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土壌診断

土壌診断

土壌診断

土壌診断のための

のための

のための

のための土壌科学

土壌科学

土壌科学

土壌科学の

の基礎

基礎

基礎

基礎

20

20

20

2011

11 年

11

11

年 11

11

11 月

11

2

2

2

2 版

福岡県農政部

福岡県農政部

福岡県農政部

福岡県農政部

農業技術課

農業技術課

農業技術課

農業技術課

小田原孝治

小田原孝治

小田原孝治

小田原孝治

****

九州大学

九州大学

九州大学

九州大学

大学院農学研究院

大学院農学研究院

大学院農学研究院

大学院農学研究院

和田信一郎

和田信一郎

和田信一郎

和田信一郎

****

現福岡県農業総合試験場

現福岡県農業総合試験場

現福岡県農業総合試験場

現福岡県農業総合試験場

筑後分場

筑後分場

筑後分場)

筑後分場

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はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

作物の生育は土壌を基盤としており,作物が正常に生育するためには土壌環境を作物の生育に適し た健全な状態に維持することが必要となります. 近年,堆肥等の施用量が低下し,土作りがおろそかになる一方で,化学肥料への過度の依存による 営農環境の悪化がみられるなど,環境と調和の取れた持続的な農業生産が立ち行かなくなっているこ とが指摘されています.このような状況に対して平成 11 年,「自足性の高い農業生産方式の導入の促 進に関する法律」が制定されました.また,県でも減農薬・減化学肥料栽培認証制度が平成 15 年から スタートしました.そして,それぞれ土壌診断に基づいて,適正な有機質資材,肥料の使用に勤める ことにしています.一方では,施設園芸では水,温度など環境システム制御技術の発達にともない土 壌中の養分の量,状態を把握するための土壌診断技術が必要となってきました. このように土壌診断の必要性は認識されているものの,現場の技術者の中には土の科学を専門的に 学んだ人は少なく,まして土壌分析,診断業務に携わった経験のある技術者はさらに少ないのが実状 です.土壌診断を的確に行うには,土の持つ基本的な性質の理解とそれらを全体としてみることが必 要とされます.土壌診断のためには,現地圃場での観察,断面調査から土壌の理化学性の分析まで広 範な作業が必要となりますが,この資料では主として土壌の基本的な性質と理化学性の分析について 解説しています. 土壌学においては,土壌の物質科学や生物科学などの分野で非常に専門的な研究が行われています. ここでは比較的生産現場に関連の深い内容を選び,土壌の性質と養分吸収との関連にしぼって解説し ています. 本資料の内容が,土に対する理解を深めるための参考となり,土壌分析の結果に基づく適格な診断 をするための力を養う助けになれば幸いです. 平成 19 年 7 月 1 日 福岡県農政部農業技術課 小田原 孝治 九州大学 大学院農学研究院 和田信一郎

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この このこの この資料資料資料は資料ははは教育用資料教育用資料教育用資料教育用資料としてとしてとしてとして作成作成したもので作成作成したものでしたものでしたもので,,,,大量大量大量に大量ににに複製複製して複製複製してして配布して配布配布配布することをすることをすることをすることを目的目的目的目的にしていませんにしていません.にしていませんにしていません..また.またまたまた,,,,一部一部一部一部 には にはには には未発表資料未発表資料も未発表資料未発表資料も含もも含含含まれていますまれていますまれています.まれています.全部..全部または全部全部またはまたは一部または一部一部一部をををを著者著者の著者著者のの許可の許可許可なく許可なくなく複製なく複製複製複製することをすることを禁することをすることを禁禁禁じますじますじますじます....

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目次

目次

目次

目次

1

1

1

1 土

土は

は何

何からできているか

からできているか

からできているか

からできているか

1111 1.1 1.11.11.1 不均一系 不均一系不均一系不均一系としてのとしての土としてのとしての土;土土;;土;土土土はは 3はは333 相相相からなる相からなるからなる不均一系からなる不均一系である不均一系不均一系であるであるである 1111 1.2 土1.2 1.2 1.2 土土土のののの固相固相固相固相::液相::液相:液相液相:::気相気相気相の気相ののの体積割合体積割合体積割合体積割合はおおよそはおおよそ 50はおおよそはおおよそ5050%:50%:%:25%:252525%:%:%:%:2525%2525%%%であるであるであるである... . 2222 1.3 土1.3 1.3 1.3 土土土のののの気相気相:気相気相::土:土土土のののの空気空気空気空気のの二酸化炭素濃度のの二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度はははは大気大気大気大気のの 100のの100100100 倍倍倍倍 3333 1.4 1.4 土1.4 1.4 土土土のののの液相液相:液相液相:::別名土壌溶液別名土壌溶液別名土壌溶液別名土壌溶液 5555 1.5 土1.5 1.5 1.5 土土土ののの固相の固相固相固相::::鉱物鉱物と鉱物鉱物ととと腐植腐植腐植物質腐植物質物質物質 6666

2

2

2

2 土

土の

の組成

組成

組成

組成と

と植物

植物への

植物

植物

への

への

への養分供給

養分供給

養分供給

養分供給

9999 2.1 植物2.1 2.1 2.1 植物植物植物ははは必須元素は必須元素必須元素必須元素をどのようにをどのようにをどのように取をどのように取り取取りり入り入入入れるかれるかれるかれるか 9999 2.2 2.2 土2.2 2.2 土土土のののの組成組成組成組成とと水とと水水水のののの供給供給:供給供給::水:水水水のの供給のの供給供給には供給にはには三相分布には三相分布三相分布だけでなく三相分布だけでなくだけでなくだけでなく土土土の土の構造のの構造構造が構造がが重要が重要重要 重要 1010 1010 2.3 2.3 土2.3 2.3 土土土のののの組成組成組成組成とと酸素とと酸素酸素酸素のののの供給供給 供給供給 1212 1212 2.4 2.4 土2.4 2.4 土土土のののの組成組成組成組成とと土壌溶液とと土壌溶液土壌溶液土壌溶液からのからのからの養分供給からの養分供給 養分供給養分供給 1313 1313

3

3

3

3 土

土の

の養分状態

養分状態

養分状態

養分状態・

・養分供給能

養分供給能の

養分供給能

養分供給能

の測定

測定

測定

測定

1717 1717 3.1 測定3.13.13.1測定測定の測定ののの 4444 つのカテゴリーつのカテゴリー:つのカテゴリーつのカテゴリー::土壌溶液:土壌溶液土壌溶液土壌溶液,,,,土土土土のの固相中のの固相中の固相中固相中のの養分量の養分量養分量,養分量,,,土土の土土ののの骨格構骨格構骨格構骨格構,,,, 土 土土 土ののの固相成分の固相成分固相成分固相成分 1717 1717 3.2 3.2 現場測定3.2 3.2 現場測定現場測定現場測定とと室内測定とと室内測定室内測定室内測定 1818 1818 3.3 3.3 土壌溶液3.3 3.3 土壌溶液土壌溶液土壌溶液のの組成のの組成組成組成にににに関係関係する関係関係するするする分析分析分析・分析・測定・・測定測定測定 1919 1919 3.4 3.4 土3.4 3.4 土土土のののの固相固相に固相固相ににに含含含含まれるがまれるがまれるがまれるが土壌溶液土壌溶液土壌溶液土壌溶液にに放出にに放出放出放出されうるされうるされうるされうる養分量養分量養分量養分量のののの測定測定:測定測定::可給態養分:可給態養分可給態養分 可給態養分 22252555 3.5 3.5 土3.5 3.5 土土土のののの骨格構造骨格構造骨格構造骨格構造にに関にに関関関するするする測定する測定 測定測定 2727 2727 3.6 土3.6 3.6 3.6 土土の土ののの固相成分固相成分の固相成分固相成分のの組成の組成組成組成ややや性質や性質に性質性質に関にに関関する関するする測定する測定 測定測定 33323222

