This document is downloaded at: 2016-12-21T01:14:52Z Title 日本語の特性からみた点字表記の諸問題 Author(s) 勝俣, 隆 Citation 教育実践研究指導センター紀要, 3, pp.20-46; 2001 Issue Date 2001-09-31 URL http://hdl.handle.net/10069/25841 Right
日本語の特一性から見た点字表記の諸問題
国語教育講座 勝俣隆 大分前の話になるが、平成6年(1994年)8月30日に、第8回九州点字図書館大 会が長崎で開催された折、点字部会で、上記の題目で講演を行う機会を得た(注1)。そ の時、日本語(国語)の特性から判断して、点字の表記にどのような問題があるかを指摘 した。その際に主に依拠したのは、『日本点字表記法1990年版』であった(注2)。 それから7年経過し、現在、改訂版として、『日本点字表言己法 2001年版』が編集さ れっっある(注3)。そこで、今回の改正案を含めて、改めて、点字表記の現時点におけ る問題点を考察したみたいと考える。但し、筆者自身は、点字そのものに関しては素人で、 点訳の奉仕活動にも参加していない。しかしながら、妻が長崎県の点字指導員の資格を持 ち、点字講習や点訳ボランティアに従事しているので、以前から点字表記について関心は 持ってきた。そこで、本稿では、あくまで大学で国語を教育する立場にある者として、国 語表記の立場から点字表記について日頃感じていることを述べることとする。 (一)言語としての日本語の特性 ア、使用者数・・・世界4200から5600の言語のうち 先ず、本題に入る前に、日本語は世界の言語の中で、どのような特徴を持っているのか 眺めてみたい。最初に、日本語の使用者は、どれくらいいるかというと、次のような順位 となる。 なお、これは、統計によって大分差があるようだが、2001年2月21日付けの長崎 新聞に掲載された「話し手の多い言トップ10」に拠ったものである。 1位・・・中国語(北京語を基にした標準語) 8億8500万人 2位・・・スペイン語 3億3200万人3位・・・英語 3億2200万人
4位・・・ベンガル語 1億8900万人
5位‥・ヒンディ一語 1億8200万人
6位・・・ポルトガル語 1億7000万人
7位・・・ロシア語 1億7000万人
8位・・・日本語 1億2500万人
9位‥・ドイツ語 9800万人10位・・・中国語(呉語) 7717万5千人
金田一春彦氏『日本語 新版(上)』(1988年1月)に拠れば日本語は第6位であ るが、少し統計が古いので、現在は日本語は第8位と見た方が良いだろう。それでも、非 常に大きな言語集団であることは間違いない。このうち、視覚障害者の人数は、1991 年の統計で35万3千人である。そのうち点字を利用されている方は、長崎県で約700 人、全国では約7∼8万人であろうと言う。一見少ないようにも思われるが、1500人 に一人ほどが利用していると考えたら、やはりかなり多い数だと言えよう(注4)イ、言語の系統 次に言語の系統であるが、日本語は、 Cのウラル・アルタイ語族に属する。 a 、インド・ヨーロッパ語族・・・インドからヨーロッパ大陸の大部分にわたる言 (ゲルマン〉 語の集団一一一ヒンディ一語・ペルシア語・英 語・仏語・独語・伊語・蘭語・露語等。 b 、ハム・セム語族・・・・・・・北アフリカから西南アジアに広がる言語の集団。 エジプト語・リビア語等のハム語族とへブライ 語・アラビア語・エチオピア語等のセム語族か ら成るo C 、ウラル・アルタイ語族 ・・・北東アジアからヨーロッパの一部にわたる言語 の集団。フィンランド語・エストニア語・ハン ガリ一語等のウラル語族と、トルコ語・蒙古語・ ツングース語・満州語・朝鮮語・日本語等のア ルタイ語族から成る。 d 、シナ・チベット語族・・・・・チベットから中国、タイ・ビ、ルマ〈ミャンマー〉 にわたる地域の言語集団。 一一中国語・チベ ット語・タイ諸語・ビ、ルマ諸語・ベトナム語等 e 、南島語族〈マラヨ・ポリネシア語族) ・・・西はインド洋のマダカスカル島か ら、東はイースター島やハワイ島、北は台湾( 高砂族〉、南はニュージーランド(マオリ族〉 に至る地域の諸言語の総称。インドネシア・メ ラネシア・ポリネシアの三語派に分かれる。 f 、その他・・・・・・・・・・・アフリカ原住民・アメリカ=インディアンの諸 等 語 (二〉言語の形態的分類 言語の形態的分類をした場合、日本語がbの膝着語であることもよく知られている。
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、屈折語・・・・語形・語尾の変化で、語の文中における諸関係を表わす言語。名 詞・形容詞は性・数・格、動詞は人称・数・時・法・態等に応じて 一定の変化をする。冠詞を持つ。印欧語族、セム語族等。 b 、謬着語・・・・語根と接辞〈接頭語と接尾語、助詞・助動詞の類)との結合連続 により、語の文法的機能を表わす言語。ウラル・アルタイ語族。 C 、孤立語・・・・語尾変化や接辞を有せず、語の位置によって文法的機能を表わす 言語。シナ・チベット語族。 代表例を挙げれば、次のような例である。 ドイツ語(屈折語) 日本語〈膝着語)I
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(彼らは〉本を持っています。 他例有一本書 日本語の例で主語相当部分が括弧書きなのは、日本語には、ドイツ語や中国語に見ら れるような意味での主語はなく、話者との関係で主格は推測されるとも言えるからであ る。 工、日本語の特色 これらを踏まえると、日本語の特色としては、次のことが指摘できる。 a、膝着語であるので、助調(後置詞)よって、格が決まる。 b、主語一目的語一他動調の11頂。修飾語が被修飾語の前に来る。(但し、西洋語に見 られるような主語の概念は日本語には存在しないという論もある。)c
、従属的な要素が先に、主要な要素が後に来るので、文末まで意味が確定しない。 d、情意的語最は多いが、構造は論理的で、論理学に向く。(非論理的という論もあ るが、実際は、かなり論理性を持った言語である。〉 e、開音節語である。 ・・・音楽的 f、母音調和があった。(甲類a
, 0, Uと乙類Oは、同一形態論的単位内に共存し にくい・・・アルタイ語系統〉 g、語頭には、濁音・ラ行音は来なかった。 h、音節の数が少なく、単純で、明瞭である。 i、二音節から四音節あれば、ほとんどの語を識別できる。 j、同音異義語が多い。 k、擬声語・擬態語・魚・稲作関係・木・雨・物の授受などの語葉が多い。(荒木博 之氏は、オノマトぺの多さは、日本語が対象世界を直接的・感覚的・絵画的に把握 しようとすることで、よりデリケートに、より微妙な違いをもって対象世界を認知 できるとされている) (注5)0 1、自発・受身・可能・尊敬を同じ助動詞で表わす。(ムラという閉鎖的なミクロコ スモスにおいて、集団的論理のために、受け身的個に作り上げられ、 「自発J的「 自然展開Jに至高の価値を見いだし、 「可能Jさえも、他律的・没主体的に与えら れ、高貴な存在も忽然としてそこへ「なるJ必要があったからだというo (注5に 同じ。)) m、高低アクセントを持つ。 n、敬語法を初めとして、他者を意識した表現が基本となっている。 O 、表記法が多岐に亘る。(①漢字仮名混じり表記 (1)漢字平仮名混じり表記(
