最近の糖尿病治療の動向と
当院での取り組み
内分泌代謝科
大山知代
本日の内容
• 最新の糖尿病治療の動向
– SGLT2阻害剤
– 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標
• 当院での試み
– 療養指導、糖尿病教室(教育入院)
血糖降下薬の作用部位
3 α-グルコシダーゼ阻害薬 膵臓 腎臓 消化管 肝臓 筋肉 脂肪組織 GLP-1受容体作動薬 DPP-4阻害薬 SU薬/グリニド薬 チアゾリジン薬 インスリン メトホルミン血糖値
SGLT2阻害薬トホグリフロジン Et OH O HO O OH HO F OH Me HO O OH HO S カナグリフロジン O OH Me HO O OH HO O エンパグリフロジン OEt OH CI HO O OH HO ダパグリフロジン OH F HO O OH HO S イプラグリフロジン OEt OH Me HO S OH HO MeO ルセオグリフロジン
選択的SGLT2阻害剤
国内で承認済のSGLT2阻害剤 Liu JJ et al.:Diabetes 61(9):2199,2012より改変 New Current 24(15):2,2013より改変 4 承認取得薬剤名 開発元 販売企業 イプラグリフロジン アステラス製薬、寿製薬 アステラス製薬、寿製薬、MSD ルセオグリフロジン 大正製薬 大正富山医薬品、ノバルティス ファーマ トホグリフロジン 中外製薬 サノフィ、興和/興和創薬 ダパグリフロジン ブリストル・マイヤーズ スクイブ アストラゼネカ、小野薬品工業 カナグリフロジン 田辺三菱製薬 田辺三菱製薬、第一三共 エンパグリフロジン ベーリンガーインゲルハイム 日本ベーリンガーインゲルハイム、日本イーライリリー①健康人の場合
金井 好克:医学と薬学 71(5):867,2014より作成 5 腎 腎糸球体~尿細管 近位尿細管S1分画 腎動脈 腎静脈 尿 管 尿 細 管 血 管 糸球体 尿 細 管 血 管 SGLT2 (ナトリウム・グルコース共輸送体)②糖尿病患者の場合
6 腎 腎糸球体~尿細管 近位尿細管S1分画 血糖が高い 一部の糖は尿中へ 排泄される 糸球体から濾過さ れる糖が増加 SGLT2が過剰発現、機能亢進し、再吸 収を加速する 金井 好克:医学と薬学 71(5):867,2014より作成③SGLT2阻害剤を投与した場合
7 腎 腎糸球体~尿細管 近位尿細管S1分画 血糖は低下 糖の尿中排泄が増加 再吸収が阻害される SGLT2阻害剤 金井 好克:医学と薬学 71(5):867,2014より作成診療と新薬. 2013; 50: 609.
SGLT2阻害薬投与により期待される作用
SGLT2阻害 HDL-C 内臓脂肪 脂肪肝 インスリン抵抗性 血圧 尿酸 中性脂肪 糖毒性 尿糖排泄 体重 血糖 血糖 膵β細胞機能 SGLT2が介する Na+再吸収 尿細管糸球体 フィードバック機構 (RAS )? 糸球体内圧 腎保護 心血管イベント 細小血管障害EMPA-REG試験
EMPA-REG試験
診療と新薬. 2013; 50: 609.
