母親 指 導 が む ずか しか った 自閉症 児 の例
福
井
ふみ子
The Difficulty
of Treatment
Plan
of an Autistic
Child
and Her Mother
Fumiko Fukui
This issue introduces a discontinued case and analyses the cause of the disconti-nuity. The main cause of the discontinuity is considered the plan of the treatment: the therapist made great account of the child's treatment and made little account of mother's counseling. The client of this issue is the autistic girl aged 4 years and a half.. The therapist made a behavior modification method to the girl for two years. The mother couldn't accept the handicap of her child and made a hard training. But the therapist couldn't realize the emotional situation of the mother and made few turns of counseling. The therapist became consious of the failure of the treatment plan and proposed the change of the treatment to the mother. The case was discontinued at the time of the girl's entrance to the regular class of primary school.
Keyword : acceptance of handicap, childhood autisum, counseling for mother.
1.問 題 の経 過 と本研 究 の 目的 自閉 児 とい う と,子 ど も に対 す る指 導 法 が 問題 に な る こ とが多 いが,自 閉 児 こそ,そ の 母 子(お よ び 父子)関 係 に注 目す べ きで あ る. 障 害 児 を 持 つ 母 親 は,日 常 生 活o面 で も精 神 的 な 面 で も負 担 が 大 きいが,自 閉 児以 外 の 障 害 児(ち え お くれ や 肢 体不 自由)の 場 合 は, そ れ ぞ れ の 障害 を 持 ちな が ら も,子 ど もが 母 親 と意 志 疎 通 や感 情 交 流 す る こ とが で き,そ の 分,母 親 の苦 痛 は緩 和 され る. と ころが,.自 閉 児 は,そ の 障 害 の 特 殊 性 の た め に,乳 児期 よ り,母 子 関 係 が つ き に くい ば か りか,成 長 して も;他 者 との意 志 疎 通 や 感 情 交 流 が 困 難 で,母 親 が,子 ど もの さ さい な し ぐさや 笑 顔 の 中 か ら,「 子 ど もを 育 て る 喜 び 」 を見 出 しに くい状 況 に あ る. ま た,自 閉 児 は,単 な るち え お くれ の 場 合 と違 い,「そ の接 し方 が むず か しい.自 閉 児 は, そ の発 達 に独 特 の歪 み が あ り,単 に小 さ な子 ど もに 対 す るよ うに接 す れ ば よ い とい うわ け で はな く,生 活上,独 特 の 工 夫 を必 要 とす る. ま た,家 族 の 楽 しみ を さえ 犠 牲 に しな け れ ば な らな い こ と さえ あ る. 本 研 究 で は,子 ど もの指 導 にの み 重 点 を 置 き,母 親 に対 す る十 分 な ケ ア を欠 いた た め に,
『人間科学研究』文教大学人間科学部第16号 1994年 福 井 ふ み 子 結局は中断にいたったケースについて,その 概要を紹介し,中断の要因について詳細に分 析する.
2
.
ケースの概要および中断までの経過
(1 ) 子どもの概要 対象児CL
(=クライエント)女児. 来所時4
歳6
か月. 主 訴 自閉症と診断されたが,どのよう に育てたらよいか. 家 族 父親3
0
歳,母親2
9
歳,CL
生育歴 胎児期,出生時とも異常なし.予 定日より1
0
日早く出生し,初体重 は,2
,8
5
0
gであった.身体的発育, 定頚,座位はふつう.始歩-1歳1
か月.初語-3
歳3
か月.大小 便を教える-3
歳 . 利 き 手 右 . .来所時の状態 ①着脱衣・・・介助が必要. ②食事…一人でできる. ③用便…問題なし. ④睡眠…問題なし. ⑤言語発達…単語は言える.要求語. ⑥遊び…音楽・体操が好き. ・来所以前の保育歴2
歳6
か月時:区立保育所に入所.1
年で やめる. 3歳 6か月時 :X学園(精神発達遅滞児の ための民間の通園施設)通 園のため,他区に転居.→l
年後,M
(=母親,以下 同じ),喧嘩して X学園を飛 び出す.4
歳6
か月時:区立保育所+区立教育相談 室(=以下,当機関と記述 する).CL
の指導結果(詳細については文献 l 参照)CL
のセラピーは,子どもの①知能程度の低 さと②自閉性の強さのため,困難を極めたが,2
年間にわたる行動療法的(フリー・オペラ ント的)な指導(1, 5) ののち, ①対人回避行動の低減 ②要求語の頻度増大 ③課題学習の導入 という成果をあげることができた. し か し 以 下 の2
点については2
年間の 指導にもかかわらず,十分な成果をあげるこ とができなかった. ①常同行動の低減 ②学習態度の形成 (2) 母親及び父親の概要(プライヴァシー 保護のため,詳細については省略する) .母親について 来所時 (CP.は4
歳6
か月)2
9
歳.C
P.は彼 女にとって初めての子どもであった. ・父親についてC
P
.
