テクノメイトコープ通信−季刊−2012 年(秋号) 43 号
た ま き
目 次
巻頭言 分析装置のあり方 辻 幸一 1
寄 書 テクノメイトコープの私 村田 博史 2
最新の環境課題(23)太陽光発電システムについて 前田 嘉信 3
行事報告 第 13 回公開講演会・交流懇親会 4
技術研修会記録 平成 24 年 5 月∼6 月
6
部会活動紹介⑦ 理科教育部会 久保 建二 7
紀行文 渡船で巡る小さな旅−大阪大正区まち歩き 森 伸治 8
エッセイ 私とテクノメイトコープとの関わり 権 順度 10
会員のひろば - 7 - 11
俳句への誘い(38) 12
クラブ・事務局だより 13
TMC 法人会員一覧 14
誌名『環』の由来 『環』はいうまでもなく「環境」の「環(かん)」であり、 「環境(保全を図る活動)」はテクノメイトコープと社会を 結ぶキーワードです。 「環(たまき)」はもともと「手纏(たまき)」で、手指に つける環状の上代の装身具であり、「手纏の端は無きが如し」 といわれるように、巡り巡って終わることのない喩えに用い られます。これこそテクノメイトコープの活動目的である 「循環型社会システムの構築」の行きつくべきところです。 日本の歴史と伝統の心を踏まえつつ、地球生態系の環(輪)、 人間社会の環(和)、循環型社会の環の大切さを、この小誌 『環(たまき)』に込めたいと考えます。 題字「環」の書家紹介 濱 和宏氏は、昭和 48 年兵庫県生まれ、平成 9 年 鹿児島大学 大学院水産学研究科修士課程修了、同年 総合科学株式会社入社。 書は鹿児島大学在学中に松清秀仙氏(鹿児島大学教育学部教授・ 鹿児島県書道会会長・日展会友)に師事されました。 この題字は、中国古代周王朝の書体で書かれた作品です。
「イワシ」
寺山南楊氏作品
(本名 寺山睆子)
南北墨画会常任理事 提携団体 近畿産業技術 クラスター協同組合初代理事長 寺山浩三氏夫人です1
【巻頭言】
分析装置のあり方
テクノメイトコープ技術顧問 辻 幸一
私の研究課題の1つに全反射蛍光X 線分析法が あります。これは、水溶液試料中の微量元素を簡 便に高感度分析する手法です。具体的な手順を簡 単に説明しますと、水溶液試料として数∼10 マイ クロリットル程度を平坦なガラス基板に滴下・乾 燥し、水分を蒸発させます。その結果、残った残 渣、乾燥痕を蛍光X 線分析法で分析します。一般 的な蛍光X 線分析法と異なり、試料(ガラス基板) への入射角を基板表面から 0.05 度程度の小さい 値に設定することにより、X 線の散乱を減じるこ とができ、高感度化を実現しています。測定時間 として500 秒程度で ppb レベルの分析が可能とな ります。 以前から、この全反射蛍光 X 線分析法(TXRF 法)はシリコンウエハの分析に利用されてきまし た。単結晶シリコンは最終段階で鏡面に研磨され、 リソグラフィーなどの工程を経て半導体デバイス として製品化されます。もし、シリコンウエハの 表面が不純物元素で汚染されていれば、半導体デ バイスの歩留りが悪くなるので、シリコンウエハ の清浄度チェックは大変重要な工程となります。 この半導体ウエハ用の TXRF 分析装置の製造に 関して、またTXRF 分析の基礎研究に関して、日 本は世界を先導してきました。そもそもTXRF 法 の原点ともなる論文は、1971 年当時、九州大学に おられた米田・堀内両氏の論文です。分析手法の 原理の多くが欧米から提案されたものであること を考えれば、大変ユニークな方法といえ、日本発 の分析法として今後も発展が期待されます。実際、 半導体シリコンウエハの TXRF 分析法の国際標 準規格は日本が幹事国として進められ、これまで に2 つの規格が制定されています。 近年、半導体産業に以前程の力強さが感じられ なくなりましたが、この状況を反映してか、河川 水などの環境試料の微量成分分析のためのTXRF 分析が特にヨーロッパで増えつつあります。この ような状況に関して、最近感じたことを述べます。 先述のように日本は TXRF 装置の開発に関して 世界をリードしてきました。例えば、環境分析用 のTXRF 装置の1つは、最高の励起条件を達成す るために、2 種類の X 線管を自動で交換できたり、 X 線の入射角を自由自在に設定・走査することが できるなど、これ一台あれば、いろいろなモード での実験や測定が可能となる高機能装置に仕上が っています。 この装置には根強いユーザー層がいますが、一 方で、ヨーロッパのメーカーは簡単なTXRF 装置 を考案しました。入射角は変えない(一定のまま 固定)、X 線管も一種類に固定、試料をセットして ボタンを押すだけ、といったコンセプトで小型の TXRF 装置を商品化しました。その結果、世界各 国で販売に成功しているようです。つまり、使用 者や使用目的を限定することにより、新たな市場 を開拓したといえます。特に、発展途上国では、 ランニングコストやメンテナンス費用が少ない小 型 TXRF 装置の売れ行きが伸びているようです。 携帯型の蛍光X 線分析装置はハンドヘルド型とし て日本でも一定の評価が得られつつあり、廃棄物 材料の現場分析などに利用されています。高機能 で何でもできる装置が常に受け入れられるのでは なく、各国の事情、ユーザーの置かれている状況 によって、求められる装置は異なってくるという ことです。関連して、優れた機能を有する日本の 携帯電話が世界では案外受け入れられておらず、 いわゆる「ガラパゴス現象」が各所で生じていま す。ある分野で成功した会社は、その技術に固執 するあまり、新しい技術革新や発想の転換に踏み 切れず、取り残される状況が背景にあるように思 います。しかし一方で、「良いものは良い」といっ た信念も重要であり、軸はぶれずに新しい技術を 積極的に取り入れていく姿勢が重要であると感じ ます。 来る2013 年 9 月 23‐27 日に TXRF 法に関す る国際会議を大阪市立大学で開催することになり ました。是非この機会に本会の皆様にもご参加い ただき、TXRF 法がどのように皆様のご研究のお 役に立ちうるかを探っていただければ幸いです。 例えば、環境水、廃液などの検査管理において簡 便なモニター装置としても有効な方法と思います。 まずは、このような観点から皆様とお付き合いを 始めたいと思っています。 ( TXRF2013 国 際 会 議 ホ ー ム ペ ー ジ : http://www.a-chem.eng.osaka-cu.ac.jp/txrf2013/) ––––––––––––––––––––––––––––––––––––––– 大阪市立大学 大学院工学研究科教授 物理分析化学2
