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中学公民の経済分野における学習内容の変化 : 新学習指導要領下の社会科教科書に基づく一考察(投稿原稿(査読付))

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Ⅰ.はじめに

 本稿は,2012 年度の中学校の新学習指導要領への 全面移行に伴い,中学校社会科・公民的分野(本稿で は,以下「中学公民」と略す)の経済分野における学 習内容の変化を教科書に基づいて調査し,教授上の注 意点などを検討する。  本稿の第一の目的は,今回の改訂により教科書の記 載がどのように変化しているかをいち早く調査するこ とである。これまでも,新学習指導要領およびその解 説に基づき,どのように授業が行われるかについては, 経済分野に限らず公民的分野全体に関して多くの研究 がなされてきた。たとえば,峯岸(2009),舘(2010), 宮原(2010)などでは,「対立と合意」「効率と公正」 の概念も活用して,新指導要領に対応して,どのよう に指導すべきかが示されている。ただし,実際の教科 書が未公刊だったため,教科書に基づく研究はこれま で少なかった。  社会科公民的分野の教科書は,旧学習指導要領下の 2011 年度には 8 冊が,現行学習指導要領下の 2012 年 度には 7 冊が,出版されている(本稿では,以下,前 者を「旧要領」,後者を「新要領」と記す)。特に 3 年 次に履修する公民は,2012 年度のうちに高校入試対 策まで行う必要があり,具体的な教科書の記述や出版 社間の相違を早期に調査することは重要である。  また,新たに記載されるようになった用語や概念に ついて,中学生が理解するためにいかなる教授法が適 しているかを提案することも本稿の目的である。新た な概念については,指導法についての研究が積極的に 進められていくことになる。本稿では,大学の教科書 での説明などとも比較しながら,平易な説明方法につ いて検討していく。  さらに,用語の解説も含め,何をどのように教える べきかについても検討する。今回の改訂により,記載 が少なくなった用語,新たに記載されるようになった 用語,双方が存在する。しかしながら,重要なことは 用語の意味そのものではなく,現代社会の仕組みや経 済の制度にどのように関わっているか,持続可能な社 会の形成にいかに関わるかなどの理解である。用語の 有無にかかわらず,実際の説明内容は変化していない ケースも多い。また,新たに記載されるようになった 内容についても,細かいところまで教える必要がある か否か,見解の分かれる部分もあると思われる。本稿 では,いくつかの学習項目を挙げ,検討していく。  本稿の構成は,以下の通りである。第Ⅱ節では,新 要領下での目標や教科書について説明する。第Ⅲ節で は,新要領になって説明が少なくなったり記載されな くなったりした内容について検討する。第Ⅳ節では, 旧要領にも記載されていたものの新要領から内容が充 実した学習項目について考察する。第Ⅴ節では,旧要 領では記載がなく新要領から新たに解説されるように なった概念などの教授法について検討していく。第Ⅵ 節では,結びとして今後の課題について言及する。

Ⅱ.新学習指導要領と教科書

 新要領下の公民的分野では,学習項目が「私たちと 現代社会」「私たちと経済」「私たちと政治」「私たち と国際社会の諸課題」の 4 つの大項目に分かれる。本 稿では,2 番目の大項目における中項目「市場の働き と経済」「国民の生活と政府の役割」に関わる経済教 育の内容について,いくつかのトピックをあげ,検討 していく。  教科書は,旧要領下の 2011 年度には,7 社から 8 冊 公刊されている1)(表1参照)。新要領下の2012年度に

Article

The Journal of

Economic Education No.31, September, 2012

論文

中学公民の経済分野における

学習内容の変化

─新学習指導要領下の社会科教科書に

基づく一考察─

The Changes of Study Content of the Economic Part in Civic Field at Junior High School : A Consideration on Textbooks of Social Studies

Based on the New Course of Study

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は,7 社から 7 冊公刊されている(表 2 参照)。  今回の指導要領改訂により,公民的分野の学習時間 は,85 単位時間から 100 単位時間に増加した。指導要 領解説では,「対立と合意」,「効率と公正」のキー ワードが繰り返し用いられ,2)それをもとに現代社会 の見方や考え方を養成するような学習が望まれている。 また,用語の説明にとどまることなく,現代の社会生 活とどのように結びついているかという学びが必要と されている。  中学校社会科の改訂にあたっては,具体的な教育上 の改善方針の一つとして,「言語活動の充実」が挙げ られている。とりわけ公民的分野では,指導要領改訂 に関する中央教育審議会の答申において,現代社会を 理解するために,自らの意見をまとめ,議論を行うよ うな教育スタイルが,具体的改善事項にあがってい る。3)経済分野では,ここで指摘されているような現 実の資料を調べ,自らの意見をまとめ,議論を行うの に適した項目も多い。本稿では,考えられる議論の題 材なども考察していく。

