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福岡大学人文論叢48-2

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(1)

1. はじめに

 韓国語の先語末語尾‘-㔲(si)-’は素材敬語として動作や感情の主体に対す る敬意を表す。しかし、近年これから逸脱する形で、(1)のように無情物など に‘-si-’が用いられることがある。特にデパートやホテルなどのサービス業 界で多く見られる特殊な用法で、「事物尊称」、あるいは「百貨店敬語」と言わ れている(以下「事物尊称」と呼ぶ)。  (1) (コーヒーショップで、店員が客に) G 㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㔋┞┺.

amelikano  nao-sy(si)-eoss-seubnida. アメリカン 出てくる -SH-PST-POL1-DEC アメリカン、出てこられました。  本研究では、このような先語末語尾‘-si-’が素材敬語から対者敬語へとそ の機能が拡張していることを明確にした上で、日本語の敬語表現との比較を行 い、日韓両言語の敬語変化における類似点と相違点を明らかにすることを試み 福岡大学言語教育研究センター外国語講師

韓国語の先語末語尾‘-㔲(si)-’の

対者敬語化

   日本語との比較   

丁     仁  京   

* *

(2)

る1。  本稿の構成は、以下の通りである。まず、第 2 節では、韓国語の先語末語尾 ‘-si-’の用法について、規範的な用法と非規範的な用法に分けて紹介する。第 3 節では、主に非規範的な用法である‘-si-’について言及した先行研究を概観 する。第 4 節では、‘-si-’が対者敬語として機能する条件とその機能の拡張に ついて考察を行う。第 5 節では日本語の敬語表現と比較を行い、日韓両言語の 敬語変化について統語論・語用論・社会言語学の側面から考察を行う。最後に 6 節でまとめを行う。

2. 先語末語尾‘-si-’の用法

2.1. ‘-si-’の規範的な用法  韓国語の敬語は、日本語と同様、素材敬語と対者敬語に分かれる。素材敬語 の代表は主体尊敬を表す先語末語尾‘-si-’である2 。(2)は‘-si-’を用いない例、 (3)は‘-si-’で主体(主語)である「㍶㌳┮(先生)」に対する敬意を表した 例である3 。  (2) 䂲ῂṖ 㡾┺. chingu-ga  o-n-da. 友達 -NM  来る -PRE-DEC 友達が来る。 1 本研究は、2015 年 10 月に行われた朝鮮学会第 66 回大会にて口頭発表した内容に加筆・ 修正を加えたものである。 2 先語末語尾‘-si-’は、母音語幹とඥ(リウル)語幹につく場合は‘- 㔲(si)-’、ඥ(リ ウル)語幹以外の子音語幹につく場合は‘- 㦒㔲(eusi)-’となる。 3 韓国語ローマ字表記は、韓国文化観光部のローマ字表記法(第 2000-8 号)に従う。ま た、韓国語文献や例文の日本語訳は筆者による。

(3)

 (3) ㍶㌳┮㧊 㡺㔶┺.

seonsaeng-nim-i  o-si-n-da.

先生 - 様 -NM   来る -SH-PRE-DEC 先生がおいでになる。  ‘-si-’はまた、主体の身体部分や所有物の属性を述べる文に用いて、間接的 に主体である人物に対する敬意を表すこともある。次の(4)(5)(6)では、「㍶ ㌳┮(先生)」「㞚⻚㰖(父)」「ἶṳ┮(お客様)」の所有物である「䋺(背)」「㰖 䕷㧊(杖)」「㎇䞾(お名前)」の属性を述べる文に‘-si-’が用いられている(䠞 㤛(ホ・ウン)1962 など)。  (4) ㍶㌳┮㦖 䋺Ṗ 䋂㔲┺ .

seonsaeng-min-eun  ki-ga   keu-si-da. 先生 - 様 -TOP    背 -NM  高い -SH-DEC 先生は背がお高い。

 (5) 㞚⻚┮℮⓪ 㰖䕷㧊Ṗ 㧞㦒㔲┺.

abeo-nim-kke-neun  jipangi-ga  iss-eusi-da. 父 - 様 - に -TOP   杖 -NM   ある -SH-DEC お父様には杖がおありだ。

 (6) ἶṳ┮ ㎇䞾㧊 㠊⠑Ợ ♮㕃┞₢ ?

gogaeg-nim seogham-i eotteoh-ge doe-si-bnikka? 顧客 - 様 お名前 -NM どのよう - に なる -SH-POL1-Q お客様のお名前は何とおっしゃいますか。

 『㡆㎎䞲ῃ㠊㌂㩚(延世韓国語辞典)』(延世大学校言語情報開発研究院 1998)では、‘-si-’には①行動や状態など述語の主体を高め尊敬する意味を表

(4)

す場合((例 7))と、②尊敬の対象になる人物と関連する体の一部や所有物な どが主体である文に用いられ、その人物を間接的に高める場合((例 8))があ ると記述されている。

 (7) ㍶㌳┮,㠊❪ Ṗ㔲⓪ ₎㧊㎎㣪 ?

seonsaeng-nim eodi ga-si-neun gil-i-se-yo?

先生 - 様 どこ 行く -SH-ADN ところ -COP-SH-POL2-Q 先生、どこへ行かれるところですか。

 (8) ㍶㌳┮ ╗㧊 䞯ᾦ㠦㍲ ↺ Ⲏ㔲㰖㣪 ?

seonsaeng-nim daeg-i haggyo-eseo kkoe meo-si-ji-yo?

先生 - 様 お宅 -NM 学校 - から かなり 遠い -SH-FIN-POL2-Q 先生のお宅は学校からかなりお遠いでしょう?  次の(9)(10)は、述語である「㫡㞮┺(よかった)」「㯦Ệ㤶┺(楽しかった)」 のような感情を表す形容詞に‘-si-’が使われているが、(4)∼(8)のように尊 敬の対象になる主体や主体と関連する人物が尊敬の対象とは考えられない。  (9) ㍶㌳┮ ṖỢ ⿚㥚₆⓪ 㫡㦒㎾㠊㣪 ?

seonsaeng-nim gage bunwigi-neun choh-eusy-eoss-eoyo? 先生 - 様 店 雰囲気 -TOP よい -SH-PST-POL2-Q 先生、お店の雰囲気はよろしかったでしょうか。

 (10) 㞚⻚┮ 㡂䟟㦖 㯦Ệ㤆㎾㠊㣪 ?

abeo-nim yeohaeng-eun jeulgeou-sy-eoss-eoyo? 父 - 様 旅行 -TOP 楽しい -SH-PST-POL2-Q お父様、旅行は楽しまれましたか。

(5)

 これらの例は、「よいと感じたか」「楽しく感じたか」と聞き手の感情を窺う 文であり、呼びかけ語(呼格語)である「㍶㌳┮(先生)」「㞚⻚┮(お父様)」 が感情の主体と解釈されて‘-si-’が用いられていると考えられる。  このように‘-si-’は動作や感情の主体に対する敬意を表すが、近年これか ら逸脱する形で無情物などに用いられる‘-si-’について次の節で詳しく述べ ることとする。 2.2. ‘-si-’の非規範的な用法  2.1 で述べたように、先語末語尾‘-si-’は動作や感情の主体に対する敬意を 表すが、デパートやホテルなどのサービス業界で多く見られる特殊な用法で、 無情物などに用いられる事物尊称の‘-si-’がある4。  (11) (コーヒーショップで、店員が客に) G 㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㔋┞┺.  ((1)再掲) amelikano nao-sy-eoss-seubnida.

