︽ 講 演 ︾
住
民
投
票
か
ら
民
主
主
義
を
考
え
る
古
田
雅
雄
目 次 一 二 つ の 民 主 主 義 二 住 民 投 票 の 現 況 三 住 民 投 票 賛 成 派 の 論 理 四 住 民 投 票 否 定 派 の 論 理 五 吉 野 川 第 一 〇 可 動 堰 の 建 設 中 止 を め ぐ る 住 民 投 票 六 法 制 化 を 求 め る 動 き 七 カ ル フ ォ ル ニ ア 州 の 場 合 八 直 接 民 主 主 義 か 代 表 民 主 主 義 か
一
二
つ
の
民
主
主
義
民 主 主 義 は 簡 単 に 定 義 し が た い 言 葉 で す 。 人 に よ っ て そ の 説 明 や 理 解 の 仕 方 が 異 な る で し ょ う 。 本 日 の 話 し の 関 わ り と し て 、 ま ず 二 つ の 民 主 主 義 理 論 を 紹 介 し て お き ま し ょ う 。 ひ と つ は エ リ ー ト 民 主 主 義 理 論 で す 。 こ れ は 現 在 、私 た ち が 民 主 主 義 制 度 と し て 使 用 し て い る 代 表 民 主 主 義 の こ と で す 。 も う ひ と つ は 参 加 民 主 主 義 理 論 で す 。 こ ち ら は 直 接 民 主 主 義 の 要 素 を 積 極 的 に 取 り 入 れ て い る 民 主 主 義 理 論 で す 。 ま ず 、 エ リ ー ト 民 主 主 義 理 論 で す 。 こ れ は 代 表 民 主 主 義 、 間 接 民 主 主 義 、 競 争 民 主 主 義 と も 呼 ば れ る こ と が あ り ま す 。 こ の 理 論 に は 国 民 に 理 性 的 な 判 断 力 が あ る と は 考 え ま せ ん 。 国 民 は 日 常 生 活 で は 現 実 的 な 対 応 を す る が 、 政 治 の 場 面 で そ れ に 関 心 を も っ て 必 ず し も 合 理 的 な 判 断 が で き る と は 限 り ま せ ん 。 だ か ら 、 こ の 理 論 に よ れ ば 、 国 民 に 政 治 的 能 力 を 期 待 し ま せ ん が 、 そ れ で も い か に 民 主 主 義 を 達 成 す る の か を 考 え ま す 。 で は 、 こ の 理 論 が 目 指 す 民 主 主 義 と は 何 で し ょ う か 。 民 主 主 義 は 、 ﹁ 政 治 的 決 定 の 到 達 に 向 け て 、 有 権 者 の 支 持 を 獲 得 す る た め に 、 複 数 の 政 治 家 ︵ あ る い は 政 党 ︶ に よ る 競 争 的 闘 争 に よ り 決 定 力 を 得 る よ う な 制 度 や 手 続 き ﹂ と さ れ 、 制 度 や 手 続 き を 遵 守 す る こ と が 民 主 主 義 を 実 行 、 維 持 す る こ と と 考 え ま す 。 そ こ に は 人 間 の 能 力 を あ ま り 信 頼 し な い 姿 勢 が 見 ら れ ま す 。 そ の 制 度 や 手 続 き を 具 体 的 に 述 べ ま す と 、 ① 議 会 政 治 を 中 心 と し た 複 数 政 党 が 存 在 す る こ と 、 ② 定 期 選 挙 で 勝 利 し た 多 数 党 が 政 権 に 就 任 し 、 選 挙 に 敗 れ た 政 党 は 下 野 す る こ と 、 ③ 国 民 の 政 治 参 加 を 選 挙 に 制 限 す る こ と 、 つ ま り 制 度 や 手 続 き の 遂 行 が 民 主 主 義 だ と 理 解 し て い ま す 。 エ リ ー ト 、 つ ま り 国 民 が 選 ん だ 代 表 者 で あ る 政 治 家 が 国 民 よ り 優 れ た 資 質 を 有 す る 存 在 と 見 ら れ 、 当 然 、 国 民 は 、 選 挙 以 外 は 通 常 、 政 治 を エ リ ー ト に 任 せ れ ば よ い 、 と 考 え ま す 。 こ の 代 表 民 主 主 義 理 論 は 、 国 民 の 判 断 力 を 評 価 し な い 一 方 で 、 複 数 の エ リ ー ト 集 団 ︵ 政 党 ︶ を 有 権 者 が 選 挙 に 際 し て 選 択 で き る こ と で 民 主 的 で あ ろ う と す る 点 が 特 徴 で す 。 こ れ は 代 表 に 政 治 を 委 任 す る こ と を 主 眼 と す る 民 主 主 義 観 で す 。 歴 史 を 回 顧 す れ ば わ か り ま す が 、 人 間 は 何 度 失 敗 を 繰 り 返 し た か 、 と 人 間 を 一 種 の ﹁ 性 悪 説 ﹂ 的 な 見 方 を し て お り 、 そ れ ゆ え 民 主 主 義 を 実 行 す る に は 国 民 の 政 治 参 加 を 選 挙 に だ け 限 定 し た ほ う が よ い と 理 解 し て い ま す 。 だ か ら 、
形 式 的 に で も 複 数 の 候 補 者 や 政 党 が 国 民 か ら 選 挙 で 選 ば れ る た め に 国 民 に 支 持 を 求 め て 競 争 す れ ば 、 民 主 主 義 が 維 持 で き る と 見 な し ま す 。 し た が っ て 、 こ の 理 論 は 民 主 政 治 の 機 能 を 現 実 主 義 的 な 側 面 か ら 説 明 し て い ま す 。 も っ と も 、 こ の 理 論 の 問 題 点 は 国 民 の 政 治 参 加 を ﹁ 危 険 視 ﹂ し 、 国 民 を 選 挙 以 外 は ﹁ 黙 従 の 対 象 ﹂ と し か 考 え て い ま せ ん 。 一 九 六 〇 年 代 半 ば か ら 、 ﹁ 参 加 の 噴 出 ﹂ を 背 景 に 、 エ リ ー ト 民 主 主 義 理 論 を 批 判 す る 民 主 主 義 理 論 が 現 れ ま し た 。 こ の 時 期 か ら 普 通 の 市 民 と し て の 権 利 や 参 加 を 主 張 す る 市 民 ・ 住 民 運 動 が 登 場 し て き ま し た 。 そ の 市 民 参 加 を 理 論 化 し た の が 参 加 民 主 主 義 理 論 で す 。 一 九 六 〇 年 代 後 半 か ら 戦 後 社 会 の 問 題 点 ︵ 例: 公 害 、 環 境 権 、 人 権 ・ 差 別 、 マ イ ノ リ テ ィ な ど ︶ が 指 摘 さ れ だ し 、 そ れ ら の 解 決 や 決 定 に 市 民 が 積 極 的 に 参 加 す る こ と が 主 張 さ れ 始 め ま し た 。 こ う い っ た 社 会 事 情 を 背 景 に 、 人 間 を 政 治 的 能 動 者 と し て 見 直 す 民 主 主 義 理 論 を 再 構 築 す べ き こ と が 求 め ら れ る よ う に な り ま し た 。 人 間 は ﹁ 性 善 説 ﹂ 的 な 存 在 と 見 な し 、 公 益 を 実 現 で き る 、 と 考 え ま す 。 と い う こ と は 、 人 間 は 、 社 会 の 様 々 な 場 面 に 直 接 に 参 加 し 決 定 に 関 わ る こ と が で き る 判 断 能 力 を 身 に 付 け ら れ ま す 。 こ れ は 直接民主主義のルート その他 公職解職 住民発案 国民・住民投票 国政・地方選挙 間接民主主義のルート 請願・デモ 地方自治体の 長や議員の解 職請求 条例の制定・ 改廃請求 国民・住民投票・国 民審査 国会議員・地方自治体 の長・地方議会議員 加藤秀治郎ほか、2002年、61頁(字句を一部修正) 図表1 政治参加のルート
﹁ 代 表 民 主 主 義 の 空 洞 化 に 対 す る 人 間 の 復 権 ﹂ を 意 味 し ま す 。 参 加 民 主 主 義 に よ れ ば 、 エ リ ー ト 民 主 主 義 は 政 治 に お け る 価 値 の 持 つ 重 要 性 を 認 め ず 、 そ の た め 常 に 現 状 維 持 的 で す 。 だ か ら 、 参 加 民 主 主 義 は も っ と 人 間 の 能 力 を 政 治 に 導 入 し よ う と し ま す 。 そ の た め 公 的 な 事 柄 に 個 々 の 素 人 ︵ 非 エ リ ー ト ︶ の 政 治 参 加 を 選 挙 だ け で な く 、 あ ら ゆ る 社 会 の 場 面 で 要 請 す る の で す 。 個 人 と 社 会 は 別 々 に 考 え る の で な く 、 市 民 参 加 が 社 会 の あ ら ゆ る 領 域 を 民 主 化 す る し 、 そ の 参 加 を 通 じ て 個 人 は 政 治 的 能 力 も 高 ま る は ず で す 。 も ち ろ ん 、 参 加 民 主 主 義 は 直 接 民 主 主 義 的 な 要 素 を 採 用 し ま す が 、 代 表 民 主 主 義 を 否 定 す る も の で は あ り ま せ ん 。 た だ 、 住 民 投 票 数 が 増 加 し た と い う 時 代 背 景 を 考 え ま す と 、 そ の よ う な 能 力 を 持 っ た 市 民 が 多 数 存 在 す る こ と を 意 味 し て い ま す 。