Ⅲ.説明が簡略化された項目

1.独占と独占禁止法  市場の独占に関する項目では,説明の詳細さに変化 が見られる。「独占(あるいは独占価格)」「独占禁止 法」「公正取引委員会」の用語については,旧要領で も新要領でも,すべての教科書に記載されている。た だし,新要領では,本文・脚注では言及されず,付録 の「法令集・独占禁止法」の中でそれらの用語が確認 されるケースもある。  どのように簡略化されたか,教育出版社を例に説明 したい。旧要領では,「売り手が少数の場合を寡占と いい,ただ一つしかない場合を独占といいます。」4)と, 独占と寡占の厳密な相違まで説明していた。しかしな がら,新要領では,本文内でのそれらの用語の直接的 説明はないまま,表内の「独占価格」において,「市 場を独占する企業が,一方的に決める価格」5)として, 説明されるだけである。  一般に用いられる「独占」の用語には,狭義と広義 の二つがある。真に一社のみで市場を支配している狭 義の意味の場合と,数社により市場を支配している広 表 1 旧学習指導要領下での教科書(2011 年度) 出版社 教番 タイトル 東京書籍 公民 909 新編 新しい社会 公民 教育出版 公民 911 中学社会 公民 ともに生きる 清水書院 公民 912 新中学校 公民 改訂版 日本の社会と世界 帝国書院 公民 913 社会科 中学生の公民 地球市民をめざして 初訂版 日本文教出版 公民 910 中学社会 公民的分野 日本文教出版 公民 914 中学生の社会科 公民 現代の社会 扶桑社 公民 915 中学社会 新訂版 新しい公民教科書 日本書籍新社 公民 916 わたしたちの中学社会 公民的分野 文部科学省「中学校用教科書目録(平成 23 年度使用)」の p.4-p.5 より筆者が抜粋。http://www.mext.go.jp/component/ a_menu/ education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/05/17/1293920_1.pdf に 2012 年 4 月 19 日にアクセス。 表 2 新学習指導要領下での教科書(2012 年度) 出版社 教番 タイトル 東京書籍 公民 921 新しい社会 公民 教育出版 公民 922 中学社会 公民 ともに生きる 清水書院 公民 923 新中学校 公民 日本の社会と世界 帝国書院 公民 924 社会科 中学生の公民 よりよい社会をめざして 日本文教出版 公民 925 中学社会 公民的分野 自由社 公民 927 新しい公民教科書 育鵬社 公民 928 中学社会 新しいみんなの公民

文部科学省「中学校用教科書目録(平成 24 年度使用)」の p.4-p.5 より筆者が抜粋。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�p.4-p.5 より筆者が抜粋。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�.4-p.5 より筆者が抜粋。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�p.5 より筆者が抜粋。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�.5 より筆者が抜粋。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�www.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�.mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�mext.go.jp/a_menu/shotou/��ou�.go.jp/a_menu/shotou/��ou�go.jp/a_menu/shotou/��ou�.jp/a_menu/shotou/��ou�jp/a_menu/shotou/��ou�/a_menu/shotou/��ou�a_menu/shotou/��ou�_menu/shotou/��ou�menu/shotou/��ou�/shotou/��ou�shotou/��ou�/��ou���ou� �asho/mo�uro�u/23/__icsFiles/afieldfile/2011/04/25/1305342_02.pdf に 2012 年 4 月 19 日にアクセス。