の父親は来所時3
0
歳.C
P.の就学先につ いては,必ずしも普通学級にこだわっていな かった. (3) Th. (=セラピス卜)の概要 Th. A (女性)本事例のTh.Aは本論文の筆 者自身であるが,CL
の来所当時2
8
歳で, 当機関の相談員としてそれまでに 5年 間の経験を持っていた.ケース開始2
年目の9
月から1
2
月まで出産のため休 職. Th.自身,初めて母親としての経験 を持った. Th. B (男性) : Th. Aの休職に伴い 4か月 間CL
のセラピーを引き受けた.当 機関には就職したばかりで(
2
5
歳) , それ以前に自問児の指導に本格的に携 わった経験はなかった. (4) 母親との面接の持ち方 ケース受付後,4
月より,C
t
の指導が始ま ったが,スタッフが手薄なせいもあって,特 に母親面接の時間はとっていなかった .C
P. の指導中は, MIこ観察室からミラーごしにプ レイ室を見てもらうようにしていた. これは, ①C
P
.
の指導の様子を M に見てもらうため と,②万一の事故・怪我などにそなえて, 指導状況をM
に見ていてもらうためであっ た. ただ,母親はいつも話したいことが山ほど -70-たまっている感じで,
C
R.の指導の前後にT
h
.
A
を廊下でっかまえては1
0
分でも1
5
分でも, 大声で自分の話したいことをしゃべりまくっ た.その間,C
R.が相談室の廊下をうろうろし ていたり,T
h
.
Aは次のケースを待たせていた りで,T
h
.
A
はM
の話を区切るのにたびたび苦 労した. また,T
h
.
A
がM
とだけ話したいと思っても,M
は必ずC
P.を連れてくるので,結局M
と充分 に話す時聞がとれなかった. しかし,廊下でM
と話をしたり,また,後 には,一時的に母子平行面接を行うこともで きたので,T
h
.
A
とM
が(約1
時間程度の)話 をしたのは,2
年間のうちに少なくとも1
5
回 を越える.(
5
)
母親の主張 母親の主張の主なものを項目別にあげると 以下のようになる. ①指導時間について ・指導時間について細かく要求してくる.• T
h
.
は指導日は保育所を休ませてくるよ うに頼んだが,M
は保育所終了後,指導に 連れてくる. ②当機関での指導について ・とにかく椅子に座っていてくれさえすれば し】~) ・ここでは一対ーで指導してもらいたい. ・「線引き学習JはX学園でさんざんやった ので,次に進んでください. ・就学まであと 5回だから,休まないように 来ます. ③知能検査について ・児童相談所で検査した時は, もっとよくで きた.保育園の巡回指導の時は,もっとよ くできた. ・児童相談所では愛の手帳で3
度の軽い方 と言われた. ④子どもの見方について ・うちの子は多動ではない. ・椅子に座れるようにならなくちゃあ. ・入学前に自分の名前くらい書けなくちゃあ. ・家の壁にアイウエオ表を貼っています.上 から下に読めます. .私はC
P.に,おんぶや抱っこをしないように しているんです. ・この子はわがままだから…. ⑤就学時の判定について ・養護学校だなんて侮辱だ. • 100人のうち 99人が反対しても,私はCf.を 普通学級に入れる. ⑥母子関係について ・T
h
.
A
は,自分がC
P.を思うとおりにできな かったから,今度はCp.が伸びないのを母親 のせいにする. ・母子関係はもう6
年間,ばっちりやってい る.保育園が終わってから夕方6
時位まで 公園で遊んでいる.• 2
歳 の 時 母 子 関 係 が で き て い な いJ と言われた.一年間,甘えさせたりして, それで母子関係がついたものと思っていf
こ.• 1
時間お話ししてしまうと,子どもを見て もらえないので,一回分損をしてしまう. ⑦小学校入学後 • Cf.は体が固いから,今度毎日誠治療に通う ことにしf
こ. ・子どもを普通学級に通わせているのに,な ぜ親がついていかなければならないのか. (6) 仮説と指導方針T
h
.
AはCf.来所時,問題はCf.の「障害の重 さJにあると判断した.T
h
.
A
がC
P.と関係を つけ,CL
の自閉性を減らし,認知力を高 めていくことで,問題は軽減していくと判断 した.M
については「大変な母親Jという印象は 持ったが,特に「母子関係Jには注意を払わ なかった.M
の話をよく聞き,M
の気持ちに なるべく沿っていこう(=来談者中心療法)(
3
)
と考えた.相談の途中で母親面接の必要性 を感じることがたびたびあったが,スタッフ の数や時間の関係で母親担当者を見つけるこ とはできなかった.M
はそれまでCL
を通わせていた保育園 や通園施設とも喧嘩をして出てきているとい『人間科学研究』文教大学人間科学部第16号 1994年 福 井 ふ み 子 うことを聞いていたので, Mと喧嘩しないこ と,ケースを長続きさせることを, Mとのつ き合いの念頭においた. (7) ケース中断までの経過 前記の理由により,
T
h
.A
一人で母子を担当 してきたが,指導に行き詰まりを感じたのはT
h
.
