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多彩な発展をみせるパーソナル・マーケティング-香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第 71巻 第 4号 1999年 3月 87-130

多彩な発展をみせるパーソナル・

マーケティング

原 田

1 . は じ め に わが国においても,昨今では小売業やサービス業におけるパーソナlレ・マー ケテインダの重要性が理解されており,多くの企業がパーソナル・マーケティ ングへの本格的な対応を行いはじめている。このパーソナル・マーケテイング が実体化してきた背景としては,データベースシステムなどの先進的な情報通 信システムの発展によるところが大きい。しかしながら,実際にはほとんどの 手法が米国の先進企業が取組んでいるものをいわば翻訳して導入しているた め,未だに,わが国闇有のマーケティング環境にジャストフィットした形態に はなっていない。 しかし,今や,このような背景のなかにおいて,このパーソナル・マーケティ ングは全産業レベルで展開されるまでの進展を遂げている。そして,現時点、‘で は,多くの戦略的な手法のなかで,特にポイントカードをベースにしたフリー クエント・プログラエ)の導入が多くなっている。また,これはとりわけデータ ベースを活用したものが主流になりつつあり,最近ではデータウェアハウスの (1) パーソナル・マーケテイング:消費者を顔の見えないマス(塊)として捉えるのではな くて,まさにパーソナル(個)な顔の見える顧客として捉えるマーケティング手法である。 このパーソナル・マーケティングは,現在,わが国においても,まさに成熟化のマーケティ ング手法としてきわめて多大な期待が寄せられている。 (2 ) フリークエント・プログラム:優良顧客に対して,価格のインセンティブなどを用いて 継続取引を促進するマーケティングを展開するためのプログラムである。

(2)

88 香川大学経済論叢 1144 導入を行っている企業も増えつつある。また,データベースの戦略活用は,顧 客をエクイティとして捉えた業界の融合化現象をも現出させており,これは, また新たな産業構造を現出するトリガーとして多大な影響を与えている。 そこで,このような観点に立脚して,本章においては,特にパーソナル・マー ケティングの多くの産業に対するディフュージョン状況についての紹介を行っ てみる。具体的には,以下の産業界の先進事例についてのマーケティング戦略 視点からの概括的な論述である。第

1

はサービス産業についてであり,ここで は特にフリークエント・プログラムの紹介を行っている。第

2

は金融業につい てであり,ここではスーパーマーケット銀行に代表される業界融業化について の論述を行っている。第3は製造業についてであり,ここでは主に夕、ーグット・ マーケティングについての考察を行っている。第4はその他の産業界について であり,ここでは特に自動車ビジネス,出版・書籍事業,そして通信販売につ いての多様な先進事例の紹介を行っている。 II.サービス産業のパーソナル・マーケティング 1 ホテルビジネスのフリークエント・プログラム サービス産業の競争戦略においてはとりわけ顧客のリテンションが決め手で あり,そのために各社においては可能な限り顔の見えるマーケティングの実践 を心がけている。特に米国においては,ホテル業界は航空業界とともにフリー クエント・プログラムについては伝統があって,これにかかわるノウハウは充 (3 ) データウェアハウス:ウィリアム・インモンが提唱したデータベースの構築方法であ る。意思決定への支援機能をサポートするために設計されたデータベースである。企業情 報システムで利用する通常の業務系データベースと分離・連携して,意思決定支援のため に最適化されたものがデ」タウェアハウスである。 (4 ) トリガー:引き金。例えば,イノベーションが行われる際に,そのきっかけになるもの である。このトリガーポイントを発見することで,問題点が一気に解決することができ る。 (5 ) ターゲット・マーケティング:マス・マーケティングからパーソナル・マーケティング に移行する過程で展開されるマーケティング手法である。すなわち,顧客をカスタマイズ して,より小さな顧客クラスター単位で特定のターゲットに向けたきめの細かなマーケ テイングを行おうという手法である。

(3)

1145 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケティング -89-分に蓄積されている。そこで,このような状況下で,以下において米国におい てはマリオットホテル,ヒルトンホテル,ホリディイン,また日本においては 代表としてワシントンホテルについて言及を行ってみる。

(

1

)

マリオツトホテルのフリークエント・プログラム 従来から,ホテルにおけるフリークエント・プログラムとしてはマリオット ホテルのものが著名である。これは,すでにスタン・ラップとトム・コリンズ の論述や江尻弘他による紹介によって,わが国おいても著名な伝説的な事例な のである。マリオットにおいては,このプログラムの導入に先立、ってきめ細か な調査を行っている。この結果,実に多様なニーズの存在があったので,マリ オットでは,ビジネス宿泊客を

5

つのクラスターにわけで,それぞれにふさわ しいホテルを割り振っていった。 これが,あのマリオットフォーミュラーといわれているものである(図表

1

。) それは,実は以下のようなマリオットにおける宿泊客とホテルとの関連づけな のである。すなわち,それは,豪華な部屋を希望する宿泊客にはマリオットホ テル,訪問客を自室に招き入れたい宿泊客にはスィート・パイ・マリオット, 一般ビジネス宿泊客にはコートヤードホテル,長期滞在ビジネス宿泊客にはス イート付きのレジデンス・イン,費用節約型のビジネス宿泊客にはフェアフィー 図表1 マリオットフォーミュラーの基本体系 │宿泊ニーズとウォンツト

一一---~

一豆 マリオットフォーミュラー (ホテルの5類型化) ・マリオット ・スィート・バイ・マリオット ・コートヤード ・レジデンス・イン ・フェアフィールド・イン データベース ー豆 クラブメンバーの優遇 ・パーソナルレター ・特急チェックイン ・特急チェックアウト ・宿泊不能時の補償 オーナード・ゲスト・アワード (ポイントシステム) 江尻弘『事例分析データベースマーケティング』より

(4)

90 香川大学経済論叢 1146 ルド・インというような提案なのである。 また,マリオットでは,あわせて顧客データの活用を行うためにクラブ・マー クウィズというクラブ組織の設立.を行っている。このクラブには,一定期間に マリオットに6回以上宿泊した顧客なら誰でも希望すれば入会が可能なのであ る。そして,このクラブメンバーに対しては,マリオットは以下のようなサー ビスの提供を行っている。第1は,メンバー顧客に対してはホテルマネジャー が直接パーソナルレターを書き,最上顧客に対してはトップが直接感謝のレ ターを書くことである。第

2

は,メンバ一顧客はあらかじめ伝えた連絡に基い て,フロントでの書類の記入を行うことなくチェックインできることである。 第

3

は,メンバー顧客には出発当日の朝に部屋に計算書が届けられ,フロント での手続きなしにチェックアウトできることである。第

4

は,メンバ一顧客が マリオットを予約した際にたまたま満室で部屋が取れなかった場合,もしも, 次回マリオットに宿泊した場合には 200ドルの保証金が払われ,同時に当日の 宿泊費が無料になることである。 このマリオットでは,すでに 1984年からオーナード・ゲスト・アワードという フリ}クエント・プログラムの導入を行っている。このポイント制度の仕組み についてはおおむね以下のとおりである。例えば,マリオットホテル 1泊は 100 ポイント,提携する航空会社

