〈論文〉国際財務報告基準(IFRS)を適用した欧州企業の有価証券報告書における環境開示
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(2) 第58巻. 1問. 第1号. 題 の 所 在. 企 業 を取 り巻 くあ る種 の 環 境 問 題 が,そ の 企 業 の 事 業 や 業 績 に重 要 な 影 響 を 及 ぼ して い るか,ま. た は将 来 に お いて 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が あ る場 合,そ の 問 題 に関 連 した 情 報 を,. 財 務 書 類 で 説 明 す る こ と は,企 業 内容 の 開 示 の 透 明 性 を 高 め,財 務 書 類 の 主 な 利 用 者 で あ る投 資 家 保 護 に資 す る もの で あ る。 近 年,投 資 家 等 に お いて この 重 要 性 に対 す る認 識 が 高 ま りつ つ あ る こ とを 背 景 に,証 券 市 場 に お け る情 報 の 非 対 称 性 を 低 減 し,投 資 家 等 の 意 思 決 定 に有 用 な 情 報 を 提 供 す る こ とを 目的 に作 成 開 示 され る,有 価 証 券 報 告 書 と い った 制 度 開 示 財 務 書 類 で の 適 切 な 環 境 開 示 に焦 点 が 集 ま りつ つ あ る。 制 度 財 務 書 類 の 作 成 に 当 た り,環 境 問 題 は,財 務 報 告 基 準 を 適 用 して 会 計 処 理 お よ び表 示 され る財 務 情 報 の 取 り扱 いの 中で,開 示 が可 能 で あ る。 国 際財 務 報 告 基 準(IFRS)の ち に も,作 成 企 業 の 環 境 問 題 に関 す る考 慮 を 必 要 とす る基 準,あ. う. る い は環 境 法 規 制 に直 接. 関 連 した基 準 が あ る。 ま た,環 境 問 題 は財 務 報 告 基 準 に準 拠 した財 務 諸 表 上 の 他 の 情 報 で あ る と こ ろの,財 務 情 報 に統 合 して 補 完 追 加 的 に提 供 され る よ うな 非 財 務 情 報 の 取 り扱 いの 中で,必 要 に応 じ て 開示 が 可 能 で あ る。IFRS設. 定 主 体 の 国 際 財 務 会 計 審 議 会(IASB)は. レー ム ワ ー ク と して,「 経 営 者 の説 明(MC)」. 叙述的報告 の フ. に 関 す る実 務 声 明書 を2010年 に 公 表 し,財. 務 報 告 基 準 その もの で はな いが,非 財 務 情 報 を 扱 う何 らか の フ レー ム ワー ク に関 す る共 通 認 識 の 重 要 性 を 示 して い る。 MCに. お い て 環境 問 題 に 関 連 した説 明 が必 須 とは 明示 され て い な い もの の,あ る種 の 企. 業 に お い て は 含 ま れ る可 能 性 が十 分 あ る と い え る。 な ぜ な らMCが,投. 資 家 等 の財 務 諸. 表 利 用 者 に対 して,関 連 す る財 務 諸 表 の 文 脈 を 提 供 す る統 合 情 報 と され て お り,プ ラ ス あ る い は マ イ ナ ス面 か ら,原 因 や 将 来 の 意 味 合 いを 提 供 す る た め に,企 業 の 業 績,財 政 状 態 お よ び発 展 に影 響 す る潮 流 や 要 因 に関 して,過 去,現 在 お よ び将 来 か ら説 明 す る もの と さ れ て い るか らで あ る。 しか し問 題 は,特 定 の 場 合 を 除 き,開 示 す る こ とが 強 制 され ず,開 示 内容 が 特 定 され な い場 合 の 情 報 の 信 頼 性 で あ る。 開 示 の 判 断 は,個 々の 企 業 に大 き く依 存 す るか らで あ る。 と りわ け環 境 リス ク情 報 の よ うな,投 資 家 の 判 断 に影 響 を 与 え るネ ガ テ ィ ブ情 報 が 適 切 に 開 示 され る こ と は投 資 市 場 の 透 明 性 に繋 が る重 要 な 問 題 で あ り,そ の た め に は証 券 市 場 制 度 に お け る法 規 制,監 視 ま た執 行 の 制 度 的 担 保 が 健 全 で あ る こ とが 求 め られ,と 一2(2)一. りわ け開.
(3) 国際財務報告基準(IFRS)を. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). 示 指 針 の 存 在 が 鍵 と いえ る。 この 点 に関 して,欧 州 証 券 市 場 で は所 定 の連 結 財 務 諸 表 にIFRSを2005年 い るが,環 境 に関 す る重 要 業 績 指 標(KPI)を. 以 降 適 用 して. 年 次 報 告 書 類 で 開示 す る よ う欧 州 指 令 で 要. 請 さ れ て い る。 日本 で は2015年 あ る い は2016年 か らIFRSを. 所 定 の財 務 報 告 で 制 度 適 用. す る可 能 性 が あ る。 しか し,日 本 企 業 の 制 度 年 次 報 告 で 環 境 問 題 の 開 示 を 特 別 に扱 った 具 体 的 開 示 規 制 や 指 針 は見 られ な い。 本 稿 で は,欧 州 大 企 業10社 が 本 国 で 作 成 した制 度 財 務 報 告 書 を 翻 訳 し,日 本 の 金 融 商 品 取 引 法 に準 拠 して 提 出 した有 価 証 券 報 告 書 に お け る環 境 開 示 事 例 を 検 討 して い く。 欧 州 企 業 の 開 示 を先 進 的 な 事 例 と して 分 析 し,ま た批 判 的 な 検 討 を 加 え る こ と は,日 本 の 企 業 内 容 開 示 制 度 の 政 策 的 議 論 の 基 礎 を 提 供 す る上 で 非 常 に意 義 が あ る もの と いえ る。 本 稿 の 構 成 と して,Hで. は リス ク開 示 に関 す る先 行 研 究 を 検 討 し,皿 で は持 続 可 能 性 情. 報 開 示 フ レー ム ワー クを 検 討 し,IVで は環 境 関 連 のIFRSを. レビ ュー し,Vで. は国 際 市 場. で の 環 境 開 示 規 制 等 を 概 括 し,VIで 欧 州 企 業 の 開 示 事 例 を 分 析 し,皿 で 考 察 し,皿 で 結 論 を述 べ た い。 企 業 の 環 境 問 題 は有 価 証 券 報 告 書 の 様 々な 箇 所 で 様 々な 文 脈 で 説 明 され て い る もの の,開 示 内容 は企 業 判 断 に大 き く委 ね られ て お り,開 示 情 報 の 信 頼 性 確 保 が 未 だ 重 要 な 課 題 で あ る。. II先. 行. 研. 究. 企 業 が 環 境 リス ク情 報 を 含 む 環 境 情 報 を 財 務 報 告 で 開 示 す る際 の,情 報 の 品 質 に影 響 す る主 な 要 因 に関 す る重 要 な 先 行 研 究 を 見 て い く。 Sinclair-Desgagn6は,情. 報 提 供 者 とス テ ー クホ ル ダ ー との 関 係 は,開 示 情 報 の 品 質 の. 程 度 に依 存 す る と主 張 した。 環 境 リス ク規 制 の 設 定 の 際,ス. テー ク ホル ダー の 認 識 の 高 揚. や 政 治 的 圧 力 の 強 化 が 一 般 的 に強 調 され が ちで あ るが,開 示 情 報 の 品 質 に よ って 両 者 の 関 係 に変 化 が 生 じる可 能 性 を示 して い る。Sinclair-Desgagn6は,潜. 在 的 汚 染 者 で あ る情 報. 提 供 者 を対 象 に,ス テー ク ホル ダー に任 意 開 示 す る環 境 リス ク情 報 の 量 や 質 に関 す る調 査 を行 っ た。 その 結 果,ス. テー ク ホル ダー が 先 天 的 に その 情 報 提 供 者 を 信 用 す る(い うな れ. ば騙 され や す い)と き,報 告 内容 が それ ほ ど複 雑 で な く,分 析 に手 間 が か か らな い と き, あ る い は情 報 提 供 企 業 が 危 険 な 事 業 行 動 を 選 択 す る こ とで 将 来 支 払 金 額 が 少 な くて 済 む と き に,開 示 情 報 の 質 が よ り明 瞭 で はな い との 結 論 を 示 した。 一 方,ス. テー ク ホル ダー が 問. 題 に対 して 懸 念 が あ り,情 報 提 供 側 が 低 コ ス トで 正 確 な 数 字 を 作 成 で き る と き に,情 報 開 一3(3)一.