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義の意味の場合とである。中学公民で学習する独占は, むしろ広義の意味の場合が多い。たとえば,「独占禁 止法」の名称にある独占は広義であり,真に一社によ る市場支配だけを指すわけではなく,教科書に記載さ れる通り,複数社によるカルテルなども関連してい る。6)大学の経済学で学習する独占市場では,一社に よる市場支配のケースが多く,寡占(あるいは複占) と区別されて用いられる。7)  たとえば,東京書籍では,「特に,少数の大企業が 生産や販売市場を支配している寡占産業では,価格よ りはむしろ品質やデザインなどの面で競争するのがふ つうです。寡占化が進むと価格競争は弱まり,少数の 企業が足なみをそろえて,価格(独占価格と呼ばれ る)や生産量を決めることになりがちです。」8)とあり, 寡占を説明しながらも,複数の企業により決められて いる価格も独占価格と呼んでいる。  いずれにしても,この学習項目においては,独占に 狭義と広義の意味があることを教えるのが望ましいと 思われる。また,寡占については掲載されていない教 科書もあるが,独占と寡占の相違についても説明した ほうが,理解がしやすくなる。中学公民に掲載される 市場占有率のグラフにおいてしばしば目にする自動車 やビールといった産業は,典型的な寡占市場である。  なお,独占禁止法におけるカルテルをもとに,「対 立」と「合意」の観点から議論することも可能である。 一般には,「対立」よりも「合意」のほうが望ましい と思われるが,企業間の競争から見た場合,逆の説明 になる。カルテルについていえば,企業間が公正に競 争するならば,よい意味での「対立」であり,結果と して低費用で良質の商品が開発されていく。価格競争 や製品差別化競争につながれば,消費者も選択の余地 が増え,経済は効率的な状況に向かっていく。大学の 経済学であれば,いわゆる完全競争市場に向かってい く。逆に,企業間で不正に設定価格の「合意」がなさ れれば,カルテルの形成となる。それは,非効率な生 産状況に陥りやすく,消費者も高い出費を伴うことに なる。授業であれば,生徒をいくつかのグループに分 け,複数の企業と消費者の役割をそれぞれ担わせるこ とで,なぜカルテルの誘因があるか,またカルテルな どによる独占価格の設定がなぜ消費者にとって望まし くないかを理解させることも可能である。  なお,独占禁止法の学習では,私的な独占すべてが 禁じられているわけではない9)ことも,教授すべきで ある。他のライバルを不当に排除したり,原材料の供 給者を支配したりする行為により,公正な競争を経ず に,独占的地位を獲得しようとする行為を禁ずるもの である。効率性を追求する努力を行い,他社が模倣で きない技術や製品を開発した結果として,市場占有率 が高まること自体は,決して禁じてはいない。変化し ていく社会に対応する商品や技術を開発しようと努め ることで,公正な競争が生じ,場合によっては他社が 追随できないような成果が得られるかもしれない。こ のような技術革新が持続可能な社会の形成につながっ ていくことも,教えなければならない。  このように,独占や独占禁止法にまつわる内容は, 新指導要領になり簡略化されてはいるが,重要な概念 である。教科書に詳細な説明がない場合でも,独占・ 寡占の相違や独占禁止法の意味合いについて,説明さ れるべきである。 2.拡大再生産  学習指導要領改訂に伴い記載が少なくなった用語の 1 つに,「拡大再生産」が挙げられる。旧要領では 3 社 に記載があったが,新要領では 1 社でのみ記載が確認 される。10)  しかしながら,用語の明示がなくなっただけで,実 質的にその説明は変わっていない場合がある。旧要領 下で記載されていた出版社の一つは,清水書院である。 小項目「自由競争と技術革新」において,「(前略)お なじ規模の生産・販売をくり返すだけでなく,入手し た利潤をもとの資本につけ加えて,より大きな資本を もとに次の生産を行う(拡大再生産)。」11)と記載され, 図示もあった。新要領では,小項目「企業による利潤 の追求」12)において,図示はなくなったものの,まっ たく同じ文章の説明があり,単に最後に(拡大再生 産)の用語が明記されていないだけである。  また,教育出版では,旧要領でも新要領でも「拡大 再生産」の明示はない。しかし,新要領下では,資本 主義経済の説明とともに,小項目「私企業と資本主義 経済」において,「利益は出資者どうしで分け合うか, あるいは企業の内部に残して,新たな活動資金として 使われます。」13)といった説明とともに,拡大再生産 を表わす図示がなされるようになった。これは旧要領 下において対応する同小項目「企業のはたらき」14) は掲載されていなかったものである。  このように,用語が明示されなくなったからといっ て,学習内容自体は削減されてはいないケースも確認 される。この項目で重要なことは,「拡大再生産」の 用語の意味を知ることだけではなく,その仕組みが企 業や経済にどういう影響を与えるかといった内容であ

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る。これは,株式の意義,資金の循環,企業の成長, ひいては経済の成長に関わることである。特に企業経 営の立場でいえば,利潤を配当として出資者に配分す るか,内部留保として次期の生産のために用いるか, バランスを考える必要がある。  授業内では,生徒が企業の経営者と出資者の立場に 分かれて,どのように利潤の余剰を用いるべきか検討 する学習方法が考えられる。企業の利潤増大のために は研究開発や増産のための投資が必要であり,また資 金を継続して調達するためにはそれ相応の配当を出す 必要がある。  現実に両者が直接的に合意を形成する場面は少ない が,いわゆる「対立と合意」で検討することができる。 出資者からみれば,配当は多いほうがよいが,多すぎ れば企業の成長が低下し,将来的な配当の受け取りが 減少するかもしれない。経営者側からみれば,再投資 の額は多いほうがよいが,多すぎれば配当の減少によ る出資者減少につながる恐れがあり,長期的に安定し た資金確保が困難になるかもしれない。実際には,一 方が増えれば,他方にとって損失が生じるとは限らな い問題である。また,長期と短期の双方の視点が必要 である。企業の長期的な健全経営は両者の共通目標で あり,両者の合意が形成できるような配分になること が望ましい。  このように,用語の明示がなくなったとしても,考 えるべき重要な課題があるケースも多い。教科書の用 語の有無の確認はしやすいものの,それにこだわらず に教育内容を検討する必要があると思われる。

