社会認識 の発達 と
9,10歳
の節
発達心理学教室
Development of Societal′
Γhinking and the Changing Period of 9 or 10‐
Year‐oldsToshitaka TAMARUホ
問 題 と 目的 認識の発達 においては,小
学生の年齢 にあたる児童期 は 1つ の発達期 を構成 している。 ピアジェ は,操
作 の発達 とい う観点か ら,児
童期 を具体的操作 の段階 と呼んだ(1ち ヴィゴツキー は,概
念 の発 達か ら,児
童期 を生活的概念か ら科学的概念の移行期 と考 えたK21。 ヮロンは,認
識発達だけでな く , 社会的発達 を含む発達全体 の姿 をみることによって,児
童期 を多価的人格 とカテゴ リー的思考の段 階 と名付 けた0。 このように,発
達理論上,児
童期,す
なわち,小
学生時代 は,あ
る とつの共通 の特 徴 を示す と考 えられている。 ところで, 1つ
の発達期 にあるか らといって,小
学生 の時期 に心理諸機能 は発達 しない とい うわ けで はない。イヽ学生 の時期 には,認
識 を含 めて心理的諸機能が飛躍的 に発達する。 この ことは,学
校教育の内外で確かめ られて きた事実である。 児童期 の発達 は,
とくに小学校 中学年 ころ明瞭 に示 され る。幼児性 をたぶんに残 した小学校1,2年
生や性的な発達 に ともない思春期的な心理 の芽生 えをもつ5, 6年
生 と比べて, 3, 4年
生 は もっとも児童 らしさをあ らわす時期である。 また,同
時 に,小
学校3, 4年
生 は,発
達 の移行期 で もある。 その時期 の発達 は,「9,10歳
の節」として取 り出 され,小
学校低学年や高学年の発達 と区 別 して とらえ られている。「9,10歳
の節」は,わ
が国の教育界 において,聴
覚障害児教育 のなかで, 知的な発達が9歳
レベルの ところである壁 にあたる,
とい う指摘 に1つの端 を発す る。 それ は,言
語的な障害 に起因す る,具
体的思考か ら抽象的思考への移行 の困難 とい う事情 に基づいて,提
起 さ れた ものである。 さらに,一
般 の教科学習 において も「低学力」の子 どもは, 9,10歳
(小学 3,4年
生)こ
ろか らつ まず きをみせ ること,美
術教育 において「知的 リア リズム」か ら「視覚的 リア リズム」への移行期 にあたること,な
どが指摘 されている “ち 児童期 にお ける発達的な移行 は,心
理学的な発達研究 において従来指摘 されて きた ところで もあ る。 ピアジェやブィゴツキーの認識発達の理論 において も, 9,10歳
ころを境 に抽象的な思考へ移 一日 敏 丸行するということがデータで示 されているし
,フ
ロンの思考研究 において も, 5歳
半か ら9歳
は思 考の起源の時期 として扱われ,そ
れ以降 と区別 されている。つ まり,児
童期 を前半 と後半の2つの 発達段階 として理解す る可能性が示唆 されている といって よいであろう。 ただし,「9,lo歳
の節」とい う区切 りは,「1歳
半の節」のような他の発達 の移行期 とは異 な り, その通過年齢 は,子
どもによってかな りの幅があるし,ま
た,同
じ子 どもの認識発達で も領域 (自 然認識や社会認識,あ
るいは数学的な認識な ど)に
より,そ
の領域 に通暁 しているか どうかで異 な っている。 さらに,「9,10歳
の節」以前の認識発達 の形態 は,小
学校高学年 になるとすっか り姿 を 消す とい うもので はな く,い
つ まで も残 り続 けるとい う特徴 をもっている。 そのため,認
識的課題 に対する正答率 の年齢的変化で もって児童期 の発達段階の違いを示そうとして も,そ
うかんたんで はない。 われわれは,一
連 の社会認識 の発達 に関す る研究か ら,児
童期 における発達段階の違いに注 目し て きた⑤。そ こで,本
研究で は,社
会認識の発達 に関わ る問題 を工夫 し,小
学生 との対話 を試みる。 小学校2年
生 と5年
生 の児童 に一連 の質問 をもって面接調査 を実施 し,そ
の回答の仕方を比較検討 することによって,児
童期低学年か ら高学年 にか けての変化がいかなるものであるかを明 らかにす ることにする。 手続 き対話法 による個別面接調査 を行 う。その際
,た
んに結論 としての回答 を求めるので はな くその理 由をたずね,結
論 に至 る過程 を探 る。1人
あた りの所要時間 は約20分程度である。 対話 の過程 は,カ
セ ッ トコーダーで録音 し,そ
れ をそのまま起 こした ものを一次資料 とし た。 なお,質
問によって は図版 を用い,そ
れを見せなが ら回答 を求 めた。面接 には,筆
者 も含 め,1991年
度後期発達心理学演習参加者11名があたつた。 被験児鳥取市内商業地域 の小学校 の 2ク ラスの児童 に面接 した。信頼で きる記録 として残 った もの は以下 の通 りである。 小学校
2年
生25人
(男15人,女
10人)5年
生22人
(男12人,女
10人) 日 時19992年
1月24日午後 場 所鳥取市
A小
学校教室 質問項 目 質問 した事項 は23項目であったが,今
回分析 の対象 とす るのは以下の項 目である。1.(魔
法使 いの絵 を見せ なが ら)「おまえの願 いを何で もかなえてあげよう。ただし, 3
つだけだよ。 さあ,ど
んな願いで もいいか ら, 3つ
言 ってみなさい。」あなたの願いを 3つ教 えて ください。 2。 あなた は,お
年玉 をもらいましたか。 ヤゝくらくらい もらい ましたか。お年玉 は,誰
が くれ ましたか。お父 さん (お母 さん)は
,そ
のお金 をどうやって手 に入れ るので しょ うか。 3。 あなたは,お
金持 ちにな りたいですか。どうした らお金持 ちになることがで きますか。 みんながお金持 ちになることがで きますか。4.
