• 検索結果がありません。

第25回日本在宅ケア学会学術集会「ライフ・デザインと多職種協働 〜主体的選択を地域で支える仕組みづくりに向けて〜」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第25回日本在宅ケア学会学術集会「ライフ・デザインと多職種協働 〜主体的選択を地域で支える仕組みづくりに向けて〜」"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団. 2019年度(前期)指定公募. 「在宅医療推進のための学会等への共催」完了報告書. 「第 25回日本在宅ケア学会学術集会」. ライフ・デザインと多職種協働. ~主体的選択を地域で支える仕組みづくりに向けて~. 申請者:第 25回日本在宅ケア学会学術集会. 学術集会長 森下安子. 提出年月日:2020年 9月 2日. 1. 学術集会名称 第 25回日本在宅ケア学会学術集会. 2. テーマ ライフ・デザインと多職種協働. ~主体的選択を地域で支える仕組みづくりに向けて~. 3. 学術集会長 森下 安子(高知県立大学看護学部 在宅看護学領域 教授). 4. 会期 2020年 6月 27日(土) 9:00~17:10. 5.開催方法. Zoomウェビナーによる Web上での Live配信. Youtube限定公開による Live配信. 5. 主催 日本在宅ケア学会. 6. 共催 公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団. 7. 後援 高知県/高知市/高知県看護協会/高知県医師会/高知県歯科医師会/. 高知県薬剤師会/高知県訪問看護連絡協議会/高知県介護支援専門員連絡協議会/. 日本在宅ケアアライアンス/高知県立大学. 8. 事務局 学術集会事務局:第 25回日本在宅ケア学会学術集会事務局. 高知県立大学看護学部内. (高知県高知市池 2751-1). 運営事務局 :株式会社日本旅行コンベンショングループ. (岡山県岡山市北区駅前町 2-1-7. JR西日本岡山支社ビル 1階). 9. 協力企業 共催セミナー:1社. 広告掲載 :19社. 寄付 :7 社. 10. 開催関係者 企画委員:16名. 実行委員:10名. 協力委員:32名. テクニカルサポート:4名. 11. 参加者数 参加者:544名. ・抄録集あり参加者:354 名. ・抄録集なし参加者: 96 名. ・学生 : 94名. 12. 参加費 ・抄録集あり参加 :8,000円. ・抄録集なし参加 :5,000円. ・学生(抄録集なし) :1,000円. 13. プログラム. <Web1会場>. 学術集会長講演 9:20~10:00. 主体的な選択を地域・多職種で支える仕組みづくり. 講演者:森下 安子(高知県立大学看護学部). 座長 :川上 理子(高知県立大学看護学部). 特別講演Ⅰ 10:15~11:15. 在宅における多職種協働に求められる俯瞰的視点. 講演者:春田 淳志(慶応義塾大学医学教育統轄センター). 座長 :森下 安子(高知県立大学看護学部). 企業セミナー 11:30~12:30. 在宅ケアのアウトカム評価方法とシステム開発および現場での利用方法. 講演者:芹田 三保(有限会社たくみケアサービス). 寺澤 保彦(株式会社コンダクト). 座長 :島内 節(日本在宅ケア研究センター). 教育講演Ⅰ 13:00~14:00. 在宅ケアにおける多職種でかかわる服薬管理. 講演者:川添 哲嗣(高知大学医学部附属病院 薬剤部). 座長 :阿部 恭宜(高知県薬剤師会常務理事). 特別講演Ⅱ 14:15~15:15. いのちの仕舞い(しまい). 講演者:小笠原 望(医療法人鬨の会 大野内科). 座長 :森下 幸子(高知県立大学看護学部). 教育講演Ⅱ 15:30~16:30. 保健医療福祉研究におけるテキストマイニングの活用. 講演者:上野 栄一(福井大学学術研究院医学系部門). 座長 :小原 弘子(高知県立大学看護学部). <Web2会場>. シンポジウムⅠ 11:30~13:10. “高知家”の挑戦!人口減少・高齢化地域における看取りまで支える. 地域包括ケアに向けた取り組み. シンポジスト:下元 佳子. (一般社団法人ナチュラルハートフルケアネットワーク). 廣末 ゆか(中芸広域連合保健福祉課). 田口 貴文. (医療法人臼井会田野病院 リハビリテーション部). 宮地 通弘. (高知県地域福祉政策課 福祉・介護人材対策室). 座長 :久保田聰美(高知県立大学看護学部). シンポジウムⅡ 13:25~14:45. “高知家”の提案!災害多発時代における多様な個からの総力戦. シンポジスト:神原 咲子(高知県立大学大学院看護学研究科). 衛藤 徹 (有限会社アゴラ・クリエーション). 片岡奈津子. (特定非営利活動法人そーる. そーる訪問看護ステーション). 座長 :木下 真里(高知県立大学看護学部). ワークショップ 15:15~16:15. 人材不足を救う・補う『ノーリフティングケア』. プログラムワーカー:下元 佳子. (一般社団法人ナチュラルハートフルケアネットワーク). 14. 感想 今回の学術集会は、当初会場(高知市文化プラザかるぽーと)にて会期 2日間で開. 