漢字学習の「気づき」に関する考察
-日本の韓国学校の高校生を対象にした 誤表記研究から-
2 0 1 1 年 8 月
早稲田大学大学院日本語教育研究科
崔 廷 珉
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目次第1章 本研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1.1 本研究の目的 1
1.2 本研究の課題 4
1.2.1 学習者のレベル別に現れる誤表記の特徴の解明 4
1.2.2 学習者の誤表記への「気づき」の現状の解明 5
1.2.3 「知覚学習スタイル」における学習者の特徴の解明 5
1.2.4 誤表記への「気づき」を促す学習環境作りへの試み 6
1.3 本研究の構成 6
第2章 韓国の日本語教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2.1 「第7次教育課程」の特徴 8
2.2 「第7次教育課程」による日本語教育の現状 12
2.3 「第7次教育課程」による日本語教育の漢字指導の問題点 14
2.3.1 中学校の場合 14
2.3.2 高等学校の場合 15
2.4 日本国内における日本語教育の現状―日本にある韓国学校の場合 16
2.5 本研究における対象者について―年少者に対する日本語教育の観点から 19 第3章 日本語教育における漢字の誤表記研究・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 3.1 日本語教育における漢字指導 23
3.2 漢字の誤表記に関する先行研究 25
3.2.1 第一言語としての誤表記研究 25
3.2.1.1 吉田ら(1974)における誤表記分類 25
3.2.1.2 東京都立教育研究所教科研究部国語研究室(1989) 26
3.2.1.3 国立国語研究所(1989、1992)における誤表記分類 27
3.2.1.4 丸山ほか(2002)における誤表記分類 28
3.2.2 第二言語としての誤表記研究 29
3.2.2.1 Hatta et al(2002)における誤表記分類 29
3.2.2.2 東ヶ崎(2007)における誤表記分類 30
3.2.2.3 崔(2004)における誤表記分類 30
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3.2.3 情報処理論的アプローチからの誤表記研究 31
3.3 本研究における誤表記分類 33
3.3.1. 本研究における正誤判定の基準 33
3.3.2 本研究における誤表記分類表 36
3.3.3 本研究における誤表記項目とその例 39
3.3.3.1 「既知漢字干渉」による誤表記 39
3.3.3.1.1 「日本語同音漢字干渉」による誤表記 39
3.3.3.1.2 「母語同音漢字干渉」による誤表記 39
3.3.3.1.3 「日本語同義漢字干渉」による誤表記 40
3.3.3.1.4 「母語同義漢字干渉」による誤表記 40
3.3.3.1.5 「日本語類型漢字干渉」による誤表記 41
3.3.3.1.6 「母語類型漢字干渉(旧字体漢字干渉)」による誤表記 42
3.3.3.2 心像干渉:「半文字」による誤表記 42
3.3.3.3 心像干渉:「箇所の位置が誤ったもの」による誤表記 43
3.3.3.4 心像干渉:「先後の位置が誤ったもの」による誤表記 43
3.3.3.5 心像干渉:「形の上で似たもの(非漢字)」による誤表記 44
3.3.3.6 「漢字基本特性干渉」による誤表記 45
3.3.3.7 「漢字書体干渉」による誤表記 46
3.3.3.8 「バランス干渉」による誤表記 46
3.3.3.9 「個人運筆干渉」による誤表記 47
3.3.3.10 「正字」 47
第4章 誤表記に関する考察―韓国学校の高校生を対象に・・・・・・・・・・・49 4.1 本章の目的 49
4.2 誤表記調査の概要 50
4.2.1 調査の場所と実施期間 50
4.2.2 調査協力者の内訳 50
4.2.3 調査の内容 54
4.3 誤表記調査の分析結果と考察 55
4.3.1 初級学習者の場合 55
4.3.1.1 誤表記項目別の分析 55
iii
4.3.1.2 「既知漢字干渉」の誤表記項目別の分析 59
4.3.1.3 「既知漢字干渉」の下位項目別の分析―母語干渉を中心に 60
4.3.2 中級学習者の場合 69
4.3.2.1 誤表記項目別の分析 69
4.3.2.2 「既知漢字干渉」の誤表記項目別の分析 72
4.3.2.3 「既知漢字干渉」の下位項目別の分析―母語干渉を中心に 74
4.3.3 韓国学校の高校生における誤表記の特徴 75
第5章 誤表記への「気づき」に関する考察 ―韓国学校の高校生を対象に・・・・・・・・・・・・・・・・・・80 5.1 「気づき」と意識化 80
5.2 「気づき」と学習者の誤表記 82
5.3 誤表記への「気づき」に関するアンケート調査の概要 83
5.3.1 調査の実施期間および調査協力者 83
5.3.2 調査の概要 87
5.3.3 誤表記判定アンケートに用いた表記 88
5.4 誤表記判定アンケート調査の分析結果と考察 89
5.4.1 初級学習者の場合 89
5.4.1.1 誤表記項目別の分析結果 89
5.4.1.2 「既知漢字干渉」の下位項目別の分析―母語干渉を中心に 93
5.4.1.3 誤表記頻度と誤表記への「気づき」率 96
5.4.2 中級学習者の場合 98
5.4.2.1 誤表記項目別の分析結果 98
5.4.2.2 「既知漢字干渉」の下位項目別の分析―母語干渉を中心に 103
5.4.2.3 誤表記の頻度と「誤表記への気づき」率 105
5.4.3 誤表記への「気づき」における韓国学校の高校生の特徴 107
5.5 誤表記への「気づき」と「知覚学習スタイル」 111
第6章 「知覚学習スタイル」に関する考察 ―韓国学校の高校生を対象に・・・・・・・・・・・・・・・・・・113 6.1 学習スタイルについて 113
6.2 漢字学習と学習スタイル 116
iv
6.3 「知覚学習スタイル」アンケート調査の概要 117
6.3.1 調査期間 117
6.3.2 「知覚学習スタイル」アンケート調査の調査協力者 117
6.3.3 調査に用いた「知覚学習スタイル」に関するアンケート 121
6.4 知覚学習スタイル調査の分析結果 124
6.4.1 韓国学校の高校生を対象にした「知覚学習スタイル」調査の分析結果 124 6.4.1.1 学習レベル別の結果 124
6.4.1.2 韓国学校の高校生の「知覚学習スタイル」 125
6.4.1.3 韓国学校の中学生の場合 131
6.4.2 日本人高校生を対象にした「知覚学習スタイル」調査の分析結果 133
6.4.3 「知覚学習スタイル」における韓国人高校生の特徴 134
6.5 「知覚学習スタイル」の特徴を生かした誤表記への「気づき」 136
第7章 誤表記への「気づき」と学習環境作りを考える・・・・・・・・・・・・ 138 7.1 誤表記への「気づき」の主体を考える 139
7.1.1 構成主義的な視点から 139
7.1.2 協働的な学習の視点から 140