アメリカン 出てくる -SH-PST-POL1-DEC アメリカン、出てこられました。

 (12) (飛行機のチケットの予約:店員の電話対応) G ⁎ 㔲₆⓪(゚䟟₆Ṗ)⿦゚㰖G 㞠㦒㎎㣪.

geu sigi-neun (bihaenggi-ga) bumbi-ji anh-euse(eusi-eo)-yo. その 時期 -TOP 飛行機 -NM 混雑する -NEG-SH-POL2-DEC その時期は(飛行機が)混雑されません。

 また、(13)(14)のように動作主体である話し手自身や話し手と関連する団

4

非規範的な用法に用いられている事例のうち、出展が明記されていないものは筆者が 直接聞いた例である。

(6)

体や人物、商品などに対して‘-si-’が用いられることもある。さらに、美容 室や病院、コンビニなどでは、(15)(16)(17)のように「‘-si-’+未来形(意志・ 約束・推量)」の形がよく用いられている。

 (13) (デパートで、店員の対応) G 㩖䧂 ⰺ㧻㦖 ㎎㧒 㞞G 䞮㎎㣪.

jeohui maejang-eun seil an ha-se-yo.

私ども 売り場 -TOP セール NEG する -SH-POL2-DEC 私どもの売り場はセールなさいません。

 (14) (ホテルフロント案内員:電話対応)

G 㩖䧂(䢎䎪)㌂㤆⋮㠦⓪ ➢⹖㧊⓪ 㠜㦒㔶◆㣪. jeohui (hotel) sauna-e-neun ttaemili-neun

私ども (ホテル) サウナ - に -TOP アカスリ -TOP eobs-eusi-n-de-yo.

ない -SH-ADN-FIN- POL2-DEC

私どもの(ホテル)サウナにはアカスリはおありではありませんが。  (15) (K 銀行で、職員の対応)

G ㌞ 䐋㧻 ⋮㡺㔺G Ệ㡞㣪.

sae tongjang nao-si-l geoye-yo. 新しい 通帳 出てくる -SH-ADN geoye-POL2-DEC 新しい通帳、出てこられると思います。

 (16) (コンビニなどで、店員の対応) G Ⱒ 㤦 ♮㔲Ỷ㔋┞┺.

man won doe-si-gess-seubnida. 万 ウォン なる -SH-gess-POL1-DEC 一万ウォンになられます。

(7)

 (17) (美容室や病院で、美容師(看護師)の対応) G 㧊㴓㦒⪲ 㞟㦒㔺Ợ㣪.

ijjog-eulo anj-eusi-l-ge-yo.

こちら - に 座る -SH-ADN-ge-POL2-DEC こちらにお座りになられます。  このような事物尊称は、主体の身体部分や所有物の属性を述べるわけではな い点で、間接的に主体である人物に対する敬意を表す文とは異なる。この点に ついては、すでにマスメディアでも話題にされている。国立国語院でも、この ような事物尊称は誤用であると指摘している。 ・〈‘0 Ⱒ㤦㧊㕃┞┺’…‘ὒ㧟㫊╖’Ṗ Ệ⿗䟊(‘0 万ウォンでいらっしゃい ます’…‘過剰尊敬’がぎこちない)〉(㞚㧊Ⓤ㓺(inews)2008-02-22) ・〈‘5 Ⱒ㤦㧊㎎㣪’⓪ ₆䡫㩗 䚲䡚(‘5 万ウォンでいらっしゃいます’は奇形 的な表現)〉(㭧㞯㧒⽊(中央日報)2009-08-25) ・〈㧊 㓺䕢Ợ䕆⓪ Ⳋ㧊 Ή㦒㕃┞┺(このスパゲティは麺がお太いです)〉(䞲 ῃἓ㩲(韓国経済)2010-02-26) ・〈㫊╩Ⱖ 㔺㫛㌂Ị,‘㏦┮ Ệ㓺⯚☞ 900 㤦㧊㕃┞┺’(尊敬語失踪事件,‘お 客様お釣り 900 ウォンでいらっしゃいます’)〉(Ⓤ㓺䞲ῃ(ニュース韓国) 2010-09-19) ・〈㌂ⶒ㫊䃃,䚲㭖Ⱖ ♶⧒(事物尊称、標準語になるかも)〉(☯㞚㧒⽊(東亜 日報)2012-09-22-23) ・〈“㔶㌗䛞 ♮㔲Ỷ㔋┞┺ ?”㠟䎆Ⰲ 㫊╩Ⱖ Ⱒ㡆(“新商品になられます?” でたらめ尊敬語の蔓延)〉(KBS Ⓤ㓺(KBS ニュース)2014-10-9) ・〈㠟䎆Ⰲ ⏨㧚Ⱖ 㧦㩫 ⏎⩻“䞲⁖⋶ ⰴ㞚 ㌂ⶒ 㫊䃃 䚲䡚䞲 㥶䐋㠛Ἒ 㧦㩫 ⏎⩻ ⋮㍲”(でたらめ尊敬語自淨努力“ハングルの日を迎え事物尊称を

(8)

表現した流通業界の自浄努力に立ち上がる”)〉(㓺䌖㧒⽊(スター日報) 2014-10-12) ・〈‘㧮ⴑ 㝆⓪ ⏨㧚Ⱖ’…㠟䎆Ⰲ 㫊䃃‘㧦㭒 䔖Ⰲ⓪ ⰴ㿺⻫’BEST10(‘誤っ て使う尊敬語’…でたらめ敬称‘よく間違える正書法’BEST10)〉(㭧㞯㧒 ⽊(中央日 報)2015-3-17)  しかし、事物尊称のような尊敬表現を規範的な表現でないということで、一 概に誤用とするのは言い過ぎではないかと思われる。次節では、非規範的であ る事物尊称‘-si-’について言及している先行研究を概観する。

3. 先行研究の概観

 非規範的である事物尊称‘-si-’の意味と機能については、統語論的・語用 論的な面からの考察や、学校教育の面からの考察が見られる(⹫㍳㭖(パク・ ソクジュン)2004、㧚☯䤞(イム・トンフン)2000、㧊㩫⽋(イ・チョンボク) 2006,2010、ὓ㑯㡗(クァク・スクヨン)2009、㧊⧮䢎(イ・レホ)2012、⳿ 㩫㑮(モク・チョンス)2013、丁 2013、㡺䡚㞚(オ・ヒョンア)2014、㧊⚦㤦(イ・ トゥオン)2014、㧊㑯㦮(イ・スクイ)2015 など)。事物尊称として用いる‘-si-’ については、対者敬語として機能が拡張したものという見解が多い。  ⹫㍳㭖(パク・ソクジュン)(2004)は、(18)のような例について、話し手 が尊敬の対象である聞き手と、聞き手に向かった発話との構造的な関係を「主 語−述語」の構造関係と同様のものと把握している。つまり、「「主語−述語」 の枠組みの中で使われる‘-si-’が、「聞き手−聞き手に向かった発話」のよう な枠組みにまで用法が拡大している」と指摘し、このように、「非文法的な‘-si-’ の用法も文の主語が指し示す人物に対する話し手の尊敬を表す‘-si-’の基本 的な意味と機能が語用論的に拡張され用いられていると理解することができ

(9)

る」と述べている。

 (18) a. 㔺⪖㰖Ⱒ 㰖⁞ ⳝ 㔲㸺 ♮㎾㠊㣪 ?

sillye-jiman jigeum myeoch si-jjeum doe-sy-eoss-eoyo? 失礼 -(COP)-けど 今 何 時 - くらい なる -SH-PST-POL2-Q 失礼ですが、今何時くらいになられましたか。

b.⁎ 㟧⽋ ゚㕎㔲㰖㣪 ?

geu yangbog bissa-si-ji-yo?

