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自動車販売 新車販売台数の過去推移2000年代後半は リーマンショックに端を発する世界経済の低迷により 景気に連動する新車販売市場も 2009年には 過去ワースト2位となる460万台を記録した この低迷局面を打開するため 第1回目のエコカー補助金制度が 2009年4月から10 年

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自動車販売 ’19. 6 2

1.新車販売台数の過去推移

  2000年代後半は、リーマンショッ ク に 端 を 発 す る 世 界 経 済 の 低 迷 に よ り、 景気に連動する新車販売市場も、200 9年には、過去ワースト2位となる46 0万台を記録した。   この低迷局面を打開するため、第1回 目のエコカー補助金制度が、2009年 4月から 10年9月までの約1年半実施さ れ た。 こ の 制 度 に は、 車 齢 13年 を 超 え、 且つ永久抹消登録する予定の代替車両を 持つ新車購入者に対して、登録車は 25万 円、軽自動車は 12万5千円の補助金(通 称:スクラップインセンティブ)が現金 支 給 さ れ る 仕 組 み が 含 ま れ て い た た め、 新車購入の値頃感が増し、翌2010年 の新車販売台数は回復傾向を見せた。   しかし、翌2011年には、東日本大 震災の発生や、タイにおける洪水の影響 により自動車メーカーの供給ラインがス トップするなど、需要・供給の両面で市 況 を 冷 え 込 ま せ る 事 態 が 発 生 し た た め、 同年の新車販売台数は421万台と、過 去ワースト1位を記録するに至る。新車 販売市場を活性化させる策として、エコ カー補助金が再登板したのが2012年 4月である。この2回目の補助金は当初 の終了予定時期よりも早くに予算が消化 され、予定より半年早い2012年9月 に終了することとなった。

2019年下期の

国内自動車

市場の展望

㈱矢野経済研究所

 原 麻衣子

~消費増税が自動車販売市場に与える影響を考察~

図1 新車販売台数の推移 (千台)

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2019 年下期の国内自動車市場の展望 3 自動車販売 ’19. 6   この時にはスクラップインセンティブ が付帯されなかったものの、カンフル剤 として新車販売市場を大きく回復させる 結果となり、同年の新車販売台数は前年 比+ 27・5%の537万台に上った。   その後、2014年4月に実施された 消費増税により、増税前の駆け込み需要 が発生し、 新車販売台数は537万台 (2 0 1 3 年 )、 5 5 6 万 台( 14年 ) と 引 き 続き前年を上回る台数を記録した。増税 直前の2014年1月から3月までの3 か月間の新車販売台数が、前年比 20・7 %増となったことは、増税による駆け込 み需要の大きさを物語っている。   2014年4月以降は消費増税による 反動減が起こったものの、翌年 15年4月 には軽自動車税の増税実施が確定してい たため、軽自動車販売市場では、201 4年中から増税前の駆け込み需要が既に 発生しており、同年の新車販売台数を大 幅に増加させた背景と考えられる。   2015年以降は、軽自動車税の増税 (同年4月) 、メーカーの燃費不正表示問 題( 16年春に発覚)などが影響し、軽自 動車販売が低迷、新車販売市場全体も低 迷させる要因となった。   その後2017~ 18年の新車販売は再 び好調さを取り戻した。好調の背景には、 過去のエコカー補助金実施時に新車購入 された車両が、車検実施の年を迎えたこ とがあげられる。車検実施対象車両台数 が増加したことで、車検前に次の車に買 い替える代替需要が活発になったことに より、新車販売台数が再び増加したと考 えられる。   また、各自動車メーカーがハイブリッ ド車種を積極的に新車市場に投入したこ とで、車種ラインナップが充実してきた ことも、車両代替えを後押ししたと考え られる。

2.足元の新車販売動向

  前述の通り、税制の変更は新車販売台 数に大きな影響を与えてきた。それでは、 本年 10月に迫った消費増税は、足元の新 車販売市場に影響を与え始めているので あろうか。   図2は2015年1月からの月別新車 販売台数をグラフ化したものである。2 019年4月までの販売台数は例年と同 水準で推移しており、消費増税前の駆け 込み需要の発生は確認出来ない。

3.