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漢字片仮名混じり表記 (3)漢字平仮名・片仮名混じり表記 墨字 │②平仮名表記 ③片仮名表記 ④漢字表記 ⑤ローマ字表記 ⑥混合表記 ⑦点字表記点字表記も、日本語の表記法の一つであることは間違いない。それ故、国語の表記法と して考察できる余地があるのである。次に分かち書きが何故発生したか振り返りたい。 (三)分かち書きの発生と展開・・・何故、分かち書きが発生したか。 ア、分かち書きの歴史。 分かち書きの最古の例は、飛鳥時代の宣命である。
a
、宣命書き 貴支高支広支厚支大命乎受賜利 恐坐豆 〈貴き高き広き厚き大命を受賜り恐坐て一一文武天皇元年[六九 七]八月庚辰の詔・・・続日本紀所収) ここには、自立語と付属語を漢字の大小で書き分けることによって、一種の分かち書き がなされている。 b 、藤原定家(一一六二 一二四一)の下官集 一 仮 名 字 書 つ hくる事 としのう ちにはるはきにけ り ひ と Lせ を こ そ と や い は む こ と し 如此書時よみときかたし句をかき Lる大切よみやすきゅヘ也 としのうちにはるはきにけりひと hせを こそとやいはんことしとやいはん イ霞令如此書 この例は、鎌倉時代の知識人の代表である藤原家定が、 「としのう ちには るはきに け りひ・・・ Jの如き書き方をしたら、 「よみときかたし〈読んで意味を理解すること が困難である)Jと述べ、さらに、 「句をかき、る大切よみやすきゅへ也(匂の単位で書 き切るのが大切である。読みやすいからである。)Jとして、日本語を読みやすいように 区切ること、別ち、分かち書きの重要性についての認識を示している。現代の分かち書き も「読みやすしりということに意味がある訳だから、定家の理解は、現代でもそのまま通 じる優れた解釈と言える。c
、室町・安土桃山時代のキリシタン文献 ①天草版伊曽保物語 (ESOPONO FABVLAS) ・・文禄二年(一五九 三〉イエズス会天草コレジオ刊行I
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②長崎版日葡辞書 (VOCABVLARIO D A LIGOA D E1
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・・慶長八年〈一六0
三〉イエズス会長崎 コレジオ刊行1
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イトド(いとど) 副詞.非常に,あるいは,深く.普通,反対の 事,あるいは,対照的な事柄を比較するのに用いられる。例,I
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(いとどしく過ぎにし方の恋しきに, 羨ましくも返る波かな〉 都(
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ゃあとに残して来たものが恋しくてならないのに,浜辺に 寄せては返すこの波を見ると,自分は帰ることができないことを考えて, なんと恋しくまた悲しいことであろう. *伊勢物語七段,後撰集十九,謡曲,杜若. ここには、所謂キリシタン文献におけるローマ字表記の分かち書きの例が見られる。ポ ルトガルの宣教師が日本語をローマ字で表そうとした時、本国ポルトガルのローマ字表記 に倣って、分かち書きをしたのは、ごく当然の行為であったと推測される。意味を持たな いローマ字の場合は、分かち書きをしなければ、ほとんど切れ目が分からず判読できない からである。つまり、分かち書きは音標文字に不可欠の表記法であることは疑い得ない。 d、 『和字大観妙~ (釈文雄著、宝暦四年〔一七五四) ) 附 録 仮 字 合 字 上声には左に一点一一。去声には右に一点するなり。 イ ロ 色 ハ ニ ホ ヘ 艶 ド 雌 チ リ 散 ヌ ル 去 ヲ ワ ガ 我 ヨ 世 タ レ 誰 ゾ ツ ネ 常 ナ ラ ム 有 ウ 有 ヰ 為 ノ オ ク 奥 ヤ マ 山 ケ フ 今 コ エ 越 テ ア サ キ 浅 ユ メ 夢 ミ 見 ジ 不 ヱ ヒ 酔 モ セ 為 ズ 不 これも、いろは歌という平仮名表記の場合、音しか表さないから、分かち書きをしなけ れば意味を取ることが困難であることに拠るものである。e
、 ま い に ち ひ ら か な し ん ぶ ん し め い ぢ 六 ね ん 十 ぐ わ っ 三 十 に ち だい百九十ばん あ た ひ ー せ ん 五 り ん しるしのうたi
ふ じ と こ ろ く や ま が た ゃ く し ょ や く め の な ( ゆ み は り づ き は ひ と の な と しれ 〔かすがひは もののな ( か さ は ときあかし 、てんはくぎりに O まるは よみきり お ふ れ が き
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め い ぢ 四 ね ん 七 ぐ わ っ ち う 1 しんこく~ {しな)と かりでうやく おとりむすびになりたるを、 た う ね ん 七 ぐ わ っ ほんでうやく おとり かはせになりたる むね(いはくら〉くうだいじん〉こう より 十ぐわっ 二 十 八 に ち お た つ し な り たりo くにうちの はなしo
(さいがう) (いたがき) (ごとう) (えとう) (そへじま)の五かうの ねがひに よりて くさんき〉を ゆるさせられ、さらに (し、とう) (て らしま) (かっ〉の三こう くさんき〉に にんぜられたり、 ただし (し、とう〉うぢは くこうぶきゃう〉をかねられ、 (かっ〉うぢは かね て くかいぐんきゃう〉に にんぜられ、 (おほくま〉うぢは くおほくら きゃう〉に にんぜられ、 (おほぎ)うぢは くしはうきゃう〉をかねら れ、 〈きど) (おほくぼ〉の りゃうこうは くさんき〉もとの ごとしと いふ、また 〈三でう)こうは こ の せ つ お ひ お ひ ごくわいき(こころ よく なりたまふ)におもむかれしと いへりO これは、平仮名新聞の分かち書きであって、 「く 山形は役所、役目の名、 〈弓張り 月は人の名Jのように、括弧の記号で、固有名詞を示す等の工夫をして、単純な分かち書 きよりも分かりやすくしている点、興味深い。数字が漢数字である点、発想的には点字の 数符に繋がる面もあろうO f、初等教育段階での分かち書きとしては、 『讃方入門~ (明治十七年〔一八八三〕、 文部省編輯局)があるが、省略するo g 、石川倉次の『はなしことばの きそく.n (明治三四年〔一九0一年J)
はしがき っ か い に く い ど ー ぐ を つ か ツ て を る の わ 、 ま だ ひ ら け な い く に び と の す る こ と で あ る 。 も じ ・ ぶ ん し ょ ー わ 、 わ れ ) .). の を も う こ と 、 ま た わ か ん じ た こ と を ひ と に つ た え る た め の ど ー ぐ で あ る 。 こ の ど ー ぐ わ な る た け っ か い よ い も の に し て 、 を ん な こ ど も に も た や す く つ か う こ と の で き る よ ー な も の で な く て わ な ら ぬ 。 日本点字の生みの親、石川倉次の分かち書きで、基本的には、現在の点字の分かち書き と変わらない。 h 、石川啄木『ローマ字日記』 MEIJI 42 NEN 1909 APRIL 12TH MONDAYK
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石川啄木は、妻等に日記を見られたくないために、ローマ字で、日記を付けたのであるが 分かち書きには、恐らく苦労したのではなかろうか。表記はほとんど言文一致であって、 発音にかなり忠実に記しであることが分かる。ただ、r