もし,こ
の世 の中か らお金がな くなった らどうなると思い ますか。 5。 お金 はどこで造 っているので しょうか。そ こで は,お
金 を好 きなだけ造 っていいので 法 方鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第34巻 第
2号
(1992) 417
し ょうか。 お金 を どん どん造 った ら,み
んなが お金持 ちになれ るで し ょうか。 6。 あなた は,早
く大人 にな りたいですか。 7。 あなたが20歳 の時 は,あ
なた は どうな ってい る と思 い ます か。40歳 の時は。80歳 の時 は 。8.大
人 はどうして仕事 をす るのだ と思 いますか。9,大
きくなった ときやってみたい仕事があ りますか。 10。 (順番 に図版 を示 しなが ら)将
来 この仕事 をする人 にな りたいですか。 お店屋 さん/お
百姓 さん/先
生/銀
行員/医
者/歌
手/コ
ック結
果
1, 3つ
の願 い ここで は,子
どもが 自発的 に述べた願 いについて取 りあ 表1 3つ
の願い げる。3つの願 いをよどみな く述べ る子 どももいたし,「特 になVゝ」と答 える子 どももいた。「ない」と答 えた子 どもに は,「で は,ほ
しい ものは?」 と聞 き返す と答 える場合 もあ ったが,そ
れについては結果か らは除外 した。 まず, 2年
生 に多いのは,フ
ァミコンな どの「物がほし い」と答 える子 どもである。た とえば,T.J。
(8.07;M
注8歳
7か月男子)は
,「ファミコンのカセ ッ トが ほしい。 スーパーファミコンが1ましい。ゲームボーイが ほしい」 と 答 えている。3つの願 いのうち1つ以上「物が ほしい」 と した子 どもの人数 は,表
1に示 したように,2年
生8人
(32%), 5年
生3人 (14%)で
あった。 また,勉
強や成績 など 「学業 の望み」 も2年
生 に特徴的で,た
とえば,K.K.
(8.05:M)は
,「成績がオール 5と か 。― で,字
が きれ いになって,中
学や高校や大学 の問題 もわかるよ表
2.お
年五の総額 うにな りたいです」 と言 っている。「学業 の望み」 は2年
生が9人 (36%), 5年
生が3人 (14%)で
あった。 次に,2つ
の学年 に共通 してみ られた答 は,「足 が はや くな りたい」や「や さしい子 どもにな りた い」な ど「能力・ 性格」の願 いであった。2年
生 が10人(40%), 5年
生が11人(50%)が
それをあ げていた。また,「小遣い を上 げてほしい」とか「お 金持 ちにな りたい」な ど「お金がほしい」 とす る 願 い も両 学 年 に共 通 して み られ,2年
生5人
(20%), 5年
生4人
(18%)で
あった。 「家族が元気 に暮 らせ るように」 とか「お母 さんをや さし くす る」,「友だちがた くさんで きる」 な ど願 いに「人間関係」が示 されているものは, 5年
生の方が多 く, 2年
生4人
(16%)に
対 し, 人 数 (男,女
) パ ー セ ン ト 2年生 5年生 1万 円未満 1 1) 1∼2万円 2∼ 3万円9(5,4)
3∼ 4万円 1) 4∼ 5万円 1 1) 2 5万円以上 1 3 人数 (男,女
) 2年生 5年生 ?Zが ほ しい 8 323(3,0)
14 学業の 望み 9 36 3 14 含と力・ ↑と格 お金 が ほ しい 5 20 4 18 人間関 係4 (2, 2)
1612(6,6)
555年
生12人(55%)で
あった。3つの願 いの回答全体 の中 で,「人間関係」とこ言及 したか どうか学年差 について χ2検定 してみると,χ 2=7.74,df=1で1%水
準で有為であった。2.お
年五 お年玉 については, 2年
生 も5年
生 も全員が「 もらった」 と回答 している。 その金額 については, 1万
円単位で区切 ってみる と, 2
年生で は, 2∼ 3万
円が最頻値で10人(40%)で
,つ
いで, 1∼2万
円が8人
(32%)で
あった。5年
生で は, 2∼
3 万円が最頻値で9人
(41%)で
,次
いで, 3∼ 4万
円が4 人(18%)で
あった。表2は
,お
年玉の総計金額 について1万
円 きざみでそれぞれの人数 を示 した ものである。 お年玉 は誰が くれたか について は,10人
以上か ら名前が あがったのは,両
学年 とも,「父」「母」「祖父」「祖母」で あった。 なお,両
学年 あわせていちばん多かったのは「祖 母」28人であった。 お父 さん (お母 さん)は
そのお金 をどうやって手 に入れ るのか という質問に対 する回答結果 を分類す ると,表
3の
ようになった。「働いて」とい うことに言及 した者 は, 2年
生が14人(56%)で
, 5年
生が20人(92%)で
あった。 ま た,「その他」の理由,銀
行やおつ りを指摘 した者 は, 2年