その スーツ 高い -SH-FIN-POL2-Q そのスーツお高いでしょう?  㧊㩫⽋(イ・チョンボク)(2006,2010)は、‘-si-’は動作や状態の主体のほか、 状況の主体を高める主体尊敬の機能を持つとし、事物尊称の例も「状況主体尊 敬」で説明が可能であるとする。すなわち、「文の表面には現れないが、発話 状況で話し手が高めようとする対象を『状況主体(聴者)』と見做し、その人 を高めようとする意図から‘-si-’が用いられる」とする。「‘-si-’は主体尊敬 とともに、対話場面での状況を支配する聞き手、すなわち呼格語と一致する聞 き手を高める機能を合わせ持つ」とし、事物尊称は主体尊敬の用法の枠内にあ るとしている(例(19))。  (19) a. (ἶṳ┮)(㧊 ㌗䛞㦖)㭒ⶎ䙃㭒⪲ ⺆㏷㔲㧒㧊 ㏢㣪♮⓪ ㌗䛞㧊㎎㣪. (gogaeg-nim) (i sangpum-eun) jumunpogju-lo baesongsiil-i

顧客 - 様 この 商品 -TOP 注文暴注 - で 配送期間 -NM soyodoe-neun sangpum-i-se-yo.

必要とされる -ADN 商品 -COP-SH-POL2-DEC

(10)

いらっしゃいます。

b.ἶṳ┮ ⻚⻚Ⰲ㌗䛞㦖 ᾦ䢮 䢮⿞ 㞞G ♮㎎㣪.

gogaeg-nim beobeolisangpum-eun gyohwan hwanbul 顧客 - 様 バーバリー商品 -TOP 交換 返済

an doe-se-yo.

NEG なる -SH-POL2-DEC

お客様、バーバリー商品は交換返済なられません。

 㧊⧮䢎(イ・レホ)(2013)でも、‘-si-’の尊敬の対象は呼格語と一致する 聞き手であるとし、対者敬語として扱っている(例(20))。

 (20) (ἶṳ┮㧊) 㧦☯㩚䢪⯒ 㧊㣿䞮㔲Ⳋ(ἶṳ┮℮)3000 㤦 㿪Ṗ 䞶㧎㧊

G ♮㎎㣪.

(gogaeg-nim-i) jadongjeonwa-leul iyongha-si-myeon 顧客 - 様 -NM 自動電話 -ACC 利用する -SH- ば (gogaeg-nim-kke) 3000-won chuga halin-i doe-se-yo.

顧客 - 様 - に 3000-ウォン 追加 割引 -NM なる -SH-POL2-DEC (お客様が)自動電話を利用なされば(お客様に)3000 ウォン追加割 引になられます。  これらの先行研究は、事物尊称の成立条件が明らかにされておらず、また ‘-si-’が無情物に用いられるメカニズムも必ずしも具体的に記述されていない という点で不十分であると言える。丁(2013)では、これらの先行研究を補完 するために、事物尊称‘-si-’が出現したメカニズムと成立条件について考察 を行っている。丁(2013)は、事物尊称は「話し手である店員が聞き手である 客に対する敬意を表す」という限られた状況の下で、①「所有者の拡張」に基

(11)

づく素材敬語という側面と、②対者敬語としての側面を合わせ持つ表現と考え ることができるとし、事物尊称‘-si-’は、完全に対者敬語化しているわけで はないが、常に丁寧表現とともに用いられることから考えて、対者敬語的な性 格を持つと指摘している。また、㡺䡚㞚(オ・ヒョンア)(2014)では、既存 の文法教科書を対象に‘-si-’に関連する教育内容を検討し、実際の言語使用 の様相を基準として、‘-si-’の機能を聞き手尊敬の機能まで拡張記述して教育 内容を再構成する必要があると述べている。  以上、無情物に対して‘-si-’を用いる用例について言及している先行研究 を見てきた。本稿では、先行研究と同様、事物尊称の‘-si-’は、素材敬語か ら対者敬語へとその機能が拡張していると考え、次の 4 節では、丁(2013)の 内容を踏まえながら、対者敬語として機能する‘-si-’の条件とその機能の拡 張について考察を行う。

4. ‘-si-’の対者敬語化

4.1. 事物尊称の成立条件  事物尊称は非規範的な表現である。しかし、その一方で、事物尊称は一定の 条件のもとで成立しやすくなることもある。  丁(2013)では、事物尊称の成立条件として、まず、第一に、事物尊称は、「話 し手である店員が聞き手である客に対する敬意を表す」という場面に限られる としている。  (21) (コーヒーショップで、店員が客に) G 㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㔋┞┺ .  ((1)再掲) amelikano nao-sy-eoss-seubnida.

(12)

アメリカン、出てこられました。

 (21’) (コーヒーショップで、先生と一緒にコーヒーを飲んでいる学生が) *

㍶㌳┮ 㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㔋┞┺.  (丁 2013,(15’)) seonsaeng-nim amelikano nao-sy-eoss-seubnida.

先生 - 様 アメリカン 出てくる -SH-PST-POL1-DEC 先生、アメリカン、出てこられました。

 (21’’) (コーヒーショップで、学生がイ先生に) *

ₖ ㍶㌳┮㧊 㭒ⶎ䞮㔶 㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㔋┞┺.(丁 2013,(17)) kim seonsaeng-nim-i jumunha-si-n amelikano

キム 先生 - 様 -NM 注文する -SH-ADN アメリカン nao-sy-eoss-seubnida. 出てくる -SH-PST-POL1-DEC キム先生が注文なさったアメリカン、出てこられました。  (21’)のように、学生が先生に対して使うことはできない。また、(21’’)は 学生がイ先生に、キム先生が注文(購入)したものについて述べている場面で あり、聞き手以外の第三者が敬意の対象である場合も事物尊称は成立しないと 指摘している。  これら事物尊称と言われる例は、(8)「㍶㌳┮ ╗㧊 䞯ᾦ㠦㍲ ↺ Ⲏ㔲㰖㣪 ? (先生のお宅は学校からかなりお遠いでしょう?)」のような尊敬の対象になる 人物と関連する所有物などが主体である文の「所有者の拡張による主体尊敬」 と同じように、‘-si-’を用いて無情物を高め、間接的に聞き手に敬意を表して いると考えられる。  (22) (P ブランド品の店で、店員が客に) G 㧊 ㌗䛞㦖 㣪㯮 㧮G ⋮Ṗ㎎㣪. 䞲⻞ 㧛㠊 ⽊㔲Ỷ㠊㣪 ? 

