Q1:何をエンドポイント(評価項目)にしたら
良い?
A1:
試験の目的、試験デザイン、比較方法、目標症例数
など実施計画の中心に密接に関連するため、
統計学的な多重性の問題を避けるため1つに絞る
Q and A
その疾患領域で既に
確立している
、先行研究や公表
文献で
使用されている項目
臨床研究の
目的が最も適切に反映される項目
Q2:新しい(未確立の)エンドポイントを利用
するには?
A2:
そのエンドポイントが、関心のある疾患および治療
の
特性を明確に示すこと
ができるのか?
エンドポイントの
信頼性
や
妥当性
が示されているか
エンドポイントの確認試験(validation study)
バイオマーカーを利用するのであれば、その変化と
臨床的な症状の変化(改善)との関連性
Q and A
臨床研究/臨床試験の目的
疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善
疾病原因、病態の理解
患者の生活の質の向上
予防・診断・治療方法等の有効性/安全性を調べる
臨床研究/試験の基本は比較
対照群(既存の実薬、プラセボ、低用量等)との比較
投与(介入)前後での比較
ある患者集団に対して、対照群と比べて
何を根拠に
有効/安全であると言うのか?
臨床研究/臨床試験
評価項目(評価変数、エンドポイント、アウトカム)
臨床試験の目的に対して、
臨床的に最も適切で説得力の
ある証拠を与える指標/項目
「同じ状態・症状であれば誰でも正しく同じように測定
できる」指標であることが必須条件
主要評価項目(Primary Endpoint)
試験の主要な目的に直結した評価項目
通常は一つに絞って設定 副次評価項目(Secondary Endpoint)
主要評価項目を支持する補足的な項目
主要評価項目とは異なる視点から有効性を評価する項目
(副次的な目的に関連した項目)
評価項目(エンドポイント)
統計学的な問題 (検定の多重性)主要評価項目と副次評価項目(一例)
対象疾患 主要評価項目 副次評価項目 心筋梗塞後 心血管イベント発現率 不安定狭心症を含むイベント、2型糖尿病 新規発生、安全性 骨粗鬆症 新規椎体骨折の発生率 骨密度、骨代謝マーカー、安全性 糖尿病 HbA1c変化量 食後/空腹時血糖値、血清インスリン値、 グリコアルブミン値、安全性 関節リウマチ ACR20%改善率 ACR、DAS28、HAQ-DI、関節びらんスコア、 QOL、安全性 がん領域 OS(PFS) PFS(OS)、奏効率、QOL、用量制限毒性、 最大耐用量、安全性 大うつ病性 障害 MADRS合計スコア変化量 MADRS反応/寛解率(50%減/≦10点)、 HAM-D17、 CGI-I、安全性 高血圧症 トラフ時坐位収縮期及び拡張 期血圧の下降度 血圧、降圧有効率、血圧コントロール率、 安全性主要評価項目と副次評価項目(一例)
対象疾患 主要評価項目 副次評価項目 市中肺炎 臨床効果(終了/中止時) (日本化学療法学会の効果判定基準) 臨床効果(評価者・時点)、 陰性化率、菌消失率、安全性 慢性閉塞性 肺疾患 死亡(トラフFEV1.0) FEV1.0、循環器イベント、COPD増悪、QOL、 TDI focal score、 安全性特発性 肺線維症 FVC SGRQ総スコア、初回急性増悪までの時間、 生存率、DLCO、SpO2、安全性 気管支喘息 朝のPEF変化量 (年間喘息増悪率) 朝のPEF、FEV1.0、FVC、ACQ、 主観的有効性評価、安全性 インフル エンザ 症状消失までの期間 症状スコア、平熱に回復するまでの時間、 ウイルス力価、関連合併症の発現、安全性 C型慢性肝炎 投与24w後のHCV RNA陰性化 (SVR24) 血清HCV RNA量、ウイルス耐性、陰性化、 ウイルス消失(PVR、EVR等)、安全性
臨床研究
/臨床試験の目的に直結した指標
同じ疾患領域で一般的に認められている基準
先行研究や公表論文で使用された実績がある
信頼性・妥当性が確立した評価項目
主要評価項目は、選択基準/除外基準により選択された
患者集団に対して、
臨床的に適切で重要な治療上の利益
に関する妥当で信頼のおける項目
であることが十分に証
拠づけられているべき
主
/副次評価項目は、その評価項目及び設定した理由を
治験実施計画書に事前に明記
すること
何を評価項目にする?