(4) 第58巻. 第1号. 示 の 品 質 が よ り高 い こ と も示 した。 さ らに,企 業 が 品 質 の よ い情 報 開 示 を 行 う こ とで,現 在 の 事 業 活 動 に関 連 した将 来 の 支 払 金 額 が 高 くな らな い こ とを 容 易 にな る と い う(1)。 Abrahamら. は,記 述 に よ る リス ク情 報 の 品質 と,企 業 年 次 報 告 と所 有者,企. 業 統 治,. お よ び ア メ リカ上 場 企 業 の 特 質 との 関 係 を 調 査 した。 その 結 果,企 業 の リス ク に関 す る報 告 は,長 期 間 の 機 関 投 資 家 に よ る株 式 所 有 と統 計 的 に負 の 相 関 関 係 が あ る こ とを 示 し,そ して,重 要 な 機 関 投 資 家 層 は,リ ス クの 開 示 程 度 が あ ま り高 くな い企 業 に対 して よ り投 資 を好 む と い う。 企 業 統 治 に関 して,様. 々な 取 締 役 が 様 々な 機 能 を 果 た して い る場 合,ま た. 経 営 幹 部 と社 外 取 締 役 の 数 は,企 業 リス クの 報 告 レベ ル と正 の 相 関 に あ る と い う。 また, イギ リスで の リス ク報 告 指 針 に対 応 した,事 業,財 務,お. よ び 内部 統 制 に関 す る リス ク報. 告 に関 す る個 々の 調 査 に よれ ば,年 次 報 告 書 で の リス ク情 報 を 開 示 す る形 式 は リス ク報 告 規 則 で 示 した形 式 に依 存 して い る と い う(2)。 Doblerは,リ. ス ク報 告 に は本 来 的 に恣 意 性 が 内在 す る こ と,規 制 の 存 在 が 開 示 の 誘 因 と. な りう るが,規 制 の 有 用 性 を 過 大 評 価 す べ きで はな い と主 張 した 。 事 後 評 価 や リス ク要 因 に関 す る経 営 者 の 予 測 が 有 用 で あ る こ と,ま た強 制 的 な リス ク報 告 に よ って 資 本 コ ス トが 減 少 す る と主 張 され る もの の,規 制 に よ り リス ク報 告 が必 ず し も有 用 と は い え な い と い う(3>。 Suuntariは,企. 業 の 監 査 済 み財 務 諸 表 で,環 境 問題 に起 因 す る重 要 な業 績 や財 政 状 態. が ほ とん ど表 示 され て いな い こ とを 指 摘 して い る。Suuntariは,グ ング ・イ ニ シア テ ィブ(GRI)の. ローバ ル ・レポー テ ィ. 「GRIガ イ ドラ イ ン」 に基 づ いた 報 告 を 自主 的 に行 う化. 学 企 業 の 年 次 報 告 と開 示 を 対 象 と して,環 境 問 題 が どの よ う に伝 え られ て い るか を,文 脈 分 析 の 手 法 に よ り調 査 した㈲。 一 般 的 に,「GRIガ. イ ドライ ン」に よ る報 告 は,国 際 的 に幅. 広 い ス テ ー ク ホル ダー との プ ロセ ス と して 受 け入 れ られ,GRIの. フ レー ム ワー クを 利 用 し. て 持 続 可 能 性 に関 す る報 告 を 行 う企 業 は,持 続 可 能 性 や 環 境 問 題 に対 す る関 心 が 高 い企 業 と認 め られ るか も しれ な い と い う。 しか し,こ の 調 査 で 対 象 と した2008年 お よ び2009年 でGRIの. 報 告 を した企 業 が,環 境 問 題 に敏 感 な セ クタ ー で あ る化 学 産 業 で,環 境 問 題 の. 取 り扱 いの た めの 特 別 な 能 力 も あ る に もか か わ らず,ほ. とん どの 企 業 の 監 査 済 み 財 務 諸 表. (1)Sinclair-Desgagn6(2003). (2)AbrahamandCoxb(2007). (3)Dobler(2008). (4)国. 際 的 非 営 利 組 織 で あ る グ ロ ー バ ル ・ レ ポ ー テ ィ ン グ ・イ ニ シ ア テ ィ ブ(GRI)は,多. 国籍企. 業 の 持 続 可 能 性 報 告 の た め の 国 際 的 指 針 を 提 供 す る活 動 を 通 じて 情 報 開 示 の 重 要 性 を 強 調 して き た 。GRIは1997年 に ア メ リ カ 環 境 保 護 非 営 利 組 織 で あ る セ リー ズ を 中 心 と し て 発 足 し,1999年 に は 国 際 環 境 計 画(UNEP)の. 協 力 を 得 て,2000年. 月 に は改 訂 版 を 公 表 して い る。 -4(4)一. に 最 初 の 国 際 的 報 告 指 針 を 公 表 し,2011年3.
(5) 国際財務報告基準(IFRS)を. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). で,重 要 で 詳 細 な 環 境 項 目が 表 示 され て いな か っ た と い う。 結 論 と して,財 務 報 告 で 投 資 や 株 主 議 決 権 行 使 の 判 断 の 基 礎 と して 環 境 問題 が そ れ ほ ど重 要 とみ な さ れ て い な い と い う(5)。 Innconは,法. 規 制 の も とで持 続 可 能 性 情 報 を強 制 開示 させ る こ と で,様 々 な 国 の 多 く. の 企 業 で 環 境,社 会 お よび ガ バ ナ ンス(ESG)に. 関 す る改 善 が 見 られ た との 実 証 結 果 を 示. した(6)。 社 会 責 任 経 営 の 実 践 に お け る複 数 の対 策 に 関 す る58力 国 の デ ー タ を用 い た調 査 に お いて,強 制 的 に持 続 可 能 性 報 告 を 求 め る法 規 制 が 適 用 され た後 で は,ト. ップ企 業 にお い. て 社 会 的 責 任 が 増 加 し,持 続 可 能 な 開 発 お よ び従 業 員 の 教 育 訓 練 の 両 実 践 の 優 先 度 が 高 く な り,さ らに,企 業 統 治 の 実 践 が 改 善 され た と い う。 ま た,企 業 が 倫 理 的 実 務 を 実 践 し, 汚 職 腐 敗 を減 ら し,経 営 の 信 頼 性 が 増 した と い う。 しか も,法 的 執 行 が よ り強 く,持 続 可 能 性 報 告 に対 す る保 証 実 務 が 普 及 して い る国 々 で は,そ の 影 響 が よ り強 か っ た とい う。 Innconの. 結 論 と して,持 続 可 能 性 報 告 と財 務 報 告 を統 合 した 報 告 を 強 制 開示 す る こ とを. 推 奨 して い る(7)。. 皿. 1持. 持続可能 な開発 のための情報 開示. 続可能性情報開示の意義. 企 業 の 環 境 情 報 開 示 は,現 代 の 国 際 社 会 共 通 の 課 題 で あ る 「持 統 可 能 な 開 発(SustainableDevelopment)」 発 」 と は,1987年. の 達 成 に 向 け た有 効 な 方 策 と して位 置 づ け られ る。 「持 統 可 能 な 開. に 「環 境 と開 発 に 関 す る世 界 委 員 会(WCED)」. に よ って 定 義 され た 「将. 来 の世 代 の 欲 求 を 満 た す 能 力 を 損 な う こ とな く,現 在 の 世 代 の 欲 求 を 満 た す 開発 」 を い う(8)。この 定 義 に基 づ く 「持 続 可 能 性(Sustainability)」. を達 成 す る た め,企 業 な ど組 織. に は持 続 可 能 性 に関 す る 方 針 や戦 略 の 策 定 が 求 め られ よ う。 企 業 の 事 業 の 視 点 に お け る 「持 続 可 能 性 」 の 目標 は,産 業 用 の 使 用 材 料 の量 を 減 少 さ せ た り,地 球 環 境 へ の マ イ ナ ス の 影 響 を低 減 させ た りす る と と も に,株 主 価 値 お よ び社 会 価 値 を 長 期 的 に増 加 させ る こ と と いえ る。 ま た,社 会 的 お よ び経 済 的 コ ス トを 低 減 させ な が ら,経 済 成 長 を 支 援 す る こ と が 求 め られ る。 さ らに,企 業 の 意 思 決 定 に お いて 環 境,経 済 お よ び社 会 の 価 値 を 統 合 させ. (5)Suuntari(2010). (6)後 述 す る,エ せ る も の と,そ. イ チ エ ス ビ ー シ ー ・バ ン ク で は,ESG問 題 は レ ピ ュ テ ー シ ョ ン ・ リス ク を 生 じ さ の 有 価 証 券 報 告 書 の 事 業 等 の リス ク の 箇 所 で 認 識 を 示 し て い る 。. (7)Inncon(2011). (8)WCED(1987). -5(5)一.
(6) 第58巻. 第1号. る と い っ た方 針 を もつ こ とで,持 続 可 能 な 開 発 を 促 進 す る こ とを 可 能 とす る。 事 業 的 観 点 で いえ ば,組 織 の 変 化 を 把 握 し,組 織 の 弾 力 性 や 適 応 性 を 構 築 し,流 動 性 や リス クを 予 測 お よ び管 理 し,利 益 を 獲 得 す る こ と に よ り,持 続 可 能 な 開 発 を 達 成 す る。 す な わ ち,持 続 可 能 な 開 発 に お いて,事 業 と環 境 は二 律 背 反 関 係 で はな く,両 者 の 相 乗 作 用 を 反 映 させ る こ とが 重 要 で あ る と い う(9)。. 2持. 続 可 能 性 情 報 開 示 の 国 際 的 フ レー ム ワー ク. 企 業 の 持 続 可 能 性 情 報 を 開 示 す る た め の 主 な 国 際 的 フ レ ー ム ワ ー ク に は,GRI, ISO26000,国 告,ウ. 連 グ ロ ー バ ル ・コ ン パ ク ト,責 任 投 資 原 則,カ. ォ ー タ ー ・フ ッ トプ リ ン ト報 告,AA1000(ア. ス 環 境 重 要 業 績 指 標(KPI)ガ れ る ⑩。 最 初 に,GRIに. イ ドラ イ ン,統. ー ボ ン ・フ ッ ト プ リ ン ト報. カ ウ ン タ ビ リ テ ィ1000),ま. た イギ リ. 合 報 告(lntegratedReporting)が. よ る フ レ ー ム ワ ー ク はESGに. 挙 げら. 関 す る パ フ ォ ー マ ン ス を 幅 広 く包. 括 的 に 開 示 さ せ る 持 続 可 能 性 報 告 の フ レ ー ム ワ ー ク で あ る 。GRIが2011年3月. に公 表 し. た 「持 続 可 能 性 報 告 ガ イ ドラ イ ン 第3.1版(SustainabilityReportingGuidelinesVersion3.1)」. で は,持. 続 可 能 性 情 報 を ス テ ー ク ホ ル ダ ー に 開 示 す る 意 義 を 強 調 す る 中 で,投. 資 家 に 対 す る 情 報 開 示 が 重 要 で あ る こ と を 明 示 して い る 。 こ の 趣 旨 と して,現 持 続 可 能 性 に 関 す る 新 た な 機 会 と リ ス ク に 直 面 して お り,新. 代 企 業 は,. しい革 新 的 な 選 択 や 思 考 方 法. の 採 用 が 課 題 と な りつ つ あ る 。 企 業 の こ の 状 況 に 関 して 投 資 家 の 関 心 が 高 ま りつ つ あ り, 投 資 家 の 意 思 決 定 の た め に 有 用 な 情 報 を 提 供 す る た め に,GRIの. 推 奨 す る ガ イ ドラ イ ン に. 沿 っ た 国 際 標 準 的 な フ レー ム ワ ー ク で 開 示 す る こ と が 必 要 で あ る と い うql)。 次 に,国 際 標 準 化 機 構(ISO)が2010年11月1日 cialResponsibility)」 前 述 のGRIの. は,企. に 公 表 し た 「ISO26000一. 業 の 持 続 可 能 性 情 報 の 開 示 を 強 く推 奨 す る 指 針 文 書 で あ る 。. フ レー ム ワ ー ク と 内 容 的 に よ く調 整 さ れ て い る ⑫。ISO26000は,ス. ホ ル ダ ー 団 体 の 専 門 家 間 の 国 際 的 コ ンセ ンサ ス を 得 な が ら5年 和 し た 国 際 的 指 針 と して 企 業 と 公 共 部 門 に 提 供 さ れ た,社 進 す る フ レ ー ム ワ ー ク で あ る 。ISO26000が も と よ り,企. 社 会 責 任(So-. 業 統 治,人. 権,労. 働 慣 行,公. テー ク. 間 に わ た っ て 開 発 さ れ,調. 会 責 任 の 最 善 実 務 を 国 際 的 に促. 対 象 とす る 社 会 責 任 の 中 核 主 題 に は,環 正 な 事 業 慣 行,消. 費 者 課 題,コ. 境 は. ミュニ テ ィへ の. 参 画 お よ び コ ミュニ テ ィの 発 展 が あ る。 持 続 可 能 性 情 報 開 示 の 特 定 の 項 目や 報 告 形 式 に関. (9)USEPA. ⑩. こ こ で 取 り 上 げ た フ レ ー ム ワ ー ク と そ の 評 価 に つ い て はACCAの. qDGRI(2011),p.2. q2)ISO(2010). -6(6)一. 見 解 を 参 照 して い る。.
