(1)越後白雪茸がもつ抗肥満効果
越後白雪茸研究会
2016.08.09 13:00~
NSGカレッジリーグ学生総合プラザSTEP
2016年4月 特許申請
新潟薬科大学 応用生命科学部 食品分析学研究室
佐藤 眞治
(2)メタボリック症候群の診断基準
内臓脂肪蓄積
ウエスト周囲径
男性 85cm以上 女性 90cm以上
この条件に下記の3症状のうち2つ以上
該当した場合、メタボリック症候群と診断
される。
血圧高値
最高(収縮期)血圧 130mmHg以上
最低(拡張期)血圧
85mmHg以上
高血糖
空腹時血糖値 110mg/dL以上
脂質異常
中性脂肪値
150mg/dL以上
HDLコレステロール値 40mg/dL 未満
現在、40~74歳の男性
2人に1人、女性6人に1
人がメタボリックシンド
ロームの疑いまたは予
備群であると報告され
ている。
平成25年 厚生労働省
「国民健康・
栄養調査報告」
(3)メタボリック症候群 と 心血管系疾患
メタボリック症候群を構成するのは
心血管系疾患のリスク増加因子
(4)機能性食品としてのキノコ
メタボリックシンドロームが身近な存在となっている中で、「機能性食品」が注目されている。
<機能性食品として知られているキノコの一例>
『シイタケ』
シイタケには「エリタデニン」と呼ばれ
る機能性成分が含まれており、
「エリタデニン」は
コレステロール
低下作用を
有している。
『カワリハラタケ』
カワリハラタケはγ-アミノ酪酸を
豊富に含有するキノコであり、
このγ-アミノ酪酸は高血圧症を
改善する有効成分として
知られている。
キノコの摂取により、メタボリックシンドロームに対して予防・改善効果が期待できる。
エリタデニン γ-アミノ酪酸
(5)越後白雪茸
越後白雪茸(
Basidiomycetes-X
)
新潟県の魚沼で発見された新種の食用キノコであり、
一般的なキノコの形を作らないという特徴を持っている。
<越後白雪茸の機能性>
・高いヒドロキシラジカル消去活性を示し、
抗酸化作用を有する
・アトピー性皮膚炎患者の
皮膚状態改善作用を有する
・免疫賦活作用を有する
本研究室では以前、越後白雪茸を用いた長期摂餌試験を行っており、
肝機能改善効果
脂質代謝改善効果
血糖値上昇抑制効果
が報告されている。
(6)越後白雪茸の一般成分分析
(/100g)
越後白雪茸乾燥粉末
エネルギー (kcal)
179
水分 (g)
8.2
タンパク質 (g)
16.0
脂質 (g)
1.9
糖質 (g)
36.7
食物繊維 (g)
32.7
灰分 (g)
4.5
ナトリウム (mg)
10.1
β-グルカン(g)
13.5
越後白雪茸乾燥粉末
他のきのこと同様に糖質・タンパク質・食物繊維
が比較的豊富でβ-グルカンを含んでいる
(7)目的
【きのこに含まれる機能性成分】
作用 活性成分
抗腫瘍作用
β-グルカン α-グルカン ヘテロ多糖 RNA レクチン
抗癌作用 テルペノイド ヘリセノン エリナビロン類
抗ウイルス作用
β-グルカン タンパク質
抗血栓作用 レンチナン 核酸
コレステロール低下作用 エリタデニン グリホリン ネオグリホリン
食物繊維効果
β-グルカン ヘミセルロース キチン質
骨粗鬆症予防効果
エルゴステロール(ビタミンD)
きのこには様々な機能性成分が含まれており、その作用も多岐にわたる
越後白雪茸を混餌した高脂肪高ショ糖飼料を摂取させたラットを用
いて、メタボリック症候群発症予防効果について検討を行った。
(8)実験方法
実験区分
Cont.群:AIN-93M飼料摂餌群
HFHS群:高脂肪高ショ糖飼料摂餌群
白雪茸群:高脂肪高ショ糖食
+5%越後白雪茸乾燥粉末飼料摂餌群
*カロリーはHFHS群と統一
実験スケジュール
導入(4週齢)
↓
馴化
2週間
・摂餌量計測(毎日)
・体重測定(週1回)
本試験 (100日間)
GTT ITT試験
0.833g/kg glucose又は
0.5IU/kg Insulinを静脈内投与
0~4時間 経時採血
リカバリー
解剖
・内臓脂肪量測定
・臓器重量測定
・サンプリング(肝臓)
血液検査
・生化学検査
・BG・TG・NEFA測定
・Insulin測定
頸静脈カニューレ留置
↓
(9)摂餌量の推移と累積摂餌量
【1日あたりの平均摂餌量の推移】
0
5
10
15
20
25
6 8 10 12 14 16 18 20
food
c
on
su
mpti
on
(
g
/d
ay/
ra
t)
age (week)
Cont.