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(一日)Jな ど、ハイフォン(つなぎ符)を使って語と語を繋げる工夫も興味深い。 i、現代の分かち書き ①初等教育段階での分かち書き 小学校低学年の国語教科書・・・小学ー・二年生の平仮名、四年生のローマ字 ②文学作品・・・(1)児童向け童話作品 (2)平仮名・ローマ字のみで、綴られた実験的な韻文・散文 ③電報文・・・漢字仮名混じり文化により、消えた。 ④コンビューターで打ち出された特定の書類の住所・氏名等・・・多く片仮名書き 漢字・仮名まじり文化により、消える運命。 ⑤点字表記 現代行われている分かち書きは、実はあまり多くない。漢字仮名まじり文では、漢字の 表意性によって、意味の区切りが出来るので、分かち書きは必要ないからである。③の電 報文は、少し前まで片仮名であったが、現在は漢字仮名まじりとなり、分かち書きも消え た。④は一部残っているが、情報機器の発達で漢字仮名まじりでほとんど表記できるよう になり、ごく一部しか残っていなし、。それ故、現在では、実験的な文学作品と子ども向け の童話等と当該の点字しか分かち書きは存在しないと言っても良い。これは、分かち書き が、表音文字である、仮名、ローマ字、点字が、語や文節(文の単位〉に分かつことによ り、語や文節の意味を特定する作業に他ならないからである。分かち書きで読みやすくな るということは、文字の繋がりが分割されることにより、ある語に特定されて、他の語と 誤らなくなることを意味する。漢字は表意文字で、最初から意味が特定されているから、 分かち書きの必要がないのである。 〈三〉分かち書きをしないと、どうなるか? 次に、分かち書きをしないとどうなるか。分かち書きは何故必要なのかを考えたい。分 かち書きというよりも、句読点の重要性を示す例として有名なものに次のような諸例があ る。a
、きのうやねからおちてくびをおりました。 ①昨日、屋根から落ちて、首を折りました。 ②昨日、屋根から落ち、手首をおりました。③きのう や ね か ら お ち て くびをおりました ④きのう や ね か ら お ち て く び を お り ま し た 点の打ち方一つで、折った箇所が首と手首で大違いとなる。これは、分かち書きの例と しても使うことが出来る。 b 、ここからはきものをぬいでください。 ①ここからは、着物を脱いで下さい。 ②ここから、履物を脱いで下さい。 ③ こ こ か ら は き も の を ぬ い で ください ④ここから はきものをぬいで ください これも、よく出される例だが、着物と履物のどちらを脱ぐかが切り方一つで変わってし まうことになる。
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、美しい日本の私(川端康成氏のノーベル賞受賞時の講演題目〉 ① 美 し い 日 本 の 私 ② 美 し い 日 本 の 私 ③美しい 日本の私 美しいのは、日本なのか、私なのか、常識で考えれば日本に掛かると考えるべきである が、語法的には、どちらに掛かっても仕方がないであろうO d、 『方丈記j (鴨長明著、鎌倉時代)の場合。 ひぐちとみのこうぢ ま ひ ぴ と かりや ①ホモトハ樋口富小路トカヤマヒビトヲヤドセル仮屋ヨリ出デ来タリケルトナンo ( 大福光寺本〉 ②火元は樋口富小路とか、病人を宿せる仮屋より、出で来たりけるとなん。(流布本 まひぴと ③火元は樋口富小路とかや、舞人を宿せる仮屋より、出で来たりけるとなん。(古本〉 ④ほもとはひぐちとみのこうぢ とかや まひびとをやどせる かりやより・・ これは、 『方丈記』に、実際に見られる例であるが、 「とかやJで切るか「とかJまで で切るかによって、次の語が「病人(やまひびと)Jか「舞人(まひびと)Jかの大きな 差異が生じてしまうOe
、御伽草子『酒呑童子j (室町時代)の場合 ①チェスター・ビーティー図書館蔵『大江山絵巻』 かみはかふろにしろくしてこへふとり かみはかふろにしろくして、こへふとり ②大東急記念文庫蔵『しゅてん童子』かみはかふろにいろしろくしてこへふとり かみはかふろに、いろしろくして、こへふとり この例も実際に見られるものであるが、お伽草子の『酒呑童子』の中でチェスター・ビ ーティー図書館蔵『大江山絵巻』の挿絵では、白髪の酒呑童子が見られる。他の伝本では すべて黒い髪であるのに、何故この一本のみが白髪なのか。これは、他の伝本では、例え ば、②の大東急記念文庫蔵『しゅてん童子』のように、色が白いのは皮膚の色であるのに も係わらず、チェスター・ビーティー図書館蔵『大江山絵巻』では、絵師が本文の切り方 を誤解して、 「しろくしてjがその前の「かみはかふろにJに繋がるものと思い、髪の白 い酒呑章子を描いたことにあるようである。本文をどこで切るかで髪の色まで違ってしま う訳であるから、文を分かつことが如何に重要かが改めて認識される例である(注 4)0 2 、点字の表記法について さて、日本の点字表記法の歴史をごく簡単に振り返ると、次のようになる。 (一〉点字の選定 石川倉次は、次のように述べている。 「点字選定要旨j ・・・明治二十三年 (1890)九月二十一日 第一誤リナク早ク読ミ得ベシ。成ルベク類似ノ符ヲ少クスベシ。 第二早ク書キ得ベシ。点数少キ符ヲ常用多キ字ニ充ツベシO 第三記憶ニ便ナノレヲ要スO 第四現行ノ仮名ノ数ダケハ点字ヲ以ツテ表ハシ得ルを要ス。 第五五十音ニ並べテモ詞ヲ綴リテモ見悪クカラザルベシ。 第六数冠詞ハ最モ知リ易キヲ要ス。 これは、現在でもその趣旨は全く変化していないと言って良い。 (二〉点字表記法 ところで、点字が現在の形になるまでには、種々の段階があった。先ず問題になったの は、仮名遣いを歴史的仮名遣い・表音的仮名遣いのどちらにするかという問題であった。 簡略に歴史を述べると、次のようになる。 ①第三回点字選定会数字は西洋のものを用ふること 〈明治二十三年〉 語と語との問は一目離すこと 句と句との問は二日離すこと 後 詞 の じ ¥ へJは発音通り「ワ、エJを用ふること 後詞の「をj はやはり「をj を用ふること ②明治三十年代・・・小学校教育の仮名遣いを表音的にする運動が起こる。 ③明治三十六年・・・国定小学国語読本・・・長音に棒引一一、仮名遣いの表音化。 ④明治四十年・・・・第一回全国盲唖教育大会 「盲生に国語を教ふるにはすべて発音通りにして文部省許容の長 音符を用ふる事Jの決議
⑤明治四十一年・・・文部大臣小松原英太郎、固定教科書の表音仮名遣いを廃し、歴 史的仮名遣いに戻す。 ⑥明治四十年代から大正十年代・・・歴史的仮名遣いか、表音的仮名遣いかの論争。 ⑦大正十一年・・・帝国盲教育会点字図書出版部点字書方の発表・・・分かち書き法 ③昭和三年・・・・文部省、盲学校初等部用国語読本に於ける点字書き方に関する法 則・・・表音的仮名遣いの採用。(表ー〉 ⑨戦後・・・一般の国語教科書も表音式へ。 乃ち言文一致という点では、表音式を取った点字が墨字を一歩リードしている。一方、 点字と墨字の表記法の違い(助詞「はJと「ヘj 、ウ段、オ段長音〉は、そのままの方が 良いのか、墨字と一致させるべきかは、なお検討すべき課題である。特に、助詞「はj と 「ヘJは、墨字と一致させても、それほどの不都合は生じないとも考えられる。点字のコ ンビュータ入力との関連を考慮すれば、墨字と一致させた法が便宜があるとも考えられる。 要は、どちらが、自の不自由な方や、点訳者に便宜があるかという問題に帰着しようO 次には分かち書きの問題である。分かち書きは誤読を防ぐたけに、点字表記には必須の ものであることは、当初から十分に認識されていた。 (表ー〉 (ろ)一個ノ名詞デハアルガ、長イ為ニ誤読ノ恐アル時ハ便宜上幾綴カニ分ツテ書 イテモヨイ。 〔例
J