【寄書】
テクノメイトコープの私
技術相談員 村田 博史
≪TMC での思い≫ TMC にお世話になって早や 11 年目、会社を辞め 仕事を探していた時ご縁ができました。年金暮らし の今、少しでも恩返しができればと思っています。 ここでの活動は、研修会、講演会、機関誌「環」 編集を中心にお手伝いさせていただいています。 TMC には快く受け入れていただいていることに 感謝しつつ、まだ未練もあり、収入につながる仕事 はないものか、とそんな虫のよい思いを持ちながら の今日この頃です。 ≪TMC での趣味≫ また、勧められ初心者の私が俳句の会、囲碁の会 に参加させてもらっています。 特にe-mail で投句 し選句する「ありん会」は俳句素人の私にとっては 有り難いもので、存じ寄りの方や面識のない方、経 験豊富な方や始めて日の浅い方など、いろいろな方 に選句していただいたり、選句させていただいたり、 その度にこの方はどんな人だろうかと想像して興味 深いものです。 今後はテニスにもチャレンジしてみようかと・・・。 ≪実るほど首を垂れる稲穂かな≫ TMC 会員の皆様は、それぞれ立派な経験や実績 をお持ちの方が多いにも関わらず、謙虚な方が多い と思います。皆さん実り多い方々でしょうが、過去 の自慢話に終始されたり、人を見下す不遜な人は、 私の知る限りおられません。 それは、このTMC では会員それぞれの尊厳を尊 重し、上下関係のない組織であって欲しいとの思い が継承され、皆さんが自主的に活動している組織だ からではないでしょうか。 ≪TMC への貢献≫ TMC は先輩諸氏のご尽力で 10 年以上も維持し、 発展し、継続してきたのです。 さらなる発展のために私自身どう役立つのか、何 ができるのか、どのくらい時間を割り振れるのかを 自問しつつ、諸先輩方に支えられながら「技術研修 会」、「公開講演会」、「機関誌発行」の運営に参加し、 微力ながら貢献させていただいていると思っていま す。 ≪TMC への期待≫ TMC がどのような組織であったらよいのか。 会員の皆様の思いも経歴も様々ですが、「現役世代よ り気持ちは若い人の集まり、自分の能力を発揮でき、 自分を生かせる集まりであり続けて欲しい」という 点は皆さん同じだと思います。 経験や能力を生かせる場、社会貢献ができる場、 一緒に楽しむ趣味の場、等々、人それぞれに満足し てもらえる組織であって欲しい、それが私の願いで す。 ≪会員の皆様へ≫ 研修会は50 名前後、講演会は 70 名∼100 名参加 していただいていますが、参加いただいていない方 もまだまだおられます。 技術に関する講演だけで はありません。その時々に内容はさまざまです。 文 系、理系問わず面白いお話が聞ける場です。 毎回メールでご案内させていただいていますし、 ホームページにも掲載されています。 聞いてみた い講演がありましたら是非ご参加ください。(メール が届いていない方は ご一報ください) また、ご都合が悪く参加いただけなかった時は、 講演を録画していますので、お申し出ください。 (DVD 化に時間が掛かることはご了承ください) ≪会員募集≫ ① 仕事でTMC が利用できると思われる方 ② 経験や実績を生かしたい方 (仕事でも趣味でも) ③ 知識欲旺盛な、なにより気持ちが若い方 テクノメイトコープに是非ご参加ください!! (但し、自慢話がしたいだけの方はご遠慮ください) 元 日本コンピューター・システム株式会社(システム設計等)シリーズ【最新の環境課題】
(
23)
太陽光発電システムについて
技術相談員 前田 嘉信
3 太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマス等の 再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社に固 定価格で買取りを義務付ける法律が2012 年 7 月に 施行された。買取り価格、買取り期間が有利に設定 されたこともあり、多くの企業等が発電事業に参入 を始めている。その内、最も増加すると予測される 太陽光発電システムについて環境課題を報告する。 1.太陽光発電の概要 太陽電池内部に入射した光のエネルギーは電子 によって直接的に吸収され、あらかじめ設けられた 電界に導かれ、電力として太陽電池の外へ出力され る。光起電力は特異な現象でなく、亜酸化銅、セレ ン、半導体では普遍性のある現象である。 2.太陽電池の種類 主な太陽電池とその概要を以下に述べる。 ① 単結晶シリコン太陽電池 200∼300μm のシリコン結晶基板上に作成する。 製造コストが高いが性能や信頼性に優れている。変 換効率が比較的高い(15∼17%:モジュール変換効 率、以下同じ) ② 多結晶シリコン太陽電池 溶融固化で製作した小結晶が集まった多結晶シ リコンをスライスした基板上に作成する。製造方法 が簡単でありコストが比較的安い。変換効率は単結 晶より若干低い(13∼15%) ③ アモルファスシリコン太陽電池 ガラス又は金属等の基板の上に1μm 前後の薄膜 状のアモルファスシリコンを形成させて作る。大面 積で量産できる特徴があるが、変換効率は結晶系に 比べ低い(6∼12%) ④ 単結晶化合物半導体太陽電池 GaAs 等特別な化合物半導体を用いるもので、宇 宙用等の特殊用途に使われる。変換効率が単接合型 で最も高い(18∼24%) ⑤ 多結晶化合物半導体太陽電池 Cu,In,Ga,Se 等からなる CIS 系と呼ばれる化合物 を基板に数μm の薄膜を形成して作る。多様な材料 や構造のものがあり、大面積化や量産化に向く。変 換効率は10∼12%。 注)2010 年出荷量の構成は Si 単結晶型 33%、Si 多結晶型52%、Si 薄膜型 12%、その他 3% 注)結晶系Si とアモルファス Si を積層したハイブ リッド型も量産されている。 3.太陽光発電システム 光エネルギーを電気エネルギー(直流)に変える 太陽電池とその電気を直流から交流に変える変換装 置(パワーコンディショナ)及び表示装置で構成さ れる。設置は風通しがよく、日陰のない南面に 30 度前後の勾配で設置するのがベストであるが、天候 及び季節により発電量が左右される。 