キャンパスポータルによる
図書館サービスのパーソナライゼーション
小松 泰信
抄録:図書館がポータルサイトを構築するに際して,いかに利用者の二一ズをそこに反映させるかが 課題となる。京都精華大学では,各大学構成員にパーソナライズしたポータルサイトを構築するため に,履修情報を基盤とした全学的キャンパス情報の運用管理をはかりポータルにキャンパスコミュニ ティ環境を反映するようにした。それによって,各人の学習・研究内容に即した個別の情報提供が可 能となった。図書館がキャンパスコミュニティの情報化に関わることで,新たな情報資源を創出する ことにつながる。 キーワード1ポータル,情報検索,パーソナライゼーション,コミュニティ,eラーニング,キャン パス情報,京都精華大学情報館 1.はじめに 情報資源とポータル 情報提供サービスとして図書館ポータルに関 する取り組みが,我が国においても始まってい る。現在のところポータルに関する展望の多く が,自館及びネットワーク上に存在する電子一1青 報資源をどのように束ねて提供するか,という 情報資源に目を向けた視点からの報告となって いる。これは,図書館が情報資源の提供にその 専門領域を見いだしているためであろ㍉しか しクライアントが誰であるかを認証によって識 別しそれぞれが必要とする情報をより深く提供 しようとする,垂直的ポータル(Vertica1por− ta1)において求められるのは1〕,いかに各クラ イアントの嗜好をポータルに反映させるか,と いったいわば利用者指向の側面にかんする研究 である。クライアントの嗜好をポータルに反映 させるために,クライアントが自らの嗜好をそ こに登録することで,それぞれにパーソナライ ズされた情報環境を得るユーザ選択型チャネル がまず考えられる。しかし各ユーザに由来する ユーザ依存型のチャネルは,キャンパスの総合 的情報化を行う過程で形成できる。 図書館ポータルが反映すべき各利用者の嗜好 は,その利用者の属する環境であるコミュニ ティに依存するものであるといえる。従って図 書館ポータルは,コミュニティから独立して形 12 成されるものではなく,その図書館が属するコ ミュニティを反映したものでなければならな い。大学におけるキャンパスコミュニティを形 成する最大の要因のひとつは,年度ごとのカリ キュラムであろう。学部生を主な利用者として いる大学図書館は,大学の開講するカリキュラ ムのもとに形成されたキャンパスコミュニティ 環境の中にあるといえる。大学図書館が属する キャンパスコミュニティの環境をそのまま図書 館ポータルに反映させることによって,各人の 学習・研究内容に即した個別の情報提供が可能 となった。さらに本稿では,学術1青報提供サー ビスにとどまらない大学における総合情報サー ビスの窓口をめざす手法とそこに創出される新 たな情報資源について探る。 2.キャンバスネットワークの特徴1)情報館とキャンパスLAN
京都精華大学は,人文学部・芸術学部の2学 部を有し,学生数約3700名の総合文化大学である。学内LANは,1997年度に開通し総合
情報センターとしで情報館が発足した。キャンパスLAN基幹部は,当初ファーストイーサ
(100Mbps)で構成され教室・研究室・事務局な どの各棟をつないだ。その後200ユ年度に,学 外共同研究機構であるオーブンリサーチセン ターの開設に伴いキャンパスLANの開放性とマルチメディア化を計るべく基幹部のギガビッ
ト(1000Mbps)化と学内無線LAN環境の拡
充をおこなった2〕。情報館には,大学の改革と 社会とキャンパスをつなぐ戦略的拠点となる情 報関連部門が結集され,図書館・メディアセン ダー・ネットワーク管理・情報教育・生涯学習・ 出版・博物館・研究所などに関わる機能が統合 されている。情報館とは,それら各機能を統合 する施設の名称であると同時にそれを運営する 組織の総称でもある。その中で図書館部門は, もっとも目に見える形をなす情報館施設であ る。図書約20万冊を有する閲覧及び書庫ス ペースに加えてネットワーク資源利用について も最大の自学自習空間を形成している。キャン パスLAN上には,授業のために全学が利用できる約200台のPC教室がある。その一方で
ノートPCによる無線LANの受信エリアは