Aの産休が明けたあとのことである。産休 明けすぐに本ケースはT
h
.B
の手元からT
h
.A
の手元に戻された.T
h
.
A
はM
から出産祝 い を い た だ き ま た よ ろ し く J と暖かく迎 えられた. ところが,実際指導を再開させてみると,T
h
.
Aは母子の,産休前との大きな違いに驚か ざるを得なかった.プレイ室での子どもの 行動は全く制御がきかず,一対ーの指導が困 難な状況になっていたし,母は母でC
P.を普通 学級に入れたい一心でパニック状態に陥っていf
こ.C
R.とM
の,産休前との違いをあげると,以 下のようになる. ①フリー・オペラント的指導+課題学習の 再開後,C
P.の状態がT
h
.A
の産休以前に比べ て非常に悪化していた.着席を回避するよう になっていたし,産休以前はきいていた強化(CL
を振り回すことや一緒に跳ぶことなど) が全くきかなくなっていた. ②その反面,C
P.はT
h
.B
(男性,C
P.の父親 と似たタイプ)に非常になついており,T
h
.
Bに対して自分の方からの接近行動を見せた. これはT
h
.
Aに対してはついぞ見られない ことであった.C
R.は相手が男性であるか 女性であるかによって自分の態度を使い分 けているのではないか.そして,それは, 家庭の中での父親との関係,母親との関係 を反映しているのではないか,と考えられ た. ③母親の言葉の中で「小学校入学まであと5
回だからそれまでに何とか子どもをよくし てほしt
'
J
旨の発言があった.重度の自問児 の指導の場合,何回指導したからどうなると いうように考えるのは所詮無理がある.T
h
.
A
はM
のこの発言に,T
h
.A
自身の考えとのズ レを感じた. また,M
はC
P.を普通学級へ入れたいという 意志がさらにいっそう固くなってきており,T
h
.
A
がそれまでにC
P.に対して行ってきた個 別学習は,CL
が普通学級に入級した場合,殆 ど役に立たないと考えられたため,その意味 でもCL
に対するそれまでの指導のあり方 を見直す必要があった. そこで,母親の了解のもとに一度個別学習 を中断し,CL
とM
との関係を観察させてもら うことにしf
こ. その結果,C
R.がM
を非常に避けており (CR. はMの指示に対して顔をしかめたり, 奇声を発したり,また床に寝転がったりする など) ,また,M
はそのことに全く気づいて いないということがわかった.T
h
.
A
はこのことをM
に話すかどうか熟 慮し,ケース会議で他の相談員たちの考えも 聞いた後,M
にとってあまり厳しすぎないよ うに注意しながら,M
'
こ現在の状況を説明し, 以後しばらくは母子関係を立て直すことを指 導の中心におきたい,という指導方針の変更 に対する了解を求めた. それに対するM
の反応は以下のようなもの だっT
こ.• T
h
.
A
は,自分がC
P.を思うとおりにできな かったから,今度はCt
が伸びないのを母親 のせいにする. ・母子関係はもう6
年間,ばっちりやってい ます.保育園が終わってから夕方6
時位ま で公園で遊んでいます.• 2
歳 の 時 母 子 関 係 が で き て い な い 」 と 言われた.一年間,甘えさせたりして,そ れで母子関係がついたものと思っていた. その話の後,M
はT
h
.B
に電話をし,f
T
h
.A
に見捨てられそうだJという話をしている. その後, しばらくはMは新しい指導方針 (母子及びT
h
.A
の三者が同室でプレイしなが ら,CP.に対する最もよい接近法を指導する) のもとで来所を続けていた. しかし ,Cf. が小学校に入学してからの来所は,CL
が 当 機 関 に 着 い た 時 点 で 疲 労 の 極 」 に 達 し -72-て お り,と て も一 緒 に プ レ イ で き る よ う な 状 況 で は な か っ た.・そ こで,Th.Aは,C乏.の 状 況 を 説 明 し て,rC遭.が あ ま り疲 れ る よ う な ら, 小 学 校 の 方 が 落 ち 着 く ま で,し ば ら く来 所 を お 休 み して は?」 とMに 提 案 した.と こ ろ が, Mは,C乏.が と て も 「疲 れ て い る 」 と い う こ と が 理 解 で き ず,.従 っ て,Th.Aの 意 図 も充 分 に は 伝 わ ら な い ま ま,来 所 を 休 む よ う に な っ た. 5月 に な って,小 学 校 の 担 任 が 相 談 室 を 訪 れ,や は り学 校 で も う ま く 行 っ て い な い と い う 現 状 をTh.Aに 報 告 し た.Th.Aは あ ら た あ てMに 電 話 し,今 後 の 方 針 に っ い て,他 の 相 談 員 も ま じ え て,6月 に 再 度Mと 話 し合 い を 持 っ こ と に し た. ケ ー ス 開 始 後2年 目 の6月 に,M,Th.A, Th.B,そ れ に 常 勤 の 相 談 員 の4者 で 話 し合 い を 持 っ た.そ の 日,相 談 員 側 と して は 相 談 の 今 後 の 方 向 を 決 め る 大 切 な 話 し合 い を 考 え て い た が,Mは ど う い う わ け かCゑ.を 連 れ て 来 所 した. 