妥当性
:疾患の状態を正しく測定しているか
信頼性
:同じ状態を別の評価者あるいは、繰り返し測定
しても同じ評価が得られるか(一致性・再現性)
評価項目の妥当性と信頼性
評価項目の妥当性/信頼性を確認する試験
評価者間での評価を統一するためのトレーニング/講習会
海外で作成された評価項目の利用
翻訳、言語・文化間の違いによる影響の確認
真のエンドポイント(True endpoint)
本来の治療目的に直結した評価項目(臨床イベント)
例:死亡、心血管系イベント、治癒、QOLなど
代替えエンドポイント(Surrogate endpoint)
真のエンドポイントによる直接的観察が困難な場合に、
代わりに用いられる評価項目
真のエンドポイントと相関があると信じられており、
治療差を検出するのに簡便であるので用いられる
例:HbA1c、骨密度、血圧、腫瘍縮小効果など
真のエンドポイントと代替えエンドポイント
(Meinert CL, 1986)
真のエンドポイント(治療目標)
細小血管合併症および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、
脳血管障害、閉塞性動脈硬化症)の発症、進展を阻止し、
健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し、
健康な人と変わらない寿命を確保すること
代替えエンドポイント
上記のリスクが、2型糖尿病患者で高まること、発症・
進展阻止には血糖コントロールが重要
例:糖尿病におけるエンドポイント
糖尿病治療ガイド2010Kumamoto Study, UKPDS, DCCT, ACCORD etc.
比較的簡便かつ短期間で評価/観察することが可能
その疾患領域で認知されている
十分な臨床的意義と真のエンドポイントの予測可能性
代替えエンドポイントと真のエンドポイントの関連性
代替えエンドポイントに対する効果と臨床的効果との対応
代替えエンドポイントの条件
疾患 Surrogate True 疾患 Surrogate True
比較的簡便かつ短期間で評価/観察することが可能
その疾患領域で認知されている
十分な臨床的意義と真のエンドポイントの予測可能性
代替えエンドポイントと真のエンドポイントの関連性
代替えエンドポイントに対する効果と臨床的効果との対応
代替えエンドポイントの条件
疾患 Surrogate True 疾患 Surrogate True 疾患 Surrogate 1 True Surrogate 2 Surrogate 3 Surrogate 4
代替えエンドポイントでは有効だったが、真のエンドポ
イントでは臨床的有効性が示せなかった例
Cardiac Arrhythmia Suppression Trial(CAST)
心室性期外収縮の抑制効果はあるが、予後が改善することが
なかったばかりか死亡率が逆に増加
代替えエンドポイントには影響がなかったにも関わらず、
臨床的な有効性が示された例
The International Chronic Granulomatous Disease
Cooperative Study Group
Phagocytes functionでは有意差が認められなかったが、重篤な感
染症罹患のリスクは抑制
バイオマーカー、臨床検査値の利用は?
疾患領域 真のエンドポイント 代替えエンドポイント がん領域 死亡(QOL) 腫瘍縮小効果、QOL 骨粗鬆症 骨折 骨密度 HIV 死亡 CD4リンパ球数 緑内障 視野狭窄 眼圧 高脂血症 動脈硬化の進展 血中コレステロール うつ病 抑うつ症状の改善による精神的、 社会的なQOL HAM-D、MADRAS リウマチ 関節炎による疼痛の軽減、関節破壊 の防止、QOL アメリカリウマチ学会 (ACR)コアセット 糖尿病 糖尿病性合併症の発症、QOL HbA1c、血糖値 循環器系疾患 心疾患、脳血管障害/心不全の発症 血中コレステロール値、 血圧値
その他の真の/代替えエンドポイント
目的 連続変数 2値データ 生存時間 例 HbA1c、血圧、MADRS、 FVC、FEVなど ACR20、○○に至った 割合(有効率)など OS、PFS、○○に 至った期間など 分布の記述 ヒストグラム、 箱ヒゲ図、散布図 ヒストグラム、 分割表 生存曲線 Kaplan-Meier法 要約統計量 平均値、中央値、分散、 SD、SE、パーセント点、 相関係数 頻度、一致度、 相関係数 ○年生存割合、 中央生存期間 検定 t検定、分散分析、 Wilcoxon検定 χ2検定、 Fisher正確検定 log-rank検定 検定(調整) 共分散分析 Mantel-Haenszel 検定、 logistic回帰分析 層別log-rank検定、 Cox比例ハザード モデル
評価項目のデータの種類
評価時点も事前に決めておく
必要がある
(評価時点を含めた主
/副次評価項目を設定すべき)
あいまいな評価項目の例
死亡
ある時点における死亡(生存)割合の比較
特定の期間における生存時間全体の比較
繰り返し起こるイベント(喘息発作、低血糖症など)
一定期間に1度でも発現した被験者の割合の比較
初発までの期間
単位期間あたりのイベント件数
設定上の注意
合成変数
複数の側面から臨床的な測定値を合成(合計)して
1つの評価項目とする
信頼性・妥当性が確認されていることが重要
例)
様々な評価項目
_合成変数
QOL 身体機能、日常役割機能、社会的機能 etc. 関節リウマチ ACRコアセット 圧痛関節数、腫脹関節数、疼痛、活動 性、身体機能 etc. パーキンソン病 UPDRS 精神機能、行動、気分、日常生活動作、 運動能力 etc. うつ病 HAMD、MADRAS 抑うつ気分、罪悪感、自殺、睡眠 etc. 認知症 MMSE、ADAS-cog. 見当識、記憶、言語機能、構成能力 etc.
