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島根県隠岐郡における地域エネルギーの調査と分析

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Vol、11No.3(1990) 263

研究論文|

島根県隠岐郡における地域エネルギーの調査と分析

AnEnergyFIowModelforLocalAreas-ACaseStudyatOkiIslands-田 口 東 * ・ 志 村 健 一 * * ・ 吉 澤 正 * * *

AzumaTaguchiKen'ichiShimuraTadashiYoshizawa

宇田川武俊****・袴田共之*****・奥野忠一**琴***

TaketoshiUdagawaTomoyukiHakamadaTadakazuOkuno これらの調査の結果を基に,隠岐郡の生物生産シス テムへの投入エネルギーと産出物のフローをまとめ, それに,各家庭と事業所のエネルギー需要と,供給側 のデータを加えて隠岐郡全体のフロー図を作成した 1 . は じ め に 筆者らは文部省科学研究費補助金による「エネルギー 特別研究」の社会・経済班のひとつに所属し, (1)地域エネルギーの需要構造調査と,その結果を モデル化するための探索的なデータ解析手法の開 発 (Ⅱ)生物生産システムのエネルギー収支の実践的お よび統計的な解析 の 二 つ の 大 き な テ ー マ を か か げ て 共 同 研 究 を 進 め て き たまず,昭和55∼57年度に,様々な観点から特徴の ある本州の農村地域を選んで調査を行った.それらは, 八郎潟を干拓してできた大潟村!)(秋田市の北約40 km),蒲原穀倉地帯のほぼ中心にある味方村2)(新潟 市の南約20km),関東平野の近郊農村である川里村3) (熊谷市の東約10km)である.そして,昭和58∼61年 度には島根県隠岐郡を調査の対象とした.本報では隠 岐郡調査の成果4)を,主にテーマ(I)について報告す る. 隠岐郡を対象として選んだ主な理由は (1)自然エネルギーが豊富な地域であること, (2)生物生産システムが産業の主要部分を占めるこ と, (3)離島という半開放システムなので,地域全体の エネルギー収支が把握しやすいこと, である.隠岐郡内のいくつかの地域を選んで地域エネ ル ギ ー 調 査 を 行 い , そ れ と 並 行 し て 農 業 , 林 業 畜 産 業に関するエネルギー分析を行った.そして,隠岐郡 全体のエネルギー需給を把握するために,供給業者の 調査と,エネルギー消費量が多いと思われる,漁業協 同 組 合 , 建 設 業 , 運 輸 業 に 対 す る 補 完 調 査 を 行 っ た 2.隠岐島の概況 隠岐郡は島根県の北方60∼80kmの日本海上に浮か ぶ諸島で,島前と島後の2地区からなる.島前地区は 中ノ島(3,346ha,海士町),西ノ島(5,682ha,西ノ 島町),知夫里島(1,364ha,知夫村)の主要三島か らなり,島後地区は唯一の島(24,431ha)で,西郷 町,布施村,五箇村,都万村からなる. 図-1に西郷観測所の年間の平均気温と降雨量を示ず また,後の比較に役立つように,以前に調査した地区 のデータものせてある.隠岐郡は比較的温暖な海洋性 気候であるといえる oC

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新 潟 秋田 西 郷 熊 谷 1 3 5 7 9 1 2 月 図−1平均気温・降水量の年変化(理科年表による) 隠岐郡(西郷)は海洋性気候,大潟村(秋田)と味方 村(新潟)は裏日本型気候,川里村(熊谷)は関東平 野の代表的気候である. ***筑波大学大学院経営システム科学 ******東京理科大学工学部 ****農業環境技術研究所 * 山 梨 大 学 工 学 部 * * 琉 球 大 学 法 文 学 部 〒400甲府市武田4−3-11*****国立公害研究所