催する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大ならびに緊急事態宣. 言の発令を受け、プログラムを限定、会期を 1日とし、オンライン会議システム Zoom. ウェビナーを用いた Live配信および Youtube限定公開による Live配信に変更した。. 一般演題については、抄録集での紙上発表とした。. 初めての Web上での Live配信であり、参加者の確保や運営・参加側双方の Zoom操. 作方法の修得と機器管理、セキュリティ管理が課題であった。参加者の確保について. は、参加費を見直し、抄録集なしで参加費を抑えたコースの設定や、学生の参加費を. 抑えたことが参加しやすさにつながったと考える。また、開催方法やプログラムの変. 更についてメールやチラシで繰り返し広報し、関係機関の協力も得て、544名の参加. があった。Zoom操作や機器管理については、運営側で練習を繰り返し行った。参加者. へは前日までに Zoomウェビナー接続テストを行い、接続できない場合は前もって対処. 方法を知らせたり、Youtube 限定公開の Live配信へ誘導するなど、スムーズに参加し. ていただける工夫を行った。セキュリティ管理では、参加申込者のみに Zoomウェビナ. ーの URLを伝え、事前登録で氏名や連絡先の入力が必要な設定とした。Youtubeも限. 定公開とし、一般の Youtube利用者は閲覧できない設定とした。セキュリティ上のト. ラブルは生じなかった。. プログラムは、メインテーマであるライフ・スタイルと多職種協働に沿って講演内. 容を設定しただけでなく、医師、薬剤師、看護師、保健師、理学療法士、行政職、情. 報技術者など医療保健福祉分野に限らず多職種の方々にご講演いただいた。講演を. Live 配信としたことで、参加者へ Web上でアンケートをとったり、質問にその場で回. 答したりと、臨場感のある学術集会が運営できたと考える。. 少子高齢化に伴う保健医療ニーズの増加、多様化に加え、今回の新型コロナウイル. ス感染症の蔓延による日々の生活様式の変化が人々に与えた影響は大きく、地域で暮. らす人々が、自分らしく、安心して暮らすための取り組みはますます重要となる。今. 回の学術集会の開催方法変更など、新しい状況にも柔軟に対応された参観者の方々の. 適応力や学習への熱意は、地域で暮らす人々の生活を支える柔軟な対応につながって. いくと考える。. 謝辞. この度の学術集会に際し、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団より助成を. いただきましたことに深く感謝いたします。. <資料>. 以下について、順に添付する。. A.広報用チラシ. B.講演抄録(抄録集より抜粋). 学術集会事務局 高知県立大学看護学部 〒781-8515 高知県高知市池2751-1 E-mail:[email protected] FAX:088-847-8810 http://www.convention-w.jp/jahc25/. 共催:公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 後援:高知県・高知市・高知県看護協会・高知県医師会・高知県歯科医師会・高知県薬剤師会. 高知県訪問看護連絡協議会・高知県介護支援専門員連絡協議会・日本在宅ケアアライアンス・高知県立大学. 会期を1日に短縮しプログラムを限定してWeb上でLive配信いたします. 参加費 一般参加A(抄録集あり):8000円 一般参加B(抄録集なし):5000円 学生参加 (抄録集なし):1000円. 特別講演. 会期:2020年6月27日(土) 学術集会長 森下安子(高知県立大学看護学部). 参加登録期間(HPよりご登録ください) 2020年6月16日17時まで 当日参加はお受けできませんので 事前登録をお願いいたします. 参加方法 参加登録された方にはURL等をお知らせ いたします. 教育講演. 学術集会長講演. シンポジウムなど. 第25回日本在宅ケア学会学術集会 ライフ・デザインと多職種協働. ~主体的選択を地域で支える仕組みづくりに向けて~. 第25回日本在宅ケア学会学術集会. 学術集会長講演 主体的選択を地域・多職種で支える仕組みづくり 森下 安子(高知県立大学看護学部). 特別講演Ⅰ 在宅ケアにおける多職種協働 春田 淳志(慶応義塾大学医学教育統括センター). シンポジウムⅠ “高知家”の挑戦!人口減少・高齢化地域における. 看取りまで支える地域包括ケアに向けた取り組み 下元 佳子(一般社団法人 ナチュラルハートフルアネットワーク) 廣末 ゆか(中芸広域連合保健福祉課) 田口 貴文(医療法人臼井会 田野病院) 宮地 通弘(高知県地域福祉部地域福祉政策課). ライフ・デザインと多職種協働~主体的選択を地域で支える仕組みづくりに向けて~. 第25回学術集会運営事務局:高知県立大学看護学部 〒781-8515 高知県高知市池2751-1 E-mail:[email protected] FAX:088-847-8810. HP:http://www.convention-w.jp/jahc25/. 