浅海養殖計画水域の海洋環境に関する研究 III 美地島漁場造成にともなうハマチ収容尾数の推定-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報笹 第28巻第60一等103∼109,1977 103

浅海養殖計画水域の海洋環境に関する研究

Ⅲ 失地島漁場造成にともなうハマチ収容尾数の推定

田 中 啓 陽,井 上 裕 雄

PRELIMINARY ENGINEERING STUDIES ON ENVIRONMENTAL

CHARACTERISTICS OF SEA AREA PRCUECTED FOR

MARINE CULTURE

lII.Estimationornumbcroffishstockcdinthcprq]CCtCdfishfarmMichijlma

Yoshiaki TANAKA ilnd Hiroo INoUE

InordertodevcloptheMich臭jimaarea,locatcdonthesouthcrncoastofUw年jimaBay,for

thccultivationofyellowtail,it hasbeenplanncdtoconstructembankmentsonsouthernand

eastcrnendsofMichijimatoprotectthescaarcaagalnSttheseasonalwindlYe1lowtailcould

bercaredinanumbcrofnctcages月・OatingOnthcsurfaceofthescaarea

WetriedtocstimatcthcnumbcrofyellowtailstockcdintheprQjCCted丘shfarm丘omaview−

polntOfdissoIvcdoxyg・CnbudgCt,uSlngthefo1lowlngCquation

ア・Ⅳ=¢∠,g(C。−C′)+度(es−C′)d。−(タ。一月♪)d。月■。

Qin:qua】1tityofseawater′nOWingintothe鮎hL五rm(m3/hr・),蔦,P。:rateSOf’consumptionand

gr・OSSr)rOductionofoxygeninseawatcr(g/rn3hr),K:maSStranSftrcoefncient(m/hr),Ao:WatCr

area(m2),C$:SaturatCdDOconccntration(g/m3),Cb:DOconccntrationofseawatcr且owing

illtOthc負shfarm(g/m3),q‥lower・1evclofDOncccssarytOmaintainthcnormalgrowthrate

(≒70%saturation)(g/m3),T:rateOfrcspirationof’yc1lowtail(g/hr),N:fishnumbcr,〟0‥nearly

equaltotheavailablewaterdepth(m), ̄:dailymean・

Eachtermsintheabovecquationweremeasuredanddiscusscd

Intheneaptide,tOtalquantltyOfseawaterflowinglntOtheprQJeCtedareawasabout400×

104m3duringatidalcycle”Onthebasisofthelight−darkbottletest,(P。・−P。)wasdetermined

tobeO”014g/m3hrinSeptember

Inthccaseofyellowtailcuiture,thenumberoffishstockedinthe丘shfarmmustbedetermined

underconditionsoftheneaptidc、1ateinsummer

Accordingly,thcfbllowingvalucswcreassumed;T=0,47g/hrat280C(bodywcightOり7kg),

点=0一、08m/hr′,G=63gノm3,島=6.7g/m3,βも=14.4m,andノ40ニ57‖5×104m2.

Fromthescrcsultsitwascstimatedthatthcnumbcrofyellowtail(bodyweightO“7kg)stocked

intheprqJeCtCdarcashouldbe85×104inSeptcmber 宇和島湾の実地島周辺海域に大規模か、マチ養殖場の造成が克.来されたい 美地鳥から東方向に1941nの防被疑,南 南西の方向に1釦mの防波堤を造築し,その内側の海域(水面積約575×104m2)を綿飴釦こよるハマチ養殖場とし て開発しようとする封画である∩ 今軌 この計画された養殖場における収容可能尾数の推定を試みた 養殖施鋸こおける養殖魚の収容可能量は,通常,施設内溶存酸素収支の観点から,もっとも合理的に,決められ