(13)

i sangpum-eun yojeum jal naga-se-yo.

この 商品 -TOP この頃 よく 売れる -SH-POL2-DEC han-beon ib-eo bo-si-gess-eoyo?

一度 着る - てみる -SH-gess-POL2-Q

この商品はこの頃よくお売れになります。一度着てみられますか。  (23) (H デパートで、店員の対応)

㧊 ㌗䛞㦖G 30% ㎎㧒㧊㎎㣪.

i sangpum-eun 30% seil-i-se-yo.

この 商品 -TOP 30% セール -COP-SH-POL2-DEC この商品は 30%セールでいらっしゃいます。

 (24) (飛行機のチケットの予約:店員の電話対応)

G ⁎ 㔲₆⓪(゚䟟₆Ṗ)⿦゚㰖G 㞠㦒㎎㣪.  ((12)再掲) geu sigi-neun (bihaenggi-ga) bumbi-ji anh-euse-yo.

その 時期 -TOP 飛行機 -NM 混雑する -NEG-SH-POL2-DEC その時期は(飛行機が)混雑されません。

 (25) (コーヒーショップで、店員の対応) G 㢖䝢ὒ 䏶㓺䔎 Ṗỿ㦖 ⡧ṯ㦒㎎㣪.

wapeul-gwa tosutu gagyeog-eun ttoggat-euse-yo. ワッフル - と トースト 価額 -TOP 同じだ -SH-POL2-DEC ワッフルとトーストの値段は同じでいらっしゃいます。  (21)∼(25)では、〈話し手(店員)−聞き手(客)〉という状況の下で、話し手 である店員が聞き手である客を高め敬意を払おうとする心理により‘-si-’が 用いられている。(21)「アメリカン出てこられました」の「コーヒー」は、す でに客が購入したものであり、聞き手である客の所有物として考えることがで きる。また、(22)「この商品はこの頃よくお売れになります」、(23)「この商

(14)

品は 30%セールでいらっしゃいます」、の「この商品」は、これから客が購入 する・購入するであろうものである。(24)「その時期は(飛行機が)混雑され ません」は客が飛行機のチケットを求めている状況であり、これから客が購入 する・購入するであろう商品として「チケット」を想定することができる。(25) も同様のことが言える。  このように、事物尊称は「所有者の拡張による主体尊敬」の‘-si-’が用いられ、 デパートやホテル、銀行、旅行社などのサービス業界において「話し手である 店員が聞き手である客に対する敬意を表す」という場面で用いられる特徴があ る。  また、第二に、事物尊称は常に丁寧表現とともに用いられる(丁 2013)と している。  (26) * 㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㠊. /⋮㡺㎾┺.  (丁 2013,(19)) amelikano nao-sy-eoss-eo. / nao-sy-eoss-da.

アメリカン 出てくる -SH-PST-INT-DEC/出てくる-SH-PST-INT-DEC アメリカン、出てこられたよ。/出てこられた。

 (27) *㧊 ㌗䛞㦖 30% ㎎㧒㧊㔲⍺. /㎎㧒㧊㔲㰖 ?  (丁 2013,(20))     i sangpum-eun 30% seil-i-si-ne. / seil-i-si-ji?

この 商品 -TOP 30% セール -COP-SHFININTDEC /セール COP-SH-FIN-INT-Q

この商品は 30%セールでいらっしゃるね。/セールでいらっしゃる よね?

 (28) *

⁎ 㔲₆⓪(゚䟟₆Ṗ)⿦゚㰖G 㞠㦒㎪. /⿦゚㰖G 㞠㦒㔶┺. geu sigi-neun (bihaenggi-ga) bumbi-ji anh-eusy-eo. /

(15)

bumbi-ji anh-eusi-n-da. 混雑する -NEG-SH-PRE-DEC その時期は(飛行機が)混雑されないよ。/混雑されない。  丁寧表現が用いられてない(26)(27)(28)は非文となる。これは、「参る」「致 す」「申す」などの日本語の丁重語(謙譲語Ⅱ)が、常に「参ります」「致しま す」「申します」のように丁寧表現とともに用いられるのと似ている5 。  上記で述べた事物尊称‘-si-’の成立条件に、次の第三の条件を加えること ができる。  第三に、呼格語(聞き手)と事物主体がともに現れる。  (29) (㏦┮)㞚ⲪⰂ䃊⏎ ⋮㡺㎾㔋┞┺.  ((1)再掲) (sonnim) amelikano nao-sy-eoss-seubnida.

お客様 アメリカン 出てくる -SH-PST-POL1-DEC (お客様)アメリカン、出てこられました。

 (30) (㏦┮)㧊G ㌗䛞㦖 30% ㎎㧒㧊㎎㣪 .  ((23)再掲) (sonnim) i sangpum-eun 30% seil-i-se-yo.

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 (31) (㏦┮)⁎ 㔲₆⓪(゚䟟₆Ṗ)⿦゚㰖 㞠㦒㎎㣪.  ((12)再掲) (sonnim) geu sigi-neun (bihaenggi-ga) bumbi-ji anh-euse-yo.

お客様 その 時期 -TOP 飛行機 -NM 混雑する -NEG-SH-POL2-DEC (お客様)その時期は(飛行機が)混雑されません。

5

例えば、「参る」の場合、「私が参ります。」は適切な表現であるが、「私が参る。」「私 が参るよ。」は非文となる。

(16)

 (32) (H 銀行で、職員の対応)

(㏦┮)㧊Ệ Ṧ㞷❇₆ 㡗㑮㯳㧊㔲ἶ㣪.

(sonnim) igeo gamaegdeunggi yeongsujeung-i-si-go-yo. お客様 これ 減額登記 領収書 -COP-SH-FIN-DEC (お客様)これ、減額登記の領収書でいらっしゃいます。  (33) (布団の注文・配送のやり取り:SNS 対応)

(㏦┮)⺆㏷㦖 30 㧒⿖䎆 㿲⹲㧊㎎㣪 .

(sonnim) baesong-eun 30-il-buteo chulbal-i-se-yo.