生のみで4人 (16%)で
あった。 また,「わか らない」とい う者 は, 2年
生が7人
(28%)で
, 5年
生が2人
(9%)
であつた。これについて,χ2検定 を行 った ところ,χ2=7.68, df=2で5%水
準で有意であった。3.お
金持 ちになれるか お金持 ちにな りたいかの質問 について得 られた回答 を分 類す ると,表
4のようになった。2年
生で は,「1まい」が19 人 (75%),「いいえ」が5人
(21%),「わか らない」が1 人(4%)で
あった。5年
生で は,「はい」が7人
(32%), 「いいえ」が15人(68%)で
あった。 これについて,χ2検 定 を行 った ところ,χ2=10.77,df=2で1%水
準で有意であ った。 どうした らお金持ちになれ るか とい う質問に対 して得 ら れた回答 を分類すると,表
5のようになった。なん らかの 形で「働 く」に言及 した者 は, 2年
生で15人(71%), 5年
生で18人(89%)で
あった。 また,貯
金 について言及 した 者 は, 2年
生8人
(38%)ぅ5年
生3人
(17%)で
あった。 人 数 (男,女
) パ ーセ ン ト 表4.お
金持 ちにな りたいか 人数 (男,女
) パ ーセ ン ト 表5。 どう した らお金持 ちになれ るか 人数 (男,女
) パーセン ト 表6。 みんながお金持 ちになることがで きるか 人数 (男,女
) パ ーセ ン ト 表3.お
金の入手法 2年生 5年生 働 いて14(9, 5)
56 その他 4 16 わか ら ない 7 28 2年生 5年生 は い 7 32 いい え 5 2 . わか ら ない 0 2年生 5年生 種なく 貯 金 8 38 3 17 2年生 5年生 キ よ 3 14 5 25 いい え 9 43 15 (8, 7) 75 わか ら ない 9 43鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
2号
(1992) (複数回答 を含 む)な
お,こ
の質問に答 えた人数 は, 2年
生21(男 13,女
8), 5年
生20(男 11,女
9)で
あった。 みんながお金持 ちになることがで きるか とい う質問 につ いて得 られた回答 を分類す ると,表
6の
ようになった。 そ の際,「で きるか もしれない」な ども含 めて肯定的 に答 えた 者 は「 はい」 として,「人 それぞれ」や「時 によって違 う」 な ども含 めて否定的に答 えた者 は「いいえ」 として,分
類 した。2年
生で は,「1まい」が3人
(14%),「いいえ」が9 人 (43%),「わか らない」が9人
(43%)で
あった。5年
生で は,「はい」が5人
(25%),「いいえ」が15人 (75%) であった。 これについて,χ2検定 を行 った ところ,χ2=10.98,df=2で
1%水
準で有意であった。4:こ
の世の中か らお金がな くなった ら もしこの世 の中か らお金がな くなった らどうなるか とい う質問 に対 して は,さ
まざまな回答が示 された。2年
生で は,「貧乏 になる」や「何 も買 えない」,「生活が苦 し くなる」 などの回答が多かった。5年
生 になると,「物々交換」や「貝 とか石がお金 の代わ りになる」な どの回答が出現す る。前 者のような回答 を「個人的関係 と社会的関係 とが未分化 な もの」,後
者 のような回答 を「社会的関係 に定位 した もの」 として分類す ると,表
7のようになった。2年
生で は,「わ か らない」 とい う2人
を除いてすべて「未分化」であった が, 5年
生で は,「未分化」13人(59%)で
,「社会的」が6人 (27%)で
あった。なお,「変わ らない」などの答 は「 そ の他」に分類 した。 これについて,χ2検定 を行 った ところ, χ2=10.20,df=3で5%水
準で有意であった。 5。 お金 をどん どん造 った ら お金 はどこで造 っているか とい う質問に対 して,大
蔵省 もしくは造幣局 と答 えた子 どもが5年
生男子 に3人
いるが, 他の子 どもは「工場」その他 を答 えた り,「わか らない」と してい る。 ついで,と
もか くお金 を造 っている場所があることを確 認 した上で,そ
こで はお金 を好 きなだけ造 って もいいか と い う質問 をす ると,回
答│ま表8のようになった。肯定的 に答 えた者 は, 2年
生が4人 (17%), 5年
生が3人
(14%)で
あった。否定的に答 えた者 は, 2年
生が17人(71%), 5年
生が19人(86%)で
あった。 なお, 5年
生男子 は12人全員が「好 きなだけ造 ってはいけない」 としている。 お金 をどん どん どん どん造 った らみんながお金持 ちになれるか とい う質問で得 られた回答 を分類 すると,表
9の
ようになった。2年
生で は,「はい」が15人 (71%),「ヤれゝえ」が5人 (24%),「