(トーキョーモーガッコー 〈東京盲学校〉 にトーキョー モーガッコー( 同 〉 ( ジ 山 一 シ ヨ 引 コ ク ゴ ト ク ホ ン (尋常小学国語読本〉 ジンジョーショーガク コクゴトクホン ( 同 〉 ジンジョー ショウガク コクゴ ト ク ホ ン ( 同 〉 但シ分ツテ書ク場合、モシ誤読ノ恐ガアレバ、切レタ所ニツナギヲ入レル。 〔例〕 トーキョー -モーガッコー ここでは、繋ぎ符の問題も既に扱われている。 〈三〉点字略字について 一方、点字で書く労力軽減のために、点字略字を作ろうとする動きも早くから存在した。 理由は次の通りである。・・・(1)点字を書く労力を少しでも減らしたい。 略史は、次の通りである。 (2)嵩張る紙面を少しでも節約したい。 (3)欧米には二級点字がある。(
4
)
鎖按学の専攻者は、同じ専門用語が頻繁に出て来て、何 度も全字を点印する煩わしさを感じていた。 ①明治四十年 奥村三策著『鍛按要論』・・・鍛技学の専門用語など十二語。②大正四年磐城訓盲院・・・点字略字統一の意見 ③大正十年東京盲学校による点字略字の全国からの募集 法則的な第十六号案がでる。 ④大正十一年 東海教育会第一回総会における決議 第十六号案の採用、五十語に制限等。 ⑤大正十一年今関秀雄氏、帝国盲教育会誌に、略字案発表。 ⑥大正十二年帝国盲教育会近畿支部、略譜の単式・複式で対立。 ⑦昭和九年東京盲学校略字研究案の発表・・・速記用点字略字の考案 しかし、結局、点字略字は採用されなかった。その理由は、以下の通りである。 理由①「点字を書く場合に略字を用ひたければ銘々思ひ思ひに勝手な符号を決めて其 の説明を本の始めに付けて置けば善いと思ふ。 J (石川倉次氏)のように、点 字の考案に功績のあった有力者が略字に消極的であったことO ②略字が多ければ、それを覚えるのに負担が増すこと。 ③日本語は、一部の複合語を除けば、一語の音節数は少なく、文節も長さが短い ものが多いので、略字で筆記する意味合いが乏しい。(四音節あれば、ほとん どの語繋が区別できる) ④略字自体が、こから三桝(最大五桝〉も要して、略字で書いても、あまり字数 の省略にならない。 ⑤略字については、普遍的方法を確立することが困難で、いちいち略字辞典を引 いて調べるなら、略字の意味がなくなることO ⑥銭按学などの専門用語を除けば、略語を用いて利便性が増す言葉が、現実にそ れほど存在しなかったことO なお参考までに言えば、実際、欧米でも二級点字は、あまり使用されていないというこ とである。 (四)点字の分かち書き(分別書き・分け書き〉と切れ続きについて 分かち書きと切れ続きについて考察したい。分かち書きには、次の方式があり得る。 f①単語式・・・単語に拠る分かち書き a、分かち書きの方法{②文節式・・・文節に拠る分かち書き に③折衷式・・・単語を基本として文節を交えた分かち書き 点字は、文節〈文の単位〉による分かち書きを中心にして、自立語内部の切れ続きを合 わせた表記法。 • w日本点字表記法
1
9
9
0 年版~ (以下、.で表す〉における「分かち書き第2
原則『切れ続き~ Jの根拠 「一方、日本語のリズムが4
拍子であるなどと言われるように、4
拍で意味のまとま りを持つことが多く、例えば、 「うなどんJr
学割Jr
プロレスJなどのように、略 語を作るときにも4
拍になることが多い。そのようなことから、どのくらいの拍数で 区切るかということも考慮する必要がある。また、区切ってあるものを読みながらつないでいく方が、続いているものを、どこで区切るのかと考えながら読むよりも、意 味を正確に読み取ることができる。 和語・漢語・外来語を通して、自立可能な意味の成分は、 3拍以上である場合が圧 倒的に多い。そこで、 3拍以上の自立可能な意味の成分は区切り、 2拍以下の副次的 な意味の成分は続けることを原則とすることが妥当である。ただ、 2拍以下であって も、独立性の強い意味の成分は、区切った方がよい場合もある。 J (同書33頁) この根拠は正しいだろうか。確かに漢語では、漢字二字の熟語が多いから、
4
拍で、 一纏まりになることが多い。しかし、日本語の半数以上を占める和語〈大和言葉〉は l拍 か2拍、特に2拍で、自立的な意味の纏まりを持った語が圧倒的に多い。それは少し用例 を調べてみれば、わかることである。 例えば、次のようなものがすぐに思い浮かぶであろう。 ①天文・気象・地質・・・ひ〈日) ・あめ(天・雨〉 ・くも(雲〉 ・きり(霧〉 もや(謁) ・そら〈空) ・っき(月) ・ほし〈星〉 ・ゆき(雪〉 ・しも(霜〉 みず(水) ・うみぐ海) ・っち(土〉 ・いし(石〉 ・いわ(岩〉 ・すな(砂〉等 ②人体・・・・・・め(目) ・は(歯〉 ・て〈手) ・せ〈背〉 ・くち〈口) ・はな 〈鼻〉 ・みみ〈耳〉 ・あし(足〉 ・はら〈腹〉 ・かみ(髪〉 ・へそ〈隣〉 ・つめ 〈爪〉 ・ほね(骨) ・かわ(皮〉 ・まゆ(眉) ・うで〈腕〉 ・すじ 筋〉 ・ゆび 〈指〉 ・くび(首) ・こし(腰〉等 ③植物・動物・・・き(木〉 ・くさ(草〉 ・はな(花) ・まつ(松) ・すぎ〈杉) ・うめ(梅) ・もも(桃〉 ・はぎ(荻〉 ・った(蔦〉 ・くり(栗) ・いぬ〈犬) ・ねこ〈猫〉 ・とら(虎〉 ・うし〈牛〉 ・うま〈馬) ・へび〈蛇〉 ・しか〈鹿) ・やぎ(山羊〉 ・ぷた(豚〉等 ④地形・家屋・・・やま(山〉 ・かわ(JII) ・おか〈岡〉 ・たに〈谷〉 ・きし〈岸〉 もり〈森) ・はら〈原) ・の(野) ・ぬま(沼〉 ・いえ(家〉 ・かど(門) ・や ね〈屋根〉 ・と(戸〉 ・まど(窓)等 ⑤方位・位置等・・きた(北〉 ・にし〈西〉 ・うら(裏) ・なか(中〉 ・そと(外〉 うち(内) ・まえ〈前)等 ⑥衣服・調度・・・えり(襟) ・そで〈袖〉 ・くつ〈靴) ・はし(端) ・はし(箸〉 かさ(傘〉 ・かみ〈紙〉 ・ふで(筆) ・すみ〈墨) ・ひも(紐〉 ・くし(櫛〉 べに(紅)等 ⑦形式名詞・・・こと〈事〉 ・もの(者・物〉等 以上の例から、和語については、 2拍で自立可能なものが多いことが分かる。つまり、 「和語・漢語・外来語を通して、自立可能な意味の成分は、3
拍以上である場合が圧倒的 に多い。そこで、 3拍以上の自立可能な意味の成分は区切り、 2拍以下の副次的な意味の 成分は続けることを原則とすることが妥当である。 Jという記述は、少なくとも、和語に は当てはまらないと見るべきであろうO 漢語についても、もともと漢字一字で意味的纏ま りを持つのだから、2
拍の音を通常有する漢字一字(中国音ではl
拍である)は、2
拍で切 れ目を持つO それ故、漢語についても、自立可能な意味の成分は
3
拍以上が圧倒的に多い という指摘には疑問がある。外来語は、確かに自立可能な意味の成分は 3拍以上のことが 多い。従って、外来語はともかく、和語・漢語・外来語を通して、 3拍以上でないと自立 可能な意味の成分にならないという原則を立てるのは、問題がある。 従って、次のような問題が出て来る。 【注意3】複合名詞の語頭の成分で、方向などを表す 2拍の成分と対をなしている 3拍 の成分は、続けて書き表してよい。(38
頁〉 [例]ヒダリハンシン〈左半身〉←ミギ‘ハンシン(右半身〉 みなみしゃめん(南斜面)←キタシャメン〈北斜面) これは、 3拍は切る、 2拍は続けるという形式的な「切れ続き」を行ったための矛盾で、 あって、日本語、特に和語では、 2拍で、自立可能な意味の成分になっていることが非常 に多いのだから、いくらでも起こりうる矛盾である。 大[例] (みずまくら 〈水枕) (はなやしき く花屋敷〉 Lこおり口まくら〈氷枕) ¥.おばけ口やしきくお化け屋敷〉 (まつなみき く松並木) (みやまし、り 〈宮参り) ゃなぎ口なみき(柳並木) lおみや口まいりくお宮参り) (えりカバー 〈襟カバー~ (うめまつり 〈梅祭り〉 まくら口カバー〈枕カバー〉 さくら口まつり〈桜祭り〉 (はなむすめ (花娘〉 おぼこ口むすめ〈おぼこ娘〉.7.
