要 とな. る。 つ ま り,経 済 的 手 法 は都 市 構 造 を コ ン トロー ル した後 で 有 意 義 な 「フ ァ イ ン ・チ ュー ニ ング」 で あ る と考 え な くて はな らな い。. 一266(756)一.

参照

関連したドキュメント