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エ ネ ル ギ ー ・ 資 源 264 特徴を明らかにするため,主要作物の粗生産額を図−3 に示す.大きく分けて,島後は稲作中心(水田率79 %),島前では放牧・飼料作物中心(水田率53%)と いう違いがある.西郷五箇都万は水稲・しいたけ・ 野菜型,布施はしいたけ型,海士は水稲・肉牛型,西 ノ島と知夫は肉牛型といえる. 林業の特徴をまとめる.昭和56年調査によると,林 野率は約85%もあり,その79%が個人有と部落有であ る.とくに,布施村では村有林が1,170ha(66%)も あり,これによる林業が村の基幹産業となっている. 80[ 7000 蕊鍵蕊蕊蕊隷蕊鯵耀識鰯鰯 6000 5000 4000

30〔 2000 00 0 0 西 布 五 都 海 西 知 西 施 簡 万 士 ノ 夫 町 村 村 村 町 島 村 町 図−2産業別就業者数(昭和60年国勢調査) 隠岐郡の人口は昭和35年の約42,000人が昭和45年に 約31,000人,昭和55年に約29,000人に減少した後,昭 和60年まではほぼ同一である図-2の産業別就業者数 をもとに町村の特徴をまとめる.西郷町は面積も大き く,農林漁業のそれぞれに隠岐郡の中でのウェイトが 大 き く , 農 林 漁 業 型 と い え る 布 施 村 は 林 単 独 型 , 知 夫村は農(畜)単独型,五箇村と都万型は農林型,海 士町は農漁型,西ノ島は農(畜)漁型といえる.第二 次産業の就業者割合は各町村とも13∼21%の範囲にあっ て大差なく,製造業のウェイトが低く,建設業が高い. 第三次産業では五箇村と都万村を除いていずれも50% 以上もあり,運輸・通信業の就業者が多い. 農業の特徴を,島根県農林水産統計年報(1985年農 業センサス農家調査)5)に基づいてまとめる.農家数 は人口の減少傾向と一致して減少し,高齢化が進んで いる.また,耕地率は5%しかなく,耕地規模が0.05 ha∼0.3haの農家が45%を占め,耕地は狭小である. 隠岐郡の農業粗生産額は昭和59年度で約19億円で,内 訳は耕種16億円,畜産3億円である農作物の外に, 牧畑制度と呼ばれる共同牧野を使って和牛・馬を放牧 飼養してきた伝統があり,現在では肉用子牛の飼養が 多 い し か し , 調 査 時 点 の 価 格 の 低 下 に と も な い , 肉 牛飼養農家は年々減少している.農業生産の町村別の 銀0 F且■ 63 0 1 n F ‘.、 2.0 5 1 蓄積量 1 柑

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1.0 0.5 ; I 島前 図−4樹種別森林蓄積量(1980年森林構成表) 図-4に樹種別の蓄積量を示す.標準伐期を超える針葉 樹の蓄積量は140万rn3であるのにも関わらず年間1万 rn3しか素材生産がなされていない.オイルショック 以来の低成長で,造林実績も低下を続け,造林面積は 昭和60年に20haと低い.木材,しいたけの他の林産 業としては,まきが島民生活の燃料としてよく利用さ れている. 0102030405060708090100% 1 1 漁 獲 量 52095t 224t’ 666t 495t 1999t 70349t 295t 西 郷 町 布 施 村 五 箇 村 都 万 村 海 士 町 西 ノ 島 町 知 夫 村 屡 産 物 割 合 ( し い た け 除 く ) O 1 U 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 1 0 U % 粗 生 産 因 ( 他 円 ) 1 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 │、 西 郷 町 布 施 村 五 薗 村 都 万 村 海 士 町 西 ノ 島 町 知 夫 村

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図しいたけ□■産物圏水繍圀野蕊悶稀圏肉牛圏その他 (昭和59年度,しいたけのみ昭和56年度島根県農林水産 統計年報) 図−3町村別農林作物粗生産額 圏 圀 鬮 鬮 鰯 鬮 イ ワ シ ア ジ サ バ カ ニ イ カ そ の 他 図−5町村別漁獲量(昭和59年度,海面漁業生産 統計調査)