教育講演Ⅱ 保健医療福祉研究における. テキストマイニングの活用 上野 栄一(福井大学医学部看護学科). シンポジウムⅡ “高知家”の提案!災害多発時代における多様な個からの総力戦 神原 咲子(高知県立大学大学院看護学研究科) 衛藤 徹(有限会社アゴラ・クリエーション) 片岡 奈津子(特定非営利法人そーる そーる訪問看護ステーション). ワークショップ 人材不足を救う・補う. 『ノーリフティングケア』 下元 佳子(一般社団法人 ナチュラル. ハートフルケアネットワーク). 企業セミナー 在宅ケアのアウトカム評価方法と. システム開発および現場での利用方法 島内 節(日本在宅ケア教育研究センター) 芹田 三保(有限会社たくみケアサービス) 寺澤 保彦(株式会社コンダクト). ※当日のプログラムと異なる場合がございます.最新のプログラムは,抄録集または学術集会HPでご確認ください.. 6月27日 web配信プログラム. 教育講演Ⅰ 在宅ケアにおける多職種でかかわる服薬管理 川添 哲嗣(高知大学医学部附属病院). 特別講演Ⅱ いのちの仕舞(しま)い 小笠原 望(医療法人鬨の会大野内科). 一般演題(口演・ポスター) 抄録集で紙上発表とさせていただきます. 学術集会長講演. 主体的な選択を地域・多職種で支える仕組みづくり. 森下 安子. 高知県立大学看護学部. 社会保障制度の持続可能性が懸念される中 で,少子高齢化による人口構造の変化に伴い, 保健医療のニーズは今後ますます増加,多様化 すると予想されています.そのため,保健医療 2035 提言書において 3つの達成すべきビジョ ンが掲げられ,その中の一つが「ライフ・デザ イン」です.ライフ・デザインとは,「生活を 個々人が主体性と創造性をもって設計し,積極 的に実現させていくこと」とされ,人々の健康 に対する知識や意識が向上,患者一人ひとりが 自らの医療やケアの選択に主体的に参加・協働 し,個人の人生や医療における選択や意思決定 を支える支援が確立・普及していることが必要 とされています.まさしく,在宅ケアに従事す る専門職は,人々の多様性を認め,主体的な選 択を地域・多職種で支える仕組みを構築するこ とが求められているといえます. 高知県は,全国に先行して人口の自然減に突 入したのは 1990 年で,全国より 15 年先行して いるといわれています.また少子高齢化も全国 より 10 年先行し,高齢化率は 2019 年 7 月現在 35.1%(高知県統計分析課発表),中山間地域 が県土の 9割以上を占めています.このように 少子高齢化,過疎化,人口減に伴う経済規模の 縮小という課題に対し,高知県は平成 22 年よ り「日本一の健康長寿県構想」~県民の誰もが 住み慣れた地域で,安心して暮らし続けること のできる高知県~の実現を目指して,5つの目. 標を掲げ,各種事業を展開しています. 現在,私たちは,県が掲げている目標の一つ である「地域地域で安心して住み続けられる県 づくり」の実現に向け,地域医療介護総合確保 基金の事業を活用して,入退院支援事業と中山 間等訪問看護師育成講座を展開しています.ラ イフ・デザインを実現していくうえで,社会資 源が存在していなければ,選択する余地もな く,その社会資源を維持,創設していくうえで, 人材育成は欠かせないものであると考えてい ます.また,入退院支援事業においては,アク ションリサーチの手法を用いて大学,高知県, 地域が一体となり「入退院支援の過程において 地域と病院の様々な多職種が,課題と目標を共 有し,対等な関係性を築き対話を繰り返しなが ら互いに持っている知恵や資源を出し合って 活用し,早期の社会復帰および在宅生活の安定 に向けたケアを創造・実践していく仕組みづく り」を創り出しています.そのプロセスの中で 「社会資源の量には限界があるが,多職種,多 組織協働があれば住民のニーズに応えていけ る」という地域の専門職の方の声は力強いもの があります. 改めて,これらの事業紹介を通して「ライフ・ デザイン」の実現に向け主体的な選択を地域・ 多職種で支える仕組みづくりについて,皆様と 一緒に考えてみたいと思います.. 特別講演Ⅰ. 在宅における多職種協働に求められる俯瞰的視点 ―場と対象者の相互作用を踏まえた多職種連携コンピテンシー―. 春田 淳志. 慶應義塾大学医学教育統括センター. 在宅という生活の場で行われる多職種協働 をどのように考えるとよいだろうか? 教育や価値観が異なる多職種が協働するう えで,多職種が「目指すべき能力」として定義 される多職種連携コンピテンシーが,2016 年 日本の文脈に合わせて開発された. ⑴ 患者・利用者・家族・コミュニティ中心 ⑵ 職種間コミュニケーション ⑶ 職種としての役割を全うする ⑷ 関係性に働きかける ⑸ 自職種を省みる ⑹ 他職種を理解する 多職種協働では上記の 6領域からなる多職種 連携コンピテンシーを意識するだけでなく,場 の特性や対象者により連携の在り方が変わり うる点を留意する必要がある.例えば,在宅で は限られた医療資源でやりくりする.対象者が 生活の場に戻ることは,周りの生活にも影響を 与える.また対象者を 1)悪性疾患・神経難病 2)非がん患者(±多併存疾患)3)アクセス困 難となった虚弱高齢者を分類して考えると,多 職種協働のモードは変わってみえる.