7.2 学習者に適した学習環境作り ―「だれが」・「なにを」・「どのように」 142
7.3 誤表記への「気づき」に適した学習環境作りへの提案 144
7.3.1 漢字授業の概要 144
7.3.1.1 漢字授業の協力者 144
7.3.1.2 授業の期間 146
7.3.1.3 漢字授業の概要 146
7.3.2 漢字授業の活動 151
7.3.2.1 「添削授業」の活動 151
7.3.2.2 「気づき授業」の活動 152
7.3.3 漢字授業の結果 154
7.3.3.1 総合テストの結果 154
7.3.3.2 「気づき授業」に関するアンケート調査の結果 161
7.4 誤表記への「気づき」を促す学習環境作り 163
v
7.5 誤表記への「気づき」から漢字学習への「気づき」 164 第8章 結論と今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・166 8.1 本研究における各章の概要 166 8.2 本研究の意義 179 8.3 今後の課題 180
注・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・182 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・184 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・195 資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・196
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第1章 本研究の目的1.1 本研究の目的と問題提起
本研究は、漢字の誤表記と誤表記への「気づき」を研究することによって、誤表記 に対する新たな視点を提案し、第二言語としての日本語(以下、「日本語」と略称)
の漢字教育に貢献していくことを目的とするものである。本研究では日本にある韓国 学校の高校生を対象にし、学習者の特徴やニーズに適した誤表記の指導法を提案し、
その教育実践への応用とその成果を報告する。
漢字は日本語学習にとって重要な学習要素であり、日本語教育における重要な課題 の一つである。これまで、日本語学習者に対する漢字教育については様々な研究がな されており、そのアプローチも多様である。しかし、それらの研究の中で漢字の誤表 記とその指導法に関する研究はやや取り残された形になっているのが現状である。
学習者の誤表記は単なる書き誤りではなく、学習者の認知プロセスが反映されてお り、漢字学習における学習者の特徴や困難さが垣間見える貴重な鍵である。つまり、
教師は学習者の誤表記から「どんなことが分かっていて、どんなことが分かっていな いのか」という学習者の現状が把握でき、場合によっては、「なぜ間違ったのか」から
「どう対処したらいいのか」も考えることができる。
学習者の誤表記には様々な原因が潜んでいると考えられ、単に学習不足から誤表記 が出現するわけではないこと、誤表記として出現しないからといって学習者が正しく 分かっているとは限らないこと、「正しく書くこと」と「正しく判定すること」は別 次元であることなどがあげられる。そして、それらの誤表記発生における様々な原因 を明らかにするには、これまでのアプローチではなく、新しい視点から学習者の誤表 記を研究する必要がある。
学習レベルが上がるにつれて学習する漢字も急激に増えるため、誤表記の原因や現 れ方も、字形に関わる誤表記に留まらず、実に多様になってくる。漢字指導の現場で は、学習者の誤表記に対するフィードバックとして、赤ペンで誤った箇所を訂正する ことや正しい表記を書き添えることが最も一般的に行われている。しかし、これでは 誤表記として現れた、漢字学習の過程で起こる様々な問題や学習レベルによる特徴に 適切な対応ができず、誤表記に対する根本的な指導にはならないと言える。
最初から誤表記が発生しないように指導するのが望ましいが、漢字の持つ様々な情
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報や注意すべき項目すべてを提示されることは、学習者にとっては相当な負担である。
また、日本語の授業時間の中で、学習者の誤表記に対して一々フィードバックを与え ることは、時間的にも学習上も効率的とは言えない。つまり、授業時間中、学習者の 誤表記に対して与えるべきフィードバックは量ではなく質であり、漢字学習に対する 学習者の困難点や特徴を十分踏まえた上でのフィードバックでなければならない。学 習者のニーズや特徴に応じて効率的なフィードバックを与えてさらなる漢字学習へつ なげることが、誤表記に対する指導に最も求められる姿勢であろう。
一般に、漢字教育を行うとき、学習者が漢字圏か非漢字圏かによって対応を考える 場合が多い。母語で漢字あるいは漢字語彙を用いる学習者を「漢字圏学習者」、それ 以外の学習者を「非漢字圏学習者」として、非漢字圏の日本語学習者が漢字を習得す る際の困難を軽減するための様々な指導法や学習法が提唱され実践されるようになっ てきたが、母語で漢字を用いる漢字圏学習者の場合は、当然、漢字は熟知しているだ ろうとの前提で、取り立てて指導を行わないのが漢字教育の現状である。しかし、学 習者の母語によって単に漢字圏と非漢字圏に二分された漢字指導や誤表記指導は、学 習者の持つ様々な特徴や背景を十分に配慮した指導とは言えない。
韓国語における語彙体系は固有語・漢字語・借用語の三つになっており、固有語は 日本語の和語に、漢字語は日本語の漢語に、それから借用語は日本語の外来語に当た る。日本語の場合、平仮名・カタカタ・漢字という三つの表記体系があって漢語は漢 字で表記されるのが一般的である。これに比べ、韓国では固有語・漢字語・借用語三 つ共に、日常生活での表記はハングルのみで行われるのが一般的である。つまり、表 記としての漢字がほとんど使われていないことを考えると、もはや韓国人学習者を漢 字圏学習者として扱うことはできない。とはいえ、韓国語の語彙の7割が漢字語であ る(宋2004:138)ため、漢字語の表記(書字面)はハングルでされるものの、漢字 語の音読み(音声面)には馴染んでいることを考えると、非漢字圏学習者と同じく扱 うわけにもいかない。つまり、現在の韓国人学習者は漢字圏とも非漢字圏とも言えな い特徴を持っているため、このような特徴や背景に対応するには、これまでとは違う、
韓国人学習者に適した漢字指導法が求められていると言える。
国際交流基金(2006)によると、現在、韓国には約91万人の日本語学習者がいて、
そのうち8割以上が中等教育機関(中学校・高等学校)で日本語を学んでいる生徒で ある。このように韓国の日本語教育は主に年少者をその対象としているが、同じ年少
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者であっても、学習動機をはじめ学習者の背景や学習環境によって、その特徴やニー ズが異なる。したがって、学習者の多様性に応じた日本語教育および漢字指導とは、
