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JRC2010 合同企画産学連携セミナー CT/MRI volume scan 時代における volume data 活用術 ネットワーク型ワークステーション ( 雷神 ) を用いた日常臨床での有用性 熊本中央病院放射線科片平和博先生 ネットワーク型ワークステーション導入の利点 64 列 CT 時代

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CT/MRI volume scan時代における

volume data活用術

─ネットワーク型ワークステーション(雷神)

      を用いた日常臨床での有用性─

ネットワーク型ワークステーション導入の利点

 64列CT時代の到来以降、心臓CT件数は増加し続け、その 結果、大血管その他の3D画像処理も非常に増加しているほか、 MRIもvolume撮像時代になっており、各施設とも1台のワークス テーションでは処理能力を超えているのが現状である。  このような環境下でのネットワーク型ワークステーション導入は、 ワークステーションの遠隔操作を可能とし、複数ユーザで同時に異 なる症例を観察できるだけでなく、ネットワークを介して画像閲覧の みでなく解析も可能とする。  ここでの最大の利点は、解析結果保存後は、解析後画像を volume dataのまま読影者が確認できるというメリットを享受できる ことである。また、複数のPCで解析可能であるため、1台のワー クステーション導入により、あたかも数台のワークステーションを導入 したかのような効果があり、初期導入費用が安価である。  院内HIS端末で解析データを用いたvolume読影は、診断に最適な 情報だが、通常はワークステーション上のみで可能である。しかし、ネッ トワーク型ワークステーションでは解析データを保留データのまま保存する ことにより、外来あるいは病棟など様々な場面でCPR画像をvolume読 影することができる。そのため、正確な冠動脈狭窄診断や、解析後の VR画像をHIS端末画面上で自由に回転させることにより、患者により 分かりやすい、インパクトのある病状説明を行うことを可能としている。

熊本中央病院におけるvolume data読影

 当院ではネットワーク型ワークステーションとしてAZE VirtualPlace雷 神を導入している。volume読影法としてはSliding thin slab MIP法 というものを考案して臨床応用している。これは心腔内の造影剤 の影響を受けない薄いslab厚(5〜10mm)のMIP画像で、冠動 脈の読影では、冠動脈を良好に描出できる断面をマウス操作で任 意に変えながら、かつ中心回転軸も冠動脈に沿って移動させて読 影する方法である。冠動脈CT/MRI画像診断でのSliding thin slab MIP法の有用性としては、①簡便である、②画像再構成は 不要で急患での対応が可能、③院内HIS端末のいずれでも閲 覧・作成可能、④死角が少ない、⑤通常は解析なしでは分から ない細かな冠動脈分枝までくまなく観察できる、⑥冠動脈造影 (CAG)と同一角度に固定して観察すると経皮的冠動脈形成術 (PCI)前のマッピングにもなる、などがあげられる。  いずれにせよ病変は必ずaxial面で再現されるわけではなく、 様々な角度から観察できるSliding法は非常に有用性が高いと考 えられる。症例を提示しながら、その有用性を示す。 熊本中央病院放射線科

片平 和博

先生

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図2 左冠動脈前下行枝の狭窄評価を行った76歳女性の症例 図1 70歳女性の胸痛例

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症例提示

1. 症例1:胸痛の70歳女性(図1)

 CPR画像は撮影角度が甘く、冠動脈に狭窄様病変は明瞭に 確認できず、MRI施行では狭窄が確認された症例であるが、 Sliding thin slab MIP法を用いて左冠動脈前下行枝に沿って 様々な角度に画像を回転させることで、CT像でも狭窄を良好に視 認できる。

2. 症例2:左冠動脈前下行枝の狭窄評価を行った76歳女性(図2)