心理社 会的複雑性はどのケースにも該当し,時に困 難事例となる.1)の多くは専門科から紹介さ れ,患者は専門的で複雑な病態が重複する.こ. の理解を踏まえた治療方向性について,患者・ 家族・医療介護間の合意が必要であり,病期の スピードにより合意の時間的余裕が変わる.主 に医師・看護師が主導権を握り,迅速に予期的 に苦痛緩和や身体機能に応じたケアを適宜介 護職と協働しながら進めていく.各職種が自律 的に役割を全うし,互いの役割を共有している ことが前提として求められる.2)は COPD急 性増悪・嚥下性肺炎・慢性心・腎不全などの増 悪緩解を繰り返す病態が該当する.多併存疾患 ゆえに,時間的余裕がある時期に多職種と優先 順位を考え,意思決定することが求められる. 入退院を繰り返す場合,生活の場を支える水平 統合だけでなく,病期を予想した連携や病院・ 在宅の場をつなぐ垂直統合を担う職種がキー となる.3)は実際多いかもしれないが,1)2) でも病状が落ち着いていれば該当する.現状の Bio-Psycho-Social を評価し,漸次揺れる変化を 集合的に捉え,迎える終末期を見据えて,患者・ 家族・医療介護側での共通の理解基盤を構築す る準備期間となる.このように,在宅における 多職種協働は唯一の正解はなく,生活の場と病 期を俯瞰的に捉え,多職種は対象者に応じてギ アを変えながら関わることが求められる.. 特別講座Ⅱ. いのちの仕 し. 舞 ま. い ―四万十川のほとりの診療所で思うこと―. 小笠原 望. 医療法人鬨の会大野内科. ぼくの診療所は日本最後の清流,四万十川に かかる赤鉄橋の元にあります.高知県の西部に 位置する四万十市の無床診療所で「患者さんと ともに何でもする」理屈のない泥臭い在宅医療 を続けています.訪問診療の行き帰りに,往診 車で四万十川の堤防を走ります.自分の年齢も あるのでしょうが,四季折々の川の風景を見な がらいつの間にか「ひとのいのちも自然のなか のもの」と,思うようになってきました. 四万十には「いい仕舞い」という言葉があり ます.ある程度の年齢まで生きて,直前まで食 べて,痛まず,家族の中で最期を迎えられるの を,そんなに言います.通夜の席で,「いい仕 舞いでした.ありがとうございました」と家族 に挨拶されることがあります.「わたしもあん な仕舞い方でお願いします」と言われること も. いい仕舞いの秘訣は医療者としては,いのち の自然さを大切にする,言葉のやりとりで本 人,家族と楽しめる,点滴はしないか量をなる だけ少なくする,血圧,脈がどうのなどの医療 のきっちりさを持ち込まない,などでしょう か. 四万十川の堤防を往診車で走るときに,ぼく のこころはふにゃふにゃになります.夕焼ける 四万十川の堤防を診療所に走るときに,在宅の 患者さんやそれを支える家族の人たちのこと を思うと,涙が出てくる時があります.在宅医. 療は科学ではない,文学の世界だとこの頃は思 うようになりました.いろいろな患者さんとの やりとりと,四万十の自然がぼくを鍛えてくれ ました. 四万十川の悠々と蛇行する様子も自然の一 面.一方では一旦大雨になると沈下橋を飲み込 むすさまじい濁流となり,川漁師は幾日も川に 出ることが出来なくなります.以前は流域で は,よく浸水していたとも聞きます.そんな思 うようにならぬ自然の気まぐれや荒々しさの なかで,「自然に対してはしょうがないことは しょうがない」の気持ちができてきたのでしょ うか.そして,いのちに対しても「仕舞い」と いう言葉が使われるようになったのでしょう. 「生きられるだけ生きた」と本人が思い,周囲 の人たちもそう感じたときが本当の「いい仕舞 い」なのです. 老衰という言葉の響きがぼくは好きです.癌 であろうと認知症であろうと,生きられるだ け生きたら,それは老衰ではないでしょうか. 四万十の自然のなかでの在宅での看取りを経 験しながら,「ひとのいのちも自然のなかのも の」はぼくの確固たる信念になりました.主役 は患者さん,そして家族の気持ちや他職種の人 たちの気持ちをおもんばかりながら,「いい仕 舞い」のプロデューサーを続けてゆきたいと 思っています.. 教育講演Ⅰ. 在宅ケアにおける多職種でかかわる服薬管理. 川添 哲嗣. 高知大学医学部附属病院薬剤部. 1・序文 在宅ケアにおける服薬管理において最も大 きな課題は,残薬の多さではないだろうか.残 薬が多いということは,医師の指示通りに薬剤 を使用できていないということに直結する.正 しく服薬できていないのであれば薬効や副作 用は正しく評価できない. なぜ正しく服薬できないのか.個々に異なる 理由を明確にし,個々に対策を立てていく必要 がある.そしてその対策の実践は在宅ケアに関 わる多職種で協働して行えばより有効なもの となるはずである.. 2・内容 薬剤を正しく使用できない理由を精神(心 理),身体,環境の 3因子から考察してみる. *精神因子:処方内容を納得していない,副作 用発現を恐れている,効きすぎる,あるいは 弱すぎるなどの自己判断に基づいた自己調 整. *身体因子:薬剤情報提供書や薬袋の文字が見 えていない,一包化された薬を開封できな い,認知機能の低下により服薬方法が理解で きない,嚥下できない薬剤(大きな錠剤,カ プセル,散剤など)がある. ※以上 2つの因子は,服薬支援者の状態低下 も影響する.. *環境因子:複数科・複数医療機関受診による. 