話 し合 い の 結 果,①Mが 「一 対 一 の 個 別 指 導 を 行 っ て くれ る な ら今 ま で ど お り来 所 した い 」 と 言 っ た こ と,②CLの 進 路 の 話 は 抜 き に して 相 談 を 行 う と い う こ と で,そ の 場 の 話 し合 い は つ き,相 談 担 当 者 はTh.Aの ま ま, 従 来 ど お りlC2.の 個 別 指 導 を 続 行 す る こ と に な っ た 。 母 子 は そ の 後,3回 来 所 した.α.は プ レ イ 室 内 で は,4月 当 初 と違 い,わ り あ い ゆ っ た り して お り,Th.Aと の や り と り も産 休 以 前 と 同 じ く ら い 回 復 し て い た 。そ れ に 対 しTh.Aは C遭.の 動 き に 沿 って 動 く よ う に し,C乏.が 二 人 の や り と りを 楽 しめ る ま で に な っ た. Cゑ.の3回 の 指 導 は 非 常 に う ま く 行 っ た と い う 印 象 を,Th.Aは 持 っ て い た が,M の 方 は,rC乏.は た だ 興 奮 して い る だ け 」 と 感 じて い た よ うで あ る.3回 目 の 指 導 の 翌 日, Mか ら常 勤 の 相 談 員 に 電 話 が あ り,「 担 当 者 を 変 え て も ら え な い か 」 と い う こ と で,話 し 合 い の 日 時 を 約 束 し た.け れ ど も,そ の 後 で, Mの 方 か ら そ の 約 束 を 断 っ て き た. Th.Aは,Mと 電 話 連 絡 が 取 れ な い こ とが多 い た め,次 回 の指 導 日を ハ ガ キ で 連絡 したが, そ れ に 対 す るMか らの応 答 はな く,こ の ケー ス はそ の ま ま 中断 に い た っ た. 3.考
察
(1)本 事 例 の 問題 の本 質 2年 間 の 指 導 中,及 び ケ ー ス 中断 前 後 の 事 情 を 考 え る と,本 事 例 の 問題 の本 質 は,実 は 次 の よ うな と ころ に あ った の で は な いか と思 わ れ る. す な わ ち,C躍.が 生 ま れ て,ま も な く 自 閉 的症 状(こ とば の 遅 れ や 多 動 な ど)を 呈 す るよ うに な り,Mが そ の 状 況 を 受 け止 め切 れ な い ま ま,C遭.を 各 種 の 通 園 機 関 に 連 れ 回 す 結 果 にな ったの で はな いか.Mは 不 安 で い ば い で あ り,C慮.の 状 態 が 少 しで も改 善 す る よ う に と祈 りなが ら,通 園 機 関 を シ ョ ッピ ング して いた もの と思 わ れ る. 一 方 ,CLか ら見 る と,Mは い ま だ 「母 な る大 地 」 にな って お らず,自 閉 児 特 有 の 敏 感 さ か ら,C違.も や は り不 安 で い っ ぱ い の ま ま,母 の意 の ま ま に あ ち こち の通 園 施 設 を 連 れ 回 され,そ の結 果,ど こに行 って も(自 分 の家 で さえ も)「 安定 した居 場 所 」 を得 る こ とが で き な か っ た の で は な い か.C乏.か ら見 れ ば母 は 「自分 を いつ もい や な場 所 に連 れ て 行 く人 」で あ って,そ の こ とが,さ らに 母 子 関 係 の成 立 を 遅 らせ たの で はな い か. C躍.の就 学 の 時 期 が 近 づ く に っ れ,Mは C遡.をぜ ひ と も普 通 学 級 に就 学 させ よ う と 思 い,そ の た め に は 「と にか く着 席 させ て課 題 学 習 を させ て ほ しい 」 と焦 って セ ラ ピ ス ト に訴 えて きた. そ こヘ セ ラ ピス トの側 か ら 「母 子 関 係 が で きて い な い」,「 今 ま で の指 導 方 針 を 変 更 し た い 」 と言 わ れ た こ とで,rC遡.が 伸 び な いの は 自分 のせ い にさ れ た 」 とい う思 い と,指 導 方 針 を変 更 され る こ とに 対 す る不 安 や混 乱 が い っせ い に噴 き出 して きた の で は な い か. そ し て,就 学 相 談 で,C乏.の 就 学 先 と し て 「養 護学 校 が 適 当 」 と判 定 され た こ とや,『人間科学研究』文教大学人間科学部第16号 1994年 福 井 ふ み 子 ふだんセラピストから指導を受けている同じ 場所で,いろいろと嫌な目に合ったというこ とが,輪をかけて, Mの足を当機関から遠ざ からせることになったのではないか. すなわち,本事例の場合,
r
c
p.自身の障害 の重さもさることながら,最も強く援助を求 めていたのは,実は母親であり,そのことに 相談員が十分に気づかないまま,子ども中心 の指導を続けた」というのが,問題をこじら せるもととなったのではないか.だからこそ,M
と2
年間もつき合ってきたにもかかわらず,M
の不安は一向に解消せず,問題をCL
の 就学後にまで持ち越させることになったので はないか. 要するに,r
C
f
.