Ⅳ.説明が詳細になった項目

1.需要曲線と供給曲線  需要と供給の概念は,中学公民では必ず扱われる内 容である。図解がなされるのは旧要領では 8 社中 7 社 であったが,新要領では 7 社すべてで掲載されている。  ただし,「市場価格」と「均衡価格」の二つの概念 の相違は注意を要する。たとえば,帝国書院の説明で は,「市場価格のうち,需要量と供給量が一致する価 格」が「均衡価格」であり,(均衡とは限らずに)「市 場で決められる商品の価格」が「市場価格」である。15) 「均衡価格」については,旧要領では8冊中5冊でしか 掲載されなかったが,新要領では 7 冊すべてで解説さ れている。「市場価格」は,旧要領では8冊中5冊の記 載であったが,新要領では 7 冊中 6 冊で説明されてい る。  大学生向けの経済学の書籍でも,用語が必ずしも一 致しない場合がある。たとえば,井堀(2004)では, 需要と供給が一致する状況を均衡と表現しつつも,そ の価格を「市場価格」として説明している。16)これは, 中学公民での定義とは必ずしも一致しないので,注意 を要する。  また,中学公民では,需要曲線が右下がりになるこ とを説明するのに,しばしば生鮮食品の現実の取引 データが掲載される。現実の取引価格または取引量の データを明示しているのは,旧要領では 8 社中 7 社で あり,新要領では 7 社中 6 社である。  この分野は,教科書での掲載の有無に限らず,生徒 の調査学習に応用することが有用である。特に学習指 導要領の「3.内容の取扱い」では,「分野全体を通し て,習得した知識を活用して,社会的事象について考 えたことを説明させたり,自分の意見をまとめさせた りすることにより,思考力,判断力,表現力等を養う こと。また,考えさせる場合には,資料を読み取らせ て解釈させたり,議論などを行って考えを深めさせた りするなどの工夫をすること。」17)とある。生徒自ら がデータを調べて資料を作成し,解釈する学習に適し ている。出荷されずに廃棄される野菜の画像などは教 科書にしばしば掲載されるが,なぜそのような現象が 生じるか,考えることもできる。  たとえば,教育出版では,2010 年のキャベツの入 荷量(月次データ)のみが棒グラフで示されている。18) これだけでは,価格の変動までわからない。ただし, 生徒が月次の価格のデータを調べ,図上に書き込めば, 取引量(収穫量)が少ないときに価格が高騰しやすい ことがわかる。データは東京都中央卸売市場の市場統 計情報(月報・年報)で調べることができる。19)図 1 は,教科書には棒グラフのみ掲載されているところを, そのデータをもとに,価格の折れ線グラフも描き込ん だものである。また,同時に需要量と価格の組み合わ せとして見た場合,必ずしも教科書で描かれるような スムーズな右下がりの関係になるとは限らないことも わかる。  教科書に掲載があるか否かに関わらず,実際の調査 学習としては,教科書に掲載されていないいくつかの 野菜などを,グループごとに別々に指定することが考 えられる。互いに発表しあうことで,学習効果も高ま ると思われる。  なお,当該分野の調査学習は,調べ方により,さま ざまな考察が可能である。たとえば,生鮮食品では,

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季節性のあるものとないものを比較することも可能で ある。清水書院では,2010 年の卵とほうれんそうの 価格(東京都区部の月次データ)のみが折れ線グラフ で示され,卵のほうが価格の変動が小さいことに気づ かせるデータとなっている。20)工業製品と生鮮食品の 価格の相違を,長期的に比較することも可能である。 東京書籍では,電子レンジ,トマト,ビールに関し, 1987 年以降の年次データを折れ線グラフで示してい る。21)電子レンジの価格が 2000 年にかけて大きく低 下していること,トマトの価格の変動が激しいことな どが解釈できる。これらも,先述のように,生徒の調 査学習に応用することが可能である。  このように,需要と供給に関する項目は,均衡価格 や図解の明示が増え,新要領になり説明が詳細になっ た。現実のデータの取り方などは,教科書ごとに違い があり,それぞれ工夫が見られる。掲載のないデータ などに関しては,調査学習などで応用することで,考 察力を深めることが期待できる。 2.直接金融と間接金融  新要領下で詳細に解説されるようになった項目に, 企業の資金調達がある。特に,「直接金融」「間接金 融」の用語については,学習指導要領解説で言及され ていたため,記載されるであろうことは教科書出版以 前より指摘されていた。22)新要領では 7 社中 6 社で明 示されるが,旧要領ではいずれの出版社でも記載され ていなかった。ただし,旧要領でも,その用語の明示 はなされずとも,その解説自体はあった。  たとえば,旧要領での清水書院では,「企業は資金 を調達するために,株式を発行したり銀行などから借 り入れるほかに,社債を発行したり,利潤の一部を積 み立てておく積立金などの内部資金を増やしたりして いる。」23)という説明がある。実質的には,資金調達 方法として,直接金融と間接金融が解説されている。  この意味では,直接金融・間接金融の用語が導入さ れたことにより,新たな教授法が必要になるわけでは ない。むしろ,資金を需要する側と供給する側と,そ れぞれの観点から解説することが必要であるかもしれ ない。教科書において,これらの用語は,資金の需要 側の企業の観点からの説明が主となっているためであ る。  市民の金融教育という観点からは,家計が余裕資金 をいかに運用するかといった学習も必要である。大雑 把にいえば貯金か,債券か,株式かといった選択につ いて,供給側である家計の立場から考えることも必要 である。24)それぞれ,貸し手の家計にとってリスクと リターンの程度に差異があるわけで,今後の金融経済 教育には不可欠な要素であると思われる。  また,金融機関の役割についても,きちんと教授す ることが期待される。金融機関は,資金の余っている ところから不足しているところに融通することで利益 を上げている。ただし,その仲介だけが目的ではなく, それにより企業・産業を発展させ,地域を活性化させ ることも重大な使命である。「効率と公正」の観点か らは,金融機関が,多くの資金需要者の中から公正に 融資先を選択し,限りある資金をいかに効率的に配分 するかを検討していることを説明することが望まれる。 たとえば,プロジェクト案のあるいくつかの企業が, 融資を希望するケースを想定する方法が考えられる。 生徒に金融機関と各企業の役割を担わせ,すべての企 業に少しずつ融資する場合と,優れたプランをもつ企 業に重点的に融資する場合と,経済全体への影響を考 え,一長一短を検討する方法が考えられる。 入荷量 平均価格 0 5 10 15 20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 図 1 キャベツの月別入荷量(単位千 t)と kg あたり平均価格(2010 年 東京都中央卸売市場年報) 教育出版・公民 922 の p.128 のグラフに,筆者が平均価格のデータを追記