これらの多様性の中での一つひとつのケースに関する現状や特徴を把握、理解したう えでの対応や指導法でなければならないことを意味する。
以上のことから、次のように問題提起をする。
問題提起① 韓国人学習者に対する漢字指導に関する研究は、主に大学生や成人学 習者を対象として行われており、年少者を対象とした研究はほとんど 見当たらないのが現状である。特に、社会のグローバル化とともに海 外滞在の経験や背景を持つ年少者が年々増加していることを考えると、
年少者に対する日本語教育および漢字指導において、このようなタイ プも含め学習者の特徴や背景に応じられる多様なアプローチが必要で ある。
問題提起② 韓国での漢字使用の事情を考慮すると、韓国語を母語とする日本語学 習者の誤表記には漢字圏、非漢字圏とは異なる特徴があると考えられ る。その特徴を探るためには、これまでの誤表記分類ではなく、誤表 記発生に潜んでいる様々な原因を詳しく解明していく必要がある。
問題提起③ これまでの先行研究では、誤表記とは学習者の「間違い」として捉え られてきたが、学習者にとっては誤表記が必ずしも「間違い」とは言え ない可能性が考えられる。学習者が誤表記についてどのように判定す るか、つまり誤表記への「気づき」というアプローチからの誤表記分 析が必要である。
問題提起④ これまでの誤表記に対して主に行われてきた教師の添削指導は、学習 者の特徴やニーズを考慮した上でのフィードバックであるとは言いが たい。誤表記に対してフィードバックを考える際には、まず、学習者 の特徴を把握した上で、その特徴やニーズを生かしたフィードバック である必要がある。
本研究は、以上の問題提起に基づいて1.2で紹介する四つの研究課題を設け、それ ら一つひとつについて明らかにすることを目的とする。
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1.2 本研究の課題吉田ほか(1974:221)は誤表記研究には次のような三つの意義があるという。
第一は、誤表記を除くために誤表記を知ること。すなわち、克服し排除すべき対象 である誤表記自体をまず研究すべきだということ。第二は、正しいものを知るために 誤表記を知ること。すなわち、正字を書く過程の研究だけからでは見出すことの困難 な学習の様々な側面を、誤表記発生の研究を通じて明らかにすることである。第三は、
正しいものを生むために誤表記を知ること。すなわち、正字の教授法の改善のために 誤表記を研究するということである。
本研究では、吉田ほかがあげる誤表記研究の三つの意義に基づき、以下の4点につ いて答えるべく考察を行う。研究の対象は、日本にある韓国学校( 1)(以下、特に必 要としない限り「韓国学校」と略称)という環境上の特徴と、「韓国から日本に移動 した年少者」という特徴を持つ韓国人高校生の誤表記である。
(1)第一の意義である「誤表記を除くために誤表記を知ること」に基づき、学習者 現れる誤表記の特徴を学習レベル別に解明する。
(2)第二の意義である「正しいものを知るために誤表記を知ること」に基づき、学 習者の視点から誤表記とは何かを調べ、誤表記における学習者の「気づき」の現 状を解明する。
(3)学習者の特徴を理解し、その特徴を生かした学習環境および教室活動を考える 立場から、「知覚学習スタイル」における学習者の特徴を解明する。
( 4) 第 三 の 意 義 で あ る 「 正 し い も の を 生 む た め に 誤 表 記 を 知 る こ と 」 に 基 づ き 、
(1)~(3)の結果より、学習者のニーズや特徴に適した誤表記への「気づき」
を促す学習環境作りおよび誤表記指導の改善法を提案する。
1.2.1 学習者のレベル別に現れる誤表記の特徴の解明
学習者の誤表記は、学習者の言語特徴や漢字知識、および学習レベルによって異な る。誤答とは、「学習者が学習段階において目標言語に対して持っている自己の仮説 をうかがわせる資料である」(小篠1983:2)という「中間言語」研究の考え方からす ると、誤表記は実に多種多様であるが、その多様性の中に、様々な原因と生成過程が 姿を現さずにはいない。それゆえ、誤表記自体がその発生過程を探る手がかりとなる のである。
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本研究では、まず、学習者の特徴を漢字の誤表記から探ることを第一の目的とする。
誤表記の様々な原因を詳しく探るため、崔(2004)の誤表記分類を発展させ、既習漢 字の音・形・意味について母語干渉の有無に分け、誤表記の分類・分析を行う。
また、日本の韓国学校の高校生に見られる誤表記を学習レベル別に分類・分析する ことにより、日本にある韓国学校という環境上の特徴と、「韓国から日本に移動した 年少者」という特徴を持つ韓国人高校生に見られる誤表記の特徴が明らかになると考 えられる。
1.2.2 学習者の誤表記への「気づき」の現状を解明
第二言語習得においては、意識的な注意が向いて何かを探知するという「気づき」
が重要である。Schmidt(1995)は、その「気づき仮説」(noticing hypothesis)に おいて、注意を向けることが第二言語習得の最初のプロセスであり、学習者が気づい たインプットだけがインテイクにつながると主張している。
学習者の誤表記には、学習者が誤表記として認知するものと認知しにくいものがあ る(崔2004)。本研究では、3.3.2の分類・分析に基づいて日本にある韓国学校の高 校生を対象に誤表記判定アンケートを実施し、学習者の誤表記への「気づき」を解明 する。
1.2.3 「知覚学習スタイル」における学習者の特徴の解明
Peacock(2001:15)は、教師の教授法と学習者の学習スタイルが一致しない場合、
教育効果が上がらないと報告している。このことからも、誤表記指導におけるより効 果的な学習環境や教室活動を考えるためには、学習者の学習スタイルを理解すること が重要である。
本研究では、韓国学校の高校生の、「知覚学習スタイル」における特徴を明らかに することも目的の一つである。韓国学校の高校生と日本人高校生を対象に「知覚学習 スタイル」関するアンケートの調査を実施し、日本人高校生との比較・分析から韓国 学校の高校生の特徴を探る。また、「知覚学習スタイル」間の相関関係を調べ、学習 において相関が最もよい「知覚学習スタイル」間の組み合わせを提示する。
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1.2.4 誤表記への「気づき」を促す学習環境作りへの試み
1.2.1~3の解明結果を踏まえ、韓国学校の高校生の特徴やニーズを生かした指導方 法を提案し、その教育実践への応用とその成果を報告する。
1.3 本研究の構成
本研究は、以下の全8章から構成される。
まず、第1章では、本研究の目的を述べたうえで、問題提起および本研究における 課題について述べる。
次に、第2章では、韓国における日本語教育の現状について「教育課程」を中心に 概観する。また、韓国学校の日本語教育とそこの高校生の特徴について述べる。
第3章では、日本語の漢字指導、および漢字の誤表記に関する先行研究を概観し、
本研究における正誤判定基準、誤表記分類・分析、およびその例をあげ、誤表記分類 の基準を明らかにする。
