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異常高原子価Feイオンを含むペロブスカイト構造酸化物の電子相転移

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Academic year: 2021

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Title 異常高原子価Feイオンを含むペロブスカイト構造酸化物の電子相転移( Abstract_要旨 )

Author(s) 保坂, 祥輝

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2017-03-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k20203

Right 学位規則第9条第2項により要約公開

Type Thesis or Dissertation

Textversion none

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( 続紙 1 ) 京都大学 博 士( 理 学 ) 氏名 保坂 祥輝 論文題目 異常高原子価Feイオンを含むペロブスカイト構造酸化物の電子相転移 (論文内容の要旨) 本研究では異常高原子価Feイオンを含む新規な酸化物を合成し、それらが示す特異 な電子相転移について研究した。以下にその概要を述べる。 1. 異常高原子価 Fe イオンを含むペロブスカイト構造酸化物でこれまで報告された ものは、CaFeO3 や CaCu3Fe4O12 のように全て Fe イオンが三次元的につながった物質 である。本研究ではペロブスカイト構造の B サイトイオンの配列を制御することで Fe4+イオンが二次元に配列した層状ダブルペロブスカイト Ca2FeMnO6 を初めて合成 し、この Fe4+が低温で二次元の電荷不均化転移を示すこと、また電荷不均化状態では Fe3+と Fe5+イオンが二次元面内で市松模様に配列することがわかった。さらに、中性 子回折実験から、電荷不均化により生じた Fe3+と Fe5+イオンのスピンがノンコリアニ アーの特異な磁気構造をとることも明らかにした。 2. Feイオンの異常高原子価状態の不安定性を解消するために電荷不均化を起こす CaFeO3やCaCu3Fe4O12ではFeイオンの三次元ネットワークにおいてFe3+とFe5+が岩塩型

に配列するため、ブリージングモードフォノンのソフト化が電荷不均化転移に寄与し て い る と 考 え ら れ て き た 。 し か し な が ら 、 新 規 に 合 成 し た 層 状 ペ ロ ブ ス カ イ ト Ca2FeMnO6では、Mn4+の層に隔てられ二次元に配列したFe4+であっても電荷不均化転 移を起こすことから、この転移には実はフォノンなどの格子エネルギーの寄与が少な いことも考えられる。そこで、Fe4+がペロブスカイト構造のBサイトにおいて無秩序に 配列したCaFe1-xMnxO3 (x = 0.5 ~ 0.9)を合成し、Feイオンの三次元ネットワークが阻害 された配列環境において電荷不均化転移が起こるかどうかを検証した。その結果、Fe イオンがほとんど孤立した環境となるx = 0.9の組成においてもFe4+イオンは低温で電 荷不均化を起こした。このことは、電荷不均化においてFeイオンとそれに配位する酸 素からなる三次元ネットワークでのフォノンの寄与が著しく小さいことを示唆してい る。 3. 遷移金属イオンの異常高原子価状態の不安定性は、電荷不均化の他にカウンター カチオンの電荷変化を含むサイト間電荷移動によっても解消されることがわかってい る。本研究では異常高原子価Fe3.5+イオンをBサイトに含み、Aサイトにはサイト間電 荷移動のカウンターカチオンとなり得るBiを含んだペロブスカイトCa0.5Bi0.5FeO3を合 成した。この物質は室温からの冷却過程において240 Kで電荷不均化転移を、200 Kで は電荷不均化したFe4.5+とBi3+の間でサイト間電荷移動転移を起こすことが明らかに なった。異常高原子価Feイオンを含む酸化物で、温度変化によって逐次的に電荷不均 化転移とサイト間電荷移動転移を起こす物質はこれまで報告されておらず新規のもの である。

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(続紙 2 ) (論文審査の結果の要旨) 本論文は異常高原子価Feイオンを含むペロブスカイト構造酸化物に注目し、幾つ かの新規物質の合成を行い、それらの物質が異常高原子価Feイオンに由来する特異 な物性を示すことを明らかにしている。合成した物質は、Fe4+を含む層状ダブルペ

ロブスカイトCa2FeMnO6とBサイト無秩序ペロブスカイトCaFe1-xMnxO3、Fe3.5+を含む

Ca0.5Bi0.5FeO3で、おのおのの示す特異な電子相転移について研究したものである。 層状ダブルペロブスカイトCa2FeMnO6では、二次元に配列したFe4+イオンが低温で 電荷不均化転移を示すことを初めて明らかにした。電荷不均化したFe3+とFe5+イオン は二次元面内で市松模様に配列し、さらにそれらのスピンがノンコリニアーな特異 な磁気構造をとることを明らかにした。 Bサイト無秩序ペロブスカイトCaFe1-xMnxO3では、異常高原子価Fe4+イオンの三次 元ネットワークが阻害された配位環境でも電荷不均化転移が起こることを発見し た。この結果は電荷不均化転移においてFeイオンとそれに配位する酸素からなる三 次元ネットワークでのフォノンの寄与が著しく小さいことを示唆するものである。

Ca0.5Bi0.5FeO3はBサイトに異常高原子価Fe3.5+イオンとAサイトにカウンターカチオ

ンとなるBiを含んでいる。この物質は、240 KでFe3.5+が電荷不均化転移を、200 K でBサイトのFe4.5+とAサイトのBi3+の間でサイト間電荷移動転移を逐次的に起こすこ とを見出した。異常高原子価Feイオンを含む酸化物で、温度変化によって逐次的に 電荷不均化転移とサイト間電荷移動転移を起こす物質はこれまで報告されておら ず、新規な電子相転移現象として重要なものである。 以上のように本研究では異常高原子価Feイオンに注目し、電荷不均化やサイト間 電荷移動を示す幾つかの新規ペロブスカイト構造酸化物の合成に成功した。 また、 Feイオンの異常高原子価状態の不安定性が解消される過程で起こる電子相転移現象 を実験で明らかにし、新たな知見が得られた。本研究で得られた結果は、遷移金属 イオンの基礎固体化学の本質を理解する上での重要なものである。 よって、本論文は博士(理学)の学位論文として価値あるものと認める。また、 平成29年1月18日、論文内容とそれに関連した事項について試問を行った結果、合格 と認めた。 要旨公表可能日: 年 月 日以降

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