4

4

4

4 土

土の

の分析結果

分析結果

分析結果

分析結果に

に基

基づく

づく

づく

づく土壌診断

土壌診断

土壌診断

土壌診断

33373777 4.1 4.1 経験4.1 4.1 経験経験経験のののの集成集成としての集成集成としてのとしてのとしての土壌診断基準土壌診断基準土壌診断基準 土壌診断基準 3636 3636 4.2 4.2 土壌診断4.2 4.2 土壌診断土壌診断土壌診断基準基準基準基準のの例のの例例例 3737 3737

5 Q

5 Q

5 Q

5 Q &

A

A

A

A

3939 3939 5.1 5.1 土壌溶液組成5.1 5.1 土壌溶液組成土壌溶液組成土壌溶液組成にににに関係関係すること関係関係することすること すること 4040 4040 5.2 5.2 可給態養分5.2 5.2 可給態養分可給態養分可給態養分にににに関係関係すること関係関係することすること すること 4343 4343 5.3 5.3 土5.3 5.3 土土土のののの骨格構造骨格構造骨格構造骨格構造にに関係にに関係関係関係することすることすること すること 4343 4343 5.4 土5.4 5.4 5.4 土土土のののの固相成分固相成分の固相成分固相成分ののの構造構造構造構造やや性質やや性質性質に性質にに関係に関係関係すること関係すること することすること 4444 4444

引用文献

引用文献

引用文献

引用文献

45454545

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1

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土は

は何

何からできているか

からできているか

からできているか

からできているか

1 11 1.1 .1 .1 .1 不均一系不均一系不均一系としての不均一系としての土としてのとしての土土土;;;;土土は土土はは 3は333 相相相相からなるからなる不均一系からなるからなる不均一系不均一系である不均一系であるであるである 均一系というのは物質科学の言葉で,その物質のどの部分をとっても化学組成や性質が同じである ようなもののことです.逆に不均一系というのは,場所によって化学組成や性質が異なるものを指し ます.不均一系というのはいくつかの均一な物質が組み合わさって出来上がっていることが大部分で す.このような考えで土をみると,土は 3 相からなる不均一系とみなすことができます.相というの は均一な構成要素のことで,土の場合には固相,液相,気相からなります.もちろん,均一,不均一 という判断は,どのくらいの拡大率でものを観察するかということに依存します.土の固相は大小さ まざまな個体粒子の集合体ですが,この中には有機物も無機物もありますから,細かく見れば粒子ご とに化学組成や性質が異なることになります.「土が 3 相からできている」というのは,物質の性質に ついてあまり細かい分析をせずに土を観察した場合の見方ということになります. 図 図図 図 1 1 1 樹脂1 樹脂樹脂樹脂でで固化でで固化固化固化したしたしたした土土の土土の薄片写真のの薄片写真薄片写真薄片写真のの例のの例例例...白.白い白白い部分いい部分部分部分はははは個体個体個体個体,,,,黒黒い黒黒いいい部分部分部分は部分はは間隙は間隙間隙間隙.... 図 1 は,ある粘土質の土に樹脂を浸透させて固め,厚さ 10 µm 程度の薄片に研磨して光学顕微鏡写 真を撮影したものです.図の白い部分が個体,黒い部分が間隙です.個体部分と間隙が細かく入り混 じった構造をもっていることがわかります.自然条件下では,この間隙部分の一部は水で,残りは空 気で満たされています.つまり土は,個体部分=固相,水=液相,空気=気相からなる 3 相系という わけです.実はこの写真で真っ白に見える部分をさらに拡大してみると,この部分もまた,固相と間 隙が細かく入り混じった構造になっています.蛇足ですが,樹脂を浸透させるためには土をあらかじ め乾燥しなければなりませんが,乾燥するときに土が全体として収縮したり,不均一な収縮によって 亀裂が発生することがあります.自然状態の土の構造をありのままに観察することは現代の技術をも ってしてもなかなか難しいことです.特にたん水中の水田の土の構造をそのままに保って薄片を作る ことなどはほとんど不可能に近いとさえ言えます. 図 2 は,やはり樹脂で固めた土からダイヤモンドナイフで切り出した超薄切片を,こんどは電子顕 微鏡観察した写真です.図の横幅が 2 µm 程度に相当します.図 1 の真っ白い部分を拡大したようなイ メージに相当します.図 2 中,B で示しているのは細菌です.また T で示している部分は粘土粒子の 集合体です.この写真からわかるように,土を構成する個体粒子には 1 µm よりもはるかに小さいもの

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もあり,それらの粒子間の間隙の大きさは 1/100 µm あるいはそれ以下の大きさのものもある,という

ことがわかると思います.このように土は,肉眼で見ても,光学顕微鏡で見ても,また電子顕微鏡で みてもいたるところ不均一な系なのです.

図 図図

図 2 2 2 2 土壌土壌土壌土壌細菌細菌細菌とその細菌とそのとその周囲とその周囲の周囲周囲ののの土土土土ののの超薄切片の超薄切片超薄切片超薄切片のの電子顕微鏡写真のの電子顕微鏡写真電子顕微鏡写真.電子顕微鏡写真..スケールバーは.スケールバーはスケールバーはスケールバーは 1 1 1 1 µµµµmmmm....(F(F(Foster, 1978)(Foster, 1978)oster, 1978)oster, 1978) 1. 1.1. 1.2222 土土土土のののの固相固相:固相固相:::液相液相液相液相::::気相気相気相の気相の体積割合のの体積割合体積割合はおおよそ体積割合はおおよそはおおよそはおおよそ 50505050%:%:%:%:2525%:2525%:%:%:252525%25%%である%であるである である 図 3 はいくつかの土の表層から 1 m までの 3 相分布の測定結果です. 図 図図 図 3. 3. いくつかの3. 3. いくつかのいくつかのいくつかの土土土における土におけるにおけるにおける,,,表層,表層から表層表層からからから 1 1 1 m1 mmm までのまでのまでの固相率までの固相率固相率固相率,,液相率,,液相率液相率液相率,,,,気相率気相率の気相率気相率ののの分布分布分布.分布...((川口((川口川口川口,,1977,,197719771977)))) 火山灰土壌というのは,現在の農耕地土壌分類でいうなら,火山灰由来の黒ボク土,高師ヶ原洪積土