わ 表7.こ
の世の中からお金がな くなった ら 人数 (男,女
) パ ーセ ン ト 表8。 お金 を好 きなだけ造 って もいいか 人数 (男,女
) パーセ ン ト 表9。 お金をどんどん造 った ら 2年生 5年生 `ま ヤゝ15(9,6)
716 (3, 3)
27 いい え5(3,2)
24 わか ら ない 人 数 (男,女
) パ ーセ ン ト 2年生 5年生 未分化 社会的 0 6 27 その他 0 わか ら ない2(0,2)
9 2年生 5年生 とよVゝ4(3,1)
17 3 14 いい え わか ら ない 3 13か らない」が
1人
(5%)で
あった。5年
生で は,「はい」 が6人
(27%),「いいえ」が15人 (68%),「わか らない」 が1人 (5%)で
あった。 これについて,χ2検定 を行 った と ころ,χ 2=8.84,df=2で5%水
準で有意であった。6.早
く大人 にな りたいか あなたは,早
く大人 にな りたいか という質問に対 す る回 答を分類す る と,表
10のようになる。「早 くな りたい」と答 えた者 は, 2年
生が11人(44%), 5年
生が7人 (32%)で
あつた。「早 くな りた くない」と答 えた者 は, 2年
生が14人(56%), 5年
生が12人(55%)で
あった。 なお,「な りたい ときとな りた くない ときが ある」とい うよ3人
(14%)み
られた。 次に,そ
の理 由であるが,早
く大人 にな りたい とい う者で は, 2学
年 を通 じて「いろい ろな仕事 がで きる」 とい うことが7人
といちばん多かった。理 由の学年別 の分類 は,表
11の通 りである。 表■,大
人にな りたい理由 結婚 赤ちゃん 仕 事 お 金 勉 強 車 わか らない 2年生 5 4 1 l 2 5年生 4 1 な りた くない理 由は, 2学
年 を通 じて の学年別 の分類 は,表
12の通 りである。 人数 『遊 べ ない」 とい うものが もっ とも多 く9人
あ った。理 由 表12.大人 にな りた くない理由 遊 び 加齢・ 死 たいへ ん 。責任 労 働 学校・勉強 その他 2年生 2 1 1 5年生 2 l 2 人 数7.20歳
の時,40歳
の時,80歳
の時ぅ どうなっているか 「○○歳 の時,あ
なたはどうなっていると思い ますか」の間では,「がんぼる人 になっている」や 「背 も高 くな り大人 っぱ くなっている」,「働 いている」「大学 に行 っている」な ど成長や活動 につな がる回答 を積極的回答 として,「ふ けている」や「動 けな くなっている」,「死 んでいる」な ど老化 や 衰退 につなが る回答 を消極的回答 として,「おぱあちゃんになる」や「結婚 している」,「変わってい ない」な どたんなる状態 を示す回答 を中立的回答 として分類 した。表13は,20歳
の ときについて, その結果 を示 した ものである。積極的回答 は, 2年
生で15人(60%), 5年
生で12人(57%)示
され た。消極的回答 はな く,中
立的回答 は, 2年
生で4人 (16%), 5年
生で2人
(10%)示
された。 表14は,40歳
の ときについての回答であるが,積
極的回答 は, 2年
生で8人 (33%), 5年
生で13 人(62%)示
された。消極的回答 は, 2年
生で6人 (25%), 5年
生で4人 (19%)示
された。 中立 人数 (男,女
) パーセン ト うに両側面 か ら答 えた者 は, 5年
生 で 表10.早く大人になりたいか 2年生 5年生 はVゝ 11 (6, 5) 44 7 32 いい え 14 (9, 5) 5612(8,4)
55 両方 あ る 0 3 14鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
2号
(1992) 的回答 は, 2年
生で4人 (17%), 5年
生で1人
(5%)示
された。 表15は,80歳
の ときについての回答であるが,積
極的回 答 は, 2年
生で1人
(4%), 5年
生で6人 (29%)で
あっ た。反対 に,消
極的回答 は, 2年
生で13人(54%), 5年
生 で10人(48%)であつた。中立的回答 は,2年
生で6人
(25%),5年
生で3人
(14%)で
あつた。8.大
人はどうして仕事 をするのか 大人が働 く理 由について は,ま
ず「お金 をもうけるため」 とか「お金がない と生活で きないか ら」とか とい うように, お金 ということぼで表現 しているものを選 び出 し,「お金の ため」として分類 した。次 に,「子 どものため」とか「家族 が生活で きるため」 とかい うように,お
金 とい うことばを 直接使わずに生活 の必要 を述べているものを選 び出 し,「生 活のため」と分類 した。「みんなのため」や「大 きくなった か ら」な どは「その他」 として分類 した。表16は,そ