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Ⅴ.新たに説明されるようになった項目

1.預金通貨の創造  新要領になり,預金の創造について新たに説明して いる教科書がある。これは,旧要領ではどの教科書で も言及されなかった内容である。東京書籍には,「預 金通貨の創造」の項目で,「銀行の貸し出しはふつう, 銀行口座への振り込みによって行われます。つまり借 り手は貸し出されたお金を銀行に対する預金として持 ち,この預金でさまざまな支払を行います。預金の一 部は現金化されるかもしれませんが,多くは預金のま まで預金通貨として流通します。そのため,銀行は手 持ちの資金の数倍の資金を貸し出すことができま す。」25)とある。高校公民で掲載される信用創造の仕 組みと類似の考え方であるが,実際には異なるので注 意が必要である。  この仕組みは,図解を用いた方が理解しやすい。以 下に,簡単にモデルを提示する(図 2 参照)。ここで は,消費者 A が企業 B に 100 万円を支払う必要がある 場面を想定する。消費者 A は余裕資金がないため, 市中銀行 X から融資を受けるとする。便宜上,この モデルに登場する消費者・企業はすべて市中銀行 X に口座を所有するものとする。実際には,それぞれ異 なる銀行に口座を所有していても,結論は変わらない。  このとき,貸し出す手持ち資金が市中銀行 X にな く,中央銀行から 100 万円の資金を受けたと仮定する。 中学公民の記載に添えば,公開市場操作により中央銀 行が国債を購入したことを説明すればよい。公開市場 操作の用語自体はすべての教科書に明示されてはいな いが,国債の売買で通貨量をコントロールすることは すべての教科書で説明されるためである。  ここで,消費者 A は融資を受けた 100 万円を,企業 B の口座に振り込むことになる。このとき,企業 B は 全額おろさずに,1 割の 10 万円だけ現金として所有し (便宜上 1 割としたが割合は任意である),90 万円は銀 行に預けたままであるとする。この時点では,現金 90 万円と預金 10 万円で,合計 100 万円に変化はない。  次に,市中銀行 X は余裕資金が 90 万円あるから, その次の融資を検討することになる。26)たとえば,企 業 D に対して 90 万円の支払いの必要がある消費者 C に融資したと仮定する。このとき,消費者 C の口座か ら企業 D の口座に,90 万円の入金がある。先と同じ 理由で,企業 D は 1 割の 9 万円だけ現金化し,残りの 81 万円を預けたままであるとする。  ここまでのステップを振り返ると,現金は,企業 B の 10 万円と企業 D の 9 万円とで,合計 19 万円である。 預金についていえば,企業 B の 90 万円と企業 D の 81 万円とで,171 万円の預金額が存在する。市中銀行 X の融資額は,消費者 A への 100 万円と消費者 C への 90 万円とで,合計 190 万円となっている。この時点で, 中央銀行から受けた市中銀行 X の手持ち資金 100 万円 が,190 万円の融資を生み出し,171 万円の預金を創 り出していることが分かる。もちろんこのプロセスは, この後も続いていく。  また,このモデルは,生徒それぞれに市中銀行 X, 消費者 A・C,企業 B・D の役割を課すことで,実演 させることが可能である。教諭が中央銀行の役割とし て,模擬紙幣 100 枚を市中銀行 X に供給するとよい。 このステップをさらに繰り返しても,教室内には,明 らかに 100 万円分の現金しかないが,預金は口座上で 100 万円以上に増えていく。  大学入門レベルのマクロ経済学では,信用乗数(あ 中央 銀行 現金 9万円 100万円 100 万円 100万 市中 銀行X 市中 銀行X 消費者A 預金 90万円 企業B 現金 10万円 消費者C 90 万円 90万 預金 81万円 企業D 図 2 預金通貨の創造に関するモデル例