1)太陽光発電システム自体のロス ・パワーコンディショナによる損失約5% ・汚れ・配線(回路)ロス等による損失約8% ・電池温度上昇による損失 結晶 Si で約 20% (アモルファス Si や化合物半導体は約半分) 2)太陽光発電システムの経年変化 太陽光発電モジュールの代表的な劣化として封 止材に使用されている樹脂の紫外線による劣化があ る。年月と共にゆっくりと性能が低下し、水分によ る漏電や電極の腐食による接触不良等の劣化が生じ る。多くの製品は20 年間で 1 割未満と報告されて いる。またパワーコンディショナ等の周辺機器にも 寿命(10∼15 年)がある。しかも、住宅用システム の調査ではひび割れ、ホットスポット等の不具合に より 10 年以内に設備を交換した割合が太陽光パネ ルで15%、パワコンで 21%という報告もあり保守・ 点検が欠かせない。 4.将来動向 最大の課題は発電コスト(買取り価格)が高いこと で、今のままでは太陽光発電の普及継続に懸念があ る。従って、変換効率向上と生産性向上や量産効果 によるシステム価格の低下で、発電コストを大幅に 下げることが必要である。NEDO の「太陽光発電ロ ードマップ(PV2030+)」では第一段階として結晶 Si でセル変換効率 25%、薄膜 Si で 18%以上、CIS 系で結晶 Si に匹敵する変換効率を実現し、さらに 2050 年に新しい原理、構造によるモジュール変換効 率 40%の超高効率太陽電池を実現するという目標 を掲げている。発電コストの目標はkWh 当たり 2020 年に 14 円、2030 年に 7 円、2050 年に 7 円未 満である。次世代の太陽電池として針状結晶成長に よる立体化で表面積を増やす方法、量子ドット型や 多接合型で異なる波長の光を広く効率的に電力変換 する方法等が研究されている。 元 パナソニック株式会社(生産技術、環境行政) 技術士(機械部門)、EA21 審査人4
【行事報告】
第 13 回テクノメイトコープ公開講演会・懇親会
開催日:平成 24 年 7 月 25 日(水) 時 間:13:00∼19:00 会 場:道頓堀ホテル 公開講演会は小林稔氏の司会で始まり吉田弘 之理事長は挨拶の中で、TMC が循環型社会の形 成、持続可能な社会の構築に向けてさらなる活 動を展開し、基 本 方 針 の 「 相 談・伝える・助 け る ・ 創 り 出 す・育てる」を 具 体 的 に 推 進 するため、資源 循環、環境技術、 経営支援、理科 教育の各部会を設け、「待ち」から「攻め」へ、 活動の場を「大阪」から「全国」へ広めるべく 「Post2010-Plan2020」計画のもとに法人会員・個 人会員の勧誘を強化したい、との目標を掲げら れました。 第 1 講演 講師:入谷 英司 氏 (名古屋大学大学院工学研究科 教授) 演題「濾過工学の歩みと展望」 TMC の技術顧問でもある入谷氏は、30 数年間 に亘り濾過の研究に取り組んで来られました。 今では濾過工学は絶滅品種になってしまったと 言われるが、濾過は我々の日常生活では大変重 要な部分を占めている。自然界に於いては山に 降った雨が地下に浸透して土壌で濾過され「美 味しい水」となり、人体に於いては腎臓が血液 を濾過して不要物を体外に排出し「きれいな血 液」を循環させている。日々の暮らしの中では コーヒーを飲む時、空気清浄機、掃除機などで は濾過が重要な役割を担っている。 水を多量に使用する工業社会では用水の濾 過、生産プロセス内の濾過、排水処理の濾過と 水資源のリサイクル処理過程で濾過は無くては ならない技術となっています。 濾過技術の進歩の過程は人類文化の発展の歩 みと重なるものです。葡萄からワインを作るに は濾過が必要となります。日本で発達した発酵 技術である酒、醤油などの食文化にも濾過が重 要な役割を果たしています。 初期における濾過は錘による絞り出しや重力 の利用でしたが、19 世紀になると近代化した濾 過技術は動力を使ったポンプ圧や圧縮空気の利 用に始まる多室回転円筒真空濾過機(オリバーフィルタ ー)でした。ドラムを回転させながら真空で引っ 張ることで連続して濾過することができる画期 的 な 濾 過 機 で した。 産 業 が 発 達 し て く る と 公 害 が 社 会 問 題 と な り 多 量 に 発 生 す る 廃 水 処 理 の 必 要 性 が増大し、圧搾 型全自動フィルタープレス等の濾過機が開発さ れました。難濾過性物質への対応としては粒子 を大きくしたり磁場や電場を使った濾過が行わ れ、濾過の物理化学的な機構の解明がなされる ようになった。20 世紀は石油の時代、21 世紀は 水の時代と言われ水資源の確保の争いが想定さ れます。表流水、海水、廃水等を高度処理し、 いかにして水を循環利用するかが濾過工学の課 題になっています。人類は濾過技術を手にした ときから文明が発展しましたが、環境保全の観 点から産業界には濾過技術のイノベーションの 余地が多く残されています。5 第 2 講演 講師:北川 央 氏 (大阪城天守閣 研究主幹) 演題「関ヶ原合戦後の豊臣家」 北川氏には 昨年の TMC10 周年記念公開講演 会にて「豊臣秀吉の大坂築城と城下町大坂の成 立」の講演をして頂きました。今回は、2014 年 が大坂冬の陣 400 周年でもあり秀吉亡き後から 大坂の陣までの秀 頼の境遇について 語って頂きました。 通説の根拠とな る「廃絶禄」や「徳 川除封録」によると 1603 年に徳川家康 が征夷大将軍にな ると秀頼は摂津・河内・和泉 3 ヶ国 60 万 7 千 4 百石の一大名に転落したとなっているが、これ らの資料は 1614 年の大坂冬の陣から 200 年後に 著述されたものであり、果たして評価に耐えう るものかと北川氏は疑問を投げかけている。江 戸幕府が置かれた同時代の公家の日記である 「御湯殿の上の日記」「時慶卿記」などによる と大坂城の秀頼のもとには毎年勅使等が年賀の 礼に下向しており大坂冬の陣が勃発する 1614 年まで続いている。秀吉は公家の家格に倣い豊 臣本家を摂関家、徳川家を清華家とした。「義 演准后日記」に依ると豊臣家は関白、徳川家は 将軍として併存できるとの記載があり、家康が 将軍になったといっても国の支配者になった訳 ではない。これ以外の同年代の資料からも秀頼 は徳川幕府の一大名ではなかったことが立証さ れる。秀吉の亡き後も秀吉の作った体制は健在 であり、徳川幕府による全国支配を貫徹させる には豊臣家を滅ぼし豊臣体制を破壊しなければ ならず、そのために起こったのが大坂の陣であ ると北川氏は推察しておられます。 