変更点と新車販売市場への影響

  本年 10月施行予定の消費増税が、20 19年後半の新車販売市場にどのように 図2 月別新車販売台数の推移

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自動車販売 ’19. 6 4 影響してくるかを考察する。今回の自動 車諸税の変更は、総じて、2020年度 燃費基準の達成度合いが高い車両ほど税 制変更による優遇率が高くなり、逆に基 準を下回る車両は税負担が大きくなる設 計になっている。   「 自 動 車 取 得 税 」 は 2 0 1 8 年 4 月 か ら既存の「エコカー減税」の減税率が縮 小しているため、既に購入負担は増加し ている。 10月以降に「自動車取得税」の 代わりに導入される「環境性能割」では、 2020年度燃費基準を下回る車両は実 質増税になるものの、 20年9月までの1 年間は増税分1%が相殺される減税措置 が取られる(軽自動車税は据え置き) 。   しかし、エコカー減税は「自動車取得 税」廃止と同時に終了する。これらを勘 案すると「環境性能割」に代わってから の車両購入に係る税負担は、2020年 度燃費基準を+ 20%以上達成している登 録車両以外では増加すると言えるであろ う。   「自動車重量税」 に係る 「エコカー減税」 は、当初は2019年4月での廃止が予 定されていたが、消費増税による前後の 需要の増減幅を緩和させる策として、 21 年 4 月 末 ま で 延 長 さ れ る こ と と な っ た。 その一方で減税幅は縮小されている。   「 自 動 車 税 」 は、 消 費 増 税 後 か ら 恒 久 減税として最大4500円が現在の税額 か ら 割 り 引 か れ る こ と に な っ た。 「 グ リ ー ン 化 特 例 」 は、 「 環 境 性 能 割 」 が「 自 動車税」 ・「軽自動車税」に導入されるこ とを契機に範囲が限定される。消費増税 前後の需要を標準化させる目的で202 1年3月末までは現行の対象車種と税率 を維持するが、同年4月以降に対象車種 が電気自動車等に限定される。   これら各種税制の変更点を踏まえ、増 税 後 に 一 律 で 税 負 担 が 減 る の は、 「 自 動 車 税 」( 恒 久 減 税 ) で あ る が、 そ れ 以 外 は燃費基準と購入車両の燃費効率の達成 率によって税率が変わり、達成率の低い 車両購入に関しては実質増税となる。因 みに2020燃費基準の一例を挙げると、 1・5tの車両で 17・6㎞/ℓ、1tで 23・4㎞/ℓとなる。   登録車の新車販売ランキングのトップ 10の多くがコンパクト車種であることを 考慮すると、この付近の燃費基準を達成 することが、消費者に選ばれる車である ためには必要不可欠な要件になってくる

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2019 年下期の国内自動車市場の展望 5 自動車販売 ’19. 6 であろう。   減税の恩恵を受けられる対象車種の絞 り込みが進み、且つ+2%の消費増税が あることを考慮すると、消費増税前には 一定の駆け込み需要が発生し、増税後に は相応の需要減退が発生することが予想 される。   2019年の後半の新車販売市場は 10 月に向けて例年の季節性を超えた動きを することが考えられ、 10月以降はその分 の落ち込みが考えられる。とりわけ、軽 自動車は登録車に比較すると需要減の緩 和策が少ないため、消費増税前の駆け込 み需要量は登録車に比較して多くなると 予想される。 4.中古車市場に消費増税が与える影響   先の自動車諸税は、新車のみならず中 古 車 購 入 に も 係 る 税 金 で あ る。 し か し、 取得税・重量税・自動車税のグリーン化 特例などは、2020年度の燃費基準を 基軸に減税幅が決まることから、低年式 の中古車では免・減税を受けるための条 件を満たす車両が少ないと考えられ、実 質的には排気量別に一律で割引が適用さ れる自動車税のみが中古車市場にとって のプラス材料となる可能性が高い。   よって、自動車諸税の優遇策は、中古 車販売市場にとっては関連性が薄く、消 費税が2%増税されることが、より直接 的に影響するものと考えられる。   さらに、中古車の発生起点は新車販売 市場を起点にするという点において、間 接的な影響も考慮する必要があるだろう。   国内に流通する中古車は車両購入者が 下取り若しくは買取事業者へ売却するこ とを発生源としており、新車販売市場が 活性化する年には、中古車流通量が増加 するという正の相関関係がある。中古車 の価格は一物一価という側面がありなが らも、流通量の増減によっても仕入れ値 が大きく変化する。   新車市場が活性化すると中古車流通量 が増え、業販市場における落札価格が下 落し、車両仕入れに掛かるコストが減少 することにより、小売販売価格も連動し て下がるという需給関係が成り立つ。小 売価格が下がることは消費者側から見れ ば、値頃感が出ることとなり、それによ って消費が喚起される可能性が高まる。   2019年 10月の消費増税により、新 車販売市場で駆け込み需要が発生するこ 図4 AAの出品台数と成約率