二
住
民
投
票
の
現
況
住 民 投 票 ︵inhabitant's p oll, local referendum, popular initiative ︶ は 、 ﹁ 地 方 公 共 団 体 の 住 民 が 特 定 の 事 項 に つ い て 、 投 票 に よ っ て 直 接 に 意 思 を 表 示 す る こ と ﹂ で す 。 こ れ は 国 民 が 直 接 に あ る 争 点 に 賛 否 を 下 す 民 主 主 義 制 度 の 一 形 態 で す 。 現 行 制 度 で は 、 次 の 点 で 直 接 民 主 主 義 の 手 続 き が 補 足 さ れ て い ま す 。 直 接 民 主 制 に は 、 国 民 ︵ 住 民 ︶ 投 票 ︵referendum ︶ 、 国 民 ︵ 住 民 ︶ 発 案 ︵initiative ︶ 、 公 職 解 任 ︵recall ︶ が あ り ま す 。 国 民 ︵ 住 民 ︶ 投 票 は 、 国 家 あ る い は 自 治 体 の 重 要 問 題 を 議 会 で な く 国 民 ︵ 住 民 ︶ の 直 接 投 票 で 決 定 す る こ と で す 。 国 民 ︵ 住 民 ︶ 発 案 は 、 国 民 ︵ 住 民 ︶ が 法 制 定 ・ 改 廃 の 提 案 を 行 う こ と で す 。 公 職 解 任 は 、 国 民 ︵ 住 民 ︶ が 公 職 に あ る 者 を 罷 免 す る 制 度 で す 。 日 本 の 場 合 、 国 民 と し て 直 接 、 特 定 の 争 点 だ け に 判 断 を 下 す た め に 決 定 に 直 接 参 加 す る こ と は 稀 で す 。 例 え ば 憲法 九 六 条 に 基 づ く 憲 法 改 正 の 場 合 で す 。 そ れ に 地 方 自 治 体 レ ベ ル で 直 接 、 住 民 が 政 治 的 決 定 に 参 加 で き る 法 規 程 は あ り ま す 。 住 民 投 票 に 関 わ る 要 件 は 次 の 三 点 で す 。 ① 一 地 方 公 共 団 体 の み に 適 用 さ れ る 特 別 法 に 対 し て 関 係 す る 地 方 公 共 団 体 の 賛 否 ︵ 憲 法 九 五 条 ︶ 。 こ ︵ 1 ︶ れ に は 法 的 拘 束 力 が あ り ま す 。 ② 地 方 議 会 の 解 散 請 求 お よ び 議 員 、 地 方 公 共 団 体 の 首 長 の 解 職 請 求 が あ っ た と き の 解 職 請 求 の 賛 否 投 票 ︵ 地 方 自 治 法 七 六 条 、 八 〇 条 三 項 、 八 一 条 二 項 ︶ 。 こ れ に は 法 的 拘 束 力 が あ り ま す 。 ③ 住 民 の 条 例 制 定 の 直 接 請 求 ︵ 地 方 自 治 法 七 四 条 ︶ か 首 長 ︵ 議 員 ︶ の 条 例 提 案 で 議 会 が 住 民 投 票 条 例 を 可 決 し た 場 合 。 個 別 に 住 民 に よ る 直 接 請 求 で 住 民 投 票 条 例 の 制 定 を 求 め た う え 住 民 投 票 が 実 施 さ れ ま す 。 こ れ に は 法 的 拘 束 力 は あ り ま せ ん 。 近 年 、 住 民 投 票 条 例 が 注 目 さ れ て い ま す 。 そ れ は ﹁ 地 方 公 共 団 体 に お け る 重 要 政 策 に 住 民 の 意 思 取 り 扱 い 受理機関 必要署名数 種 類 首長が議会にかけ、その結 果を公表する 地方公共団体の 長 その地域の有権 者の50分の1以 上 条例の制定・改 廃の請求(74) 監査結果を公表し、議会・ 首長にも報告 監査委員 同50分の1以上 監査の請求(75) 住民投票にかけ、過半数の 同意があれば解散 選挙管理委員会 同3分の1以上 議会の解散請求 (76) 住民投票にかけ、過半数の 同意で職を失う 選挙管理委員会 所属選挙区の有 権者の3分の1 以上 議員の解職請求 (80) 同上 選挙管理委員会 その地域の有権 者の3分の1以 上 首長の解職請求 (81) 議会にかけ、3分の2以上 の議員の出席でその4分の 3以上の同意があれば職を 失う 地方公共団体の 長 同3分の1以上 主要公務員の解 職請求(副知事・ 副 市 町 村 長 な ど)(86) (注)( )内は地方自治法の条数 図表2 直接請求制度
図表3 住民投票運動(直接請求による住民投票条例の制定請求)件数の推移
図表4 住民投票運動の内容別件数
中谷美穂、2006年、88頁
を 反 映 さ れ る た め 、 住 民 に よ る 投 票 を 制 度 化 し た 条 例 ﹂ と 規 定 さ れ て い ま す 。 一 九 九 六 年 に は 原 子 力 発 電 所 を め ぐ る 新 潟 県 巻 町 の 住 民 投 票 、 米 軍 基 地 を め ぐ る 沖 縄 県 の 県 民 投 票 、 一 九 九 七 年 に は 産 業 廃 棄 物 処 理 場 建 設 を め ぐ る 岐 阜 県 御 嵩 町 の 住 民 投 票 、 二 〇 〇 〇 年 に は 吉 野 川 可 動 堰 建 設 を め ぐ る 徳 島 市 民 の 住 民 投 票 な ど が あ り ま す 。 住 民 投 票 の 実 施 は 一 九 九 五 年 ご ろ か ら 急 増 し て き ま し た 。 全 国 の 地 方 議 会 で 議 決 に 付 さ れ た 住 民 投 票 は 、 一 九 七 九 年 以 来 、 計 一 〇 九 件 も あ り ま す ︵ 二 〇 〇 〇 年 四 月 時 点 ︶ 。 も っ と も 、 地 方 議 会 で 可 決 、 成 立 し た の は 一 七 自 治 体 で 計 一 八 条 例 だ け で し た 。 自 分 た ち の 地 域 の 将 来 は 自 ら 決 定 し た い と の 願 い が 直 接 投 票 を 実 施 さ せ て い ま す 。 あ る 人 々 に と っ て は 民 主 主 義 に は 、 代 表 制 ︵ 間 接 ︶ よ り も 参 加 ︵ 直 接 ︶ の ほ う が よ り 民 主 的 だ と 、 内容 対象事案 自治体 可決 首長提案 原発 窪川町(高知県) 1982年7月 直接請求 中海淡水化 米子市(鳥取県) 1988年7月 議員提案 原発 南島町(三重県) 1995年3月 首長提案 原発 串間町(宮崎県) 1995年9月 直接請求 原発 巻町(新潟県) 1995年10月 議員提案 原発 紀勢町(三重県) 1995年12月 議員提案 産廃施設 日高町(高知県) 1996年3月 直接請求 米軍基地の整理縮小 沖縄県 1996年6月 直接請求 産廃施設 御嵩町(岐阜県) 1997年1月 直接請求 産廃施設 小林市(宮崎県) 1997年4月 直接請求 米軍基地の移転 名護市(沖縄県) 1997年10月 直接請求 産廃施設 吉永市(岡山県) 1998年1月 首長提案 産廃施設 白石市(宮崎県) 1998年4月 首長施設 産廃施設 海上市(千葉県) 1998年4月 首長提案 採石場の新設・拡張 小長井町(長崎県) 1998年12月 議員提案 吉野川可動堰 徳島市(徳島県) 1999年6月 朝日新聞、2000年4月18日 図表5 制定された住民投票条例(2000年4月時点)
住 民 投 票 を 重 視 す る 考 え が あ り ま す 。 も ち ろ ん 、 そ れ に 対 す る 批 判 も あ り ま す 。 で は 、 住 民 投 票 に 賛 成 す る 論 拠 、 そ れ を 否 定 す る そ れ を 説 明 し て お き ま す 。
三
住
民
投
票
賛
成
派
の
論
理
一 九 七 〇 年 代 か ら 、 西 ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 、 米 国 な ど で 、 ﹁ 新 し い 社 会 運 動 ︵NSM ︶ ﹂ と 呼 ば れ る 市 民 ・ 住 民 運 動 が 登 場 し 活 発 な 動 き を し て い ま す 。 従 来 の 労 働 運 動 や イ デ オ ロ ギ ー 運 動 に 代 わ っ て 、 住 民 が 自 ら の 生 活 環 境 に 関 わ る 事 柄 で 自 己 決 定 す る こ と を 重 視 す る 動 き で す 。 官 僚 、 政 治 家 、 政 党 、 圧 力 団 体 に だ け に 政 策 決 定 を 任 せ る の で な く 、 自 分 た ち の 運 命 は 自 ら 決 め る こ と が で き る と い う 、 一 種 の 自 己 主 張 の 現 わ れ と も 考 え ら れ ま す 。 高 度 経 済 成 長 時 代 に 成 長 し た 戦 後 世 代 は 豊 か さ を 享 受 す る 一 方 で 、 戦 後 の 民 主 主 義 で は 自 分 た ち の 手 で 社 会 や 生 活 を コ ン ト ロ ー ル で き な い こ と に 不 満 を 感 じ 始 め て い ま し た 。 と こ ろ が 、 具 体 的 な 公 共 政 策 に つ い て 、 自 ら の 意 思 を 反 映 さ せ る 制 度 が な い こ と に も 気 づ き ま し た 。 