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るいは貨幣乗数)として,扱われる内容である。一般 には数式による公式導出に至り,貨幣乗数は,「(現金 通貨+預金通貨)/(現金通貨+預金準備)」として説 明される。(現実にはないことであるが,)前述の説明 であれば,預金準備が 0 となるため,この乗数は 1 よ り大きくなる。一般に高校公民で説明される信用乗数 は,これとは別の仮定が効いている。高校の教科書で 図解されるケースでは,(これも現実にはないことで あるが)現金通貨が 0 とされているため,乗数は 1 よ り大きくなる。  ただし,中学公民の経済教育では,このような乗数 まで検討する必要はない。だからと言って,「預金通 貨の創造」という用語だけ理解して終わるのも,適切 ではない。学習指導要領解説でも,単なる用語や制度 の抽象的な説明にとどまらないよう,注意がなされて いる。27)  中学校では,「少ない手持ち資金でなぜ預金が増え ていくのか」を適切に教授すればよいと思われる。従 来の教科書では,預金は家計の資産運用の一手段であ り,結果として資金を必要としている企業などに融資 が行われる説明がなされる。確かに,銀行がその仲介 役として重要な役割を果たしているが,預金にはさら なる役割があるのである。少ない手持ち資金であって も,預金を通じ,多くの融資を生み出し,貨幣の流通 量を増やすことができるのである。預金通貨の創造で は,このような役割も伝えるべきである。 2.外部効果  旧要領で見られなかった新しい概念の他の例として, 外部効果がある。すべての教科書に記載されているわ けではないが,自由社では,「市場経済では,商品は 個人によって購入され,消費されますが,その消費の 効果は,個人をこえて広く社会におよぶことがありま す。これを経済の外部効果といいます。外部効果には マイナスのものとプラスのものがあります」28)とある。 そして,プラスの例として教育を,マイナスの例とし て自動車の排気ガスを挙げている。  この項目は,高校公民では,プラスの場合を外部経 済,マイナスの場合を外部不(負)経済として扱うこ とが多い。外部効果により社会的に与える損失(社会 的費用)と生産にかかる私的費用(経済的費用)とに 分けて表現されることもある。29)ただし,中学公民で は扱われなかった内容であり,教授の際には新たな準 備が必要である。  大学の経済学でも取り扱われる内容である。たとえ ば,井堀(2004)では,前者の例としてタバコの煙に よる非喫煙者への健康被害,二酸化炭素やフロンガス の蓄積による温暖化などを例示し,後者の例としては 果樹園にとっての近隣の養蜂業者,通信技術の発展に よるネットワークなどを挙げている。30)ただし,大学 向けのテキストでは,数式や限界費用のグラフを用い た解説になることが多い。一般には,規制がない場合, 外部不経済のもとでは社会的に最適な水準より過剰に 生産し,外部経済のもとでは逆に過小に生産すること になる。これを社会的に最適な状態にする方法の一つ として,政策が検討されていく。もちろん,中学公民 でここまで学習する必要はないと思われる。  中学公民であれば,公害問題に関しては必ず学習す る。その意味においては,外部不経済について簡潔に 言及することは適切である。また,「対立と合意」に ついて,検討できる題材でもある。生徒に,生産の際 に環境に悪影響をおよぼす企業とその生産物を消費す る近隣住民の役割を与え,議論することが可能である。 企業が自らの利益だけ追求すれば,近隣の住民・消費 者の安心・安全な生活を大きく害することになる。現 代の法律の下では,もちろん許容されることではなく, 対立を生じるだけである。悪影響をなくす一つの方法 は,企業が生産活動を一切やめることであるが,それ では消費者に必要な商品・サービスの供給がなくなる 可能性がある。その意味において,環境を保全すべく 企業自ら費用を負担するようにすれば,社会的な「合 意」が得られ,企業も利潤を獲得し,消費者もその商 品を消費しながら,安全な生活が可能になる。  特に当該分野は,「持続可能な社会の形成」を検討 する好材料でもある。健全な社会を持続するためには, 環境破壊を阻止する自発的な行動や法的整備が必要に なる。そして,消費者の立場から,高校公民で学習す るグリーン・コンシューマーの考え方を伝えることも 有用である。このような消費行動は,間接的に環境改 善に関わる社会参画となっていく。  中学公民においては,外部効果についてグラフを描 いてまで詳しく教授する必要はないと思われる。ただ し,環境問題が重視される現代において,(プラスの 場合も含めて)自ずと発生する外部効果に対しどのよ うに対処していくべきかについて,協調的に検討して いくプロセスは,学習すべき内容であると思われる。