3.1では、日本語教育の漢字指導に関する先行研究を概観する。様々なアプローチ からの研究を取り上げ、これからの漢字研究における課題について述べる。
3.2では、漢字の誤表記に関する先行研究を検討する。先行研究を第一言語習得関 連と第二言語習得関連に分け、誤表記におけるそれぞれの分類観点や分類項目の相違 点について検討し、崔(2004)の誤表記分類と先行研究との相違点を述べる。
3.3では、本研究における正誤分類の基準、誤表記分類、およびその例と基準につ いて述べる。第一言語習得の立場から分類を行った国立国語研究所(1988)をあげ、
正誤判定の基準への応用を検討する。また、崔(2004)の誤表記分類に基づき、さら に発展させた誤表記分類・分析基準について述べる。
第4章では、韓国学校の高校生を対象に誤表記調査を行い、その結果より第3章の分 類基準に基づいて分類・分析を行う。この学校の高校生に見られる誤表記を既習漢字 の音・形・意味別、母語干渉別に分類・分析し、学習レベル別にその特徴を明らかに する。また、漢字の字形において、日本と韓国はどのように異なるかについても検討 を行う。
第5章では、第4章の誤表記分類・分析結果を踏まえて、韓国学校の高校生を対象に
「気づき」という視点から誤表記判定アンケートを実施し、誤表記に対する学習者の
「気づき」について考察する。学習者の誤表記への「気づき」を基準にしながら、第
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4章の誤表記分類項目のうち、どの項目が気づきにくいかを解明する。
第 6章 で は 、 「 学 習 ス タ イ ル 」 の う ち 漢 字 学 習 と 関 わ り が あ る 「 知 覚 学 習 ス タ イ ル」を取り上げ、高校生を対象にアンケート調査を行い、この学校の高校生の「知覚 学習スタイル」における傾向について考察する。比較データとして、日本人高校生を 対象に同様のアンケート調査を実施し、比較・分析を行うことにより、「知覚学習ス タイル」における韓国学校の高校生の特徴を明らかにする。
第7章では、第4章~第6章を踏まえ、韓国学校の高校生に適した誤表記への「気づ き」を促す学習環境作りについて考える。その学習環境作りに当たって、理論的な背 景として「構成主義」の視点を、また教室活動への手がかりとして「協働的な学習活 動」の可能性について、それぞれ検討を行う。漢字指導および誤表記の指導への応用 として、実際に誤表記への「気づき」を促す教室環境作りを試み、その効果と可能性 を調べる。
第8章では、本研究の各章のまとめとそれぞれの結論、および今後の検討課題につ いて述べる。誤表記への「気づき」から漢字学習への「気づき」、ひいては自律学習 につながる指導法を考える立場から、本研究の結論をまとめつつ、今後の漢字指導の あり方を探りたい。
以上、本研究では、学習者の多様性に応じる日本語教育や漢字指導を考える立場か ら、韓国学校の高校生を対象にし、漢字の誤表記を新しいアプローチから調査・研究 する。そこから、学習者の特徴やニーズを適した指導方法を提案し、その教育実践へ の応用と展開を試みることを本研究の目的とする。
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第 2 章 韓国の日本語教育韓国における「教育課程」とは国が教育の方向と内容を規定したもので、日本の「学 習指導要領」に相当する。現在、韓国の教育目標と教育内容を示しているのは「第7 次教育課程」であるが、これは2007年2月に「2007年改訂教育課程」(2)として発表さ れたものである。この「2007年改訂教育課程」は、中学校では2010年度から、高等学 校では2012年から適用されることになっている。
韓国の教育課程の変遷を時期別に分けると次のようである。
・「第1次教育課程」(1954-1963)
・「第2次教育課程」(1963-1973)
・「第3次教育課程」(1973-1981)
・「第4次教育課程」(1981-1987)
・「第5次教育課程」(1987-1992)
・「第6次教育課程」(1992-1997)
・「第7次教育課程」(1997-現在)
では、「第7次教育課程」による日本語教育はどのように行われているのだろうか。
韓国人中学生・高校生に対する日本語教育の現状を知るためには、まず韓国の「第7 次教育課程」から探る必要があろう。
本章では、まず、韓国の「第7次教育課程」を中心にして、韓国の中等教育(3)にお ける日本語教育の現状を考察し、日本語における漢字教育の問題点を探る。次に、日 本国内にある韓国学校では、「第7次教育課程」をどのように受け入れているかを、
実際に筆者が教えている韓国学校の実状に則して考察する。また、本研究の協力者が 日本にある韓国学校の高校生であることから、「年少者の対する日本語教育」の立場か ら本研究の協力者にはどのような特徴があるかについても検討を行う。
2.1 「第7次教育課程」の特徴
韓国の「第7次教育課程」は、1997年教育法第155条第1項により公示されたもので、
初等学校(4)・中学校・高等学校(以下、「初・中・高等学校」と略称)の教育目的と 教育目標を達成するための国家水準の教育課程であり、初・中・高等学校で編成・運
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営すべき学校教育課程の共通的・一般的な基準を提示したものである。
「第7次教育課程」は、既存の教育課程体制と教育内容に対する変化を通じて、件 性的で創意的な人間育成を理想にしている。その特徴は、
(1)国民共通の基本教育課程と選択科目中心の教育課程という二元体制化
(2)水準別の教育課程の編成・運営を通じての教科教育の充実化
(3)学習者中心・各学校中心の学校教育のための裁量活動の新設と特別活動の強 化
(4)評価を通じての教育課程の確立
(以上、韓国語の原文より拙訳)
などがあげられる。中でも、(3)の「裁量活動」とは、学校の実情と裁量によって 実施できる教育活動で、中学校では新設された教育課程の領域である。その教育内容 は、教科の特性を持つ「教科裁量活動」と特別活動の特性を持つ「創意裁量活動」で 構成されている。また、学生(5)の要求と学校の実情をもとに、学校がその時間割を設 定できるようにもなっている。
これは、学習者が科目を選択できるということから、従来の教育課程とは大きな差 があると言える。「第7次教育課程」による中学校と高等学校の教育課程の構成は、
次の【表2-1】、【表2-2】のようになる。
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【表2-1 「第7次教育課程」による中学校教育課程の構成】
活動 活動内容 具体的な活動内容
国語
教 道徳
社会
育 国民共通基本科目 数学
(10科目) 英語
課 科学
技術・家庭[i]
程 体育
音楽
の 美術
選択科目[ii]
構 (漢文、コンピュータ、環境、生活外国語)
国民共通基本科目の補充[iii]
成 凡教科学習[iv]
自主的な学習[v]
特別活動 特技・素質開発活動、奉仕活動、行事活動