第 3 講演 講師:南後 守 氏 (大阪市立大学複合先端研究機構 特任教授) 演題「人工光合成アンテナと光電変換デバイスへ の展開」 東日本大震災による福島第 1 原発の事故を発 端として脱原発が叫ばれる中、再生可能エネル ギーの活用が求められています。現在、太陽電 池の種類も多彩に なっており、シリコ ン系のものが主流 になっていますが、 これからは有機系 太陽電池に期待が 集まっています。 太陽電池を植物 が行う光合成反応 ととらえ太陽エネルギーを使って燃料を作る研 究がなされています。南後氏は光合成膜で光捕 集機能をもつアンテナならびに電荷分離機能を もつタンパク質色素複合体の配向を制御した基 盤上への組織化と光電変換機能をもつナノデバ イスの研究を行っておられます。光エネルギー 変換に重要な役割を担っているのがクロロフィ ル色素であり、非常に効率の良い光電変換がな され、その電子移動にタンパク質が重要な働き を果たしています。 植物は太陽エネルギーを使って水を分解して 酸素を発生し、二酸化炭素を還元して糖類やア ルコールを生成します。このような機能をナノ レベルで人工的に構築する研究は今後の低炭素 社会に役立つだけでなく日本のビジネスの裾野 が大きく広がって行くので、南後氏の研究成果 に期待が寄せられています。 懇親会 懇親会は、西口一美氏の司会で、吉田弘之理 事長の挨拶に続き、講演会の講師である南後守 氏の乾杯の音頭で始まり ました。中締めでは斉藤 氏の勇ましい「フレー、 フレー」のエールが響き 渡り、会は盛況裡に終了 しました。 (堀本 利夫 記)
6 6 技 術 研 修 会 記 録 期間 H24/5∼6 回数 年月日 講演者 題 目 と 概 要 113 回-1 H24.5.23 猪川 恭史 画像診断装置の歩み 入会して 2 年経過し、このたび自己紹介を兼ねて長年携わりました医療用 X 線装置に関して解説 させていただきました。我国は、平均年齢がほぼ 80 歳を超え世界一の高齢化国家となりました。 その主要因として、国民皆保険制度と医療行政に即した非侵襲検査装置(X 線画像診断装置)の進 歩と普及による早期発見・治療が達成されてきたことにあります。この装置の歩みを工学面で解説 するとともに現在臨床面で活用されている内容を紹介しました。今後、デジタル医用画像処理技術 が進歩し、更なる病気の早期発見・治療が可能になり健康生活の延長が図られます。そのため定期 健康診断の受診をお勧めします。(元 (株)島津製作所、TMC 会員) 113 回-2 H24.5.23 鑓田 雅之 廃棄物処理法と実際 現行の廃棄物処理法は 40 年を経過し実情と乖離しているが、違反には厳罰の為、処理業者は常 に狭間に立たされる。特に一廃と産廃の区分は、能力がないのに責任上取扱わざるを得ない行政、 能力があるのに許可上取扱えない民間と云う矛盾から「二廃」と云う造語を生み出した。また、行 政や排出者の行き過ぎたゼロエミ信奉も問題である。経済原則や科学的見地に基づかず、需要なき 再生品、再生の皮を被った焼却・埋立、脱法再生業者が横行している。解決の為には現実に即した 抜本的法改正、ごみを出す側の本質を見抜く目の養成が肝要と考える。 (泉興業(株)常務取締役、TMC 法人会員) 114 回-1 H24.6.27 岸本 昇 工業高等専門学校の現状と課題 今年、創設 50 周年を迎える国立高等専門学校は、著しい経済成長の時代背景と共に誕生し、実 践的技術者の養成を行い、社会の要請に応えてきました。これまでに全国 51 国立高専から約 30 万 人の卒業生が巣立ち、産業界各分野で活躍しています。少子化が進み、経済成長が期待できない現 在、高専は様々な問題に直面し、質的・量的にも変化が求められています。高専はこれからも、技 術立国日本を支える高等教育機関として、優秀な実践的かつ専門的な知識及び技術を有する創造的 な人材を輩出していきます。 (和歌山工業高等専門学校物質工学科教授、TMC 会員) 114 回-2 H24.6.27 真田 明子 介護に必要な知識とお金―豊かな人生創りのため、いざとい う時、知っておきたい公的制度と地域資源の情報― 今の日本は長寿大国ですが、「健康寿命」は女性 79 歳、男性 73 歳、つまり何らかの介護や支援 が必要となるのは約7年あるわけです。元気に長生きするには「健康寿命」を延ばすことが必要で す。身体的には血管・骨・腸年齢を若く保つこと、又、社会(仲間)、経済(お金)、文化(知的活 動)、家族(絆)等の側面から「健康幸福寿命」が豊かな人生創りの秘訣と考えます。既にそんな 生き方をされているテクノメイトコープの皆さまですが、もし介護が必要になれば先ず地域包括支 援センターにご相談頂くこと、又ご自身も介護保険制度等の知識や地域資源を知って頂き上手に利 用することで介護負担の軽減が可能なことをお伝えさせて頂きました。(合資会社ステージケア代 表(介護事業)、特定非営利法人アダプテッドスポーツ・サポートセンター事務局長) 各講演に就いて、詳細をお知りになりたい方は事務局までご連絡下さい。
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[部会活動紹介] シリーズ⑦
理科教育部会
(リーダー:久保建二)
はじめに 理科教育部会は TMC の基本方針の一目標 「青少年を対象とした科学技術の啓発と人材 育成」に基づき 2011 年の理事会、総会を経て 6 月に新たに設立された。技術立国である我が国 が青少年の理科離れから、最近は技術の上で欧 米諸国はもちろん韓国、中国はじめアジアの 国々からも追い越され水をあけられようとし ている。この状況を跳ね返すために、TMC と して何ができるかを検討し、目的に向かって少 しずつ前進してきた。その活動過程と今後の方 針を紹介する。 活動経過 まず、部会の目標、あり方を考えるとともに、 具体的に何をするかを議論した。同時に近隣で の目的に沿った活動について調査した。その結 果、なかもず科学の泉(大阪府立大)、理科教 材ケース(株)の例、生駒市の子供のエコチャ レンジ、関目小 PTA 企画のサイエンス・クッ キングなどが報告された。また、クワガタ探検 隊長の西義史・美和ご夫妻、元小学校教師の小 竹愛子氏を講師に迎え学習会を実施した。小学 校理科教育の実情、青少年健全育成、博物館の 出前授業、ONSEN 活動の実態などを学んだ。 