キャンパス全体に広がり,全学的無線LANの 整備が,「壁なし図書館」としての情報館の特 徴となっている。2)学内無線LANの概要
無線LANノートPCは,1998年度に15台
を館内貸出する形で始まった。当時の受信エリ アには,館内閲覧室のすべてが含まれる。利用 者は,カウンターから無線ノートPCを借り出 して,卓上に必要な資料と学内LANに無線接 続した端末を同時に利用することができる。そ の後利用者の二一ズに併せて台数を増設すると ともに館外貸出も開始し,受信可能エリアも館 内からキャンパス全体へ広がっていった。2002年度学内無線LAN貸出用ノートPCは,200
台となっている。現状の無線LANの通信規格 は,スペクトラム拡散方式(2.4GHz帯)で,IEEE802.11bで容量11Mbpsである。各教
室にもうけられた無線受信ブリッジの数は,教 室の収容人員にあわせて配置されている。また 学内には,実習室等のネットワーク利用になじ まない部屋も多数存在するが,こうした部屋に も情報コンセントは用意されている。受信ブ リッジの常設には疑問が残るこうしたエリアの ために,携帯用ブリッジの貸出をおこなってい る。こうした部屋でも携帯用ブリッジを情報コ ンセントに接続することで,必要に応じて無線 LAN教室とすることができるのである。屋外 のキャンパス全体を受信エリアにするためにい くつかの棟には屋外ブリッジを設置している。 学内を移動しながらもローミング接続により, ネットワーク接続が維持されるようになってい る。従来のネットワーク構成は,棟ごとにサブ ネットを形成しているが,学内無線LANセグ メントは,全体として無線LAN用のサブネッ トに集約されている。情報館には,閲覧室にデスクトップPCが
40台用意されているがこれらPCを大別する と,所蔵検索とインターネット等が利用できる 検索端末群と,一部デジタルビデオのノンリニ ア編集もおこなえるメディア端末群がある。そ のような中で無線ノートPCにはバーコードが 貼られ,図書貸出システムの貸出機能を使い各 利用者に貸し出される。図書・雑誌等の資料を 借りるのと同じように無線ノートPCも借りる ことができる。現在特に貸出制限を設けておら ず当日の内に返却すればいいため,利用者に は,デスクトップPCよりパーソナルな所有感 を与えるようである。利用者は,ネット検索や メールなどのコミュニケーションツールを利用 しながら各種ドキュメントの制作等に無線ノー トPCを利用している。これらインフラ環境の デザインは,後述するようにキャンパスポータ ルと関連しており情報環境作りにおいてトータ ルにデザインしておく必要がある。 3.図書館ポータルが想定する利用者像 1)平均化された匿名的存在 従来の図書館が想定していた利用者とは,利 用対象者となる集団の中で平均化された最大公 約数としての存在であった。図書館情報システ ムには,個別の利用者に特化した使いやすさと いうものは全体として求められずシステムは平 準化されている。すなわち,図書館情報システ ムにおいては,誰にとっても統一された規則性 を持って組織化された資料や情報が存在してい る。そこで利用者は,自らの二一ズをそのシス テムにあわせ定式化することによって初めて利 用が可能になっている。図書館では,平均化さ れ希薄化したアクセスの確保がなされているに すぎない。 ネットワーク情報資源の増加に伴い現在の図キャンパスポータルによる図書館サービスのパーソナライゼーション 書館は,紙から電子媒体にわたる多様な情報資 源が併存するとともにその爆発的増大の中にあ るといえるだろう。利用者にとってこの環境 は,従来のように典拠が確かな比較的安定した 媒体で情報が存在するのではなく,どこにどの ような形態で情報が存在するかが不確かなため 情報過多(Information Overload)状況であ るといえるだろう。ここでいう情報過多とは, 均質ではない情報が大量に存在するために利用 者のアクセスが困難な状態を指す。図書館に求 められる情報アクセスの確保は,従来型の平準 化された情報システムの維持では困難になって きている3〕。 2)多様な学習者の存在 また情報館では,大学を社会に開かれたもの にするための戦略的拠点として図書館を位置づ け,大学開放を進めてきた。