多剤服用,服薬支援者が不在,介護サービス を受けていない.. これらのどれに当てはまるのかを先ずは突 き止める.次に服薬支援方法を考える.正し く服薬できないとすぐに一包化や週間カレン ダーを考えてしまうと思うが,そればかりでは ない.日めくりカレンダーや服薬支援ロボなど による管理が有効なこともある. 服薬能力の評価は認知機能だけでなく,嚥下 能力も評価しておく.嚥下能力が低下している のであれば,言語聴覚士,歯科衛生士らと連携 し嚥下訓練も併せて行う.とろみ調整剤の使用 は栄養士と話し合い濃度を決める.指先の機能 低下により薬をうまく取り出せない方が作業 療法士の訓練により改善した事例もある.. 3・まとめ 在宅ケアにおける服薬支援の鍵は,服薬がで きない理由の「初期アセスメント」である.そ れがきちんとできていれば対策は立てやすく, 連携するべき職種も明確になる.もう一つ大切 なことはケアマネジメントとの連携である.つ まりケアマネジメントに明記された個々の目 標設定を多職種が共有することで,その目標の 達成のために協働して支援が行われる.中心に いるのは患者(利用者)である.これこそが在 宅ケアに求められる服薬管理の姿だと考える.. 教育講演Ⅱ. 保健医療福祉研究におけるテキストマイニングの活用. 上野 栄一. 福井大学学術研究院医学系部門. 保健医療福祉分野は,保健,医療,福祉とい うキーワードが示すように連携が重要です.ワ ンチームです.本講演では保健医療福祉研究に テキストマイニングをどのように活かすかと いった内容で講演を進めていきます. テキストマイニングは,コンピュータを用い た言語処理を基調とする手法であり,計量言語 学の学問分野に入る.歴史的にみるとテキスト マイングという言葉より内容分析という手法 が先にあります.内容分析は看護の世界では, とても有名な分析方法で質的研究においては, ベレルソンの内容分析の定義がよく論文に引 用されます.「内容分析は,結局カテゴリーを 定め,それに内容を分類包接させて,数える技 術である.記述全体を文脈単位,1内容を 1項 目として含むセンテンスを記録単位とし,個々 の記録単位を意味内容の類似性に基づき分類・ 命名する 」とありますように,質的手法とし ての定義が記載されています.私は内容分析を 始めたのは,クリッペンドルフのメッセージ分 析の技法―「内容分析」への招待に「内容分析 とは,データをもとにそこから文脈に関して再 現可能で,かつ妥当な推論を行なうための 1つ の調査技法.」とあり,興味を持ちました.特 に「再現可能」というところに関心を持ちまし た.調べると単位を明確に定義することで,コ ンピュータによる解析を可能にすることがわ かり,今のテキストマイングであり,質的デー タを,コンピュータ処理ができることで,質的 データを量的研究につなげる役割をする手法 ということがわかってきました. テキストマイングの得意とするところは,質 的データを数量データに置き換えて,暗黙知を 形式知にすることができます.具体的には,基 本的統計量の算出(単語),共起分析(ことば. ネットワーク),対応分析,クラスター解析, 自己組織化マップなどの作成ができ,数量理論 による分類ができます. 従来,質的研究は,帰納的方法をとり,一般 的な法則性を明らかにしますが,人間による解 析です.テキストマイニングは,コンピュータ による自然言語処理で,質的情報を量的情報に 替えて可視化をするのが得意です.看護は,よ く経験知といわれ,EBNが求められます.現 在,経験値を形式知にすることが求められてい ます. 日野原重明先生は「看護の時代」の中で,「現 実に目に見えるものを「観」,実際に耳に聞こ えるものを「聞いている」のが医師だとすれ ば,看護師は自分という存在をフィルターにし て,患者の内にある目に見えぬものや語られな い言葉をも「感じている」のだといえるでしょ う.」述べられています.看護の素晴らしさを 現わしていると思います.私はここから,この 感じていることを形にすることが重要と思っ ています.20 年ほど前になりますが日野原先 生の講演を聞いた時に,看護という経験知を形 にしていくことが大切であると言われたのを 覚えています.看護は科学でありアートです. 私たちの看護ケアを広く社会に発信すること が重要と考えます.そのためにもテキストマイ ングという手法を用いて,私たちの築きあげて きた経験知(現象)を形にすることは,とても 意義のあることと思っています. 私は,コンピュータによる方法だけではな く,今までの質的研究を大切にしながらテキス トマイニングの力を借りて看護現象の可視化 が重要と思います.講演では,実際の分析方法 も紹介しながら進めます.. シンポジウムⅠ “ 高知家 ” の挑戦!人口減少・高齢化地域における看取りまで支える地域包括ケアに向けた取り組み. 地域力向上を目指した外部支援者としてのかかわりと活動. 下元 佳子. 一般社団法人ナチュラルハートフルケアネットワーク. 当会は,どのような状態でも,どこで暮らし ていても,人としてあたりまえに暮らすことが できる高知県を目標に,ケアの研修活動などを 実施している.