の結 果 を示 した ものである。「お金 のため」とい う理 由を述べ る 子 どもは, 2年
生が17人(68%), 5年
生が17人(77%)で
あった。お金の ことに触れずに「生活 のため」 とい う理由 を述べ る子 どもは, 2年
生 が3人 (12%), 5年
生が3人
(14%)で
あった。 9。 大 き くなった ときや ってみたい仕事があるか 将来やってみたい仕事 について質問 した ところ,「ある」 と言って具体的な職種 を述べた子 どもは,表
17のように,2年
生で15人(68%), 5年
生で15人(68%)で
あつた。 なお,子
どもたちがあげた仕事 を学年 ×性別 に列挙す る と,表
18の とお りである。10.将
来な りたい もの一― お店屋 さん,お
百姓 さん,学
校 の先生,銀
行員,お
医者 さん,ア
イ ドル歌手,コ
ック 「な りたい」や「少 しやってみたい」 とい うものを「 は い」 として,「や りた くない」や「 あまりや りた くない」と いうものを「いいえ」 として,「考 え中」や「わか らない」 というものを「その他」 として,そ
れぞれ分類 した。表19 か ら表25は,各
職業 ごとにその結果 を示 した ものである。 人 数 (男,女
) パ ーlzシ /ト 人数 (男,女
) パーセ ン ト 人数(男,女
) パーセン ト お店屋 さんにな りたいかについては, 2年
生で は,「はい」が18人(72%),「いいえ」が6人
(24%) であった。5年
生で は,「はい」が9人
(41%),「いいえ」が13人(59%)で
あつた。 お百姓 さんにな りたいかについては, 2年
生で は「はい」が5人
(20%),「いいえ」が20人 (80%) 表13。 20歳の とき 2年生 5年生 積極的 消極 的 中立 的 4 162(0,2)
10 わか ら ない 6 2 4 7 33 表14.40歳の とき 2年生 5年生 積極的 338 13 (9, 4) 62 消極的6 (2, 4)
25 4 19 中立 的4 (1, 3)
171(0,1)
5 わか ら ない 6 25 3 14 表15 80歳の とき 2年生 5年生 積極 的1(1,0)
4 消極 的 中立的 わか ら ない 4 73(0,3)
14であ り
, 5年
生では「 はい」が5人
(20%),「いいえ」が 15人(68%)で
あった。 先生 にな りたいかについて は, 2年
生で は,「はい」が■ 人 (44%),「いいえ」が14人(56%)で
あ り, 5年
生で は, 「 はい」が5人
(23%),「いいえ」が16人(73%)で
あっ た。 銀行員 にな りたいかについて は, 2年
生で は「 はい」が 10人 (40%),「いいえ」が14人(56%)で
あ り, 5年
生で は,「はい」が9人
(41%),「いいえ」が12人(55%)で
あ った。 医者 にな りたいかについて は, 2年
生で は「 はい」が9 人 (36%),「いいえ」が16人(64%)で
あ り, 5年
生では, 質問 された21人全員が「いいえ」 と答 えた。 アイ ドル歌手 にな りたいかについては, 2年
生で は「 は い」が6人
(24%),「いいえ」が14人(76%)で
あ り, 5
年生で は,「はい」が3人
(14%),「いいえ」が19人 (86%) であった。 コックにな りたいかについて は, 2年
生で は「 はい」が9人
(53%),「いいえ」が8人
(47%)で
あ り, 5年
生で は,「はい」が14人 (70%),「Vゝいえ」が6人 (30%)で
あ った。 以上 の結果 について,「その他」の答 えを除いて,「はい」 か「いいえ」かの学年の違 いについて χ2検定 を行 った とこ 表18
なりたい職種 人 数(男, パ ー セ ン 表17
やってみたい仕事があるか 女 ト ろ,お
店屋 さんが χ2=5.50,df=1で5%水
準で有意であっ た。 また,医
者が χ2=7.25,df=1で1%水
準で有意であっ た。なお
,以
上の職業について
,な
りたい者の比率の高かっ
た順に並べると, 2年 生では
,①
お店屋さん②コック③先
生④銀行員⑤医者⑥アイドル歌手⑦お百姓さんで, 5年生
では
,①
コック②お店屋さん
,銀
行員④お百姓さん
,先
生
⑥アイドル歌手⑦医者であった。
人数(男,女
) パーセ ン ト 人 数(男,女
) パ ーセ ン ト 表16
大人が仕事 をする理由 2年生 5年生 お金 の ため 生活 の ため3(0,3)
14 その他2(1,1)
9 わか ら ない3(1, 2)
12 0 2年生 5年生 あ る15(7, 8)
6815(7, 8)
68 な い5(4,1)
237(5,2)
32 わか ら ない 0 子 男 女 子 2年生 絵描 き,本
屋,お
もちゃ屋 (ファミコンを 含む),酒
屋,菓
子屋,歯
医者 会社,食
料品店,喫
茶店,お
もちゃ屋, モデル,看
護婦,医
者,小
学校 の先生 5年生 小説家,大