[i] 既存の「家庭」「産業」「技術」の三つの科目が、「第7次教育課程」では「技術・家庭」という一つの科目 に統合された。
[ii] 「漢文」、「コンピュータ」、「環境」、「生活外国語」(「日本語」・「ドイツ語」・「フランス語」・「ロシア語」・
「中国語」・「スペイン語」・「アラビア語」)の中から学習者が選択できる。
[iii] 「国民共通基本教科」(10科目)の補充・深化学習。
[iv] 「人間性教育」、「統一教育」、「伝統文化教育」、「世界理解教育」、「性・保健・安全教育」、「経済教育」、「
育」、「大衆媒体教育」など、様々な部門で選び、編成・運営ができる。
[v] 学習者自ら学習活動を主導することで、主題探求、小集団探求などができる。
教科活動
裁量活動 教科裁量活動
創意裁量活動
(以上、教育部(6)(1999:27)より拙訳)
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【表2-2 「第7次教育課」による高等学校教育課程の構成】
国民共通
基本教科 一般選択科目 深化選択科目
教科 国語 国語(8) 国語生活(4) 話法(4)、読書(8)、作文(8)、文法(4)、文学(8) 道徳 道徳(2) 市民倫理(4) 倫理と思想(4)、伝統倫理(4)
韓国地理(8)、世界地理(8)、経済地理(6) 人間社会と環境(4) 韓国近現代史(8)、世界史(8)、法と社会(6)
社会(10) 政治(8)、経済(6)、社会と文化(8)
(国史 4)
数学 数学(8) 実用数学(4) 数学Ⅰ(8)、数学Ⅱ(8)、微分と積分(4) 確率と通計(4)、離散数学(4)
科学 科学(6) 生活と科学(4) 物理Ⅰ(4)、化学Ⅰ(4)、生物Ⅰ(4)、地球科学Ⅰ(4) 物理Ⅱ(6)、化学Ⅱ(6)、生物Ⅱ(6)、地球科学Ⅱ(6) 技術 技術 情報社会とコンピュータ(4) 農業科学(6)、工業技術(6)、企業経営(6)
家庭 家庭(6) 海洋科学(6)、家庭科学(6)
体育 体育(4) 体育と健康(4) 体育理論(4)、体育実技(4以上)*
音楽 音楽(2) 音楽と生活(4) 音楽理論(4)、音楽実技(4以上)*
美術 美術(2) 美術と生活(4) 美術理論(4)、美術実技(4以上)*
英語Ⅰ(8)、英語Ⅱ(8)、英語会話(8) 英語読解(8)、英語作文(8)
ドイツ語Ⅰ(6) ドイツ語Ⅱ(6) フランス語Ⅰ(6) フランス語Ⅱ(6) スペイン語Ⅰ(6) スペイン語Ⅱ(6)
中国語(6) 中国語Ⅱ(6)
日本語Ⅰ(6) 日本語Ⅱ(6) ロシア語Ⅰ(6) ロシア語Ⅱ(6) アラビア語Ⅰ(6) アラビア語Ⅱ(6)
漢文 漢文(6)
教練 教練(6)
哲学(4)、論理学(4)、
心理学(4)、宗教(4)、
教育学(4)、生活経済(4)、
教養 生態と環境(4)、
進路と職業(4)、その他(4)
履修単位 56 24以上 112以下
12 4
①( )の数字は単位数である。毎週1回の授業(50分)を1単位とし、1学期(17週)に履修する授業量である。
②国民共通基本科目と裁量活動に配当された単位数および特別活動の4単位は10学年(高校1年次)で履修する。
③*の体育、音楽、美術教科の深化選択科目は専門教科の科目の中で選択する。
④教養教科として深化選択科目が必要な場合は専門科目の中で選択するか、それとも市道運営指針に依拠し、
新しい科目を設けることができる。
区分 選択科目
社会
外国語
英語(8)
総履修単位 216
漢文古典(6)
裁量活動
特別活動 8
(以上、教育部(1999:127)より拙訳)
12
このような第7次教育課程は、学年別に次のように施行されている。
・ 2000 年 3 月 1 日 : 初等学校 1,2 学年
・ 2001 年 3 月 1 日 : 初等学校 3,4 学年、中学校 1 学年
・ 2002 年 3 月 1 日 : 初等学校 5,6 学年、中学校 2 学年、高等学校 1 学年
・ 2003 年 3 月 1 日 : 中学校 3 学年、高等学校 2 学年
・ 2004 年 3 月 1 日 : 高等学校 3 学年
2.2 「第7次教育課程」による日本語教育の現状
韓国は1980年代前半から初等学校の特別活動時間で英語教育を実施してきた。1990 年代に入ってからは、世界化、開放化の傾向で英語をはじめとする外国語教育を強化 する必要が浮かび上がってきた。このことから、1995年、正式に英語が初等学校に導 入され、公に学校での早期外国語教育が始まった。
1997年に開発、公布された「第7次教育課程」は、世界化・情報化への適応を目指 す自己主導的な能力の育成と、学生の能力・適性・進路に合う学習者中心の教育の実 践が基本方針になっている。このような基本方針をもとに、教育課程に指定された科 目だけを教えてきた従来の教育課程とは大きく変わって、「第7次教育課程」では、
「裁量活動」を通じて生徒が教科を選択できるようになった。中でも中学校における
「裁量活動」の特徴は、「生活外国語」が、「漢文」・「コンピュータ」・「環境」
と共に選択科目として加えられていることである。
中学校に導入されている「生活外国語」は、「日本語」、「ドイツ語」、「フラン ス語」、「スペイン語」、「中国語」、「ロシア語」、「アラビア語」の7科目であ る。これは、これまでの英語中心の外国語教育政策から、国際化と地域分権化に効果 的に対処できるような政策の一環としてなされたものである。
2002年度教育人的資源部(7)調べによる「中等学校選択教科書編成現況」を見ると、
選択された科目は「漢文」、「コンピュータ」が圧倒的に多いが、「生活外国語」の 中では「日本語」を選択した学校が他の外国語選択校数に比べ最も多かった。
現在、「生活外国語」は全国2809校の中学校の中、218校に導入されている。「生 活外国語」の言語別の設置現況を見ると、日本語は183校の中学校に設置され、「生 活外国語」が導入されている中学校の85%を占めている。【表2-3】は、中学校にお
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ける「生活外国語」の言語別の設置現況を示したものである。
【表2-3 「生活外国語」が設置されている中学校】
「生活外国語」が設置されている中学校の数
日本語 中国語 ドイツ語 スペイン語 フランス語 合計
183校 26校 5校 3校 1校 218校
*218校のうち1校は複数の「生活外国語」(日本語・中国語)を設置している。
「日本語」の履修学年、時間数(1~3コマ)などは各校によって異なるが、中学校
「裁量活動」の選択科目(年間136時間)の中の自由選択科目(年間107時間)(「漢 文」・「コンピュータ」・「環境」・「生活外国語」)における生活外国語(年間68 時間)の一つとして日本語がある。日本語科目の教科書は『生活日本語 こんにち は』の1種のみである。
高等学校では、2002 年に導入された「第7 次教育課程」により、日本語は第二外 国 語 ( 「 ド イ ツ 語 」 ・ 「 フ ラ ン ス 語 」 ・ 「 ス ペ イ ン 語 」 ・ 「 ロ シ ア 語 」 ・ 「 中 国 語」・「日本語」、そして新たに「アラビア語」を加えた7言語)の選択科目(一般 選択・深化選択)として、2 年次からの履修が規定され、生徒の希望を尊重し開講さ れることになった。