Ⅵ.まとめ

 本稿では,新学習指導要領下の中学公民の教科書を

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調査し,経済分野でどのような変化が生じたか検討し, 具体的にいくつかのトピックでいかなる教授法が考え られるか検討した。  内容が簡略化された項目に,独占や拡大再生産が挙 げられる。ただし,独占の項目では,簡略化された部 分も補足しながら教授すべきと思われる。また,拡大 再生産については,用語の明示は少なくなったものの, 企業の成長の必要性や投資・配当の意味について検討 することができる項目である。直接金融などは新出の 用語ではあるが,旧要領下でも教えられていた内容で ある。  しかしながら,中学公民の経済分野全体の内容とし ての本質は大きく変わっていないと思われる。先述の 通り,重要なことは専門的な用語の説明ではなく,そ の制度や仕組みが経済の循環にいかに作用しているか, また他の学習項目とどのように関連してくるのか,な どを考えることである。教育の現場では,討議を用い たり,調査学習を行ったり,授業方法で工夫を要する 部分が大きいと思われる。  特に,「対立と合意」「効率と公正」に関しては,経 済分野において考察しやすい学習項目が多い。生徒に それぞれの役割を担わせ討議する方法も行いやすい。 必ずしもそれぞれが両極端の対概念ではなく,さまざ まな角度から検討することも可能である。一般には対 立より合意が望ましいが,寡占市場の企業間において は適正な競争が望ましい。また,対立があることで, さらなる改善案も生じうる。効率と公正も,いずれか を追求すれば他方が損なわれるというわけでもない。 公民分野では,自らの意見も主張しつつ,他者の立場 も考えて協調的解決を図り,結果的に社会全体が望ま しい方向に進むような考え方を身につけることが重要 であると思われる。  なお,どこまで教えるかといった課題もある。前節 で述べた「預金通貨の創造」については,図解やシ ミュレーションを用いた教授法についてモデル例を提 示した。ただし,中学公民において金融や預金・融資 の役割を教える中で,この創造の仕組みをどこまで詳 細に教えるべきであるかは,検討の余地があるかもし れない。  本稿では,学習内容の考察とともに「対立と合意」 「効率と公正」については言及したが,「社会参画」に 関わる内容までは説明できなかった。公民教育として は,市民や企業の立場からの社会参画についても深く 考察する必要がある。また,教科書ベースでの調査を 行ったが,教育の現場では教科書だけで教えるケース は少なく,資料集や教員作成のプリントなどが利用さ れていると思われる。教科書間の相違のみならず,こ れらの補足資料の利用実態も踏まえ,どの程度の共通 項目が学習されているか,あるいはどのような差異が 生じるかの調査も有用であると思われる。これらは, 今後の研究課題としたい。 註 1) なお,旧要領では日本文教出版が 2 冊公刊しているが, そのうち 1 冊(日文・910)は旧大阪書籍(2009 年に版権 を譲渡)の教科書である。以下,教科書の引用について は,出所を教科書番号で記す。 2) 文部科学省(2008b)の p.15 など参照。 3) 文部科学省(2008b)の p.4 では,「公民的分野については, 現代社会の理解を一層深めさせるとともに,よりよい社 会の形成に参画する資質や能力を育成するため,文化の 役割を理解させる学習,ルールや通貨の役割などを通し て,政治,経済についての見方や考え方の基礎を一層養 う学習,納税者としての自覚を養うとともに,持続可能 な社会という視点から環境問題や少子高齢社会における 社会保障と財政の問題などについて考えさせる学習を重 視して内容を構成する。その際,習得した概念を活用し て諸事象の意義を解釈させたり事象間の関連を説明させ ること,自分の考えを論述させたり,議論などを通して お互いの考えを深めさせたりすることを重視する。」とあ る。 4) 教育出版・公民 911 の p.98 を参照。 5) 教育出版・公民 922 の p.130 を参照。 6) 川濱ほか(2003)の p.22 には「競争回避を通じて競争を 実質的に制限するものとしてはカルテルがある。カルテ ルとは複数の独立した企業が競争を回避して,価格,生 産量,販売地域等を人為的に設定する取り決めや連合の ことをいう。」とある。 7) シムほか(1997)の独占の項目(p.200)には「財あるい はサービスの供給者が 1 人しかいない市場構造。競争は 存在しない。(後略)」とあり,いわゆる一社に支配され る狭義のケースを指している。なお,大学では,供給者 が一社の場合のみならず,需要者が一社である買い手独 占,需要者も供給者も一社である双方独占なども学習さ れる。  8) 東京書籍・公民 921 の p.125 を参照。 9) 白石(2005)の p.124 には,「(前略)このように,私的独 占とは,「排除」あるいは「支配」という行為に着目した 違反類型であって,私的に独占するという状態そのもの が禁止されているのではない。」とある。  10) 育鵬社・公民 928 の p.121 を参照。 11) 清水書院・公民 912 の p.112 を参照。 12) 清水書院・公民 923 の p.106 を参照。 13) 教育出版・公民 922 の p.135 や図を参照。 14) 教育出版・公民 911 の p.100 を参照。 15) 帝国書院・公民 924 の p.110 を参照。 16) 「(前略)そうした無数の場所で登場する需要を合計した その財の家計全体の需要からなる市場での需要曲線と, 無数の経済主体の供給を合計したその財の企業全体から なる市場での供給曲線とが交わる点が,市場均衡点であ る。ある産業の需要曲線と供給曲線を図 2.20 に描いてみ よう。この図で 2 つの曲線の交わった点では,需給が一 致している。すなわち,需要曲線と供給曲線の交点で市 場価格が決定される。」(p.44)とあり,均衡を明示しつつ