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けⅠ小 櫻 陽,井 上 裕 雄 香川大学農学部学術報告 104 る=)・恥(8)り ところで∴施設内溶存酸素収支にかかわる主要項として,(1)海水交流による酸素供給,(2)大気からの 酸素溶人,(3)植物性プランクトンの光合成による総酸素生産,(4)海水の化学的,生物化学的酸諦消軋(5)養殖 魚の酸素消軋(6)底泥表面における酸素消費,などを考えればよい.. したがって,養殖場内では海水がよく混合されていて,底泥ヤ海水の溶存酸素収支にかかわる諸過程が場内全体に わたり−・様であるとすれば,養殖場内における平均溶存酸素濃度は次式のように=苦ける肌(4)・川) Ⅴ憲一=Q官職(Co−0・∬(G−のA鴫Ⅴ一研一了Ⅳ一朗裁 (1) この(1)式の諸項を検討,評価して,収容尾数を推簸したのである.このためには,もっとも重要な海水交流盈 (Q名花),植物性プランクトンの光合成による総酸素生産速度(アp),海水の化学的,生物化学的酸素消費速度(島),な どを実際に観測しをければならない. 1観 測 方 法 (卜1)海水流動の測定 計画水域の表層における海水流動状況を把線するために測流板(15m深)追跡調査(1973年8月5,6,7日)を実 施した… 浅探測盈,潮位観測を行覆った Fig.1.BathymctricmapofthcwatelarCainvcstlgated. 定点X,Y,Z(Fig.1)に船を固定し,東邦電探KK製CM−2型流向・流速計を使用して,0,5∼1.0時間間隔で流 向・流速を測定したが,定点Zでは1,3,6,8m,定点ⅩおよびYでは1,3,6,10,15mの探度で行をった… 観測を行 なった1973年8月6,7日は小潮期,1974年8月2,3日は大潮期にあたっていた. (ト2)明一暗瓶法 海水の化学的,生物化学的酸素消費速度および植物性プランクトンの光合成作用に伴なう総酸素生産速度の直接的 測定は明一瓶暗瓶を使用した酸素法(8)によって行なわれた−. 計画水域では,1973年・8月71](06:00∼12:00)に,05,1,0,3,6,10,201nの各深さから採水し,それぞれ2組の 明一時瓶に注人して,採水した探さと同じ仕掛こ吊るした.しかし,計画水域でハマチ養成が始まると水質条件が変 るので,事釦こ測定したこれらの値をそのまま使用するわけにはいかをい.そこで,近くの遊子ハマチ養殖場で, 1974年8月2日(07:00∼19:00),3日(07:00∼18:00)に,0.5,2,6mの各水深で明一時瓶法を繰り返し実施した… 明一時瓶テスト実施中は,村山宣磯KK製Wし2型水中照度計を6m探皮に懸垂し,照度を連続記録し,同時に, 1−2時間間隔で照度の垂直分布を測った.

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105 第28巻第60号(1977) 養殖漁傾造成にともなうハマチ収容尾数の推定 2 結果と考察 (2−1)海水交流盈

測流板追跡によって得られた海水流動状況をFig・2に示した上げ潮期は実線,下げ潮期は点線で描いて区別した・

/柚‖t 禁_§曇−・・−・→酬0 グ ′ \ 、ヂ p【600 ¢/ ノ Itヒ′ 10■00¢ご軋 Fig・2・Fcaturesoftidalcurrcntinthcprq]CCtedarea

上げ潮親:7日低潮時(07:17)前後に投入された測流板は,剖画水域内を北西に流動し,(A∼B)間を通過した

流速は4∼17cm/secであった津野浦北め沖合いに投入した洲流板は5∼9cm/secで北上した・いずれの測流板も

高潮前2′・・■3時に反転し,東商東方向に移動した.6日もほぼ同様である…

下げ潮斯:5日高潮時に(A∼B)間に投入された測流坂は東丁北東方向に向った高潮後の津野浦沖(計画水域の

東部)では北東一北北東方向に,1∼11cln/secの流速で流動している・高潮前後に最強流を認めるハ

他方,定点X,Yでの観測によれば,1潮期間における流速の鞄囲は・1m深で1←17,3∼14cm/sec,また,10m

深で2∼23,1∼6cm/secであった.流向は深さによってほとんど変らなかった・15m深さにをると,海水流動はきわ

めて緩慢で,使用した流向・流速封では観測され得をかった・

以上の結果を踏まえて総招すると,討画水域における海水流動は(A∼B)間を通しての海水流出入に支配され,し

かも,(A∼B)断面の形状によって,15m以浅に限られているといえる・ある時間に(A∼B)断面から流人した海水

が当水域を通過して,(C∼D)断面から流出し,また,他のある時間には,逆に,(C(一D)断面から流人した海水が

当水域を通って(A∼B)断面から流出するものと見倣してよさそうである・ B Distance,m A ∈ ざ三雲=喜一のムー掌①こむ︸蒔き 0 2 Figり3.(A−B)Scction このようを流動状況を設定すると,結局,(A∼B)断面を通しての流出入畳を測定しさえすれば,それから計画