複合名詞の成分が2
拍以下であっても、独立性が強く、意味の理解を助ける場 合には区切って書き表す。(案3、複合名詞の構成要素のうち、 2拍以下の自立 可能な意味の成分は、区切ると意味の理解を損なうおそれのあるときは続け、独 立性が強く意味の理解を助けるときは後ろまたは前の自立可能な意味の成分との 聞を区切って書き表すことを原則とする。) [例] ボシ口ネンキン(母子年金〉 トシ口コッカ(都市国家〉 ジコロホウコクショ(事故報告書〉 ネン口へイキン(年平均〉 ケン口タイイクカン〈県体育館) シカ口イシ〈歯科医師) もともと日本語は、2
拍でのまとまりが最も多いから、2
拍以下を付けるという設定自 体に問題がある。つまり、 2拍以下であっても、独立性が強く、意味の理解を助ける複合 名詞の成分は、 2拍の語が大部分を占めるのである。新しい改正案では、説明を詳しくしさらに「原則とするjの一節を加え、現行よりも強制力を緩めている。恐らく、 「区切る と意味を損なうか、意味の理解を助けるかは、かなり主観に左右されるので、基準を緩和 したのであろうo 【注意】漢字
l
字ずつが、自立可能な意味の成分で、対等な関係で並んでいるには、意 味の理解を容易にするため、適宜区切るかすべてを続けて書き表す。(案では、 「自立可能Jの前に「すべて2拍以下のJを入れている。〉 [例] トーザイ口ナンボク(東西南北) カチョウ口フーゲツ〈花鳥風月) ジンロギ口レイロチ口シン(仁義礼智信〉 ショー口口一口ビョ一口シ(生老病死) イショクジュー(衣食住) トーザイ口ナンボク(東西南北〉、カチョウ口フーゲツ(花鳥風月)の場合、発音上の 切れ目は、通常トーザイとナンボクの問、カチョウとフーゲツの間にあるように思われる が、トー、ザイ、ナン、ボクあるいは、カ、チョウ、フ一、ゲツと切れるという見方も可 能であり、意義の上からは、四者を対等に見る方が自然である。これは、漢語においても、 2拍以下でも、自立可能な意味の成分となるものが、かなり多いことを示している。 このように、 3拍以上は切る、 2拍以下はつなげると、形式的に行ってしまうと、本来 の日本語の自立可能な意味の成分の拍数と異なるため、種々の矛盾が出てきてしまうO.
2
、人名の後ろに敬称・尊称・官位および接尾語や造語要素などが続く場合、それら が3拍以上であればその境目で区切る。また、 2拍以下の副次的な意味の成分は、 前に続けることを原則とするが、つなぎ符類をはさんで続けて書き表してもよい。 [例] トモナガ口シンイチロ一口ノ¥クシ〈朝永振一郎博士〉 フクザワ口 ユキチ口センセイ(福沢諭吉先生〉 シブサワロダンシャク(渋沢男爵〉 アマテラス口オオミカミ〈天照大神) イザナギノロミコト〈伊英諾尊〉 ヤマガタコー〈山県侯) ダイアナヒ〈ダイアナ妃・・新たな例〉 【注意】 2拍以下であっても、自立可能な意味の成分であれば、前を区切って 書き表す。(案では【注意1】となるも、中身は同じ〉 [例]テラ夕、口トラヒコロチョ〈寺田寅彦著〉 タキ口レンタロー口キョク 〈滝廉太郎曲〉 ウエダロビン口ヤク〈上田敏訳〉 シェークスピアロ サク(作〉スズキ口アナ〈鈴木アナ) オカモト口プロ〈岡本プロ〉 〈案では、次のように変更している。r
人名の後ろに敬称・尊称・官位などが続く 場合、それらが3拍以上であればその境目で区切り、 2拍以下の副次的な意味の成 分であれば、前に続けることを原則とするo Jそして、 【注意2
】の形で、つなぎ 符について述べている。r
2
拍以下の副次的な意味の成分が続く場合、特に誤読の おそれがあれば第 lつなぎ符をはさんで続けて書き表しでもよい。 J )改正案では、従来、
r
3拍以上であればその境目で区切る。 Jと断定的に述べていたも のが、 「原則とする。 Jとして表現を和らげている。その一方で、r
2拍以下の副次的な 意味の成分Jの場合、従来、 「つなぎ符類をはさんで続けて書き表しでもよい。 J として いたものを、 「特に誤読のおそれがあればj という条件を付けて、使用に制限を加えた。 以上の用例のうち、 「侯Jr
妃j等は、単独で主格・目的格になりうる自立性の高い語 であり、 「著Jr
作Jr
アナJ等が、単独で主格・目的格になりえないのに比べると、む しろ自立性が高いと言える。 2拍以下を基本的に副次的な意味の成分とみなすところに、 かなりの無理があると言わざるを得ない。.