住 民 投 票 は 問 題 解 決 を 直 接 自 ら が 下 し た い 人 々 の 願 望 と も 言 え ま す 。 最 近 、 住 民 は 、 地 方 議 会 や 司 法 の ﹁ 壁 ﹂ に 阻 ま れ て 、 具 体 的 に 自 ら の 問 題 に ど の よ う な 形 で 運 動 を 行 う べ き か 不 明 に な っ て き ま し た 。 自 治 体 の 行 政 や 議 会 に 陳 情 し て も 効 果 が な く 、 司 法 に 訴 え て も 時 間 が か か り す ぎ る し 、 判 決 に 期 待 で き な い と い う 雰 囲 気 も あ り ま し た 。 し か し 、 情 報 公 開 制 度 を 駆 逐 し 、 住 民 投 票 を 実 施 す れ ば 、 少 数 意 見 も 多 数 派 に な り う る 可 能 性 が あ り ま す 。 考 慮 す べ き は 、 公 権 力 を 実 行 す る 政 治 家 や 官 僚 に 対 し て 、 住 民 投 票 が 再 考 を 促 す 点 な の で す 。 今 後 、 住 民 投 票 の 結 果 を ど の よ う に 公 権 力 側 が 活 か す か が 課 題 と な り ま す 。 こ れ は 民 主 主 義 の 質 に 関 わ る 事 柄 で す 。 住 民 投 票 が 問 いか け る の は 、 地 域 の 具 体 的 な 事 業 へ の 住 民 の 判 断 で あ っ て 、 基 本 的 に は 国 政 を 左 右 す る も の で は あ り ま せ ん 。 住 民 は 生 活 環 境 を 判 断 基 準 と し ま す 。 も ち ろ ん 、 そ の こ と に よ っ て 、 最 終 的 に 国 の 政 策 の 見 直 し を 迫 る 結 果 に な る 可 能 性 も あ り ま す 。 確 か に 、 地 域 エ ゴ で 反 対 が 続 け ば 、 行 政 が 麻 痺 す る の で は な い か 、 と も 言 わ れ ま す 。 し か し 、 同 じ よ う な 問 題 で 様 々 な 地 域 が 反 対 す る な ら 、 政 府 や 自 治 体 の 政 策 に 欠 陥 が あ り 、 住 民 の 支 持 を 得 て い な い こ と を 意 味 し て い る か も し れ ま せ ん 。 と い う こ と は 、 住 民 は 政 府 や 自 治 体 に 政 策 転 換 を 求 め る こ と に な り ま す 。 例 え ば 、 か つ て の 神 奈 川 県 逗 子 市 の 在 日 米 軍 住 宅 建 設 に 関 係 し て 、 地 域 の 公 益 と 日 米 安 保 条 約 と い う 国 益 が 衝 突 す る 出 来 事 が あ り ま し た 。 こ の 事 例 で は 、 地 域 住 民 は 、 自 分 た ち の 生 活 環 境 の 改 善 を 通 じ て 、 国 政 の あ り 方 に 疑 問 を 投 げ か け ま し ︵ 2 ︶ た 。 憲 法 九 五 条 に よ れ ば 、 政 府 が 特 定 の 自 治 体 を 対 象 に 法 律 を 設 け る 場 合 、 住 民 投 票 を 実 施 し な け れ ば な ら い こ と に ︵ 3 ︶ な っ て い ま す 。 そ の 自 治 体 住 民 に 拒 否 さ れ れ ば 、 特 別 法 と し て は 制 定 で き ま せ ん 。 憲 法 は 、 地 域 住 民 へ の 配 慮 を 欠 い て 国 益 を 実 施 し て は な ら な い 、 と 規 定 し て い ま す 。 近 年 の 住 民 投 票 数 の 増 加 は 、 代 表 民 主 主 義 を 否 定 す る こ と に は な り ま せ ん 。 現 在 、 住 民 投 票 を 推 進 す る 立 場 の 人 々 は 、 憲 法 や 地 方 自 治 体 で 認 め ら れ る 直 接 民 主 主 義 の 精 神 を 本 当 の 意 味 で 有 効 な も の に し た い 、 そ の た め に も 代 表 制 と 直 接 制 と の バ ラ ン ス を も っ と 考 え る べ き だ 、 と 主 張 し て い ま す 。 し か し 、 問 題 も あ る こ と も 事 実 で す 。 住 民 投 票 は そ の 時 々 の 扇 動 に 利 用 さ れ や す く 、 住 民 が 付 和 雷 同 で 行 動 す る 、 と の 指 摘 も あ り ま す 。 こ れ に つ い て は 、 賛 成 派 は そ の 指 摘 を 否 定 し な い が 、 ど の よ う な シ ス テ ム に も 欠 点 が あ る の で 、 そ れ を い か に 抑 制 す る か を 考 え る べ き で 、 欠 点 を 取 り 上 げ て 住 民 の 直 接 参 加 そ の も の を 否 定 す る の は お か し く 、 そ れ よ り も 積 極 的 に そ の 意 味 や 効 果 を も っ と 考 慮 す べ き で あ る 。 住 民 投 票 運 動 が 起 き る と 、 住 民 意 識 の 高 ま り が 生
ま れ る 。 さ ら に 、 住 民 投 票 に 一 部 の 意 見 で 決 定 で き な い よ う な 制 度 上 の 工 夫 を す べ き で あ る 、 と 提 言 し て い ま す 。 首 長 や 議 会 の 意 思 と 住 民 投 票 の 結 果 が 異 な れ ば 、 ど う す れ ば よ い の で し ょ う か 。 住 民 に 選 挙 で 選 ば れ た 首 長 や 議 会 の 意 見 が 常 に 正 し い と は 限 り ま せ ん 。 ま た 、 首 長 は 実 際 に 住 民 投 票 の 結 果 を 事 実 上 、 無 視 で き ま せ ん 。 そ こ で の 緊 張 関 係 が よ り 次 へ の 発 展 が あ る と 考 え る べ き で し ょ う 。 従 来 の 住 民 投 票 の 場 合 、 産 業 廃 棄 物 処 理 場 の 建 設 な ど 、 住 民 に と っ て 外 部 か ら 押 し 付 け に 抵 抗 す る 地 域 運 動 型 が 多 く あ り ま し た 。 近 年 で は 、 吉 野 川 可 動 堰 建 設 を め ぐ る 争 点 に 見 ら れ る よ う に 、 政 策 選 択 型 が 増 え つ つ あ り ま す 。 今 後 は 政 策 提 言 型 や 合 意 形 成 型 が 考 え ら れ ま す 。 こ れ ら は 住 民 の 生 活 環 境 を 決 定 す る 権 限 を 住 民 に 移 行 さ せ る こ と を 意 味 し ま す 。 官 僚 や 政 治 家 が 独 占 し て き た ﹁ 公 共 性 に 関 す る 決 定 権 ﹂ に 住 民 運 動 や 非 営 利 組 織 ︵NPO ︶ な ど が 連 帯 し ﹁ 共 闘 ﹂ し て く れ ば 、 地 域 社 会 は ﹁ 共 生 型 ﹂ あ る い は ﹁ 協 同 型 ﹂ の 社 会 に 変 貌 す る は ず で す 。
四
住
民
投
票
否
定
派
の
論
理
民 主 主 義 は 住 民 の 意 思 、 国 民 の 意 思 が 政 治 に 反 映 す る こ と が 一 番 の 要 件 で す が 、 国 民 の 意 思 が 常 に 正 し い と い う 保 証 は あ り ま せ ん 。 人 間 は 、 そ の 時 々 の 状 況 に よ っ て 左 右 さ れ る し 、 情 緒 的 な も の に 動 か さ れ る こ と が あ る か ら で す 。 国 民 や 住 民 の 意 思 を 反 映 さ せ る が 、 あ ま り そ れ を 直 接 的 に せ ず に そ の 前 に 議 論 し 、 反 対 意 思 と ど ち ら が 正 し い か を 、 あ る 程 度 多 く の 国 民 が 選 挙 に お い て 判 断 す る 状 況 を 設 け る こ と が 必 要 で す 。 そ の 制 度 は 代 表 民 主 主 義 で あ り 、 マ ス コ ミ は 政 治 的 リ ー ダ ー と 一 般 大 衆 の 間 を 媒 介 し て 討 論 の 材 料 を 提 供 し 、 そ こ で 形 成 さ れ る 世 論 を 間 違 い の 少 な い も の に し ま す 。 そ の 意 味 で は 代 表 民 主 主 義 は 直 接 民 主 主 義 よ り 優 れ て い る 、 と 考 え ら れ ま す 。先 進 民 主 主 義 国 で は 、 国 民 に 選 ば れ た 政 治 家 ︵ つ ま り エ リ ー ト ︶ に 最 終 的 に 決 定 し て も ら う ほ う が 安 全 で あ る 、 と す る 考 え 方 が 主 流 で す 。 代 表 制 は 意 思 決 定 が 遅 く 能 率 的 で も な い で す が 、 大 き な ミ ス を 犯 す こ と は あ り ま せ ん 。 住 民 投 票 は 単 純 で わ か り や す い が 、 判 断 を 誤 る 恐 れ が あ り ま す 。 住 民 投 票 の 問 題 の ひ と つ は 、 論 点 を あ ま り 単 純 化 し 、 扇 動 的 な も の に 流 さ れ や す い 点 に あ り ま す 。 