香川県の淡水海綿について 2-香川大学学術情報リポジトリ

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香川生物(Kagawa Seibutsu)(24):51−8,1997‖

香川県の淡水海綿について 2

久 米

〒760高松市番町4丁目1番10号 香川県農林水産部林務課

益 田 芳 樹

〒701−01倉敷市松島577 川崎医科大学生物学教室

Freshwater spongeSin Kagawa Prefecture 2

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YoshikiMasuda,DqpartTnentOfBiologγ,肋wasakiMedicalSchool,577,MatsushiTna,

ぬrα5ん去ゐi70トOJ,掬α花 約6.5haで,水深は最深部で約7m程度である。 地底の土質ほ,−・部泥土の堆積が見られるが, 砂礫が主体であり,転石も散見される。周囲の 環境は,溜め池の上部が蜜柑園として開墾され ている。両側面ほ貧弱な松林であり,この松林 も松枯れで落葉広葉樹林に急速に移行している 状態にある。森林から溜め池に流入する小谷部 には,ヌマガヤを主体とした小湿地が数カ所確 認された。溜め池の受ける集水区域には人家等 は無く,生活排水や産業排水の流入の無い良質 な水質を保っている。溜め池の護岸ほ,堤体内 側の高水位面から下がコンクリ・−−ト製消波ブロッ

は じ め に

筆名らほ,先に香川県における淡水海綿の生 息状況を報告したが(久米・益田,1994),その 後も継続して生息調査を実施してきた。この調 査の中で,佐々木(1969)が1936年の調査で高 松市東植田町城他において生息を確認しながら 筆者らが先報で確認出来なかった,ヌマカイメ ソ劫0れg£ggαgαC弘ぶ亡ris(Linnaeus)を確認する ことが出来たので報告する。 産 地 ヌマカイメソの生息が確認出来たのは,大野 原町丸井池ノ内「梅花池.」である(図1).ノ。1996 年12月30日に調査を行い,数種の海締体標本と 水面に浮かぶ浮遊芽球を採取した。溜め池は既 に樋門が閉じられ,水位が上がり始めていたが, 3分目はどしか貯水しておらず,地底の−‥部が 露出している状態であった。浮遊芽球は,この 状態の水面3箇所から採取した。 梅花他の立地は,標高141mで,洪積世の高 位」段丘未固結堆積物の地質からなる丘陵地上部 の,小谷2筋が合流する箇所に堤体を築設した, 谷止め型の溜め池である。溜め池の満水面積は 図1… 梅花他の位∵匿. −5−

