• 検索結果がありません。

香川県のニホンイシガメ Mauremys japonica-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "香川県のニホンイシガメ Mauremys japonica-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

香川生物(馳gawaSeibulu)(28):23…25,2001

香川県のニホンイシガメ肋〟柁〝ヴぶ ノ呼0乃∼cα

篠 原 望 〒762−0084 香川県綾歌郡飯山町上弦軍寺1206 飯山町立飯山南′ト学校

MaurensJqPOnicainKagawaPrefecture

NozomⅦShimoIlara,〃α〝Zα〝−〟‘J王α椚ほJe〝‡e/王Jαけ5c/zooん〟α〃Zα〃,だαgαWα乃2−〟朗ノ如朋 メの異化型を間違ってイシガメと呼んだり記 載していたと考えられる。方言でクサガメを イシガメと呼ぶ傾向があったことも,生息確 認を難しくしていた原因の1つである。 今回,県小学校科学体験発表会(1999)で研 究発表されたものから偶然ニホンイシガメを 発見したのでその概要を報告する。

調 査 方 法

生息調査は,1999年12月から2001年1月に

かけて聞き取り及び現地調査で行った。種の 同定は愛知学泉大学の矢部隆助教授に依頼し た。学名は千石ほか(1996)によった。 結果及び考察 1999年5月,香川県小豆郡土庄町見目で, 河野光純氏が散歩の途中1個体を発見し採捕

した。採捕地は,石積みの畔がある水田で石

は じ め に 香川県におけるイシガメの生息記録はこれ まで3編ある。浦上(1939)は,イシガメは各 地に生息する普通の種類であるけれども,香 川県には特に多く至るところに見受けられる と記している。金関(1974)は,イシガメは平 野部に生息しているカメで,クサガメ10∼20

頭に対してイシガメは1頭の割合で見られ

る。クサガメは首筋などに緑黄の斑があり, イシガメは黒1色だから,一見してすぐ区別で

きるとし,白黒の写真を掲載している。植松

(1975)は,イシガメは県内に多いクサガメと

よく似ているが,頭側部が黄色でないと記

し,カラーの写真を掲載している。 しかし,千石(1979)は,クサガメには頭部 から頚部にかけて,黄色の不規則な縦条がな

く,異化した個体が混じっている。老熟した

個体,特に雄にとっては,この黒化はむしろ

普通に出る現象であると記している。川田

(1982)は,県下で一般にイシガメといわれて いる個体を同定した限りではすべてクサガメ であったと述べている。1980年から1985年に かけて川田,多田,篠原によって行われた三 豊地区を除く香川県全域調査では生息確認の 情報はなかった(篠原・川田.1988)。川田 (1998)でも,ニホンイシガメ〟α〟re〝ヴ∫ ノ呼OJ卜 gc(‡は記されていない。 このことから,これまで香川県では,クサガ 図1.ニホンイシガメの雄(2000.08.21) − 23 岬

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

ころでは,どちらとも結論づけることはでき ない。ただ年齢にばらつきがあり,2000年9

月7日には,今年産卵された卵から2個体が

醇化したことから確実にこの地で繁殖してい るといえる。 要 約 これまで香川県ではイシガメの生息記録が 3編あった。これらは1982年川田によりクサ ガメの異化型を誤って記載したものであると 修正報告された。1998年までニホンイシガメ の生息は香川県では確認されていなかった。

1999年5月と2000年5月に小豆郡土庄町見

目で河野光純氏により描獲された4個体のカ

メが2000年8月21日に愛知学泉大学の矢部隆

助教授によりニホンイシガメと同定された。

2000年9月5日には同地でニホンイシガメの

卵が5個発見され,内2個が2000年9月7日

に解化した。2001年1月現在,5個体が河野氏 の孫の酒井花加さん宅で飼育されている。 謝 辞 本稿をまとめるにあたりニホンイシガメの 採集記録情報を提供くださった河野光純氏 酒井花加さん,ならびにニホンインガメの同 定に協力いただいた愛知学泉大学の矢部隆助 教授に心から感謝する。

引 用 文 献

金閑正彦.1974‖ カ人 民家由三(編),香川の 動植物:32−33..高松市役所.