館内閲覧等の利用 に関しては,カウンターで氏名を記入するだけ で自由に入館が可能である。また,一般市民が 3年間工OOO円の登録料で学部生とほぼ同等の 貸出利用ができる。登録に際しては地域・年齢 等による制限は存在しない。2002年度の学外 市民の利用者は三千余名にのぼり,本学の学生 数に匹敵する一般市民の登録利用者がいること になる。そのため,大学図書館としてだけでは なく公共図書館のサービスモデルも必要になっ ている。一般市民が大学図書館に足を運ぶ理由 として,調査研究のできる資料や設備により生 涯学習の場として利用されることが考えられ る。本学の位置する京都市北部には,自由にイ ンターネットの利用できる学習空間は少なく市 民にも貸し出される無線ノートPCは魅力的な ものとなっているようである。さらに豊富な AV資料や電子ジャーナル等に加え,マンガ学 科の資料であるマンガなど,資料提供における 多様性も確保されているといえる。 このような環境の中で一般市民の利用者から 我々が学んだことは,学習の場が提供されるこ とで多様な個別の学習プロセスがそこにあらわ れ,世代も役割もことなる人々の行き交うとこ ろには,それぞれに広義の生涯学習プロセスが 存在することである。ひるがえって,本学学生 をみた場合にもそれぞれが,個々の学習過程の 中にあることが見えるようになる。リメディア 14 ル教育に象徴されるように,大学入学以前の課 題を抱えながら入学してきた一回生や修学が進 む中で自らの目指すものを見失う学生は,単な る「大学生」という乾田壽にくぐり平準化をして 対応するにはあまりに多様である4〕。 3)キャンパスポータルMySeikaの形成 情報館の提供するポータルはMySeikaと呼 ばれ,その目的は学生が授業や学生生活を進め る上で必要になる情報を提供するキャンパス ポータルであると共に,コミュニティの入り口 としてキャンパスライフにより密着した学術情 報提供を目指すことにある。所属する学部・学 科・学年において,それぞれが履修するカリ キュラムによって,その他の所属クラブや資格 取得や就職志望等のキャンパス環境によって各 学生の求めるものは各人各様である。MySei− kaは,キャンパスに存在する多様な学生の 二一ズにより深く細やかに関わろうとするもの である。また,場としての情報館は従来から所 属を問わず学生の居場所として機能してきた が,電子情報ネットワークにも学生にとっての 共通の“居場所”を提供しようとするのが情報 館ポータルのねらいである。 4.ポータル構築のためのデータ運用 ユ)キャンパス情報システムの総合的運用 従来大学図書館における情報提供サービスと 履修等の教学情報は,別個のシステムとして運
用されてきた。キャンパスLAN開通当初か
ら,学内には,学術情報以外にも各種の情報が 存在していた。その多くがセキュリティ上の配 慮から閉ざされたサブネット内に構築されてい た。それぞれのシステムは,所轄部局の管轄下 にあって必要に応じてデータ交換がおこなわれ ていたにすぎなかった。しかし昨年度よりこう したデータを総合的に運用することでより高密 度なサービス提供につながらないか,という視 点のもとに各部局の関係者がワーキンググルー プを形成し討議を重ねてきた。その結果,新し いセキュリティポリシーのもとに,キャンパス 情報の運用をはかることで,従来縦割りに陥り やすレ・運営を,相互協力的なものにすると共 に,部局を越えた総合的情報サービスを創出す ることが目指された。2002年度からの相互に大学団害館研究LXVI(2002.12) 【5】
砥