が就学する年齢になるまで,M
が,C
R.の障害の重さを認識することが できなかったことと,そのことをMに十分に 納f
与させることのできなかったセラピストの 力不足Jが2
年間にわたってM
の信頼を得 られていたにもかかわらず,最終的に「中 断Jという形での破局を招く原因になったの ではないかと考えられる. 以下のパラグラフでこれらの点についても う少し詳しく検討してみたい. (2) 最初に立てた仮説と指導方針の誤り さて,このケースの場合,誤っていたと考 えられる点をあげると以下のようになる. ①仮説の立て方の誤り 仮説を立てる際に ,Cf.の問題,母親の 問題,母子関係の問題の3点から考えるべき であった.本ケースの場合は,CL
の問題 が最も日につき,その対応に追われていたた めに,他の二つの問題について考えることが おろそかになってしまった.ここで,その置 き去りになっていた二つの問題について考え てみることにする. ・母親自身の問題 母親に関しては,CL
の問題を受け止め 切れず,困惑しているということには気づか ず,ただの「訴えの多い母親」といったよう なとらえ方をしていた.仮に初期の段階で,T
h
.
A
が「ほんとうに困っているのはM
で あるJということに気づいていれば, もっと 強力に母親担当者を探したかも知れないし, あるいは,子どもの指導を後回しにしても, Mの面接を優先させたかも知れない. ・母子関係の問題 また,来所する子どもが障害児の場合,r
母 子関係jの問題よりも,どうしても「障害」 自体に目が向いてしまい,このケースの場合 に「母子関係jがうまく行っているかどうか ということは,あまり意に介さなかった.逆 に「母(あるいは人との)関係がつかないの は 障 害 の せ い 」 と 考 え 障 害Jの程度が改 善すれば,対人関係もよくなるのではなし、か と考えた. ②指導目標および指導計画の無理 相談開始当初に立てた仮説の誤りもさるこ とながら,CL
の指導目標自体にも無理が あった. 相談開始当初,C
f.に対する直接的な知能検 査ができなかったため,知能の判定は,質問 紙法に頼らざるをえなかった.ところが,質 問紙にチェックした母親自身もCL
の状態 をよくとらえていなかったため (MもCf. の障害を軽く見ていた) ,はっきりとしたデ ータのないまま,知能程度は概ね2
歳くらい という推測で, Cf.の指導を開始することに なった.T
h
.
A
としてはきちんとしたデー タがなくても,行動観察等によって,CL
の障害の重さおよび予後を見抜くべきであっ た. しか L,CL
が 5歳 10か月時になって, やっと田中ビネ一式知能検査にのるようにな り,M A
1
歳5
か月,1
Q24
と出た時にはあ まりの知能の低さに惇然としてしまった.CL
はそれまでの間,時に二語文を話すこともあ り,自閉性の強さのために,潜在的な能力が 表になかなか出てこないのだろうと考えて, 指導計画等を立てていた. また,CL
の場合,来所時の年齢が4
歳 ということもあって,どうしても就学を前に した「課題学習Jというところに目標を置い てしまったが ,Cf.の認知力の弱さ・自閉 A 吐 ウ 4性 の強 さ ・対 人 関係 の まず さ等 を 考 え る と, 2年 間 で そ こま で 伸 び て行 くの は い さ さか 無 理 で あ り,セ ラ ピ ス ト自身 は その こ とを も う 少 し強 く意 識 す べ きで あ った. そ うす れ ば,無 理 な 計画 も立 て なか った し, 母 親 に も初 めか らそ の 旨説 明 して,あ ま り大 きな期 待 を抱 か せ な い よ うにす る ことが で き た か も知 れ な い.そ の あ た り(す な わ ち,Cゑ. の 発 達 予測)に つ いて の 説 明 を十 分 に行 わ な か った た め に,母 親 に過 大 な期 待 を抱 かせ て しま った.ま た,セ ラ ピス ト自身 が立 て た 予 測 か ら見 れ ば非 常 に うま く行 って い る指 導 に 対 して も,母 親 か ら見 れ ば,ま だ まだ 目標 に 達 して いな い とい う印象 を 持 っ こ とに な り, それ が セ ラ ピ ス トに対 す る不 信 感 を 招 く要 因 に もな って しま った. ③ 子 ど もの生 活 にお け る母 親 の 役 割 の 軽 視 Th.Aは,そ れ まで に子 ど もを 持 った 経 験 が な く,子 ど もと24時 間接 して い る母 親 の 役 割 につ いて,ま だ 十 分 に理解 して い なか った. 