4
、地名(国名を含む〉および地名と接尾語や造語要素または普通名詞などの複合語 は、段階ごとに区切って書き表す。一つの段階の内部に、 3拍以上の自立可能な意 味の成分が二つ以上あればその境目で区切り、 2拍以下の意味の成分は、そのどち らかに続けることを原則とする。 [例] アメリカロガッシューコク(アメリカ合衆国〉 チューカ口ジンミンロキョウワコク(中華人民共和国〉 トーキョート口チヨダク口ナガタチョ一口 1ノ口7(東京都千代田区永 田町 1の7) ムサシノクニ口タマゴオリ(武蔵国多摩郡) ヤマト口コオリヤマシ(大和郡山市〉 ミノカモシ(美濃加茂市〉 【注意】地名の語頭の成分で、方向などを表す2拍の成分と対をなしている 3拍 の成分は、続けて書き表してよい。 [例] ミナミアメリカ〈南アメリカ〉← キタアメリカ(北アメリカ〉 ヒガシオオサカシ〈東大阪市〉 ウシロタテヤマ口レンポー(後立山連峰〉.5
、地名または地名を含む複合名詞の成分が2
拍以下であっても、独立性が強く意味 の理解を助ける場合には区切って書き表す。また、 2拍以下の副次的な成分であって も、意味の理解を助ける場合にはつなぎ符類をはさんで続けて書き表しでもよい。 [例] ノト口ハントー(能登半島) キタロホケンジョ(北保健所〉 ツ口シチョー〈津市長〉 シバ口シロカネチョー(芝白金町〉 ネスコ(ネス コ) (ネス湖) 案では、次のように変わっている。r
地名(国名や自然名を含む〉および地名と普通名詞 や造語要素または接尾語などで構成される複合名詞は、段階ごとに区切って書き表す。一 つの段階の内部に、自立可能な意味の成分が二つ以上あればその境目で区切り、 2拍以下 の副次的な意味の成分は、そのどちらかに続けることを原則とする。(用例は、現行とほ ぼ同じ。〉 【注意1
】一つの地名の中に、2
拍以下の自立可能な意味の成分が含まれてい る場合、区切ると意味の理解を損なうおそれのあるときは続けて書き表す。(例は、現行 とほぼ同じ。〉 【注意2
】2
拍以下の副次的な意味の成分が続く場合、特に誤解をもたら すおそれのある場合には第1
つなぎ符をはさんで続けて書き表しえもよい。(例は、現行とほぼ同じ。)乃ち、従来、 「一つの段階の内部に、 3拍以上の自立可能な意味の成分が 二つ以上あればその境目で区切りJとあったものから、
r
3
拍以上Jという規定を外した O つまり、r
2拍以下jであっても、自立可能な意味の成分を含んでいれば、最初から切 ることを原則とした訳で、ある。従って、19
9
0
年版では、 「ムサシノクニ口タマゴオリ〈 武蔵国多摩郡)Jとあった例が、2001
年版では、 「ムサシノ口クニロタマゴオリj と なるとになる。従来、 3拍以上は切る、 2拍以下は繋ぐと機械的に決めていたことからす れば、国語の性質に則った改正で評価出来る。 従来の規定では、 「地名の語頭の成分で、方向などを表す2拍の成分と対をなしている3
拍の成分は、続けて書き表してよい。 Jとして、 「ミナミアメリカ〈南アメリカ〉← キタアメリカ(北アメリカ)Jの例を載せ、一方で、 「地名または地名を含む複合名詞の 成分が 2拍以下であっても、独立性が強く意味の理解を助ける場合には区切って書き表す o Jとして、 「キタロホケンジョ(北保健所)Jの例を挙げてきた。つまり、 「キタアメ リカJについて言えば、その「キタ〈北)Jは、 「地名または地名を含む複合名詞の成分 が2拍以下であっても、独立性が強く意味の理解を助ける場合j と理解することも可能で 、その場合は、 「キタ アメリカj とし寸表記が可能になる。逆に、 「キタ口ホケンジョ( 北保健所)Jの場合は、 「地名の語頭の成分で、方向などを表す2拍の成分と対をなして いる 3拍の成分は、続けて書き表してよい。 Jの例として、 「ミナミホケンジョ〈南保健 所)Jに対する、 「キタホケンジョJという表記も可能であることになる。実際、こうし た例を区別することは、ほとんど困難というべきであった。 それ故、r
(南アメリカ)と〈北アメリカ)J並びにr
(南保健所〉と(北保健所)J は、ミナミアメリカーーキタアメリカ、ミナミ口アメリカ一一キタ口アメリ力、ミナミ アメリカ一一キタ アメリカ、ミナミホケンジョ一一キタホケンジョ、ミナミロホケンジ ョ一一キタ口ホケンジョ、ミナミ ホケンジョ一一キタ ホケンジョとしヴ表記が可能で ある。そして、これらのどの場合も、目の不自由な方が判読するのに困難であるとは思わ れない。 だから、あまりに、 2拍 3拍にこだわるよりも、日本語の意味のまとまりに注目 し、あくまで自の不自由な方が読みやすいという点を最重視し、それに差がなければ、あ とは点訳者の好みに任せる方法も考えてもよいのではないかということを講演で提言した。 また、地名は、段階ごとに区切るということを重視すべきであるのに、従来の規定では、 同じく、旧国名の入った地名であるのに、 「大和郡山市jは3拍だから、 「ヤマト口コオ リヤマシJと切り、 「美濃加茂市j は2拍だから、 「ミノカモシj と繋げるというのは、 あまりに形式的で、かえって誤解を生み易い。r
大和郡山市jは、その全体のまとまりで 奈良県の一つの市の名称を成しているのだから、 「ヤマトコオリヤマシJと繋げて書く表 記があっても良いのではないか。文脈によって地名ということは判断できるのだから、 「 ヤマトコオリヤマシJという表記が特に判読困難とは思われない。特別な場合を除いて、 段階ごとに必ず区切ってしまう方が全体的としての住所等を知るのに便宜があるのでない か。また、段階で区切っても非常に長い地名でわかりにくい場合は、意味の切れ目をつな ぎ符で書き表すという方法も考慮されて良いのでなし、かということを提案した。 今回の改正案では、 「美濃加茂市Jは、 「ミノロカモシJとなって、 2拍以下でも、切 ることが可能になって、望ましい形に変更されている。北アメリカの例は載っていないが、当然、 「キ夕日アメリカJの形があって良いはずだ。従来、注として例外扱いであったも のが、本則で認められた意義は大きい。また、他の場合も、そうであるが、従来の例外を 認めないという厳格な表現から、 「原則とする。 Jというややゆるやかな表現に変わった のも、許-容範囲を広げたという意味で評価できょうO 〈五〉 口語文法について ここで、分かち書きの法則の根拠としての、日本語文法について整理してみると、主な 文法理論としては、次のものがある。 大槻文法・・・大槻文彦
(1847---1928)
の文法。学校文法の規範。 w語法指 南IJ W広日本文典IJ0 品詞を名詞・動詞・形容詞・助動詞・副詞・接続 詞・豆爾乎波・感動詞の八種に分類。 山田文法・・・山田孝雄(1873---1958)
の文法。 W日本文法論IJ0 文法を語 論と句論に分け、語論では、体言・用言・助詞・副詞・存在詞の大別を 設け、助動詞は動詞の複雑な語尾と見なして、品詞に加えなかった。 意義論的文法論。句論では、主語・述語の西洋文法は日本語には当て はまらないとい直観的一元的な喚体句と理性的二元的な述体句に大別 して論じた。 松下文法・・・松下大三郎(1878---1935)
の文法。 ff標準日本文法IJ0 「動詞は作用の概念、を表わして或るものに対する判断を下す詞であるj の如く、形式よりも職能を重視し、日本語だけでなく、外国語にも適用 できる文法理論を打ち立てた。念詞(今日の文節に当たる)の重要性を 説いだ点が特に評価される。 橋本文法・・・橋本新吉(1882---1945)