そして、堺大産業祭での理科教育、理科教育へ のボランティア活動、大阪市の理科大好き“な にわっ子”育成事業の説明会および関目小の親 子リクレーションへの援助等を実施しながら 部会の活動方針を練り上げた。2011 年 12 月関 目小で浮沈子実験を実施(約 300 名参加)した。 さらに大阪府の小学校の理科の教科書を購入、 内容把握に努めると同時に、実験授業として取 り込める単元を選定した。また、堺市での理科 教育の実態も調査した。 当面の課題と目標 様々な議論の中で、やりたいことなどがいろ いろ見えてきた。しかし、残念ながらTMC と しては大きな予算もないし、スタッフも十分で はない。そこで、当面は補助金などを確保する ためにも地道な活動を通じて地元の理科教育 に貢献し、実績を積むとともに、TMC 内での 教育部会、活動体制の充実を図ることとした。 そこで堺市教育委員会、堺科学教育振興会の後 援のもと堺市を中心とした企業の協力を得て、 堺の小学校で理科実験の出前授業を実施する こととし、「技術立国 牽引する子 育てよう」 というスローガンのもとに「創造性豊かな理科 好きの子供の育成事業」を立案した。 創造性豊かな理科好きの子供の育成事業 企画の主な内容 1.小学校上級生を対象に理科の教科書に沿っ た応用実験を体験してもらい、理科の楽しさ を体験し、理解を深め、創造性を豊かにする。 2.実験の内容は、理科の教科書に沿った応用 実験とし、教科書で勉強したことが実社会 (会社)でどのように役立ち、応用されてい るかが分かるような実験とする。 3.実験は各企業にお願いし、実験計画・実施 に当たっては企業、TMC 等で検討する。 4.堺市教育委員会、堺科学教育振興会の後援、 協力のもとに、TMC が実施企業の募集、実 施時期、内容等を調整する。 今後の方針 本事業の実施は 2013 年度の 2 学期からだが、 先ずはこの事業を成功させ、その実績をもとに、 補助金を獲得し、実施規模の拡大(地域、中学・ 高校へも)、さらに理科担当教師の指導を含め、 理科好きの青少年の育成を盛んにし、技術者の 裾野拡大に貢献していく積りである。夢を持っ て自ら学びに励むような若者を育てたいと切 に願っている。 (文責 久保建二)8
【紀行文】
渡船で巡る小さな旅 ― 大阪大正区まち歩き
技術相談員 森 伸治
大阪市の西の玄関口、大正区。 このまちの歴史文化を訪ねる渡 船巡りの小さな旅にご案内しま しょう。JR 環状線大正駅から 出発です。 ◆大正橋は音楽橋(JR 大正駅付近) Map① 初代大正橋は大正4 年(1915 年)に市電の開通と ともに架けられた美しいアーチ橋でした。その後、昭 和49 年に橋の架け替えが行われ、新大正橋として完 成しました。欄干を五線譜に見立てて、ベートーベン 作曲の交響曲第 9 番、「歓喜の歌」の譜面が、また歩 道にはメトロノームの堰堤(えんてい)、路面にはピア ノの鍵盤がデザインされ、「音楽橋」として区民に親し まれています。「大正区」の名は「大正橋」から名付け られたものです。 今から150 年程前の嘉永7年(=安政元年 1854 年)、 大坂を襲った大地震がありました。世にいう安政の大 地震です。木津川、安治川の河口では地震後に津波に より多くの犠牲者が出ました。この被災を教訓に津波 への心得を記した碑が大正橋の東側(浪速区側)に建 てられています。「願わくば心あらん人、年々文字読み 易きよう墨を入れたまうべし」とあり、大阪人の温か い心情を表わしています。 ◆近代紡績発祥の地(三軒家東公園) Map② 東京と大阪の実力財界人であった渋沢栄一と藤田善 三郎らによってつくられた大阪紡績会社がここ大正区 の三軒家で操業を始めたのは明治16 年(1883 年)で した。津和野藩士であった山辺丈夫らの努力の結果、 大阪の紡績業が日本一へ、そして近代工業を飛躍的に 発展させる原動力となり、「東洋のマンチェスター」と 呼ばれるようになりました。大阪では初めて工場照明 がランプから電灯へと切り替わり、昼夜二交代制を最 初に採用した近代工場でした。 大阪が「水の都から煙の都」へと様変わりし、大大 阪の誕生へと繋がったのでした。その後、三重紡績と 合併して、東洋紡績となりました。終戦の年の大空襲 で工場は焼失、今は公園の片隅にひっそりと記念碑が 建てられ、その名を留めています。 ◆いにしえからの渡し船が今も区民の足 大正区は、木津川と尻無川という二つの川に囲まれ た地形で江戸時代から渡し船が利用されてきました。 現在、大阪市内にある8 か所の渡船場のうちの 7 か所 が大正区にあります。木津川沿いに5 か所、尻無川沿 いに2 か所です。生活に欠かせない「動く橋」という ことで、人はもちろん自転車も無料で利用できます。 1日およそ6千人の人が通勤、通学に利用しています。 わずか数分の乗船時間ですが、多くの方が懐かしい「船 さんぽ」を楽しみに訪れています。 ◆浪花のスーパーヒ―ロー 木津勘助 Map③ 本名 中村勘助。豊臣秀吉に仕え、木津川の堤防や「新 田開発」に尽くした人です。寛永16 年(1639 年)に 近畿一円が冷害に見舞われ大飢饉となりました。幕府 に大坂城の備蓄米の放出を願い出たところ聞き入れら れず、ついに「お蔵破り」を決行しました。お蔵破り の罪で姫島(勘助島)へ流罪となり、75 歳で生涯を閉 じています。勘助は文楽、落語、映画等でも取り上げ られた、まさに浪花のスーパーヒ―ロー。中村勘助顕 彰碑が、三軒家東の「八坂神社」境内に建立されてい ます。 ◆「細雪」のモデル 谷崎松子の生家 Map④ 皆さん、谷崎松子という女性をご存じですね。松子 は谷崎潤一郎の3 人目で最後の妻、「細雪」の 4 人姉 妹の二女幸子のモデルになった実在の人です。大阪で は有名な藤永田造船所の永田一族の人です。この人の9 実家が、ここ大正区の落合上渡船場の近くにあります。