市 民 は 、 公 共 精 神 を 持 っ て 国 や 国 民 全 体 に か か わ る 事 項 に だ け 参 加 す べ き 存 在 で あ り ま す 。 し か し 今 日 の 社 会 で は 、 市 民 は も っ ぱ ら ﹁ 私 ﹂ の 権 利 や 私 益 を 政 治 的 に 主 張 す る 傾 向 が あ り 、 市 民 と 、 政 治 家 や 官 僚 と の 間 に 対 立 が 生 じ て い ま す 。 高 度 な 公 益 性 に つ い て の 最 終 的 な 判 断 を 下 せ る の は 、 い わ ば 有 能 な エ リ ー ト で あ る 政 治 家 で す 。 そ の 意 味 で 、 民 主 主 義 は エ リ ー ト 主 義 と 結 合 し な け れ ば な り ま せ ん 。 確 か に 、 複 雑 な 社 会 を 政 治 家 だ け で 処 理 で き る わ け で は あ り ま せ ん が 、 政 治 家 は 様 々 な 専 門 家 の 議 論 を 集 約 し て 多 様 な 利 益 を 調 整 す る こ と に な り ま す 。 大 衆 は 調 整 す る こ と に は 関 心 を も ち ま せ ん 。 直 接 民 主 主 義 に は 、 大 衆 の 不 満 を 吸 収 し て ﹁ 投 機 的 な リ ー ダ ー シ ッ プ ﹂ が と ら れ る 可 能 性 も あ り ま す 。 そ れ で は 場 当 た り 的 な 政 策 が 決 ま り か ね ま せ ん 。 特 に 政 党 基 盤 の な い 政 治 家 は 直 接 、 大 衆 に 訴 え か け て 自 分 の 都 合 の 良 い 方 向 に 動 員 し よ う と し ま す 。 公 共 事 業 に 対 し て 、 環 境 を 擁 護 し よ う と い う 人 々 も 、 国 の 資 金 を 導 入 し て 利 益 を 得 よ う と す る 人 々 も 、 同 じ 住 民 で す 。 だ か ら 、 住 民 投 票 を す れ ば 、 ﹁ 住 民 の 意 思 ﹂ が 明 ら か に さ れ た と 考 え る の は 、 単 純 す ぎ る 見 方 だ と 論 じ ま す 。 大 衆 は 世 界 情 勢 や 外 交 政 策 な ど 大 き な 問 題 に つ い て 考 え る 時 間 的 余 裕 も 判 断 す る 能 力 も な く 、 情 緒 的 に 行 動 し が ち で す 。 こ れ に 対 し て 、 代 表 制 は 政 治 家 、 専 門 家 、 官 僚 が 協 力 し て 、 国 家 的 、 世 界 的 な 視 野 に 立 っ て 判 断 で き ま す 。 重 要 な こ と は 、 国 家 を ど う 考 え る か 、 で す 。 な ぜ な ら 、 国 家 が 基 本 的 に 国 民 の 生 命 、 財 産 を 守 っ て い る こ と を 忘 れ て は な ら な い こ と で す 。 地 方 分 権 で あ っ て も 、 国 益 に か か わ る 問 題 を 一 地 方 の 住 民 が 決 定 す る こ と は 、 国 家 と い
う シ ス テ ム を 維 持 で き な く し て し ま い ま す 。 社 会 秩 序 、 安 全 保 障 、 エ ネ ル ギ ー な ど の 国 民 全 体 の 将 来 に か か わ る 政 策 が 、 特 定 地 域 住 民 の 意 思 に よ っ て 大 き く 動 か さ れ て よ い か ど う か で す 。 こ う い っ た 問 題 を 最 終 的 に 決 定 す る の は 、 選 挙 で 選 ば れ た 政 治 家 で あ る ほ う が 望 ま し い 。 住 民 投 票 は 、 地 域 の 生 活 環 境 を 問 題 に し ま す が 、 実 は 国 家 的 な 利 益 が 含 ま れ て い る の を 放 置 し が ち で す 。 そ う い っ た 国 民 的 な 課 題 を 特 定 の 住 民 の 意 思 だ け に 委 ね て い い の か 、 と い う 疑 問 が 出 て き ま す 。 現 行 の 住 民 投 票 制 度 に は 法 的 拘 束 力 は あ り ま せ ん が 、 あ る 程 度 、 政 治 的 に は 影 響 を 及 ぼ す 結 果 と な り ま す 。 そ の よ う な 政 治 的 圧 力 は 望 ま し い こ と で は な い 、 と 述 べ ま す 。 政 治 家 、 知 識 人 、 政 党 な ど の エ リ ー ト を 担 う 人 々 や 集 団 ・ 組 織 の ほ う が 、 そ れ な り の 情 報 に 接 し て 、 大 所 高 所 の 視 点 で 物 事 を 考 え て い ま す 。 専 門 的 、 職 業 的 に 考 え て い る 人 々 の ほ う が 時 間 を か け て よ り 良 い 判 断 を 下 せ ま す 。 反 対 に 、 住 民 は 問 題 を 専 門 的 に 費 や す 時 間 や 資 源 を 持 っ て い る わ け で は あ り ま せ ん 。 で は 次 に 、 吉 野 川 可 動 堰 建 設 を め ぐ る 具 体 例 か ら 、 住 民 投 票 に つ い て そ れ ぞ れ の 立 場 を 考 え て お き ま し ょ う 。
五
吉
野
川
第
一
〇
可
動
堰
の
建
設
中
止
を
め
ぐ
る
住
民
投
票
二 〇 〇 〇 年 一 月 、 徳 島 県 の 吉 野 川 に あ る 固 定 式 の 堰 を 改 築 す る 計 画 に 関 す る 住 民 投 票 の 結 果 、 反 対 が 多 数 を 占 め ま し た 。 政 府 の 公 共 事 業 の 賛 否 を 問 う 住 民 投 票 が 初 め て 行 わ れ ま し た 。 建 設 省 ︵ 当 時 ︶ は 、 可 動 堰 建 設 が 吉 野 川 全 流 域 に と っ て 重 要 な 防 水 害 対 策 事 業 で あ り 、 住 民 投 票 に よ っ て 計 画 を 中 止 さ れ る こ と は な い 、 と 述 べ ま し た 。 堰 改 築 に よ っ て 恩 恵 を 受 け る の は 、 吉 野 川 流 域 の 八 町 で あ り 、 洪 水 防 止 は 長 年 の 流 域 自 治 体 に は 悲 願 で あ り 、 そ の た め 堰 の 改 築 工 事 は 不 可 欠 だ と 論 じ ら れ ま し た 。 そ の 流 域 地 域 の い く つ か の 自 治 体 の 中 の 徳 島 市 住 民 だ け で 計 画 を 中 止で き な い 、 と 建 設 省 は 主 張 し て い ま し た 。 公 共 事 業 に よ っ て 利 益 を 受 け る 住 民 が 計 画 に 反 対 す る こ と は 異 例 の こ と で あ り 、 そ の こ と は 政 府 の 公 共 事 業 へ の 考 え 方 が 国 民 意 識 の 中 で 変 化 し て き た か も し れ ま せ ん 。 建 設 省 と 反 対 派 住 民 と の 話 し 合 い の 場 は あ っ た の で す が 、 な ぜ 徳 島 市 民 は 旧 来 の 第 一 〇 堰 を 残 す の か 、 そ れ と も 新 た な 可 動 堰 を 建 設 す る の か 、 と い う 住 民 投 票 を 選 択 し た の で し ょ う か 。 住 民 投 票 を 推 進 し て き た ﹁ 第 一 〇 可 動 堰 住 民 投 票 の 会 ﹂ は 、 改 築 す る 膨 大 な 費 用 が か か る 可 動 堰 を 使 用 せ ず に 、 今 あ る 第 一 〇 堰 を 修 理 し な が ら 使 用 す る 方 法 が な い の か と い う 素 朴 な 疑 問 か ら 、 こ の 運 動 は 始 ま っ た の で す 。 建 設 反 対 派 は 環 境 問 題 と 公 共 投 資 を 問 題 に し ま し た 。 可 動 堰 建 設 は 吉 野 川 流 域 の 環 境 、 特 に 下 流 域 の 干 拓 に 打 撃 を 与 え る こ と が 懸 念 さ れ て い ま し た 。 ま た 、 一 〇 〇 〇 億 円 を 超 え る 工 費 は 県 も 市 も 財 政 難 の 折 、 そ の よ う な 公 共 事 業 の 着 工 へ の 批 判 も あ り ま し た 。 と こ ろ が 、 反 対 派 が 建 設 省 に 問 い た だ し て も 、 な か な か 納 得 ゆ く 説 明 を 得 ら れ ま せ ん で し た 。 建 設 省 は 、 ダ ム 建 設 な ど の 河 川 事 業 の 検 討 の た め に ダ ム 審 議 会 を 設 置 し 、 こ の 吉 野 川 の 可 動 堰 建 設 も 再 検 討 さ れ る こ と に な り ま し た 。 ダ ム 審 議 委 員 会 で は 住 民 の 意 見 は 反 映 さ れ ず 、 ダ ム 審 議 委 員 会 は 計 画 を 妥 当 と す る 判 断 を 下 し ま し た 。 こ れ は 建 設 省 の 立 場 を 正 当 化 す る 措 置 と な り か ね ま せ ん 。 い わ ゆ る 専 門 家 の ﹁ お 墨 付 き ﹂ で 権 威 づ け ら れ ま す 。 そ こ で 、 反 対 派 住 民 は 住 民 投 票 に 訴 え る こ と に な り ま し た 。 住 民 投 票 に は 有 権 者 の 五 〇 分 の 一 の 署 名 を 集 め て 、 請 求 す る 必 要 が あ り ま す 。 こ の と き に は 有 権 者 の 半 分 に 当 た る 一 〇 万 人 を 集 め る こ と が で き ま し た 。 と こ ろ が 、 一 九 九 九 年 に 市 議 会 は こ の 請 求 を 棄 却 し 、 こ の 署 名 は 宙 に 浮 い た 状 態 に な り ま し た 。 市 議 会 議 員 は 代 表 民 主 主 義 に あ る 住 民 投 票 否 定 派 の 論 理 を 主 張 し た の で す 。 住 民 に は ﹁ 民 主 主 義 と は 何 か ﹂ を こ の 問 題 で 考 え る 機 会 に も な り ま し た 。 住 民 投 票 を 実 施 す る に は 、 現 行 制 度 だ と 、 ま ず 市 議 会 議