お客様 配送 -TOP 30 日 - から 出発 -COP-SH-POL2-DEC (お客様)配送は 30 日からご出発になられます。  事物尊称は、2 節で取り上げた(9)(10)のように‘-si-’の尊敬の対象は「呼 格語=聞き手」である。(29)∼(33)の場合は、文の表面には現れないが、聞 き手である「㏦┮(お客さん)」が尊敬の対象として想定できる。このように、 呼格語と事物主体とともに現れることにより、事物尊称が用いられた文は、聞 き手を意識した対者敬語として機能していると考えられる。  このように事物尊称は、「話し手である店員が聞き手である客に対する敬意 を表す」という限られた状況の下で、①所有者の拡張による主体尊敬の‘-si-’ が用いられる、②常に丁寧表現を伴う、③呼格語(聞き手)と事物主体がとも に現れる、という 3 つの条件を満たした事物尊称‘-si-’は対者敬語として機 能すると考えることができる。 4.2. ‘-si-’の対者敬語的側面  ここでは、主体尊敬の拡張が更に語用論的に拡張され対者敬語として機能す るものについて述べる。‘-si-’の規範的な用法から逸脱する用法として、動作 主体である話し手自身や話し手と関連する人物や団体などに対して‘-si-’を

(17)

用いるというものもある。

 (34) (K 銀行で、職員の対応) G 㩖䧂Ṗ ⌊㧒 㡆⧓䟊G ✲Ⰲ㔺Ợ㣪.

jeohiui-ga naeil yeonlagha-e deuli-si-l-ge-yo.

私ども -NM 明日 連絡する - 差し上げる -SH-ADN-FIN-POL2-DEC 私どもが明日連絡して差し上げます。

 (35) (デパートで、店員の対応) 

G 㩖䧂G ⰺ㧻㦖 ㎎㧒 㞞G 䞮㎎㣪.  ((13)再掲) jeohui maejang-eun seil an ha-se-yo.

私ども 売り場 -TOP セール NEG する -SH-POL2-DEC 私どもの売り場はセールなさいません。

 (36) (ホテルフロント案内員:電話対応)

㩖䧂G ㌂㤆⋮㠦⓪ ➢⹖㧊⓪ 㠜㦒㔶◆㣪.  ((14)再掲) jeohui sauna-e-neun ttaemili-neun eobs-eusi-n-de-yo.

私ども サウナ - に -TOP アカスリ -TOP ない -SH-ADN-FIN-POL2-DEC 私どものサウナにはアカスリはおありではありませんが。  (34)(35)(36)の用例では「㩖䧂(私ども)」という表現で話し手を低め(謙 譲し)ているが、話し手はそれだけでは敬意が足りないと考え、それを補う ために‘-si-’を用いていると考えられる。これらの主体は話し手自身である 1 人称に属するものではあるが、その行為は客へのサービスであり、最終的には 尊敬の対象者である聞き手の利益となる。そこから、4.1 で述べた(21)∼(25) の主体尊敬の拡張が更に語用論的に拡張され、‘-si-’が対者敬語として機能し ていると考えることができる。  また、銀行や美容室、病院、コンビニなどでよく用いられている「‘-si-’+

(18)

未来形(意志・約束・推量)」の形についても、同じように考えることができる。 この場合、銀行や美容室、デパートの店員が客に対する発話、または、病院の 看護師が患者に対する発話である。

 (37) (H 銀行で、職員の対応)

G ㌞ 䐋㧻 ⋮㡺㔺G Ệ㡞㣪.  ((15)再掲)

sae tongjang nao-si-l geoye-yo. 新しい 通帳 出てくる -SH-ADN geoye-POL2-DEC 新しい通帳、出てこられると思います。

 (38) (食堂で、店員の対応)

G Ⲫ㧎 㣪Ⰲ ⰺ㤊䌫 ⋮㡺㔲Ỷ㔋┞┺ .

mein yoli maeuntang nao-si-gess-seubnida.

メイン 料理 メウンタン 出てくる -SH-gess-POL1-DEC メイン料理のメウンタン、出てこられると思います。  (37)(38)は「もうすぐ出来上がる」という状況で用いられる。(37)は「こ れから新しい通帳が出来上がります(ので少しお待ちください)」という意味 であり、(38)も同様に解釈できる。事物尊称‘-si-’とともに‘- ඥ Ệ㡞㣪 (l geoyeyo)’や‘- Ỷ㔋┞┺(gess-seubnida)’などの意志・約束・推量表現 を用いることで、聞き手に対する敬意を最大限に表している。  (39) (コンビニなどで、店員の対応) G Ⱒ 㤦 ♮㔲Ỷ㔋┞┺.  ((16)再掲) man won doe-si-gess-seubnida.

万 ウォン なる -SH-gess-POL1-DEC 一万ウォンになられます。

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 (40) (デパートで、店員の対応) G 㔶㌗䛞 ♮㔲Ỷ㔋┞┺.

sin-sangpum doe-si-gess-seubnida. 新 - 商品 なる -SH-gess-POL1-DEC 新商品になられます。  (39)(40)は、確実な事実であるにもかかわらず、‘- Ỷ(gess)-’を用いて 表現している。これらの例は、事物尊称の‘-si-’に加え、推量の意味をもつ ‘- Ỷ(gess)-’を用いて間接・婉曲的に表現することによって、聞き手(客) に対する「かしこまり」「聞き手への配慮」の気持ちを最大限に表している6 。 これは、日本語のバイト敬語・コンビニ敬語とも言われる「∼になります」 「∼でよろしかったでしょうか」などの表現とよく似ているところがある(日 本語については次節で取り上げる)。  (41) (デパートやコーヒーショップなどで、店員の対応) G 㭒ⶎ䞮㔶 ⶒỊG⹱㦒㔺Ợ㣪.

jumunha-si-n mulgeon bad-eusi-l-ge-yo.

注文する -SH-ADN 品物 受け取る -SH-ADN-ge-POL2-DEC 注文された品物お受けになられます。

 (42) (美容室や病院で、美容師(看護師)の対応) G 㧊㴓㦒⪲ 㞟㦒㔺Ợ㣪.  ((17)再掲) ijjog-eulo anj-eusi-l-ge-yo.

こちら - に 座る -SH-ADN-ge-POL2-DEC

6 ⹫㡻㑯(パク・オクスク)(1987)では、「㻲G 㤦 ♮Ỷ㔋┞┺(cheon won

doe-gess-seubnida/千ウォンになります)」のような例は、聞き手に対する敬意を表すため、任意

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こちらにお座りになられます。  (43) (病院で、看護師の対応) G 㭒㌂㔺⪲ Ṗ㔺Ợ㣪. jusasil-lo ga-si-l-ge-yo.

注射室 - に 行く -SH-ADN-ge-POL2-DEC 注射室にお行きになられます。  (41)(42)(43)は‘- ඥỢ㣪(l-geyo)’を用いた例である。この場合、美容 師や看護師が客(患者)に、「品物を受け取ること」「こちらに座ること」「注 射室へ行くこと」を指示している。本来なら、このような状況では命令文や勧 誘文を使うのが適切だが、命令や勧誘などは聞き手の決定の権利や判断のよう な聞き手の領域を侵害する行為の一つであり、聞き手の領域に踏み込まれたく ないというフェイス7 の侵害度が大きい。「㞟㦒㎎㣪(anjeuseyo/ 座ってくだ さい)」「㞟㦒㕃㔲㡺(anjeusibsio/ お座りください)」のような命令表現は、サー ビス業界の立場ではサービスを受ける側の聞き手(客)に対する「かしこまり」 「聞き手への配慮」の気持ちを最大限に表したいという話し手の意図とは一致 しない。また、「ṧ㔲┺(gabsida/ 行きましょう)」「Ṗ㕃㔲┺(gasibsida/ お 行きになりましょう)」のような勧誘文は目上の人には使い難く、聞き手に不 快感を与える。そのため、聞き手の領域に踏み込まれたくない、聞き手のフェ イスを保持するために、‘- ඥỢ㣪(l-geyo)’を用いてフェイス侵害行為を軽減し、 ネガティブ・ポライトネス8の機能を果たしていると考えられる。 7