中学校では裁量活動の選択科目として日本語が設置されているが、高等学校では英 語(第一外国語)と共に第二外国語が必須科目として設けられており、「日本語」・
「中国語」・「フランス語」・「ドイツ語」・「スペイン語」・「ロシア語」・「ア ラ ビ ア 語 」 か ら 一 つ 選 択 す る よ う に な っ て い る 。 一 般 高 校 の 場 合 、 「 日 本 語 I」 と
「日本語II」の授業に延べ204時間を当てることができる。「日本語I」は第二外国語 科目として必須選択履修科目であるが、「日本語II」は必須選択科目ではないため、
「日本語I」を履修した学習者が続いて「日本語II」を履修するとは限らない。
最近の傾向として、日本のアニメやテレビドラマ、ゲームなどをきっかけに日本語 に興味をもつ高校生が多く、外国語高校においても日本語科を第一志望に選ぶ生徒が 増えている(『月刊日本語』2006年2月号)。しかし、2002年以降、中国語学習者の 増加が著しく、中国語を開講する中・高校が増えてきているのが現状である。
2001 年度(2000 年11 月に実施)から、日本語は、大学の「修学能力試験」(8)の
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第二外国語試験における選択科目の1 つとなっている。2009年11月の試験では、全国 の33の大学校(うち首都圏が18大学校)が日本語試験の成績を評価に反映させる旨、
教育人的資源部(日本の文部科学省に当たる)に申請したが(9)、日本語試験の成績を 評価に反映させる学校はいまだ少ない。
2.3 「第7次教育課程」による日本語教育の漢字指導の問題点
2.3.1 中学校の場合
「第7次教育課程」は、次のように「生活外国語」の性格を提示している。
학습자들은 초급수준의 생활외국어을 익혀 해당 외국어 사용자와 기초적인 의 사소통을 하며, 아울러 상급학교에 진학하여 해당 외국어를 계속 학습할 수 있 는 바탕을 마련한다. (教育部1997:143)
学習者が初級レベルの生活外国語を身につけて、当該外国語使用者との基礎的コ ミュニケーション能力を持つと共に、上級学校へ進学して当該外国語を学びつづけ るための土台を築く。
(以上、韓国語の原文より拙訳)
これは、生活外国語を通じて学習者に口頭と文字での基礎的コミュニケーション能 力を育てることであり、ここでの基礎的コミュニケ-ション能力とは、教育課程で規 定している語彙・文法の能力と当該外国語使用者との日常生活の範囲内でのコミュニ ケ-ション能力を意味している。例えば、挨拶や肯定・否定などの日常生活における 表現を学習することである。ただし、使われる語彙および文は、原則として教育課程 の決める範囲内とする。
では、この教育課程の決める範囲とは何であろうか。まず、中学校における日本語 の語彙の範囲は、高校教育課程における834語の基本語彙中の200語内外を使用するよ うに定められている。また、文字に関しては、次のようにその範囲が定められている。
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문자는 히라가나, 가타카나를 사용하고, 한자는 사용하지 않는 것을 원칙으 로 하되, 숫자와 같은 기초 학습에 필요하다고 생각되는 문자에 한하여 적절 히 사용할 수 있다. (教育部1997:57)
文字は平仮名、片仮名を使用し、漢字は使用しないことを原則とする。ただ、
数字のように基礎学習に必要とされる文字に限っては適宜に使用することができ る。
(以上、韓国語の原文より拙訳)
韓国ではこの「第7次教育課程」により中学校にも「日本語」が科目として導入さ れ、「漢文(漢字)」と共に選択科目になっている。ということは、学習者が自由に選 べるという選択科目の特性上、漢文(漢字)を選ばない学習者もいることが十分に予 想される。つまり、韓国の小学校では漢文(漢字)教育が行われていないため、日本 語を学習して初めて漢字に接する中学生もいるのが現状である。
また、数字のような簡単な漢字や中学生が既に知っているくらいの漢字の場合は、
必要によって併用してもいいと規定されている。
しかし、韓国の小学校では漢字教育が義務付けられていないこと、「漢文(漢字)」
が「日本語」と共に選択科目になっていることを考えれば、漢数字のような簡単な漢字 にしても全ての中学生が知っているとは限らない。また、漢字を既に知っているとし ても、学習者件々人によって漢字知識が千差万別であると考えられる。
2.3.2 高等学校の場合
「第7次教育課程」は、次のように一般高校の「日本語I」の目標を提示している。
일상 생활에서 사용되는 쉬운 일본어를 이해하고, 쉬운 일본어로 의사 소통 을 할 수 있는 기초적인 능력을 기른다. 일본어의 말하기 능력의 신장과 일본 어에 의한 정보 검색에 적극적이며, 일본인의 일상 언어 생활과 문화에 대한 관심과 이해를 깊게 하여 일본인과의 의사 소통에 능동적으로 참여하는 태도 를 기른다. (教育部1997:102)
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日常生活の日本語を理解し、やさしい日本語でコミュニケーションができる基礎 的な能力を養う。会話の能力の伸張と日本語による情報検索に積極的で、日本人の 日常言語生活と文化への関心と理解を深め、日本人とのコミュニケーションに能動 的に参加する態度を養う。
(以上、韓国語の原文より拙訳)
中学校の場合、日本語教科の教科書は『生活日本語 こんにちは』1種のみである が、高等学校における日本語教科の教科書は12種があり、そのうち1種を学校側が自 由に選択できる。
高校学校で使用されている12種の教科書を対象に調査を行った権(2004:15)によ ると、教科書に提示されている漢字は12種の教科書別にそれぞれ異なり、12種の教科 書すべてに共通する漢字は38字しかないという。また、教科書選択によって、同じ
「日本語I」を履修した学習者間に学習漢字のずれが生じるおそれがある、と報告し ている。
このような現状から、高校生を対象とした日本語教育においては体系的かつ具体的 な学習漢字の提示と共に、それに対する漢字指導の工夫が必要であろう。
2007年2月に発表された「2007年改訂教育課程」では、「第7次教育課程の細分類化」、
「文化教育の強化と再分類化」「基本語彙と意思疎通(コミュニケーション)基本表現 の修正」が中心的な変更点であり、全体的にみると改訂教育課程では文化の教育を重 視する傾向がある(李2008)(10)。「2007年改訂教育課程」は、中学校では2010年度 から、高等学校では2012年から適用されることになっているため、現場からの研究が 待たれる。
2.4 日本国内における日本語教育の現状―日本にある韓国学校の場合
韓国学校は、韓国籍を持つ在日韓国人の教育のために開校し、主に韓国語で教育を 行っている学校であり、現在日本国内には全4校がある。そのうち、本研究の協力校