工,小
学校 の先生,科
学者,歯
医者,漁
師,野
球 の選手 デザイナー,美
容師,新
体操の先生,郵
便局員,銀
行員,花
屋,看
護婦 表19
お店屋 さんにな りたいか 2年生 5年生 は い いい え その他1(1,0)
4 0表
20
お百姓 さんになりたいか 2年生 5年生 は ヤゝ5(4, 1)
20 いい え その他 0 鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第2号
(1992) 423
人数(男,女
) パーセン ト 人数(男,女
) パーセ ン ト 人数(男,女
) パ ーセ ン ト 人数(男,女
) パーセ ン ト 人数(男,女
) パーセン ト 人数(男,女
) パーセ ン ト 考 察 ここで は,子
どもの社会認識 の仕方 に関 して,小
学校低学年 を高学年 との間 にどのような違いが あるのか,ま
た,違
いがあるとした ら,そ
の違い は「9,10歳
の節」 といわれ るような発達 の質的 な変化 と考 えていいのか どうか,考
察 してみたい。 子 どもは認識 において,言
語的知識や経験,大
人 な どか らの伝間等を利用す る。 したが つて,質
問に対す る回答 の違い も,そ
うした知識や経験,伝
聞等の違 いによって もた らされ る。問題 は,そ
の ような違 いの有無 だけではな く,そ
のような違 いをもた らす認識 の構造 にお ける質的な変化 の存 表21
先生にな りたいか 2年生 5年生 は ヤゝ いい え その他1(0, 1)
5 表22
銀行員にな りたいか 2年生 丁年生 は ヤゝ いい え 14 (6, 8) 57 その他 1 4 表23
医者 にな りたいか 2年生 5年生 はVゝ9(3,6)
36 いい え 表24
アイ ドル歌手になりたいか 2年生 5年生 は い い い え 表25
コックになりたいか 2年生 5年生 は ヤゝ いい え在 に関わっている。 以下
, 4つ
の主要な質問ブロックーー欲求,お
金,成
長,仕
事―― にそって,論
述す ることにす る。1.物
への欲求か ら人間関係の欲求ヘ 3つの願 いに関す る回答結果 を見 てみると, 2年
生 に特徴的な答 は「物がほしい」「学業 の望み」 であ り, 5年
生 に特徴的な答 は家族や友だちに関す る「人間関係」の願 いである。「人間関係」の願 いが出現す る ところに,小
学校低学年か ら高学年への変化があると言 えよう。 小学校低学年か ら高学年 にかけての物への欲求か ら人間関係の欲求への変化 は,世
界 に対 す る間 接的な態度 の形成 を意味 している。い まや子 どもは一人 で直接世界 に対峙するのではな く,他
者 の 目を自分の内に取 り込 んだ人間一般 (人類 の一員)と
して立 ち向か うことを意識す るようになる。 それ は,ピ
アジェのい う自己中心性 の克服 の過程で もある。 ところで, 5年
生の応答 の中で「照れなが ら語 る」 とい うことが見 られ る。 これ も他者の目を意 識 していることの証 しである。彼 は,自
分 の言 うことが他人 にどう映 るかを意識 し,「照れ る」。話 をしなが ら同時 にその話 を評価す るという行為 の誕生である。2.お
金 を考 え,社
会の表象ヘ お年玉の総額 については, 2年
生 も5年
生 も2万
円代が多 く大差 はない。 しか し,そ
のお金 の入 手方法 について は, 5年
生 のほとん どが「働 いて」 とい うことを指摘 しているのに対 し, 2年
生で は「働 いて」の指摘 は半数強 にとどまっているし, 4分
の1以上 の子 どもは「わか らない」 と答 え ている。お金 と労働 との結 びつ きは,低
学年か ら高学年 にか けて定着 してい くもの と思われ る。 お金持 ちにな りたいか とい う質問に対 しては, 2年
生 は「 はい」が多 く, 5年
生 は「いいえ」が 多い。 その主要 な理由については,「はい」で は「ぜいた くがで きる」や「いろいろな ものが買 える」 (計13人)で
,「いいえ」で は「今の状態に満足」や「金持ちは嫌みっぽい」,「自分 だけなるの はダ メ」(計10人)で
あった。後者 の「いいえ」の3つの理 由はすべて5年
生があげたもので,少
な くと もその うちの2つ は周 りの目を意識 した ものである。 ここで も,認
識 の仕方に他者 の目が取 り込 ま れるとい う小学校高学年の特徴が示 されている。 みんながお金持 ちになれ るか という質問に対 しては,「なれない」とす る答が, 2年
生(43%)よ
り5年
生(75%)の
方が多い。 これ は,「働 かない人がいる」 とか「お金 を使 って しまう」な どの理 由であるが,子
どもの目にうつる現実 をぶ まえての答であろう。2年
生 に比べて5年
生 は社会的現 実への観察 はきび し くなっているのであろう。ただ し,こ
の理 由付 け自体 は, 2年
生 と5年
