平成28年度医療国際展開等推進事業
ミャンマー国眼科医療従事者育成と日本製医療機器推進プロジェクト
報告書
平成28年度医療国際展開等推進事業 ミャンマー国眼科医療従事者育成と日本製医療機器推進プロジェクト 報告書 ― 目次 ― 第1章 本事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-1.本事業の背景・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-2.実施内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-3.実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 第2章 結果と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2-1.ミャンマーでの医療従事者育成と日本製医療機器推進の課題・・4 2-2.結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第1章 本事業の概要 1-1.本事業の背景・目的 中京メディカルは 2012 年よりミャンマーのヤンゴン第一医科大学眼科教授でヤンゴン眼科病 院 Tin Win 教授と交流があり、2013 年より現在まで継続的に留学生を受け入れるなど医療 技術交流を行ってきた。またマンダレー医科大学学長の Khin Mg Lwin 教授とも交流があり マンダレー医科大学を中心とする上ミャンマー地域での眼科疾患に関する調査を 2014 年より 共同で行ってきた。 ミャンマーにおける眼科医療では、先進国では一般的な超音波白内障手術の普及が遅れてお り、先進国において失明原因にはほとんどなり得ない白内障が、失明原因の第 1 位(失明者 全体の約 70%)となっている。白内障患者の多くは、自身の疾患が何の病気に起因するのか を認識していない事や、治療が可能か否かも認識していない。また、公的機関での治療には 専門医の不足により時間がかかり結果的に失明に至るケースも多い。私立病院での治療には 高額な治療費がかかる事情もあり、片眼の疾患であれば放置する傷病者も多くみられる。こ れら理由により、失明者の数は両目失明者が約 50 万人、片目失明者が約 100 万人に上る。ま た、眼科検診を 1 度も受けたことがない国民も多く、自身の視力を認識している国民は半数 程度である。 また、ミャンマーの眼科医師数も不足しており、眼科専門医がいるのはヤンゴン、ネピドー、 マンダレーなどの都市部に限られ全国の郡には眼科医すらいない。(世界保健機関(WHO)が 提唱する不必要な盲目をなくすための国際的プログラム「VISION2020」が求める眼科専門医 条件は国単位で 100%)。 白内障に限らず眼病の早期発見のためには精度の高い医療機器や医療消耗材が必要である。 現在ミャンマーで流通している医療機器・医療消耗材は主に欧米が主流である。精度が高い とされる日本製医療機器・医療消耗材はミャンマーでは販路が確立されていないため普及が 遅れている。ミャンマー経済の将来性を考えると中産階級所得者の増加が予想され、今後の 検診・治療件数が増加することが見込まれる。ミャンマー国民の眼科医療へのアクセスを容 易にするため、ミャンマーへの医療機器および医療消耗材の販売販路を広げ世界的に評価の 高い日本製医療機器と医療消耗材の普及を進める。 1-2.実施内容 日本国内及びミャンマーで医師・医療従事者に対して教育研修プログラムを実施するととも に、ヤンゴン眼科病院及びマンダレー総合病院に日本製医療機器・医療消耗材についての情 報発信拠点を整備する。現地の医師や病院に日本製医療機器・医療消耗材についての理解を
深めてもらい、購入につなげる。 日本製医療機器・医療消耗材は精度が高く、世界的に医療関係者の評価が高い。しかし、ミ ャンマーではそれらを総合的に販売している医療機器・医療消耗材メーカーはなく、医療機 器や医療消耗材ごとに個別の欧米系医療メーカーからの納入されたものである。 またミャンマーではこうした医療機器・医療消耗材を納入した後は放置されてしまうケース が多く、医療機器のメンテナンスは行われていない。これはコストを下げるために売り切り スタイルが定着しているためであり、メンテナンスをして利用するという方法が定着してい ないためである。精度の高い検査や治療を行うには医療機器へのメンテナンスは必要不可欠 である。本事業では上記の点をミャンマー人医療関係者に理解してもらうため、下記の事業 を展開した。 ① 日本製医療機器・医療消耗材の情報発信拠点設置 日本製医療機器・医療消耗材の情報発信拠点をマンダレー眼科病院及びマンダレー総合病院 に設けることができた。マンダレー眼科病院とマンダレー医科大学にスキルラボ室の提供を 受け、日本製眼科機器とトレーニング用機材を設置することができた。スキルラボ室で実際 に日本製医療機器を使用し、トレーニングすることでそれぞれの製品の特徴を理解すること ができる。日本製医療機器に慣れ、購入につながっていくと考える。