3

社の利用には一定のポイント,提携するレンタ カー会社の車の利用にも一定のポイント,マリオットホテル内のレストランの 利用については 1ドルにつき 10ポイントである。そして,仮に 15万ポイント になれば,世界中のマリオットホテルへの11泊無料招待,行き先の自由な航空 券が2枚,ハーツ・レンタカーの1週間無料というような特典が提供される。 (2) ヒルトンホテルのフリークエント・プログラム マリオットに続いて,各ホテJレがこぞ、って顧客リテンションを実現するため のフリークエント・プログラムの導入を行っていった。そこで,ヒルトンにお いても競争戦略上から,ヒルトン・

H

オーナ}ズ・プログラムをスタートさせ たわけである。このヒルトンの採用したプログラムの目的は実は機会ロスの減 少にあったのである。

(5)

1147 多彩な発展をみせるパーソナノレ・マーケティング -91-ヒルトンホテノレには,そのため他社のフリークエント・プログラムと差別化 するために,アメリカンエクスプレスとパートナーシップを車

E

んでそのメン バーに対しては夕、ブノレポイントのサービスの提供を行った。この効果はきわめ て絶大であって,実にメンバーの宿泊予約は倍増したわけである。そして,現 在では,メンバーはすでに

3

0

0

万人を越えているが,このメンバーの増加によっ て年々ヒルトンにおける採算性は向上し続けている。 (3) ホリディ・インのフリークエント・プログラム 米国では,阜くから高級ホテルのみならずホリディ・インのような大衆的な ホテルにおいてもフリークエント・プログラムが展開されている。このホリ ディ・インは,実はホテル業界ではプライオリティ・クラブという顧客組織化 を行うことでフリークエント・プログラムを最初に展開した企業なのである。 ここにおける特典は,今ではどこのホテルも行っている新聞サービス,午後

2

時までのチェックアウト時間の延長などに加えて,部屋のグレ}ドアップ, モーニングコーヒーまたはティーサービスの実施などである。また,エアライ ンマイル・プログラムへの切り替え,電気製品やスポーツ用具などの景品交換 プログラム,旅行招待プログラムなども用意されている。 特に,ここでのユニークな仕組みはクラブメンバーとのミーティングの開催 である。ホリディ・インでは,ホテルの経営陣とクラブメンバーとで円卓形式 の会議を開催することで経営陣と顧客との交流の深化に努めている。また,こ の際には,同時に多くのレクリエーションのプログラムなどもセットされてい る。例えば,ゴルフとテニスのトーナメント,プロのゴルファーやテニスプレ イヤーによるクリニック,マリンスポーツ大会などの実施が,その主なプログ ラムである。さらに,メンバーの意見を経営に反映させるために,アドバイザ、 リーボードの設置も行われている。ここにおいては,特に会員とのOneto One でのコンタクトを重視して,ホリディ・インの経営に対してフィードパックを (6 ) ダブルポイント:ポイントシステムにおいて,通常時に付与されるポイントの 2倍の ポイントが付与されることである。特別なモチベーションを捉えたプロモーション時に 適用されることが多い。

(6)

-92- 香川大学経済論叢 1148

f

子っている。 (4) ワシントンホテルのフリークエント・プログラム 昨今,わが国のホテルについてもほとんどがポイントカードによるフリーク エント・プログラムの展開を行いはじめている。もちろん,顧客をリテンショ ンするには多様な手法があり,藤田観光においては複数の手法を使いわけた多 彩な展開を行っている。それらは,具体的には,第

1

はフジタファミリークラ ブ,第2はワシントンカード,第3はふじた倶楽部という 3つのシステムの使 いわけである。 第

1

のフジタファミリークラブはフジタグループ共通のポイントプログラム 適用の顧客組織であるが,これはカード機能と合わせた形態になっている。そ の意味では,これはポイントプログラム付きクレジットカードなのである。な お,クレジット機能については, NICOSとVISAのデュアル, NICOSとマス ターカードのデュアノレ,またJCBでも利用できるようになっている。そして, ここにおいて,このようなクレジット機能とは関係なく施設の利用頻度によっ てポイントが付与される仕組みになっている。もちろん,フジタ観光グループ の施設を利用した際には,一般加盟庖を利用した際の

5

倍のポイントが付与さ れるシステムになっている。例えば,同じ

5

0

0

0

円の利用であっても,一般加 盟屈の場合には

1

0

ポイントであるが,フジタ観光グループの施設の場合には

5

0

ポイントなのである(図表

2

。) また,このフジタファミリーカードにおいては,カードを提示することでフ ジタ観光グノレープの施設の割引特典を入手することができる。例えば,宿泊に ついては

1

0

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2

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の割引,レジャー施設については

1

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の割引になってい る。このポイントサービスの量はポイントによってそれぞれ景品がもらえるシ ステムになっていて,例えば

4

0

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0

ポイント以上になると,

2

0

万円相当のホテ ルレストラン券が入手できる。 第2のワシントンカードについては,自営のワシントンホテノレチェーンと提 携のワシントンホテルプラザチェーンのホテルに限定にしたポイントカードな のである。このシステムにおいては,宿泊

1

0

0

円で

1

点,食事

2

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0

円で

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点と

(7)

1149 多彩な発展をみせるパーソナノレ・マーケティング GJ 3 図表2 FC (ファミリークラブ)カードのポイントシステム くFCカードは使い方次第でポイントが増える〉 │そのわけは

一般加駒吉(NICOS・VISAjNlCOS・マスターカードまたはJCB) で利用すると ・一一一一一 ;利用額 ~ 10ポイント ! > ,OOO円ごとに 藤田観光グループ施設?利用すると

f

でごント

問主ニニー

離婚礼・宴会のご利用についてはL仰U円ごとに25ポイントになる。

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片 石C

全額を一般加盟庖で 利用すると うち150,000円を藤田観光グループの 施設で利用すると

/ヲ五戸ミント

250,00075,000 x 10=500 150,00075,000 x50= 1, 500 300ポイント ~OO , 000 75, 000 x 10= 80Q く使えば使うほどポイントがアップする〉 藤田観光の資料より いうポイント設定になっている。したがって,1,000点になると 1万円のキャッ シュパックが行われる。また,このカードの特徴は,会社と家族で一括して

1

枚あればすべてポイントが加算できることである。 第

3

のふじた倶楽部は,いわゆる顧客の囲い込みのためのクラブ組織である が,これも.JCBゴールドカードとのデュアlレになっている。したがって,当然 ながら年会費は必要なのだが一方では割引サービスをはじめ多くの特典も付与 されている。とりわけ,レイトチェックアウトサ}ビスなどは魅力的なサービ スの

1

つである。 2ぃ 航空ビジネスにおけるフリークエント・プログラム 航空会社は,どこにおいても顧客のリテンションに最大の力点をおいたマー ケティングの展開を行っている。もともと,先進的な情報システムによって顧 客のデータの掌握がしっかりと行われていたので,

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(8)

