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Fusarium属菌によるジオキサンリグニンの分解について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 節33巻 第1ぢ15∼22,1981

ダ〝gαγオ〝∽属菌によるジオキサンリグニンの分解について

岩原音二郎,長沢 信明

DEGRADAT工ON OF DIOXANE LIGNINS BY FtLgAIUUMSPP“

Shojiro工WAHARA and NobuakiNAGASAWA

The土ungaldegradation of dioxanelignins p工eparedirom wood powder wasinvestigatedり DHP− degrading FusaYIium spplpartly degraded thelignins”Thelignins were separatedintoseveral 董ractions byextraction with organic solvents and gelfiltrationonSephadexLH−20lItwasfound thatlow molec111ar weight董ractions weredegradedandthefractions werepartlypolymerizedbythe fungi.Thehigh molecular weightfractions werestrongly adsorbedon the mycerium ofthefungi一

ブナ羽木粉よりジオキサンー水で抽出したニダニン成分の旅∫αγよ〟∽属菌による分解について検討した. 釣路即ね椚属薗はジオキサンリグニンを唯一・の炭素源とする培地に良好な生育を示し部分的に分解資化することが 明らかとなった.ジオヰサンリグニンを溶媒抽出,ゲルろ過などにより5成分に分画しその分解性について検討した 結果,主として低分子藍区分が分解されることが明らかとなった.低分子虚区分の一都は高分子イヒしているものと推 定された.高分子鼠区分は菌の作用により変質して菌体へ・強く吸着された. 緒 ロ リダニンはセルロースやへミセルロ・−スとともに植物体の主要構成成分であり,木材中で20∼30%,草本で15∼20 %を占めている成分である.リグニンは天然に存在する高分子化合物のなかで最も分解されにくい物質であるといわ れている(1).それは構造が不規則で種々の安定なC−C結合やエ1−テル結合を含み,合成高子に近い性質をもつためで あると考えられる.リグニンの分解菌としては木材腐朽菌(2・3)が知られているが,最近,木材腐朽菌以外の微生物に ょるリグニンやそのモデル化合物の分解についても研究が進められている(4 ̄9).天然のリグニンとその基本構造が同 じであるコエフエリ・−ルアルコ・−ル脱水素重合物(DHP)が木材腐朽菌(10),土壌微生物群く11)などによって分解され ることが報告されている.著者らは土塊より分離したダ〟ぶαγよ“∽属菌がDHPを分解資化することを見出し(12〉, これらの菌が各種のリグニン関連芳香族化合物を分解することを明らかにしている(18 ̄17). 榊原らはリグニンの化学 構造解明の手段としてジオヰサンー水によるリグニンの加水分解方法を開発し,こ・の方法によって木材リグニンの約 60%が可溶化するこ.とを明らかにしている(18).さらに各種の2,3盈体を分離しその化学構造を明らかにしている (18−21).本研究はこのような天然から得られる多種類の成分から成るリグニン成分をダα∫αγ査〝∽属菌が分解するか どうかを明らかにする目的で行なったものである. 実験材料および方法 1.使用菌株 コエフエリールアルコール脱水累歪合物の資化性菌として分離した撤∫αγよ〟∽屈菌(12)24菌株 を用いて行なった.. 2.ジオキザンリグニンの調製 ジカ ̄キサンリグニ ンの調製は榊原ら(18)の方法に従って行なった.ブナ材木粉 400gにジオキサンー水(1:1)1.5/を加え2J容オートクレーブで170℃1時間加熱して加水分解し,抽出液をろ過 して集め,濃縮乾同して乾燥粉末を得た.この操作を数回行ない木粉1,455gから乾燥粉末240gを得た..乾燥粉末の 糖含星ほフェノール硫酸法で測定した結果約50%であった.Fig.1に示すような方法でジオヰサンリグ・ニンを酢酸エ チル,メタノール,アセトンなどの有機溶媒で抽出を行ないFr.A∼Fr.Eの5成分を得た.Fr。CおよびDは ゲルろ過分析の結果から高分子リグニンが主成分であった.FrA,B,Eは比較的低分子でFigs.2 および3に

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香川大学農学部学術堀悪雄33巻 算1号(1981)

Wood powd即(1455g)

16 ト ト Diox8ne・WQ†er(l:l)

t700C,t hr

Concen†和†ed

oried rh醜ri81tDWし240g)