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Vol.11No.3(1990) 265 るなどして種々の推定を行った. そのようにして推定された一戸あたりの農業用直接 エネルギー需要を,各町村別にまとめて図-6に示す. 同じ図の下側は,前回までに調査した地区との比較で ある.海士町で軽油の使用量が多く,機械化が比較的 進んでいることがわかる.灯油はほとんどが稲としい たけの乾燥に使われている.前回までに調査した地区 表 1 地 域 エ ネ ル ギ ー 調 査 対 象 戸 数 漁業の特徴をまとめる.隠岐島近海の水産資源は豊 富で,15の漁業協同組合があり,漁業は隠岐郡を代表 する産業である.昭和59年度の漁獲量を町村別にまと めたものを図-5に示す.西郷,西ノ島(浦郷地区)の 2地区は大型漁船を用いたまき網漁業が主で,漁獲量 が全体の97%を占める.布施,五箇,都万,知夫では これとは異なり,10トン以上の漁船を持つ企業体がほ とんどなく,零細漁家による釣り・刺し網漁業が主で ある.海士はその中間である.漁獲量のほとんどが直 接本土へ水揚げされ,島外へ移出される. GJ/戸 14

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農業用直接エネルギー需要量 0 知夫村 布施村 海士町 3.調査の概要 GJ/戸 3.1地域エネルギー調査 この調査では農漁家,一般家庭事業所に対して1 年間の月別用途別(農業漁業,家庭)エネルギー需 要量の把握,需要に関連する各種の項目(家族構成, 保有機器等,農漁家と事業所に対しては経営内容,保 有機械,資材等),自然エネルギーに対する意識調査 を行った.調査対象戸数を表1に示す.ここでは,農 業用と家庭用について述べ,事業所と漁業は後節にま とめる. 海士町と五箇村調査(昭和58年4月∼昭和59年3月) では,農漁家を営農類型別に抽出し,アンケートと面 接調査を行った.一般家庭は単純に抽出した.布施村 と知夫村調査(昭和59年4月∼昭和60年3月)もほぼ 同様であるが,調査対象戸数が少ないので層別は行わ なかった. 最初の調査では,各調査世帯全般にエネルギー種別 の月別使用量の記入状況が不十分であった.そこで調 査対象家庭の了解を得て,供給側のデータを補足調査 し,電気とプロパンガスは販売記録からかなり質の高 いデータを得ることが出来た.しかし,石油類は現金 取り引きが多く,十分な情報が得られなかった.した がって,多くの欠測値や,家庭用と農業用へのエネル ギー使用の分離ができないデータなど問題が残った. そこで,エネルギー種別の年間需要量を推定すること に課題をしぼり,中央値を用いたり,回帰式を作成す