(7) 国 際 財 務 報 告 基 準(IFRS)を. 適 用 した 欧 州 企 業 の 有 価 証 券 報 告 書 にお け る環 境 開 示(川 原). す る 内 容 は 示 さ れ て い な い が,企 用 さ れ る こ と を 想 定 し た,情 3つ. 業 な ど 組 織 が 持 続 可 能 性 問 題 を 理 解 して 取 り組 む 際 に 利. 報 提 供 の た めの 指 針 文 書 で あ る。. 目 に,「 国 連 グ ロ ー バ ル ・ コ ン パ ク ト(UNGIobalCompact)」. は,持. 続可能 な開. 発 の 達 成 の た め の10原 則 を 企 業 等 が 自 主 的 に 実 践 す る こ と を 促 進 す る フ レー ム ワ ー ク で あ る 。 「国 連 グ ロ ー バ ル ・ コ ン パ ク ト」 は,1999年 お い て,ア. の 世 界 経 済 フ ォ ー ラ ム(ダ. ナ ン国 連 事 務 総 長 に よ っ て 提 唱 さ れ,翌. そ の 内 容 は,人. 権 保 護,不. 当 労 働 排 除,環. 年7月. 境 対 応,お. ボ ス 会 議)に. に 国 連 本 部 で 正 式 に 発 足 した 。. よ び 腐 敗 防 止 の4分. 野 に 関 す る10の. 自 主 行 動 原 則 で 構 成 さ れ て い る ⑱。 企 業 等 は,「 国 連 グ ロ ー バ ル ・ コ ンパ ク ト」 を 支 持 し, 事 業 や 戦 略 に 「国 連 グ ロ ー バ ル ・コ ン パ ク ト」 の 内 容 を 組 み 入 れ 実 践 に 努 め る こ と を 声 明 し,毎 年,「 進 捗 状 況 報 告(CommunicationonProgress)」 況 報 告 」 は,前 ISO26000の. 述 のGRIの. 項 目 に は,国. 推 奨 す る 持 続 可 能 性 報 告 書 で も よ い と さ れ る ⑭。 ま た, 連 グ ロ ー バ ル ・ コ ン パ ク トの10原 則 の 内 容 が 含 ま れ て い る。. 4つ 目 に,「 責 任 投 資 原 則(PRI)」 実 践 して い く た め の,国. を 公 表 す る 。 な お,「 進 捗 状. は,国. 際 的 投 資 家 が 責 任 投 資 に 関 す る6つ. 連 環 境 計 画 金 融 イ ニ シ ア テ ィ ブ と 前 述 の 国 連 グ ロ ー バ ル ・コ ン パ. ク トに よ る ネ ッ ト ワ ー ク で あ る 。PRIの. 見 解 と し て,ESGに. 関 す る 問 題 は,機. の ポ ー トフ ォ リオ の パ フ ォ ー マ ン ス に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が あ り,機. 考 慮 す べ き で あ る と い う も の で あ る 。PRIで. そ して,PRIは,投 ち,具. は,投. 関投 資 家. 関投資家が長期的視. 点 で 受 益 者 に 最 大 利 益 を 最 大 に 追 求 す る 義 務 を 果 た そ う と す る な ら,ESG問. を 組 み 込 む こ と で,社. の原則を. 題 を適 切 に. 資 意 思 決 定 や 所 有 者 実 務 にESG問. 題. 会 全 体 の 目的 で あ る持 続 可 能 性 を 達 成 す る こ と にそ の 狙 いが あ る。 資 対 象 企 業 等 にESG問. 題 に関 す る適 切 な 開 示 を 求 めて い る。 す な わ. 体 的 開 示 項 目 を 列 挙 し て い な い も の の,前. そ っ た 持 続 可 能 性 報 告 の 中 でESG問 課 題 に つ い て 記 載 し た り,国. 述 のGRIの. 題 を 開 示 し た り,年. 推 奨 す る ガ イ ドラ イ ン に. 次 財 務 報 告 書 の 中 でESG問. 題. 連 グ ロ ー バ ル ・コ ン パ ク トと い っ た 国 際 的 イ ニ シ ア テ ィ ブ を. 採 用 し遵 守 し て い る こ と に 関 す る 情 報 を 開 示 し た りす る こ と を 求 め て い る 。PRIはESG 問 題 の 開 示 を 促 進 す る 株 主 イ ニ シ ア テ ィ ブ や 決 議 案 も 支 持 し て い る 。 そ し てPRIの トワ ー ク に 所 属 す る 機 関 投 資 家 が,そ. ⑱. れ ぞ れ の 投 資 先 で あ る企 業 に 対 し,企. ネ ッ. 業 がESG問. グ ロー バ ル ・コ ンパ ク トは,1)人 権 擁 護 の 支 持 と尊 重,2)人 権 侵 害 へ の 非 加 担,3)組 合 結 成 と団 体 交 渉 権 の 実 効 化,4)強 制 労 働 の 排 除,5)児 童 労 働 の 実 効 的 な 排 除,6)雇 用 と職 業 の 差 別 撤 廃,7)環 境 問題 の予 防 的 ア プ ロ ー チ,8)環 境 に 対 す る責 任 の イ ニ シア テ ィ ブ,9) 環 境 にや さ しい 技 術 の 開 発 と普 及,お よ び10)強 要 ・賄 賂 等 の 腐 敗 防 止 の 取 り組 み の10原 則 か ら な る(UNGlobalCompact)。. q4)GRI(2006). -7(7)一.
(8) 第58巻. 第1号. 題 の 行 動 に 対 処 す る よ う に 影 響 力 を 行 使 す る よ うPRIで こ の 他,PRIの. は 要 求 して い る⑮。. ネ ッ トワ ー ク に 属 す る 機 関 投 資 家 に お い て は,自. 針 と 慣 習 の 中 にESG問. らの 株 式 所 有 業 務 の 方. 題 を 組 み 入 れ る こ と を 検 討 す る こ と が 求 め られ て お り,PRIの. 実. 行 に 関 す る 活 動 お よ び 進 捗 状 況 に つ い て 報 告 お よ び 開 示 す る こ と も求 め ら れ て い る(1④ 。 ま た,資. 金 運 用 業 務 に お い て もESG問. 題 を どの よ う に実 務 に組 み込 ん で い るか を 開 示 す る. こ と が 求 め られ て い る ⑰。 5つ 目 に,カ. ー ボ ン ・フ ッ トプ リ ン トの 報 告 は,企. 業 の 二 酸 化 炭 素 す な わ ち カー ボ ン排. 出 量 の 算 出 お よ び 報 告 に 関 す る 重 要 な フ レ ー ム ワ ー ク で あ り,様. 々な 国 際 的 な イ ニ シ ア. テ ィ ブ に よ り標 準 フ レー ム ワ ー ク が 開 発 さ れ つ つ あ る 。 例 え ば,前 ドラ イ ンの 他 に も,カ. 述 のGRIの. ー ボ ン ・デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー ・プ ロ ジ ェ ク ト(CDP)の. 候 変 動 情 報 開 示 審 議 会(CDSB)に. 示 すガ イ 質 問 票,気. よ る 標 準 的 開 示 フ レ ー ム ワ ー ク が あ るq8)。こ れ ら は,既. 存 の 企 業 会 計 報 告 で は気 候 変 動 に関 す る包 括 的 な 情 報 を 投 資 家 が 得 る こ とが ほ とん ど困 難 で あ り,こ. の 問 題 を 解 決 す る た め に 標 準 的 な フ レー ム ワ ー ク が 必 要 と の 見 解 で 開 発 さ れ た. も の と い え る 。 こ の 他,財. 務 報 告 と別 の 法 規 制 の 文 脈 で 利 用 さ れ る も の と し て,ISOに. ラ イ フ サ イ ク ル ア セ ス メ ン ト(LCA)規. 格(ISO14040,14044)や,温. よ び 報 告 規 格(ISO14064-1,-2,-3お. よ びISO14067-1)が. の た め の 世 界 経 済 人 会 議(WBCSD)と. は. 室 効 果 ガ ス算 定 お. あ る ⑲。 ま た,持. 世 界 資 源 研 究 所(WRI)が. 続可能 な発展. 開 発 し た 「GHGプ. ロ. トコ ル 」 も代 表 的 な フ レ ー ム ワ ー ク で あ る ⑫ ① 。 こ れ ら 様 々 な カ ー ボ ン ・フ ッ トプ リ ン ト報 告 の フ レ ー ム ワ ー ク は,企. 業 が 二 酸 化 炭 素 排 出 に関 す る明 瞭 な 情 報 開 示 を 行 う こ とを 求 め. る 投 資 家 等 の 要 請 に よ り開 発 さ れ た も の で あ る 。 気 候 変 動 や 二 酸 化 炭 素 排 出 に 関 す る 環 境 問 題 は,エ. ネ ル ギ ー コ ス トの 上 昇 や 安 全 保 障,天. タ イ ル の 変 化,消. 費 者 の 嗜 好 の 変 化 を 背 景 に,企. 然 資 源 問 題,人. 口 増 加,人. 々の ラ イ フ ス. 業 経 営 に 潜 在 的 影 響 を 及 ぼ す 要 因 と して. 投 資 家 に 認 識 さ れ つ つ あ る か らで あ る 。. q5)UNEPFI(2002),principle3. q6)1わ1紘,principle2. q7)1∂'4.,principle2。6 ㈹CDPは2000年. に 設 立 さ れ た 非 営 利 団 体 で,温. 室 効 果 ガ ス 排 出 量 お よ び 気 候 変 動 の 影 響 の 測 定,. 管 理,お よ び 削 減 を 促 進 す る 活 動 を 行 う 団 体 で あ る 。CDSBは 世 界 経 済 会 議 の2007年 会 議 で 設 立 さ れ た,投 資 家,ビ ジネ ス界 お よび 環 境 関 連 団 体 に よ る コ ン ソー シア ム で あ る。 制 度 開 示 書 類 の 中 で 投 資 家 向 け気 候 変 動 情 報 を 開 示 す る情 報 開 示 フ レー ム ワ ー ク の 開 発 を 目 的 とす る 団体 で あ る。 ⑲. ラ イ フ サ イ ク ル ア セ ス メ ン ト(LCA)は. 環 境 影 響 評 価 方 法 を さ し,工. 業 製 品 の 製 造 ・使 用 ・廃. 棄 に 係 わ る す べ て の 工 程 で の 資 源 の 消 費 ・排 出 物 量 を 計 量 す る こ と で 環 境 へ の 影 響 を 評 価 す る こ とを い う。 ⑦①WBCSDとWRIのGHGプ ロ トコ ル と は ProtocolCorporateAccountingandReportingStandard)」 -8(8)一. 「プ ロ ト コ ル 事 業 者 排 出 量 算 定 報 告 基 準(GHG を 指 す。.