-94 香川大学経済論叢 1150 gram)の導入は容易に行われた。このアメリカン航空が最初に導入した

FFP

は,現在では航空業界のみならず,ホテル,小売,そして製造業にいたるまで 広範囲に適用されている。そして,顧客のリテンションを目的としてポイント カードをベースにしながら織烈なサービス競争が展開されている。そこで,こ こでは,このシステムの創設者であるアメリカン航空と日本企業の代表として 日本航空の事例について紹介を行っておく。 (1) アメリカン航空のフリークエント・プログラム 荒川圭基など多くのコンサルタントや研究者がすでに何度も事例として紹介 しているため,今ではフリークエント・プログラムがアメリカン航空がはじめ て導入した顧客リテンションのプログラムであることは衆知のことである。す なわち,このアメリカン航空が開発したプログラムが,あの

FFP

といわれるよ うになったロイヤノレティ・プログラムなのである。 アメリカン航空では,顧客データベースを有効に活用したマーケティングを 行うにあたって,かつて顧客のクラスター分析を行った。そして,その際に発 見できたことが,実は顧客には3種類のクラスターがあることであった。それ は,第

1

rVIT

Jタイプ,第

2

は「アメリカン・トラベラー」タイプ,第

3

は「その他」タイプという 3つであった。第1の

rVIT

タイプ」とは年間13回 以上アメリカン航空を利用している顧客である。第2の「アメリカン・トラベ ラー」タイプは

VIT

ほどではないが,アメリカン航空を何回か利用している顧 客である。第3の「その他」タイプはアメリカン航空を少なくとも 1回は利用 している顧客である。 ここで注目できることは顧客のクラスターと売上高との関係にパレートの法 則が見い出されたことである。実は,アメリカン航空では,全顧客の

3%

であ る

rVIT

Jタイプの顧客によって全売上高の

65%

がもたらされていたわけであ る。したがって,ここではいわゆる

8

0

-

2

0

の法則以上の上位集中が見い出され ( 7) 80-20の法則:20-80の法則ともいう。パレートの法則におけるメルクマーJレである。 上 位20%の優良顧客からえられる利益は,全体の利益の80%になるという法則である。 これはアメリカン航空がデータベース・マーケティングを行って発見した法則である。

(9)

1151 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケテイング -95-たわけである。これらの分析などを参考にしながら,アメリカン航空が導入し たフリークエント・プログラムがAアドバンテージというものであった。 これにおける最大の優遇策は,顧客とのコミュニケーションについて明解な 差別の実施である。それは,例えば「その他」のタイプの顧客にとっては,ア メリカン航空の情報はマス媒体でしか入手できないが,

rVIT

jと「アメリカン・ トラベラー」タイプの顧客はパーソナノレなレターによる情報の提供を受けるこ とができる。 第

2

の優遇策はマイレージサービスである。これが,今ではどこの航空会担 も行っているマイレージサービスのスタートであった。すなわち,このマイレー ジサービスは,アメリカン航空を頻繁な利用によって長い距離を搭乗した顧客 に対して,その搭乗距離に応じてフリーチケットを提供しようというシステム である。そして,これによって,まさに顧客のアメリカン航空への強いリテン ションを獲得することを狙っている。 第

3

の優遇策は,とりわけ

rVIT

j 顧客に対する,例えばスピーディーに座 席予約ができる専用電話の設定,希望する座席の優先的な確保,希望する食事 の提供,専用の空港特別ラウンジの設定というような,まさに特別の付帯サー ビスの提供なのである。 また,アメリカン航空では,この

rVIT

j 顧客をさらに

2

タイプに分類した きめ細かいサービスの提供を行っている。すなわち ,

rVIT

j顧客をそのマイレー ジによって,ゴールド顧客とプラチナ顧客に分類しているのである。そして, 一方の

A

アドバンテージ・プラチナには年間

5

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0

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マイル以上搭乗する顧客と いう設定を行い,このプラチナ顧客と他方のゴーJレド顧客にはそれぞれ異なっ た付帯サービスの提供を行っている。 例えば, Aアドバンテージ・ゴールドの顧客は,普通席の搭乗券に追加料金 を支払うと,混んでいない場合にはファーストクラスかビジネスクラスの座席 に移ることができる。さらに, Aアドバンテージ・プラチナの顧客は,追加料 金を支払えば,出発72時間前なら普通席の搭乗券で確実にファーストクラスか ビジネスクラスの座席に移ることができる。また,その人には可能な限り隣り

(10)

-96- 香川大学経済論叢 1152 の座席を空けるサービスも行っている。 (2) 日本航空フリークヱント・プログラム 世界の航空会社は,こぞ、ってマイレージサービスを導入して,いわば蛾烈な マイレージ戦争を展開している。わが国においても,日本航空,全日本空輸, 日本エアシステムのすべてがマイレージサービスを導入しているが,ここでは

3

社を代表して日本航空のマイレージサービスの紹介を行っておく。 ここでのマイレージサービスは,国際線がメインであるためなのか,マイル 換算の対象がきわめて広範囲に設定されている。すなわち,メインである飛行 機に搭乗することで入手できる搭乗フライトマイルの他に,ホテルマイ1,レ ショッピングマイノレ,電話マイル,その他のマイルという具合にプログラムが 設定されている。また,マイルがたまった場合の特典についても,顧客の優待 方法やアップグレード方法など多彩なプログラムが用意されている。 また,昨今では, 12ヵ月間に 5万マイルまたは 50回以上の搭乗を行うと,以 下のようないわゆる JMDグランデ特典が提供されている。第1は,

JAL

圏内 線空席待ちスーパーシート 8枚が届けられる。第 2は,空港の専用チェックイ ンカウンターやラウンジの利用が可能になる。第3は,専用の予約電話番号が 配付される。第4は,ボーナスについてもJMグランデ専用のものが用意され ている。第

5

は,さらなるグレードアップを希望するグランデ顧客に対して

JAL

グローバルクラブに入会できる仕組みが用意されている。 III.金融業のパーソナノレ・マーケティング 1 欧米の金融業にみる顧客のリテンション 欧米の金融業については,すでに業界聞の壁が完全に崩壊して,グローパJレ な競争段階に突入している。このような状況下で,金融業の各社においても顧 客のリテンションが愁眉の課題であり,そのためにパーソナル・マーケティン グ戦略が多彩な形で展開されはじめている。そこで,ここでは欧米の先進金融 業のなかから以下の5社を選択し,これらの欧米におけるパーソナノレ・マーケ ティング化傾向の実態について正確な認識を行ってみる。

(11)

1153 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケティング -97ー 具体的には,第

1

USSA

,第

2

はファーストダイレクト,第

3

はシティパ ンク,第4はチャー1レズシュワブ,第5がアメックスの取組み事例についての 紹介である。なお,ここでは

USSA

,ファーストダイレクト,チャールズシュ ワブについては主に西村裕二の論説から,シティパンクについては主に日経情 報ストラテジー,アメックスについては主にフレデリツク・ライクヘルドの論 説を参考にしながら論述を行った。 (1)

USSA

における顧客の絞り込み戦略 米国においては,多くの金融機関が顧客のリテンションを目的としたマーケ ティング戦略に多大なエネルギーを注いでいる。そのなかでも,ひときわ著名 なのが,米軍将校をターゲットにしている