の文法。 W国語法要説IJ0 形態論的 な文法論。文を音の連続で、前後に切れ目があり、末尾に特殊の音調の あるものとした。 私は!昨日│友人と│二人で│丸善へ│本を│買ひに│行きました。 の文は、右の如く八つに句切る事が出来るが、実際の言語としてはそれ 以上句切る事はない。かやうに、文を実際の言語として出来るだけ多く句 切った最短し、一句切れを私は仮に文節と名づけてゐる。(ff国語法要説I ) J このうち、 「昨日Jのように単独で文節を構成したり、 「私Jのように 文節の初めに来たりしうる語と、 「は・と・で・へ・を・に・まし・たJ のように常に他の語に附属して文節を形成する語との二種を判別し、前者 を詞〈独立詞・自立語)、後者を辞〈附属辞・附属語)と名付け、品詞分 類の基礎を立てた。具体的には、名詞・代名詞・数詞・動詞・形容詞・副 詞・副体詞(連体詞)・接続詞・感動詞が詞であり、助詞・助動詞が辞で あるとした。松下文法で、意義中心であった念詞を文節として形態的に説 明した点が優れている。学校文法として広まった。時枝文法・・・時枝誠記 (lgOO~lg67) の文法。 w国語学言論』 ・ 『日本文 法口語篇~ 0 言語を音声と意味の二つの要素から構成されたとする言語構 成観に対して、人間が自分の思想・感情を音声や文字を用いて表現する場 合の、話し手の心的過程(心のはたらき〉そのものに言語の本質を見いだ し、言語過程説と名付けた。話し手の思想、の表現過程と聞き手の理解過程 そのものが言語であると考える。詞は、概念、化する過程を経て表現された 語でありO 辞は概念化する過程を経ないで、話し手の立場そのままを表現 する語とする。それ故、橋本文法では詞である感動詞や接続詞は、時枝文 法では、話し手の立場を表現するものとして辞になる。形容動詞は、体言 に指定の助動詞「だjが付いたものとして、その存在を否定した。 佐久間文法・・・佐久間鼎 (1888~lg70) の文法。 w 日本語の特質』 ・ 『現代 日本語法の研究~ 0 体系化されていないが、 「コソアド体系Jの構築で知 られてし喝。もの・場所・方向を示す代名詞〈これ等)と、状態・指定を 示す連体詞〈この・こんな等)、様子を示す副詞(こう等〉を従来の品詞 にとらわれず、実際の性質から一括して「指す語jとして纏めたところが 評価される。 単語の切り方①大槻文法 行カ口セロタロカラ ②山田文法 行カセタロカラ ③松下文法 行カセタカラ ④橋本文法 行カ口セロタ口カラ ⑤時枝文法 行カセ口夕日カラ
。
f詞(自立語〉・・・それ自身で一つの概念を表わし、単独で文の成分を構成する語。 観念語・実辞・意義素とも言うO 橋本文法では、名詞・代名詞・ 数詞・動詞・形容詞・副詞・副体詞〈連体詞〉・接続詞・感動詞 を言うO 辞〈付属語〉・・・言語主体(話し手・書き手〉の立場・態度を表現する語で、単独 では文の成分を構成できず、詞と結合して、初めて具体的な思想、 を表現する働きを持つ語。形式語・虚辞・形態素とも言うO 橋本文法では、助詞・助動詞を言う。 これらの文法理論の中で、点字は基本的に橋本文法に則って体系化されている。これは 現在の学校文法が橋本文法を採用しているのと軌をーにし、点訳者のほとんどが橋本文法 を身に付けて来た点から言っても合理的なものと言えようO 但し、橋本文法そのものは、 国語学の世界では、必ずしも十全な文法理論とされている訳ではないが、文節という概念 は理解しやすいものであるし、文節を基本的な切れ目としている点字表記の理論には、相 応しい文法論と言って良かろう。 (六)点字表記の問題点〈注 5) 以下は、点訳作業に当たって、特に問題となる事項を取り上げたい。先ずは、転成名詞の扱いについてである。転成名詞とは、次のごときものを言うO
。
A
、転成名詞・・・他の品詞が、本来の品詞としての文法的特性を失い、名詞として•
の特性を持つようになることO 次の場合がある。 ①、動詞の連用形から転成したもの。r
行きJr
帰りJr
帯J等 ②、形容詞の語幹から転成したもの。r
赤Jr
青j等 ③、形容詞・形容動詞の語幹にサ・ミ・ケ等の接尾語が付いて転成 したもの。r
良さJr
豊かさJr
暖かみJr
寒けJ等。 ④、助辞を伴った成句が転成したもの。r
すべて(全部)Jr
いま は(臨終)Jr
おやしらず(智歯)J等。 『日本点字表記法 199 0年版』 6、複合名詞では、 3拍以上の自立可能な意味の成分が、二つ以上あればその境目 で区切り、 2拍以下の意味の成分は、そのどちらかに続けることを原則とする。 【注意2】複合名詞の成分が動詞から転成したものでも、 3拍以上の自立可能な意 味の成分が二つ以上あればその境目で、区切ることを原則とするが、自立性が弱し、も のは続けて書き表してよい。 [例]シタテオロシ〈仕立て下ろし〉 アワセカガミ(合わせ鏡〉 マホーツカイ〈魔法使い) 案では、次のようになっている。r
複合名詞の構成要素のうち、 3拍以上の自立可能な 意味の成分が、二つ以上あればその境目で区切り、 2拍以下の副次的な意味の成分は、そ のどちらかに続けることを原則とするo (例は、現行とほぼ同じ。〉 【注意1
】複合名詞 の構成要素の一部が動詞から転成したもの、または形容詞の語幹を含んでいる場合で、自 立性が弱く区切ると意味の理解を損なうおそれのあるものは続けて書き表しでもよい。例 ウレシナミダ(嬉し-涙) クルシマギレ(苦し紛れ) 【注意2
】漢字4
字以上の漢語名詞 で、自立可能な意味の成分の前か後ろに、副次的な意味の成分が一つ以上付け加えられた と思われるものは続けて書き表す。例 カイスイヨクジョー(海水浴場〉 ジョシダイセ イ(女子大生)等J 現行の表記法の【注意2】では、動詞からの転成名詞のみを問題にしていたが、改正案 では、形容詞の語幹を含んだ複合名詞も同じ扱いとい用例も変えている。r
シタテJr
オロシJr
アワセJなどは、単独では主語になりにくいし、 「ウレシJや「クルシJは増 して自立性は弱い。しかし、その判断には個人差があり、一概に決定できない。むしろ、 切ることによって、一語としての纏まりがかえって分かりにくくなる語は繋げると考えて も良いのでないか。これは、改訂案の【注意2】についても、同様で、 「海水浴口場j 「女子大口生j と切っては、却って意味が取りにくいから続けると単純に理解するしでも 同じことである。@ B、なくなる(形容詞+動詞、動詞〉の区別法 次には、 「形容詞+動詞Jの「なくなるjと複合動詞「なくなるJの区別法を考えたい ①形容詞+動詞の「なくなる Jの場合 [例]
a
、タベタク口ナク口ナル(食べたくなくなる〉 b 、ヒトガロヒトデ口ナク口ナル(人が人でなくなる) C 、ソレドコロデハ口ナク口ナル(それどころではなくなる〉 ②複合動詞「なくなるJの場合 d 、ヒトガ口ナクナル(人が亡くなる) e 、ゲンキガ口ナクナル(元気が無くなる) f、ショクヨクモ口ナクナル(食欲もなくなる) g 、オカネガ口スッカリ口ナクナッタ〈お金がすっかり無くなった〉 h、ボーシヲ口ナクシタ(帽子を無くした〉 これは、形容詞が含まれているか居ないかの相違である。形容詞と動詞はその特徴が次 のように異なる。 (形容詞の特徴・・・事態を没時間的に静態的に捉えるo 動詞の特徴・・・・事態を時間的に継続し、または移行するものとして捉える。 それ故、 「なくなるj の直前に、時の名詞である「今朝(その時)J等の語を仮に付け るとすると、 「没時間的Jな性格を持つ形容詞、つまり①には、付かず、 「時間的J性格 を持つ動詞、即ち②の場合には付くので、明確に判別できる。また、②の複合動詞の場合 の「なくなるj は、消失を表わす動詞「消えるJr