 CT像では左冠動脈前下行枝の起始部に高度狭窄様病変が 確認できたものの、冠動脈カテーテルではそれほど高度な狭窄と は評価されなかった。Sliding thin slab MIP法によりCT像をカ テーテルと同じ角度にして再度観察すると、冠動脈カテーテルでの 評価と同様に軽度狭窄と評価された。Sliding thin slab MIP法 でこの狭窄病変を詳細に観察すると、CPR画像で高度狭窄と見 えた部分は、冠動脈カテーテルでは撮影できない頭上からの角度 で偏心性の有意狭窄であることが分かる。 3. 症例3:肺塞栓症の78歳男性(図3)  Sliding法による読影は、心臓領域以外の病変評価でも有用性 が高いことが多い。肺上部からaxialで画像を読影していく場合、 部位によっては小血栓の評価が困難な場合も少なくないが、この 症例ではSliding thin slab MIP法でMPR画像からMIP画像に 変換し、肺動脈を中心に画像をマニュアルで回転させることで、 小血栓の診断が可能になった。Sliding法では血管に沿って画像 を読影することが可能であり、この結果として全ての肺動脈の評 価がより簡便に行えるという特徴が、この症例に良く表れている。 4. 症例4:胸部異常陰影の59歳男性(図4)  CT像では右肺に異常を認めるものの、axialでの診断は困難で あった。これも異常が見える地点からSliding法で冠状断や矢状 断を読影することで、胸膜周辺に多数の結節様の病変が確認で き、乾性胸膜炎と診断できた。通常のCT撮影では、この症例の ような葉間に沿った播種性病変の把握は困難なことも少なくない が、Sliding法ではより明瞭な病変の把握が可能である。 5. 症例5:イレウスの評価を行った76歳男性(図5)  腹部領域でもSliding法の有用性の高いケースは少なくない。と りわけイレウスの詳 細 評 価ではSliding法の1つであるSliding MPR法でvolume dataを読影することは極めて有効な方法であ る。通常イレウスはvolume dataの冠状断で10 °程度傾けると病 変の読影が容易なケースが多いが、ここで提示したのはより診断 困難な症例である。  上部から下部まで腸管が広範囲に拡張しており、axialでは原 因部位の特定が困難な症例である。Sliding MPR法で拡張と拡 張の間に確認された狭窄があると思われる1点を特定し、この部 分を中心に360 °回転することで、RAO21° CRA17 °で最も良好に 病変が再現された例である。この症例ではSliding MPR法により 上腸間膜静脈の狭小化や末梢側の脂肪組織の濃度上昇など、よ り詳細な病状の把握も可能であり、最終的には絞扼性イレウスと 診断されている。 6. 症例6:頸椎症の55歳男性(図6)  整形外科領域での応用では、腰椎に関しては日常臨床ではMRI を用いることが多いと思われるが、この際に側方狭窄例を見落とす ことが少なくないと指摘されている。これについてはisotropic voxel volume T2WIで撮影 し、axialで 再 構 成し た画像を1mm間隔で 観察することで見落と しを防ぐことができる。  また、 頸 椎は特に 椎間孔が元来非常に 小さいため、頸 椎 症 に伴う椎間孔狭窄では、 症例によっては診断難 易度が高まる。提示した 55歳男性の頸椎症の 症例は、isotropic voxel volume T2WI撮影を JRC2010合同企画 産学連携セミナー 図5 イレウスの評価を行った76歳男性 の症例 図4 59歳男性の胸部異常陰影の症例 図3 78歳男性の肺塞栓症の症例

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axialで再構成した volume dataをSliding MPR法を用いて読影 することで椎間孔狭窄の診断が容易になった実例である。これ以 外にも膝関節前十字靱帯損傷での微小な損傷など、Sliding MPR法によるvolume dataの読影により、損傷部位の特定が可 能になるケースもある。 7. 症例7:膀胱癌の57歳男性(図7)  泌尿器科領域での有用性を示す症例を提示する。膀胱癌は尿 細胞診陽性や血尿を契機にMRI撮影を行った場合、明確な異 常が検出できず、画像上を精査すると、微小な乳頭状の隆起部 位がようやく視認できる程度という経験がしばしばある。提示した症 例ではisotropic voxel volume T2WIを用い、Sliding MPR法 で結節性の微小な癌細胞を発見することができている。