HFHS
白雪茸
2016.3
1521.3
1372.0
0
500
1000
1500
2000
2500
Cont. HFHS 白雪茸
food
consum
p
ti
on
(g)
【累積摂餌量】
(10)体重の推移
0
100
200
300
400
500
600
5 10 15 20
w
e
ig
h
t
(g
)
age (week)
Cont.
HFHS
白雪茸
【体重の推移】
440
460
480
500
520
540
Cont. HFHS 白雪茸
w
eigh
t
(g)
n=9-10, means±SD
n=9-10, means±SE
【100日飼育後の体重】
**
(11)0
5
10
15
20
Cont. HFHS 白雪茸
w
eig
h
t
(g)
内臓脂肪量の比較
0
5
10
15
20
Cont. HFHS 白雪茸
w
eig
h
t
(g)
0
5
10
15
20
25
30
Cont. HFHS 白雪茸
w
eig
h
t
(g)
0
10
20
30
40
50
60
Cont. HFHS 白雪茸
w
ei
gh
t
(g
)
【腸間膜脂肪】
【精巣上体周囲脂肪】
【腎周囲脂肪】
n=6-9, means±SD
** P<0.01, * P<0.05 Tukey-Kramer test
*
**
【内臓脂肪】
* **
** ** ** **
(12)内蔵脂肪の蓄積が様々な疾患を誘発する
暴飲暴食
運動不足
不摂生etc…
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満
+
高血糖
高血圧
脂質代謝異常
そのまま放置すると
虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)
脳卒中(脳梗塞・脳出血)
糖尿病及び糖尿病性合併症
(失明・腎不全)
白雪茸摂取により体重・内臓脂肪重量が有意
に減少した
→抗肥満効果,抗内臓脂肪蓄積効果
(13)肝機能系 【肝臓重量・肝臓脂質】
n=6-9, means±SD
** P<0.01, * P<0.05 Tukey-Kramer test
0
5
10
15
20
Cont. HFHS 白雪茸
w
eig
h
t
(g)
0
50
100
150
200
250
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/g
ti
ssue
【肝臓重量】 【肝臓総脂質量】
0
20
40
60
80
100
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/g
ti
ssue
【肝臓中性脂肪】
0
2
4
6
8
10
12
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/g
ti
ssue
【肝臓総コレステロール】
* * ** **
**
**
*
**
(14)肝機能系 【生化学分析】
n=6-9, means±SD
** P<0.01, * P<0.05 Tukey-Kramer test
0
200
400
600
800
Cont. HFHS 白雪茸
IU/
L
【AST (GOT)】
0
200
400
600
800
Cont. HFHS 白雪茸
IU/
L
【ALT (GPT)】
0
50
100
150
200
Cont. HFHS 白雪茸
IU/
L
【LDH】
AST (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
ALT (アラニンアミノトランスフェラーゼ)
LDH(乳酸脱水素酵素)
いずれも組織中に存在し、細胞が障害されること
により細胞外へ漏出する(逸脱酵素)。
特にALTは肝細胞にのみ存在するため、肝障害
の重要な指標となる
** **
** **
** *
(15)肝障害と肝臓中脂質の増加の関係性
正常な肝組織
老化・不摂生
高脂肪食
肝細胞
類洞
リンパ球
脂肪滴の蓄積(脂肪肝)
異常な細胞に対する
リンパ球の応答
→細胞の破壊
炎症
AST ⇑
ALT ⇑
炎症の進行
壊死
白雪茸摂取により肝臓への脂質
蓄積が抑制→肝機能改善
HE 染色 x400
Scale 200µm
(16)生化学分析【BG・Insulin・TG・NEFA】
n=6-9, means±SD