失うj等によって言い換えることが可 能であるが、①の形容詞十動詞の「なくなるJの場合は、 「消える」や「失うj と言った 動詞で言い換えることが出来ないので区別が付く or
消える Jや「失うjで言い換えられ るかどうかで判別する方が分かりやすいかも知れない。 C 、ない全般について(形容詞の「ないJと動詞の未然形に付く助動詞「なしリ〉 形容詞の「ない」と打ち消しの助動詞「ない」の区別について、述べたい。 • w日本点字表記法』 6、補助用言(補助動詞や補助形容詞)は、自立語であるから、動詞や形容詞と同 様に前を区切って書き表す。 【注意l】 「読まないJなどの「なしリは、打ち消しの助動詞であるから続ける。 また、 「ない Jの前に助詞の「はJr
もj などを挿入できれば補助形容詞である から、前を区切るが、 「あどけないj などは複合形容詞として認められているの で続けて書き表す。 『点訳のてびき』 (])形容詞の「なしりは、前を区切って書く O O(2)助動詞の「なしリは、前に続けて書-くO く処理〉助動詞「ないJは、他の打ち消しの助動詞「ずJ
r
ぬJに置き換えが可 能であり、形容詞「なしリは、 「ないjの前に助詞「はJr
も「さえJなどを 差し入れて判断することができる。(
3
)
r
r-.Jない・ なく・ なし」が、l
認であれば続けて書く O(
4
)
fr-.Jてないjの「ないJが、形容詞である場合は前を区切って書くが、r
r-.Jてな しリの「い」の省略と考えられるときは、前に続けて書-いてよい。 上記の『日本点字表記法』や『点訳のてびき』は、分かりやすく説明しである。少し言 葉を補って纏めて図示すれば、次のようになろうO 大「なしリが f①「ないJを「ず」で置き換えられるゆ助動詞「ないJc:;>続けて書くO 付く言葉 {②「ないJを「ずjで置き換えられない。 ¥ . ~ ( a 、 「ないJの前に助詞「はJr
がJr
さえJが入る。 形容詞~ 補助形容詞c>r
ないJの前を切る。 b 、 「なしりの前に助詞「はJr
がJr
さえJが入らず、 かっ、 「なしりを「あるjに変えると意味がとおらな かったりひどく不自然な表現になるもの。G
複合形容詞吟続けて書く。 それ故、 「ココロナイ(心ない)Jr
ナサケナイ(情けない) -'等は、 「はJr
が-'r
さえjが入るので、名詞+補助形容詞と考えた方がよい。だが、実際の判定は難しいもの が多い。。
D、 「のjを含む名詞 次には、 「のJを含む名詞(主に地名)について考えたい。例としては、以下の如き例 がある。 山手線 ヤマノテセン 安 宅 関 アタカノ口セキ 春日局 カスガノ口ツボネ 高田馬場 タカダノババ 池 岬 忍 潮 不 シオノミサキ シノパズノイケ .w 日本点字表記法~1
9
9
0
年版 4、地名(国名を含む〉および地名と接尾語や造語要素または普通名詞などの複合語は 段階ごとに区切って書き表す。一つの段階の内部に、 3拍以上の自立可能な意味の成 分が二つあればその境目で区切り、2
t
t
l
以下の意味の成分は、そのどちらかに続けることを原則とする。 【注意】地名の語頭の成分で、方向などを表す2拍の成分と対をなしている 3拍の成 分は、続けて書き表してよい。
5
、地名または地名を含む複合名詞の成分が二拍以下であっても、独立性が強く意味の 理解を助ける場合にはつなぎ符類をはさんで続けて書き表してもよい。 『点訳のてびき』 4 、地名(国名を含む)および地名と接尾語や造語要素または普・通名詞などとの複合語-は、段階(都道府県・市区町村)ごとに区切って書く。 【備考】段階の内部に、 3拍以上の意味のまとまりが二つ以上あれば、その境目で区切 って書くことを原則とする。5
、地名や自然名の中に二つ以上の意味のまとまりがあり、普通名詞の部分が3
拍以上 であれば区切り、 2拍以下は続けて書くことを原則とする。 【備考1
】二つ以上の意味のまとまりがない場合は続けて書く。 【備考2】地名などの語-頭で、方向などを表す 2拍の語と対をなしている 3拍の語は、 続けて書いてよい。 く処理〉文脈上誤解を生じる場合には、第 lつなぎ符をはさんで続けて書くことができ る。 (今回の改正案は、上述したので略)0 「湖tll!fl シオノミサキJr
不忍池 シノバズノイケjの場合は、l
r
叩 ミサキjや 「池 イケJ臼体は、自立可能な意味の成分で独立性が強いが、 「ノj の前の「湖 シオ jや「不忍 シノバズJという部分が、地名としての独立性を持たないので、続けて書:く ことになる。一方、 「安宅関 アタカノロセキj の場合は、 「関セキJが自立可能な意 味の成分で独立性が強く、 「安宅 アタカJも地名としての独立性が強し1から、切って書: くことが可能となる。r
高田馬場 タカダノババjでは、 「馬場ババj は自立可能な意 味の成分であるが、時代の変遷により独立性がうすれており、地名としてのまとまりから も繋げた方が分かりやすい。ただ、自立可能な意味の成分の認定には個人差があり、一筋 縄ではいかない而がある。また、 「タカダノ ババjでは、 「高田という名のお婆さん」 の意味にも解せなくはない。r
山手線 ヤマノテセンjの場合、 「線 センJは、自立 可能な意味の成分で独立性が強いが、r
l
l
l
手線 ヤマノテセンJ自体の意味のまとまりが 強く、切ると却って意味がわかりにくくなる恐れがあるから続ける。 しかし、これらも、 「地名(国名を含む)および地名と接尾語や造語要素または普通名 詞などの複合語は、段階ごとに区切って書き表す。 Jという大原則を重視すべ、きで、余程 の誤読の恐れが無い限り、一つの段階で纏めて書いた方が本来-は望ましいと思われ、また これには反対意見もあろうが、むしろ、すべての地名は例外なく、一つ一つの切られた段 階の巾は続けて書き、誤読の恐れのある部分だけ、第l
つなぎ符号や中点を刑することも 考えて良いのでないか。この点については、今度の改正案では、i
二述のように、基準が緩 んだので、大分改訴されたと言えようO@ E、なさる、なさいについて〈名詞・動詞に続く場合) 今度は、 「なさる、なさいJが独立の動詞の場合と複合動詞や省略後の場合について、 検討する。 • w日本点字表記法』 7、補助用言の一部が省略されたり音韻変化をおこした場合には前に続けるものとす る。 【注意】 「ないJや「なさいJが、補助用言の「いないJや「いなさいJの省略形 であれば、前に続けることを原則とする。これに対して、 「なしりや「なさいj が、それ自体補助用言であるか、または「しなさいJの「しjの省略形と考えら れる場合は、前を区切って書き表す。 『点、訳のてびき』 7、 「なさい・なさるjなどが、独立の動詞であれば前を区切って書くが、前の語と 複合して 1語になっている場合や、省略形の場合は続けて書く。 「ナサイーI