専門的な様々な研修を通して, 県下のケアレベル向上を図るために,けん引す る力を有する人材を育成すること,そして働き やすい業界にするためにノーリフティングケ アの普及,地域レベルでのケアにおけるキャリ ア教育の構築とそのファーストステップの研 修を県下全域で実施している. 少子高齢化が急速に進んでいる高知県にお いては,ケアの質向上を実現するためには,人 材確保が何よりの課題となる.高知県において は平成 28 年に「ノーリフティング宣言」をし ており,当方でも県の福祉・介護就労環境改善 事業を受託し,腰痛を予防し離職から定着へ, そして,きついしんどい仕事というイメージを 払拭し人が集まる業界にすることを目標に,安. 全に安心して働けるノーリフティングケアを 高知県の県下全域の事業で実施してもらう取 り組みを行っている.また,地域におけるケア の質向上・ケアの質の連携をスムーズにするた めのファーストステップとして「高知家統一基 本ケア(15 項目)」と題して県下各地で草の根 活動的に研修を実施している. 研修を実施することが目標ではなく,地域に おいて障害を有しても高齢になっても安心し て暮らすことができるためにケアの質を向上 させることが目標.そのためには,この業界で 働く人が働きやすいと感じ定着しなければ,質 の向上は困難である.研修を実施するだけでな く,地域に出向き,実際にその地域の課題を解 決する,地域課題に沿った研修の開催方法や活 動を検討しながら進んでいる.今回は当会の取 り組みと,地域での実際の活動を紹介させてい ただきたい.. 第25回日本在宅ケア学会学術集会. シンポジウムⅠ “ 高知家 ” の挑戦!人口減少・高齢化地域における看取りまで支える地域包括ケアに向けた取り組み. 住民と行政・専門職が一体となって取り組む地域づくりの大切さ, “つなぐ”役割とその仕組みづくり. 廣末 ゆか. 中芸広域連合保健福祉課. 当広域連合は,近隣 5町村(馬路村・安田町・ 田野町・奈半利町・北川村)で構成され,平成 12 年度より,保険者一本化となり介護サービ ス課が設置された. 5 町村合わせての総人口は,令和元年 12 月 1 日現在で,9,954 人,高齢化率 45%,後期高 齢者は高齢者の過半数を占め,加速的に少子高 齢化が進んでいる.すでに,高齢者 1人当たり を 1.1 人で支える「肩車型」となっている.要 介護認定者数は 900 人程度,要介護認定率は約 19.5%程度である. 当地域包括支援センターは,平成 18 年度よ り直営で運営している.保険者一本化でスター トされたが,保健福祉施策の考え方も異なり, 課題共有から課題解決に向けた進みが難しい 局面もあった.ほとんどの町村は,行政主導の 施策が優先し,人口減少や高齢化の下,「住民 主体」の地域づくりの難しさがあると捉え,長 年行政依存の環境をつくっていた.また,中芸 地域内の主な在宅を支える介護事業所は,訪問 介護事業所が 4カ所,通所系介護事業所が 9カ 所,短期入所施設が 3カ所,その他訪問看護ス テーションが 1カ所となっている.介護事業所 はいずれも小規模で,介護職員は採用募集をし ても応募がなく,人員不足が続いている.地域. においては,高齢化だけでなく独居や高齢者世 帯の増加に伴い,介護ニーズだけでなく,利用 者の多様性への対応力も求められてきている. しかしながら,介護現場では,介護職員の人員 不足や高齢化等が進み,心身の負担に伴う疲弊 感が増しているのが現状である. このような現状から脱却していくために,地 域住民が主体的に取り組める支え合いの地域 づくりの再構築,介護事業所の業務改善や人材 確保,ケアマネジメントが一体的にできる医療 と介護の連携における体制づくり等が急務の 課題となっている. これらの課題解決に向けて,当センターにお いて,住民の支え合いのできる地域の基盤づく りのために,平成 26 年度より各役場担当職員 や各町村社会福祉協議会とチームとなり,地域 の課題共有や住民の「やりたい」活動を支援す る体制の整備に努めている.また医療や介護の 関係機関との取り組みにおいては,大学や関係 専門職との協働の下,地域ケア会議から地域課 題を抽出し,関係機関と協議する機会を整備 し,連絡会や事例検討会・研修会等を通して取 り組みが始まったところである.道半ばではあ るが,このことについて報告させていただく.. シンポジウムⅠ “ 高知家 ” の挑戦!人口減少・高齢化地域における看取りまで支える地域包括ケアに向けた取り組み. 地域・多職種連携と入退院支援 ~教育機関の支援を受けて~. 田口 貴文. 医療法人臼井会田野病院リハビリテーション部. 全国的には地域包括ケアシステムは,団塊の 世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に,重度 な要介護状態となっても住み慣れた地域で自 分らしい暮らしを人生の最後まで続けること ができるよう,住まい・医療・介護・予防・生 活支援が一体的に提供されるよう考えられた 仕組みです.