様式8の1の2 別紙2
論文審査の結果の要旨
専攻名 システム創成工学
氏 名 YONG ADILAH BINTI SHAMSUL HARUMAIN
急激な経済発展を遂げている途上国において急速な都市化が進行しており、過密化した 土地利用が、著しい交通渋滞を始めとする様々な交通問題を引き起こしている。そのため、
途上国における交通問題の解決のためには、その原因となる土地利用と交通の双方の視点 から理解することは極めて重要である。本論文は,「COLONIZATION INFLUENCES TOWARDS INCONFORMITY OF LAND USE AND TRANSPORTATION IN
DEVELOPING COUNTRIES(途上国における植民地化が土地利用と交通の不整合に与 える影響に関する研究)」と題し,途上国における植民地化に着目し,土地利用と交通 の不整合に関する分析を行った。
途上国における急激な都市化に伴う、居住環境の悪化、交通混雑、貧困問題などは、経 済発展を優先させた土地利用と、問題追従型の交通計画に起因していることが多い。本研 究は途上国における土地利用と交通の不整合性に着目し、その原因を探求している点に特 徴がある。本論文の前半では日本の土地利用と交通の相互関係に着目し、どのようなバラ ンスを保つことが理想的であるかについて論じている。東日本大震災で被災した都市の復 興過程から土地利用と交通の理想的な関係に言及し、社会リスクと自然リスクの双方から 両者のバランスをとることの重要性を明示している。
本論文の後半では、途上国の都市・交通技術者を対象としたアンケート調査をもとに、
土地利用と交通の不整合が発生している原因を追究した。その結果、土地利用と交通の不 整合を引き起こしている原因の一つとして、植民地化の影響があることを示した。また、
多変量解析を用いた分析から、土地利用と交通の不整合性に起因する要因として、次に挙 げる10の要因を特定した。それは、①経済問題、②政治問題、③協力の欠如、④法制度 の欠如、⑤教育問題、⑥情報不足、⑦技術力の欠如、⑧人々の無関心、⑨政策の実効性、
⑩公共交通の不足である。また、因子分析による結果から、要素の分類を行った。その結 果、植民地化の経験のある途上国では、政治問題が土地利用と交通の不整合性に影響を与 えていることが分かった。
総じて、本研究で得られた主な知見は以下の通りである.
1)土地利用と交通の相互関係の重要性を指摘し、社会および自然の2つのリスクから土 地利用と交通の関係を整理した。
2)途上国における土地利用と交通の不整合を誘発させている一般的な原因を明らかにし た。
3)植民地化を経験した途上国では、植民地化の前後において土地利用と交通の不整合が 生じることを明らかにした。
4)途上国における自動車依存度を減少させるため、土地利用と整合した交通システムの 提案を行った。
本論文については、平成27年2月9日に本学8号館824番教室において、審査委員全員およ び学内外のこの分野の研究者、実務者などの出席のもとに公聴会が開催され、その研究内 容の発表と質疑応答が行われた。公聴会の後に、審査委員全員による学位審査委員会が開 催され,論文内容を詳細に検討した。その結果、本論文は工学的に価値が高く、研究内容 の学術レベルならびに研究としての独創性および実用性において優れたものと判断した。
よって、本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める。