員 が 自 分 た ち を 支 持 し て く れ な け れ ば な り ま せ ん 。 同 年 四 月 の 市 議 会 選 挙 に 際 し て 、 住 民 投 票 に 賛 成 す る 候 補 者 を 選 出 し 、 六 月 に 市 議 会 で 住 民 投 票 条 例 を 成 立 さ せ 、 二 〇 〇 〇 年 一 月 に 住 民 投 票 を 実 施 さ せ る こ と が で き ま し た 。 反 対 派 住 民 は 、 ま さ に 草 の 根 民 主 主 義 を 実 行 し た 、 と 言 え る で し ょ う 。 も っ と も 、 二 者 択 一 の 選 択 肢 は な い の か 、 と い う 議 論 は ま っ た く な い ま ま で し た 。 こ の 間 、 建 設 省 の 態 度 も 変 化 し ま し た 。 公 共 事 業 に 住 民 の 意 見 を 採 用 さ れ る よ う に な り 、 一 九 九 七 年 に 改 正 さ れ た 河 川 法 で は 、 河 川 整 備 計 画 の 初 期 段 階 か ら 住 民 の 意 見 を 聴 取 す る 規 程 が 盛 り 込 ま れ ま し た 。 と こ ろ が 、 具 体 策 に つ い て は 規 程 さ れ て お ら ず 、 ま た す で に 計 画 さ れ て い る 吉 野 川 の 可 動 堰 に つ い て は 最 初 か ら や り 直 す わ け で は あ り ま せ ん 。 建 設 省 は 住 民 参 加 の 集 会 を 呼 び か け ま し た が 、 反 対 派 住 民 は 建 設 省 が 可 動 堰 の 計 画 を 白 紙 撤 回 す る こ と は あ り え な い と 集 会 へ の 参 加 を 拒 否 し ま し た 。 二 〇 〇 〇 年 一 月 二 三 日 、 住 民 投 票 が 実 施 さ れ ま し た 。 投 票 率 は 約 五 五 % で し た 。 開 票 の 結 果 、 可 動 堰 化 の 反 対 票 は 九 〇 ・ 一 四 % に 達 し ま し た 。 賛 成 派 は 八 ・ 二 二 % で し た 。 賛 成 派 が 多 数 棄 権 す る こ と が 予 想 さ れ て い ま し た 。 こ の 結 果 を 受 け 、 小 池 徳 島 市 長 は 可 動 堰 化 に 反 対 の 姿 勢 に 転 じ 、 二 〇 〇 〇 年 八 月 、 政 権 与 党 で あ る 自 民 党 ・ 公 明 党 ・ 保 守 党 は 政 府 に 可 動 堰 化 の 白 紙 撤 回 を 提 言 し ま し た 。 二 〇 〇 二 年 四 月 に 可 動 堰 化 の 完 全 中 止 を 公 約 に 掲 げ た 大 田 候 補 が 徳 島 県 知 事 に 就 任 し 、 以 降 、 県 知 事 選 挙 、 徳 島 市 長 選 と も に 可 動 堰 化 を 1984年 建設省、予備調査開始 1998年 7月ダム審議委員会、計画妥当と判断 9月「第10可動堰住民投票の会」発足 1999年 1月住民投票条例制定を請求 2月徳島市議会、請求を棄却 4月市議選で条例賛成派議員多数 6月市議会が住民投票条例を可決 2000年 1月住民投票実施、徳島市長が徳島市として反対表明 図表6 吉野川可動堰建設中止の住民投票までの経緯
推 進 す る 候 補 は 当 選 し て い ま せ ん 。 た だ 、 第 一 〇 堰 の 地 元 で あ る 板 野 郡 板 野 町 、 藍 住 町 、 上 板 町 と い っ た 吉 野 川 北 岸 ・ 旧 吉 野 川 沿 岸 地 域 で は 、 徳 島 市 に よ る 住 民 投 票 結 果 で 可 動 堰 計 画 が 頓 挫 し た こ と へ の 反 発 が あ り ま し た 。 こ れ ら の 地 域 の 住 民 は 住 民 投 票 に 参 加 で き な く 、 結 果 だ け を 甘 受 し な く て は な り ま せ ん 。 こ れ は 民 主 主 義 の 大 原 則 で あ る 意 見 の 表 明 機 会 の 保 証 が あ り ま せ ん 。 こ の 事 例 は 様 々 な 点 を 考 慮 す べ き こ と を ﹁ 教 訓 ﹂ と し て 残 し ま し た 。 こ こ で 考 え る べ き ひ と つ 手 続 き 上 の 難 点 が 浮 き 彫 り に な り ま し た 。 住 民 投 票 制 度 に 至 る 過 程 は 煩 雑 す ぎ る し 、 結 構 、 骨 が 折 れ る 割 に 、 議 会 で 拒 否 さ れ れ ば 、 住 民 の 意 思 が 反 映 で き そ う に な り ま せ ん 。 そ こ で 、 住 民 投 票 を 常 設 化 す る 動 き が 出 て き て い ま す 。 次 に そ の 法 制 化 に つ い て 説 明 し ま し ょ う 。
六
法
制
化
を
求
め
る
動
き
住 民 投 票 に 対 す る 議 会 の ﹁ 壁 ﹂ は 厚 す ぎ る 、 と 市 民 団 体 は 不 満 を 述 べ ま す 。 原 子 力 発 電 所 や 大 型 公 共 事 業 な ど 国 家 の 政 策 ま で 住 民 投 票 の 対 象 に な る こ と に は 、 政 府 は 警 戒 感 を 強 め て い ま す 。 直 接 民 主 制 と 代 表 民 主 制 と の 溝 を 埋 め る 住 民 参 加 の ル ー ル づ く り が 求 め ら れ ま す 。 近 年 、 住 民 投 票 の 直 接 請 求 ︵ 地 方 自 治 法 七 四 条 ︶ は 三 四 の 地 方 議 会 で 否 決 さ れ 続 け て い ま す 。 ﹁ 自 治 体 に 住 民 投 票 条 例 を 求 め る だ け で は 限 界 が あ る ﹂ 、 と 国 の 法 律 制 定 に 向 け て の 動 き が あ り ま す 。 例 え ば 、 市 民 団 体 で ﹁ 住 民 投 票 立 法 フ ォ ー ラ ム ﹂ の 見 解 を 紹 介 し て お き ま し ょ う 。 二 〇 〇 〇 年 三 月 、 住 民 投 票 フ ォ ー ラ ム は 住 民 投 票 特 別 措 置 法 案 を 取 り ま と め ま し た 。 そ の 要 点 は 、 ① 投 票 の 対 象 を 制 限 し な い 、 ② 一 定 数 以 上 の 署 名 が あ れ ば 、 約 九 〇 日 後 に 実 施 す る 、 ③ 過 半 数 で 全 投 票 資 格 の 三 分 の 一 以 上 で あれ ば 自 治 体 の 方 針 を 拘 束 で き る 、 ④ 条 例 請 求 が 議 会 で 否 決 、 修 正 さ れ た 場 合 、 改 め て 投 票 が 実 施 で き る 、 で あ り ま す 。 こ れ は 議 会 の 可 決 を 必 要 と し 、 法 的 拘 束 力 の な い ﹁ 諮 問 型 ﹂ の 現 行 条 例 方 式 と は 異 な り ま す 。 特 に 重 視 す べ き は 、 ﹁ 事 案 ご と に 議 会 の 可 決 を 必 要 と し な い ﹂ 点 で す 。 だ か ら 、 現 行 条 例 請 求 に 必 要 な 有 権 者 署 名 ﹁ 二 % 以 上 ﹂ を 自 治 体 規 模 に よ っ て 五 % か ら 一 〇 % 以 上 と 住 民 側 の ハ ー ド ル を 高 く し て い ま す 。 法 的 拘 束 力 に 関 し て 、 ﹁ 拘 束 力 が な い ま ま 対 象 事 案 が 制 限 さ れ 、 国 家 事 案 の 住 民 投 票 が 一 方 的 に 禁 止 さ れ る こ と は な い ﹂ と も 考 え ら れ ま す 。 政 党 、 特 に 野 党 で も 法 制 化 を 検 討 す る 動 き が 出 始 め て い ま す 。 二 〇 〇 〇 年 二 月 に 民 主 党 は ﹁ 住 民 投 票 の 法 制 化 に 積 極 的 に 取 り 組 む ﹂ と 述 べ ま し た 。 