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壌というのは赤黄色土,水田土は灰色低地土に相当します.特徴的なことは,火山灰土を除けば,ど の土でも固相の体積割合(固相率)は 50 %に近いということです.また擬似グライ土のような地下水 位の高い土を除けば(少なくとも表相に近い部分では),液相率が 25%,気相率が 25%に近いことも 特徴的です.つまり,地下水位が 1 m よりも深いような土では(火山灰由来の土を例外として)土の 体積の 50%を固相が占め,のこりの 50%は間隙になっていることになります.そしてその間隙の半分 は水で,半分は空気で満たされているということができます.火山灰由来の土の固相率が著しく低い のは,固相を占める鉱物の種類が非火山灰土とは大きく異なっているからですが,このことについて はあとで触れます. 後でも説明しますが,土の固相の大部分は鉱物で占められています.何種類もの鉱物が含まれるの ですが,それらの平均の密度は 2.6 g/cm3と水や有機物よりもかなり大きいのです.一定体積の土(た とえば 100 cm3)を,乱さないようにていねいに掘り取とって乾燥して質量を測定し,それを体積で割 ったものをかさ密度,仮比重,乾燥密度などといいます.英語では Bulk Density といいます.もし土の 固相の体積割合が上に書いたように 50%としますと,そのかさ密度は 3 3 3 3 100 cm 0.5 2.6 g / cm 1.3g / cm 1.3kg/L 100 cm × × = = になります.固相率が 40%なら 1.04 g/cm3 = 1.04 kg/L となります.実際,農用地の最表層部分である 作土層では固相率が 40%程度であることが多く,その結果としてかさ密度は 1 に近くなっています. 以上,土が 3 相から成る系であること,その 3 相とは固相,液相,気相であることを説明しました. 次はそれぞれの相がどのような組成を持つのかを説明します. 1.3 1.3 1.3 1.3 土土の土土のの気相の気相気相;気相;土;;土土土のののの空空空空気気の気気のの二酸化炭素濃度の二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度ははは大気は大気の大気大気のの 100の100100 倍100倍倍倍 まずは気相です.土の気相は土壌空気ともいわれます.表 1 に大気と土の空気の組成をならべて示 しています.よく知られているように大気は約 78%の窒素と 21%の酸素を含みその他多くの微量気体 を含みます.二酸化炭素はポピュラーな気体ですが大気中の濃度は低く 0.035%でしかありません.こ の組成は地球上のいたるところ比較的一定です.もちろん,密閉された室内に多くの人がいるような 場合には酸素濃度が若干低くなり,二酸化炭素濃度が高くなります.これに対して土の空気の組成は 地域によって,土の深さによって,また季節によって大きく異なります. 表 表 表 表 11.11... 清浄清浄清浄な清浄な大気なな大気大気大気とととと土土土土のの空気のの空気空気空気のののの成分組成成分組成成分組成(成分組成(陽((陽陽陽, 199, 199, 199, 1994444))) ) 成分 大気 土の空気 vol % N2 78 75 – 90 O2 21 2 – 21 Ar 0.93 0.93 – 1.1 CO2 0.0345 0.1 – 10 CH4 0.00017 tr. – 5 N2O 0.00003 tr. – 0.1 図 4 は福岡市内の畑の表面から 15 cm の部分の空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の年間の変動を測 定したデータです.二酸化炭素濃度は冬季に低く温度の高い春から夏にかけて高くなります.これは その季節に植物の生育が旺盛であるため,その根の呼吸によって二酸化炭素が多く生産されること,

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同時に微生物やミミズなどの小動物の活動も活発になり,それらの呼吸によって二酸化炭素が生産さ れるからです.その変動に対応するように酸素濃度は逆方向に変化しています.つまり呼吸によって 酸素が消費され,その分だけ二酸化炭素が生産されるということです.この土の場合,二酸化炭素濃 度は年間を通じて平均 3.5%程度でした. 0 5 10 15 20 25 1 3 5 7 9 11 月 酸 素 お よ び 二 酸 化 炭 素 濃 度 体 積 % 二酸化炭素 酸素 図 図 図 図 4. 4. 4. 畑4. 畑畑畑のの表層のの表層表層表層からからからから 15 cm15 cm の15 cm15 cmののの部分部分部分の部分の空気のの空気空気の空気のの酸素濃の酸素濃度酸素濃酸素濃度と度度ととと二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度二酸化炭素濃度のののの年間変動年間変動年間変動年間変動((和田((和田和田和田,,,,未発表未発表未発表未発表))).)... このように,土の空気の組成の共通の特徴として言えることは,ほとんど例外なく大気よりも酸素 濃度が低く,二酸化炭素濃度が高いことです.この他,メタンや一酸化二窒素などの濃度も大気より もはるかに高いことが多いです.これは,土の中の生物(植物の根を含む)の呼吸やその他の代謝に よります.二酸化炭素濃度にも大きな変動がありますが,平均して 3%程度はある,つまり大気の二酸 化炭素濃度の 100 倍程度になっていると考えてもいいと思います.このことは土の内部の化学的環境 を考えるときには非常に重要です.なぜなら,二酸化炭素は反応性のある気体で,水に溶解し炭酸と なります.炭酸は弱い酸ですが,濃度が高くなると炭酸溶液の pH は結構低くなります.酸性雨という のをご存知だと思いますが,酸性雨というのは pH が 5.6 以下の雨のことです.何で 5.6 以下かという と,基本的には蒸留水である雨水に,大気中の二酸化炭素が溶解して炭酸となりその一部が解離した ときに pH が 5.6 となるのです.ですから,大気に硫酸や硝酸などの酸が存在しない場合でも清浄な大 気中に存在する 0.035%の二酸化炭素と平衡した雨水の pH は 5.6 と弱酸性になります.ですから,化石 燃料の燃焼に由来する窒素酸化物や硫黄酸化物から生成した硫酸や硝酸の溶解による酸性雨と区別す るためには pH5.6 という弱酸性の pH を境にして判断する必要があるわけです. それはともかく,0.035%の二酸化炭素と平衡するだけで本来 pH 7 であるはずの雨水の pH は 5.6 に なります.気体の溶解度は分圧に比例しますので,二酸化炭素濃度 3.5%の空気と接した水の中の炭酸 濃度は 100 倍になり,詳しい計算は示しませんが,pH は約 1 単位低くなります.

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1.4 1.4 1.4 1.4 土土の土土のの液相の液相液相;液相;別;;別別別名土壌溶液名土壌溶液名土壌溶液名土壌溶液 図 3 に示すように,火山灰土を除く多くの土では,土の体積の半分は孔隙であり,その孔隙体積の 約半分は水で満たされています.もちろんこれは植物が生育している場合の話で,白く乾燥したよう な土ではその割合はずっと小さくなりますし,たん水中の水田では孔隙はすべて水で満たされていま す.この水は,研究分野によって,間隙水,土壌水,土中水,土壌溶液などと様々によばれています. 土壌溶液という呼び名があることからわかるように,土の液相は様々な溶質を溶かした溶液であり, 植物の根はこの土壌溶液から養分を吸収します. 植物が無機養分だけを与えることによって正常に生育しうることが明らかにされ,植物栄養の研究 手法として養液栽培技術がほぼ確立した後には,土壌溶液こそが植物の直接の培地であるとみなされ, その組成や,組成と植物生育の関係を調べるための研究が精力的に行われました.しかし,土から土 壌溶液を分離することは意外と難しいため,研究成果の蓄積はそれほど多くありません.加えて,土 壌溶液の組成は植物の生育期間中ずっと一定というわけではありませんので,土壌溶液組成と植物生 育との関係を把握することもかなり難しいことだったのです. それでも,採取した土を遠心分離して土壌溶液を分離する方法や,土に多孔質のセラミックカップ を埋設してその内部を減圧する方法などによって比較的簡単に土壌溶液が採取されるようになり,少 なくとも組成のデータはかなり蓄積しています.表 2 はいくつかの土から分離した土壌溶液組成の分 析例を示します.土壌溶液の組成は,赤黄色土とか黒ボク土とかのいわゆる土壌の分類よりも土地利 用形態の影響を受けます.表 2 の分析例は必ずしも各土地利用の土壌の典型的かつ平均的なものとい うわけではありませんが特徴的な事例となっています. 表 表表 表 22.22...いくつかのいくつかのいくつかのいくつかの土土土の土の間隙水のの間隙水間隙水間隙水ののの化学組成分析結果の化学組成分析結果化学組成分析結果化学組成分析結果 土の種類,土地利 用 pH 溶質濃度 / mmol L-1 Ca Mg K Na NH4 Al Fe(II) HCO3 SO4 Cl NO3 森林土壌表層 6.20 0.12 0.09 0.18 0.43 - - - 0.24 0.22 0.34 0.12 牧草地表層 - 2.65 1.36 5.22 0.65 - - - - 0.50 13.0 5.98 牧草地表層 4.7 3.69 1.06 0.55 1.08 0.006 - - - 0.94 10.5 茶園表層 4.18 2.22 1.08 2.61 0.74 0.74 1.06 - - 4.60 1.22 3.70 普通畑 6.18 1.01 0.70 1.74 3.45 - - - - 0.22 1.71 5.55 ビニールハウス土 5.60 11.2 5.75 11.3 5.9 - - - - 9.03 8.91 42.7 水田 たん水中 10.3 2.2 0.6 0.5 7.4 水田 落水後 9.2 2.1 0.9 0.2 0.2 表 2 に示すように,多くの土の土壌溶液に共通する主要陽イオンはカルシウム,マグネシウム,カ リウムおよびナトリウムです.一般にはこの中でカルシウムイオンの割合が高いことが多いです.後 述しますが,茶園土壌やたん水中の水田土壌を除けば土壌溶液中にアンモニウムイオンが他のイオン 濃度に匹敵するような濃度で含まれることは極めてまれです.陰イオンで多いものは,硝酸イオン, 硫酸イオン,塩化物イオン,炭酸水素イオンです.施肥の影響の残っている農用地では硝酸イオンの 割合が高いことが多いです. 土地の利用形態ごとの特徴をいうと,森林土壌では,イオンの合計濃度が低いことが多く,陽イオ ンの中でカルシウムよりもマグネシウムイオン濃度が高いことが珍しくありません.ビニールハウス