(9) 国 際 財 務 報 告 基 準(IFRS)を 6つ 目 に,ウ 生 産,製. 適 用 した 欧 州 企 業 の 有 価 証 券 報 告 書 にお け る環 境 開 示(川 原). ォ ー タ ー ・フ ッ トプ リ ン トの 報 告 は,製. 造 や 加 工,輸. 送 や 流 通,ま. 品 の 場 合 で いえ ば原 材 料 の 栽 培 や. た 消 費 ま で の ラ イ フ サ イ ク ル に お い て,直. に 消 費 ま た は 汚 染 さ れ た 水 量 を 開 示 す る フ レー ム ワ ー ク で あ る 。 今 日,水 の 問 題 の 一 つ で あ り,企. 取 と排 出,消 費,サ. 水 利 用 の 影 響(人. 理),リ. ISOで. や 水 系 へ の 影 響,水. たCDPに. も,ISO14046規. 7つ 目 に,イ. 供給が人類最大. 業 の 水 消 費 に 対 して 社 会 の 監 視 が 強 くな りつ つ あ る こ と が 背 景 に. あ る 。 開 示 内 容 と して,水 利 用 の 算 定 報 告(採. 述 のGRI,ま. 接的間接的. 質,管. お い て も,企. プ ラ イ チ ェ ー ン と 製 品),. ス ク の特 定 と対 応 が 挙 げ られ る。 前. 業 の 水 利 用 に 関 連 した 開 示 を 求 め て い る 。 さ ら に. 格 と して 開 発 中 で あ る 。. ギ リス の 非 営 利 団 体 で あ る社 会 倫 理 説 明 研 究 所(AccountAbility)に. て 提 供 さ れ た 「AA1000AS(AA1000AssuranceStandard)」. は,企. よっ. 業等の持続可能性パ. フ ォ ー マ ンス と それ に関 す る説 明 責 任 を 改 善 す る た めの シ ス テ ム と プ ロセ スの た めの 規 格 で あ る ⑳。AccountAbilityで 明 責 任 指 針 の 他,ス. は 持 続 可 能 性 報 告 の 保 証 基 準 を2003年. に 発 行 し た 後 に,説. テ ー ク ホ ル ダ ー ・エ ンゲ ー ジ メ ン ト基 準 お よ び 保 証 基 準 を2008年. に シ リ ー ズ 化 して い る 。 持 続 可 能 性 報 告 の 信 頼 性 と 品 質 を,評. まで. 価 し強 化 す る た め の 規 格 で. あ る 。 環 境 情 報 は パ フ ォ ー マ ン ス を 基 礎 と し て 保 証 さ れ る 。 な お,AA1000ASに. は環境. 開 示 に 関 す る 具 体 的 な 内 容 の 提 供 は 見 られ な い 。 8つ. 目 に,「 イ ギ リ ス 環 境 重 要 業 績 指 標(KPI)ガ. 環 境 食 料 農 村 問 題 省(Defra)が. 公 表 し た も の で,企. イ ドラ イ ン」 は,2005年. に イ ギ リス. 業 が 重 要 な 環 境 影 響 に 対 処 し,そ. 環 境 業 績 を 報 告 す る こ と を 支 援 す る 目 的 で 作 られ た 指 針 で あ る 。 イ ギ リ ス 企 業 は,欧 計 現 代 化 指 令(AMD)に. よ り,所. 最 後 に,国. 州会. 定 の 年 次 報 告 に お い て 重 要 な 環 境 問 題 に 関 す る報 告 が. 求 め られ て い る 。 こ の ガ イ ドラ イ ン で は,産 列 挙 さ れ,そ. の. 業 ご と に潜 在 的 に重 要 な 環 境 影 響 が 具 体 的 に. れ ぞ れ の 開 示 方 法 に 関 して 具 体 的 な 資 料 が 提 供 さ れ て い る 。 際 統 合 報 告 委 員 会(IIRC)が. 推 奨 す る,財. 務 報 告 と持 続 可 能 性 報 告 との 情 報. を 統 合 して 報 告 す る 「統 合 報 告(lntegratedReporting)」 れ は 企 業 の 戦 略,統. 務 業 績 お よ び 事 業 に お け る 社 会,環. 境 お よ び経 済 的 文 脈 を 連 携. さ せ る 開 示 を 奨 励 す る フ レー ム ワ ー ク で あ る 。 こ の 趣 旨 は,企. 業 が 持 続 可 能 性 に関 す る意. 思 決 定 が で き,ま 以 上,9つ 近,二. ⑳. 治,財. の フ レー ム ワー クが あ る。 こ. た投 資 家 等 が 組 織 の 業 績 の 実 態 を 理 解 で き る こ と に あ る。. の 国 際 的 フ レー ム ワ ー ク に お い て 環 境 問 題 は 重 要 な テ ー マ で あ り,中. で も最. 酸 化 炭 素 や 水 に 関 す る 地 球 規 模 の 環 境 問 題 が 重 視 さ れ て い る 。 各 フ レー ム ワ ー ク 同. 本 稿 で 「イ ギ リス 」 は 「グ レー ト ・ブ リテ ンお よ び北 部 ア イ ル ラ ン ド連 合 王 国 」 を さす 。 -9(9)一.
(10) 第58巻. 第1号. 士 が 内容 の 面 で 連 携 しつ つ あ り,財 務 報 告 との 調 和 や 統 合 的 な 情 報 開 示 が 強 く意 識 され 開 発 され て きて い る と いえ る。. ]VIFRSに. 1環. お け る 環 境 問 題 の 取 り扱 い. 境 問 題 に関 連 した 資 産 会 計. 主 な 情 報 利 用 者 を 投 資 家 とす る証 券 市 場 制 度 に お け る財 務 報 告 にお いて,環 境 情 報 開 示 の た めの 国 際 的 包 括 フ レー ム ワー ク は未 だ 標 準 化 の 途 上 と いえ る もの の,財 務 報 告 基 準 に お いて は,環 境 問題 に 関連 した取 り扱 い が 少 な か らず あ る。IFRSに. お い て は,重 要 な 環. 境 問 題 に関 連 した資 産 や 負 債 の 測 定 お よ び開 示 に関 す る基 準 が あ る。 こ こで,イ ギ リスの イ ング ラ ン ドお よび ウ ェ ール ズ勅 許 会 計 士 協 会(ICAEW)が2009年 題 と財 務 報 告 」 を も とに,IFRSを. 適 用 した際 の,環 境 問題 の会 計 上 の取 り扱 い を 検 討 し. て い き た い ⑳。 こ の 文 書 が 公 表 さ れ た 背 景 に は,EU域 2005年 よ りIFRSが. に公 表 した 「環 境 問. 内の上 場企業 の連 結財務 報告 に. 強制 適 用 され,イ ギ リス の財 務 会 計 基 準(FRS)等. がIFRSの. 内容 に. 大 き く影 響 を受 けて い る こ とが あ げ られ る。 こ の文 書 で は環 境 問題 がIFRSやFRSを. 適. 用 した 財 務 報 告 で 適 切 に 開 示 さ れ る よ う具 体 的 な説 明 と企 業 開 示 事 例 が 提 供 さ れ て い る㈱。 まず,IFRSに. は,有 形 固定 資 産 お よ び無 形 資 産 の評 価 お よ び棚 卸 資 産 の測 定 に お い て,. 環 境 を要 因 と した損 傷 の 影 響 を 反 映 で き る基 準 が あ る。 広 義 のIFRSに 計 基 準(IAS)第16号. 含 ま れ る,国 際 会. 「有 形 固 定 資 産 」 で は,有 形 固 定 資 産 の取 得 お よ び償 却 等 に関 す る. 会 計 処 理 を規 定 して い る⑳。 有 形 固 定 資 産 項 目が 減 損 して い るか ど うか の判 断 は,資 産 の 減 損 の定 義 に 関 す る指 針 お よ び回 収 可 能 価 額 を 規 定 したIAS第36号. 「資 産 の減 損」 を 適. 用 す る㈱。 例 え ば,土 地,設 備 お よ び機 械 な どの 有 形 固 定 資 産 に お い て,汚 染,物 理 的 損 壊,ま た は環 境 法 規 制 の 違 反 に よ り,減 損 が 生 じる場 合 が あ る⑳。 この よ うな 状 況 で は,回 収 可 能 価 額(売 却 費 用 控 除 後 の 公 正 価 値 あ る い は使 用 価 値)が 帳 簿 価 額 を 下 回 って い る場 合 の み,帳 簿 価額 を 回収 可 能 価額 まで 減額 しな けれ ば な らな らず,減 額 は減 損 損 失 とな る。 ⑳ICAEW(2009),p.12.ICAEWに よ れ ば,こ の文 書 は イ ギ リス環 境 庁 の依 頼 を受 け,ICAEW の 会 員 で あ る勅 許 会 計 士 を 含 む 財 務 報 告 の 関 係 者 に向 けて,現 行 の 適 用 可 能 な 会 計 基 準 と監 査 上 の 取 り扱 い を 包 括 的 に整 理 した とい う。(2011年3月16日RachelSinha氏 よ り聴 取)。 ㈱ ⑳. 「付 録1環 境 問 題 に関 連 す る主 な 国 際 財 務 報 告 基 準(IFRS)」 参照。 これ に対 応 す る イ ギ リス の 会 計 基 準 に は,FRS第15号 「有 形 固 定 資 産 」 が あ り,ICAEWで はIFRSと 参 照 さ せ て紹 介 して い る。 以 下 同様 。. 飼FRS第11号 「固定 資 産 お よ び の れ ん の減 損 」 参 照 。 ⑳ICAEW(2009),p.13. -10(10)一.