SGLT2阻害薬投与により懸念される作用
11 多尿・頻尿 Mg2+ 電解質への影響 脱水症状 骨代謝への影響 尿路・性器感染症 内臓脂肪 脂肪肝 血糖 (心疾患イベント)? (未知の有害事象)? 低血糖 (主にSU薬、インスリンとの併用) PTH:副甲状腺ホルモン FFA:遊離脂肪酸 P PTH 尿量 尿中Ca2+排泄 尿糖排泄 FFA ケトン体 SGLT2阻害SGLT2阻害薬使用時における有害事象発現機序
(概念図)
12
Yabe D et al. Expert Opin Drug Saf. 2015 Jun;14(6):795-800より引用、改変
Glu:グルコース、AA:アミノ酸 Glu Glu AA Glu AA Glu Glu Glu グリセロール 脂肪分解 ケトン体生成 ケトン体 グリコーゲン分解 糖新生 遊離脂肪酸 Gluプール タンパク質分解 グリコーゲンの減尐 ケトーシス ケトアシドーシス サルコペニア 尿糖 SGLT2阻害 AA
SGLT2阻害薬の適正使用に関する
Recommendation
1. インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分 留 意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。患者にも低血糖 に関する教 育を十分行うこと。 2. 75歳以上の高齢者あるいは65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知 機能 低下、ADL低下など)のある場合には慎重に投与する。 3. 脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬の 併用の 場合には特に脱水に注意する。 4. 発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないよう な場 合(シックデイ)には必ず休薬する。 5. 全身倦怠・悪心嘔吐・体重減尐などを伴う場合には、血糖値が正常に近くても ケト アシドーシスの可能性があるので、血中ケトン体を確認すること。 6. 本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速や かに投 与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報 告を行うこと。 7. 尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。 問 診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコン サルテーショ ンすること。 「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」SU剤併用時の注意点
• グ
リメピリド2mg/日を超えて使用している患者
は2mg/日以下に減じる
• グ
リベンクラミド1.25mg/日を超えて使用して
いる患者は1.25mg/日以下に減じる
• グ
リクラジド40mg/日を超えて使用している患
者は40mg/日以下に減じる
本日の内容
• 最新の糖尿病治療の動向
– SGLT2阻害剤
– 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標
• 当院での試み
– 療養指導、糖尿病教室(教育入院)
糖尿病治療ガイド 2016−2017
注意事項:薬剤使用時には多剤併用を避け、 副作用の出現に十分注意する。
高齢者治療のポイント
1. 良好な血糖、HbA1cコントロール
2. 低血糖を起こさない
3. 肥満を助長しない
4. 食後血糖を上昇させない
5. β細胞の疲弊を抑える
6. 合併症の進展を抑える
低血糖による認知症リスク
Rachel Aet al JAMA 2009 :301(15) 15672
重症低血糖を発症した135人の解析
〜神戸市立医療センター中央市民病院〜
重症低血糖を発症した135人の解析
〜神戸市立医療センター中央市民病院〜
糖尿病治療ガイド 2016−2017
注意事項:薬剤使用時には多剤併用を避け、 副作用の出現に十分注意する。
DPP-4阻害剤
GLP-1受容体作動薬
投与方法 経口内服 皮下注射 機序 内因性活性型インクレチン (GIP+GLP-1)濃度の上昇 外因性活性型GLP-1様ペプ チド(DPP-4抵抗性)の上昇 体重変化 体重増加なし 体重減尐(欧米)、体重増 加なし 膵β細胞保護作用 あり(動物実験) あり(動物実験) 副作用 嘔気などの消化器症状ま れ シタグリプチン急性膵炎? 消化器症状(容量依存的 に増加) エキセナチド:急性膵炎?1日の服薬回数と服薬アドヒアランス
Paes AH et al :Daiabetes Care 1997:20(10) 1512-7
糖尿病治療ガイド 2016−2017
注意事項:薬剤使用時には多剤併用を避け、 副作用の出現に十分注意する。
本日の内容
• 最新の糖尿病治療の動向
– SGLT2阻害剤
– 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標
• 当院での試み
– 療養指導、糖尿病教室(教育入院)
糖尿病教育入院
• 糖尿病対策チーム(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、臨
床検査技師)が協力して、専門的で患者さんの個性に応じた
糖尿病教育指導。
• 「平日には仕事を休めない、何日も家を空けられない」との
要望に答えて、
入院前外来受診2回+教育入院二泊三日
(金土日)+退院後外来受診
の短期集中ブログラム。
• 毎月第4金曜日〜日曜日
1日目プログラム内容 担当者 入院時オリエンテーション 看護師 糖尿病とは 内分泌代謝科医 師 食事療法について(基礎編) 管理栄養士 運動療法について 理学療法士 自己管理方法(血圧測定)につい て 看護師 フットケアについて 皮膚科医師 個人面談 看護師 個別服薬指導 薬剤師 2日目プログラム内容 担当者 足・靴の観察方法について 看護師 糖尿病合併症について 内分泌代謝科医 師 食事療法について(応用編) 管理栄養士 糖尿病の薬物療法点低血糖に ついて 薬剤師 個人面談 看護師 「生活の振り返りと退院後の目 標」 3日目プログラム内容 担当者 運動療法 看護師 糖尿病に関連する検査について 臨床検査技師 災害の備え、療養生活について 看護師 座談会 看護師 個人面談 看護師 「生活の振り返りと退院後の目標」