母 親 の子 ど もに対 す る影響 力 や 育 児 の苦 労, 障 害 児 を持 った母 親 の 不 安,そ れ を支 え る夫 の物 理 的 ・精 神 的援 助 な どにっ い て実 感 が な か った.ま た,親 子 の縁 は生 涯 に わ た って 続 くとい う点 に つ い て も十 分 に認 識 して い な か った. 従 って,母 親 が 子 ど もの状 態 を 十分 に受 け 止 め,母 親 自身 が 精神 的 に落 ち着 く こ と に よ って,子 ど もへ の 対応 が変 化 し,結 果 的 に子 ど もの 状 態 が 改 善 して い くこ と も大 い にあ り うる,と い う風 に はま だ考 え 到 って いな か っ た.ま た 逆 に,母 親 の 子 ど もに対 す る対 応 の 仕 方 が,子 ど もの 発 達 に とって 「阻害 要 因 」 とな る こ と もあ り うる,と い う風 に は まだ 考 え て い な か った. ④Th.A自 身 の 未 熟 さ と出産 に よ る変 化 これ は 「誤 り」 とい うわ け で は な いが,Th. A自 身 がC乏.のMと 同 じ年 齢 で あ り,相 談 員 と して の 経 験 も浅 か った.そ れ に,Cl. の 指 導 期 間 中 に,Th.A自 身 が 母 親 に な っ た こ とに よ る心 理 的変 化 も大 きい と考 え られ る.そ れ まで は,自 閉 児 を 「一 人 の 人 間 」 と して よ り も,「 指 導 の 対 象 」 と して 見 が ちで あ った の が,自 閉 児 に と って もや は り家 庭 は あ るわ けだ し,母 子 関 係 の 果 た す役 割 も大 き い とい うこ と に,相 談 員 自身 が 初 あて 気 づ い た わ けで あ る.何 と言 って も子 ど も と24時 間, そ して何 十 年 とい う将 来 にわ た って も付 き合 って い くの は親 な のだ と い う点 にセ ラ ピス ト 自身 が気 づ い た こと の意 味 は大 きい. ⑤Th.Bの 未 経 験 さ と産 休 後 の 担 当 者 交 替 の問 題 Th.Bが 自 閉 児 を 指 導 した 経 験 が 殆 どな い こ と は,引 継 ぎの 時 点 か らわ か って お り, 引 継 ぐ2か 月 ほ ど前 か ら,Th.Aの 指導 の も と に,C君.と の接 触 に慣 れ て も らった.Th.Bは 経 験 が な い わ りに はC遭.に柔 軟 に接 し,C違.も Th.Bに 慣 れ て 自分 か ら積 極 的 に 接 近 して い くよ うにな った. Th.Aの 産 休 明 け の 担 当 者 に つ い て は, 産 休 が 明 け た 時 点 で 再 び検 討 す る と い う こ と に な って い た が,実 際 に は,Th.Aが 職 場復 帰 す るや いな や,C乏.の ケ ー ス はTh.Aの 手 に戻 され た.Th.Bに して み れ ば,Th.Aの 産 休 期 間 中 の4か 月 間 だ けC遡.を担 当 し, しか も,Th.Aの 指 導 方 針 を あ る程 度 引 き 継 が な け れ ば な らな か った とい うこ とは,あ る種 の や りに くさ を感 じた で あ ろ う.し か し, や は りC逆.の 障 害 の 重 さ やrMの ク ラ イ エ ン トと して の 大変 さ」 が,ま だ相 談 員 に な り 立 て のTh.Bに と っ て は大 き な 負 担 だ っ た に違 いな い. Th.Aは 産 休 後,Cゑ.がTh.Bに 非 常 に慣 れて い る様 子 を 見 て,子 ど もの 方 の担 当だ けで も, も う しば ら く続 け て も らえ な い か とTh.B に 頼 ん だ が,Th.Bか ら は そ の こ と に っ い て 消極 的 な解 答 しか 得 られ なか った. ⑥ 指 導方 針 変 更 に よ る混 乱 Th.Aの 産休 明 け のC遡.の状 況 を 見て,C乏. に対 す るそ れ まで の指 導 方 針 を変 更せ ざ るを え な くな っ た わ け だ が,Th.Aに は そ の こ と につ い て十 分 に考 え る時 間 的余 裕 が なか っ た.思 い 切 って指 導 を1回 休 み に し,方 針 変 更 につ い て 十 分 に 時 間 を と って考 え れ ば よか
『人間科学研究』文教大学人間科学部第16号 1994年 福 井 ふ み 子 ったと思われる. また,
T
h
.