4D診断

 現在のネットワーク型ワークステーションではデータがサーバ上に存 在すれば、病棟、外来を問わず4D診断も可能になっている。例え ば、左室心尖部が収縮しなくなり左室壁運動が「たこつぼ」のような 形態を呈することで知られるたこつぼ型心筋症などは、時間軸情報 が加わった結果として動きを伴う4D診断が有用な典型例である。  また、4D診断が有効な実例としては大動脈解離がある。冠動 脈バイパス術歴がある48歳男性の大動脈解離症例を提示する (図8)。この症例では4D診断により、フラップの激しい動きやエン トリーの位置、右冠動脈が正常に心腔から出ている状況、スタン フォードA型の解離が大動脈弁の動きに大きな制限を与えていない ことなど、多くの所見を簡便に読影できている。  一方、頻脈のある症例ではその影響による画像のブレが原因 で、冠動脈狭窄の偽陽性や診断困難な部位での狭窄病変の検 出不能など、冠動脈描出能が低下することが指摘されている。こ の欠点を補完するためにもネットワーク型ワークステーションを使っ てSliding thin slab MIP法で4D診断を行うという手段は有用で ある。

 頻脈がある狭心症疑いの82歳男性の症例を提示する。CPR画 像では第一対角枝(D1)起始部に冠動脈狭窄を疑わせる所見が確

認された(図9a)ものの、心拍動に同期させた4D Sliding thin

slab MIP法での評価では、フェーズによっては狭窄が疑われたD1 起始部が開通している状況が確認でき、最終的には狭窄なしと診

断された(図9b)。この現象が意味していることは、1本の冠動脈を

1つのフェーズの画像のみで評価をするのは困難ということである。  いずれにせよ頻脈などによるブレが多い症例では、Sliding thin slab MIP法による4D診断は、同じSliding thin slab MIP法によ る3D診断と比較しても、診断特異性が大幅に向上するというメリッ トが指摘されている。

心臓CTの有用性

 心臓CTは糖尿病や高脂血症などのハイリスクな背景を有する 症例での冠動脈スクリーニング、CAG拒否例で冠動脈精査、PCI やCAGBの施行後の経過観察などを始め、様々な有用性が指摘 されている。  なかでも現在、心臓CTの重要性が高まりつつあると指摘され ているのが急性の胸痛、すなわち虚血性胸痛に対する診断と治 療である。  急患の胸痛患者が来院した際には、病歴・身体所見や12誘 導心電図を用いて評価を行うことになるが、心電図で正常あるい は診断不能とされた患者では、確実に冠動脈疾患の可能性を除 外できているか、ひいては患者を帰宅させて外来での経過観察に 移行しても良いかの正確な判断は専門医でも難渋することがある。  現在では、このような症例では心筋損傷のマーカーである心筋 トロポニンの測定と心電図の変化を一定時間経時的にチェックする ことを併用して行うことが有効であるとされているが、心電図による 経時的チェックが行われなかった時代には病変を見逃して患者を 帰宅させてしまう誤診が数%存在し、結果として患者の予後悪化 につながってしまう事例も報告されていた。  近年は、急性の胸痛患者に対しては経過観察ベッドを導入し、 心電図などを8時間以上経時的に観察するようになっているもの の、頻回な心筋マーカーや心電図チェックの身体的負担や費用な どの問題点が指摘されており、これをカバーする戦略としてCTは 有用といわれている。  実際、JACCに掲載されたHoffmanらの報告では、心電図、ト ロポニンいずれも陰性の胸痛患者368人を対象にCTアンジオグラ

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図7 57歳男性の膀胱癌症例 図6 55歳男性の頸椎症の症例

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フィーを施行した前向きコホート試験では、50%で異常なし、31% でプラークのみ、19%で有意狭搾もしくはinconclusive studyで、 半数の患者で急性冠症候群の可能性を除外でき、CTアンジオグ ラフィーはリスクの少ない急性の胸痛患者で初期トリアージとして感 度や陰性適中率の特異性が高く有効だったとしている。また、同 じJACCに掲載されたGoldsteinらの報告では、やはりトロポニンと 心電図のチェックで陰性だった急性胸痛症例197例を、マルチス ライスCT群と心電図などによる標準経過観察群に無作為に割り付 けて検討を行ったところ、CT群では直後の心臓CT施行により、 75%の症例で陰性・陽性の確定診断がつき、診断時間と費用を 有意に削減できたとしている。  胸部不快感で来院した73歳男性の症例を提示する(図10)。外来 での検査では心電図、トロポニンは正常で、帰宅の是非を判断す るためCTを施行した。Sliding thin slab MIP法でみると、冠動 脈の欠損が確認でき、心筋に沿って画像を観察すると、欠損が 見つかった冠動脈の支配領域に血流が悪い部分も発見され、迅 速にPCI実施へ移行できた。