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内の土の特徴は総じて土壌溶液のイオンの合計濃度が高いことです.茶園土壌の土壌溶液はほとんど 例外なく強酸性で,他の土地利用ではありえないほどアルミニウムイオン濃度とアンモニウムイオン 濃度が高いことが多いです.アルミニウムイオン濃度が高いのは酸性のため土の鉱物が溶解した結果 であり,アンモニウムイオンが含まれるのは,硫安などのアンモニア態の窒素肥料を多施することと, 強酸性のためアンモニアイオンの硝酸への酸化反応(微生物による硝酸化成)の速度が遅いためです. 水田土壌では,たん水期間と落水後では土壌溶液組成が大きく異なります.特にたん水期間中は 2 価 鉄イオンが相当の濃度で存在します.アンモニウムイオンも含まれます. 1.5 1.5 1.5 1.5 土土の土土のの固相の固相固相:固相:鉱物::鉱物鉱物鉱物とととと腐植物質腐植物質腐植物質腐植物質 土の固相は大小さまざまな粒子からできています.これらの大部分は各種鉱物であり,それに有機 物が混じります.はじめに言ったように,「相」というのは,化学的,物理的な性質が均一な部分のこ とです.固相粒子は様々な(化学組成や物理的性質の異なった)鉱物や有機物の集合体ですから,厳 密にいうなら,土の固相は固相 1,固相 2,固相 3,....というように無数の相からなることになりま す.しかし,話を簡単にするため普通は全部をひとまとめにして固相といっているのです. 土 土土 土ののの鉱物の鉱物鉱物鉱物::土::土土土のののの骨格成分骨格成分骨格成分骨格成分 土の固相の研究においては,固相粒子をばらばらにして大きさによって分画し,各画分ごとの鉱物 組成を調べます.土の粒子は土に含まれる有機物によって接着されていることが多いので,この分析 に先立って,過酸化水素水などで土を処理し,有機物は除去します.大きさによる分画の仕方は研究 分野によって様々ですが,土壌学分野では粒子直径が,>2 mm,2-0.2 mm,022-0.02 mm,0.02-0.002 mm, <0.002 mm,であるような画分に分けます.表 3 に,各粒径画分につけられた名称と,各画分の鉱物 組成の特徴を示します. 表 表表 表 3333....土土土土のの粒径画分のの粒径画分粒径画分粒径画分のののの特徴特徴特徴特徴 粒径/ mm 画分の名称 組成の特徴 2 より大 レキ 土の材料になった岩石を構成する鉱物(造岩鉱物)や岩石の破片 2 以下,0.2 より大 粗砂 造岩鉱物 0.2 以下,0.02 より大 細砂 造岩鉱物 0.02 以下,0.002 より大 シルト 造岩鉱物と造岩鉱物の風化によって新たに生成した二次鉱物 0.002 以下 粘土 大部分が造岩鉱物の風化によって新たに生成した二次鉱物 ここでは,各画分の鉱物組成について詳しい説明はしません.農用地における作物栽培やそのため の土壌診断という立場からば,レキ,砂(粗砂および細砂)およびシルト画分の鉱物は化学的,生物 的な活性はないとみなしてもいいと思います.つまりこれらの画分の粒子は土の骨格を形成する役割 のみを持っていると考えていいということです.それに対して粘土画分は岩石が風化する過程で新た に生成した微粒子の鉱物群を含みます.これらの鉱物はひとくくりにして粘土鉱物と呼ばれることが 多いので,ここでもこの名称を使います. 粘土鉱物の第 1 の特徴は,まずその粒径が極めて小さいことです.このため単位質量あたりの表面 積(比表面積)が大きく,各種物質の吸着能(単位質量あたりの吸着能力)が大きいのです.

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第 2 の,恐らくは最も重要な特徴は,結晶構造に欠陥があり,粒子自体が電気的に中性になってい ないことです.多くは負に帯電しており,そのためその過剰の負電荷は周囲から陽イオンを静電気的 に吸着することで中和されています.粘土鉱物粒子と陽イオンとの結合は化学結合というようなもの ではなく,それよりもはるかに弱い静電気力です.ですから,この陽イオンは他の陽イオンと簡単に 置き換わります.たとえばカルシウムイオンが吸着されている粘土鉱物を含む土に肥料として硫酸ア ンモニウムを施用したとします.硫酸アンモニウムは土壌溶液に溶解し,土壌溶液のアンモニウムイ オン濃度が上がります.こうするとアンモニウムイオンの一部は粘土鉱物の表面に拡散し,そこでカ ルシウムイオンと置き換わります.この反応はイオン交換反応とよばれ,粘土鉱物の過剰負電荷部分 に吸着されたイオンは交換性陽イオンとよばれています.構造の欠陥の量は粘土鉱物ができるときに 決まりますから,この機構による表面の負電荷の量は一定です. 粘土鉱物の第 3 の特徴は,その表面に反応性の官能基を多くもつことです.官能基とは具体的には 水酸基です.土の粘土鉱物の構成元素は主としてケイ素,アルミニウム,鉄などですからその表面に は Si-OH,Al-OH,Fe-OH などの水酸基が露出しています.これらの水酸基特に Fe-OH 基と Al-OH 基 は両性で,土にアルカリ,たとえば水酸化カルシウムが加わると

2Fe-OH + Ca(OH)2 = (Fe-O)2Ca (1)

のように陽イオンを吸着します.逆に酸,たとえば硝酸が加わると

Fe-OH + HNO3 = FeOH2NO3 (2)

のように陰イオンを吸着します.反応(1)はつぎのような 2 つの反応に分けて考えるとわかりやすいか もしれません.つまり,まず水酸化カルシウムの水酸化物イオンによって

2Fe-OH + 2OH- = 2Fe-O- + H2O (3)

のように水酸基が解離して負電荷が生じ,そこに 2Fe-O- + Ca2+ = (Fe-O)Ca (4) とういようにカルシウムイオンが吸着するのです.反応(2)の方はまず硝酸の水素イオンが水酸基に付 加し Fe-OH + H+ = Fe-OH2+ (5) この正電荷に硝酸イオンが Fe-OH2+ + NO3- = FeOH2NO3 (6) のように吸着するのです.これらの反応式からわかるように,表面水酸基による陽イオンや陰イオン の吸着はアルカリや酸の添加量に依存します. 上の例ではカルシウムイオンや硝酸イオンを例にとって説明しましたが,実際の土では粘土鉱物表 面の官能基にはカルシウム,マグネシウム,カリウムイオンなどはあまり吸着されていません.しか し,銅イオン,亜鉛イオンなどの微量金属イオンの大半はこれらの官能基に吸着されています.この ような違いはイオンの性質の違いによります.陰イオンの場合も,硝酸イオンや塩化物イオンはあま り吸着されていませんが,硫酸イオンはある程度吸着されます.またリン酸イオンは硫酸イオン以上 に強く吸着されます.リン酸イオンの場合,(5),(6)式に示したような機構というより,図 5 に示すよ うな機構によって表面の官能基(水酸基)に化学結合することが知られています.肥料の成分のなか で,リン酸は作物に吸収されにくいことが知られていますが,その一つの原因はこのような化学結合 によるものです.