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10(∋ 臼]中 啓I掛,井 上 裕 雄 香川大学戯学部学術報告 水域内の水容療変化を考慮して(C∼D)断面の流出入鼻を見積ることかできる、(A′−B)断面(Fig3)に直角方向の 流速成分をり,この流速が支配すると考えられる探さ範囲の通水断面楷を∫ブとして,流量をQ=αgぴ晶から弥出 した“αは流速を断面のほぼ中央で測定したことによる補正係数である.このようにして算出した海水流出入盈の経 時変化をFig.4,5に描いた巾 Fig・4,5をもとにして,1潮期間(約12時間)の海水交流蕊,Q¢,および海水交流率,Q。/Ⅵ,を求め(Ⅵ:低潮 時水容積),TablelにまとめたパQ¢は大潮期(606∼870)×104m8,小潮期394×104m8程度で,大潮期は小潮期の 約2倍に達するり このように,封画水域では,干満潮差に見合う海水の出入のほかに,域内を通過するかなりの盈の 海水の動きがある. (2−2)海水の酸素消費・総酸素生産速度 1日当りの酸素消費還ほ,前述の明≠晴瓶法による測定時間内の酸素消費良から,単純に比例計許して求められた. 1974年8月2,3日の総酸素生産量は,測定時澗からみて,ほぼ日給酸素生産見である.1973年8月7日の測定は 06:00′−12:00の間で行なわれたので,総酸素生産速皮が照度に比例するとして,照度観測記録によって,日総酸素生 産鼠を弥出した. Table2に各探度別の日酸素消費ia,P:(g/m8day),および日給酸素生産乳P;(g/m8day),を示した. 酸素消薫速度は,ハマチ養殖場であっても,場所的,時期的にかなり異なる.由良,福良,宇頭,揚島の各ハマチ 養殖場における7∼9月の測定結果(8〉では,平均1.44g/mるdayであったという.喜平島ハマチ養殖場(4) では7月 OL・48g/m8day,8月0,96g/m8dayで,これらの借は今回の測定値と同程度である. ∈■∈コl召 爪SOqd芯>む〓眉芦 0 2 主\M∈もー×ぎ〇一−U爛 ハ‖U O O ハU 8 6 0 0 0 4 2 0 0 0 2 4 6 占\M∈もニ×.き〇一−1⊃○ 0 0 0 8 0 2

6 7 8 9101112】314 ほ

7 AugJ・1973 Fig一4.Variationin quantltyOfwatcr80WinglntOalldoutfrom thcprq5cctcdiishfarm(ncaptidc).

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107 第28巻第60号(1977) 養殖漁場造成にともなうハマチ収容局数の推定 Fig.5.VariationinquantltyOfwaternowingintoandoutfiOmtheprqjected 鮎hfarm(springtide) Tablel・Hydrauliccharacteristics Table2‖ 02COnSumption(P:)andproduction(P;)ofscawateratvariousdepths(02g/m3day) Yusu丘shf如m Mich章jimaprqjectedarea

二「∴・二

、、 て . ニ 0.46 0.44 0.36 0.04 7Aug.1973 l Oい24 0・40

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田 中 啓 陽,井 上 裕 雄 108 香川大学農学部学術報告 3 収容可能尾数の推定 Fig11に示すように,(A∼B)間は浅くなっていて,平均水深5。9m(平均潮位時)にすぎず,M・・部に13”2mの深い 所があるにとどまる(Fig・3参照).したがって,(A∼B)断面を通しての海水の流出人に支配されて,計画水域にお

ける海水流動ほ水面から15m程度の探さ散開に限られ,それより深い屑の海水はほとんど流動しないとみなせる.

海水流動測定結果はこれを裏付けた= そこ.で,基本水準南下13mのレベルより深い屑の海水は余り流動せず,網重 安ハマチ養殖に,短期的にみて,垣按関与しないものと大雑把に想定する.つ・まり,それより浅い屑で主として海水 が流動し,ハマチが養殖されると考えるのであるい 基本水準面下13mのレベルから水面までの海水屑の厚さをガ(m)とし,前逓の海水交流はこの層に,主として, 限られるとする1今回観測した海水交流量は,巻殖場造成による部分的築堤によっても,また桐生費の設馴こよって も,ほとんど変らないと仮定しようリA打を対象とすれば,底泥表面酸素消費,底屑水の酸素消費はA打に直接影響 をおよぼさない、 小潮期では,潮差は0.8m,ガは高潮時14い8m,低潮時14Omで,潮差はガに比して小さく,また,この程度の 潮位変動でAはあまり変らない.そこで,凡打を平均潮位におけるAo昂.(≒8..28×106m8)に等しいと置く1. Fig・4,5に示すように,海水流人盈は潮時によって変るが,平均的にとらえれば,1潮期間の時間平均流人温 良妬 に相当する海水がほとんど常時流人しているものと考えて差支えなかろう. 鳥,ちとしては,それぞれ玖範囲にわたる日額瓢藷をガ0で割り,さらに時間平均した値,(ク。,Pp),を使用する ことにするい

Table3・Rateofconsumpt10nandgrossproductionofoxygeninscawaterasdailymean

以上の条件を前提とし,ハマチが正常に成育するための溶存酸弄濃度の下限値,G,を常に保持するようにするに は,日平均のスケt−リレで考えて,結局,(1)式から得られる次の関係が消されねばならない巾 ㌘Ⅳ=¢慮れ(e。−Cェ)+願(eぎーC乙)d。−(P。一戸p)d。吼 (2) 記号の上の横棒印は日平均を意味する. ハせチ養殖場で溶存酸素収支の観点から収容可■碓尾数を推定するには,高水温で,魚体塞がかなり大きくなってい る8月下旬∼9月上旬,しかも小潮期に焦点を合わせなければならない(き)い 秋になって魚体重がさらに増しても水温 が低下しているので問題はをい.