∼ 【2】 【3】 【4】 【1】 図1 総合情報システムデータ関連図 関連しながら構築されているキャンパス情報シ ステムとして以下のものが上げられる。 (1〕大学構成員へ0)キャンパス情報携帯発信 (2)Webによるシラバス・履修・採点等の登録 (3)図書館システムのマルチメディア電子図書 館へのシフト (4)ポータルサイト(MySeika)の開設 (5)コース管理システム(WebCT)による授 業コンテンツの開発 2)履修情報の戦略的展開 本年度よりおこなわれるようになったWeb による履修及び採点エントリー業務は,従来 OCRをもとに事務局で構築してきたデータを ネットワーク上で学内構成員が直接入力をおこ なうものである。そのことによって飛躍的に入 力速度と精度が向上した。学生は,一定の期間 に学内LANに接続された端末からブラウザ上 の操作によって履修登録をおこなうことができ る。教員もまた,採点登録を個人研究室の端末 からネットワーク上でおこなうことができる。 システム移行期にあたり従来どおりのOCRに よる登録も並行して維持しているが,新入生の 履修登録はすべてネットワーク上でおこなうこ とを必須としている。その結果,ネットワーク 登録者の登録漏れ等のエラーは,従来の紙へ一 スの方法に比較してきわめて少なくなり履修登 録者データの生産性は向上した。このように ネットワーク上で早期に形成される登録データ の存在がポータルにとっては不可欠であるた め,ポータル構築と平行してデータエントリー システムのWeb化に取り組む必要がある。 ネットワーク登録による履修1青報は,年間に 前期及び後期の2回登録がおこなわれる。各学 生の履修登録は,科目ごとの科目履修者ファイ ルとして構成される。科目履修者ファイルは, 科目担当教員,科目名,履修者ID等の要素か らなるグループファイルを形成する。このファ イルが,キャンパスポータルの基本構成要素と なる。キャンパスポータルによる図書館サービスのパーソナライゼーション
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図2 MySeikaログイン画面 3)キャンパスグループの生成と登録 履修登録をもとに生成された集合として, 2002年度後期に登録された履修関連グループ は3400件あまりとなっている。MySeikaには それ以外に,学外共同研究者グループおよび大 学教職員・所属学科・学年等がすでに属性とし て生成されている。履修データのエントリー は,前期・後期の履修登録時にバッチファイル を生成し行われる。開講開始と履修登録確定ま でにはタイムラグがあるので履修修正分を差分 により調整する。それに学生サークル・就職関 係等のグループを追加していく。現在のところ ユーザが自らの嗜好を選択することで関連グ ループに自動的に登録するチャネルは有してい ないが,キャンパスメンバー間の相互作用の進 展をみながら開いていきたい。 4)ネットワーク資源の統合認証 近年キャンパスLAN上には,多様な情報資 源が併存しそれらにおける個人の認証が分散し かねない状況があった。認証を必要とする 16 Webmail・FTP・telnetなどのサービスに加え て,Web上でのシラバス・履修登録・成績登録 や電子ジャーナル・各種データベース・WBT(Web Based Traini㎎)教材などで,さらに 本年度よりコース管理システム(Course Man・ agement System)としてWebCT等も導入さ れている引。これらは,それらの認証を統合す ることで無駄な管理コストの削減とユーザの便 益の向上を図ることが求められてきた。本学で
は,UNIX上のNISとWindows上のActive
Directoryを統合することで,Solaris及び
Windows2000といったサーバ相互に連携を結 び統合認証を形成している。基調になるログイ ン・パスワードは,メールシステムである。学 内構成員は,すべてメールIDを取得可能であ りこのIDをもとにすべての情報システムの認 証が行われている。 5.ポータルサイトの機能 このように,学内関係部局が相互協力をする大学図書館研究LXVI(2002,I2) 1111.11鱗灘鱗1自用}1〃岬帖■.舳榊冊畑印.」・ん帥“S畑1 ロロS!■o1目nO口 ㍑目メール 乗気子16一. 草㈱蛛宇岬 ■oo院