USSA

という保険会祉なのである。 ここでは,通常の保険会社のように代理屈網を利用することなく,テキサス州 のサン・アントニオにある本社からの電話と郵便によるリモートコントロール によるオペレーションが行われている。ここにおけるマーケテイングの特徴は, 以下のような3点に要約することができる(図表3。) この

USSA

のマーケテイングにおいては,いかに高い顧客リテンションを実 現するかにフォーカスしていることに,その最大の特徴を見い出すことができ る。そのために,優良顧客への絞り込み,そのターゲットにアピールするサー 図表3 USSAのマーケティング構造 優 良 腕 叩μ 〉 夕 刊 山 一 つ 幅 広 い 重 叩 〉 。 い 顧 客 維 持 今するサ l ーピス 軍人という顧客層 リモートチャンネル 非保険サービス -米軍将校の95% -証券,投信,銀行 が会員 -給与水準、教育 ・転勤しでも便利 -自動車持保率険の顧 水準が高い -手続きが簡単 -住宅,旅行,ショ 客 維 持 が98% -均質なニーズを ッピング 持つ 保険カバレッジ -戦争免責の排除 -召集中の保険料 節約 西浦祐二『金融マーケティング』より

(12)

-98 香川大学経済論叢 1154 ビス,幅広いクロスセルなどを徹底して行っている。この結果,このUSSAに おいては,実に米軍将校の95%を会員にすることに成功しており,また,自動 車保険のリテンション率についても 98%ときわめて高いスコアを実現してい る。このUSSAの成功要因は,おおむね以下の3点に要約することができる。 第

1

の成功要因としては,ターゲットの完全な絞り込みをあげることができ る。ここで設定された軍人というターゲットは,実は給与水準や教育水準がそ うとう高く,また,均質なニーズを持っていることにその特徴が見い出せる。 これだけとっても,米国将校をターゲットにすることで効率的な事業運営がで きることが明白である。 第2の成功要因としては,ターゲットにアピーlレする広範なサービスの提供 をあげることができる。例えば, USSAではリモートチャネノレによる運営を 行っているため,たとえ転勤や引越しがあっても面倒な手続きなどを行う必要 はない。また,この保険のカバレッジについては,戦争免責の排除とか招集中 の保険料の節約というようなサービスが付与されている。 第3の成功要因としては,幅広い非保険サービスの提供をあげることができ る。すなわち,ここでは,具体的には保険をベースにしながも,同時に,証券, 投信,銀行という金融全般にかかわるサービスの提供や,住宅,旅行,ショッ ピングなど,いわば生活全般にかかわるサービス領域の提供をも積極的に展開 している。 USSAにおいては老人の会員が多いこともあってか,特に購買代行 サービスがきわめて好評のようである。ここにおけるサービス方法は, USSA 自身が自動車,宝石,家電などをまとめて安く購入して,これらを会員に対し て特別価格で提供していくというシステムである。

(

2

)

ファーストグやイレクトのクロスセノレ ファ}ストダイレクトとは,英国の4大銀行の1つであるミッドランド銀行 (8 ) クロスセル:クロス販売ともいう。商品やサービスを販売するにあたって,その商品に 関連する別の商品やサービス,または組み合わせ商品を同時に販売することである。これ は,販売額を増大させるために行われている,元来ではダイレクトマーケティングやテレ マーケテイングにおける手法である。また,これはデータベースの整備によってはじめて 可能になる手法でもある。

(13)

1155 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケテイング -99-が,多くの顧客が望んでいたわざわざ支店にでかけたくないというニーズにこ たえるために,新たに別会社方式で対応を行ったダイレクトサービスを専門に 提供する銀行である。 ミッドランド銀行の調査によると,実際に, 51%の顧客 は可能な限り支店に行きたくないと答えており,また27%の顧客は電話で要件 をすませたいとも答えていた。 このファーストダイレクトにおいては,顧客との電話についてはすべてミッ ドランド銀行の支庖を通した専用回線の利用になっており, そのため全国どこ からでも市内料金による利用が可能である。また,現金の出し入れについては, ミッドランド銀行など数行の

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:現金自動 預け支払い機)の利用が可能になっている。 ここで提供される主なサービスは, 貯蓄や個人向け融資や送金だけでなく,住宅ローン,投資商品,保険販売,株 式売買注文の取り次ぎの執行にまでも及んでいる。 さらに,電話

1

本で,公共 料金の支払い,他の口座への振り替え, そして融資までが容易に受けられてい る。 このファーストダイレクトのマーケティングにおいては, 一般の銀行と比較 その特徴を見い出す するならば,商品のクロスセルと顧客別採算の見極めに, ここでは特にバンキング・レプリゼ、ンタティブ の整備とクロスセルの徹底追及の

2

点が重点戦略と考えられている。 そのため, ことが可能である。 前者のバンキング・リプレゼンタティブについては,顧客から最初に電話を 受けたオペレーターがすべての要件に対応することが義務づけられていること である。 したがって, このバンキング・オペレーターに要請される能力とは, 顧客とのコミュニケーション能力, なかでもリスニング能力なのである。その 理由は,顧客と顔を会わせることなく信頼関係を築くためには,親切な応対, 幅広い知識,迅速な対応などが必須条件になるからである。 後者のクロスセルについては,収益性の向上のためには不可欠な戦略的な対 (9) ATM:現金自動預け支払い機のことである。現金の引き出しゃ預け入れなど,金融機 関の窓口業務を人をかいさずに行う事を目的とした金融機関の顧客サービス用の多機能 端末装置である。

(14)

-100- 香川大学経済論叢 図表4 ファーストダイレクトのマーケティング構造 商 時 間

〉顧問問極め)(叫益性〉

-どのような行動をとった顧 客がどのような商品を買っ たかという分析 てごア ・ オ ペ レ ー タ ー の 画 面 上 に、クロスセルすべき商 品とスクリプトを表示 てア てア てプ 引留めクロセル 解約に をさらに行う 応じる -創業5年で黒字化 1156 西浦祐ご『金融マーケティング』より 応、なのである。このファーストダイレクトには,顧客別に採算性を分析する機 能があり,特に高採算の顧客に対しては解約阻止,中採算の顧客に対してはク ロスセルの促進,低採算の顧客に対しては顧客からの解約申込にはすぐに応じ るという基本的なJレ}ルが存在している。(図表 4)。したがって,このクロス セルはとりわけ中採算の顧客に対して行うべき対応であって,そのために購買 履歴などのデータベースは完全な形で整備が行われている。このように,ファー ストダイレクトでは,統計的な推測をベースにしながら,科学的に商品のクロ スセノレを行うことで顧客のリテンションを追求している。 (3) シティパンクのインターネット・ノすンキング 昨今,米国金融業界のリーダーであるシティパンクがインターネットによる 攻勢を本格的に行いはじめている。このことは,インターネットにおけるセキュ リティ面の課題がほぽ解決しつつあることの証明でもあり,また,インターネッ ト・バンキングにおいても業界の壁を超えた織烈な競争が本格的に展開されは じめたことを意味している。 このシティパンクにおいては,この新たなチャネルであるインターネットは 顧客の選択肢を増やすものという位置づけが行われている。その意味では,こ

(15)