川田英蝕.1982..香川県の爬虫類..香川生物

(10):29−33.. 川田英臥.1998−.かがわのは虫類..香川の自 然ガイドブック2かがわの自然(香川県): 34−3(;.. 篠原望・川田英則い1988… 両生・は虫類の分 布からみた香川県の自然度り 香川県自然環 境保全指標策定調査研究報告書(自然度評 価の総括)(香川県):6ト71. 千石正一L(編).1979“原色両生・爬虫類.家 積みのあいだからはわき水が少しずつ出てい る。近くに浅い沼のような池が3個あり,背 後にをま自然林に近い雑木林がある。1999年の

段階では背甲の後縁のギザギザと頭部の形

状,色等からニホンイシガメではないかと推 察されたが老齢個体であったため,確実な同 定ができなかった。この年,越冬に失敗し, 死んだためアルコ・−ル標本として香川大学生 物学教室で保管している。

2000年5月に同地で4個体(内1個体は逃

走)を捕獲した(図1)。2000年8月21日にア ルコ、一ル標本1個体と捕獲3個体が矢部隆助 教授により同定が行われた。クサガメとの決 定的な違いは背甲の中央に1本のにぶくて不 連続な隆粂があり背甲後縁が鋸歯状であるこ とである。背甲が褐色であり,頭部がオリ・一 ブ色がかかった褐色で,目の瞳が真っ黒であ

ることも特徴である。4個体全てこホンイシ

ガメであると同定された。甲長,体重,性

別,年齢は表1のとおりである。採挿された

ものはメスが3個体で,雄は1個体であっ

た。矢部(1995)では,雄は約12cm,メスは約 20c皿まで成長すると記されている。年齢は, 腹甲の骨板の年輪で読みとることができる。

2000年9月5日に同地の畑から卵5個が発

見され 内2個が2000年9月7日に解化し

た。2001年1月現在,2000年解化個体を含め

5個体が河野氏の孫の酒井花加さん宅(香川 県小豆郡土庄町)で飼育されている。 今回発見されたものは,自然分布していた ものがわずかにこの地に残ったと考えること もできるが,人為的に移入されたものが生息 しているとも考えることができる。現在のと 表1一.ニホンイシガメの外部計測値と年齢 個体 測定日 甲長 体重 性別 推定 番号 (cm)(g) 年齢 能 能 2 1 推 推 ♀♂♀♀ 5 eU O O O 7 5 3 7 1 AU OO ︻D OO 1 7 00 1 1 1 1 7 7 7 7 2 2 2 2 2 00 8 00 1 0 0 0 9 0 0 0 9 0 0 ハU 9 0 0 0 1 2 2 2 1 2 3 4

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(3)

浦上仁一・い1g39り 動植物と自然的条件との結 合関係い 近森幸衛・井原豊彦(編)小 香川県 総合郷土研究(復刻版り1g78):36−44.. 矢部隆小1995‖ イシガメ..日本の希少な野生 生物に閲す−る基礎資料(Ⅱ):455−462い (社)日本水産資源保護協会,東京

の光協会,東京

千石正一・・疋田努・松井正文・仲谷一∴宏 (編).1996..日本動物大百科第5巻.両生

類・爬虫類・軟骨魚類,平凡社∴ 束京

植松辰美(編).1975.他の自然.自然と私た ち(香川県):58−65 − 25 −

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

参照

関連したドキュメント

「カキが一番おいしいのは 2 月。 『海のミルク』と言われるくらい、ミネラルが豊富だか らおいしい。今年は気候の影響で 40~50kg

[r]

  中川翔太 (経済学科 4 年生) ・昼間雅貴 (経済学科 4 年生) ・鈴木友香 (経済 学科 4 年生) ・野口佳純 (経済学科 4 年生)

そこで生物季節観測のうち,植物季節について,冬から春への移行に関係するウメ開花,ソメ

里親委託…里親とは、さまざまな事情で家庭で育てられない子どもを、自分の家庭に

(一社)石川県トラック協会 団体・NPO・教育機関 ( 株 ) 石川県農協電算センター ITシステム、情報通信

[r]

石石法石o0 000  一川一こ第石川石こ律第石川石田耳溢剖痔│浬剖満剖b