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図 図図 図 5555....表面水酸基表面水酸基表面水酸基表面水酸基へのリンへのリン酸へのリンへのリン酸酸酸イオンのイオンのイオンのイオンの結合結合結合 結合 土に含まれる鉱物の大半は,土のもとになった岩石に含まれていた造岩鉱物と,造岩鉱物が変質し てできた二次鉱物(粘土鉱物)です.これらの鉱物は主としてケイ素,アルミニウム,鉄,酸素,水 素からなる鉱物です.土にはこの他にも様々な鉱物が含まれます.そのうち農用地で重要なものには, リン酸カルシウム,リン酸アルミニウムなどのリン酸塩鉱物があります.これらは肥料として施用さ れた水溶性のリン酸塩が土のなかのカルシウムやアルミニウムと反応して難溶性の塩として沈殿した ものです.肥料を多用し,雨水による溶脱が起こりにくいビニールハウスの土には炭酸カルシウムや 硫酸カルシウムが含まれることもあります. 土 土土 土のののの腐植物質腐植物質腐植物質腐植物質 上に述べた各種鉱物類とならぶもう一つの固相構成要素が有機物です.土の有機物の構成の概略は 図 6 に示しています.土に含まれる有機物のうち生きている生物は 5%程度です.生物の中では微生物 の割合が大きく,肉眼的にはいかにも多そうに見える植物の根の割合は意外なほど小さいのです.有 機物の 95%は非生物です.その内訳は図 6 の右下の棒グラフに示しますが,粗大有機物,非腐植物質, 腐植物質に分けられます.粗大有機物というのは,一目見ただけで,あ,これは腐りかけのイネの株 だ,とか何かの葉っぱだ,とかわかるようなもののことです.腐植物質というのは土から水酸化ナト リウムなどのアルカリで抽出される得体の知れない比較的高分子の化合物群のことです.非腐植物質 はタンパク,核酸,糖,脂質,リグニンなどの生物由来の有機化合物です.これらのうちタンパクや 核酸は,土の中で微生物によって徐々に分解されアンモニア,硝酸などの無機態窒素やリン酸などを 放出します.

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図 図 図 図 6666....土土土の土ののの有機物有機物有機物の有機物の構成のの構成構成構成((((筒木筒木筒木, 1994筒木, 1994, 1994, 1994)))) 腐植物質とはどのようなものなのかよくわかっていません.植物体を構成するリグニンやタンパク, 多糖類などの生物由来の高分子化合物(バイオポリマー)が微生物の働きで変質する過程で新たに生 成した高分子物質である,と考える人が多いようです.しかし最近は,部分的に変質したリグニン, タンパク,脂質,多糖類などが水素結合などを介して強く会合してできた超分子だと考える人もいま す.腐植物質はタンパクや核酸などの非腐植物質よりも安定ですが,それでも徐々に土の微生物によ って分解されるので,作物に対する無機態窒素やリン酸などの給源となります. 細かい構造はともかく,腐植物質の特徴は多くのカルボキシル基(-COOH 基)を持ち

2COOH + Ca(OH)2 = (COO)2Ca (7)

のような反応で陽イオンを吸着できます.この官能基も鉱物の表面水酸基同様カルシウムイオンやマ グネシウムイオンよりも微量重金属イオンをはるかに強く吸着します.

2

2

2

2 土

土の

の組成

組成

組成

組成と

と植物

植物へ

植物

植物

への

の養分

養分の

養分

養分

の供給

供給

供給

供給

これまで,土が何からできているかについて簡単に説明してきました.次は土の組成が植物の生育 にどのように影響するのかについてみていきます.まず,植物が必須元素をどのような形態でどこか ら吸収するかについて整理し,それらの元素が土からどのように植物に供給されるのかについてみて いくことにします. 2.1 2.1 2.1 2.1 植物植物は植物植物はは必須元素は必須元素必須元素をどのように必須元素をどのようにをどのようにをどのように取取り取取りりり入入入れるか入れるかれるか れるか 植物が正常に栄養生長および生殖生長するためには 17 種の必須元素をそれぞれ適量ずつ吸収するこ とが必要です.表 4 に土で生育している植物による,各必須元素の取り入れ方を簡単に示します.下 の一覧にはケイ素も示されています.ケイ素は栄養成長,生殖成長のためには必須元素ではありませ んが,特にイネ科の植物では自立するために十分な剛性をもつ植物体を作るために非常に重要ですの で末尾に加えました. 生物 5% 非生物 95% 0 20 40 60 80 100 1 植物根 小動物 微生物 0 20 40 60 80 100 1 粗大有機物 非腐植物質 腐植物質

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表 表 表 表 4444....植物植物植物の植物のの必須元素の必須元素と必須元素必須元素とと主と主主主ななな吸収形態な吸収形態吸収形態吸収形態 1) 炭素 大気から二酸化炭素(CO2)として 2) 水素 土壌溶液から水(H2O)として 3) 酸素 大気,土壌空気から酸素分子(O2)として,土壌溶液から水(H2O)として 4) 窒素 土壌溶液からアンモニウムイオン(NH4+)または硝酸イオン(NO3-)として 5) リン 土壌溶液からリン酸イオン(H2PO4-,HPO42-)として 6) カリウム 土壌溶液からカリウムイオン(K+)として 7) カルシウム 土壌溶液からカルシウムイオン(Ca2+)として 8) マグネシウム 土壌溶液からマグネシウムイオン(Mg2+)として 9) イオウ 土壌溶液から硫酸イオン(SO42-)として 10) 亜鉛 土壌溶液から亜鉛イオン(Zn2+)として 11) 銅 土壌溶液から銅イオン(Cu2+)として 12) 鉄 土壌溶液から鉄イオン(Fe3+)として 13) マンガン 土壌溶液からマンガン酸イオン(Mn2+)として 14) ホウ素 土壌溶液からホウ酸(H3BO4)として 15) モリブデン 土壌溶液からモリブデン酸イオン(MoO42-)として 16) 塩素 土壌溶液から塩化物イオン(Cl-)として 17) ニッケル 土壌溶液からニッケルイオン(Ni2+)として ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 18) ケイ素 土壌溶液からモノケイ酸(H4SiO4)として この一覧からわかるように,炭素以外の元素は土から吸収しているといっても過言ではありません. 土から吸収される元素のうち,水素と酸素は水として吸収されます.また酸素は土の空気から酸素 ガスとして吸収されます.もちろん酸素の多くは葉を通して大気から吸収されるのですが,根の呼吸 に必要な酸素は根の表面から吸収されます.ですから,植物が正常に生育するためにはまず水を吸収 できること,それから土の空気中に十分な酸素があることが条件になります.他の元素は全て土壌溶 液から吸収されます.土壌溶液に溶存している分子あるいはイオンを表皮細胞を通して取り入れるの です.このことから,植物が正常に生育するためには土壌溶液中に,上に示したような形態の元素が 適切な濃度で溶存していることが必要になります.これ以後,植物による吸収に適した形で存在して いる元素のことを養分ということにします. 上の説明からわかるように,土の骨格を成す固相成分は植物の養分吸収には直接は関与していませ ん.このことは,植物を,水,空気と必須元素を適切な形態,適切な濃度で含む培養液のみで生育さ せること(=養液栽培)ができることからも明らかです.しかし土の場合,土の固相成分は間接的に は非常に大きな役割を果たしています.そして,土の固相成分の間接機能を十分に発揮させることが 土耕栽培における土壌管理の目的ともいえます. それでは次に,土の組成が植物への養分供給にどのように関係するのかを見ていくことにします. 2.2 2.2 2.2 2.2 土土土の土のの組成の組成組成と組成とと水と水の水水ののの供給供給供給供給::::水水水水のの供給のの供給供給供給にはにはにはには三相分布三相分布三相分布だけでなく三相分布だけでなくだけでなく土だけでなく土の土土ののの構造構造構造構造がががが重要重要重要 重要