谷崎潤一郎・松子夫妻 ◆港が見える丘 「昭和山」(千島) Map⑤ ここ大正区の昭和山は、千島公園の中にある標高 33m の人工の山です。市内では 2 番目に高い山で、ち なみに一番は、鶴見緑地の鶴見新山で39m です。 大阪万博関連の地下鉄工事の残土など約170 万㎥(ダ ンプカー57 万台)の土砂を集めて造成されました。頂 上に足を運ぶと港大橋、なみはや大橋や六甲、金剛、 葛城、二上の山々が眺められ、区民の憩いの場所とな っています。大阪湾に沈む夕日は格別で絶景スポット です。まち歩きのご案内時には皆様に「登山証明書」 を発行して喜ばれています。 ◆ドイツ軍捕虜収容所跡(平尾亥いびらき開公園)Map⑥ 大正区にドイツ軍の捕虜収容所があったという話を 紹介します。第一次世界大戦中、日本は中国青島のド イツ軍を英国との連合軍で破り、ドイツ軍捕虜760 名 が現在の大正区にある収容所に入れられていました (大正以外にも日本全国12 か所に収容されていまし た)。ドイツ軍捕虜は朝夕2 回の点呼の他は特に強制 労働などはなく、読書、絵画、演劇、音楽などの娯楽 やサッカー、テニス、体操などのスポーツを楽しみ、 比較的自由な生活環境だったようです。 ドイツ軍捕虜収容所のオーケストラ ここでちょっと耳よりな話を紹介しましょう。神戸 のバームクーヘン製造で有名なカール・ユーハイム氏 や、後に徳島で日本初のベートーベン「第九」の指揮 を行ったヘルマン・ハンデン氏もここ大正区の捕虜収 容所にいました。昨年は、鳴門市のドイツ館を訪れ、 写真のハンデンさんにも会ってきました。 ◆日本最初のエアガール誕生(船町) Map⑦ 大正12 年(1923 年)に日本初の着物姿のエアガール が大正に誕生しました。水上機による運航を開始した 木津川飛行場です。大阪が水の都から煙の都へと変遷 した時代でもありました。立地条件の悪さと頻繁に墜 落事故が起きたことから、昭和9 年の伊丹飛行場の完 成を期にその役目を終えました。往時を偲ぶ格納庫が、 今なお工場の倉庫として利用されています。 ◆鶴町製シボレー日本を走る(鶴町) Map⑧ 米ビッグスリーの一つ、日本ゼネラルモータが鶴町に 産声をあげたのが関東大震災の後でした。昭和2 年か ら16 年までの間に、月産 2 千台、累計 15 万台ほどを 生産しました。名車シボレーを始めキャデラック、ポ ンティアックなどでした。戦争で工場が全焼してしま いましたが、ここ大正区はまさに日本の自動車産業の 生みの地でもありました。 以上、わがまち大正区についてごく一部をご紹介し ました。旅の疲れはJR 大正駅前のお店で沖縄料理と 心に響く三線の音を聞きながら癒して下さい。ご希望 がありましたらいつでもご案内させて頂きます。見ど ころ満載のまちを「船さんぽ」しながらご一緒に楽し みましょう。 元 石川島播磨重工業株式会社(機械設計、技術開発、品質・生 産管理) 「大正区歴史を語る会」会員
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【エッセイ】
私とテクノメイトコープとの関わり
技術相談員 権 順度
3 年前、2009 年の夏頃だったと思うが、ふとした きっかけから大阪府立大学時代に親しかった学友の 何人かと大阪駅の近くで再会する機会があった。そ れぞれに事情も異なるが、数十年ぶりの再会となる ので結構盛り上がった事は言うまでもない。その中 の一人が斎藤昇さんだった。彼とは学生時代に共に 旅行に行ったりした事もあって仲の良い友人であっ た。尽きる事のない思い出話に花が咲き、楽しい時 間を過ごす事ができた。現在、高槻駅の近くに住ん でいるとの事、淀川を挟んで私の住む寝屋川とは車 で 30 分位の所であると判って改めて驚いた。その時 に主にテクノメイトコープで活動しているとの話を 最初に聞いたと思う。 その後何度か旧交を温めたりしていた所、ある時、 吉田弘之さんが理事長になられたので、是非一度テ クノメイトの講演会に参加して見ませんかとの誘い を受けた。吉田さんとは私が工学部の応用化学科、 彼が化学工学科であったが、学部、大学院を通じて 気心の知れた学友であった。その懐かしい響きに心 が多少ざわめいた。というのも会社へ就職してから 30 年以上会っていなかったからである。吉田さんか らも是非会いましょうとの連絡をいただいたりした ので、2010 年 7 月の公開講演会に参加し、ようやく 再会した。学生時代に感じていたエネルギッシュで、 しかもパワー溢れる雰囲気はそのまま健在であった のが実に印象的だった。 結局の所、二人の学友との再会がテクノメイトに 関わるきっかけとなった。人の繋がりや縁は切れそ うで切れないものがあるものと改めて考えさせられ た。今後とも忘れずに心に留めておきたい。 さて、私の趣味や関心事について簡単に紹介した い。趣味は人並みにいくつかあるが、その代表的な ものは何と言っても音楽鑑賞。特にクラシック音楽 は学生時代から興味があった。当然の事ながら当時 は金に余裕はなく、聞く機会も時間も限られていた。 それでもコーヒー一杯でクラシック音楽を聴ける喫 茶店によく行った事を思い出す。働くようになって からは仕事に時間を取られたりしていたが、退職し てからは値段の安いCDを見つけては買う等して、 ようやくクラシック音楽をじっくり聴けるようにな った。少し大げさな言い方になるが、念願の一つで あったベートーベンの交響曲第 1 番から 9 番まで心 ゆくまで聴く事ができ、言葉ではうまく表現できな い満足感を味わった。今後ともささやかな楽しみに したい。 私の関心事についての話を続けたい。退職をした ら日本古代史の勉強をしてみたいという気持ちが強 かった。というのも弥生時代から奈良時代まで大陸 の窓口である朝鮮半島からいかにして人の渡来があ り、又技術や文化が伝わってきたかに大きな関心が あったからだ。特に奈良時代以前の歴史に関しては 今なお解明されていない事が多くあると言われてい るので、素人的興味は尽きることがない。とにかく 勉強の取っ掛かりとして「日本語の語源と韓国語と の関わり」にテーマを設定して本を読んだり、調べ たりしていた。 そんな話をたまたま斎藤さんと議論していた時に、 一度テクノメイトでその内容を講演してくれません かという依頼があった。専門家でもないので多少の ためらいもあったが、これも縁かなと考えて、昨 2011 年 4 月の第 102 回技術研修会での講演を引き受 ける事となった。 この講演をきっかけに部会活動の水研究会にも参 加するようになった。又、かねてより井村隆信さん から俳句「ありん会」への誘いもあったので、思い 切って参加する事とした。当初は一句作るのに時間 が掛かっていたが、作っているうち少しずつ慣れて、 最近では初心者なりに俳句を作るのが楽しみになっ ている自分に少し驚いている。テクノメイトに関わ るまで俳句とは全く縁のなかった私であったが、学 友との再会がここまで繋がるとは思いもよらなかっ た。これも人の関わりや縁のなせる技かなと考えて いる。 最後に私の好きな四字熟語の一つを以下に紹介し て締めくくりとしたい。 「温故知新」 元 沢井製薬株式会社(医薬品合成、品質管理等) 工学博士11