(11) 国際財務報告基準(IFRS)を IFRS第3号. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). 「企 業 結 合 」 で は,事 業 を 取 得 した企 業 は,識 別 可 能 な取 得 した 資 産 また. は 引 き 受 け た 負 債 を 取 得 日の 公 正 価 値 で 測 定 す る こ とを 規 定 して い る⑳。 適 切 な 場 合 に は,環 境 に よ る影 響 を 資 産 や 負 債 の 公 正 価 値 で の測 定 に反 映 させ る こ とが 求 め られ る㈱。 企 業 結 合 に よ って 認 識 され たの れ ん の 測 定 に,IAS第36号. 「資 産 の 減 損 」 を適 用 し,環 境. 事 故 を原 因 と した減 損 が 生 じる可 能 性 が あ る㈲。 2つ 目 に,IAS第38号. 「無 形 資 産 」 で は,物 質 的 実 体 の な い識 別 可 能 な 非 貨 幣 性 資 産 と. 定 義 さ れ る無 形 資 産 に 関 す る会 計 基 準 を規 定 して い る⑳。 温 室 効 果 ガ ス排 出枠 は,無 形 資 産 に含 まれ る。 無 形 資 産 は,取 得 原 価 で 当初 認 識 し,認 識 後 の 測 定 にお いて,帳 簿 価 額 が 使 用 に よ り,あ る い は市 場 取 引 を通 して 実 現 す る回 収 可 能 価 額 を 超 え る場 合 に は,IAS第 36号 「資 産 の 減 損 」 の 判 断 を 適 用 し,減 損 テ ス トを 条 件 とす る㊤1)。 な お,温 室 効 果 ガ ス排 出枠 に関 す る特 別 の 基 準 に関 して,国 際 財 務 報 告 基 準 解 釈 指 針 委 員 会(IFRIC)報. 告 第3号. 「排 出 権 」 が あ った ⑳。2004年 に 公 表 さ れ たIFRIC第3号. で. は,排 出枠 を 当初 認 識 に お いて 無 形 資 産 と して 公 正 価 値 で 測 定 し,排 出枠 の 引 渡 義 務 を 負 債 と して 計 上 す る こ とを 求 めて い た。 政 府 に よ って 排 出枠 が 公 正 価 値 よ り低 い対 価 で 付 与 さ れ た場 合,政 府 補 助 金 と して取 り扱 う こ とを 規 定 して い た 。 しか し,IFRIC第3号 2005年6月. に 国 際 会 計 基 準 審 議 会(IASB)に. 扱 う無 形 資 産,引. は. よ っ て撤 回 され た 。 そ の 理 由 は,排 出 枠 を. 当金 お よ び政 府 補 助 金 に関 す る それ ぞ れ の 会 計 基 準 間 に不 整 合 が あ り,. 議 論 の 余 地 が あ る た め と い う。 な お,2007年12月. にIASBに. ロ ジ ェ ク トで 検 討 作 業 が 開 始 して い る。 しか し現 行 のIFRSで. よ る排 出枠 に関 す る新 た な プ は,排 出枠 に関 す る代 替 可. 能 な2つ の 会 計 処 理 が 残 され て い る点 が 問 題 と され る。 当初 の 市 場 価 額 で の 取 得 価 額 で 測 定,あ. る い は排 出枠 で カバ ー され な い部 分 の た め に排 出枠 を 購 入 す る場 合 の 引 当 金 の 現 在. 価 値 で測 定 す る,2つ か る測 定 の 際,排. の 会 計 処 理 が どち ら も有 効 と され る㈱。 さ らに,排 出枠 の購 入 にか. 出枠 取 引 市 場 で 排 出枠 の 余 剰 が あれ ば市 場 価 値 が 取 得 原 価 を 下 回 る可 能. 性 が あ る。 最 近 の 二 酸 化 炭 素 排 出枠 の 市 場 価 格 の 変 動 か ら減 損 の 可 能 性 が 示 され て い る と い う⑳。 ⑳FRS第7号. 「取 得 法 に お け る 公 正 価 値 」 参 照 。. ⑳ICAEW(2009),p.13. (291わ1紘,p.15. ⑤①FRS第10号. 「の れ ん お よ び 無 形 資 産 」 参 照 。. ㊤D1わ'4.,p.13. 働. 所 定 の 排 出 量 取 引 の ス キ ー ム に お い て,割 り当 て られ た 排 出 許 容 量 を 達 成 で きた 企 業 と未 達 成 の 企 業 間 で 排 出 権 を 売 買 で き る 場 合 が あ る 。IFRICは2010年7月 に 「国 際 財 務 報 告 基 準 解 釈 指 針 委 員 会(IFRSInterpretationsCommittee)」. ㈱ICAEW(2009),p.14.カ. に 名 称 変 更 し て い る。. ー ボ ン会 計 の 問 題 点 に つ い て は,Lovellet。a1(2010)を. ㊤4)1わ14.,p.15. -11(11)一. 参照。.
(12) 第58巻 3つ 目 に,IAS第2号. 第1号. 「棚 卸 資 産 」 で は,棚 卸 資 産 に 関す る会 計 を規 定 し,原 価 の 決 定. お よ び 正 味 実 現 可 能 価 額 へ の 評 価 減 を 含 む そ の 後 の費 用 認 識 に 関 す る指 針 が 示 さ れ て い る㈲。 環 境 を要 因 と した,物 理 的 漏 出 あ る い は 品質 劣 化 の よ うな 影 響 を,自 然 資 産 を 含 む 棚 卸 資 産 の 評 価 の 際 に会 計 上 反 映 させ,正 味 実 現 可 能 価 額 まで 評 価 減 す る こ とが で き る。 ま た,棚 卸 資 産 の 滞 留 は過 剰 在 庫 の 状 態 を 示 して お り,原 材 料 の 損 耗 を 表 示 す る こ と も あ る⑳。 さ らに,棚 卸 資産 に 関連 した農 産 物 に つ い て,IAS第41号. 「農 業」 で は,農 業 活 動 に関. 連 した会 計,す な わ ち生 物 資 産 の 成 長,変 性,生 産 お よ び生 殖 の 期 間 中 にお け る生 物 資 産 の 会 計 処 理 並 び に 農 産 物 の 収 穫 時 点 に お け る当初 測 定 の 会 計 処 理 を定 め て い る⑳。 生 物 資 産 は 当初 認 識 時 に,公 正 価 値 が 信 頼 性 を も って 測 定 で きな い場 合 を 除 き,売 却 費 用 控 除 後 の 公 正 価 値 に よ り測 定 され る。 企 業 の 生 物 資 産 か らの 収 穫 物 で あ る農 産 物 につ いて,そ の 収 穫 時 点 に お いて の みIAS第41号. を 適 用 し,そ れ以 降 はIAS第2号. 他 の 該 当す る基 準 を 適 用 す る。IAS第41号. 「棚 卸 資 産 」 また は. で は,生 物 資 産 の 売 却 費 用 控 除 後 の 公 正 価 値 の. 変 動 を,そ れ が 発 生 した期 の 純 損 益 に含 め る こ とを 要 求 して い る。 農 業 活 動 にお いて は, 生 きて い る動 物 や 植 物 の 物 理 的 属 性 が 変 化 す れ ば,企 業 の 経 済 的 便 益 を 直 接 的 に増 加 あ る い は減 少 させ る。IAS第41号 IAS第16号. に は,土 地 に 関 す る新 た な 規 定 は設 け られ て い な い の で,. 「有 形 固 定 資 産 」 また はIAS第40号. 「投 資 不 動 産 」 に準 拠 す る㈱。 物 理 的 に土. 地 に付 着 して い る生 物 資 産(例 え ば植 林 地 に お け る樹 木)は,土. 地 と は別 に,売 却 費 用 控. 除 後 の 公 正 価 値 に よ り測 定 され る鋤。. ㈱ 標 準 会 計 実 務 書(SSAP)第9号 「棚 卸 資 産 お よ び長 期 請 負 契 約 」 参 照 。 ㊤ ③ICAEW(2009),p.13. ⑳ 「農 業 活 動 」 と は,生 物 資 産 を 販 売 す る た め,農 産 物 にす る た め,ま た は 追 加 的 な生 物 資 産 を 得 るた め に,企 業 が 生 物 資 産 の 生 物 学 的 変 化 また は 収 穫 を 管 理 す る こ とを い う。 「生 物 学 的 変 化 」 とは,生 物 資 産 の 質 的 また は 量 的 な 変 化 を 生 じ させ る,成 長,変 性,生 産 お よび 生 殖 の プ ロセ ス か らな る。 「生 物 資 産 」 と は,生 きて い る動 物 また は植 物 を い う。 「農 産 物 」 とは,企 業 の 生 物 資 産 か らの 収 穫 され た 成 果 物 を い う。 「収 穫 」と は,生 物 資 産 の 果 実 を 分 離 す る こ と また は 生 物 資 産 の 生 命 活 動 を 停 止 させ る こ とを い う。 ㈱IAS第16号 IAS第40号. で は,土 地 を,減 損 損失 控 除後 の取 得 原 価 か再 評 価 額 の い ず れ か に よ り測 定 す る。 で は,投 資 不 動産 で あ る土地 を,公 正 価 値 また は 減 損 損 失 控 除 後 の 取 得 原 価 に よ り測. 定 す る。 ㈲IAS第41号 で は,売 却 費 用 控 除 後 の 公 正価 値 に よ り測 定 され て い る生 物 資 産 に 関連 して,無 条 件 の 政 府 補 助 金 を 受 け取 る場 合,純 損 益 に認 識 す る。 一 方,条 件 付 き の 場 合,そ の 条 件 が 満 た さ れ た 時 に純 損 益 に認 識 す る。 政 府 補 助 金 が 減 価 償 却 累 計 額 お よび 減 損 損 失 累 計 額 控 除 後 の 取 得 原 価 に よ り測 定 され る生 物 資 産 に関 連 す る場 合,IAS第20号 「政 府 補 助 金 の 会 計 処 理 お よび 政 府 援 助 の 開 示 」 を 適 用 す る。 -12(12)一.