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土耕栽培の場合,植物は土から水を吸収します.このことはごく当たり前のことに見えますが,よ く考えると不思議な面もあります.水は高いところから低いところに流れます.雨や灌漑水として土 に与えられた水はどんどん土に浸み込んで深いところへ移動してしまいそうな気もします.しかし実 際には,一度与えた水は結構長い間表土に留まります.このような土の能力を保水能といいますが, 土の保水作用は,土が微細な粒子から構成されており,粒子間の微細間隙に毛管現象によって水が保 持されることによっています. 毛管現象というのは,典型的には図 7 に示すように,毛のように細い管を水に立てると重力に逆ら って水が上昇する現象のことです.管の径が小さければ小さいほど上昇高さは高くなります.この現 象は,切り口が円形の管に限らず小さな隙間があれば常に起こります.水に浸した布に水が浸み込む のも同じ現象です.管の大きさと水の上昇高さの間には関係があります.今,管の半径を r mm,水の 上昇高さを h cm とすると 1.49 h r = (8) の関係があります.毛管の半径が 1/1000 mm(= 1 µm)なら上昇高さは 1490 cm となります. 5. 59 h cm 半 径 r m m 図 図 図 図 7777...毛管現象.毛管現象毛管現象毛管現象 重力に逆らって水を引き上げるわけですから,毛管や小さな間隙には,水を吸引する力がある,と 言えます.図 1,図 2 に示したように土には大小さまざまな間隙がありますから,その大きさに見合っ た力で水を吸引して保持しているわけです.雨が降ったり,十分に灌漑水を与えたりした直後の土の 間隙は全て水で満たされています.このうち,大きな間隙の水に対する吸引力は小さいですから,水 は重力のため下に移動します.しかしある程度小さい間隙に吸引保持された水はそのままそこに留ま ります.これが土による保水の機構と言えます. 土の間隙による水の吸引圧を数値化して表し,どのくらいの吸引圧の水をどの程度保持できるかを 把握しておくと便利です.このような性質を土の水分特性といいます.この場合,吸引圧の定量化の ためには圧力そのものが用いられます.ただ,吸引圧ですからマイナスの符合をつけます.圧力の単 位としては Pa(パスカル)を用います.この吸引圧のことを土のマトリックポテンシャルと言います. もう一つの表現法として,その圧力で吸い上げることのできる水の高さであらわすというやり方が用 いられています.高さの単位として cm を使い,あまり大きな桁になることを避けるため対数表示にし ます.このやり方であらわした吸引圧を pF といいます. 十分量の降雨や灌漑の後 24 時間ほど経つと,大きな間隙の水は排除され直径 0.1 mm 程度の毛管に

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相当する間隙より小さい部分だけに水が残ります.このとき水を保持している吸引圧は約-3 kPa(キ ロパスカル)です.これは pF 1.5 に相当します.植物根の水に対する最大吸引圧は非常に大きく,約

1500 kPa(= 1.5 MPa,メガパスカル)に相当します.したがって,土が乾燥して 1500 kPa 以上の吸引

圧で保持された水だけが残っているような状態では植物は水を吸収できません.この吸引圧は pF 4.2 に相当します. 一般にパスカル単位で表したマトリックポテンシャルと pF の間には次の関係があります. pF=log(0.0102×マトリックポテンシャル/Pa) (9) また pF は次の式でパスカル単位のマトリックポテンシャルに換算できます. pF /Pa 98 10× マトリックポテンシャル = (10) 図 8 には土の水に対する吸引圧と水分含量の関係の例を示します.このような関係を示す曲線を土 の保水曲線とか水分特性曲線といいます.この図には粘土質の土と砂質土の例を示しています.粘土 質の土は保水力は大きいのですが,植物が吸収できる-3 kPa から-1500 kPa の吸引圧で保持されてい る水の量は,保水力の低い砂質土よりもむしろ少ないことがわかります. 植物が土に保持された水を吸収するためには,土による吸引力よりも大きな吸引力で吸い出す必要 があります.もし,土の間隙がものすごく小さなものばかりだと,そこには非常に大きな吸引力で水 が保持されているわけですから,植物には吸収できないということも起こり得るのです.一方,土の 間隙が大きなものばかりだと,重力に逆らって十分量の水を保持できないことになります.つまり土 の水分供給力は三相分布や水分含量だけでは決まらないのです.適当な量の水分が適当な大きさの間 隙に保持されていることが重要なのです.極端に砂質の土は間隙が大きいため,重力に抗して十分量 の水を保持することができません.一方粘土質の土は微細な間隙が多いため多くの水を保持すること ができますが,そのうち植物に利用可能な水の割合が少ないこともあります.粘土質の土でも,微細 な粘土粒子を集合体化すると,集合体と集合体の間に適当な大きさの間隙が構成され,植物に吸収さ れうる水の量を増やすことができます.このように土の水供給能力には土粒子の集合の仕方,つまり 土壌の構造が適切であることが重要です. 0.1 1 10 100 1000 (- kPa) 60 40 20 粘土質土 砂質土 -3 kPa -1500 kPa (pF 1.5) (pF 4.2) 長さ 5.61 有効水分 図 図図 図 8888....土土土土のの保水曲線のの保水曲線保水曲線保水曲線のののの例例例例