② 眼科検診サービスの提供と指導 ヤンゴン眼科病院及びマンダレー総合病院に中京メディカルより眼科看護師を派遣し、日本 製医療機器・医療消耗材を使っての眼科検診を行うため現地において検診に必要な設備の調 査を行った。 眼科検診においては日本の視力表に比べ簡素な視力表が設置されていたため、日本式の 5Mも しくは 3M視力表を導入することを提案した。また正確な視力を計測するための、検眼レン ズ・眼鏡枠など視力検査に付随する小物についても使用されておらず、日本式の眼科検診シ ステムの導入がミャンマーでの眼科検診の質の向上に効果が高いのではと考える。 日本における眼科検診では問診、視力検査、屈折検査、眼圧検査のほか、目に光を照らし、 眼球や眼底を検査する。このような検査で異変がわかれば、視野検査や網膜の様子を詳しく みる検査を行い、眼病の早期発見・早期治療に努める。眼科の検診をシステム的に行えるよ うに人材育成を含めたサービスの構築と指導の必要性を強く感じた。 ③ 画像診断システムによる遠隔診療の導入調査 日本でも使用されている画像診断システムを活用し、ミャンマー国内で撮影した画像の診断 を日本国内で対応する遠隔診療を実施するための調査を行った。まだ十分にインフラ整備が 進んでおらず早急な画像診断システムの導入は難しいと考える。 視察中に研修医が簡素な顕微鏡を使いミニトマトやジャガイモなどを用いて白内障の手術 (CCC)の縫合の練習をしていた。術者・アシスタント付、併せてCCDカメラを搭載し モニター上に映し出せるようにすれば、トレーニングの充実性を今より確実に向上すること が期待できるため、トレーニングの現場であれば画像を使った指導ができるのではと考えた。
1-3.実施体制 本事業を実施するにあたり構築した体制、各主体の役割等を記載する。 役割分担 リイツメディカル 日本製医療機器・医療消耗品提供・メンテ ナンスセミナー開催 中京メディカル 日本人眼科医療チームの派遣 ヤンゴン眼科病院 ヤンゴン第一医科大学 ヤンゴン総合病院 マンダレー医科大学 マンダレー眼科病院 眼科検診場所提供・セミナー開催場所提供 日本国内での実施体制 リィツメディカル:医療機器・医療消耗材供給、医療機器メンテナンス指導 医療機器メンテナンスのためのメーカー協力要請 中京メディカル:眼科医療チーム派遣、医療機器・医療消耗材取扱方法指導 眼科医療チームの交代要員体制、国内での医療機器・医療消耗材取扱 指導スタッフ準備 現地での実施体制 ヤンゴン眼科病院:眼科検診・診療実施場所提供、日本製医療機器・医療消耗材設置 場所提供、他病院眼科医師への情報発信 マンダレー眼科病院:眼科検診・診療実施場所提供、日本製医療機器・医療消耗材設 置場所提供、他病院眼科医師への情報発信 ヤンゴン第一医科大学、ヤンゴン総合病院、マンダレー医科大学、マンダレー総合病 院:セミナー開催場所提供、眼科疾患等調査協力 第2章 結果と課題 2-1.ミャンマーでの医療従事者育成と日本製医療機器推進の課題 1)医療従事者育成の課題 ・日本からの指導スタッフの定期的な派遣と、派遣するスタッフの人材確保が必要であ る。 ・トレーニングでの研修と合わせて、実際に症例を施行しての指導が行えると効果が高 いがミャンマーにおける外国人医師免許の取得に課題がある。 ・日本からの活動が団体ごとに個別で行われており、日本での連携と指導内容の調整が 必要である。
・症例の施行の為の医療機器・材料の配置に工夫が必要である。 ・日本への留学制度の簡易化を図り、留学に対してのプロモーション活動が必要である。 ・各診療科に対しての研究会や学会立ち上げによる、レベルアップ、意識改革、専門医 制度、ガイドライン作成が急務である。 ・上記課題に対しての活動経費の確保も必要である。 2)日本製医療機器推進の課題 ・日本製メーカーのミャンマーでの販売同意と協力について課題がある。 ・正規ルートでミャンマー国内に持ち込まれていないため、必ずしも日本製医療機器と 材料の、正しいプロモーションが行われていない。 ・日本製医療機器の推進為の日本からの指導スタッフの定期的な派遣と、派遣するスタ ッフの人材確保が必要である。 ・ミャンマー国内の要望に合った日本製品の選定販売(機能、価格)の調整が必要であ る。 ・ミャンマーでの流通と商流(メーカー誘致、代理店・販売店の設立)の確保と、現地ス タッフの育成が必要である。 ・日本製品の販売後のメンテナンスや修理等、アフターフォローも十分に行えるような 体制が必要である。 ・上記課題に対しての活動経費の確保も必要である。 2-2.結果 ミャンマーでの医療従事者の育成や日本製医療機器・材料の現状と課題が多数確認をする 事ができた。上記課題を改善し日本の医療技術と日本製品の推進を図る為には、長期間で 活動が必要となり、相当な時間と経費が必要になると推測される。各国からの援助が盛ん に行われている中、日本特有の高い医療技術を普及する為には長期的で丁寧な活動が必要 であり、継続して 2 国間の行政・医療機関・企業の密な連携と取り組みが不可欠である。