(13) 国際財務報告基準(IFRS)を 2環. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). 境 問 題 に関 連 した 負 債 会 計. IAS第37号. で は,引 当金,偶 発 負 債 お よ び偶 発 資 産 の認 識 測 定 を 規 定 して い るω。 廃 棄. 物 処 理,汚 染,解 体 お よ び原 状 回 復 の 費 用 が,引. 当計 上 され,負 債 に含 まれ る可 能 性 が あ. る。 ま た,自 動 車 生 産 や 電 子 電 気 機 器 の 製 造 の よ うな 特 定 市 場 へ 参 加 す る こ とか ら生 じる 負 債 も あ る。 引 当金 と は,時 期 ま た は金 額 が 不 確 実 な 負 債 を い い,企 業 が 過 去 の 事 象 の 結 果 と して 現 在 の 債 務(法 的 ま た は推 定 的)を 有 して お り,当 該 債 務 を 決 済 す るた め に経 済 的 便 益 を もつ 資 源 の 流 出が 必 要 とな る可 能 性 が 高 く,当 該 債 務 の 金 額 につ いて 信 頼 性 の あ る見 積 りが で き る場 合 に認 識 され な けれ ばな らな い。 な お,引 当金 に関 す る会 計 基 準 は, 現 在,継 続 審 議 中で あ るω。 さ らに,IFRIC第1号. 「廃 棄,原 状 回 復 及 び そ れ らに類 似 す る既 存 の 負 債 の変 動 」 で. は,特 別 な 解 釈 指 針 を提 供 して い る。 従 来 の,IAS第16号 の 関 連 費 用 と,IAS第37号 将 来 閉 鎖(廃 棄)す IFRIC第6号. に よ り認 識 され た 有 形 固 定 資 産. に よ る引 当 金 の そ れ ぞ れ の 基 準 に関 連 し,原 子 力 発 電 所 な どを. る こ と に よ り生 じる費 用 を 負 債 と して 認 識 す る こ とを 規 定 して い る。. 「特 定 市 場 へ の 参 加 か ら生 じる負 債. 電 気 ・電 子 機 器 廃 棄 物 」 で は,製 造. 業 な どが 自社 製 品 の 回 収 と リサ イ クル コ ス トを 負 担 す る場 合 の 会 計 上 の 取 り扱 いを 規 定 し て い る。EUで. は,電 気 ・電 子 機 器 廃 棄 物 の 回収 と リサ イ クル に 関 す る 「廃 電 気 ・電 子 機. 器 に関 す る欧 州 議 会 お よ び理 事 会 指 令 」が2003年 よ り発 効 した こ とを受 け た もの で あ る働。 この 他,廃 棄 自動 車 の環 境 負 荷 低 減 に関 す る2000年 のEU指. 令 に対 応 す るた めの 負 債 が. 計 上 され る場 合 も あ る⑬。. 3環. 境 問 題 と開 示. IAS第8号. 「会 計 方 針,会 計 上 の見 積 りの変 更 お よ び誤 謬 」 の規 定 が あ る鱒。IAS第8. 号 で は,重 要 な 会 計 方 針 の 要 約 ま た は注 記 で,見 積 りを 伴 う判 断 と は別 に,経 営 者 が 当 該 企 業 の 会 計 方 針 を 適 用 す る過 程 で 行 っ た判 断,か つ 財 務 諸 表 に計 上 され て い る金 額 に最 も 重 要 な 影 響 を も た らす 判 断 につ いて 開 示 しな けれ ばな らな い こ とを 規 定 して い る。 また, 企 業 は,翌 会 計 年 度 に お いて 資 産 や 負 債 の 帳 簿 価 額 に重 要 な 修 正 を 加 え る原 因 とな る著 し. ㈹FRS第12号. 「引 当 金,偶. 発 負 債 お よ び 偶 発 資 産 」 参 照 。. ωICAEW(2009),p.17. 働Directive2002/96/ECoftheEuropeanParliamentandoftheCouncilof27January 20030nwasteelectricalandelectronicequipment.い. わ ゆ る. 「WEEE指. 令 」 を さ す 。. ㈱ICAEW(2009),p.16.Directive2000/53/ECoftheEuropeanParliamentandofthe Councilof18September20000nend-oflifevehicles。 幽FRS第5号. い わ ゆ る. 「取 引 の 実 質 の 報 告 」 参 照 。. -13(13)一. 「ELV指. 令 」 を さ す 。.
(14) 第58巻. 第1号. い リス ク を伴 う将 来 に関 して な され た仮 定,お. よ び報 告 期 間 の 末 日 にお け るそ の 他 の 見 積. りの 不 確 実 性 に関 す る主 な 情 報 を 開 示 しな けれ ばな らな い こ とを 規 定 して い る。 「EU透 明性 指 令 」 に基 づ き,環 境 問 題 に 関 す る特 別 な取 り扱 い が要 求 され る場 合 が あ る㈲。 環 境 関 連 項 目は,他. と同 様 に,取 引 で資 産 や 負債 を 新 た に計 上 す る か ど うか が 判 断. され,取 引 の 実 質 を 反 映 す る方 法 で 報 告 され る。 ま た,企 業 が 資 産 を 所 有 す る場 合,環 境 リス ク を含 む 固 有 の リス ク に さ らされ て い る と いえ る㈹。 環 境 に関 す る費 用 や 収 益 が 重 要 な 項 目で あ る場 合,そ れ は通 常 の 活 動 か ら生 じる利 益 や 損 失 と は別 に区 分 して 開 示 され る こ とが 求 め られ る。 な お異 常 項 目の 概 念 は,IAS第1号 「財 務 諸 表 の表 示 」 です で に 削 除 され て い る㈲。 財 務 諸 表 に環 境 問 題 が 重 要 な 影 響 を 及 ぼす 場 合,IAS第8号. に よ り,会 計 方 針 を 開 示 す. る必 要 が あ る場 合 が しば しば あ る姻。 例 え ば,企 業 が,排 出量 取 引 に関 わ って い る,ま た は 自動 車 あ る い は電 気 ・電 子 機 器 な どの 製 品 の 廃 棄 に関 す る重 要 な 負 債 が あ る場 合 で あ る。. 4環. 境開示の重要性の判断. 環 境 問題 を 年 次 財 務 報 告 で 開 示 す る際 の 重 要 性 の 考 慮 につ い てICAEWの が あ る。 通 常,財 務 諸 表 に お け る項 目の 重 要 性 は,そ の 規 模,性 質,お. 重要 な見解. よ び状 況 を 考 慮 し. て 決 定 され る。 重 要 性 の 概 念 は,持 続 可 能 性 報 告 で 重 要 と され る よ うな 「関 連 性 」 と は異 な る。 環 境 に関 連 した項 目 に対 して,重 要 性 を 決 定 す る際,項. 目の 持 続 可 能 性 に対 す る側. 面 や 性 質 お よ び企 業 の 評 判 に対 す る影 響 は非 常 に重 要 な 要 素 とな りう る もの の,財 務 諸 表 に お け る重 要 性 と 同 じ規 準 を 適 用 す る こ と にな ろ う㈹。 持 続 可 能 性 報 告 の観 点 で い え ば,前 述 のGRIガ. イ ドラ イ ンの第3.1版 で は,開 示 の 重 要. 性 判 断 や 財 務 リス ク に関 す る考 え 方 は,通 常 の 財 務 報 告 で 適 用 され る重 要 性 と必 ず しも 同 じで な い6① 。 例 え ば,財 務 報 告 の 重 要 性 の 判 断 の 際,汚 染 物 質 の 流 出の 場 合,受 け取 り側 の 環 境 収 容 力 が 重 要 な 要 素 とな るか も しれ な い。 一 方,法 的 レベ ル を 超 え た 温 室 効 果 ガ ス排 出量 が 必 ず しも重 要 と考 慮 され な いか も しれ な い。 す な わ ち,環 境 リス クの 重 要 性 は,通 常,財 務 諸 表 へ の 潜 在 的 影 響 に関 して 解 釈 され るか も しれ な い61)。 ㈲Directive2004/109/ECoftheEuropeanParliamentandoftheCouncilof15December 2004. ㈹ICAEW(2009),p.17. ㈲FRS第3号. 「財 務 業 績 報 告 」 参 照 。. ㈹FRS第18号. 「会 計 方 針 」 参 照 。. ㈹ICAEW(2009),p.18. 6①GRI(2010)。 6DICAEW(2009),p.18. -14(14)一.
(15) 国際財務報告基準(IFRS)を. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). ま た,報 告 範 囲 に つ い て は,通 常,財 務 報 告 目的 に 関す る範 囲 と同様 とす べ き とさ れ る。 例 え ば,素 材 や 部 品 の 製 造 段 階 な どサ プ ラ イ チ ェー ンの 上 流 に お け る間 接 的 環 境 影 響,エ ネ ル ギ ー使 用,購 入 電 力 や 交 通 サ ー ビス に関 連 した温 室 効 果 ガ ス排 出量,販 売 後 の 製 品 か ら生 じるサ プ ラ イ チ ェー ンの 下 流 に お け る間 接 的 な 環 境 影 響 な ど に関 連 した 情 報 を 含 む こ と は,年 次 財 務 諸 表 に お け る他 の 情 報 と首 尾 一 貫 しな いで あ ろ う。 しか し,評 判 リス クな ど,将 来 の リス クを 評 価 す る場 合 に は,開 示 範 囲 の 拡 大 を 考 慮 す る こ と にな ろ う働。 財 務 報 告 に お いて 金 額 的 に重 要 にな りが ちな 環 境 関 連 の 引 当金 に関 す る取 り扱 い は,い ず れ に して もIAS第37号 IASBで. にお け る規 準 に従 う㈹。. は,通 常 の ビ ジネ ス リス ク と偶 発 債 務 を分 けて議 論 を して お り,リ ス クの 見 積. も りの 方 法 や 偶 発 債 務 に 関 す る 開示 に つ い て数 年 に及 ぶ 慎 重 な議 論 が 積 み 重 ね られ て い る融。 また,IFRS適. 用 の 際,既 存 の 国 内基 準 の 引 当金 の 会 計 処 理 と著 しい相 違 が 予 想 され. る場 合,そ の 適 切 な 開 示 が 求 め られ るで あ ろ う㈲。. V環. 1欧. 境開示 に関す る市場規制. 州証券市場. 欧 州 連 合(EU)で. は,欧 州 市 場 戦 略 の 一 環 と して 透 明 性 の高 い 企 業 情 報 開 示 を促 進 す. る 中で 環 境 情 報 の 開 示 が 要 請 され て き た。 まず,「 リス ボ ン戦 略」(2000年)で. は,2010年. まで に 「世 界 で 最 も競 争 力 が あ り,か つ 力 強 い知 識 経 済 とな る こ と」 を 目指 し,金 融 サ ー ビス分 野 に関 して は2005年 ま で にEU域. 内 の 金 融 市 場 の 統 合 が 目標 と され た。 こ の一 環. と して 財 務 報 告 お よ び企 業 内 容 の 開 示 す な わ ちデ ィ ス ク ロー ジ ャー 制 度 の 統 合 が 進 め ら れ,財 務 報 告 に 関 す る 「IASの 適 用 に関 す る規 則 」(2002年),デ 関 す る 「目論 見 書 指 令 」(2003年)お こで,EU域. ィ ス ク ロー ジ ャー 制 度 に. よ び 「透 明性 指 令 」(2004年)な. どが 採 択 され た6④ 。こ. 内 で 財 務 活 動 を 行 う所 定 の発 行 者 に 関 して,年 次 報 告 書 な ど所 定 の 開 示 書 類. を継 続 的 に作 成 開 示 す る こ とが 求 め られ,連 結 財 務 諸 表 の 作 成 義 務 が あ る場 合,IASに. 基. づ くこ とが 要 請 され た。 ま た,「 透 明 性 指 令 」 で は,開 示 書 類 の企 業 年 次 報 告 に含 ま れ る 「経 営 者 報 告 」 の 区分 で,発 行 者 に よ る,事 業 の 展 開,業 績 や主 な リス クお よ び確 実 性 等. (52)1わ'(乳,p.18. (531わ'諾,P.19. (5のIASBweb-site. ㈲CSA(2011),p。18. (5③EU(2002).EU(2003b).. 一15(15)一.