A
は「このままではいけない」と は気づいたものの,今後取るべき新たな方針 について,自分自身も混乱しており,その混 乱にMをも巻き込む結果になってしまった. ⑦母親の側の問題 このケースの場合は,M
自身の母親として の未熟さ,考えの固さ,狭さなども見逃すこ とができない(もちろん,そのこと自体もセ ラピストが念頭に置かなければならないこと の一つであるが) . ・母親としての未熟さ Mが当機関に来所する以前に受けた各相談 機関での説明が不十分だったということもあ るが,M
はCL
が4
歳 半 に な る ま で 母 子関係」ということについて全く理解してい なかった.自閉児の母としては無理もないこ とだが, Mは時間さえかければ母子関係は作 られると思い,CL
に対して全く見当違い の接し方を続けていた. ・考えの回さ・狭さ M はCl.のために転居までして,毎年の ように通園機関を変えていたが,就学時期に なっても ,C
P
.
の「障害の重さ」を理解す ることができなかった. また,M
は,それまでのいろいろの事情も あっただろうが,あくまでも自分の信念にこ だわり,CL
の面倒を親身になってみてく れた通園機関のスタッフのアドバイスに耳を 傾けることができなかった. ・本ケースの母親の特異性 最後に,この母親の特異性について言えば, 子どもの障害を受容できなかった理由として, 母親自身の劣等感との同一視(4)が考えられる のではないか.すなわち,落ちこぼれの自分 が落ちこぼれの子を生んだ,というふうに, 自分の人生の根幹にある劣等感と子どもの障 害とを,無意識のうちに,ダブらせて考えて しまったのではないか. セラピス卜が,初期の段階から,この母親 の「劣等感Jに気づき,もっと受容と共感に 満ちたカウンセリングを行っていれば,状況 は変わっていたかも知れない.すなわち,ど うして自分の子どもに対して,前述のような 感情を持つようになったのかが,母自身の口 から,母自身の生い立ちをも含めて語られた かも知れない. ⑧母親に対する対応の誤りT
h
.
A
は,M
に対する一対ーの面接の必要性 を感じてはいたが,スタッフの関係で母親 担当者が見つからないまま,事態は進行し ていった.けれども,T
h
.
A
は一人で母子を担 当しながら,時間的余裕と自分の余力があ る限り,M
の話も聞いていこうと考えてい た. 来談者中心療法のトレーニングを受けてい たT
h
.
A
は,M
の話を「ウンウン J と聞い でさえいけば,問題は解決するものと考えて いた.だが, Mがその方法によってある種の 「洞察jを得るには,そのための条件一一 「静かな部屋で,充分に時間をとってMの話 を聴いてもらう」という条件が満たされてい なければならないということまでには,考え が及ばなかった.子どもが騒ぐうるさい廊下 での短時間の立話では到底これらの条件が満 たされるはずもなかった. このことはセラピスト自身についても言え た.T
h
.
A
は,落ち着かない廊下での立話 の中で, Mの勢いに押され, Mの焦りに巻き 込まれていった.セラピスト自身も静かな面 接室の中で, Mの話をじっくり聴くことがで きれば,M
'
こ対する応答も,また変わってい たかも知れない. また,M
自身も「自分の話を聞いてもらう ことが必要である Jという認識があまりなか った.もし, Mの方から「面接の必要性Jを 強く訴えられれば,セラピストの対応もまた 違っていたかも知れない. ⑨相談機関自体の抱える問題 このような難しいケースと対応するにあた って,相談機関の限界が見えてきた.具体的 にあげると,以下のようになる. ア)殆どの相談員が非常勤で構成されている ために,母子平行面接を行おうとしても出-
76-勤 日が 一 致 しな い こ とが 多 い. イ)待 遇 が悪 い た めか,ス タ ッフ に経 験 の 少 な い若 い人 が 多 く,母 親 面接 あ る い は家 族 面 接 な どので き る人 が 少 な い. ウ)イ ンテ イ クの シス テ ムが きちん と して お らず(現 在 は整 備 され た),た ま た ま少 し 話 を 聞 い た だ け の ケ ー スを,相 談 員 の得 手 不 得 手 にか か わ らず,ず っ と担 当 す る こと にな る. エ)担 当 者 の専 門 性 の 問題 当 機 関 の場 合, 本 ケー ス来 所 当 時,幼 児 の相 談 を 担 当す る 者 が4名 く らい しか お らず,し か も,自 閉 児 の 場 合 に はTh.Aし か 担 当 で き る 者 が い なか った(現 在 は,言 語 療 法 士 も採用 さ れ て い る)。 