会員動静
(平成 24 年 6 月∼8 月) 【技術顧問】 南後 守 (名古屋工業大学名誉教授、8 月就任) 米谷 紀嗣(大阪市立大学准教授、8 月就任) 【個人会員】 福中 唯史 (住友化学、6 月入会) 堤 淳 (服飾デザイナー、6 月入会) 中谷 哲治 (野村マイクロサイエンス、6 月入会) 土谷 逸郎(元 丸紅、7 月入会) 荒川 欽二(元 大倉商事、7 月入会) 吉田 昭彦(元 松下電器産業、7 月入会) 山口 恵子(病院理事長、7 月入会) 南後 守 (名古屋工業大学名誉教授、7 月入会) 田辺 了資(元 ヘキストジャパン、8 月入会) 稼農 公也(ケイズ技研、8 月入会) 村田 吉和(元 住友電気工業、8 月入会) 【訃報】 中永誠之助(平成 24 年 6 月 2 日 逝去)☆トピックス
「ヘキサケミカル社、NHK“ルソンの壺”に」 TMC 法人会員の㈱ヘキサケミカルが NHK 総合 テレビの人気番組“ルソンの壺” に登場(9 月 9 日)、同社の今日ま での技術の歩みを福井眞彌会長が 熱く語られました。会員紹介
堀本 利夫 (個人会員) 堺市出身 (1947 年生) 元 野村建設工業㈱ 現 (有)パーソナル・ブレーン代表 趣味:琵琶湖サイクリング会 大阪市住吉区在住 (2003 年入会。環境技術部会、経営懇話会) 【ひとこと】 年を取る毎に危機が増してくるのが認知症で す。環境の変化に対応できずに周囲が見えなく なる認知症を防止する為に、毎月開催される技 術研修会に参加して色々な分野の経験豊かな講 師の方々の講演を聴くことで頭脳を刺激して何 事に対しても興味を抱き、頭を柔軟にすること が大切です。 世界の人口が増加する地球で食料の獲得は重 要な課題です。天候に左右されない農業として 植物工場が再注目されています。人工光合成や 再生医療も期待されている技術です。将来の技 術動向を知る為に各種の技術研修会に参加して いますが、講師の話を聞いていると何時しか記 憶が薄れ眠気を催すのは既に認知症になってし まったのかな?会員紹介
西口 一美(個人会員) 奈良市出身(1945 年生) 元 ㈱電通 広告主担当営業、 海外メディア折衝 趣味:スキューバダイビン グ(歴 30 年)、俳句(歴 18 年)、四季のドライヴ 旅行、地図を見ること (2004 年入会。講演会・研修 会世話役、機関誌編集担当) 【ひとこと】 大人になってから「学ぶ」ことが好きになり ました。元来「退屈」というものを感じません ので、制約が少なく、多くの時間がある現在の 生活には大いに満足しています。 「学び」の一つとして NHK ラジオ第 2 放送の 文化番組を愛聴しています。人生、自然、歴史、 芸術、文学、詩歌、古典講読その他の文化講座 が、毎日午後 8 時半からの 30 分番組を中心に「カ ルチャーラジオ」と称して放送されています。 聴取料はタダ。テープに録って後でゆっくり楽 しんでおります。番組を通して得た知識・教養が 趣味や日常のコミュニケーションに 生かされることも度々。ご関心のある 向きは「カルチャーラジオ」でネット 検索すれば詳しく判りますので、是非 どうぞ。会員紹介
田中 祐介 (個人会員) 岸和田市出身(1937 年生) 元(丸善石油)コスモ石油 趣味:土いじり、ハイキング、きのこ観察 (2003 年入会、水研究会、亜臨界水分科会) 【ひとこと】 キシレン抽出、異性化反応、深冷分離、650 段の精密蒸留、空気酸化、アルキルフェノール 製造等々と息つく暇もない石油化学の創生期に あった。これらの繊維原料の自主製造技術のプ ロセス開発、装置建設、運転技術確立、国外へ の技術供与活動も経験した。 その間に技術士(化学装置)を得て、ゲテ物技 術の開発にも当る。需要予測から電気自動車/自 転車の開発計画を策定し又アスファルト新用途 開発を試みた。アスファルトの活性化技術を確 立し、エマルション燃焼、汚水処理に利用、熱 水再生、汚泥の燃料化と回収粘土の利用化。11MW 燃料電池の開発/運転に参加。鮑養殖事業の開発。 藍藻色素利用の蒟蒻。いずれも創造的開発であ って面白く今も意気に感じている。会員の
ひろば
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俳 句 へ の 誘 い(38)
「秋の七草」は「春の七草」と違って昔から花が愛で られてきました。「萩」「尾花(すすきのこと)」「葛の 花」「撫子」「女郎花」「藤袴」「朝顔」が秋の七草で すが、朝顔だけは現在のものと違い、桔梗もしくは木槿 (むくげ)のことだったそうです。どれも万葉集以来、日 本人に親しまれてきた草花ですが、万葉時代の人は春の 「梅」「桜」よりも秋の「萩」が好きだったようで、万 葉集中一番多く歌われています。 この頃になりますと「雁」が渡ってきます。「雁」に は「かりがね」「雁渡る」「雁の棹」「雁の列(つら)」 「落雁(らくがん)」などの傍題が沢山あり、鳥では「雁」 が古来、日本人にいかに親しまれてきたか分かります。 また、雁の渡ってくる頃に吹く風は「雁渡し」と言わ れますが、もとは伊勢志摩や伊豆地方の方言だったそう です。なお「雁帰る」「雁の別れ」などは春の季語です。 平成 24 年 8 月度 心斎橋句会報(毎月第 3 木曜日)湧 水 に 手 を 浸 し み る 黄 菅 原 柏原昭治
盆 の も の 土 佐 堀 川 を 流 れ け り 大槻一郎
送 り 火 や 老 ゆ る 戦 争 未 亡 人 畑山淑子 西 瓜 食 ひ テ レ ビ の 前 の 甲 子 園 岩見 浩 胴 錆 び し 砂 利 取 船 や 油 照 り 金納義之 木 曽 駒 や 馬 頭 観 音 朝 霧 に 久下萬眞郎 ぎ す 跳 ん で 陵 道 の 道 標 黒田美代子 四 重 唱 終 は り は ぴ た り 蝉 時 雨 土谷堂哉 含 ま せ し 乳 房 の 思 ひ 子 は 新 盆 堤 淳 生 身 魂 の 耳 に 象 牙 の 聴 診 器 中野陽典 朝 顔 や 書 斎 に 紺 の 風 入 れ て 南後 勝 海 紅 豆 本 島 か ら は 日 に 二 便 西口梯梧 母 の 座 に 母 の 居 ま せ る お 盆 か な 畑 葉子 硝 子 戸 の 守 宮 七 回 鳴 き に け り 福田誠治 日 の 射 し て 琉 球 朝 顔 紺 透 か し 細見俊雄 秋 立 つ や 鏡 の 中 の 今 朝 の 顔 山口恵子 ご 院 主 の 説 教 な が し き り ぎ り す 井村隆信 心斎橋句会以外の句会にご参加の方々 