(16) 第58巻. 第1号. に関 す る公 正 な レ ビュー を 開 示 す る こ とが 要 請 され た。 一 方 ,EUが. 公 表 した 「企 業 年 次 報 告 書 に お け る環 境 問 題 の 開 示 に 関 す る勧 告」(2001年). で は,環 境 デ ー タの 品 質,透 明 性 お よ び比 較 可 能 性 を 要 求 して い る。 環 境 問 題 の 開 示 の た め に必 要 とな る定 義 や 概 念 を 含 む,加 盟 国 間 の 共 通 の ル ー ル が それ まで な く,有 効 な 企 業 間 比 較 が 困 難 との 指 摘 を 背 景 に,投 資 家 等 に提 供 で き る環 境 情 報 を 改 善 す る こ とが 求 め ら れ た6の 。 こ の勧 告 を受 け,「EU会 指 標(KPI)を2005年. 計 法 現 代 化 指 令 」(2003年)で. は,環 境 に 関 す る財 務 重 要 業 績. 以 降 の所 定 の企 業 年 次 報 告 書 で 開示 す る よ う要 請 さ れ た。 す な わ ち,. 企 業 の 事 業 の 発 展 と業 績 お よ び財 政 状 態 に関 す る公 正 な 概 観 と包 括 的 な 分 析 が 年 次 報 告 書 に求 め られ,こ の分 析 に は特 定 の事 業 に 関連 したKPIと. 適 切 な 場 合 に は 非 財務KPIを. 含. む こ と と さ れ,ま た環 境 と従 業 員 に関 す る情 報 を含 め る よ う求 め られ た鮒。 この 指令 の も とで,EU加. 盟 国 で は 環 境 開 示 に 関 す る法 制 化 が そ れ ぞ れ 進 め られ た。. イ ギ リス で は,会 社 法(2006年)で. 企 業 報 告 の改 善 が 図 られ る 中 で,「 事 業 概 況」 に関. す る要 求 事 項 が 設 け られ,企 業 の 事 業 を 理 解 す る た め に必 要 とな る環 境 問 題 の 報 告 を 求 め て い る69。これ を 受 けて,イ ギ リス の 会 計 基 準 審 議 会(ASB)で. は,KPIが. 企業の事業の. 発 展,業 績 お よ び状 況 を測 定 す る際 に,取 締 役 が効 果 的 と判 断 したKPIを,株 よ び評 価 可 能 な 情 報 に合 わ せ て 開 示 す る こ とが 求 めて い る。ASBが 示 を効 果 的 に促 進 す るた め,環 境,食 糧 お よ び農 村 問 題 省(Defra)は. 主が理解お. 求 め る環 境KPIの. 開. 「イ ギ リス ビ ジネ. スの た めの 環 境 重 要 業 績 評 価 指 標 報 告 指 針 」 を 提 供 して い る6① 。 フ ラ ンスで は,商 法 で,規 制 市 場 の 上 場 会 社 に,取 締 役 会 組 織,内 部 統 制 の 整 備 状 況, リス ク管 理 手 続 に関 す る 経 営 者 報 告 を 要 請 して い る。 経 営 者 報 告 で 記 述 さ れ た 環 境 情 報 に,監 査 人 は財 務 情 報 の 適 正 性 と一 貫 性 に関 して 消 極 的 保 証 を 与 え,重 要 な 事 実 の 誤 表 示 を特 定 す る た め に財 務 情 報 以 外 の 非 財 務 情 報 を 読 む よ う要 請 して い る㈹。 ドイ ツで は,所 定 の 大 企 業 の 年 次 報 告 で 提 供 され る環 境 情 報 につ いて,財 務 諸 表 の 監 査 人 の 監 査 が 要 請 して い る。 な お,持 続 可 能 性 報 告 の 作 成 と保 証 は強 制 され て いな い働。 (5のEU(2001). (5⑳EU(2003a). 69Section417,CompaniesAct2006.イ ギ リ ス 会 社 法(2006年)に お い て 年 次 財 務 書 類 に,会 社 の 事 業 に 関 す る 公 正 な 検 討 を 含 む 事 業 の 検 討 を 記 載 し た 取 締 役 の 報 告 書,会 社 が 直 面 す る主 要 な リス ク お よ び 不 確 定 要 素 に 関 す る 記 載(関. 連 あ る事 業 年 度 中 の 会 社 の 事 業 お よび 当 該 事 業 年 度 末. の 事 業 状 況 の 推 移 と 実 績 に 関 す る 分 析 を 含 む)こ. とが 要 請 され た 。. 6①Defra(2006). 6DImplementedbytheOrdern°2004-1382(art.3)of20December2004whichamended articleL225-100(a1.3and4)oftheCodedeCommerce。FEE(2008),pp。43-59. ㈹Article289paragraphlsentence1十4HGB,article289paragraphlsentence3HGB十/ -16(16)一.
(17) 国際財務報告基準(IFRS)を. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). デ ンマ ー クで は,持 続 可 能 性 報 告 な どの 補 完 的 報 告 の 記 述 部 分 に対 す る監 査 が 制 度 上 要 請 して いな いが,年 次 報 告 書 の 「経 営 者 の 説 明 」(MC)に. 含 まれ る非 財 務 情 報 に関 す る監. 査 を要 請 して い る㈹。 さて,欧 州 会 計 士 連 盟(FEE)が. 実 施 した,EU加. 盟 国 の大 企 業 を 対 象 と した,年 次 財. 務 報 告 に お け る環 境 情 報 開 示 に関 す る2008年 の 調 査 結 果 に よれ ば,環 境 開 示 が 必 ず しも十 分 で な い と い う㈱。 この 調 査 の 結 果,FEEは,持. 続 可 能 性 報 告 と財 務 報 告 の文 脈 で は,重. 要 性 の 概 念 が 異 な るの で,財 務 報 告 と結 合 させ て 開 示 す る場 合 の 情 報 内容 や 選 択 方 法 に関 す る指 針 が 必 要 で あ る と強 調 して い る。 そ して,ビ. ジネ ス に 持続 可 能性 を 組 み 入 れ,KPI. を年 次 報 告 書 で 開 示 す る こ と を推 奨 して い る。FEEは,開. 示 が 望 ま しい7項. 目を具 体 的. に挙 げて お り,す な わ ち,ビ ジネ ス と持 続 可 能 性 との 関 係 に関 す る方 針,持 続 可 能 性 に関 す る ビジ ネ ス機 会,環 境 技 術 の よ うな 研 究 開 発 との 関 係,ス. テー ク ホル ダー との 協 働,持. 続 可 能 性 の 目標 を 定 義 し達 成 を 評 価 す る た めの 非 財 務 情 報KPI,お. よ び,持 続 可 能 性 に関. す る現 在 まで の 進 展 と将 来 の 投 資 の 発 展 と い う,7つ の 内容 を推 奨 して い る㈲。. 2ア. メ リカ証 券 市 場. ア メ リカ証 券 取 引 委 員 会(SEC)は,気. 候 変 動 問 題 の 開 示 に 関 す る市 場 規 則 に 関 す る. 「気 候 変 動 に関 す る委 員 会 指 針 」(以 下,指 証 券 取 引法 上,ア. 針)を2010年1月27日. メ リカ 国 内 の 公 開 企 業 は,主. に公 表 した㈹。 ア メ リカ 呼 ば れ る年 次 報 告 書 にお. 呼 ば れ るSEC開. 示 規 則 の も とで 投 資 家 に向. いてRegulationS-KやRegulationS-Xと. にForm10-Kと. けて 所 定 の 情 報 開 示 が 義 務 づ け られ て い る。 指 針 は,新 たな 法 的 要 件 の 設 定,既 存 事 項 の 修 正,あ. る い は開 示 に適 用 され る重 要 性 の 概 念 の 変 更 を も た らす もの で はな く,あ くまで. も気 候 変 動 関 連 情 報 の 明 瞭 で 一 貫 性 の あ る開 示 が 確 保 され る こ とが 意 図 され て い る。 指 針 で は,気 候 変動 問題 が 開 示 要件 とな る可能 性 の あ る4項 目 と して,「法 規 制 の 影 響 」, 「国 際 的協 定 」,「規 制 ま た は事 業 の潮 流 の 間接 的影 響 」,お よ び 「気 候 変 動 の 物 理 的 影 響 」 を列 挙 し,特 定 の 企 業 の 現 実 や 状 況 に よ って,気 候 変 動 の 影 響 に関 して 開 示 の 要 請 の 可 能 性 が あ る こ とを 示 して い る。SECで. は 指 針 公 表 後 の企 業 の 開 示 状 況 に鑑 み,今 後 の 開 示. \article289paragraph3HGBFEE(2008),pp.43-59. ㈹"Fairview",DanishFinancialStatementsActSection11(1)."Review"(management's review):Risks:DanishFinancialStatementsAct,Sections99,99(2),101.FEE(2008), pp.43-59. ㈹. 欧 州 会 計 士 連 盟(FEE)は,欧 会 計 監 査 職 業 専 門45団. 州 連 合 加 盟27力. 体 を 代 表 す る 組 織 で あ る 。. ㈹FEE(2008),pp。5-7. (6③SEC(2010).. -17(17)一. 国 を 含 む 欧 州 の33力. 国 の50万. 人 以 上 が 所 属 す る.