共 産 党 、 社 会 民 主 党 も そ れ ぞ れ 議 員 立 法 に 取 り 組 む 姿 勢 を 示 し ま し た 。 政 府 の 地 方 制 度 調 査 会 や 地 方 分 権 委 員 会 の 議 論 で は 、 法 制 度 導 入 は ま だ 検 討 課 題 に 止 ま っ て い ま す 。 一 九 九 九 年 二 月 、 政 府 は 地 方 制 度 調 査 会 に ﹁ 自 己 決 定 ・ 自 己 責 任 の 原 則 を 踏 ま え た 地 方 分 権 時 代 の 住 民 自 治 制 度 の あ り 方 ﹂ を 諮 問 し ま し た 。 当 時 の 自 治 省 は 、 ﹁ も は や 避 け て 通 れ な い 問 題 で 申 し 送 り 型 の 答 申 で は 済 ま さ れ な い ﹂ 認 識 を 感 じ て い ま す 。 日 本 で は 、 住 民 投 票 を 求 め る 動 き は 今 後 も 続 く で し ょ う 。 地 方 議 会 も 住 民 参 加 を 進 め る 有 力 な 手 段 と し て の 制 度 づ く り を 模 索 す べ き で し ょ う 。 も ち ろ ん 、 国 政 レ ベ ル で の 法 制 化 の 議 論 は 必 要 で す 。 地 方 自 治 体 レ ベ ル で も 、 住 民 投 票 を 常 態 化 す る 制 度 化 へ の 動 き が あ り ま す 。 特 定 の 事 業 ご と に 細 か い 条 例 を 制 定 す る 必 要 の 煩 雑 さ を 解 消 す る た め に で す 。 こ れ は ﹁ 常 設 型 ﹂ 住 民 投 票 条 例 方 式 で す 。 一 九 九 七 年 三 月 大 阪 府 箕 面 市 、 二 〇 〇 〇 年 三 月 長 崎 県 小 長 井 町 は そ れ ぞ れ 首 長 が ﹁ 市 ︵ 町 ︶ 民 参 加 条 例 ﹂ を 提 案 し 、 可 決 さ れ ま し た 。 い ず れ も 住 民 参 加 行 政 の ひ と つ の 柱 と し て 住 民 投 票 制 度 を 位 置 づ け 、 ﹁ 首 長 が 必 要 と 認 め る と き は 住 民 投 票 を 実 施 す る こ と が で き る ﹂ と 明 記 し て い ま す 。
投 票 事 案 や 実 施 期 日 な ど は 別 に 条 例 化 す る 必 要 が あ り ま す が 、 首 長 主 導 の 住 民 投 票 が 実 現 し や す く な る の は 間 違 い あ り ま せ ん 。 し か し 、 住 民 請 求 型 の 住 民 投 票 に つ い て は 触 れ て い ま せ ん 。 こ れ で は 首 長 主 導 で 行 わ れ る ケ ー ス ば か り で 、 本 来 の 住 民 か ら 問 題 提 起 が で き な く て よ い の か と い う 疑 問 が 残 り ま す 。 住 民 請 求 型 で は 、 一 九 八 四 年 に 神 奈 川 県 逗 子 の 池 子 米 軍 住 宅 問 題 で 住 民 の 一 〇 % 以 上 の 署 名 が 集 ま れ ば 、 住 民 投 票 が 可 能 に な る ﹁ 住 民 投 票 一 般 条 例 案 ﹂ が 提 出 さ れ た こ と が あ り ま す 。 し か し 、 こ の 常 設 型 条 例 案 が 議 会 で 否 決 さ れ ま し た 。 一 九 九 五 年 に は 東 京 都 武 蔵 野 市 で も 、 同 様 の 住 民 請 求 が あ り ま し た が 、 こ れ も 否 決 さ れ ま し た 。 両 事 例 と も 住 民 の 発 意 を 重 視 す る 内 容 で し た 。 最 近 、 こ の よ う な 考 え は 市 民 団 体 が 提 案 し た 住 民 投 票 法 案 に 引 き つ が れ て い ま す 。 よ り 民 主 主 義 的 な 住 民 参 加 を 実 現 し た け れ ば 、 住 民 に よ る 直 接 請 求 が 必 要 と さ れ る で し ょ う 。 も っ と も 、 住 民 の 主 張 が 常 に 正 論 で あ る と は 限 り ま せ ん 。 次 に 米 国 の カ ル フ ォ ル ニ ア 州 の 事 例 か ら 、 よ り 民 主 的 な は ず の 住 民 投 票 が 民 主 的 な 帰 結 を も た ら な い 結 果 を 見 て お き ま し ょ う 。
七
カ
ル
フ
ォ
ル
ニ
ア
州
の
場
合
米 国 で ﹁ 草 の 根 か ら の 申 し 立 て ﹂ の 住 民 提 案 ︵ 投 票 ︶ 制 度 は 、 州 レ ベ ル で は 五 〇 ︵ 4 ︶ 州 中 二 四 州 に あ り ま す 。 カ ル フ ォ ル ニ ア 州 で は 一 九 一 一 年 に 法 制 化 さ れ ま し た 。 結 果 内 容 自 治 体 提 案 日 否決 直接請求 逗子市(神奈川県) 1994年4月 否決 直接請求 武蔵野市(東京都) 1995年6月 可決 市長提案 箕面市(大阪府) 1997年3月 否決 市長提案 今西市(栃木県) 1999年12月 可決 町長提案 小長井町(長崎県) 2000年3月 図表7 常設型住民投票条例案住 民 投 票 は カ ル フ ォ ル ニ ア 州 で は ﹁ プ ロ ポ ジ シ ョ ン ︵ 提 案 、proposition ︶ ﹂ と 呼 ば れ て い ま す 。 住 民 投 票 は 通 常 選 挙 な ど と い っ し ょ に 実 施 さ れ 、 過 半 数 で 可 決 さ れ れ ば 、 州 議 会 の 承 認 が な く て も 法 律 と し て 成 立 し ま す 。 原 則 的 に 投 票 翌 日 に 施 行 さ れ ま す 。 こ れ ま で 州 民 に よ る ﹁ 提 案 ﹂ で 二 八 三 件 が 投 票 に か け ら れ 、 一 〇 二 件 が 可 決 さ れ ま し た 。 住 民 投 票 で 成 立 し た 法 律 の 修 正 や 廃 止 は 議 会 で は で き ず 、 議 員 側 が 改 め て 住 民 投 票 を ﹁ 提 案 ﹂ し な け れ ば な り ま せ ん 。 住 民 ﹁ 提 案 ︵ 投 票 ︶ ﹂ は 進 歩 的 、 民 主 的 な 側 面 が あ り ま す 。 し か し 、 問 題 も あ り ま す 。 住 民 が 民 主 主 義 の 根 幹 に か か わ る 問 題 点 を 意 識 せ ず に 、 例 え ば 人 種 偏 見 あ る 内 容 の ﹁ 提 案 ﹂ が 成 立 し て し ま う 場 合 が あ り ま す 。 一 九 九 四 年 に ﹁ 不 法 移 民 締 め 出 し 提 案 ﹂ が そ の 一 例 で す 。 不 法 移 民 へ の 医 療 サ ー ビ ス を 廃 止 し 、 そ の 子 弟 を 公 立 学 校 に 受 け 入 れ て は な ら な い と す る な ど の ﹁ 提 案 ﹂ が あ り ま し た 。 不 法 移 民 の 増 加 に よ る 州 財 政 圧 迫 な ど を 嫌 っ た 保 守 的 な 人 々 が 提 起 し ま し た が 、 公 民 権 団 体 が 強 く 反 発 し ま し た 。 国 政 の 中 間 選 挙 と 同 時 に 、 こ の ﹁ 提 案 ﹂ へ の 住 民 投 票 が 実 施 さ れ 、 賛 成 五 九 % で 可 決 さ れ ま し た 。 よ り 民 主 的 な 制 度 が 差 別 的 な 帰 結 を も た ら す と い う 、 本 来 の 趣 旨 と は 異 な る 判 断 と な り ま し た 。 も っ と も 、 連 邦 地 裁 が 一 九 九 七 年 に 憲 法 違 反 の 判 決 を 下 し ま し た 。 州 知 事 が ﹁ 提 案 ﹂ 推 進 派 の 共 和 党 か ら 慎 重 派 の 民 主 党 に 代 わ り 、 一 九 九 九 年 に 法 施 行 は 見 送 ら れ ま し た 。 一 九 九 八 年 、 先 住 民 居 住 地 内 で カ ジ ノ 営 業 合 法 化 を 求 め る ﹁ 提 案 ﹂ で は 、 住 民 投 票 で 可 決 さ れ ま し た が 、 州 憲 法 に 反 す る と す る 判 決 が 下 さ れ ま し た 。 こ の た め 、 州 知 事 や 州 議 会 が カ ジ ノ 規 模 を 制 限 し な が ら 合 法 化 を 目 指 す 調 整 を 行 い ま し た 。 結 局 、 二 〇 〇 〇 年 三 月 の 住 民 投 票 で 調 整 案 を も と に 州 憲 法 修 正 案 が 可 決 さ れ 決 着 し ま し た 。 住 民 ﹁ 提 案 ︵ 投 票 ︶ ﹂ も 万 能 で は あ り ま せ ん 。 民 主 主 義 の 徹 底 を 求 め る あ ま り 、 反 対 に 非 民 主 主 義 的 な 、 不 平 等 を 引 き 起 こ す 結 果 を 招 く こ と も あ る こ と も 考 慮 し な け れ ば な り ま せ ん 。 行 政 、 司 法 、 立 法 が 慎 重 に 対 応 で き る 仕 組