心臓CTをさらに普及させるために

 このような心臓CTの有用性の高さを反映して、近年では一般 的に心臓CT検査は増加し、それに反比例するかのようにCAG は減少する傾向が指摘されている。当院の心臓関連検査でも同 様の傾向を認めているが、一方で増加傾向だった心臓CT検査 件数が近年は頭打ちになりつつあるという新たな現象も生じている (図11)。この背景には、CT画像の再構成には手間がかかるた め、各施設が有するマンパワーの範囲内で実施できるCT検査件 数には自ずと限界があるということを意味している。  このような状況下でマンパワーを単純増加するという方策は取り にくく、むしろマンパワー不足の解消に資する検査後処理に負担を かけない解析・読影システムの必要性が高まっている。  心臓CTが限りなくルーチン業務として普及するためには、最新 のCT装置の導入も含めた心臓CTの前処置簡便化、ネットワーク 型ワークステーションの導入とともに、ワークステーションによる自動 解析機能の強化が重要であり、例えばAZE Auto Analyzerのよ

うな自動解析ソフトの導入も1つの方法である。このソフトでは元デ ータをナビゲーターで人手を要することなく自動解析し、それにより 即時にvolume dataの読影が可能になる。今後もワークステーシ ョンによる一層の自動化・業務効率化によって心臓CT検査数の 制約がなくなることを期待していきたい。 JRC2010合同企画 産学連携セミナー 図11 熊本中央病院心臓関連検査件数 図10 胸部不快感で来院した73歳男性の症例 図9 頻脈がある狭心症の疑いの82歳男性の症例 図8 冠動脈バイパス術歴がある48歳男性の大動脈解離症例 a b

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治療用医用画像処理

ハーバード大学医学部准教授 ブリガムアンドウィメンズ病院 放射線科画像誘導手術プログラム技術部長 研究室:http://www.snrlab.org

波多 伸彦

先生

治療用画像処理とは

 治療用画像処理という言葉がある。これが診断用画像処理と どのように違うのかを詳述すると、治療用画像処理とは、治療現 場で役立つ画像処理を行うことである。すなわち治療そのものを 可能にし、あるいは治療成績を向上させ、有用な情報を多く提供 することで術者自身の手技の理解を深め、コンフィデンス・レベル (自信度)を向上させるといった、実地臨床に直接的に良好な結果 をもたらす画像処理を意味する。  治療用画像処理の代表例が画像統合で、これは術前検査で 撮影された画像を術中画像に統合して欠如した情報を補完すると いうものである。ただ、画像統合といっても術前MRI、CT、術中 CTの撮影の間に撮影体位や呼吸状態などにより臓器が変形する ことは既によく知られたことであり、過去の変形に対応していない 画像統合技術では、現在の臨床現場では厳密な意味では応用 は不可能となっている。

3Dスライサーを利用しての3次元統合

 我々の研究室では、B-Splineという臓器の変形をコントロールす る数式を活用した、変形画像統合に関する研究を進めている。  最新の研究成果として、我々の研究室に所属する小黒草太氏 による報告を紹介する。CT誘導下で凍結融解壊死治療を行った 腎臓癌11例、平均腫瘍径23mmでのB-Splineを用いた変形画 像統合をレトロスペクティブに検討した研究である(図1)。  術前に撮影されていた3テスラのMRI画像を手術開始時のCT 画像に3Dスライサー(http://www.slicer.org)というオープンソー スのソフトウェアを利用して3次元統合を行っている。左腎細胞癌 の63歳女性の症例を提示する(図2)。2つの画像での腫瘍病変 の合致率を示すDSCは0.99、両病変の外周のズレを定量化した 95%HDが0.8mmであり、臨床応用には十分に耐え得る成績と なっている。  さらに、現在では時間軸情報も加えた4次元での変形画像統合 も視野に入り始めている。その1つがMRI Lung変形解析と呼ば れるものである(図3)。患者の胸部に自作の128チャンネル・レシー