無 差 別 の 無 念 さ に じ む 原 爆 忌 浅原和人 浜 風 や 波 音 涼 し 露 天 風 呂 石井孝定 病 室 の 夕 餉 に 来 た り 冷 奴 上原 赫 日 照 り 岩 逃 げ 飛 び 去 る 蜥 蜴 か な 梅井貴行 新 涼 や 弓 引 く 所 作 の 背 中 よ り 大西公一 賀 茂 風 や 料 理 楽 し き 川 床 涼 み 大森達也 鬼 灯 を 一 本 添 へ て 仏 花 か な 緒方 勝 雨 上 が り 夏 を し た が ふ か た つ む り 華山浩伸 瀧 の 寺 涼 し 顔 な る 佛 か な 岸本 昇 コ ガ ネ ム シ 夜 の 光 を 飛 び に け り 岸本美緒 舟 杭 の あ り か を 照 ら す 盆 の 月 北尾惠美 新 涼 や 頂 上 に 立 つ 山 男 隈部克郎 原 爆 忌 卒 寿 の 姉 と 語 り 合 ふ 倉本秀夫 初 萩 や 万 葉 の 道 飛 鳥 道 権 順度 風 薫 る 心 も 躍 る ス カ イ ツ リ ー 田中 孝 門 先 に つ る す 粽 や 鋒 祭 田中 実 駆 け 落 つ る 涼 み 水 あ り 伊 予 の 山 土井健造 夕 立 や 軒 下 借 り る 風 情 あ り 中谷哲治 打 ち 水 や 路 地 に こ つ ぽ り 下 駄 の 音 西原充幸 雨 晴 れ て 夏 蝶 空 へ 飛 び 立 ち ぬ 長谷川隆男 竹 筒 を 書 架 に 掛 た り 萩 の 花 福永英彦 星 屑 の ま た た く 光 夏 の 色 牧田至弘 夏 昼 や 火 の つ く や う に 赤 子 泣 く 村田博史 新 涼 や 窓 の 手 す り に 猫 が 居 り 横田臨界 新 涼 の 草 に 寝 そ べ る 読 書 か な 吉田亜水 ア ユ タ ヤ の 旅 の 思 ひ 出 走 馬 燈 若宮正行 心斎橋句会以外の句会 ありん会 メール句会(毎月初め締切り) D&H 毎月第 2 木曜日 いずれも初心者ばかりの会です。ご興味のある方は、 お気軽にテクノメイト事務局「井村」までメール下さい。 (井村隆信 報)クラブだより
テクノメイトコープでは会員および関係者の 親睦のため、下記の同好会を開催しています。 詳細は各クラブ幹事にお問合せください。 TMC囲碁同好会 実施日 参加者数 優勝者 第 131 回 24.06.20 11 浅原和人 第 132 回 24.07.18 14 金納義二 原則毎月第 3 水曜日開催 <幹事 橘 覚雄> TMCゴルフ同好会 実施日 参加者数 優勝者 第 44 回 24.08.30 34 砂田伊久雄 場所:ベニーカントリー倶楽部 G110/N74 次回は 12 月 6 日(木)です。 <幹事 倉本 秀夫> TMCテニス同好会 実施日 参加者数 会場 第 113 回 24.06.25 13 靱庭球場 第 114 回 24.07.30 10 〃 合宿 24.08.23-24 12 ココバ リゾート クラブ(津) 原則毎月第 3 月曜日開催(時に変動あり) <幹事 小林 正典> TMC俳句研究会(心斎橋句会+その他の句会) 実施月 延参加者 会場 第 108 回 24.06 58 TMC 第 109 回 24.07 54 〃 第 110 回 24.08 57 〃 <幹事 井村 隆信> TMC水墨画同好会 (心斎橋水墨画教室/指導:寺山南楊先生) 実施日 参加者数 会場 第 89 回 24.06.13 10 TMC 第 90 回 24.07.11 8 〃 原則毎月第 2 水曜日開催 <幹事 原田 和夫> TMCかな文字、絵てがみ同好会 (指導:片山弘子先生) 実施日 参加者数 会場 第 45 回 24.06.19 5 TMC 第 46 回 24.07.17 6 〃 原則毎月第 3 火曜日開催 <幹事 井村 隆信> TMC写真研究会 実施日 参加者数 会場 第 48 回 24.06.13 10 TMC 第 49 回 24.07.11 9 〃 第 50 回 24.08.08 9 〃 原則毎月第 2 水曜日開催 <幹事 浅井 陸之>事務局だより
地球温暖化ガス削減の議論がどこかへ行ってしまい ました。反原発・脱原発のお祭り騒ぎともいえる大合 唱とそれをもてはやすメディア、媚びる政治家。再生 自然エネルギーの安定供給が見通せない中、化石燃料 の使用増は地球上の全生物の生存を危うくする気候変 動を加速するでしょう。一時のメンタリティや風潮に 拠らない、バランスの取れたエネルギー政策論、環境 政策論が期待されます。 (編集子) 特 定 非 営 利 活 動 法 人 テクノメイトコープ (TMC) 〒542-0086 大阪市中央区西心斎橋 1-8-18 ヒカリビル 3F TEL :06-4963-9876 FAX :06-4963-9878 e-mail : [email protected] URL : http://www6.ocn.ne.jp/~tmc-osk 発 行 日: 平成 24 年 9 月 26 日 発 行 者: 西口 一美 編集委員: 北尾惠美子、小林 稔、中島 邦彦、 南後 勝、橋本 雄吉、村田 博史 校正委員: 砂田 伊久雄泉興業株式会社 一般産業廃棄物の収集・運搬・処理、処理施設の運転・維持・管理など 永大化工株式会社 プラスチック成形品、合成木材製造販売 株式会社 SDC田中 各種特殊ねじ部品(SDCボルトほか)の製造・販売 岡村経営事務所 経営コンサルティング 加藤工業株式会社 食品工業用・化学工業用機器の設計、製造、メンテナンス 共栄技研株式会社 化学・食品・廃棄物処理工場などの蒸留・蒸発・吸収・反応設備 株式会社 コアズ 警備セキュリティ、ビルメンテナンス 山水色素工業株式会社 有機顔料製造・販売 JXエンジニアリング株式会社 エネルギーと環境の総合エンジニアリングならびに土木建設工事 株式会社 島津製作所 計測機器製造・販売 有限会社 新城製作所 金属加工業/各種ファスナー(特殊ナット・ボルト)ほか 大和化成株式会社 プラスチック成型・加工 日進医療器株式会社 医療用各種機器・機材・資材などの開発・製造・販売 株式会社 ヘキサケミカル 機能性樹脂材料製造・販売、シリコン、防霧剤、防錆剤、帯電防止剤、制電剤他 山本ビニター株式会社 マイクロ波加熱装置・高周波解凍装置等の設計製作 リマテック株式会社 産業廃棄物処理、廃棄物再資源化、環境コンサルティング 株式会社 渡辺義一製作所 機械部品製造/ポリマーフイルター、合繊紡糸・フイルム製造部品 T M C 法 人 会 員 (50音順) 平成24年9月1日現在