み を 準 備 し な け れ ば な り ま せ ん 。 住 民 投 票 は 、 議 会 で 通 過 し な か っ た 事 案 に つ い て も 、 法 的 な 効 力 を 得 る こ と も 可 能 で す 。 そ れ は 評 価 で き る 点 も あ り ま す 。 議 員 の ほ う が 法 律 を よ く 審 議 し 、 法 案 づ く り の 複 雑 さ に も 対 処 で き ま す 。 住 民 ﹁ 提 案 ︵ 投 票 ︶ ﹂ に は 賛 否 の 二 者 択 一 し か な い 、 と い う 難 点 が あ り ま す 。 今 後 、 住 民 ﹁ 堤 案 ︵ 投 票 ︶ ﹂ を 減 ら す 措 置 、 ② 住 民 ﹁ 提 案 ﹂ か ら 投 票 の 手 続 き 過 程 で 議 会 が 役 割 を 果 た す 制 度 が 必 要 で あ る 、 と い う 提 言 が あ り ま す 。
八
直
接
民
主
主
義
か
代
表
民
主
主
義
か
古 代 ア テ ネ の 民 主 主 義 は 直 接 民 主 制 を 採 用 し 、 す べ て の 市 民 は 参 加 す る こ と を 予 定 さ れ 、 主 権 の あ る 議 会 で の 出 席 者 数 は 六 〇 〇 〇 人 程 度 で し た 。 今 の 参 加 人 数 に 比 べ 圧 倒 的 に 小 数 で す 。 一 八 世 紀 以 降 、 各 国 の 民 主 主 義 は 代 表 者 を 選 ぶ 間 接 民 主 制 を 採 用 し て き ま し た 。 有 権 者 は 政 治 的 決 定 を 行 う 代 表 者 ︵ 議 員 ︶ を 選 挙 し 、 そ の 代 表 者 の 責 任 を 問 え る の は 次 回 選 挙 に お い て で し た 。 J ・ J ・ ル ソ ー は 、 こ の 代 表 制 度 は 唯 一 の 発 言 の 機 会 し か な い の で 、 民 主 主 義 で は な い と 論 じ ま し た 。 彼 曰 く 、 ﹁ イ ン グ ラ ン ド 人 は 自 ら 自 由 と 考 え る 。 彼 ら は 大 き な 誤 り を 犯 し て い る 。 彼 ら は 議 会 議 員 の 選 挙 期 間 中 だ け 自 由 で し か な い ﹂ 、 と 。 こ の 考 え は 、 一 九 六 〇 年 代 以 降 、 市 民 ・ 住 民 運 動 の 高 ま り と と も に 、 住 民 投 票 が 活 発 に な り 、 参 加 民 主 主 義 が 叫 ば れ る よ う に な っ て き た の で す 。 こ れ に は 、 当 然 、 人 々 の 政 治 に 対 す る 意 識 の 変 化 が 背 景 に あ り ま す 。 現 代 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 技 術 と コ ン ピ ュ ー タ の 普 及 は 、 直 接 民 主 制 へ の 技 術 的 障 害 の 多 く を 除 去 で き る よ う に な り ま し た 。 し か し 、 政 治 家 ︵ エ リ ー ト ︶ に は 、 直 接 民 主 主 義 は 不 人 気 で あ る こ と は 確 か で す 。 つ ま り 、 ﹁ 直 接 民 主 主 義 は 責 任 政 府 と は 一 致 し な い ﹂ と い う 代 表 民 主 主 義 の 見 解 が 主 流 な ま ま で す 。 ︵ 5 ︶ 民 主 主 義 モ デ ル は 二 つ に 大 別 さ れ ま す 。 直 接 民 主 主 義 的 な 考 え 方 か 、 そ れ と も 代 表 民 主 主 義 の 形 態 か 、 の い ず れか で す 。 A ・ リ ン カ ー ン の 有 名 な 言 葉 の ﹁ 人 民 に よ る 統 治 ︵government by the people ︶ ﹂ は 、 文 字 通 り 人 民 自 ら 統 治 す る こ と で あ り 、 前 者 の 民 主 主 義 を 表 し て い ま す 。 後 者 の 場 合 、 リ ン カ ー ン の 別 の 言 葉 の ﹁ 人 民 の た め の 統 治 ︵government for the p eople ︶ ﹂ 、 つ ま り プ ロ の 政 治 家 が 人 民 の た め に 統 治 す る こ と を 意 味 し ま す 。 実 際 に 普 及 し た 民 主 主 義 の 形 態 は 、 代 表 民 主 主 義 で す 。 こ れ は 、 選 挙 時 に 代 表 ︵ エ リ ー ト ︶ が 表 明 し た 公 約 へ の 国 民 的 合 意 と い う 原 理 に 基 づ い て い ま す 。 代 表 民 主 主 義 は 個 々 人 の 代 表 を 自 由 に 選 択 で き る こ と 、 次 の 選 挙 で 前 回 の 約 束 を 履 行 し て い る か を 確 認 す る こ と が で き る た め 、 政 治 的 安 定 を 維 持 す る こ と が で き る 、 と 説 明 さ れ ま す 。 代 表 は 他 の 人 々 の た め に 行 動 す る こ と を 意 味 す る の で す が 、 し か し 世 論 は こ の 方 法 が 最 善 で あ る か ど う か に は 必 ず し も 同 意 し て い る わ け で は あ り ま せ ん 。 あ る 人 々 は 、 代 表 が 自 分 の た め に 考 え 、 自 ら だ け の 見 識 と 判 断 を 実 行 す る は ず だ 、 と 主 張 し ま す 。 他 の 人 々 は 、 代 表 が 自 分 の 選 挙 公 約 を 実 現 す る た め に 有 権 者 か ら 委 任 ︵mandate ︶ を 受 け ら れ る 、 と 信 じ て い ま す 。 ま た 、 別 の 人 々 は 、 代 表 は 自 ら の 集 団 利 益 に そ っ た 行 動 を と る に ち が い な い と 、 考 え ま す 。 な ら ば 、 市 民 は 自 ら の 意 見 を 直 接 訴 え た い 心 情 に か ら れ る で し ょ う 。 民 主 主 義 に は 常 に あ る 疑 問 が 付 き ま と い ま す 。 そ れ は ﹁ 人 々 は ど の よ う に 支 配 す べ き な の か ﹂ で す 。 こ れ は 直 接 民 主 制 か 間 接 民 主 制 か の い ず れ か 選 択 す る だ け を 意 味 す る の で な く 、 代 表 の 形 態 や 選 挙 制 度 に つ い て の 論 争 に も 関 係 し ま す 。 民 主 主 義 は ひ と つ の 現 象 で は あ り ま せ ん 。 実 際 に 、 民 主 主 義 の 多 く の 理 論 や モ デ ル が あ り ま す 。 そ れ ぞ れ が 人 民 支 配 を 説 明 し て い ま す 。 多 く の 民 主 的 な 形 態 や メ カ ニ ズ ム が あ る だ け で は な く 、 民 主 的 支 配 が 正 当 化 さ れ る 根 拠 が 様 々 で あ る こ と に ま で 行 き 着 き ま す 。 直 接 民 主 主 義 は 、 統 治 過 程 に 市 民 の 直 接 的 、 継 続 的 な 参 加 に よ っ て 特 徴 づ け ら れ ま す 。 参 加 民 主 主 義 は 人 々 の 参 加 を 拡 大 す る 試 み 、 本 日 の 話 で は 、 住 民 投 票 と 結 び つ く 民 主 主 義 観 で す 。 そ れ
に 対 し て 、 代 表 民 主 主 義 は 、 民 主 的 支 配 の 制 限 的 、 間 接 的 な 形 態 を 意 味 し ま す 。 で は 、 二 つ の 民 主 主 義 観 の ち が い は 何 で し ょ う か 。 あ ら ゆ る 民 主 主 義 論 に は 、 あ る 程 度 、 統 治 が 、 社 会 の 共 通 利 益 か 集 団 利 益 か を 問 わ な け れ ば 、 ﹁ 公 益 ﹂ を 実 現 で き る 理 念 に 基 づ い て い ま す 。 住 民 投 票 を 主 張 す る 人 々 は 、 公 益 性 を 重 視 し て い ま す 。 し か し 、 代 表 制 を 擁 護 す る 人 々 代表民主主義 直接民主主義 長所 ①民主主義の現実的な形態を提供す る。直接的な市民参加は小さな共同体 でしかできない。 ②政治の社会分業を可能にするので、 通常の市民から政策決定の負担を除 く。 ③よりよい教育、専門知識、様々な経 験をもつ人々の手に政治を任せられる。 ④政治から市民を切り離すことで、政 治的安定を維持できる。そのことで、 市民に妥協を認めさせやすくする。 長所 ①純粋な民主主義形態であるので、 市民は自己の運命を自ら実行でき る。 ②より情報を持った、政治的に洗練 された市民を創造する。したがって、 教育的効果がある。 ③利己主義的な政治家に依存しなく て、自分たちの見解や利益を表明す ることを可能にする。 ④人々が決定した事柄を受け入れる 意味で、支配が正当なものであるこ とを保証する。 短所 ①時々の世論に合致せず、定期議会選 挙によるしか権力をチェックできない。 ②国民の政治参加を増進しない。その 結果、より教育を受け、より情報を 持った有権者を創造できなくする。 ③特定の争点について直接表明する場 を国民に提供できず、その決定への正 当性をその時点で付与できない。 ④政治問題を解決することがその時点 ではできず、世論がその争点をどのよ うに判断しているかを代表者は理解で きない。 短所 ①教育と経験のあまりない人々の手 に政治的決定(権)を任せることに なり、またそのような人々はマスコ ミなどに最も影響されやすい。 ②ある時点の世論の一面だけしか意 見が反映されない。 ③政治家に政治的論題を操作され、 困難な決定を行う責任を免除するこ とになる。 ④賛成か反対かの問題に還元するの で、政治的争点を単純化しまい、論 点を歪める傾向がある。 図表8 直接民主主義と代表民主主義の長所と短所