(18) 第58巻. 第1号. 規 制 設 定 の 必 要 性 を 検 討 す る予 定 で,ま だ 最 終 確 定 的 な 状 況 と は言 え な い。 「法 規 制 の 影 響 」 に 関 して,企 業 が 潜 在 的 開示 義 務 を評 価 す る際 に,気 候 変 動 に 関 す る 既 存 の 所 定 の 法 規 制 の 影 響 が,重 要 か ど うか を 考 慮 す べ き と され て い る。 所 定 の 状 況 で は 気 候 変 動 問 題 に関 連 した懸 案 の 法 規 制 につ いて も,潜 在 的 な 影 響 を 評 価 す る よ う求 めて い る 。 この 項 目 は規 則S-K101項,103項,503(c)項. お よ び303項 に準 ず る と され て い る。. 次 に,「 国 際 的 協 定 」 に 関 して,京 都 議 定 書 や 欧 州 排 出量 取 引 制 度,そ の 他 気 候 変 動 の 改 善 に関 連 す る活 動 な どを,気 候 変 動 関 連 の 国 際 的 な 協 定 や 条 約 に よ る事 業 へ の 影 響 が 重 要 な 場 合 に は開 示 す る こ とを 検 討 す べ き と して い る。503(c)項 の 「MD&A」. で の 開 示,お. よ び 「重 要 性 の 原 則 」 に基 づ く開 示 義 務 の 検 討 に あ た る もの と され て い る㈱。 3つ 目に,「 規 制 ま た は事 業 の 潮 流 の 間接 的 影 響 」 に関 して,気 候 変 動 を 要 因 とす る実 際 あ る い は潜 在 の,規 制 ま た は事 業 の潮 流 に よ る 間接 的影 響 を 開示 す る 際 に,101項 の 「事 業 の説 明」,303項 の 「MD&A」,あ. る い は503(c)項の 「リス ク要 因」 の 開示 要 件 を も と に. 開 示 事 項 を検 討 す る よ う求 めて い る 。 4つ 目 に,「気 候 変 動 の物 理 的影 響 」 につ い て は,企 業 は開 示 に あ た り,気 候 変 動 に よ っ て も た らされ た気 象 の 激 しさ に よ る実 際 ま た潜 在 的 影 響 を 評 価 す る こ とを 求 めて い る。. 3カ. ナダ証券市場. カ ナ ダ証 券 管 理 局(CSA)は,2011年 報 告 にIFRSが. よ りカ ナ ダ証 券 市 場 で 開 示 を 要 請 す る所 定 の 財 務. 適 用 され る こ とを踏 ま え,「 ス タ ッフ通 知51-333一 環 境 報 告 指 針 」(以 下,. 環 境 報 告 指 針)を 公 表 し,財 務 報 告 の 継 続 開 示 に関 す る要 請 事 項 の 範 囲 内で,環 境 開 示 を 要 請 して い る劔。 環 境 報 告 指 針 は新 た な法 的要 求事 項 で はな く,ま た修 正 で な い こ とを 明 示 して い る。 しか し,典 型 的 な 決 ま り文 句 に よ る開 示 を 受 理 しな い こ とを 明 示 して お り, 重 要 か つ 包 括 的 で 一 貫 した環 境 情 報 が 提 供 され る こ とを 求 めて い る。 この 環 境 報 告 指 針 は 全 て の 継 続 開 示 書 類 の 提 出義 務 者 た る発 行 者 に向 けて 公 表 され て い る。 しか し,環 境 問 題 は大 気,土 壌,水 系,お. よ び廃 棄 物 な ど に関 連 して その 範 囲 は幅 広 く,発 行 者 で あ る所 定. の 企 業 の う ちで も特 有 の 状 況 に あ る場 合,こ の 環 境 報 告 指 針 が よ り適 用 され る こ とが 期 待 され て い る。. ㈹SECのMD&A(ManagementDiscussion&Analysis)は,経. 営 者 に よ る財 務 お よ び 経 営. 成 績 の 分 析 を い い,イ ギ リ ス で い う 「経 営 と 財 務 の レ ビ ュ ー(OperatingandFinancialReview: OFR)」 と 同 様 に 叙 述 説 明 タ イ プ の 文 書 を さ す 。 有 価 証 券 報 告 書 で は 「財 政 状 態,経 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロー の 状 況 の 分 析 」 の 箇 所 が これ に相 当 す る文 書 で あ る。 ⑱CSA(2010). -18(18)一. 営 成績及び.
(19) 国際財務報告基準(IFRS)を. 適用 した欧州企業の有価証券報告書 にお ける環境開示(川 原). この 環 境 報 告 指 針 で 開 示 を 要 請 す る環 境 情 報 は,1)重 び関 連 事 項,3)リ. ス ク監 視 と管 理,4)IFRS適. 要 な 情 報,2)環. 用 の影 響,お. よ び5)予. 境 リス クお よ 測情報 の要請. の4つ で あ る。 まず,「 重 要 な情 報 」 の 内容 は,重 要 性 の テ ス ト,重 要 性 決 定 の プ ロセ ス, お よ び考 慮 事 項 な ど,情 報 開 示 を 検 討 す る際 の 重 要 性 の 判 断 要 因 で あ る。 この 場 合 の 重 要 性 は,合 理 的 な 投 資 家 の 意 思 決 定 に有 用 な 情 報 開 示 か ど うか を 基 礎 と して い る。 次 に,「 環 境 リス ク お よ び 関 連 事 項 」 の 内 容 は,環 境 リス ク,傾 向 と不 確 実 性,環 境 負 債,資 産 除 去 債 務,お. よ び環 境 保 護 の 要 請 が 及 ぼす 財 務 お よ び事 業 へ の 影 響 で あ る。. 3つ 目に,「 リス ク監 視 と管 理 」 の 内容 は,事 業 に必 須 の環 境 方 針,お. よ び取 締 役 の 権. 限 と委 員 会 で あ る。 4つ 目 に,「IFRS適 関 して,IFRSを. 用 の影 響 」の 内容 は,2011年1月1日. 以 後 を 開 始 とす る事 業 年 度 に. 適 用 して 所 定 の 企 業 の 財 務 報 告 が 作 成 さ れ る こ とに鑑 み,環 境 引 当 金 に. 関 す る認 識 測 定 に重 要 な 影 響 が あ る こ とを 予 想 し,そ の 処 理 と開 示 が 適 切 に行 う こ とを 要 請 す る もの で あ る。 最 期 に,「 予 測 情 報 の要 請 事 項 」 の 内容 は,環 境 関 連 の 目 的 や 目標 を 報 告 書 や ウ ェ ブで 任 意 に開 示 して い る企 業 が あ る こ と に鑑 み,目 的 や 目標 が 将 来 の 経 済 状 況 や 活 動 の 仮 定 に 基 づ いて 達 成 可 能 か ど うか,も. しそ うで あ るな ら重 要 な 情 報 か ど うか を 検 討 す る よ う要 請. す る もの で あ る。 そ してCSAの. 環 境 報 告 指 針 で は,環 境 開 示 を取 り巻 く統 治 構 造 に つ い て 焦 点 を 当 て て. い る。 特 に,重 要 な3つ の 論 点,す な わ ち,開 示 に関 す る レビ ュー,承 認,お 必 要 性,2つ. よ び検 証 の. 目 に統 制 と手 続 きの 在 り方,最 後 に財 務 報 告 と任 意 報 告 の 統 合 につ いて 言 及. して い る。. 4国. 際 監 査 基 準(ISA)720. 市 場 規 制 で 対 象 と され る財 務 諸 表 は,一 般 に公 認 会 計 士 等 の 監 査 が 要 請 され るが,財 務 諸 表 以 外 の 記 載 箇 所 で 非 財 務 情 報 が 開 示 され る 内容 が 財 務 諸 表 に関 連 す る場 合 に も,財 務 諸 表 監 査 の 範 囲 と され る場 合 が あ る。 この よ うな 非 財 務 情 報 の 開 示 情 報 の 信 頼 性 を,ど の よ うな 観 点 で 確 保 す るか は重 要 な 問 題 で あ る㈹。 現 在,改 訂 中 の 国 際 監 査 基 準(ISA)720 「監 査 済 財 務 諸 表 を含 む文 書 そ の他 の情 報 に 関す る監 査 人 の責 任 」に お い て,こ の 問 題 に関. ⑲IFRS第7号 「金 融 商 品:開 示 」 で は,財 務 情 報 以 外 に会 計 基 準 で 求 あ られ て い る もの と同 様 の 情 報 が 財 務 書 類 以 外 の 箇 所,例 え ばMCや リス ク報 告 な どで記 述 さ れ て い る場 合,重 複 開 示 を 避 け るた め,そ の 情 報 との ク ロ ス ・レ フ ァ レ ンス を す る こ とを 容 認 して い る。 この 場 合 は そ もそ も財 務 諸 表 監 査 の 対 象 とな る(IFAC(2011),p.7)。 -19(19)一.
(20) 第58巻. 第1号. す る 監 査 人 の 責 任 の 範 囲 や 取 り扱 い の 検 討 が 進 ん で い る 。 従 前 のISA720の 報 」 の 定 義 で は,「 環 境 情 報 」 は 例 示 列 挙 さ れ て い な い も の の,現 て,企. 「そ の 他 の 情. 在 進 行 中 の審 議 に お い. 業 責 任 報 告 と年 次 財 務 報 告 が 一 つ の レ ポ ー ト(Onereport)で. 公 表 さ れ る,あ. るい. は 統 合 報 告 で 扱 わ れ る 場 合 の 取 り扱 い に も 関 心 が 向 け られ て い る㈹。 審 議 中 のISA720で 上 で 矛 盾 す る,す. は,監. 査 済 み 財 務 諸 表 に 含 ま れ た 情 報 と そ の 他 の 情 報 が,通. な わ ち 「不 整 合(inconsistency)」. 特 に 「重 要 な 不 整 合(materialinconsistency)」. の 場 合,監 の 場 合,財. 査 人 の判 断 を求 め て い る。. 務 情 報 か 非 財 務 情 報 の いず れ. か の 訂 正 を 財 務 報 告 作 成 側 に 求 め る よ う 示 さ れ て い る 。 ま た,明 (apparentmaterialmisstatementoffact),す. 読す る. らか に重 要 な 事 実 の 虚 偽. な わ ち誤 っ た非 財 務 情 報 が 開 示 され た 場. 合,財. 務 諸 表 監 査 人 の 監 査 報 告 書 の 信 頼 性 に 影 響 が 及 ぶ こ と も懸 念 さ れ て い る㈲。 こ の 場. 合,重. 要 性 は 利 用 者 の 経 済 的 意 思 決 定 へ の 影 響 に よ り判 断 し,不. represented)は. 不 正 確(inaccurate),不. 合 理(unreasonable),不. ま た は ミ ス リ ー デ ィ ン グ(maybemisleading)と. 実 表 示(materialmis適 切(inappropriate),. 考 え る 脱 漏(omission)か. ら 発 生 した. も の と す る か は 検 討 中 で あ る ⑰。 以 上 の よ う に,ISA720が と 責 任 に お い て,制. 対 象 範 囲 と す る 非 財 務 情 報 に つ い て は,職. 度 上 の 担 保 が あ る と い え る 。 一 方,そ. 接 的 に 関 連 しな い 非 財 務 情 報 に 関 し て い え ば,国. れ 以 外 の す な わ ち財 務 情 報 に直. 際 保 証 基 準(ISAE3000)に. 得 る な ら そ の 範 囲 で 信 頼 性 が 確 保 さ れ る 。 しか し,こ 提 供 に つ い て は,企. 業 的専 門家 の 関 与. よ る保 証 を. れ らに よ らな い場 合 の 非 財 務 情 報 の. 業 の 裁 量 に 大 き く委 ね られ る 範 囲 の 問 題 と な り,信. 頼性の問題が潜在. 的 に 付 随 す る も の と い え る ⑬。. VI欧. 1事. 州企業 の財務報告 における環境 開示事例. 例 分 析 の 目的,対 象 と方 法. 欧 州 企 業 が 本 国 の法 規 制 に準 拠 して作 成 開 示 した,IFRS適. 用 の連 結 財務 報 告 にお け る. 環 境 問 題 の 開 示 の 事 例 を 通 して 開 示 の 可 能 性 と限 界 に関 して 検 討 して い きた い。 分 析 対 象 の 財 務 報 告 は,日 本 の 金 融 商 品 取 引 法 第24条 第1項. に準 拠 し,金 融 庁 へ 提 出が. ⑩IFAC(2011). ⑳IFAC(2009). ⑫IFAC(2011). ㈱ISAE3000は,国. 際 会 計 士 連 盟(IFAC)の. 国 際 監 査 ・保 証 基 準 審 議 会(IAASB)が. 非 財 務 情 報 を 対 象 と す る 国 際 保 証 業 務 基 準(ISAE)を -20(20)一. い う。. 作 成 した.
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