Brown & Levinson(1987)が提示しているフェイスとは、人が誰でも、かつ同時に抱 く 2 種類の基本的な欲求である。 ①ネガティブ・フェイス=‘他者に邪魔されたくない・踏み込まれたくない’欲求 ②ポジティブ・フェイス=‘他者に受け入れられたい・よく思われたい’欲求 8 ポライトネスとは、フェイス侵害行為によって、欲求が満たされず、フェイスが脅か される可能性があるとき、フェイスの侵害を補償・軽減(redress)、回避してフェイス を保持する機能である。

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 ‘- ඥỢ㣪(l-geyo)’の主語は本来 1 人称に限られ、(41)(42)(43)の主語は 1 人称ではなく聞き手である 2 人称である点で通常の‘- ඥỢ㣪(l-geyo)’とは 異なり、‘- ඥỢ㣪(l-geyo)’を用いることで、聞き手自身がその行為を行うと いうより、話し手がその行為をしてくれるというような表現にすることで、聞 き手が命令や勧誘を受け入れやすくしていると考えられる。  以上、韓国語の先語末語尾‘-si-’の対者敬語化について考察を行った。事 物尊称‘-si-’が対者敬語として機能するのは、サービス業界という特定の社 会的な環境の下で、話し手は聞き手を常に高める必要があり、話し手は聞き手 に対して最大限に敬意を払わなければならないという社会的戦略によるもので ある。  ‘-si-’の対者敬語化については、社会的戦略の他に、現代韓国語の圧尊法9 の崩壊と敬語体系における単純化のような言語構造的な面からも考えることが できる。現代韓国語では、聞き手に敬意を払う場合には、主に‘䞿┞┺(habnida) 体’と‘䟊㣪(heoyo)体’が用いられる10 。しかし、最も丁寧さが高いとされ る格式体‘䞿┞┺(habnida)体’も、現在では非格式体‘䟊㣪(heoyo)体’と の丁寧さの差がなくなりつつある(ⶎ䡲㕂(ムン・ヘシム)2009)。これらの 両形式が多用されることで敬語の程度が下がり、低減した敬意を補完するため に新たな形式が求められることになった。‘-si-’が対者敬語的に用いられるの も、それを補完するためと考えられる。 9 圧尊法とは、主体が話し手より目上であるが聞き手より目下の場合は、その主体に敬 語を使えない語法である。国立国語院は、2011 年に発表した「標準言語礼節」で、家族 や師弟間といった個人的な関係では圧尊法を使うことができるが、職場や社会で使うの は言語礼節にそぐわないとしている。 10 現在の韓国語では、対者敬語法を担っている文末語尾の体系が、格式体は‘䞿┞┺(hab  nida)体’‘䟊⧒(haela)体’、非格式体は‘䟊㣪(haeyo)体’‘䟊(hae)体’のよう に非常に単純化され使用されている。一方、中称である‘䞮㡺(hao)体’と等称である‘䞮 Ợ(hage)体’は殆んど使われず、若い人にはあまりなじみのない語形である。

(22)

5. 日本語との比較

5.1. 日本語の対者敬語化  日本語の敬語は素材敬語と対者敬語に分かれる。素材敬語については、尊敬 語・謙譲語・丁寧語のように 3 分類したり、丁重語・美化語を加え 5 分類する 考えもある(文化審議会答申 2007)。  日本語の敬語表現の研究の中心は、尊敬語・謙譲語などの単体での使用状況 の調査・分類である。しかし、近年、敬語使用において、第三者への敬意表現 から聞き手への丁寧表現へと変化を見せており、ポライトネス理論からのアプ ローチにより、話し手と聞き手の関係から敬語を研究しているものも多く見ら れる11 。  以下では、素材敬語の対者敬語化への現象が見られる用例を見てみる。  次の(44)は、存在表現「ある」の代わりに丁重語(謙譲語Ⅱ)の「ござる」 が用いられている。この例は、話し手が丁重表現を使うことで、聞き手への敬 意を表している12。また、(45)で用いられている「お忙しい」は、「忙しい」 <表 1> 日本語の敬語の分類 2 種類 5 種類 3 種類 素材敬語 尊敬語 「いらっしゃる・おっしゃる」型 尊敬語 謙譲語Ⅰ 「伺う・申し上げる」型 謙譲語 謙譲語Ⅱ(丁重語) 「参る・申す」型 美化語 「お酒・お料理」型 丁寧語 対者敬語 丁寧語 「です・ます」型 (表 1 は、辻村(1967)と文化審議会答申(2007)をもとに筆者作成) 11 宇佐美まゆみ(2001)、滝浦真人(2005,2008)など。 12 「丁重表現」とは、宮地(1973)の言う「話題のものごとをとおして話し手が聞き手 への敬意的配慮をあらわす敬語」で、「謙譲語的性格を持ちながら、話題の人物への敬 意的配慮に寄らず、聞き手への敬意的配慮による敬語であるところに、謙譲語と違う特 色がある」(p.87)、「謙譲語と丁寧語の中間段階に置くことのできるもの」(p.89)など と解説されている待遇表現を指す。

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に美化語「お」をつけた例である。話し手は美化語を使うことで、聞き手に上 品な印象を与えている。これは聞き手に対する配慮を示しており、結果的に聞 き手への敬意を表している13 。  (44) あのすみませんが、韓日辞典はございますか。  (45) お忙しいところ誠に申し訳ありません。  次の(46)(47)は、素材敬語の中の丁重語(謙譲語Ⅱ)が対者敬語(丁寧語) として使われる例である。(46)(47)では、「伺う」「致す」がそれぞれ「行く」 「する」の代わりに選択されており、いずれも素材敬語である。  (46) 明日、会社に伺います。  (47) ここからは私が致しますのでご安心ください。  (46)では、「行く」主体は、話し手本人であり、これは話し手にとって尊敬 の対象となる人物には当たらない。ここでの「伺う」は、動作の主体である話 し手自身を低める言い方であり、聞き手に対する敬意を表している。(47)も 動作の主体は話し手であり、自分より上位者である聞き手への敬意を表してい る。  次の(48)の「参る」という表現は、韓国語の事物尊称とよく似ているとこ ろがある。丁重語である「参る」は、基本的に自分側の行為・ものことなどを、 話や文章の相手に対して丁寧に述べるときに用いる(文化審議会答申 2007)。 ただし、「第三者」や「事物」に使う場合もある。 13 「美化語」とは話者が聞き手に上品な印象を与えるために使う語のことである。文法 的に見て敬語とは言えないが、聞き手に対する配慮を示しているということで敬語に準 じるものとしたり、丁寧語に分類することもある(文化審議会答申 2007)。