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図−6農家一戸あたりの農業用直接エネルギー需要量

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266 と比較すると,隠岐郡は軽油と電力が少なくガソリン と灯油に依存しており,主穀プラス畜産の伝統型農業 といえる.大潟村は軽油と電力が多く機械依存大規模 型,味方村は主穀中心平地農村型,川里村は重油が多 く加温施設中心のエネルギー多消費型である. 図-7に一戸あたり生活用エネルギー需要量を示す. 隠岐郡では農漁家のガソリン,まきの需要量が一般家 庭に比べやや多い.海士町と布施村でガソリンの使用 が少ないのは,島が狭く車で走るような道が少ないこ とによるものと思われる.まきは,主に風呂の燃料と して使用されている.他地区と比較すると,隠岐郡で のまきの使用が目立つ.これは住宅周辺で入手しやす いことと,本土ではとっくに失われた伝統的な農漁家 の生活形態が保持されているためと考えられる. しかし,労働力の流出による過疎化と高齢化が進行 し,他の産業がないために第3次産業への依存が強く なるのにともなって,まきの利用にも変化が生じてい る.すなわち,伝統的な農漁家としての生活を営んで いる世帯は古くからのエネルギー資源であるまきの利 用が多い.しかし,働き手が高齢となった世帯では, 採取に大きな労働が必要なまきをあきらめて,より便 利なエネルギーに頼らざるをえなくなっている.また, 第3次産業に移行する世帯についても同様の傾向が見 られる. 全島分のエネルギー需要を推定するには,農業用は 西郷町と都万村を五箇村のデータで,西ノ島町を知夫 村のデータで,それぞれ作付面積を基準として推定し, 家庭用は農漁家と一般家庭とを分け,西郷町と都万村 を五箇所のデータで,島前は海士町のデータで,それ ぞれ戸数を基準として推定した. 3.2漁業協同組合エネルギー調査 隠岐島の各漁協は石油類を本土から運び,漁業用と 家庭用に組合員への販売を行っている.漁協と大きな 水産会社に対して,昭和59年度の石油類の購入量と販 売量(使用量)および漁業活動の内容に関するアンケー ト調査と訪問調査を行い,西郷漁協,浦郷漁協その 他の地区の漁協の一部(漁獲量で3分の2),企業7 社から回答を得た.この調査の結果と,布施村,海士 町,五箇村における地域エネルギー調査の結果とはほ ぼ一致したので,ここでの値を漁業用エネルギー消費 量とした. 全島分のエネルギー需要を推定するには,西郷,浦 郷地区と企業をまとめ,それ以外の漁協を別にまとめ た.前者は単純に集計し,後者に対しては,漁業用に エネルギー・資源 ついてはトン数を基準とし,生活用販売量については 個人数を基準として推定した. 3.3補完調査 事業所全般の調査は,隠岐郡にある従業員10人以上 の企業160社を対象とした.そのうち147社にアンケー トを送付し,47社の回答を得た.回答のあった企業の 昭和58年度のエネルギー消費量を業種別に集計し,企 業数を基準として全島分を推定した.その後,暇ロ60, 61年に建設業と旅客輸送業の調査を行った.建設業の 仕事はほとんどが離島振興事業による土木工事である. アンケート調査と,西郷町,海士町,西ノ島町のそれ ぞれ大手1社の訪問調査によって,石油類の消費量を 調査した.把握した会社の売上額は全体の約3分の1 である.全島分の推定には売上額を基準とした.旅客 輸送業に対しては,バスと船は石油類の消費量のほぼ 全量を把握し,タクシーは島ごとに約3分の1の台数 の消費量を把握し,台数をかけて全島分を推定した. 石油類の供給量の調査は次のように行った.隠岐郡 への石油類の持ち込み経路は,中国電力,石油類元売 り業者,漁業協同組合,企業の自社使用分の直接持ち 込みに大きく分けられる.まず,中国電力の資料によ り,昭和60年度の隠岐郡の消費電力量と発電に使用し た重油の量を把握した.販売業者が扱ったガソリン, 軽油,灯油,重油の数量は,島後は貯蔵会社(昭和59 年度),島前はそれぞれの町村の販売業者(昭和60年 度)の訪問調査を行いデータを得た.プロパンガスは 供給業者(昭和59年度)を調査し,不明として残った 海士町の一部を推定(80t)した. 漁協が扱った石油類の供給データへの算入は,重油 は購入先が特定できたのでそれに従い,他の石油類は すべて島外から直接島内へ持ち込むものとした.また, 旅客運送業は消費する石油類すべてを直接持ち込むも のとした.残りの事業所に対しては,建設業者を始め ようとして,大手企業は自社使用分の一部を直接持ち こむようであるが,その量が不明であるのですべて島 内より購入するものとした. 3.4隠岐郡におけるエネルギー需給量 以上の調査の結果から推定される隠岐郡の年間エネ ルギー供給量と需要量を図-8に示す.図-9にエネルギー 種別の需要量を示す.ただし,電力は発電に使用され た重油と等価になるようにエネルギー換算してあり, 電力としてのエネルギーは図示された量の約3分の1 である.これは節4のフロー図も同様である.供給量 の約半分が重油であり,その60%が漁業に使われてい