1157 多彩な発展をみせるパーソナノレ・マーケティング -101ー れは,顧客起点のサービスの提供にインターネット・バンキングを戦略的に活 用しようとする考え方である。すなわち,このシティパンクにおいては,すで に,いわばリアル・バーチャル統合バンキングを指向した戦略展開が行われて いる。また,このような複雑な商品体系や組織運営をサポ}トするために,シ ティパンクでは,すでにグローパルな情報システムに不可欠なアーキテク チャーの開発が行われている。 このシステムにおいては,全体を大きく

3

つのセグメントに分割してイン ターフェースで統合できることを前提にしており,また,この各セグメントの それぞれ独立した発展が保証された形態になっている。この3つのセグメント とは,第lは顧客チャネル,第2は顧客情報ミドルオフィス,第3がパックオ フィスである。このインターネット・バンキングを展開するには,このなかの 顧客チャネルをインターネット向けに手直しを行うことで十分に対応、が可能な のである。 このシティパンクにおいても,また,スーパーマーケットとのパートナーシツ プによるインストアバンキングへの取組みを行っている。具体的には,シティ パンクにおいては,すでに大規模なデータベースを活用してスーパーマーケッ トの

POS

スキャンデータを自社のデータベースに取り込むシステムの構築を 行っている。そして,このシステムを通じて入手できた顧客に対しては,シティ パンクでは以下のようなサーピスの提供を行っている。 第

1

はカードホルダーへの電子クーポンによる値引きであるクーポンパンク の発行である。第2は特別なブランド品に対するリベートの提供であるリワー ドアメリカの発行である。第

3

はボーナスポイントの

FSP(

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)

に対する付与である。第

4

はシティノTンク顧客口座から自動引 き落としができるエレクトロニック支払いシステムの適用である。シティパン (10) 電子クーポン:クーポンの発行機能をコンピューターによって行わせるものである。 この電子クーポンの導入によってクーポンと顧客データベースとのリンクが可能にな り,データベース・マーケティングへのクーポンの活用ができるようになる。 (11) FSP:フリークエント・ショッパーズ・プログラムのことであり,小売業で展開される フリークエント・プログラムである。

(16)

-102 香川大学経済論議A 1158 クにおいては,これらの取組みをベースにして,より顧客データベースの充実 を行っており,このことからもデータベース・マーケティングへの本格的な取 組みが重視されていることが理解できる。 (4) チャールズシュワブのリテンション戦略 チャーノレズシュワブにおけるリテンション戦略は,そのいわば製販分離戦略 にこそ,その特徴を見い出すことができる。現在では,このチャールズシュワ ブは単なるディスカウント・ブローカーではなく,総合金融サービス提供会社 へと発展を遂げている。したがって,ここから提供されるサービスは,現金性 預金,株式,再建,ミューチュアルファンド(投資信託),保険まできわめて広 範な領域にまで及んでいる。 このチャーノレズシュワブにおけるマーケティングの特徴は,顧客が他のどの ファンドに乗り換えてもシュワブとの取引関係を維持しようということにあ る。だからこそ,チャールズシュワブにおいては製販分離方式のマーケテイン グを採用したわけである。このことは,販売会社としての価値とインフラ会社 としての価値をいわば分別した経営を展開しようという考え方に立脚したマー ケティングなのである(図表5。) 前者の販売会社としての価値については,第

1

は顧客との聞に利害の対立が 生じないディスカウントブローカーというサービス,第

2

は多数の会社のファ 図表5 チャールズシュワブのマーケティング構造 販売会社としての価値 〉 イ ン フ ラ 会 社 と し て の 価 値 〉 。 酬 の 吋 -顧客との利害対立の生じな u、!デイスカウントブローカlー ・多数の会社のファンドを 選択できるワンソース -電話およびインタ十一ネ7 トを通じた自動トレーデ インク' ・他社ファンドの取引報告 舎も一本化 ・独立FP会社もワンソース をインフラとして利用 顧客がどのファンド に乗り換えても、シ ュワブとの取引関係 は長期化する 西浦祐二『金融マーケティング』より

(17)

1159 多彩な発展をみせるパーソナJレ・マーケティング -103-ンドを選択できるワンソースの仕組み,これらがまさにその主なものなのであ る。また,後者のインフラ会社としての価値については,第

1

は電話やインター ネットを通じた自動トレーディング,第2は他社フアンドの取引報告書の一体 化,第3は

5

虫立のファイナンシャル・プランナー会社もワンソースをインフラ として利用する仕組みが,その主なものなのである。そこで,以下においては, このチャールズシュワブの戦略を特徴づけているワンソースと製販分離につい て紹介を行ってみる。 ワンソースという商品は,乗換手数料なしで多数の会社のフアンドを選択で きるサービスである。ワンソースであれば,従来では

1

0

日もかかっていたファ ンドの購入が電話一本で瞬時に実現できる。したがって,シュワブを通して買 うことによって迅速な取引とペーパーワークの削減が獲得できることになる。 そうなると,各ファンドの運用会社にとっては,自ら販路拡大にコストをか けるよりはシュワブのワンソースに参加するほうが効率的にフアンドの規模を 拡大することができる。したがって,フィデリティのように自社の販路をすで に確保している大手以外の運用会社にとっては,自社では運用に特化して販売 についてはシュワブに委託するという製販分離が意味を持ってくるわけであ る。 (5) アメリカンエクスプレスの顧客リテンション 米国においては,アメリカンエクスプレス(以下アメックス)の再生につい ては著名なサクセスストーリーである。すなわち,これはパーソナル・マーケ ティングにおける離反顧客を維持するためのきわめて有効な事例であるという 評価である。このアメックスにおいては導入前に,まず、以って以下のような2 段階にわけで詳細な分析を行った。 第

1

段階では,アメックスはターゲットとするマーケットでの現在価値に基 (12) フィデリティ:史上最強といわれている米国の投資信託会社である。米国においては, 投資信託の主流は,わが国ではなじみが薄いミューチュアルファンドと呼ばれる会社型 でオープンアエンド型のものである。昨今の金融ビッグパンの到来によって,これらの領 域に強みを持った米国投資信託会社のわが国への多様な参入が行われ,このことによっ て,このフィデリティの脅威があらためて注目を浴びている。

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-104ー 香川大学経済論叢 1160 づいて,すなわち既存顧客ならびに潜在顧客を自社と競合他社にとっての現在 価値に基づいて分類を行った。これによって,彼らの現在における顧客の一部 は競合他社が提供する価値に比較してきわめて弱いことが認識できたのであ る。 第