止聖空聖軋.曇旦

Or(】nic10ye「

3%N82CO5

Concen†和†¢d Me†honol niclく】y¢r Concen†和†ed 曲†¢rl(】yer − ̄ l。S ナ S0luble E†hylqce†Q掩 (pH30)

CoれC¢n†和†◎d Ac£†one Driedmq紬riqt よ竿 Ins s。主 t ∩ 0ナg8 上 Concen†和佃d lns01uble Sつ…二±至eナ≡ n 二 上 Driedm(】†¢riQl くFr臥4g) Co†lC¢n†rQ陀d c⑳れ†和陀d DT・i¢8mq曾◎ぎ■もQi くF一軒E・51g〉 D両dm8†即i81 =ごれC,30g) Fig1.Preparation of dioxane−Waterlignin(DWL) Wavelength(nm)

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17 岩原章二郎,長沢信明:ジオキサンリグニンの分解 むUu再点LOSq亘 1Va\・elength(nm) Fig。3.△8iCurveofeachfraction 示すように,フェノ・−ル性水酸基合鼠の高い成分であった・

3.培地組成および培養方法 歯の培掛ま下記の組成の培地を用いて行なった・培地4m拷含む試験管(1帥×

180mm)で試験管技とう機上(180叩m)で28℃において一定時間増益した・培地組成は,リグニン成分2g,NH4

NO35g,K2HPO41g,KClO・5g,MgSO4・7H200・5g,FeSO4・7H2010mg,MnCl2・・4H205mg,Cac12

・2H2020mg,CuSO.・5H201mg,酵母エキス0.5g,脱イオ■ン水1l,PH6小0である小 4.リグニン成分の定量 菌体を含む培養液4mJにジオ・キサン4m/を加え約1時間室温に放置後遠心分離に ょり菌体を除去し,0.1NHClを含む50%ジオキサンで適当に稀釈し,UVスペクトルを測定してリグニン成分を定 畏・した.

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香川大学農学部学術報告 第33巻 第1号(1981) 18 実験結果および孝察 1.ダ〟βαr血m属菌によるジオキザンリグニンの分解 ダ〟∫αγよ〟∽属菌をジオキサンリグニンを炭素源とする 培地で10日間培養しその分解について検討した.Tabklに示すように,多くの菌株において培養液の270nmにおけ Tablel.I)egradation ofDWL by ダα5αわ加椚Spp.

Decrement of O‖D.,at270nm

(%) Strain tested ダ伽∫α′■オ卯弼叫γ頭0′■α∽Ml−1 ダα5α㌢’ね∽Sp‖M2 ダα∫α㌢・左■α∽50/α邦彦M4−2 ダ〝5αr去〟沼Sp.M6−1 ダαざαγ左卯∽Sp一.M7−1 ダ〝5ノ〃′∠〟∽Sp∴M8 グ〟∫α㌢■∠紺∽50/α乃左M13−1 釣路即−∠α∽Sp.M14 君那αγ■套∽死刑励磁一々/わγ∽♂M15−1 爪相即■査卯∽Sp.MlOl 君那αγ加邪傲地物物∽gMlO2 ダお封打ね椚SpいMlO9 釣狐即’彦α∽Sp..MlO9−4 都路即勿刑Sp一Mlll 都路卯・∠∽解5劇物矧Ml12 丹那αγ■塵〟∽SpMl13 ダ〝5α7彦α∽SpMl17 19.0 8.7 28.3 11.1 8.4 36.3 37.9 4.9 11.8 32.8 45.6 32.3 29.1 34.9 45。2 12.2 30.1 300 Ⅵa\elength(nm)

