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冷却原子気体におけるEfimov状態の物理の理論的研究

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名 遠藤晋平

本論文は6章から成り、第1章では緒言と研究の背景が述べられている。 第2章では、本論文で研究されている冷却原子の少数系を扱う理論的基礎が詳述され ている。 まず、2体散乱における散乱長が発散するユニタリー領域において、普遍的に 現れる3体束縛状態としての Efimov トライマーについて、それを記述する基礎方程式と普 遍性の起源を解説したのち、質量に非対称性がある場合の3体フェルミ粒子系に現れる Kartavtsev-Malykh トライマーの存在とその普遍性が論じられている。さらに、ゼロレン ジの2体相互作用を用いて Efimov トライマーを記述する場合に必要な3体パラメータに 関する実験と理論の現状が解説されている。 第3章、第4章、および第5章は、本論文の核心部分となっている。 第3章では、質量の異なる2種類のフェルミ粒子からなる3体系に焦点を当て、これ まで知られていた Efimov トライマーと Kartavtsev-Malykh トライマーが、質量比の関数と してどのように関連しているかが研究されている。特に、ゼロレンジ相互作用の 3 体問題 を扱うのに適した Skorniakov--Ter-Martirosian 方程式を数値的に解析することで、 Kartavtsev-Malykh トライマーと Efimov トライマーを連続的に繋ぐ新しいトライマー(ク ロスオーバートライマー)の存在を見出している。この新しいトライマーは、s 波散乱長 と3体パラメータのみで決まるという意味で普遍性を持っていることが示されている。さ らに、このクロスオーバートライマーが現れる領域が、質量比と 3 体パラメータの空間で 同定されている。 第4章では、Efimov トライマーの記述に本質的な3体パラメータについての研究がな されている。3体パラメータの起源は何か、なぜ3体パラメータには普遍性があるのか、 という問題に焦点を当て、低エネルギーFaddeev 方程式に基づいた解析が行われている。 特に3粒子が互いに近づくと、波動関数の非断熱的変形が2体力の短距離部分により引き

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2 起こされ、その結果として強い3体斥力が誘起されることが示されている。さらに、この 機構のもとで、様々な有限レンジ2体相互作用について、3体パラメータと2体散乱の有 効距離に強い相関があることが示されている。 第5章では、縮退した1成分フェルミ粒子からなる媒質に埋め込まれた重い粒子の N 体束縛状態について、重い粒子間の相互作用が媒質の高密度極限でゼロになることが、ボ ルン-オッペンハイマー近似のもとで厳密に証明されている。この結果は、フェルミ粒子か らなる媒質中では、Efimov 効果をはじめとする少数系特有の現象が抑制されることを示し ている。 第6章では、本論文で得られた結果のまとめと、今後の展望が記述されている。 本論文では、ユニタリー領域にある質量バランスが崩れた3粒子系に関して、異種の トライマーを繋ぐ新しいクロスオーバートライマーの存在が示されるとともに、3体パラ メータの普遍性に関する物理的背景が明らかにされている。さらに、フェルミ粒子からな る媒質中にある重い粒子間の相互作用に関する定理が証明されている。これらの成果は、 少数量子系について新たな知見をもたらし、冷却原子を用いた実験的検証の可能性を拓く ものとして大きな意義を持つ。 なお、本論文の主要部である第3章、第4章および第5章の内容は、上田正仁氏、Pascal Naidon 氏との共同研究であるが、論文提出者が主体となって理論的解析を行ったもの で、論文提出者の寄与が十分であると判断する。 以上の観点から、申請者に博士(理学)の学位を授与できると認める。

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