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Vol.11No.3(1990) 267 る.供給量と需要量の推定値は,電力と重油を除いて よく一致している.電力の需要量が供給量を下回った のは,小規模な事業所や店舗で使用される電力が計算 されていないためと考えられる.また,重油の需要量 が供給量を上回ったのは,重油は輸送手段を持つ大き な事業所で使用される割合が多く,そのような事業所 が価格が安い本土で購入する分を把握していないため であると考えられる. の稲わらも含めて産出量は74.5TJである.面積あた りでみると,直接間接合わせた投入量は54GJ/haと 全国平均の約1.9倍であり,前回までの調査結果と比 較すると,大潟村とほぼ同じ,味方村と川里村の約3 分の2である.投入量の内で間接エネルギーの割合は 56.3%である.また,産出量は50GJ/haであり,産 出/投入比は0.93である.島外へ移出される農作物は 葉たばこ,柿,野菜種苗などごく一部であり,ほとん どが島内で消費される. 畜産業では,飼料を中心とした投入量が18.4TJ, 肉牛などによる産出量が2.4TJであり,産出/投入比 は0.13となる.北海道の草地型酪農で0.35,愛知県の 都市近郊型酪農で0.26であるが,牛肉生産の効率は乳 生産の半分とされるので,隠岐郡の値は悪いとはいえ ない. 林業では自然エネルギーに依存する蓄積が多く,森 林蓄積(幹材)は約3万TJと見積られる.これに対 し,素材生産は78.1TJと,針葉樹の年間生長量の約 8分の1にすぎず,年々蓄積を増やしている.エネル ギーの投入は石油類3.2TJ,輸送用2.9TJのみである. 木材以外の主な利用は島民生活用のまき120TJしかな く,経済的に利用する余地を多大に蔵したままにおか れている. 漁業への直接エネルギーは786TJあり,そのほとん どが漁船の燃料として使われる重油である.産出量は 515TJであり,その99%が島外へ移出される.これら の中で養殖業および水産加工の占める割合はごくわず かである. 4.隠岐郡のエネルギーフロー分析 隠岐郡において投入される直接エネルギーとその消 費構造,および産出物のフローを図-10に示す.また, 農業,畜産業,林業,漁業について,投入エネルギー と産出物のフローを図-11∼14に示す.フローはすべ てエネルギーに換算した.その際,石油類は発熱量, 電気は発電に要した重油の発熱量,島外から投入され る間接エネルギーはその生産に要したエネルギー原単 位‘)によって換算した.産出物は,食品である場合に は食品成分表7)による廃棄率とエネルギー単位を用い, その他は発熱量を用いて換算した. 隠岐郡全体では,直接エネルギーの全需要の約35% が漁業で使われ,農林畜産業をあわせても2%弱にす ぎない.事業用と生活用はともに約30%である. 島民生活をみると,人口は約29,000人あり,その上

に年間444,710人の観光客が平均1.8日(2200人・年)

滞在する.その生活用に直接エネルギーを740TJ消費 しているが,その内まきが16%を占めるという特徴が ある.また,島内からの食品を60TJ消費し,不足分 を島外より69TJ補充している.漁業を除く事業所で 消費される直接エネルギーは660TJあり,旅客輸送業 が290TJ,建設業が105TJと大きな割合を占める. 農業の直接エネルギー投入量は33TJ,飼料として 5 . ま と め まず,調査結果から,投入量と産出量の関係をみて みよう.農業は耕地が狭小なこともあり,効率はあま 0102030405060708090100% TJ 消 費 量 33731MWh UOOOOOOOOOOO00OOOOOOOOOO0 121864208642 電 力 重 油 軽 油 灯 油 力.ソリン フ・ロハ・ン ま き 耐認鍛舜惣函唖雨悶悶悶悶悶悶悶悶婦勿吻宰需要量 識銅嫁殿麺密悶悶悶悶園悶悶︼吻吻吻吻︸供給量