** P<0.01, * P<0.05 Tukey-Kramer test
0
50
100
150
200
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/dL
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
Cont. HFHS 白雪茸
mE
q/L
0
1
2
3
4
5
6
Cont. HFHS 白雪茸
ng
/m
L
0
20
40
60
80
100
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/dL
【血糖値】 【インスリン】
【遊離脂肪酸】 【中性脂肪】
(17)生化学分析【血漿コレステロール】
n=6-9, means±SD
** P<0.01, * P<0.05 Tukey-Kramer test
0
20
40
60
80
100
120
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/dL
0
2
4
6
8
10
12
Cont. HFHS 白雪茸
m
g
/dL
0
5
10
15
20
25
30
35
Cont. HFHS 白雪茸
mg
/dL
【総コレステロール】
【LDL-コレステロール】 【HDL-コレステロール】
*
*
*
白雪茸摂餌群では総コレステロール及びLDL-コレ
ステロール濃度が有意に減少した一方、HDL-コレ
ステロール濃度には差が見られなかった。
高脂肪高ショ糖食によるLDL-コレステロールの増
加が白雪茸により選択的に抑制された
(18)静脈内負荷試験(GTT・ITT)
0.833g/kg グルコース
(Glucose Tolerance Test) 又は
0.5IU/kg インスリン
(Insulin Tolerance Test)
経時的に採血
(0,1,5,10,15,20,30,40,50,60,80,100,120,150,180,210,240min)
血漿を分離
各時間の血糖値・中性脂肪・遊離脂肪酸濃度を測定
グルコース負荷試験
耐糖能とインスリン分泌の評価
血糖の変動に影響される他の代謝系の評価
インスリン負荷試験
全身性のインスリン抵抗性の評価
(19)GTT・ITTによる血糖値の変動
n=4, means±SE** P<0.01, * P<0.05 Student’s T-test
(HFHS vs 白雪茸)
0
100
200
300
400
500
0 30 60 90 120 150 180 210 240
P
lasma
Gluc
os
e
Le
vel
(m
g
/dL
)
Time (min)
0
20
40
60
80
100
120
140
0 30 60 90 120 150 180 210 240
P
lasma
Gluc
os
e
Le
vel
(mg
/dL
)
Time (min)
GTT
ITT
Cont.
HFHS
白雪茸
●
●
● GTT 120分後における
血糖値上昇曲線下面積
(IAUC)
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
7000
Cont. HFHS 白雪茸
IA
UC (
mg
・min/dL)
**
**
(20)GTT・ITTによる遊離脂肪酸の変動
n=4, means±SE** P<0.01, * P<0.05 Student’s T-test
(HFHS vs 白雪茸)
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 30 60 90 120 150 180 210 240
Pl
asma NE
FA Le
vel
(mE
q
/L
)
Time (min)
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
0 30 60 90 120 150 180 210 240
Pl
asma NE
FA
Le
vel
(mE
q
/L
)
Time (min)
Cont.
HFHS
白雪茸
●
●
●
GTT
ITT
(21)GTT・ITTによる中性脂肪の変動
n=4, means±SE** P<0.01, * P<0.05 Student’s T-test
(HFHS vs 白雪茸)
Cont.