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2.3 2.3 2.3 2.3 土土の土土のの組成の組成組成と組成と酸素とと酸素酸素酸素のののの供給供給供給供給 植物は呼吸に必要な酸素の大部分を大気から吸収しますが.水生植物やたん水中の水田で生育する イネのような例を除けば,根の呼吸に必要な酸素は土の空気から吸収します.根が呼吸すると酸素は 吸収され二酸化炭素が排出されます.根と同様に土に生息する多くの微生物や小動物も呼吸しますか ら,表 1,図 4 に示すように土の空気の酸素濃度は低下しがちです.土の間隙は,お互いどこかでつな がっているので,土の間隙は大気とつながっています.このため,高濃度の二酸化炭素は大気へ出て 行きその代わりに酸素が流入するのですが,この速度は間隙が小さいと遅くなります.根へ十分量の 酸素が供給されるためには,気相率がある程度以上あることが必要ですが,それと同時にある程度大 きな間隙があることも必要になります.水の供給の場合と同様,酸素の供給にとっても土の構造が重 要です. 2. 2.2. 2.4444 土土土の土のの組成の組成組成と組成と土壌溶液とと土壌溶液土壌溶液土壌溶液からのからのからのからの養分養分の養分養分ののの供給供給供給 供給 養分吸収 養分吸収養分吸収 養分吸収はは土壌溶液組成はは土壌溶液組成土壌溶液組成土壌溶液組成ででで決で決決決まるまる まるまる - --土耕-土耕土耕土耕はは土壌溶液はは土壌溶液土壌溶液土壌溶液をををを用用用用いたいた養液栽培いたいた養液栽培養液栽培養液栽培であるであるである-である--- 表 4 に示したように,植物は養分の大半を土壌溶液から吸収します.養液栽培の場合と同様土耕栽 培の場合も土壌溶液が多くの植物養分の給源となっています.土壌溶液は文字通り様々な溶質を溶解 した溶液であり,植物はこの溶液から比較的単純な形態の養分を吸収しています.表 4 に主な吸収形 態を示しましたが,これ以外の形態のものは吸収しないというわけではありません.たとえば窒素化 合物としてはアミノ酸や,かなり大きいタンパクも吸収されることが知られています.ただし,普通 に施肥している農用地では土壌溶液に溶存する窒素化合物のうちこれらの占める割合は低いので,こ れらの形態での吸収割合は小さいといえます. 最近までの研究で,大部分の養分や生育阻害成分など,根を通しての各種物質の吸収は土壌溶液の 組成によって決まると言っても過言でないということがわかっています.いくつかその例を示します. 図 9 は,養液栽培と土耕栽培によってキャベツ幼植物を短期間生育させ,その間の相対生育量と溶液 中のマンガン濃度の関係を見たものです.マンガンは必須元素ですが,吸収しすぎると生育を阻害し ます.この研究は阻害作用の方に注目したものです.図からわかるように,養液栽培では培地の溶液 中のマンガン濃度が 1 mg/L を越えるあたりから生育が悪くなっています.図中の●,▲,■はそれぞ れ別の土を用い,その土壌溶液のマンガン濃度をコントロールして栽培した結果です.土の種類に関 係なく,土壌溶液中のマンガン濃度がやっぱり 1 mg/L を越えるところあたりで生育障害が始まってい ます.このようにみると,養液栽培と土耕栽培の間には何ら差はないと言えます.つまり土耕栽培と いうのは,土壌溶液を用いた養液栽培なのです.

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〇 養液栽培 ● 土耕栽培 ▲ 異なる記号は ■ 異なる土 溶液中のマンガン濃度/ mg/L 0.01 0.1 1 10 100 100 50 0 図 図 図 図 9999....キャベツキャベツキャベツ幼植物キャベツ幼植物幼植物の幼植物のの養液の養液栽培養液養液栽培と栽培栽培ととと土耕栽培土耕栽培土耕栽培における土耕栽培におけるにおけるにおける溶液中溶液中溶液中溶液中マンガンマンガン濃度マンガンマンガン濃度濃度濃度とととと生育阻害生育阻害生育阻害生育阻害とのとのとのとの関係関係(関係関係(((伊藤伊藤伊藤,伊藤,1984,,198419841984).).).). このような研究には大きな手間がかかるため,研究はまだ十分ではありませんが,特に微量元素を 中心に,養分の吸収量は土壌溶液中の濃度に依存することを示すデータが集積しつつあります.図 10 はキュウリのマグネシウム含量とそれを栽培した土壌溶液におけるマグネシウムイオンの占める割合 との関係を示しています. 0 50 3 2 1 0 土壌溶液中全陽イオンに占めるマグネシウムの割合/% 図 図 図 図 101010.10...キュウリのマグネシウムキュウリのマグネシウムキュウリのマグネシウムキュウリのマグネシウム吸収吸収吸収と吸収と土壌溶液とと土壌溶液土壌溶液土壌溶液にににに占占占占めるマグネシウムイオンのめるマグネシウムイオンのめるマグネシウムイオンのめるマグネシウムイオンの割合割合と割合割合とととののの関係の関係関係関係(((伊藤(伊藤,伊藤伊藤,,,1984198419841984)))).. .. マグネシウムイオンのような多量元素で,土壌溶液中のイオン濃度も比較的高い場合には,図 9 に 示したマンガンの例のようにそのイオン単独の濃度だけでは吸収速度は決まらず,他のイオンとの競 合が問題になります.キュウリによるマグネシウム吸収が,マグネシウムイオン単独の濃度でなく, 土壌溶液中の全陽イオンに占めるマグネシウムイオンの割合と高い相間を持つのはこのような理由に よるものと考えられます. 例は十分ではありませんが,植物の養分吸収は土壌溶液組成で決まる,つまり土耕栽培は土壌溶液 を用いた養液栽培に他ならないということがわかると思います. 土壌溶液中 土壌溶液中土壌溶液中 土壌溶液中ののの養分溶存量の養分溶存量養分溶存量養分溶存量はは少はは少少少ないないない ない では,土壌溶液には作物を栽培するために必要な養分が溶存しているのでしょうか?図 11 には,土 壌溶液における植物養分の主な溶存形態とおおよその濃度範囲を示しています.横軸は対数目盛りで あることに注意してください.濃度範囲はかなり広くとっています.たとえば硝酸イオン濃度の上限

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は 0.1 mol/L 程度となっていますが,これは塩類障害が発生しているようなビニールハウスの表層土で みられるような濃度であり,普通はこのような濃度で存在することはありません.他の養分について も同様で,濃度範囲の中間よりもやや低めの濃度が普通に見られる濃度だと考えてください. いま,ある土の作土の厚さが 15 cm だったとします.その土の作土中の土壌溶液に含まれる養分の 量を計算してみましょう.計算は次の通りです: まず土のかさ密度(仮比重)を 1 g/cm3(=1000 kg/m3)とします.そうすると 1 ha の農地の 15 cm 厚 さの作土の乾土量は 100 m×100 m 0.15 m 1000 kg/m× × 3=1.5 10 kg = 1500 t× 6 となります.この土の土壌溶液に含まれる養分元素の量は 6 1.5 10 kg/ha (mol/L) /kg/ha 1000 × ×含水比(L/kg) 濃度× ×養分元素原子量 養分元素量 = (11) で与えられます.上の式で含水比の単位を L/kg としていますが,含水比の単位は普通は kg 水/kg 乾 土です.ただ,水 1 kg は 1 L ですので分子の 1 kg を 1 L で置き換えて使っています.いま,含水比が 0.25 L/kg とし,図 9 に示した各養分の濃度範囲の真ん中あたりの濃度を用い,上の式にしたがって 1 ha の農地の土壌溶液に溶存している養分元素の量を計算してみます.結果は表 5 に示します. 図 図 図 図 11111111...土壌溶液中.土壌溶液中での土壌溶液中土壌溶液中でのでのでの必須元素必須元素必須元素必須元素のの主のの主主な主ななな溶存形態溶存形態と溶存形態溶存形態ととと濃度範囲濃度範囲濃度範囲.濃度範囲.. .