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(6)

エネルギー・資源 268

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図-12隠岐郡畜産業のエネルギーフロー

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(9)

Vol.11No.3(1990) り良くないし,数量もわずかである.また,漁業と林 業とは同じ様に自然条件に恵まれているにもかかわら ず,漁業は盛んで質量ともに価値の高いものを島外に 移出しているのに対して,豊富な森林資源はほとんど 利用されていない.これは,国産木材に対する需要, 価格,島内の労働力などにおいて障害があるためと考 えられるが,隠岐郡の振興にとっては残念なことであ る.上記以外に島内に持ち込まれる直接エネルギーは, 生活用と事業所用に消費される.これに見合って島外 に移出されるのは,有形のものはわずかであり,観光 客に対するサービスとして多く表れている.今後とも 余暇時間は増加すると期待されるので,人々をひきつ ける魅力を持てば,一層の産出が得られるはずである. 最近の化石エネルギーをめぐる情勢は,昭和48年の 石油ショック時に比べると著しく緩やかであるが,中 長期的な需要の逼迫の可能性や,地球的な規模での環 境汚染へ強い関心を考えると,いぜんとして太陽.風 力・水力・バイオマスなどの自然エネルギーの利用が 重要である.隠岐郡は非常に豊かな自然に恵まれてお り,この点からは非常に有利である.しかし,残念な ことに過疎化と高齢化の進行にともなって,森林資源 資料頒布について 271 の利用に代表されるように,自然エネルギーの利用度 が低下している.そこで,自然の景観と自然エネルギー の利用とを活かした地域の活性化を行うことが,現実 的でかつ重要であると考えられる. 参 考 文 献 1)奥野忠一,吉澤正ほか12名;秋田県大潟村における地 域エネルギー調査報告(1982),農村地域エネルギー研究 会 2)奥野忠一,吉澤正ほか12名;新潟県味方郡における地 域エネルギー調査報告(1984),農村地域エネルギー研究 会 3)奥野忠一,吉澤正ほか12名;埼玉県川里村における地 域エネルギー調査報告(1986),農村地域エネルギー研究 会 4)奥野忠一,吉澤正ほか12名;島根県隠岐郡における地 域エネルギー調査報告(1987),農村地域エネルギー研究 会 5)中国四国農政局島根統計情報事務所編;島根県農林生産 統計年報(昭和59年∼60年)(1985),島根農林統計協会 6)農林水産業におけるエネルギー研究グループ;農林水産 業におけるエネルギー原単位(Ⅱ)(1986) 7)科学技術庁資源調査会編;食品成分表(1983),第一出版 株式会社

下記の資料の在庫がございますので,御希望の方は事務局までハガキかTELにてお申し込み下さい.

*新刊図書「エネルギーと未来社会」(本会創立10周記念出版)

…………稲田献一,茅陽一,山口梅太郎,平田賢,野口哲男,

岩城英夫,板倉哲郎,笛木和雄,藤田和哉………四六判325頁,1800円(送料共)

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〔申込先〕〒550大阪市西区京町堀1-9-10(帽子会館)エネルギー・資源学会宛 TELO6-446-0537.FAXO6-446-0559 〔払込方法〕1;現金送金,2.郵便振替……大阪3-302948 3.銀行振込……大和銀行御堂筋支店(普)NQ1024046エネルギー・資源学会名儀 ㈱払込みの際,消費税3%を加算して下さい.

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