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 (48) a. あ、バスが参りました。 b.夜も更けて参りました。 c.向こうから子供たちが大勢参りました。(文化審議会答申 2007)  このように、日本語においても、敬意を表さなくても失礼に当たらない第三 者や事物についても丁重表現を使うことができる。この丁重語は、素材敬語の 対者敬語化という点で韓国語の事物尊称‘-si-’と一致している。  次の(49)(50)のような発話も、最近頻繁に耳にする。「∼させていただく」 は、本来「先生に貴重な資料を拝見させていただく」のように、「①相手側又 は第三者の許可を受けて行い、②そのことで恩恵を受ける」(文化審議会答申 2007)という事実や気持ちのある場合に使われる。  (49) ご連絡させていただきます。  (50) それでは、発表させていただきます。  しかし、(49)(50)は「使役形+謙譲語」の構造をもっているが、①の条件 を満たしていない。これらの例は過剰敬語とも言われているが、聞き手の許し を得てそうするかのように言うことで、聞き手を立てる、すなわち聞き手への 敬意を表すために用いられている。井上(2007)では、このような「∼させて いただく」の普及を「敬意低減の法則」14 により説明している。「∼させていた だく」の前身は、江戸中期に使われ始めた「∼てもらう」である。この言葉の 敬意が徐々にすり減って、「∼させてもらいます」では失礼な感じがするよう になり、それを避けるために「∼させていただく」が登場したという。  次に、サービス業界で頻繁に耳にする、バイト敬語・コンビニ敬語とも言わ 14 「敬意低減化の法則」とは、「ことばの丁寧さの度合いが、使われているうちに以前よ り下がり、乱暴に感じられる」ことをいう(井上 2004,2007)。

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れる「∼になります」「∼でよろしかったでしょうか」の表現について見てみる。  (51) a. ここは禁煙になります。 b.こちらコーヒーになります。 c.こちらがお部屋になります。 d.千円になります。  この表現は、料理屋、喫茶店、ホテル、コンビニなど、多くの業種の場面で 使用されている。(51)の例は、断定・言い切りを表す「∼です」の代わりに、 変化を表す「∼になる」を用いることで、より間接・婉曲的な、より聞き手に 配慮した表現になる。同じ「∼になる」を用いた文でも、(52a)の目上の人に 対する(52b)は非文ではないが、(53a)の同年代に対する(53b)は非文と なる15 。この「∼になります」は、(51)のように常に丁寧表現と共に現れる ことから、丁重語(謙譲語Ⅱ)と似たような性質をもち、対者敬語として機能 していると考えられる。  (52) a. ここは禁煙です。 b.ここは禁煙になります。  (53) a. ここは禁煙だよ。 b.* ここは禁煙になるよ。    次の(54)「∼でよろしかったでしょうか」の表現も、ホテル、料理屋、コ ンビニ、スーパー、映画館など、多くの業種の場面で使用されている。過去形 を用い、話し手が相手の状況を事前に推察し、聞き手に直接答えを迫るのを避 15 (53b)は敬語としては非文であるが、文法的には非文ではない。

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け、間接的に表現することで、「聞き手への配慮」「丁寧さ」を表していると考 えられる。  (54) a. ご注文は以上でよろしかったでしょうか。 b.千円でよろしかったでしょうか。 c.こちらの席でよろしかったでしょうか。  塩田(2002)では、「∼よろしかったでしょうか」という表現が流行する心 理的背景として、①早く済ませたい説、②擬似常識提示説、③敬語チックな気 分説、の 3 つの要因を挙げている。このうち①と②は店側の都合から生まれた <店側体位>の発想であると考えられ、③は<自分として敬意をもっているつ もり>の発想に基づくという。  日本語のバイト敬語・コンビニ敬語と言われる表現や、韓国語の事物尊称は、 「誤用である」「過剰敬語である」などの意見も多い。また、言葉や態度などが 丁寧すぎて、かえって慇懃無礼な感じがする、違和感を覚える、不愉快である、 などの声もある。しかし、これらの一連の表現には、客に対する配慮、丁寧さ などの語用論的意味を探ることができる。現在、日韓両言語のバイト敬語・コ ンビニ敬語や事物尊称などの表現は拡大する一方であるが、これらの表現は、 話し手は聞き手に対して最大限に敬意を払わなければならないという、社会的 戦略による新しい接客表現として考えることができるのではないだろうか。  以上、日本語の素材敬語の対者敬語化の現象を見てきたが、日本語では、素 材敬語である「尊敬語」「美化語」「謙譲語」などを用いて、聞き手への敬意を 表しており、「素材敬語の対者敬語化」16 が進んでいることが明らかである。 16 井上(1999)では「第三者敬語の聞き手敬語化」と述べており、「第三者への敬語が、 第三者を敬うためではなく、実は話し相手への敬意を表すために用いられる」と指摘し ている。

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 日本語が素材敬語の対者敬語化が進んでいる理由は、現在、日本語では対者 敬語である丁寧語「です・ます・ございます」を多く用いられることで「丁寧 さ」をあまり感じられなくなっており、その敬意の低減を補うために、素材敬 語(第三者敬語)が用いられていると考えられる。日本語については、さらに 用例の収集・分析が必要であるが、日本語でも敬語の過剰な使用、敬意低減化 による敬意の補完という要請、さらにはサービス業界という敬語の過剰使用が 求められる「社会的な環境」から変化が起きており、そこには素材敬語から対 者敬語へという変化の流れが起きていると考えられる17。 5.2. 日韓両言語における敬語の変化  敬語表現の体系の違いや敬語表現の文法的な違いにより、日韓両言語の敬語 表現の変化の傾向には大きな違いが見られる。  韓国語と似た敬語表現を有している日本語では、韓国語の事物尊称のような 尊敬語の使い方はきわめて不自然である。これはつまり、日本語では韓国語の 事物尊称のような「所有者の拡張による主体尊敬」は起きないということであ る。日本語の主体の所有物は、身体部分・属性・衣類・愛玩動物・作品などが あるが、韓国語の事物尊称のように、これから購入する・購入するであろうも のまでは含まれない。  その理由としては、第一に、日韓両言語の敬語表現の体系の違いが考えられ る。韓国語の敬語表現の体系が考えられる。日本語では謙譲語・美化語・丁重 語が発達しており、韓国語に比べ機能の分化が進んでいる。一方、韓国語の 場合は素材敬語が少なく18、謙譲語においても現在は衰退し少数の語彙にしか 17 井上(1999)は、日本語の敬語変化の要因として、①敬意低減の法則、②敬語自体の 丁寧語化、③敬語の民主化・平等化、の 3 つの変化要因を挙げている。 18 素材敬語が語形の上に現れるのは、名詞・人称代名詞・用言・助詞・先語末語尾など である。そのうち、名詞・人称代名詞・助詞・用言は文法的な手段を通じて規則的に表 れるものではなく、特定のいくつかの語彙にすぎない。例えば名詞の場合は、「⹻(bab/