( 以 下 、 「 A校 」 と 略 す ) は 、 「 初 等 部 」 ( 日 本 の 小 学 校 に 当 た る ) ・ 「 中 等 部 」
(日本の中学校に当たる)・「高等部」(日本の高等学校に当たる)の構成である。
A校の場合、はじめは日本生まれの在日韓国人の教育が主であったが、【表2-4】か
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らも分かるように、現在は、親の事情で韓国から日本へ来た生徒の教育が主に行われ ている。学校の授業における教育言語と使用言語は基本的に韓国語である。
【表2-4 A校の出生地別の生徒数】
(2003年4月現在)
韓国 日本 他 合計
中等部 177 24 4 205
高等部 199 28 6 233
合計 376 52 10 438
A校における教育課程の編成および運営の基本方向(11)は次のようである。
(1)「第7次教育課程」と教育課程編成、運営指針、実践中心の獎学資料を背景に 学校と地域実情に合致した学校教育課程を編成、運営する。
(2)創造的で自律的な教育活動にすることができるよう多様性と融通性を賦与す る。
(3)教育課程と結果の質的水準向上のために評価管理体制を確立する。
(4)学校教育課程に対して自主評価を実施して教育の質的な面の管理を強化する。
(5)教育内容の量と水準の適定性化を図るため、深化した水準別教育課程を編成、
運営する。
A校の教育課程では上記(5)にも示されているように言語教育が強化され、水準別 の授業が実施されている。
言語教育において、英語は韓国の「修学能力試験」において必須科目であることや 生徒の多くが韓国の大学への進学を目指していることから、第二言語として積極的に 教えられている。
日本語の場合、「地域実情に符合した学校教育課程を編成、運営する」という学校 の基本方針に基づき、韓国の一般高校に比べて日本語科目に多くの時間が充てられて いる。しかし、日本語が韓国の修学能力試験においては必須科目ではなく選択科目で あることや親の事情で日本に来た生徒の多くがいずれ韓国へ戻る予定であることから、
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中には日本語学習への動機や必要性を持たない生徒もいるのが現状である。
日本語の授業は、生徒のレベルによって上級、中級、初級の三つのクラスに分けて 行われている。中・高等部のクラス別の教科書は次の通りである。
【表2-5 A校における日本語教科の教科書と資料(12)】
学 年 班 書 名 出版社名
上級 現代の国語 1 三省堂
中級 中学漢字ドリル 教学研究社
初級 日本語初歩 国際交流基金
上級 現代の国語 2 三省堂
中級 新しい書写 2 . 3 東京書籍
初級 日本語初歩 国際交流基金
上級 現代の国語 3 三省堂
中級 新しい書写 2 . 3 東京書籍
初級 日本語初歩 国際交流基金
特級 精選国語 Ⅰ 東京書籍
上級 日本語中級 Ⅱ 国際交流基金
中級 日本語中級 Ⅱ 国際交流基金
初級 日本語初歩 国際交流基金
特級 精選国語 Ⅰ 東京書籍
上級 日本語中級 Ⅱ 国際交流基金
中級 日本語中級 Ⅱ 国際交流基金
初級 日本語初歩 国際交流基金
日本社会再考 北星堂
時事問題練習 各種新聞, 週刊誌
J 班 現代文 東京書籍
日本留学班 留学試験過去問題集 日本国際教育協会
新日本語総まとめ問題集 凡人社 高 1
高 2
高 3
K文科 理科 小論文 中 1
中 2
中 3
日本語初級クラスの場合、日本語学習歴のない生徒がほぼすべてであるため、授業 は平仮名と片仮名から始まる。また、初級クラスでの使用言語は母語である韓国語と 日本語が半分半分に使われるが、レベルが上がるにつれて授業は日本語だけで行われ るようになる。
日本語の授業は週4コマ(1コマは50分)で、そのうち1コマは漢字の授業である。
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漢字の授業は初級クラスの場合、教科書の漢字の読み方と書き方を中心に行われるが、
中級と上級クラスの場合、書き方指導の一部は書道を通じて実際に漢字を書きながら 行われる。
2.5 本研究における協力者について―年少者に対する日本語教育の観点から
国際交流基金(2006)の調査によると、海外の日本語学習者数は2,979,820人で、
そのうち約170万人が初等・中等教育機関の学習者であり、前回調査(2003)に比べ て11.4%増加している。韓国の場合、約91万人の日本語学習者のうち8割以上が中等 教育機関(中学校・高校学校。以下「中・高校学校」と略称)で日本語を学んでいる 生徒である。このように年々増加している年少者に対する日本語教育であるが、成人 と年少者では、学習動機・学習者の成長過程における言語の認知能力・習得プロセス が異なるため、教授法・クラス運営・評価などすべてにわたって、成人学習者を対象 にした日本語教育とは異なるアプローチが求められる。
柏崎(2005)(13)では、年少者に対する日本語教育とはどのような対象に対して行わ れているものを指しているかについて次のように分類している。
(1)世界の年少者に対する日本語教育
①外国語教育(JFL:Japanese as a Foreign Language)
学習者の母語は日本語ではなく、広くは幼児、小学校、中学校、高校(初 等 ・ 中 等 教 育 機 関 ) ま で の 生 徒 を 対 象 と し て い る 。 学 習 者 は 、 社 会 ・ 家 庭・学習で用いられる言語が母語と一致する環境にいる。
②継承日本語教育(JHL:Japanese as a Heritage Language)
海外在住の日系人子弟で母語はすでに日本語ではない児童生徒を対象とし て、両親や祖父母の母語(日本語)を継承するための教育である。子どもが 社会や学習で用いる言語は母語であるが、少し家庭や地域で学習言語(日本 語)に触れる環境がある。
(2)日本滞在の外国人児童生徒の日本語教育
第二言語教育(JSL:Japanese as a Second Language)
日本滞在の母語が日本語ではない児童生徒で、社会・学校は日本語の環境
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である。家庭では母語を使用する。最近、日本で「年少者の日本語教育」と言えば(2)が議論されることが多く、活発 な研究や実践報告が頻繁に行われている。しかし、川上(2009:18)は、人が海を越 えて移動している経済のグローバル化のため、大人と共に移動する子どもたちが多数 生まれることにより、ことばの学習者自体が動態性を持つことを指摘しながら、今は
「母語教育」「継承語教育」「第二言語教育」「外国語教育」と区別をすればよい時 代ではないという。
また、経済のグローバル化とトランスナショナルな人的移動が生み出す多様な子ど もたちの教育を考えるうえで、空間的な移動(ある国からある国へ移動したり、ある いは、ある国の国内移動を繰り返したりする)と言語間移動(家庭内では母語を、ま た家庭外ではホスト社会の言語を話すなど)の二重の意味を込めた「移動」という概念 が極めて重要な点であると述べている。