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も,市場価格と表現している。 17) 文部科学省(2008a)の p.44 を参照。 18) 教育出版・公民 922 の p.128 を参照。 19) 東京都中央卸売市場のウェブサイト http://www. shijou- tokei.metro.tokyo.jp/index.html より検索(2012 年 4 月 19 日にアクセス)。 20) 清水書院・公民 923 の p103 を参照。 21) 東京書籍・公民 921 の p.125 を参照。 22) 文部科学省(2008b)の p.105 において,「「金融などの仕 組みや働きを理解させる」については,家計の貯蓄など が企業の生産活動や人々の生活の資金などとして円滑に 循環するために,金融機関が仲介する間接金融と,株式 や債券などを発行して直接資金を集める直接金融を扱い, 金融の仕組みや働きを理解させることを意味している。」 とある。 23) 清水書院・公民 912 の p.117 の脚注 1 を参照。なお,新要 領の清水書院・公民 923 では,p.111 で直接金融・間接金 融の用語が確認される。 24) 日文・公民 925 の p.147 では,「なぜ金利に差が出るのか ─リスクとリターン─」の項目で,預金・債券・株式・ 投資信託を比較検討している。 25) 東京書籍・公民 921 の p.129 を参照。 26) 高校公民で説明されるように,現実にはその一部を預金 準備とするため,90 万円より少ない額を融資に回すこと になる。 27) 文部科学省(2008b)の p.122 では,「また従来から高度で 抽象的な内容や細かな事柄が網羅的に扱われ,用語の解 説や制度についての解説に陥りがちになっているという 指摘があった。しかし大切なことは,なぜそのような制 度や仕組みをつくったのか,なぜそのような仕組みがあ るのかということであり,制度や仕組みそのものを詳細 に説明して理解させることではない。例えば「金融」に ついては,「なぜ金融機関はあるのか」「金融機関にはど のような役割があるのか」などについて扱い,網羅的, 専門的な用語の説明に陥らないようにすることが大切で ある。」とある。 28) 自由・公民 927 の p.115 を参照。 29) たとえば,三省堂・政経 008 の p.75 を参照。 30) 井堀(2004)の p.356 を参照。 参考文献 [1] J.K. シム・J.G. シーゲル著,井堀利宏・粟沢尚志訳『新経 済学用語辞典』新世社,1997 年 [2] 井堀利宏『入門ミクロ経済学第 2 版』新世社,2004 年 [3] 旺文社編『2012 年受験用 全国高校入試問題正解 社会』旺 文社,2011 年 [4] 川濱昇・泉水文雄・瀬領真悟・和久井理子『ベーシック 経済法 独占禁止法入門』有斐閣,2003 年 [5] 白石忠志『独禁法講義第 3 版』有斐閣,2005 年 [6] 館潤二「新学習指導要領に対する学校現場の対応─公民 的分野をもとに」『筑波教育学研究』第 8 号,2010 年, p.65-p.73 [7] 堀内一男・伊藤 純郎・篠原総一編著『中学校 新学習指導 要領の展開 社会科編』明治図書,2008 年 [8] 堀内一男・大杉昭英・伊藤 純郎編著『平成 20 年改訂 中 学校教育課程講座 社会』ぎょうせい,2009 年 [9] 峯岸誠「中学校学習指導要領公民的分野の考察と授業案 ─学習対象,単元構成,学習者の主体,学習の過程─」 『玉川大学学術研究所教師養成研究センター紀要』1 号, 2009 年,p. 41-p.46 [10] 宮原悟「「経済教育」研究(第 5 報)─中学校新学習指導 要領社会科「公民的分野」 における「対立と合意」「効率 と公正」をめぐって─」,『名古屋女子大学紀要 人文社 会編』第 56 号,2010 年,p.101-p.112 [11] 文部科学省『中学校学習指導要領』,東山書房,2008 年 a [12] 文部科学省『中学校学習指導要領解説 社会編』,日本文 教出版,2008 年 b 謝辞 本研究は,財団法人日本法制学会の財政・金融・金融法制研究 基金研究助成金(2011 年度)を受けて行われたものである。記 して,謝意を申し上げたい。また,貴重な意見をくださった本 稿査読の匿名審査員の方々や経済教育学会第 27 回全国大会参 加者の方々にも謝意を表する。

参照

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