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図3 キャンパス関連情報 ことでキャンパスにおける情報提供の深化が目 論まれることになった。この視点から確立され たMySeikaの機能はユーザを特定した学術情 報の提供に止まらず以下の機能を有するキャン パスポータルの役割をも果たすものといえる。 I)ログイン ポータルヘは,各ユーザを識別する認証をへ て入ることでそれぞれの動的情報環境ができ る。MySeikaは,学内統合認証であるメール IDによる認証を行っている。MySeikaの基本 機能に地域への公開のための機能としてゲスト ログインを作成することが可能であるが現在の ところは学外共同研究者グループにのみ開かれ ている。 2)キャンパスリング まず,全ユーザ共通でキャンパスライフに必 要と思われる地域の天気予報,図書館情報シス テムの検索等へのリンクがある。学内ホーム ページ内の検索機能はMySeika内のドキュメ ント検索と併存する形で統合されている。 3)メールシステムの統合各個人のWebmai1がMySeika内に統合さ
れている。各ユーザは,自分の認証によりMySeikaにログインすることでWebmai1シ
ステムを重複した認証なく利用することができ る。 4)スケジュール機能 全ユーザ共通で大学行事等のスケジュールと その詳細をみることができる。加えて,学生に おいてはそれぞれの履修する科目,教員におい ては開講する科目が表示される。ログイン時の 画面にはその日のスケジュールが表示されるよ うになっている。この機能は,たとえば多くの 大学で配布される学生手帳をイメージすればい いだろう。学生手帳のレイアウトには,その日 のメモや週単位の時間割を書き込むところがあ るが,MySeikaの中には電子版の学生手帳が あり,その日の時間割や学期スケジュールが自 動的に表示されるイメージである。 教員には,各授業単位にこの機能を利用したキャンパスポータルによる図書館サービスのパーソナライゼーション
夢伽外処昆州二望鯛鰯曲
学林トー三1樵燃武1「丁嚢鰯
受信箱(術)翻
合目のScトeduI信 茅糞巧圃 .巨募....... 1歯あ一一1ヰ・艶一 14仙一一一1西10 擬 16=醐二・…1?榔 胴〕靖闇喜11 ξ鋤吟親書11 流〕時謝割 里独旭畑 工測システムーアルバイト ㎜一価ハ1 工”ユ 里㎜’一藺’囮 二”] 図4 メール受信箱 掲示及び大学メール及び各携帯メールヘの発信 機能が付加されている。休講等の情報は,事務 局より自動的に送られてくるデータにより掲示 されるが,それに付加する形で教員がそれぞれ のコーススケジュールで必要になる情報を発信 することができる。将来的には,情報館からの 各コーススケジュールにあわせた連携による情 報提供サービスが可能なように設計されてい る。また,コースウェアヘもここからシングル サイシオンによりログインする予定である。 5)インワォーメーション・ドキュメント提供 機能 上記スケジュール生成に使われた履修情報他 のグループ内では,共通の情報や電子ドキュメ ント提供・配布の機能が用意されている。授業 内で必要と考えられるURLのリンクや,各添 付資料を付加することができる。これにより, 授業内での提供資料や参照情報の共有が可能に なっている。共有される情報は,ドキュメント がテキスト情報である限りは,添付ファイル内 18 まで検索対象とすることができる。 6)授業内掲示板・チャット機能 本学では,大学を離れて学習を進めるフィー ルドワーク等の科目を有している。これらの学 外履修者が,担当教員および大学からのサポー トが得られるように,担当教員からの申請のも とにMySeika内に掲示板及びチャット機能が 用意されている。 これら,(4)(5〕(6)のコミュニケーション機能 は,従来の情報提供中心の図書館ポータルに は,見落とされがちな機能である。MySeika は,電子情報提供の場においても情報提供に統 合されたコミュニケーション機能を重視してい るのが一つの特徴となっている。閲覧室に集う という,コミュニケーションの場としての図書 館機能は,ポータルサイトにおいても重要であ ると考えられる。大学図書館研究LXVI(2002.12)
ロロS舳b・D口11章1 抑レ外似且’事ザ鰯繊鰯
1義.肋き}め ■困・・ 上ヰ壬吋n
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宝説空隼O月12目 鰯華豊灘壁麟鑓班1 0書〔山一一一冊。o欝嚢=1、懸舳.・洲一