松本(2004)の年少者の日本語教育研究における研究協力者の年齢的特徴(【表2- 6】)と国籍特徴(【表2-7】)による集計結果(研究の数)をみると、小学校に在学 している児童を対象とした研究が多く、最近は中学生や高校生を対象にする研究が増 えてきているものの、多様化している協力者の現状に比べ、まだ十分な研究が行われ ていないことが分かる。
【表2-6 研究協力者の年齢的特徴】
年 代 幼稚園 小学校 小学校 中学校 高等学校 大学
低学年 高学年
第1期 (~1980) 0 1 1 2 2 1
第2期 (~1989) 0 1 1 2 4 0
第3期 (~1995) 1 2 3 1 1 0
第4期 (~1999) 0 4 10 5 1 0
第5期 (~2004) 1 6 17 10 5 1
*縦の欄:各年代(第1期~第5期) 横の欄:通っている教育機関
松本(2004)(14)
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【表2-7 研究協力者の国籍による特徴】
年 代 幼稚園 小学校 小学校 中学校 高等学校 大学
低学年 高学年
第1期 (~1980) 外国 外国 外国 英語圏 日本
英語圏 オーストラリア
第2期 (~1989) 日本 日本 日本 日本
第3期 (~1995) 韓国 ベトナム ベトナム 外国 外国
インドネシア諸国 インドネシア諸国 中国
第4期 (~1999) ブラジル ブラジル ブラジル 日本
中国 ロシア 中国
パラグアイ 日本 中国
モンゴル
第5期 (~2004) ブラジル ブラジル ブラジル ブラジル タイ 中国
コロンビア 中国 中国 ブラジル
中国 フィリピン バングラディシュ 中国
モンゴル *多様 ペルー
ペルー *多様
韓国
*母語が、ベトナム語・カンボジア語・タガログ語・タイ語・スペイン語・中国語
松本(2004)(15)
年少者に対する日本語教育において、学習者が量的・質的に広がりを見せているな かで、学習者の多様化に関して述べるとき、幼稚園、小学校、中学校など学習者年齢 の特性について言うことが多い。しかし、高校生を例にとっても、日本語教育を日本 の高等学校で受ける年少者もいればインターナショナルスクールで受ける年少者もい る。母国で小学校までの教育を受けた者もいれば、母国で中学校までの教育を受けた 者もいる。また、学習適性、環境など、学習者件々人の多様性を示す要素は様々で、
それらが同時に複雑に存在している。日本滞在歴に幅のある学習者が同じクラスで学 んでいる状況も、日本滞在歴は比較的に均質であっても学習目標や学習経験が異なる 学習者が同じクラスで学んでいる状況も、それぞれ珍しくない。
このような生徒の多様性や学習環境の多様性に応じるということは、これらの多様
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性の中での一つひとつに関する現状や特徴を把握、理解したうえでの対応や指導法で なければならないことを意味する。
そこで、本研究では日本にある韓国学校という環境上の特徴と、「韓国から日本に 移動した年少者」という特徴を持つ韓国人高校生を対象にし、漢字の誤表記に関する 調査を行うことにする。調査結果より「だれが」・「何を」・「どうやって」を検討 することによって、日本の韓国学校の高校生の特徴や背景に合わせた、より適した漢 字指導ができるものと思われる。
本研究では日本の韓国学校の高校生を対象に論を進めるが、まず協力者の日本語ク ラスにおける特徴について確認しておきたい。本研究の協力者である韓国人高校生は、
日本語が「第二言語」である状況下にあることで韓国の高校生とは異なるが、初級ク ラスの場合、小・中学校の教育は韓国で受けていること、学校・家庭での使用言語が 母語(韓国語)であること、日本滞在歴が0~3か月であることなどを考えれば、誤表 記の傾向において極端に大きな相違はないと想定される。
しかし、中級クラスの場合、在日歴13か月~35か月であること、日本語を使う機会 が多くあることから、同じ韓国学校の高校生であっても初級クラスとは異なると考え られる。
このような日本の韓国学校の高校生の特徴を踏まえたうえで、本研究では、初級学 習者と中級学習者を対象に誤表記調査を行い、その結果を比較・分析することにより、
初級学習者と中級学習者におけるそれぞれの誤表記の特徴を検討することにする。
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第3章 日本語教育における漢字の誤表記研究3.1 日本語教育における漢字指導
漢字は日本語学習にとって重要な学習項目でありながら、日本語教育において教授 上も学習上も難しい課題の一つである。これまで、日本語学習者に対する漢字教育に ついては様々な研究がなされており、そのアプローチも多様である。武部(1989)は、
漢字の構成と学習者へのその説明方法に重点を置いている。石田(1989:311)は、特 に非漢字圏学習者に対する漢字教育の留意点を述べ、「漢字嫌いを育てないことに最 も 注意 す べ き であ る 」 と 言う 。 ま た 、吉 村 ( 1989: 235) は 、 「漢 字 の 成立 方 法 ・ 形・音・意味を基準に体系的に語彙を導入しながら教えるべきである」としている。
具体的な指導法に関しては、酒井(1994)のイラスト・唱えことば・部首別フィード バック・誤表記例の提示、渡辺・豊田(1993)の字形の知覚と認知、短期記憶を利用 した学習法、Flashertyと Noguchi(1998)の構成要素分析法による教授法、鈴木(2 007)の漢字教育のレベルに応じた「六書」の利用、清水と加納(1992)のCAIの授業 と自習への利用の効果性についての研究など、多くあげられる。また、川口(1993)
は、生教材を使用し文脈から漢字語彙を導入したり、文脈から学習漢字語の意味を推 測させたり、共通する漢字が形成する語彙群を認知させたり、漢字の再構成により字 形を学習させたりするなどの様々な指導法を通じて総合的に漢字力を養う方法を紹介 している。
漢 字 学 習 に 対 す る 学 習 者 の 意 識 と い う 点 か ら の ア プ ロ ー チ と し て は 、 清 水 ( 199 4)・豊田(1995)・大北(1997)・加納(1997)・新矢(1998)などがあげられる。
加納(1997:266)の調査では、学習者が漢字学習にあたって、一般的に「辞書で調 べる」、「熟語や例文の形で繰り返し、手で書く・読む」などの方法を用いているこ とが明らかになった。学習の初期段階では多種多様な学習法を使っているが、漢字習 得度が上がるにつれてそれらが収束されていく傾向も明らかにされた。豊田(1995:
105 )の意識調査では、117名の非漢字圏学習者の中で、漢字は自学自習できるとい う回答が約5割を占めていた。自学自習できるという意識は漢字の学習レベルの上昇 につれて徐々に上がっていくわけではなく、初級よりも中級の学習者の方が自学自習 に対して不安を抱いており、適切なガイドラインの必要性を感じているようである。
そして、清水(1994:55)は、中国・台湾69名、韓国27名、アジア諸国21名の計117