しかし,人口動態的観点からみる と人口が横ばいで 75 歳以上人口が急増する大 都市部,一方で当院のある高知県東部地域のよ うに 75 歳以上人口の増加は緩やかだが人口は 減少する町村部,高齢化の進展状況には大きな 地域差が生じています. このように 10 ~ 15 年全国に先行して超高齢 社会を迎えている地域では,大都市でのやり方 を模倣したり,全国の取組を待っていては適 切な形で住民の生活を支える事はできないと 考えます.そこで,当院は平成 29 年度高知県 の委託事業として高知県立大学健康長寿セン ターの先生方が取組んでおられる,【入退院支 援事業】に参加する事を検討し,入院の必要と なった方が安心して住み慣れた地域に退院で きる解決策を模索する事となりました.私はこ の事業は大きく 3つの特徴があると考えます. 一つめは,当該地域の行政や在宅生活支える 事業所と医療機関が一緒に取組む事です.お互. いの強みや課題を共有し,共に目指す姿を話合 いの中で決定します.この過程で,地域特性を 活かした基盤整備を行い,それを行動に移す為 に必要であるプロセスシートを完成させる事 ができました. 二つめは,数多くの研修を受講する事ができ る点です.講師は公的な教育機関である高知県 立大学の先生方を中心に,外部講師の派遣も行 われ,管理職・看護職・多職種・コーディネー タ研修と様々な内容が企画されています.実践 だけでなく基本的な知識を構築する事ができ 地域の人材育成にも貢献して頂きました. 三つめは,事例展開です.1・2 で検討した 内容や学んだ事を実際の入院患者様にご協力 頂き実践しました.そこで見えてきた更なる課 題を整理し今後に活かす,いわゆる PDCAサ イクルを常に回していく必要性を感じました. 今回の事業に参画したことで,地域と医療機 関は入退院支援だけでなく,「認知症ケア」「地 域リハ事業」「看取り」など種々の取組みで共 働するようになっています.これからも,地域 と当事者の声に耳を傾け,医療機関として何を 求められているのかを把握し,安心して暮らせ る街作りの一役を担うべく活動を進めていき たいと考えています.. 第25回日本在宅ケア学会学術集会. シンポジウムⅠ “ 高知家 ” の挑戦!人口減少・高齢化地域における看取りまで支える地域包括ケアに向けた取り組み. 福祉・介護人材確保対策の推進について. 宮地 通弘. 高知県地域福祉部 地域福祉政策課・介護人材対策室. 高知県では「日本一の健康長寿県構想(第 4 期:令和 2年度~ 5年度)」の下で,県民の誰 もが住み慣れた地域で,健やかで心豊かに安心 して暮らし続けられるよう,取り組んでいる. 構想の柱の一つが「地域で支え合う医療・介 護・福祉サービス提供体制の確立とネットワー クの強化」であり,「高知版地域包括ケアシス テムの構築」などを下支えするため「医療・介 護・福祉人材の確保」に取り組んでいる. 福祉・介護人材の確保については,求職者数 の減少や求人倍率の上昇により,介護分野の人 手不足感が増しており,地域偏在も生じてい る.また,早期の離職者が多いことや,多様な 人材の参入促進と多様な働き方への対応,職員 が働きやすい働きがいにつながるような取り 組みなどが課題となっている. このため,「人材の定着促進・離職防止」,「新 たな人材の参入促進」,「福祉・介護事業所認証 評価制度を通じた魅力ある職場づくり」を福 祉・介護人材の確保対策の 3つの柱として取り 組んでいる.. 「人材の定着促進・離職防止」では,平成 28 年度に県としてノーリフティングケア宣言を 行ない全国に先駆けて取り組んでいるノーリ フティングケアの取組み拡大や,ICT の導入 による業務効率化を推進している.また,新た に,地域で連携して人材不足の解消に取り組む 介護事業所等を支援していく. 「新たな人材の参入促進」では,介護現場の 補助的業務を行う介護助手の普及促進や,介護 未経験者を対象にした入門的研修などの研修 の実施,外国人介護人材の受入に向けた支援な ど,多様な人材の参入をすすめている. また,良好な職場環境の整備による人材定着 や新たな人材確保を目指して平成 30 年度から 認証開始した「介護事業所認証評価制度」につ いては,今年度から新たに障害や児童養護施設 等を対象に加えて,「福祉・介護事業所認証評 価制度」として,魅力ある職場づくりを一層推 進していく. これらの取り組みを通じて,福祉・介護人材 の確保対策をすすめていく.. シンポジウムⅡ “ 高知家 ” の提案!災害多発時代における多様な個からの総力戦. 災害時における情報を用いたケアの共創の必要性. 神原 咲子. 高知県立大学大学院看護学研究科. 世界中で,自然災害のなかで,感染症災害, 人的災害もおこりつつあり,短期・中期・長期 にわたって,複合化したリスクが発生し,経 済・社会・健康・文化・環境への大きな影響を もたらしている.一度,被災すると,医療や健 康福祉サービスの人・モノ・資金・情報が需要 が急増し,地域の共助や家庭の中にある制度に 基づかない多様な人々からのケア提供,平常時 からの健康リスクの削減,災害発生直後の状況 把握,救援活動時の迅速・適切な配置,適切な 復興などの場面において,最も継続的にかつ状 況を即座に改善し,安心安全な生活の保障に寄 与している.一方で,そのケアを担う人々が, 多様で断続的な健康の危機によって,自身の健 康・生命自体も脅やかされ,更なる脆弱性を招 いていることも事実である. 