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自動車販売 ’19. 6 6 とで、中古車流通量が増加し、この需給 関係が発生する可能性が高い。更には消 費増税前の駆け込み需要も中古車販売市 場では通常通り見込まれることから、夏 ~秋にかけて中古車販売市場は活性化す ることが見込まれる。   前頁図4は国内のオートオークション における出品台数と成約率の推移を月別 に示したグラフである。   これによると、2019年の年明け以 降の出品台数は例年と同様の動きをして おり、消費増税による駆け込み需要の発 生に起因する中古車流通量の拡大は足元 では発生していない。これは、先の新車 販売台数が例年通りの推移を見せている ことと相似形である。   前項で述べたように、新車販売市場は 増税前の駆け込み需要が一定のレベルで 見込まれることから、中古車の供給量は 増加し、中古車仕入れにおける競争は若 干弛緩することが考えられる。   しかし、中古車市場の需給関係を論じ る上で避けて通れないもう1つのファク ターが中古車輸出需要である。近年、中 古 車 輸 出 台 数 は 増 加 傾 向 を 続 け て お り、 国内のオートオークションで落札される 車両に占める輸出車両台数は増加傾向に ある。落札に占めるウェイトが増加して いるということは、仕向地の需要動向が 国内のオークション落札動向に与える影 響が大きくなってきていることを意味す る。   図5は、過去7年間の輸出登録抹消台 数の推移とオートオークションにおける 平均落札率を示したグラフである。この 図が示すように、輸出台数の増加と成約 率の増加には相関関係があることが伺え る。   2018年のオートオークション平均 落札率( 65%)は、その落札台数(47 8・7万台)とともに過去最高を記録し た。落札率の上昇は、すなわち中古車仕 入競争が激しくなっていることと同義で あり、この落札競争の過熱は落札金額の 上昇を招いている。   2018年のオートオークション平均 落 札 金 額 は 54・ 5 万 円 で あ り、 12年 の 48・0万円と比較すると 13・5%も上昇 している。オークション落札金額の上昇 は、国内中古車小売販売向けに仕入れて いる中古車販売事業者にとっては仕入れ コストの上昇を意味し、国内の中古車小 図5 輸出抹消登録台数とAA成約率

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2019 年下期の国内自動車市場の展望 7 自動車販売 ’19. 6 売価格も上昇傾向にある。   日本発の中古車は現在約180か国に 輸出されており、近年は特に中東・アフ リカ地域の躍進が大きく、過去5年間の 仕向国トップ 10を見ると、中東とアフリ カ、豪州、アジアの国が並ぶ。輸出需要 を左右する主な要因には、仕向国の経済 状況、為替動向、さらには仕向地の中古 車輸入規制等が挙げられる。   2019年の足元を見ると、米中関係 の悪化が世界経済に与える影響が懸念さ れる一方、同年4月のWTIにおける月 間平均原油価格は1バレル 63・ 87ドルと 高値推移が続くため、中東やロシアとい った仕向国上位にランクする国の経済動 向にはプラスに影響を与えると考えられ る。   一方、ドル円相場は110円付近の円 高で高値張り付き状態であるが、今後政 情不安が増大するとさらに円高に動くこ とも予想され、輸出需要減少要因にも成 り得る。プラス・マイナス両方の要因か ら、本年後半の輸出需要は近年の緩やか な増加傾向をなぞるように推移するもの と考えられる。   中古車輸出需要の増加が継続されるこ とを考慮すると、引き続きオークション 落札率・金額ともに高値推移することが 考えられ、国内の中古車小売市場におけ る流通玉の不足感は2019年後半も継 続されるものと思われる。   その上に消費増税の駆け込み需要が予 想されるため、2019年後半の中古車 小売販売市場は、販売金額の上昇を維持 しながら活発化することが見込まれる。 筆者プロフィール   麻衣子   矢野経済研究所   自動車産業グループ 上級研究員   米国にてMBA修了後、自動車メーカ ーの生産管理、半導体メーカーの企画職 等を経て現職。中古車流通市場、オート リースに代表される自動車賃貸市場、自 動車整備市場、部・用品市場などの自動 車流通分野を幅広く担当。 図6 輸出台数トップ10の推移 (千台)

参照

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