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表 表 表 表 55.55...含水比含水比含水比 0.25 L/kg含水比0.25 L/kg の0.25 L/kg0.25 L/kgののの農地農地農地農地のののの表層表層 15 cm表層表層15 cm15 cm15 cm のののの土壌溶液土壌溶液土壌溶液土壌溶液にに溶存にに溶存溶存する溶存するするする養分元素量養分元素量養分元素量養分元素量 元素 計算に用いた濃度/ mol/L 存在量/ kg/ha N 3×10-3 15.7 Ca 3×10-3 45 K 2×10-3 30 S 2×10-3 24 Mg 2×10-3 17.2 P 1×10-4 1.2 Mn 1×10-4 2.0 Cu 2×10-6 0.047 Zn 2×10-6 0.049 B 1×10-4 0.40 Mo 1×10-7 0.0036 Si* 1×10-4 1.05 *:ケイ素の濃度は図 9 には掲載されていない. 一方,表 5 にはいくつかの作物の 1 ha あたりの収量と,その収量を上げるために 1 作あたり 1 ha の 土から吸収した元素の量を kg 単位で示しています.計算のために用いた濃度は,多量成分に関しては 表 2 に示す普通畑の土壌溶液中濃度と大体同じです.表の最後の行のケイ素の濃度は図 9 には示され ていませんので,いくつかの測定値の平均を用いました.土壌中に存在するケイ素の化合物で最も溶 解度の高いのはケイ藻の骨格成分である非晶質シリカで,溶解度は 2×10-2 mol/L です.ですから,土 壌溶液のケイ素濃度はいくら高くてもこれを越えることはありません.もし土壌溶液の濃度がこの最 大値だとしても 1 ha の農地の土壌溶液に溶存する量は 21 kg にしかなりません. この計算結果と比較するため,表 6 にはいくつかの作物の 1 作あたりの収量と元素の 1 ha あたりの 吸収量を示しています.これは北海道で実際に測定された値です.表 5 と表 6 を比較するとすぐわか るように,大部分の養分元素に関しては,土壌溶液中の養分元素の溶存量は表に示した作物を 1 作栽 培するためには足りません.どの作物に対しても十分なのはカルシウム程度です.窒素,カリウムや リンなどの多量要素は必要量の 1/10 程度しか溶存していません.銅や亜鉛などの微量要素についても 1/10 程度です. 表 5 の試算に用いた土壌溶液中の養分元素の濃度は平均的な値であり,これよりもずっと高いこと もあります.また施肥直後の土壌溶液中の養分濃度は試算に用いた濃度よりも高いと考えられます. しかし,施肥直後でも,アンモニウムイオン,カリウムイオン,リン酸イオンなどの濃度は表 5 に示 した値の 10 倍になることはありません.なぜなら,肥料として供給されたこれらの養分の大半はいっ たん土に吸着されてしまうからです.そして,植物による吸収によって土壌溶液中の濃度が低下する と徐々に放出されてくるのです.肥料として定期的に与えられることの少ない微量要素は,その大半 が土の鉱物や腐植物質に吸着保持されており,徐々に土壌溶液中に放出されてきます.

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表 表 表 表 6666...いくつかの.いくつかのいくつかのいくつかの栽培植物栽培植物栽培植物栽培植物のの 1のの111 作作作作あたりのあたりのあたりのあたりの収量収量収量収量およびおよび元素吸収量およびおよび元素吸収量元素吸収量元素吸収量...単位.単位単位単位はは kg haははkg hakg hakg ha----1111 .. . コムギ トウモロコシ ダイズ バレイショ 収量* 3830 6160 2750 10520 N 152 165 235 224 P 25 33 21 33 K 140 200 90 322 Ca 20 33 35 56 Mg 11 17 18 27 Fe 2.03 1.61 0.55 1.86 Mn 0.60 0.71 0.37 1.37 Zn 0.23 0.31 0.15 0.35 Cu 0.07 0.11 0.06 0.07 B 0.12 0.21 0.44 0.36 Mo 0.006 0.0013 0.0016 2.3 Na 2.00 3.05 0.96 1.77 Si 567 340 60 40 ( (( (田中田中田中,田中,,, 1979197919791979)))) 土耕 土耕土耕 土耕はは土壌溶液はは土壌溶液土壌溶液土壌溶液をををを用用用用いたいた養液栽培いたいた養液栽培養液栽培だが養液栽培だがだが,だが,,,養分養分の養分養分ののの大半大半大半大半はははは固相固相に固相固相ににに貯蔵貯蔵貯蔵されている貯蔵されているされている されている 土耕栽培は土壌溶液を用いた養液栽培といいました.確かに,植物が直接吸収するのは土壌溶液に 溶存している養分のみです.植物による養分吸収の速度は,そのときの土壌溶液の組成によって決ま ります.しかし,土壌溶液に溶存しうる養分の量は作物の生長に必要な養分量のごく一部です.作物 による吸収によって土壌溶液中の養分濃度が低下すると,様々な機構によって,土壌の固相部に存在 する養分が土壌溶液に放出され,それがまた作物に吸収されます.結局,作物の播種・植え付けから 収穫までの間に吸収する養分の大半は土の固相から供給されたものということになります.土耕栽培 は,土の固相という養分の自動供給装置を備えた養液栽培なのです.

3

3

3

3.

.土

土の

の養分状態

養分状態・

養分状態

養分状態

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養分供給能

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の測定

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測定

測定

3.1 3.1 3.1 3.1 測定測定測定の測定ののの 4444 つのカテゴリーつのカテゴリーつのカテゴリーつのカテゴリー:::土壌溶液:土壌溶液,土壌溶液土壌溶液,,,土土土土のののの固相中固相中固相中固相中のの養分量のの養分量養分量養分量,,,土,土土の土ののの骨格構造骨格構造,骨格構造骨格構造,,,土土土土のの固相構成成分のの固相構成成分固相構成成分固相構成成分 土耕栽培は土壌溶液を用いた養液栽培ですから,ある時点で作物生育に適した状態であるかどうか を調べるには土壌溶液の量や組成を調べることが最も直接的な手段です.しかし,土壌溶液の量や組 成は,降雨,灌水,蒸発,植物による養分吸収によって時々刻々変化します.ある時点で採取して調 べた土壌溶液の状態というのは一瞬の状態を表すスナップ写真のようなものです.毎日,朝晩土壌溶 液の状態を調べることはとてもできません.ですから,あるときの土壌溶液の状態だけでなく,土の 固相に存在し,土壌溶液に移行することが可能な養分の量を把握しておくことも重要です. 作物の根に対する水や空気の供給は,それらの存在量だけでは決まりません.土の間隙が非常に微 細なものばかりなら,たとえ水が多量に存在しても植物の根は吸収できないこともあります.このよ うな場合には土の空気と大気との入れ替えも進みにくく,土の空気の酸素濃度が極端に低下しがちで もあります.このようなことについての情報を得るには,土の三相の体積割合,間隙の大きさの分布, 土の保水特性などを調べなければなりません. 土の養分状態や養分供給能を測定することの目的は,現状を把握することだけではありません.測 定結果から,作物栽培に適した状態でないと判断される場合には改良対策を講じなければなりません.

図 図 図
図 図 図 図 555 5... .表面水酸基表面水酸基表面水酸基 表面水酸基へのリン へのリン酸へのリンへのリン酸酸 酸イオンのイオンのイオンの イオンの結合結合 結合 結合   土に含まれる鉱物の大半は,土のもとになった岩石に含まれていた造岩鉱物と,造岩鉱物が変質し てできた二次鉱物(粘土鉱物)です.これらの鉱物は主としてケイ素,アルミニウム,鉄,酸素,水 素からなる鉱物です.土にはこの他にも様々な鉱物が含まれます.そのうち農用地で重要なものには, リン酸カルシウム,リン酸アルミニウムなどのリン酸塩鉱物
表 表表 表 444 4... .植物植物 植物の植物の の必須元素の 必須元素と必須元素必須元素と と主と主主 主なな な吸収形態な吸収形態吸収形態 吸収形態    1)  炭素   大気から二酸化炭素(CO 2 )として  2)  水素   土壌溶液から水(H 2 O)として  3)  酸素   大気,土壌空気から酸素分子(O 2 )として,土壌溶液から水(H 2 O)として  4)  窒素   土壌溶液からアンモニウムイオン(NH 4 + )または硝酸イオン(NO 3 - )として  5)  リン
表 表表 表 555 5... .含水比含水比 含水比 0.25 L/kg含水比 0.25 L/kg の0.25 L/kg0.25 L/kgの の農地の農地農地 農地ののの の表層 表層 15 cm表層表層15 cm15 cm 15 cm ののの の土壌溶液土壌溶液土壌溶液 土壌溶液に に溶存にに溶存 溶存する溶存するする する養分元素量養分元素量養分元素量 養分元素量    元素  計算に用いた濃度/ mol/L  存在量/ kg/ha  N  3×10 -3 15.7  Ca  3×10 -3 45
+5

参照

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