複合エンドポイント(Composite Endpoint )
多種類のイベントを評価して1つの有効性に関するイベ
ントとして扱う
1種類のイベントだけでは発生件数が少ない場合、膨大な被
験者を長期間追跡しなければならない
複数のイベント(死亡、非致死的な心筋梗塞、非致死的な脳
出血など)のうち最初に観察されたものをイベントと定義す
ることで、
必要な対象者数を減らすことができる 治療の心血管系イベント全体への効果を調べられる 重要な評価項目を無理に1つ選ばなくてもよい 検定の多重性を回避できるといった利点がある。
様々な評価項目
_複合エンドポイント
例)
経皮的冠動脈形成術が適応される急性冠症候群に対する
抗血小板薬の効果
主要評価項目:有効性イベント発現率
定義:①全ての死亡、②急性心筋梗塞、③血行再建術の施行
中等度・軽度の評価項目でイベントが発生する割合が高く、
致死的・重篤な評価項目で低くなる傾向
複合エンドポイントによる結果は、中等度や軽度の評価項目
に重きがおかれているものだと思って解釈すべき
結果の報告:複合エンドポイントを構成するすべての評価項目 について報告することで、複合エンドポイントでの適切な解釈 が可能様々な評価項目
_複合エンドポイント
複数の主要評価項目(Multiple Endpoint)
同一試験で、いろいろな角度、観点から評価する目的
複数ある評価項目から主要評価項目を絞り込めない
検証的試験では、解釈・評価が複雑になるため、事前に
取り決めを定めておく必要がある。
例)アレルギー性鼻炎の場合
3大症状「くしゃみ」、「鼻水」、「鼻閉」について対照薬群と
被験薬群を比較する
3つの評価項目のうち、1つの症状? 2つ? 3つ全てで効果がある ことを示すのか? 治療薬の特性から最も効果が期待できる1つで優ることを必須条件 として、他の2つは劣らないことを示す?様々な評価項目
_複数の評価項目
検証的試験で複数の主要評価項目を利用する場合の問題
解釈・評価の複雑化
統計学的な検定の多重性
対策
主要評価項目を1つに絞る
(再検討の上)
臨床的に意味のあると考えられる総合指標を作る
(合成変数、複合エンドポイント)
信頼性と妥当性の要確認
評価項目を重要度の順に順序をつける
多重性を調整する統計手法の利用
Bonferroni法、Dunnett法、Tukey法、Holm法、Hochberg法
など
様々な評価項目
_複数の評価項目
順序カテゴリの評価尺度
総合評価:著名改善、改善、不変、悪化、著名悪化など
順序変数によるカテゴリ化
基準値を達成したか否か:例)HbA1cが6.5 %以下を有効
連続データのカテゴリ化
カテゴリ化が臨床的意味を明確に示している場合に有用
事後的にカテゴリ化の基準を定めるとバイアスが生じる
一般的に情報量の損失になり、結果として検出力が低下
様々な評価項目
_カテゴリ化した評価項目
検証的試験における
目標症例数
は、
臨床試験の
目的
試験デザイン、比較対照、対象患者集団、統計的仮説検定
主要評価項目
過去の臨床研究、文献情報等から実施する臨床試験で、
主要評価項目における効果の推定(見積もり)
に基づき設定される。
如何に適切な主要評価項目を設定するか
が、検証的試験
の成功に大きく影響する
。
主要評価項目と目標症例数
観察研究における目標症例数は
研究の目的
研究のデザインと指標
ケースコントロール研究(ケースのコントロールに対する暴
露のオッズ比)
コホート研究(暴露群の非暴露群に対する相対リスク)
過去の臨床研究、文献情報等から推定(見積もり)
オッズ比/相対リスク
コントロールの暴露割合/被暴露群のイベント発生割合
に基づき設定される
観察研究では・・・
臨床研究(試験)計画時の参考になる貴重な資材
公表論文:PubMed、医中誌など
統計学的には公表バイアス(ポジティブな結果は公表
され、ネガティブな結果が公表されにくい)の問題
先行研究、企業主体の治験の情報
ClinicalTrial.gov
WHO PrimaryRegistry
臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト
試験結果を含めた情報
PMDA、FDA、EMAなど
臨床研究(試験)の情報提供
上手く活用して日本初のエビデンスを!
臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト
PMDA_
www.info.pmda.go.jp
•医療用医薬品 •一般用医薬品 •医薬部外品等 の承認審査情報 (企業作成の申請資料、 PMDAの審査報告書)