2

段階では,アメックスは顧客の行動の根本的な原因について深く分析を 行った。そして,この結果をベースにして,アメックスでは世界中に新たなマー ケティングの展開を行えるようになった。すなわち,それはまさに顧客のカー ド使用率を100%にしようという挑戦なのであった。そこで,もしも顧客が消費 を100%賄うのにゴールドカードとコーポレートカードとオプティマカ!ードが 必要ならば,アメックスは,その顧客を3つの異なる商品を購入する顧客とし て で は な し た ま た ま 3つの商品を購入する l人の顧客として取り扱ったので ある。 また,一方,加盟庖主に対しても,より高いバリューを付加したサービスの 開発を行っている。これがいわゆるアメックスの提供するロイヤルティ・プロ グラムなのである。これは,顧客がアメックスカードで買い物をした際に,そ の金額に応じてポイントをえることができ,例えば,航空券のマイレージや商 品などの幅広いインセンティブと引き変えられるプログラムである。また,ア メックスにおいては,加盟商庖主がより効率的に自分達の顧客と連絡を取れる ようによりよく,改良された請求書の提供も行っている。 このような努力によってアメックスでは,離反顧客の食い止めに成功して, 同時に,ターゲットすべき顧客のロイヤルティの獲得を実現することができた。 すなわち,このアメックスにおける復活では,顧客ロイヤルティこそを戦略の コアに据えるべきものである。また,この事例については,特に,短期的な利 益を追求するだけではなく,長期的な展望に基づいた戦略の構築についての重 要性を理解させてくれる。

2

, 日本の金融業にみる情報システムの戦略活用 日本の金融機関においては,現在ビッグパンの影響もあった強烈なリストラ

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-105-多彩な発展をみせるパーソナル・マーケテイング 1161 したがって,未だ欧米の金融機関のようなパー しカ〉 ここでは, それらのなかから,日経情報ストラテジーの報告などを参考にしながら,特に, ソニー生命と浜松信用金庫の事例について紹介を行ってみる。 ソニー生命のライフプランナー

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)

近年では, ソニー生命においては新しい形態の生、命保険会社としておおいに ここでの営業戦略のコアコンピタンスはライフプランナー という専任の営業職の存在である。このライフプランナーの主たる役割は,コー ルセンターにアプローチしてきた一般消費者をグループウェアを通じて見込み クチャリングのさなかにある。 ソナノレ・マーケティングへの本格的な取組みはほとんど行われていない。 し,昨今では,いくつかの先進事例も現出しはじめている。そこで, 注目を浴びている。

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-顧客化することである。 これが,いわばソニー生命における見込顧客増大作戦なのである。各ライフ プランナーがグループウェアに営業活動の進捗状況を蓄積しているため,各営 業拠点のマネジャーは単に画面を見ながら成約率を向上させるための指示を出 このソニー生命におけるライフプランナーについての具体的な仕組みはおお まず,コーJレセンターに入った一般消費者からの問 い合わせはデータベースに蓄積され,後日,改めてライフプランナーが電話し もし許可がとれればこれが正式に見込み この段階では未だ見込み顧客の名前と住所の一部がパソ したがって,各ライフプランナーが希望 すだけでよいのである。 むね以下のとおりである。 てよいかどうかの確認を行った上で, しカ〉し, 顧客になる。 はじめて ここでは顧 コン上に表示されているだけである。 する顧客をクリックすると獲得マークが表れて, ライフプランナーは希望顧客に関するすべての情報の入手が行える。 もちろん,顧客に対しては慎重に接することが要請されるため, 客に直接電話するライフプランナーの数を十分に絞った対応を行っている。 この段階において, ヲ '-(13) コールセンター:CTIの登場で,昨今,注目度を上昇させている電話によって消費者対 応を行う拠点である。コールセンターを用いた顧客接点業務の強化は顧客戦略にとって 共通のキーワードになっている。

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-106- 香川大学経済論叢 1162 のシステムの導入によって,誰でも見込み客にアプローチできるため,従来の ように,たとえ見込み客がいても誰もフォローしないということはなくなった。 そのため,このシステムは,各ライフプランナーにとっても,顧客との契約の 成約率の増大におおいに結びついている。 (2) 浜松信用金庫にみる顧客情報の戦略活用 浜松信用金庫においては,大手銀行との競争に勝抜くため顧客情報の戦略的 な活用による付加価値の増大を追求している。ここでの顧客情報システムは, 顧客本人だけではなく,家族や親戚の預金や貸出金の状況までが把握できるこ とにその特徴がある。また,特に,企業経営者の場合には,従業員や関連企業 の取引履歴も検索が可能にもなっている。また,浜松信用金庫においては,こ のようなきめ細かな情報を与信管理に利用しているため,すぐに融資を受けた い企業にとっても理想的な顧客サービスの提供を受けられている。 ここにおいては,まさに顧客別にすべての情報が蓄積されており,このこと によってよりパーソナルなアプローチを可能にしている。また,営業部員には すべて携帯端末を持たせており,訪問記録などについてもきめ細かく記録を とっている。これにおいては,顧客の趣味などまでしっかり入手しており,そ のため,的を絞った金融商品の販売や顧客訪問も可能になっている。したがっ て,このことによって,浜松信用金庫では,営業活動そのものも内容が根本的 に転換することにもなった。その結果,浜松信用金庫においては,従来の集金 業務中心から融資業務中心へという営業政策の基本方針大転換が行われること になった。 3 欧米における小売業とのジョイントプログラム 著者は,かつて別の論説において小売業における金融業への参入について簡 単な紹介を行ったが,ここにおいては,特に,英国のピックリテイラーが金融 子会社を設立して本格的な展開を行っているスーパーマーケット銀行などにつ いて具体的な戦略の紹介を行っておく。ここでは,第lはセインズペリーやテ スコの展開するスーパーマーケット銀行,先行するマークス&スペンサーが展

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1163 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケティング 107-ー 閲するリテイルバンキング戦略についてである。第2は,米国の金融業の小売 業とのジョイントプログラムであるインストア・バンキングについての紹介で ある。なお,これらについては,いずれも日経情報ストラテジ}の各論説,そ して舟本秀男や荒川圭基の論説などを参考にしながら論述を行った。 (1) 英国のスーパーマーケット銀行 英国においても,かつてのわが国の量販庖資本と同様に,総合流通業を目指 した多角化戦略を推進している。すでに,多くのスーパーマーケットにおいて は,食料品のみならず、日用雑貨やガソリンというぐあいに,その扱い品目を次 第に拡大していった。そして,それらの競争戦略がいわば

LTV (

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::生涯顧客シェア)の獲得合戦の様相をみせてくると,全ライフステージ の全ライフスタイルへの対応が可能になる商品やサービスのワンストップでの 提供を指向しはじめたことは,実は,必然的な帰結なのであった。 それでは,このスーパーマーケット銀行とは一体どう理解すべきものなのだ ろうか。このスーパーマーケット銀行とは,そもそも英国のスーパーマーケッ トが既存銀行との提携によって別会社方式で設立した銀行子会社のことであ る。ここにおいては,例えば,貯蓄性預金や当座預金,さらには生命保険,投 資信託など多様な金融商品が販売されている。 すなわち,これはいわば小売業と銀行の強みを組み合わせたニュービジネス を展開しようという試みである。前者の小売業における強みは,第

1

は昨今の 金融の規制緩和がフォローウインドであること,第

2

は顧客からの絶大な信用 力が存在していること,第3は顧客情報の存在とマーケティングノウハウの蓄 積があるという

3

点なのである。後者の銀行における強みは,第

1

は長い経験 による金融業務のノウハウの存在,第2は勘定系システムが構築済みであるこ と,第

3

ATM

ネットワークが構築済みであることの

3

点、なのである(図表

6

。) また,このスーパーマーケット銀行が英国で誕生した最大の理由としては, (14) LTV:リレーションシップ・マーケティングにおいては, 1人の顧客の一生を通じて使 用するお金のことをライフタイム・バリューという。