オ)臨 床 心 理 士(有 資 格 ・無 資 格 を 含 む)・ 教 職 経 験 者 な ど い ろ いろ な経 歴 の人 が 集 ま って い るため,研 修 の レベ ルが 上 が らな い. カ)相 談 中 に困 難 な問 題 に直面 して も,相 談 員 だ け の 力 で 解 決 す る こ とが 難 しい.ま た,担 当者 の 変 更 もな か な か で き に く い (現在 はス ーパ ーバ イズ ・シス テ ムが 採 用 され た)。 キ)相 談 員 の上 に立 っ者 が,事 務 系 の た め, 相 談 が うま く行 か な くな った 時 の 責任 体 制 が とれ な い. ク)同 じ場 所 で 「相 談 業 務 」 と 「判 定 業務 」 を 行 って い るた め に,「 相 談 す る と特 殊 学 級 にや られ るの で はな いか 」 とい う利用 者 の 不信 感 を 招 きや す い. (3)ま と め 本 ケー スで は,子 ど もの指 導 にば か り重 点 を お き,母 親 指 導(あ る い は カ ウ ンセ リング) を 十 分 に 行 わ なか ったた め に,ケ ー スの 中 断 と い う最 悪 の事 態 を招 いて しま った.本 ケ ー ス の よ う に,母 子 と もに問 題 の大 き い ケ ー ス に対 して は,一 人 の相 談 員 が単 独 で 対 処 す る よ り も,母 親担 当相 談 員,医 師,で きれ ば ケ ー ス ワー カー や言 語 療 法 士 な どの協 力を 得 て 対 処 して い く こ とが望 ま しい.今 回 の場 合, ① 最 初 に 対 応 した相 談 員が 問 題 の重 大 さ に な か な か気 づ か な か った こと,② 相 談 室 全 体 の バ ッ ク ア ップ 体 制 が 十 分 に と られ な か っ た こ と,と い うよ り,③ 当 機 関 が,「 教 育 相 談 」 と は全 く趣 旨の 異 な る 「就 学相 談 」 を 同 時 に行 って い た こ とで,か え って 教育 相 談 の 足 を ひ っぱ る結 果 にな って しま った こ とな ど が,問 題 を よ り大 き くさせ て しま った と思 わ れ る. 今 後 は相 談 員 自身 の 資 質 向上 と と もに,相 談 機 関 全 体 と して の体 制 整 備 が 課 題 とな るで あ ろ う. 4.お わ り に 以 上,筆 者 の経 験 した事 例 につ いて 述 べ て きた が,こ こで 言 え る こ とは,自 閉 児 の 問 題 は長 い 目で見 な け れ ば な らな い,と い うこ と で あ る.自 閉 児 と社 会 との 関 わ り合 い は,そ の 子 が 生 きて い る間 中,ず っ と持 続 す るの で あ る.自 閉児 の親 ・兄弟 が そ の子 に関 わ り続 け るの は もち ろん で あ るが,子 ど もが 幼 い時 期 は,病 院 ・保 健 所 ・通 園 施 設 ・幼 稚 園 ま た は保 育 所 との 関 係,そ の後 は,小 ・中 ・高 校 及 び地 域 との 関 係,高 校 卒 業 後 は職 場 や デ イ ・ケ ァ ・セ ン タ ー との 関係 な ど,一 生続 くわ けで あ る.そ の 中 で,自 閉 児 が いか に,幸 福 で,不 安 少 な く生 きて い け るか,あ るい は人 々 に愛 され,社 会 の 中で 一 定 の役 割 を担 って 生 きて い け るか は,自 閉 児 本 人 に と って も, ま た,彼(ま た は彼 女)を 取 り巻 く人 々に と って も,大 変 重 要 な問 題 で あ る. そ の子 が,人 に多 少 迷 惑 を か けつ っ も,自 分 の 好 きな こと を見 っ け て,楽 し くの びの び 生 きて い くか(2),あ る い は,人 の い う こ と は ロ ボ ッ トの よ うに き くが,休 憩 時 間を 自 由 に 使 い こな せ な い よ うな人 間 に な る か は,自 閉 児 を 取 り巻 く周 囲 の 人 た ち が,「 自閉 症 」 と い う障 害 を どの よ うに考 え,彼 ら とど の よ う に接 して い くか に よ って,大 き く変 わ る よ う に思 わ れ る. 変 化 を 嫌 う 自閉 児 た ち の 行 動 変 容 を促 す こと よ りも,か わ らな け れ ば な らな い の は, 彼 ら を 受 け容 れ る 社 会 の 方 な の で は な か ろ うか.
r人 間 科 学 研 究 』 文教 大 学 人 間 科 学 部 第16号1994年 福 井 ふ み子 付 記 本 研 究 は事 例 研 究 で あ るた め,当 事 者 の プ ライ バ シー に配 慮 し,論 文 の本 旨が くず れ な い 程度 に,脚 色 を 施 しま した.