Fig。4.UV−Spectra of the culture董iltrates

− :uninocculated control,−1−−:CultuIefiltrateof

Fusarium spMlOl, :Culturefiltrate of F従Sa

7套α∽Sp.MlO2, 即ゐ勿Ml12

culturefiltIateOf Fusarium

Table2.Degradation of each fraction by Fusarium spp

Decrement o董0.D.at270nm(%) Strain tested Fr.A I Fr..B I Fr..C I Fr.D 】 Fr”E ダぴ5αγ■∠α研0.%二γ√9如7〟∽Mト1 都路即紘椚Sp‖M2 ダ〝ざα7・よ∽邪5仇お矧M4−・2 ダ∽αγ磨ぴ∽Sp.M6−1 ダお㍊け’査α∽Sp‖M7−1 ダぴざαデー套祝∽$p.M8 ダα5αγ■套〝ク乃50/α乃左M13−1 且那αグ■よα研Sp.M14 釣路〝よ研乃〝相加々/b7’刑♂M15・−1 ダお別けよ一郎∽Sp‖M19−・1 ダα5即勿綱Sp“MlOl 釣紺即ね財多用肌磁々/∂′■∽βMlO2 ダ〝∫αγ去α桝Sp.MlO9 Fα5αγ・∠〟∽Sp..MlO9−4 都路おぬ憫Sp‖Mlll ダ〟√Sαrよ■α研50わ乃∠Ml12 釣細野ぬ綱Sp.Ml13 ダ弘ざα7よ−α∽Sp..Ml15 ダz応αグーね㈹Sp‖Ml16−1 釣跡〝ぬ弼Sp。.Ml17 7 4 6 0 4 3 7 6 0 6 5 4 4 0 2 2 8 1 2 1 0 7 1 0 5 4 5 8 0 1 2 7 7 0 5 6 3 6 6 3 l 1⊥ l ﹁⊥ 1

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19 岩原章二郎,長沢信明:ジオキサンリグニソの分解

る吸光度が減少することが明らかとなった・また,Fig‖4に示すように,培養液のUVスペクトルがいちじるしく

変化していた.これらの結果からジオヰサソリダニンは伽α㌢・ね湖り酪薗によって分解されるものと考えられる・

2.各成分の分解 伽α㌢ね椚属薗によって・どのようなリグニン成分が分角帽れるかを明らかにする目的で,

Fig1に示す方法で得た各成分を炭素源として薗を培養しそれらの分鰍陰について検討した・Table2に示すよう

に,高分子区分であるFrlDおよびFr”Cの減少率が高いことが明らかとなった・FrsA・B,Eでは減少率は

掛、もので20%程度であった.これらの培養液のUVスペクトルを測定した・代表的な菌株の結果をFig・・5に示し

た.また,培養液のリグニン成分の分子最分布について協討し代表的な結果をFig一・6に示した・これらの結果から

FfS‖A,B,Eにおいては低分子鼠区分が減少し,高分子区分はむしろ増大する傾向が認められる・これはおそらく

かノカー・ゼやペルオ・ヰシダーゼによって低分子成分が高分子化したものと推定される・−あ■高分子区分である Frs、D,Cにおいては高分子区分のいちじるしい減少が認められた・このように高分子リグニンの減少率が異状に ︻.C=.ロ.〇 25() 350 300 300 250 Wavelength(nm) Figl5小UV−Spectraoftheculturefiltrates − :uninocculatedcontrol,・−−−−−:CulturefiltrateofFtcsarium

spMlOl, ‥Culture filtrateof F弘SariumspMlO2,一・−・− cultuTefiltrateof Fu5ariumsolaniMl12

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20 香川大学農学部学術報告 欝33巻 欝1号(1981) 40 50 10 20 30 30 40 10 20 30 4() 10 20 30 40 50 Fraction numberI(10ml/fraction) Figl・6.GelfiltrationoithecuturIefiltratesonSephadexLH−20 Columnsize:3.1cmX65cm,elution:50%dioxane,flow rate:0.5mi/min − :uninocculated control, :Culture filtrate of FusaY・ium sp MlO2,(a):FrlA,(b):FrlB,(c):Fr.C,(d):Fr。D,(e):Fr.E

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岩原章二郎,長沢信明:ジオヰサンリグニンの分解 21 高いのはリグニン成分が分解を受けたためとは考えられず菌体へ吸着した可能性が考えられる.そこで菌体へ吸着し たリグニンをアルカリ抽出したところ容易に溶出することが明らかとなった.結局,リグニン成分はほとんど分解を 受けておらず菌体へ吸着していることが明らかとなった.これはおそらく歯の作用によってリグニン成分が変質して 菌体へ強く吸着されたものと考えられる.この現象はリグニン含有廃液中のリグニン成分の除去に有効に利用できる 可能性を示すものであるル この点については現在検討中である. 3.Fr.Aの分解 FrSA,B,Eなどは薗により低分子鼻区分が比較的よく分解されることが明らかとなっ た巾 代表的な成分としてFT.Aを選び,Fig,7に示すような方法により Fr」Aをさらに5成分に分画してそれら 10 20 3040 40 60 70 10 20 30 40 50 60 70 Fraction number・(10ml/fraction) Fig7.Fractionation of Fraction A

Conditions for thechromatography were the same as thosein Fig6.