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108- 香 川 大 学 経 済 論 叢 1164 図表6 銀 行 と 小 売 業 と の 補 完 関 係 小 売 業 が 優 位 な 点 銀 行 が 優 位 な 点 銀既存行銀業行務へと銀のの行提進免携出許のが取ほ容得か易も, になった。小売り本 長な金い経融業験務から豊富ノウハ 体による 活発化で ウを持つ ある 一 一 一 「 顧客満足度(CS)を最重視した庖舗 運営,経営姿勢が高い評価をえてい る ¥、一ー一一一 ポイントカードの発行などで,顧客

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トワ 情報の獲得とマーケティングへの 済み 応用に積極的である

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足りない点を補い,銀行協」力して 「スーパーマーケット を設立へ 安 倍 俊 広 「 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 銀 行 の 衝 撃J W日経情報ストラテジl一』より テスコ,セインズペリー,セーフウェイという大手3社の英国におけるスーパー マーケットの圧倒的な信用力をあげることができる。英国においては,銀行よ りもこの

3

社のスーパーマーケットの持つ信用力の方が大きいため,これらの スーノTーマーケットが行う銀行ということで多大な信用が獲得できたわけであ る。また,英国においては,特に,この3社のローコスト経営は著名であって, このノウハウがそのまま持ち込めることがスーパーマーケットによる銀行経営 における優位性の源泉なのである。 例えば,世界初のスーパーマーケット銀行のセインズペリー銀行においては, 以下のような展開を行っている。すなわち,ここでは貯蓄性預金口座,不動産 担保ローン,小口ローンなどに加えて,生命保険や損害保険,投資信託など多 様な金融商品を扱っている。しかし,ここにおいては,約50人の従業員による 体制でのオペレーションが行われている。しかも,このうち40名はテレ・マー ケティングの専門家であり,実質的にはわずか10人の体制でまかなわれてい (15) テ レ ・ マ ー ケ テ ィ ン グ : 電 話 を 使 っ た 個 別 の 顧 客 対 応 を 指 向 す る マ ー ケ テ ィ ン グ で あ る。昨今では,顧客データベースを活用したマーケティングとして注目されている。また, テレ・マーケティングにおける最大の特徴はオペレータ}が介在することで,このことに よって,まさにハイタッチな顧客対応とサービスの提供が行われる。

(23)

1165 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケティング -109-ー る。 それが可能である理由は,実は,多くの業務をアウトソ}ス展開しているか らである。すなわち,例えば,資金の運用スペシャリストや勘定系情報システ ム, ATMについてはパンク・オブ・スコットランドにアウトソーシングを千子っ ている。そして,このローコスト策から捻出された利益は,さらなる顧客サー ビスに投入されている。すなわち,セインズペリー銀行においては一般銀行に 比較して高率の利子の提供が行われている。 セインズペリー銀行では,自社の顧客に対して約1%の割引に相当するサー ビス提供を行うポイントカードであるリウォードカードの発行を行っている。 そして,もしも,このセインズペリー銀行発行のクレジットカードで商品を買 えば,この割引ポイントは2t音の

2%

になるのである。また,クリスマスシー ズンには,特別に,ボーナスポイントが付与されるなど,多様な優遇策もセッ トされている。 このように,英国ではすでに大手スーパーマーケットはそれぞれ金融業務の 展開を急速に推進し、つつある。また,これらは,それぞれ,テスコでは900万 枚,セインズペリーでは800万枚,セーフウェイでは600万枚もの顧客カード を発行しており,これらを金融のマーケティングパワーに生かすならば,既存 の一般銀行においては多大な脅威であることは間違いない。 それでは,英国においては,一方の百貨庖における金融業務への取組みは一 体どうなっているのだろうか。 実は,大手百貨屈のマークス&スペンサ}では,すでに 100%完全子会社の形 態で金融業務の展開を行っている。これが,マークス&スペンサー・ファイナ ンシャ1レ・サーピシーズなのである。ここの発行するクレジットカードはすで に460万枚に達しており,これのデータベース・マーケティングへの活用にもき わめて熱心に取組んでいる。すなわち,マーク&スペンサーにおいては,この 収集したデータを使ってデータマイニングに本格的に取組む計画を推進してい るさなかである。

(24)

110- 香川大学経済論叢 1166

(

2

)

米国におけるインストア・バンキング また,このような小売業と銀行とのパートナーシツプによる金融サ}ビスの 提供は,米国においてもまた本格的にはじまっている。しかし,米国において は,英国とは異なって,銀行サイドのイニシアチブによって小売の庖舗内にお ける金融サービスの展開が行われている。それが,まさにインストア・バンキ ングといわれている展開なのである。すでに,全米では約5,000店舗のインス トア・パンキングが展開されており,今後も増え続けることが予測されている。 ここにおいては,約3坪から 15坪での庖舗展開が可能であり,一般の支屈と比 較すると 5分のlから 10分のlの面積での出庄が可能になっている。 わが国おいては,特に,シカゴのファーストシカゴが著名であるため,これ についての概括的な紹介を行ってみる。ここにおいては,このインストア・バ ンキングは,いわば既存の庖舗の収益性をカバーすべく導入された庖舗形態な のである。従来型の庖舗においては,顧客に接触する回数や時間が減少してお り,顧客のリテンションを実現するには不十分な状態であった。そのため, ファーストシカゴでは自動化できるとことは徹底して自動化を進め,その余力 を商品販売の活動に振り向けていったのである。 そして,そのための具体的な対応策は以下のようなものであった。第

1

は対 人窓口業務を減らすために窓口サービスには窓口料金を新設し,顧客に対して, より便利で安いATMやテレホンサービスなどの代替デリノfリーチャネノレの 用意を行った。第

2

に,生産性や収益性の低い企業向け法人口座を削減させた。 第3に,エクスプレスセンターの開発を行った。これはフルサービスのインス トア・バンキングで,いわば窓口業務の自動化と対人サービスとの食い合わせ 型庖舗であるが,ここでは徹底したコストダウン庖舗の追求が行われている。 第4に,価格政策を変更して,顧客にサービスの選択肢を提供するかわりに, 例えば,残高照会などの人的サービスには新たにフィーチャージを行った。第 5は,顧客をATMやテレホンサービスに誘導する活動を継続的に行った。 さらに,ファーストシカゴではATM利用者にはキャッシュパックやギフト の進呈などのメリットの提供も行った。例えば,預金利用に対しては

1

回につ

(25)

1167 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケテイング -111-き2ドノレを口座にパックしたり,引き出し利用者に対しては宝くじを進呈した。 また,ATMクラブを設置して,常連の利用者に対しては付加サービスやメリッ トの提供も行った。もちろん,このような活動のなかでは前述したエクスプレ スセンターの効果はきわめて多大なものであった。

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V

.