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イメソ渠酎こ.まとめて一旗った。 またヌマカイメソの確認以後,1997年1月15 日と1月26日の2回はど,海綿体の採取を目的 に梅花他の綿密な調査を実施したが,ヌマカイ メソの海綿体を採取する事ほ出来なかった。 梅花池のヌマカイメン ヌマカイメソは,陽当たりでは体内に緑藻を 共生させているため海綿体が線色をしており, 平盤状の付着部分よりしばしば突起を伸ばすこ とがある。この様な特徴の海綿体を持つ種ほ, 他にアナソデルカイメソとカワムラカイメソ, セソダイカイメソの3種がある。ヌマカイメソ の骨片には3種煩があり,辣を持たない平滑で やや湾曲した両針体の骨格骨片,多くの林を持 つ微小な湾曲した両針体の遊離小骨片と芽球骨 片(図2a)である。このうち遊離小骨片の形態 はヌマカイメソ同定の大きな決め手であり,芽 球を持たない海綿体だけでも,同骨片の形態に よりヌマカイメソと決める事が出来る。芽球は 他種に比べて大きな方で,芽球の殻に厚い型と 薄い塾の2種類がある。殻が薄い芽球は,浮遊 したり乾燥した場合に壊れやすい。芽球口ほ, 通常1個であるが時々2個以上のものも見られ る。芽球口は管状ではなく・一・枚の仕切で,その 周りには襟状の付属物を持つ(図2b)。芽球骨 片は,殻が蒔い芽球では数が少なく,殻に対し て接線状に.配列している。殻が厚い芽球の芽球 骨片は,数も多く配列は放射状に.近くなる。 今回梅花池から採取されたヌマカイメソほ, 他種の浮遊芽球と−・緒に採取された少数の浮遊 芽球に基づく確認である。従って海綿体や遊離 小骨片による確認は出来なかった。しかしなが ら,採取された浮遊芽球から,次の様なヌマカ イメソの芽球の特徴が観察された。 浮遊芽球には破損した小数の骨格骨片が付着 していたが,観察された部分は平滑であった。 芽球ほ球形またはやや偏円形体で,その直径 は様々であった。芽球口の数は,ほとんどが1 個であ・つたが,2個持つものも見られた。芽球 口の周りには襟状の付属物を持つため,上から 見ると皿状を呈していた(図2b)。芽球骨片は, クで覆われている他は,自然状態である。この 自然護岸と地底の裸出部にほ,周囲からの倒木 や流木が散在しており,樹幹や枝粂に海綿体が 付着していた。また,転石やコンクリ・−ト面に も海綿体の付着が見られた。 梅花他の詳細な水管理は不明であるが,これ までの観察から,秋期の水落としによる定期的 な干上げほ行われていない様で,通常ほ冬期に も満水状態となっていた。1996年は,前2年続 いた渇水の影響で,秋期以来偶然に・落水状態と なっていたものと思われる。 梅花他の水生植物は,冬期状態で,ヨシが挺 水練近くの−‥部に小面積確認される程度で,全 容は不明である。 同定の方法と結果 標本の採取と現地調査は久米が行い,得られ た標本を益田に送付した。益田ほ,送られた標 本をもとに種の同定とヌマカイメソの芽球骨片 の計測を行った。種同定の方法ほ,芽球またほ 浮遊芽球の外部形態や芽球口の構造を,光学顕 微鏡下で観察して行った。芽球の形態だけでは 同定出来ない場合は,芽球の骨片を濃硝酸中で 遊離させ,骨片のみ.を抽出し,顕微鏡下でその 形態を観察して同定を行った。 これらの同定の結果,表1の通り5種の淡水 海綿の生息が確認された。 これらの内,ミュラ1−カイメソとミュラ・−カ イメソモドキについては,海綿体の骨格骨片の 小棟の有無のみ.により区別されている。今回採 集されたものはミュラ・−カイメソモドキ型であ ったが,ここでは両者を区別せずにミュラ1−カ 表1.梅花池で確認された淡水海綿. 種 名 海綿体 浮遊芽球 00000 ヌ マ カ イ メ ソ ヨ ワ カ イ メ ソ ○ フソカコウカイメソ ミュラ・−カイメソ塀 ○ ミマサカジ・−カイメソ ○ 一6−

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図2・a:梅花地産ヌマカイメソの芽球骨片,b:梅花地産ヌマカイメソの芽球口, c:梅花地産ヌマカイメソの芽球殻. 棒状でいくつかの鈎状の鰊を持ち,湾曲してい た(図2a)。湾曲の度合いは骨片によって異な っていた。骨片の長さの計測はZeiss社の画像解 析装置(イーバスシステム)を用い,両端の直 線的な距離ではなく骨片に沿ってトレースして 行った(表2)。芽球の殻は気胸層を持ち,芽 球骨片は芽囁殻に対し様々な角度をもってその 中に埋もれており,芽球表面には突き出ていな かった。芽球内膜と気胸層の間には網状構造ほ 見られず(図2c),この特徴はヌマカイメソ属 が持っているものであるが,他にカワカイメソ 属の2種(且m乙‘egger£とg.′orと£s)とジーカイ メソにも同様の特徴がある。 以上の浮遊芽球の観察の結果,梅花他のヌマ 表2.梅花地産ヌマカイメソの芽球骨片の 測定値(単位:〟m). 測定値 平均 SD 長 さ 32.7¶71.1 46.8 7.5 太 さ 2.8− 5.6 4.1 0.6 カイメソの芽球は,琵琶湖に生息するヌマカイ メソに代表される,薄い殻を持つ芽球の型では ないことがわかった。厚い芽球殻を持つ芽球と 薄い芽球殻を持つ芽球の違いは,ヌマカイメソ の系統によるものか,環境条件によるものかは よくわかっていない。なお,佐々木(1.969)は, −7−

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高松市妹他のヌマカイメソは厚い芽球殻を持つ 型であると報告して−いる。

お ぁ り に

ヌマカイメソは,全北区の中でも北半分に広 く分布する種類である。日本国内の分布は,近 畿地方以北に多く,中国地方からは記録がなく, 九州地■方は1930年代の大分県立石地の1箇所, 四国地方は香川県の城池と今回の梅花他の2箇 所のみである。なお香川県の城池では,1936年 以降現在まで同種の生息は確認されていない。 従ってヌマカイメソは,西南日本では淡水海綿 の稀少種とみなすことができ,梅花他の生息の 推移について観察を続けたいと考えている。 文 献 久米 修・益田芳樹.1994.香川県の淡水海綿 について−1.香川生物 21:67−76. 佐々木信男..1969.四国・九州産の淡水海綿に ついて\水産大学校研究業績17(3):161− 178. −8−

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参照

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