HFHS
白雪茸
●
●
●
GTT
ITT
0
20
40
60
80
100
0 30 60 90 120 150 180 210 240
Pl
asma T
G Le
vel
(m
g
/dL)
Time (min)
0
20
40
60
80
0 30 60 90 120 150 180 210 240
Pl
asma
TG Le
vel
(m
g
/dL)
Time (min)
(22)まとめ
【摂餌量・体重】
・摂餌量はHFHS群と比較して低い傾向が見られた
・体重はHFHS群と比較して有意に減少した。 内臓脂肪を測定したところ
いずれの内臓脂肪もHFHS群と比較して有意に減少していた
【肝臓】
・肝臓脂質は総脂質・中性脂肪・総コレステロールいずれもHFHS群より
有意に減少していた
・肝機能パラメータもHFHS群より有意に改善した
【GTT・ITT】
・GTTにおいて血糖値が低く推移した
越後白雪茸乾燥粉末を摂取することにより内臓脂肪の減少及び肝臓
の脂質を減少させ、肝機能を改善させる効果
(23)越後白雪茸画分の抗肥満効果
実験区分
1. Cont.群: AIN-93M飼料摂餌群
2. HFHS群: 高脂肪高ショ糖飼料摂餌群
3. 白雪茸群:
高脂肪高ショ糖食
+5%越後白雪茸乾燥粉末飼料摂餌群
4. 白雪茸エタノール抽出群:
高脂肪高ショ糖食
+白雪茸エタノール抽出粉末飼料摂餌群
5. 白雪茸エタノール抽出残渣群:高脂肪高ショ糖食
+白雪茸エタノール抽出残渣粉末飼料摂餌群
(24)越後白雪茸画分の抗肥満効果
越後白雪茸の水抽出物および水抽出残渣を用いて、
各画分の抗肥満効果について検討を行う。
越後白雪茸の有効成分がどの画分に含まれているか?
また、画分による効果に差があるのか?
越後白雪茸乾燥粉末の一般成分分析
(25)実験方法
・群分け ・摂餌量測定(毎日)
・体重測定(週1回)
・代謝試験
・解剖
・病理診断
馴化期間 15週間の摂餌試験中 摂餌試験終了後
・血漿サンプル測定
・肝臓中の脂質測定
<実験デザイン>
<実験動物>
Wistar系雄性ラット 5週齢 4週齢で導入し、1週間馴化させた。
<群分け>
・標準飼料(改変AIN93-M):Cont.群
・高脂肪高ショ糖飼料:HFHS群
・越後白雪茸乾燥粉末 + 高脂肪高ショ糖飼料:BX-T群
・越後白雪茸水抽出物乾燥粉末 + 高脂肪高ショ糖飼料:BX-E群
・越後白雪茸水抽出残渣乾燥粉末 + 高脂肪高ショ糖飼料:BX-R群
越後白雪茸
乾燥粉末
水抽出
(各群n=10、越後白雪茸乾燥粉末それぞれは飼料全体に対して5%となるように加えた)
(26)摂餌量
n=8-10
0
5
10
15
20
25
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415
平均個体摂餌量(
g/ra
t/da
y)
週
摂餌量の推移
Cont.
HFHS
BX-T
BX-E
BX-R
0
2000
4000
6000
8000
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
総摂取カロリー
(kca
l/rat)
総摂取カロリー
Cont.群は摂餌量が高く推移していたが、総摂取カロリーは全群ほぼ同程度であった。
(27)体重
0
100
200
300
400
500
600
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415
体重(g)
週
体重の推移
Cont.