製造業のパーソナノレ・マーケティング 1 欧米の製造業のターゲット・マーケティング 欧米においては,製造業におけるパーソナル・マーケティングには長い歴史 があって,これはいわば製造業における織烈な競争から必然的に導かれてきた マーケティング戦略なのである。したがって,製造業のパーソナJレ・マーケティ ングはあくまでマス・マーケティングの延長線上にあるため,実際には,ブラ ンド戦略をサポートするためのターゲット・マーケティング的色彩が強くなっ ている。このような観点を捉えて,以下において,英国のオースチン・ローパー の情報誌の戦略活用と米国におけるレイノルズによるブランドスイッチング戦 略についての紹介を,おおむねスタン・ラップとトム・コリンズの言説から行 うことにする。 (1) オースチン・ローパーによる情報誌の戦略活用 製造業おいては,ブランドスイッチングはきわめて重要な戦略課題の

1

つで ある。このブランドスイッチングが,言い換えれば,顧客の創造による企業成 長のため戦略として有効なのである。したがって,顧客を競合ブランドから奪 取することは大切であるが,その前に,まず自社の優良顧客を奪取されないよ うにすることがより大切なのである。そこで,このような観点、に立脚すること で,すぐれたブランドスイッチング戦略を展開しているオースチン・ローパー のターゲット・マーケティングについての考察を行ってみる。 オースチン・ローパーが行ったターゲット・マーケティングとは自社の顧客 (16) ブランドスイッチング:あるブランドから他のブランドに顧客をチェンジさせるプロ モーションである。顧客の増大を図るため,ライバル企業の顧客をいかにして寝返らして 自社の顧客にすることができるかが大事なのである。

(26)

-112 香川大学経済論叢 1168 図表 7 オ}スチン・ローパーのブランドスイッチング 井尻弘 I事例分析データベース・マーケティング』より のなかから見込み客を徹底して絞り込むことからスタートしたものである。そ して,これらの顧客に対して情報誌でカタリストを送付して,顧客とのリレー ションシップをより深めることに努めてきた。また,カタリストの定期購読者 に対してアンケートや電話調査を行うことによって,個人別に,いつ頃に新車 を購入するのかという購入時期の予測を行ってきた(図表7)。 このオースチン・ローパーにおいては,この見込み客に対して,新車購入推 定時期の

3

ヵ月前に

VIP

という豪華な新車提案書を送付したのである。これ が,きわめて効果的であって,この豪華提案書を送付された見込み客の約60% が親戚や友人にみせたわけである。こうして,特別な顧客であると思われてい るという思いが,新車購入についてもポジティブな姿勢を誘発することになっ た。そこを捉えて,この豪華提案書を送付した見込み客に対しては引き続き特 別試乗の案内を行ったのである。その結果,この試乗会には約95%の見込み客 が参加したそうで,販売底は,これらのターゲットにアプローチすることで大 成功を実現したわけである。 ここでの成功の秘訣は,まさに情報誌のカタリストと提案書の

VIP

の送付に

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1169 多彩な発展をみせるパーソナル・マーケテイング -113-あった。そうなると,この情報誌の制作がきわめて重要な課題になるわけで, ここで,いわゆるセレクトロニック・パインディングによる構成が行われるこ とになった。すなわち,顧客単位で情報誌の構成を変えて,いわばオンリーワ ンともいうべく紙面構成を行っていったわけである。実は,このセレクトロニツ ク・パインディングという装置はパーソナル・マーケティングにおいては不可 欠なものなのである。 (1)

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・レイノルズのインディビジュアル・マーケティング これは,昨今,話題の

OnetoOne

マーケティングの先行的な事例であって, 米国では,すでに製造業においては1980年代の初期からパーソナル・マーケ ティングが本格的に行われていたことの証明でもある。ここの顧客データベー スは,当時においては,全喫煙家の約半数の2,700万人を擁する大規模なもの であった。そして,レイノルズにおいては,このデータベースを活用して,い わばブランドスイッチングのノウハウの習得を行っていた。 その上で,あの著名なセーラムの競合ブランドであるニューポートに対する ブランドスイッチング戦略になったわけである。その具体的な手法は,まさに マス・マーケティングに対するターゲット・マーケティングの導入なのであっ た。すなわち,競合ブランドのメインターゲットに対してピンポイントでリー ド・ジェネレーション広告を打ってから,その後に,まさに本格的なプロモー ションを仕掛けていくという方法であった。すなわち,セーラム・サウンド・ ウェーブ・クラブの組織化を行って,ここをホームベースした徹底的な顧客囲 い込み戦略を展開したわけである。 例えば,月

2

回のセーラム・サウンド・ウエ}ブの無料配布,

CD

やテープな どの特別割引クーポンの提供などによる顧客に対するプロモーションの実施で あった。この結果,セーラムのマーケットシェアについては,プロモーション (17) リード・ジェネレーション:リード・クオリフィケーションとともにリード・マネジメ ントの構成プロセスである。リードジェネレーションとは突破口を切り開くと言う意味 で,データベース・マーケティングにおいては顧客になりそうな名簿を作ることである。 そのためには,通常スペース広告,ダイレクトメール,ビジネスショー,フリーダイヤ1レ などが利用されている。

(28)

-114- 香川大学経済論叢 1170 投入以前と比較して

25%

も増大することができた。 2" 日本の製造業に見るデータベース・マーケティング 日本の製造業がダイレクトにエンドユーザーに対するダイレクト・マーケ ティングを展開する事例は未だにそれほど多くはない。むしろ,企業に対する 営業活動にデータベースを導入することで,顧客企業に対して効果的な営業を 展開することが主な命題になっている。すなわち,データベース活用によって いわゆるB

t

o

Bマーケティングにおけるリレーションシツプ・マーケティング の展開を担ったものである。このような観点、から,ここでは日経情報ストラテ ジーを参考にしながら,代表事例として大正製薬とサントリーフーズにみる顧 客とのコンタクト管理の実際についての紹介を行ってみる。

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)

大正製薬のコンタクト管理 大正製薬においては,個屈との関係を深めることによる営業活動の効率化や 販売促進を行っている。そこで,顧客とのコンタクト管理の先進事例として, 大正製薬の顧客情報システムの活用事例についての紹介を行ってみる。ここの システムにおいては,実は,売上げデータと営業担当の集めた定性情報の 2つ が基本的な情報になっている(図表

8

。) 昨今,小売レベルでの競争が蛾烈をきわめているため,営業担当の効率的な 訪問が不可欠になっている。当然,重要度の高い底舗には毎週

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回以上の訪問 を行ったり,取引拡大が見込める庖舗に対しては集中的に訪問することも大切 である。そのために,過去2年分の商品別販売実績,営業担当者の訪問履歴, 庖員数や立地などの情報を居舗別に蓄積しているわけである。そして,営業担 当者は,自らパソコンを使いながらこのデータの参照を行ったり加工を行った りしている。 特に,重視されているのが庖舗別の販売実績で,これに基づいて訪問頻度の (18) リレーションシップ・マーケティング:顧客との関係に焦点をおいた,まさにロイヤノレ ティの獲得を指向するマーケティング手法である。したがって,単なる販売よりは,むし ろ継続取引に重点をおいた展開を指向する。昨今では,データベース・マーケティングと の統合展開によってさらなるパワーを発揮しはじめている。

参照

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