Table3.DegIadation of Fraction A components by Fusarium solaniMl12

日石己i古瓦entも壬 0.D,.at280nm (%)  ̄1姦ti古一石董t▲】“】一 260nm/280nm Fraction ContIOl l Culture 2 6 3 5 1 8 7 7 8 8 0 0 0 0 0 8 0 1 5 5 8 0 4 9 9 0 1 1 0 0

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香川大学農学部学術報告 第33巻 第1号(1981) 22 の分解性について検討した.その結果,Table3 に示すように,エーテル可溶捜の低分子鼻区分の減小率が高く, 比較的分子鼠の高い成分は分解されにくいことが明らかとなった.derスペクトル(F痩“8)からこれらの成分も菌の 作戸別こよりかなり変化を受けているものと考えられる..また,Fig・8 に示すように,いずれの成分についてもα, β不飽和側鎖部分および共役型フ.】.ノール性水酸基部分尤どが分僻を受けているものと考えられる. 300 350 40(〕 45() Fig8.△8r,Curves of theculturefiltrate$

− :uninocculated control, :Cultufe filtrate of Fusarium solaniMl12.

謝 辞 本研究の研究班の1部は昭和55年皮又灘省特定研究費によったことを記し,諷意を表する. 引 用 文 献 325(1977). (13)Iwahara,S:Lignin Biodegr.adaiion,Micro− ∂よ0わgγ,C血糊ぬ抄ッd㈲ゴf切切紙d∵4毎滋“・ tions(Kirk,T.K.,Higuchi,TandChang,H m.eds)1,(1980)CRC Cress,BocaRaton, FL (14)Higuchi,T”andNakatsubo,F:Kemia−Kemi, 9,481(1980) (15)Ohta,MリHiguchi,T“andIwahara,S:Arch 〝∠c7・β∂査oJ“,121,23(1979) (16)Katayama,TリNakatsubo,F”and Higuchi, T∴AγCゐル払〃・〃∂套0/,126,127(1980) (17)Kamaya,Yり,Nakatsubo,F,Higuchi,LT・and Iwahara,S,:Arch.MicY’Obiol,in press (18)榊原畝 中山信子:木材誌,7,13(1961),8, 153(1962). (19)大森茂俊,榊原彰:木材誌,17,464(1971),18, 355(1972),20,388(1974),21,17’0(1975). (20)佐野嘉拓,榊原彰:木材誌,16,81,121(1970), 加,584(1974),21,461(1974). (21)肩山政和,榊原彰:木材誌22,591(1976),24, 422(1978). (1)Nickerson,WJ.:Ind小EnglChem,48,1411 (1956) (2)Ishikawa,且,Schubert,WlJandNord,NhJ: A㌢・ぐゐ.βわdね刑.β左0タカ.γ∫,100,131(1963) (3)Higucbi,T:Aゐα乃Cβよわ助即研0/.,34,299(1971) (4)川」」川個:木材誌,21,93(1975). (5)川上目山国:木材誌,21,309(1975). (6)川上甘心園:木材舘,22,252(1976)¶ (7)川上l二川個,手刷月孝:紙パ協誌,30,165(1776). (8)桑原正弘鹿島健司,波川渉,岩原輩二郎:醗コニ, 55,248(1977). (9)Fukuzumi,T∴エよg乃査乃βよod♂g㌢“k軌曙」肋cγ 0∂友oJogγ,Cゐ♂∽哀5わ′■.γ,∽か動地祓扉4卯如扉 ons,(Kirk,TK,Higuchi,T‖,and ChangH neds.)1,(1980)CRCPress,RocaRaton,FL (10)Kirk,r.KリConnors,W”F・,Bleam,R D, 1iakkett,WF,and Zeikus,TG.:ProcNatl Acαd ぶcよUSA,72,2515(1975) (11)Hakkett,W‖F,Cornnors,WF・,Kirk,T・K, and Zeikus,J.G:APf>lEnviron.Microbiol, 33,43(1977) (12)岩原ギニ郎,桑原正草,楓コ隆昌:恨工,55,

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