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1}」つ0−1官=O0 1ε一00・一一・1島100 1一目.α〕’20む(1 20畑一一一21渕 図5 スケジュール 6.ポータルをめぐる情報館サービスデザイン の再構築 キャンパスポータルとしてのMySeikaの構 築によって,それに附帯した情報館サービスデ ザインの再考が求められる。以下に示すのは, 当面必要となると思われる新たな体制である。 1)学部・学科二一ズを反映するための機構 各学部・学科教員との緊密な連携を計りなが ら学期内に進行する各コースが折々のコースス ケジュールで必要となる情報を提供することが 可能となる。現在のところ各コース全体に対し て提供される情報提供機能は,コーススケ ジュール内の各週のコマをもターゲットにして リアルタイムの課題支援も可能であろう。これ らは従来の縦割り的業務分担においては教務的 業務とみることもできるが,情報館では,今年 度より学術担当嘱託職を配置し今後の展開にあ わせて,学部学科の要望を把握するとともにシ ステムとして反映する仕組みが検討されてい る。 2)セキュリティポリシー ポータルが,各人の嗜好を反映したものとし て安心して利用されるためには,そのセキュリ ティも求められる。総合情報サービスの展開に は,従来考案されてきたピラミッド型のポリ シーでは対応できない諸問題が存在する。大学 構成員の合意のもとに大学の戦略的ナレッジ・ マネージメントをめざすための新しいセキュリ ティポリシーの形成も必要となってくる。 3)情報資源管理とコミュニティ 電子ジャーナルやコースウェア等はMySei− kaとの連携が次年度以降の計画に入ってくる。 それに加えて,メタデータを利用した多様な情 報資源の提供も予想されるところであが。そ こでもとめられるのは,情報資源の一方向的な 提供対利用の関係ではなく,ポータルを利用し た情報提供に基づく双方向的なコミュニケー ション機能である。電子ジャーナルが各論文にキャンパスポータルによる図書館サービスのパーソナライゼーション
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図6 関連情報及びドキュメント提供 関するコメントや引用頻度を付加していくこと によって,単に「電子化された雑誌」という枠 組みを越えて「電子ジャーナルコミュニティ」 とも呼べる新しい’情報媒体に発展していったよ うに,キャンパスコミュニティにおける相互作 用をはかる機能が重要になると考えられる。そ のようなシステムをもつ図書館は,従来の印刷 及び電子媒体に加えてコミュニティという新た な資料をそこに有するに等しい。大学構成員 が,その教育・研究成果をWeb等で静的に掲 示するのとは異なった動的プロセスがそこには 存在する。 4)個別学習プロセスヘの近未来的展望 本学では,コースウェア作成ツールによるe ラーニング用コンテンツの構築を別途進めてい るが,ポータルとコース管理システムとの連携 についてはすでにわが国においても研究があ り,WebCTもポータルとのシングルサイシオ ンによる認証が図られている7〕8〕。現在生成さ れている履修情報は,カリキュラム内で一定の 時間枠を確保し履修者が主に集合授業による履 修を前提としたグループ1青報となっている。し かしここに学習管理システム(Learning Man− agement System)による履修者の学習履歴情 報が蓄積されることになると,現在のような学 期スケジュール内の一定の時間枠にはめ込ま れ,教室等の施設を確保した集合履修は必然性 を失う可能性がある。各学習者が自由な時間に 学習を進めることができ,その学習履歴が継続 して蓄積されるからである。そこでは,個別の 学習者が二一ズに合わせた履修と各々の進捗に あわせたカリキュラム形態を選択することも考 えられる。主に受講者は,図書館等の自学自習 環境において無線LAN等の柔軟なネットワー ク接続形態を利用して学習を進め,学習成果に あわせて単位を与えるシステムも考えられよ う。しかし,個別の自学自習を進めるとき学習 者は孤独な存在になることも容易に想像される。ポータルサイトにおいて,同じ境遇にある 学習者がお互い支え合う環境を確保するための コミュニケーション機能が重要になると考えら れる。