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• DSC = 0.99

• 95% HD = 0.8 mm

Pre-procedural MRI Intra-procedural CT Registered Image

図3 MRI Lung 変形解析(4次元での変形画像統合) 図2 左腎細胞癌の63歳女性の症例

図1 腎臓を対象とした画像統合

• Rigid registration

(Giele et al. 2001, de Senneville et al. 2008)

– Do not consider elastic deformation in kidney

• Non-rigid or deformable registration

(Zollner et al. 2009)

– Can consider elastic deformation in kidney

• No studies reported for image registration during

any cryoablations of the kidney

•+

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バーコイルを装着し、3テスラのMRIで3D-FLASH法によって1.6 秒1フレームの間隔で肺の撮影を行い、術前と術中の変形画像統 合を行うものである。各撮影フレーム間の変形統合を行うことによ り、肺の動きを補正している。現在、肺での放射線治療で呼吸な どの動きを補正してより効率的な治療につなげるという動きが進ん でおり、こうした画像情報を得られれば、予め患者特有の肺の動 きなどを把握できるなど、非常に有用性の高いものである。

4次元変形統合とMRIトラクトグラフィー

 現在、4次元変形統合画像データは、様々な局面での応用に 期待が高まっている。心臓カテーテル術での心臓CT、MRI、経 食道心エコー検査(TEE)、手動操作式心臓内心エコー検査 (ICE)などの変形画像統合の研究も進展し、アメリカのメイヨーク リニックでは一部臨床応用が進んでいる。もはや術前MRIデータ を3次元の超音波術中データとリアルタイムで統合して手術すること も既に夢ではなくなってきている。  また、画像統合の応用として脳神経外科領域で利用されている MRIトラクトグラフィーを術中に利用する動きも始まっている。MRIト ラクトグラフィーでは神経線維の走行が明らかとなるが、これに現 在研究されている治療用画像処理のオープンソース・ソフトウェア の3Dスライサーを用いることにより、同一系列の神経を束としてと らえ、EMクラスタリング(図4a、b)と呼ばれる手法で同一神経束 毎に色分けをした3次元画像データを提供することができる。脳腫 瘍の症例ではこれを応用することにより、腫瘍周囲にどのような神 経走行があるのかを把握し、運動野を司るような重要な神経束が 腫瘍の周囲にある場合などは、予めこうした神経束を手術で損傷 しないよう情報を提供することも可能になる。

術中での3Dスライサー

 現在、ハーバード大学医学部関連病院の1つであるブリガムアン ドウィメンズ病院で行われている、術中での神経束トラッキングで は、市販されている脳神経外科手術用のナビゲーションソフトウェア 「BrainLab」と3Dスライサーを組み合わせて利用している。確実 性、精度、安定性をもとに機能を特化している「BrainLab」と日進 月歩で進化を続けている3Dスライサーの柔軟性、先進性を組み 合わせることで、相互補完的に活用するという実例である。個人 的には特定企業のプロモーション活動を行うつもりはないが、いわ ば産学連携の理想的な姿であり、またその最先端ともいえる状況 である。  実際に手術現場では、ナビゲーション画像と3Dスライサー画像 が術者の前方の左右別々のディスプレイに表示(図5)され、ナビ ゲーションデータがリアルタイムで3Dスライサー画像に反映されてい る。これにさらに手術野にファイバースコープを入れてその情報も 反映させることで、より正確な手術を可能にしている。

まと め

 診断用画像処理が単独のワークステーションでも対応できるのと 異なり、治療用画像処理は診断機器、治療機器との連携が必須 であり、研究戦略においても診断分野と治療分野がどのように連 携するのかは非常に重要な問題となる。そして画像処理と治療が より一体化することで、これまで治療が不可能だった症例で新たな 戦略での治療を実現できる可能性を秘めているのである。 JRC2010合同企画 産学連携セミナー Mahnaz Maddah , GE

Westin et al, Med Image Anal, 2008

図5 手術現場のディスプレイ

参照

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