HFHS
BX-T
BX-E
BX-R
n=8-10, means±SEM
0
100
200
300
400
500
600
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
体重(g)
摂餌試験終了時の体重
*
越後白雪茸含有群(BX-T,BX-E,BX-R)はHFHS群と比較して低値を示しており、
その中でもBX-E群は有意に低値を示した。
(28)内臓脂肪重量
0
10
20
30
40
50
60
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
重
量
(
g
)
内臓脂肪重量
**
n=8-10, means±SEM
**P<0.01 *P<0.05 Tukey-Kramer test(vs HFHS)
0
5
10
15
20
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
重
量
(
g
)
腸間膜脂肪重量
*
0
5
10
15
20
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
重
量
(
g
)
精巣上体周囲脂肪重量
**
0
5
10
15
20
25
30
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
重
量
(
g
)
腎周囲脂肪重量
** *
(内臓脂肪は腸間膜脂肪、精巣上体周囲脂肪、腎周囲脂肪の合算値)
(29)血糖値、中性脂肪、遊離脂肪酸
n=8-10,means±SEM
**P<0.01 *P<0.05 Tukey-Kramer test(vs HFHS)
0
50
100
150
200
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
グ
ル
コ
ー
ス
濃
度
(mg
/dL
) 空腹時血糖
0
20
40
60
80
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
中性脂肪濃度
(mg
/dL
) 空腹時中性脂肪
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
遊
離
脂
肪
酸濃度
(m
Eq
/L)
空腹時遊離脂肪酸
・空腹時血糖においてBX-R群は
HFHS群と比較して高値を示した。
・空腹時中性脂肪においてBX-T群は
HFHS群と比較して低値を示した。
・空腹時遊離脂肪酸はどの群に
おいても大きな差はみられなかった。
(30)糞中脂質排泄量(24時間)
0
10
20
30
40
50
60
70
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
糞中脂質排泄量
(mg
/d
ay
)
糞中脂質排泄量
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
糞中中性脂肪排泄量
(mg
/d
ay
)
糞中中性脂肪排泄量
**
0
1
2
3
4
5
6
7
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
糞
中
総
コ
レス
テロ
ール
排泄
量
(mg
/da
y
)
糞中総コレステロール排泄量
** ** **
n=8-10, means±SEM
**P<0.01 *P<0.05 Tukey-Kramer test(vs HFHS)
0
0.5
1
1.5
2
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
糞
重量
(g D
W/r
at/
d
ay
)
糞排泄量
(31)肝臓組織切片像
<Cont.群> <HFHS群> <BX-T群>
<BX-E群> <BX-R群>
・HFHS群と比較して
BX-E群は脂肪の蓄積
が少ない。
・BX-E群はBX-R群と
比較しても脂肪の
蓄積が少ない。
scale bar=100μm
(32)肝臓中脂質濃度
n=8-10, means±SEM
**P<0.01 *P<0.05 Tukey-Kramer test(vs HFHS)
・BX-E群はHFHS群と比較して
総脂質量、中性脂肪量、
総コレステロール量が有意に低値を
示した。
・BX-E群はBX-R群よりも低値を
示した。
0
50
100
150
200
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
総脂質濃度(
mg
/g
FW
)
肝臓中総脂質量
*
0
20
40
60
80
100
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
中
性
脂
肪
濃度(
m
g/
g
FW
)
肝臓中中性脂肪量
**
0
0.5
1
1.5
2
2.5
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
総
コ
レ
ス
テ
ロ
ー
ル
濃
度
(mg
/g FW
)
肝臓中総コレステロール量
*
(33)肝臓機能
0
50
100
150
200
250
300
350
400
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
IU/L
AST
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
Cont. HFHS BX-T BX-E BX-R
IU/
L
ALT
*
n=8-10, means±SEM
**P<0.01 *P<0.05 Tukey-Kramer test(vs HFHS)
・AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
・ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
これらの酵素は肝細胞に存在し、肝細胞の変性壊死により血中に逸脱する。
BX-E群はHFHS群と比較してAST、ALT共に特に低値を示した。
(34)考 察
越後白雪茸の水抽出物及び水抽出残渣それぞれの得られた結果をまとめると
<越後白雪茸水抽出物>
HFHS群と比較して、
・体重の増加抑制作用を示した。
・肝臓中への脂質蓄積を抑制した。
・ASTおよびALTが低値を示した。
・内臓脂肪の蓄積を抑制した。
<越後白雪茸水抽出残渣>
HFHS群と比較して、
・糞中の脂質量を増加させた。
・糞中の脂質のうち、特に
中性脂肪量を増加させた。
・内臓脂肪の蓄積を抑制した。
以上のことから、越後白雪茸水抽出物は肝機能改善効果が高く、
越後白雪茸水抽出残渣は糞中への脂質排泄促進作用が高いことが明らかとなった。
越後白雪茸水抽出物 水溶性食物繊維による作用は考えにくいため、
水溶性の機能性成分の存在が示唆された。
越後白雪茸水抽出残渣 水不溶性食物繊維による腸管での
中性脂肪の吸収抑制作用が示唆された。