そのようなネットワーク環境において は,キャンパスにおいて教室が果たしてきた役 割は相対的に下がり,自習空間としての図書館 等の役割が上がることも予想される。 7.おわりに ネットワーク上での情報資源共有が,図書館 サービスの様々な局面に影響を与えてきた。そ の一方で今後大学図書館が情報サービスを展開 するためには,キャンパスコミュニティに密着 していくことが必要であろう。コミュニティ環 境を把握することが,そこに属する構成員の 二一ズを解き明かす重要な鍵の一つでありポー タルサイトの構築には欠くべからざる要素であ るからだ。またインターネット上の存在として の各大学に目を転じた場合にも,ローカルコ ミュニティの二一ズを常時把握している図書館 の存在は,そのこと自体がグローバルコミュニ ティにおいても戦略的優位性を確立することに なる。そこで求められるものは,従来の利用者 像の見直しでもある。平均化し希薄化した利用 者像から,多様な個性を有する利用者像への移 行であり,そのような対象者に働きかけること のできるサービス像の構築が必要になる。しか しそれは,「必要な資料を,必要としている人 に」という素朴な図書館サービスの想起でもあ る。 注・引用文献
!)Jacs6,Pξter Portals,Vortals,and Mere
Mortals.21(2),Feb2001,Computers in Libraries,pp.46−48. 2)産学共同研究など学外共同研究の場である オープンリサーチセンターは,京都精華大学表 現研究機構と称され,文字文明研究所,マンガ 文化研究所,映像メディア研究所で構成されて いる。 3)情報過多については多様な文脈で述べられる がWeb環境が従来から有する問題については 以前から指摘されてきたところである。l
Carles, B.(1991)Details on demand:
hypertext models for coping with informa−
tion overload,Interfaces for information
retrieval and online systems.p.170一ユ73.
4)学習プロセスでの情報過多の問題については
以下の指摘がある。:Kuhlthau,C.C.(1993).
Seeking Meaning:A Process Approach to
Library and Information Services.Norwood,
N.J.l Ablex.,p.186−188. 5)WebCTは,1995年にブリティッシュ・コロン ビア大学で開発され,その後北米の大学で最も 普及したコースウェア作成ツールの一つであ る。 6)鹿島みつき,ほか“図書館パスフアイダーに見 る次世代図書館の可能性”『情報の科学と技 林テ』 52 (10),2002,pp,526−537. 7)梶田将司“uPortalによる大学ポータルの構 築”『平成14年度情報処理教育研究集会講演 論文集』2002,pp.577−580. 8)WebCTくhttp:〃www.webct.com/〉 参考文献
1)Cohen,Suzanne Personalized EIectronic Ser− vices in the Cornell University Library D−Lib
Magazine6(4),Apri12000,<http:〃www.
d1ib.org/dlib/april OO/mistlebauer/04mist− lebauer,html>
2)Barry,Jeff De1ivering the Persona1ized
Library.Library Journa1125 (6),2000,pp. 49−59. 3)Pace,AndrewShouldMyLibrary BeinYour Library?Computers in Libraries,2ユ(2), 200工,pp.49−5ユ. 4)永田治樹“サービス戦略としての図書館ポー タル”『情報の科学と技術』51(9),2001,pp. 448−454. <2002.10.28受理 こまつ・やすのぶ京都精華大 学情報館システム情報課課長>