は 、 市 民 の 私 益 と は 別 の 公 益 の よ う な も の が あ る か ど う か 疑 問 視 し て き ま し た 。 ︵ 6 ︶ 現 在 の 代 表 民 主 主 義 は 、 人 間 不 信 に 基 づ く 点 が あ り ま す 。 そ れ は 公 益 性 に 疑 問 府 を つ け て い る 点 に 見 ら れ ま す 。 市 民 の 政 治 参 加 は 、 特 に 地 方 自 治 体 に お い て 真 の 民 主 主 義 を 促 進 し つ つ 、 か つ 市 民 自 治 か ら の 発 想 で 国 家 の あ り 方 を 構 想 し 提 案 し 続 け て き ま し た 。 も ち ろ ん 、 参 加 ︵ 直 接 ︶ 民 主 主 義 は 、 市 民 参 加 と い う 形 で 多 数 の 参 加 者 が か え っ て 少 数 者 を 抑 圧 し な い か 、 個 人 の 多 様 性 を 否 定 す る こ と に つ な が ら な い か 、 と い う 問 題 を 孕 ん で い ま す 。 ま た 、 こ の 理 論 は 参 加 を 一 人 ひ と り に い か に 平 等 に 保 証 す る か と い う 制 度 上 の 難 点 が あ り ま す 。 け れ ど も 、 民 主 主 義 の 深 化 に は 、 市 民 の 参 加 を 不 可 欠 と し ま す 。 そ の こ と を 私 た ち は 考 え る 際 、 住 民 投 票 と い う 政 治 参 加 か ら 民 主 主 義 の 在 り 方 を 常 に 問 い 直 す 必 要 が あ り ま す 。 ︵ 1 ︶ 過 去 に 一 九 四 九 年 広 島 平 和 記 念 都 市 建 設 、 一 九 五 〇 年 横 浜 国 際 港 都 建 設 な ど 一 五 例 が あ る 。 ︵ 2 ︶ 一 九 八 二 年 八 月 に 国 と 神 奈 川 県 は 、 逗 子 市 北 部 の ﹁ 池 子 の 森 ﹂ ︵ 約 二 八 八 ヘ ク タ ー ル ︶ に 米 軍 住 宅 の 建 設 予 定 地 と し て 、 在 日 米 軍 海 軍 弾 薬 庫 跡 地 の 調 査 を 通 告 し た 。 こ れ に 対 し て 、 緑 を 守 り た い と す る 住 民 の 反 対 運 動 が 起 こ っ た 。 一 九 八 四 年 三 月 、 当 時 の 市 長 は 国 に 協 力 す る こ と な ど を 条 件 に 受 け 入 れ を 表 明 し た 。 建 設 反 対 派 は 住 民 投 票 条 例 の 制 定 を 直 接 請 求 し た が 、 市 議 会 が こ れ を 否 決 し た 。 市 長 の リ コ ー ル 運 動 に 発 展 し た 。 市 長 は リ コ ー ル を 回 避 す る た め に 辞 職 、 市 長 選 挙 で 反 対 派 の 富 野 候 補 が 当 選 し た 。 富 野 は 計 画 の 白 紙 撤 回 を 打 ち 出 し 、 国 と 対 決 す る 姿 勢 を 示 し た 。 市 民 も 反 対 派 と 容 認 派 に 分 裂 し 、 そ れ ぞ れ は 市 議 会 の 解 散 、 市 長 の リ コ ー ル を 要 求 し た 。 市 議 会 解 散 は 成 立 し 、 市 長 解 職 は 不 成 立 だ っ た 。 一 九 八 五 年 五 月 、 当 時 の 長 洲 神 奈 川 県 知 事 は 、 住 宅 を 当 初 の 一 三 〇 〇 戸 か ら 八 五 〇 戸 に 削 減 す る 調 停 案 を 示 し た 。 反 対 派 は 調 停 案 の 賛 否 を 問 う 住 民 投 票 条 例 の 制 定 を 求 め た が 、 い ず れ も 議 会 で 否 決 さ れ た 。 富 野 市 長 は ﹁ 判 断 を 民 意 に 委 ね た い ﹂ と い っ た ん 市 長 を 辞 職 し 、 再 選 さ れ た 。 し か し 、 国 は 同 年 九 月 に 調 停 案 に 基 づ い て 建 設 工 事 に 着 手 し た 。
一 九 九 二 年 一 一 月 、 富 野 市 長 の 引 退 に よ っ て 行 わ れ た 市 長 選 挙 で 、 反 対 派 の 沢 候 補 が 当 選 し た 。 と こ ろ が 、 沢 市 長 は 国 と の 和 解 に 転 じ 、 一 九 九 四 年 一 一 月 に 緑 地 を 一 部 復 元 す る こ と な ど で 和 解 が 成 立 し た 。 一 九 九 六 年 四 月 か ら 建 設 さ れ た 米 軍 住 宅 に は 、 米 軍 家 族 の 入 居 が 始 ま り 、 二 〇 〇 〇 年 三 月 末 時 点 で 、 八 四 五 世 帯 ︵ 三 、 二 八 七 人 ︶ が 生 活 し て い る 。 ︵ 3 ︶ 憲 法 九 五 条 [ 特 別 法 の 住 民 投 票 ] ﹁ 一 の 地 方 公 共 団 体 の み に 適 用 さ れ る 特 別 法 は 、 法 律 の 定 め る と こ ろ に よ り 、 そ の 地 方 公 共 団 体 の 住 民 の 投 票 に お い て そ の 過 半 数 の 同 意 を 得 な け れ ば 、 国 家 は こ れ を 制 定 す る こ と が で き な い 。 ﹂ ︵ 4 ︶ 住 民 ﹁ 提 案 ︵ 投 票 ︶ ﹂ 制 度 の 手 続 き は 次 の 通 り で あ る 。 ま ず 、 原 案 に 登 録 料 ︵ 二 〇 〇 ド ル ︶ を 添 え 、 州 検 事 総 長 宛 に 提 出 す る 。 議 会 側 は 公 聴 会 を 開 く こ と が で き る が 、 原 案 の 修 正 権 は な い 。 提 案 者 側 は 、 通 常 の 場 合 、 前 回 の 州 知 事 選 挙 の 投 票 者 数 の 五 % 分 の 有 権 者 の 署 名 が 必 要 で あ る 。 州 憲 法 の 修 正 に 関 す る 案 件 で は 、 八 % の 署 名 を 集 め る こ と が 条 件 と な る 。 ︵ 5 ︶ Ian M clean, Oxford Concise D ictionary of Politics, Oxford U.P. , 1996, p.131. ︵ 6 ︶ Andrew Heywood, Political Theory. A n Introduction, 2nd ed., 1999, p . 222, p.252. 参 考 文 献 今 井 一 ﹃ 住 民 投 票 ︱ 観 客 民 主 主 義 を 超 え て ﹄ 岩 波 新 書 、 二 〇 〇 〇 年 ﹃ 住 民 投 票 Q & A ﹄ 岩 波 ブ ッ ク レ ッ ト ︵No.462 ︶ 、 岩 波 書 店 、 一 九 九 八 年 加 藤 秀 治 郎 ほ か ﹃ 新 版 政 治 学 の 基 礎 ﹄ 一 藝 社 、 二 〇 〇 二 年 蒲 島 郁 夫 ﹃ 政 治 参 加 ﹄ 東 京 大 学 出 版 会 、 一 九 八 八 年 生 田 希 保 美 ・ 越 野 誠 一 ﹃ ア メ リ カ の 直 接 参 加 ・ 住 民 投 票 ﹄ 自 治 体 研 究 社 、 一 九 九 七 年 篠 原 一 ﹃ 市 民 参 加 ﹄ 岩 波 書 店 、 一 九 七 七 年 新 藤 宗 幸 編 ﹃ 住 民 投 票 ﹄ ぎ ょ う せ い 、 一 九 九 九 年 シ ュ ン ペ ー タ ー 、 ヨ ー ゼ フ 、 中 山 伊 知 郎 ・ 東 畑 精 一 訳 ﹃ 資 本 主 義 、 民 主 主 義 、 社 会 主 義 ﹄ 東 洋 経 済 新 報 社 、 一 九 六 二 年 中 谷 美 穂 ﹁ 日 本 に お け る 新 し い 政 治 文 化 の 兆 し ︱ 住 民 投 票 運 動 を 対 象 に ︱ ﹂ ﹃ 選 挙 学 会 紀 要 ﹄No.6 2006, 日 本 選 挙 学 会 、 二 〇 〇 六 年 五 月
ペ イ ト マ ン 、 キ ャ ロ ル 、 寄 本 勝 美 訳 ﹃ 参 加 と 民 主 主 義 理 論 ﹄ 早 稲 田 大 学 出 版 部 、 一 九 七 七 年 松 下 圭 一 ﹃ 日 本 の 自 治 ・ 分 権 ﹄ 岩 波 新 書 、 一 九 九 六 年 山 口 定 ﹃ 政 治 体 制 ﹄ 東 京 大 学 出 版 会 、 一 九 八 九 年 * 本 論 は 二 〇 〇 六 年 七 月 七 日 ︵ 金 ︶ に 石 川 県 立 武 生 高 校 ︵ ﹁ ス ー パ ー 講 座 ﹂ ︶ で 行 っ た 講 義 を 修 正 ・ 加 筆 し た も の で あ る 。