生 との 認識 の質的な差異 を示す もの とは言 えない。 この世 の中か らお金がな くなった らどうなるか という質問に対 して,「貧乏 になる」とか「 ものが 買 えな くて死 んで しまう」な どのような答 と比べて,「物々交換す る」「 ものがただになる」 な どの 答 は,社
会全体 を考 えた ものである。 それ は,今
回の調査 の場合5年
生で27%あ
らわれてい る。 お金 をどん どん造 った らみんながお金持ちになれ るか という質問については, 2年
生で は「 はい」 が多 く(71%), 5年
生で は「いいえ」が多い (68%)。 お金がいっぱい造 られればそれ をもらって お金持 ちになる。 こうした個人的関係の延長で考 えれば,お
金 をいっぱい造ればみんながお金持 ち になるとい う結論 に至 る。 しか し,社
会 は,た
んなる個人 の集 ま りで はな く,独
自の法則 をもつ も のである とす るな らば,お
金の総量 は物 の総量 との関係で考 えられ る必要がある。 そうした独 自の 社会的関係 は,小
学校低学年か ら高学年 にかけて徐々 に表象 され るようになると思われ る。 個々人 を越 えて社会や制度 を表象す ることは,い
くつかの困難 を伴 う。 これについては,か
つて鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 34巻 第
2号 (1992) 425
田丸C61が指摘 した ところである。 それ によれば,は
じめ,「子 どもにおいて,『お金』ないし『お金持 ち』は様々な ことと結 び付 いて,対
をなしている。対 は個人的経験 を基礎 にして形成 され る。」対 の 思考では,「社会 は個人 の延長線上 に考 えられている。しか し,経
験 を積 めば,み
んながお金持ちで ないことがわかって くる。対 による思考 と現実感覚 とは葛藤す る。」それ は, 9,10歳
ころ特徴的な 認識であった。 そして,「労働 を考 えることを通 じて,子
どもは社会全体 を客観化す るにいたる。」 「社会的関係が個人的関係か ら区別 され始 める。」そのような認識 は小学校高学年の一部 に認 められ た。今回のデータ も基本的には同様 な傾 向を示 していると言 える。年齢的 にいえば, 9,10歳
を越 えたあた りか ら社会的表象の可能性が増大す るとい うことになる。 社会的表象が可能 になることは社会的な知識 を得 ることも意味す る。「物々交換」な どは自分で考 えた とい うよりも書物 や伝間 による知識 に依 つてい るのであろう。社会的表象が脆弱 なままにたん なる「事典的」知識が増 えた場合 と,社
会的表象 を多様 な場面で 自主的に形成 し得 るようになった 上で知識 に至 る場合 とで は,見
か けは同 じであつて も発達 において大 きな違いがある。その違いを 明 らかにするには,子
どもの認識 につぃての心理学的な分析が必要 になる。 ところで,「みんながお金持 ちになれ るか」に関す る質問で, 2年
生 において興味深い現象が観察 された。2年
生 は,た
んに「みんながお金持 ちになれ るか」と聞かれた とき,「はい」は3人
(14%) であったのだが,「お金 をどん どんつ くった ら,み
んながお金持 ちになれ るか」とい う条件 を変 えた 質問にす ると,「はい」が15人(71%)に
増 えている。5年
生 はほ とん ど変わ らないのに対 して, 2
年生の この変化 は特徴的である。おそら く, 2年
生 は前者 の質問において何 らかの特定 の場面 を思 い浮かべて回答 してい る。 しか し,そ
れ はすべての場面,可
能性 を尽 くしているわ けで はない。 し たがって,別
の条件 を提示 され ると答が変わつて しまう。 その点, 5年
生 は答が安定 している。 こ のことは, 5年
生の場合,た
んに「みんながお金持 ちになれ るか」 と質問 された ときで も,少
な く とも様々な場面や条件,可
能性 を想定 して回答 していることを示 してい るのであろう。そのため, 新 しい条件 を加 えられて もそう簡単 には答 は変わ らない。2年
生が,た
またま思い浮かべた場面 に 制約 されて認識活動 を行 うとした ら, 5年
生 は,さ
まざまな条件や可能性 に基づ く思考が優勢 にな りはじめているので はないだ ろうか。3.大
人 にな り成長す ることのイメージに対する社会の影響 「早 く大人 にな りたいか」 とい う質問で「はい」 と答 える割合 は, 2年
生が44%, 5年
生が32%
で,高
学年の方が低 い。 このように年齢が長ず るにしたがって,「早 く大人 にな りたい」とする者が 減 るとい うのは,今
までの調査で一貫 している0。ち ただし,今
回の場合,学
年 の間の違いは比較的 少ない。 これ は, 2年
生で大人 になることが年 をとることや死 に近づ くこととい うイメージと結び 付 けている者が7人