8月下旬−9月上旬の美地鳥で,e。=6.3g/m3,Es=6、7g/m8,G=4.3g/m3,R2=008m/hrとして,ein=33.3×104

m8/h㍉(P。一戸p)=0皿4g/m8・hIを使用すれば,(2)式から,結局, テⅣ=66×104g/hr を得る. このテⅣは計画水域全域(A。玖)にむらなく収容したと考えた場合のものであるが,実際は綿生箕に集中して養成 するため,(1)桐生党内外の溶存酸素漉度に差を生じること,(2)桐生費設置により海水流動が制約され,局所的な 停滞域が形成されること,(3)航路としてかをりの面硫を残す必要があること,などの諸事情を勘案すると,結局, ここセ得た借の6割程度が安全側に立って安当であるといえる.結論的には, テⅣ=40×104g伽・ となる.すなわち,計画水域では養耗対象魚全体の呼吸による酸素消費速度が40×104g/hrにをるだけ収容できると

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第28巻第60号(1977) 菱殖漁場造成にともなうハマチ収容尾数の推定 109 いうことになるり したがって,ハマチ1尾の日平均酸素消輩速度,℃を知れば(2),収容可能尾数,Ⅳ,を決めることができる・結果 をTable4にまとめた.例えば,ハマチ当年ものばかりの養成では85×104尾,越年もののみでは29×104尾を収容す ることができるり Tablc4。Ntlmbcrofycllowtai]stockcdinthcprQjected area 計画水域の単位面積当り平均収容可儲密度は,ハマチ当年魚養成の場合,1.5尾/m2になるこの収容密度を瀬戸 内海東部にある既存の養殖場における値と比較してみよう.潮流流通型の女木島養殖場(8)・(7)と蕃平島養殖場(1〉では, それぞれ,37,27尾/m2,干満湖差塾安戸池養殖場(1)で06尾/m2,中間型の堆石島養殖場(5)で1い6尾/m2程度で良 い成果を挙げている.もちろん,これらの養殖場は築堤式,支柱網仕切式であるので,幾分の違いはあろうが,収容 可能密度を比べると,今回計画された美地鳥ハマチ養殖場は良好な養殖場に造成されるものと期待される・− とくに, 水温条件から,ハマチの周年養成が可能であるので,さらに有利である. 記 号 A,Ao:水面横および平均潮位における水面積 Aゎ :底面積 CCざ,C。:それぞれ餐魚施設内平均酸素濃度,施設内条件に対する飽和酸素濃度,施設外(流人海水)の酸素濃度 G :ハマチが正常に成育するに必要な酸素濃度 ガ,島:基本水準面下1311rから水面までの探さ,および平均潮位までの深さ 疋 :物質移動係数 〟 :底泥の表面酸素消費遠戚 Ⅳ :尾数 鳥,P;:時間および日当たりの海水の化学的および生物化学的酸素消費速度 ち,P;:時間および日当たりの植物プランクトンの光合成による総酸素生産速度 Qま犯 :計画水域内への時間当り海水流入盈 T :ハマチの酸素消費速度 ∫ :時 Ⅴ :水容積 碁 記号の上の横棒印は日平均倍を表わす 文 献 (1)井上裕雄:水産増殖,臨時号,4,61∼77,(1965) 384∼392,(1966)ハ (2)井上裕堆:養魚講座第4巻,ハマチ・カンパチ, (6)橘高二郎:日水誌,26(3),230∼238,(1960). (7)田中啓陽,井上裕雄,福田 酒,前川忠夫:本 誌,18(1),77∼83,(1966). (8)陸水生物生産測定方法論研究会編:陸水生物生 産研究法,東京,講談社,(1969). (1976年9月30日 受理) 大島・稲葉監修,線香房,119∼128,(1969).. (3)井上裕堆:海洋科学,6,124∼128,(1969). (4)井上裕雄:水産土木,10(2),71∼85,(1974)い (5)井上裕雄,田中啓陽,斉藤 実:日水藷,32(5),

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参照

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