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残っていない19。このように、謙譲語や美化語が発達していない韓国語では、 主体尊敬として機能する‘-si-’を用いて「かしこまり」「聞き手への配慮」の 気持ちを表していると考えられる。  第二に、日本語の尊敬表現が「られる」「いらっしゃる」「お∼になる」のよ うな述語形式であるのに対し、韓国語の‘-si-’が先語末語尾であることが関わっ ている可能性がある。文法的に軽い形式であるために、述語形式よりも使いや すいということである。  日韓両言語の素材敬語の対者敬語化においては、語用論的・社会言語学的な 面で共通点も見られる。日韓両言語において敬語の過剰な使用、敬意低減化に よる敬意の補完という要請、さらには、サービス業界では話し手は聞き手を常 に高める必要があり、話し手は聞き手に対して最大限に敬意を払わなければな らないという、社会的戦略によるものと考えることができる。   日韓両言語の敬語表現の変化は、以下の表 2 のようにまとめられる。 <表 2 > 日韓両言語の素材敬語の対者敬語化 変化 韓国語 日本語 素材敬語 対者敬語 主体(聞き手・第三者) 主体(聞き手・第三者) 事物(主体尊敬の拡張) 自分を下げる 尊敬語の使用 (相手を高める) 謙譲語の使用 (相手を高める) ‘-si-’の多用 (誤用から定着へ) 謙譲語の細分化 (I & II、美化語)

飯)→㰚㰖(jinji/ お食事)」、「⋮㧊(nai/ 年齢)→㡆㎎(yeonse/ お年)」などがあり、助 詞の場合は、主格助詞「- ℮㍲ kkeseo」、与格助詞「- ℮ kke」が存在する。人称代名詞 の場合は、自称代名詞は「㩖(jeo/ わたくし)」「⋮(na/ 私、僕、俺)」、対称代名詞は 「╏㔶(dangsin/ あなた)」「㧦⍺(jane/ お前、君)」「⍞(neo/ お前、君)」がある。用 言に現れる尊敬の形式は単純であり、特殊な尊敬用言である「ⲏ┺(meogda/ 食べる) →㧷㑮㔲┺(jabsusida/ 召し上がる)」「㧦┺(jada/ 寝る)→㭒ⶊ㔲┺(jumusida/ お休 みになる)」などを除いては、用言の語幹に先語末語尾‘-si-’をつけて尊敬語にするの である。

19

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6. まとめ

 本研究では、韓国語の先語末語尾‘-si-’が素材敬語から対者敬語へとその 機能が拡張していることを明確にした上で、日本語の敬語表現との比較を行い、 日韓両言語の敬語変化における類似点と相違点を明らかにすることを試みた。  韓国語の先語末語尾‘-si-’が対者敬語として機能する条件として、①所有 者の拡張による主体尊敬の‘-si-’が用いられる、②常に丁寧表現を伴う、③ 呼格語(聞き手)と事物主体がともに現れる、という 3 つの条件を提示した。 この 3 つの条件を満たした事物尊称‘-si-’は、〈話し手(店員)−聞き手(客)〉 という限られた状況の下で、「所有者の拡張による主体尊敬」の素材敬語がさ らに語用論的に解釈されることにより、聞き手に対する「かしこまり」「聞き 手への配慮」の気持ちを最大限に表す対者敬語として機能することを明らかに した。  日韓両言語の敬語の変化の傾向を見ると、韓国語の場合は、素材敬語である 主体尊敬語尾‘-si-’が対者敬語へとその機能が拡張している。その背景とし ては、現代韓国語の圧尊法の崩壊や韓国語の敬語体系の単純化、謙譲語などの 素材敬語の貧弱さが要因として考えられる。  また、日本語においても素材敬語の対者敬語化が進んでいる。しかし、それ は韓国語とは違う変化の様相を見せており、この点に両者の違いがみられる。 日本語の場合は、素材敬語を用いて聞き手への敬意を表すこと、及び話し手自 身も丁寧な表現に留意することが、素材敬語自体に影響を与え、それによって 素材敬語が発達し細分化されたと思われる。さらに、この両者の相互作用によ り、素材敬語の対者敬語化がますます進んでいくと推察される。  日韓両言語における素材敬語の対者敬語化は、敬意低減による敬意の補完と いう言語活動の法則と、サービス業界という敬語の過剰使用が求められる社会

┺(juda/ あげる)→✲Ⰲ┺(deulida/ 差し上げる)」「⽊┺(boda/ 見る)→⾯┺(boebda/

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的な要因が考えられる。これは対人的機能を重視してきた敬語の変化の流れに 合致するものであると言える。しかし、日韓両言語の敬語表現の変化において は、敬語表現の体系の違いや文法的な違いによる相違が認められる。  近年では、若年層やマスメディアなどにおいても、事物尊称‘-si-’や日本 語のコンビニ敬語の発話をしばしば耳にするようになってきた。このような敬 語の使用はサービス業界だけにとどまらず、一般的な会話にまで広まっている のではないかと推測でき、今後、実態調査を加えることが必要になろう。 参考文献 井上史雄(1999)『敬語はこわくない』構談社 井上史雄(2007)『その敬語では恥をかく!』PHP 研究所 宇佐美まゆみ(2001)「談話のポライトネス−ポライトネスの談話理論構想−」『談話の ポライトネス』(第 7 回国立国語研究所国際シンポジウム報告書)、国立国語研究所 梅 田 博 之(1977)「 朝 鮮 語 に お け る 敬 語 」『 岩 波 講 座  日 本 語 4  敬 語 』 岩 波 書 店、 pp.248−270 梅田博之(1987)「韓国語の敬語」『言語』16−8、大修館書店、pp.32−37 尾崎喜光(2009)『しくみで学ぶ! 正しい敬語』ぎょうせい 菊地康人(1997)『敬語』講談社学術文庫 菊地康人(編)(2003)『朝倉日本語講座 8 敬語』朝倉書店 北原保雄(2004)『問題な日本語−どこがおかしい? 何がおかしい?』大修館書店 塩田雄大(2002)「「よろしかったでしょうか」はよろしくないか∼平成 13 年度(後半) ことばのゆれ全国調査から(1)∼」『放送研究と調査』52−3、pp.64−87、NHK 放送文 化研究所 滝浦真人(2005)『日本語の敬語論−ポライトネス理論からの再検討−』大修館書店 滝浦真人(2008)『ポライトネス入門』研究社 丁仁京(2013)「韓国語の事物尊称について」『言語と文明』11、pp.55−71、麗澤大学大 学院言語教育研究科

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略語とその意味

ACC: Accusative particle ( 対 格 助 詞 ),ADN: Adnominal modifier suffix ( 連 体 形 語 尾 ), COP: Copula( 指 定 詞 ),DEC: Declarative suffix( 平 叙 文 表 示 形 式 ),FIN: Final form ( 終 助 詞 ),INT: Intimate suffix( 非 格 式 体 非 丁 寧 形 ),NEG: Negative ( 否 定 ),NM: Nominative particle(主格助詞),POL1: Formal Politeness suffix(格式体丁寧形),POL2:

Informal Politeness suffix(非格式体丁寧形),PRE: present(現在・非過去),PST: Past tense and perfect aspect suffix(過去表示形式),Q: Question marker(疑問表示形式), SH: Subject honorific suffix(主体尊敬語尾),TOP: Topic-contrast particle (主題助詞)

参照

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