いて,彼
らが加齢 に否定的な感情 をもっているか らであろう。 ところで,20歳
,.40歳,80歳
の年齢別 の大人観 を見てみると.20歳
の ときに関 して は, 2年
生 も5年
生 も,ヒ較的肯定的な印象 をもっているが(約60%),80歳
の ときに関 しては,と
もに消極的な印 象 をもっている者がかな りいることがわかる(約50%)。 このデータに関 しては, 2年
生 と5年
生 と で認識 の変化 を示 していない。老人 として生 きてい くことに対す る社会的な苦境が,年
齢 にかかわ らず子 どもにこうした印象 をもた らしているのであろう。4.仕
事に関する社会認識 仕事 に関す る質問の回答結果 は, 2年
生 と5年
生で類似 している。 まず,大
人 の働 く理由は,と
もに「お金のため」 とい う者 の割合が7割
前後 ある。 また,大
きくなってやってみたい仕事がある か とい う質問について,両
学年 とも68%の
子 どもがあると言 っている。 その職種 も子 どもにとって身近かな ものが多い。 将来な りたい もの と,して例示 した職種 について は,学年 によって選択 の傾 向が若干異 なっている。 お店屋 さんにな りたい とい うのは
, 2年
生 に多 く5年
生 に少ない。 その他 の職種 で は,両
学年 とも な りたい者が多いのは,コ
ックであ り,両
学年 ともな りた くない とい う者が多いのは,お
百姓 さん, 先生,銀
行員,医
者,ア
イ ドル歌手であった。 とくに,医
者 は5年
生で はな りたい とい う者がいな い。な りたい とい う者が多いのはコックやお店屋 さんなど子 どもにとって具仲 性のある仕事で,な
りた くない という者が多いのはお百姓 さんや医者 な ど苦労が多い と思われ る仕事であった。全体 と して,仕
事の苦労の側面 に目を向けやすいのは5年
生の方であった。 農業や工業 な どの生産労働 に明瞭 に示 され るように,仕
事 (労働)は
,自
然 と人間 との関わ り方 を決定するだけでな く,人
間 と人間 を結 び付 きをも決定す る。仕事 はもっ とも社会的な性格 の強い 活動である。 しか し,子
どもははじめか らこうした仕事 の全体的な姿 を理解することはで きない。 子 どもが経験 した り伝聞 した りす ることは,仕
事 の部分的な姿である。 た とえば,お
百姓 さんは, 田畑 を耕 し作物 をつ くる。 それ は生産 の喜びをはっきりと味わえる仕事である。 しか し,そ
れは額 に汗す る辛い仕事である。気候 の影響 を受 け,そ
れによって努力 の報 われ方 も違 って くる。 また, 農業 を維持す るためには借金 をして農耕 の機械 を購入 しなければな らない し,つ
くった物 は市場そ 販売 しなければな らない。高 く売れ るときもあれば安 くたたかれ ることもある。農業 という仕事 は これ らさまざまな関係 のなかで行われている。その全体像 を知 るためには,子
どもには社会認識が 求め られる。小学校低学年 は,部
分 を見聞 きす るが,社
会的表象のうえでその全体 を関連づ けて考 えることはで きない。 た またま知 っている部分が面 白そ うであれば将来やってみたい と思 うし,逆
に面 白そうでなければや りた くない と思 う。高学年になるとさまざまな側面 をつなぎ合わせ総合的 な判断 をす るようになる。 その とき,現
代 のわが国の大人 たちの働 く姿,そ
の苦労の側面 に気づか ざるをえない。 そのため,お
店屋 さんにして も医者 にして も (先生やアイ ドル歌手 も同様 な傾向に あるが)将
来 なってみたい とい う者 の割合が5年
生で減 るので はないだ ろうか。 た とえば, 5年
生のE.R.(11.09:M)は
,先
生 にな りたいか どうか聞かれて次のように答 え ている。 「先生?体
育教 えるんだった らいいか もしれんけど,別
にそんなに,ま
あ,大
学 いける くらい の頭だった らいいか もしれんけど,で
も,先
生 って何かあんま り金入 らんって言 うけ―,あ
んま しいやだ。」 以上, 4つ
の領域 の回答全体 を通 じて,小
学校低学年 と高学年 とで は,経
験や伝聞の影響 を受 け るとい う点で は向様であるが,認
識 の構造 においては対 による結び付 けか ら社会的表象の うえでの 関連付 けへ と質的な変化 をす ると言 えるので はないだろうか。 江 ピアジェ (滝沢武久訳) 1968
思考の心理学 みすず書房 ブィゴツキー (柴田義松訳) 1962
思考 と言語上下 明治図書 ワロン(竹内良知訳) 1982
子 どもの精神的発達 人文書院 日下正一 児童期の子 どもの発達1991
日下正一・加藤義信編 発達の心理学 学術図書出版 徹 鬱 僧 は鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第34巻 第