災害看護は,「災害に関する看護独自の知識 や技術を体系的にかつ柔軟に用いるとともに, 他の専門分野と協力して,災害の及ぼす生命や 健康生活への被害を極力少なくするための活 動を展開することと,定義されるなかで,演者 は,「減災ケア」の研究・実践の枠組みを構築し, 特にその健康(生活)情報共有のあり方,ICT を用いた新たな解決,文化的配慮に基づく実践 を目指している.. 災害時はケア提供者や施設で管理している 記録が被害にあうかもしれない.多様なステイ クホルダーが同じ時間軸のもとに,個々が身近 で細かな危機を察知し,同じ情報をみた上で共 感し,外部から支援を行う際は,地域も生活環 境も違うなかで災害の不確実な予後の地域文 化を支援するという異文化看護的な姿勢も必 要である. そのための備えの一例として,個人健康情報 として手元に置いておけるようにし,新たに受 診する時の相談に利用できる必要がある.個人 のデータは,その人自身のものであり,海外で は,個人が自ら健康情報を管理し,本人の意思 でいつでも引き出せれば,人々が自ら災害時に 必要なリテラシーを補填し,人々が自助機能を 発揮する健康管理,生活再建に繋がるし,意思 決定をしながら生活することが可能である. 以上は,平時の在宅ケアでは当然のように必 要とされ実践されていることであるが,今後は より不確実な社会で危機が増しているという 点で,もっと多分野の周囲とつながれる仕組み が必要であるし,潜在化している真の課題を見 つけ出し,解決法を共創していくことが重要で ある.. 第25回日本在宅ケア学会学術集会. シンポジウムⅡ “ 高知家 ” の提案!災害多発時代における多様な個からの総力戦. 災害医療現場における情報収集・共有・分析の重要性. 衛藤 徹. 有限会社アゴラ・クリエーション. 日本の災害現場においては,被災者が必要以 上に他人に迷惑をかけることを恐れ,被災者と なった「患者」が「良い患者を演じる」事が多 いという実情がある. また,電子カルテ化が進んだ現在,停電等で 電子カルテを稼働させる事が出来ず,患者の既 往歴や処方状況を閲覧出来ない,という問題が ある. 現在の災害医療の現場では通常の検査も困 難であるため,被災者が「お薬手帳」が治療の 方針を決める根拠となっているケースが非常 に多い. 災害関連死を防ぐためには,予め情報収集や 情報共有や情報分析をする体制を準備してお く事が重要である. 被災者や避難所の状況の時間的な推移を記 録する事も重要である. 今後,在宅医療・在宅看護・在宅介護が進ん だ場合は,災害時にそれぞれの事業所が持って いるデータや機材が重要になる可能性が非常 に高い. そのためには,災害時でも活用出来る情報端 末(ノートパソコン)と非常用電源を確保して おく事が望ましい. また,避難所では栄養が偏ったり不衛生だっ たり運動不足により,体力が落ちて新たな患者 が増加するケースが多い. その対策として,新たな患者情報と登録し情 報共有するため,災害時に情報収集や情報共有. や情報分析が出来るシステムを準備をしてお く必要がある. 折しも新型コロナウイルス感染症(COVIC- 19)のパンデミックでは,高齢者を中心に感染 者が発症し,世界中で医療崩壊の危機が叫ばれ た.感染者に関する情報の収集・共有・分析を し,それをフィードバックし活用する事で,迅 速かつ適切な判断が求められた場面でもあっ た. 災害時の医療現場でも同様の事が求められ る. 情報分析を避難所で実施するのはなかなか 難しいかもしれないが,平均値を計算したり数 値の分布がガウス分布になっているかを調べ るだけでも,突出した情報を抽出したり,不自 然な情報を抽出する事が出来る. 特にガウス分布については,データの偏りを 調べたり,突出したデータを抽出するのに役に 立つ.逆に,あまりにも整ったガウス分布や直 線グラフが得られた場合は,恣意的にデータが 改ざんされた可能性を示唆する事が出来る.冒 頭の「良い患者を演じている」可能性がある事 をデータから導き出す事が出来るのである. そのためにも情報は非常に重要なのである. 災害現場では,あらゆる職種を巻き込んだ. 「多職種連携」が重要である. つまり,災害現場においては,多職種を巻き 込んだ「地域の巨大なカンファレンス」を実施 する必要がある,という事である.. シンポジウムⅡ “ 高知家 ” の提案!災害多発時代における多様な個からの総力戦. たくさんの人生が交わる場、そーる訪問看護ステーション ~いのちと暮らしを守るエンリッチなまちへ~. 片岡 奈津子. 特定非営利法人そーる そーる訪問看護ステーション. 「私たちが暮らすまちで,地元で暮らす方々 と共に生きていきたい.」 私たち(そーる)はホームホスピスの開設を 目指し,2016 年 9 月に岡山県倉敷市真備町で 訪問看護事業をはじめました. 2018 年 7 月の西日本豪雨では,まちに流れ る小田川が氾濫し,まち全体が壊滅的状態に陥 りました.訪問看護を必要とする人やその家族 は,災害が起きる前から様々な課題を抱え,毎 日生活することさえも大変ですが,そうした中 で災害に遭い,家を失い,以前のような看護支 援を受けられなくなったことで,心身の限界に 達していました. 私たちも例外ではありませんでした.拠点で ある事業所だけでなく,私自身や管理者の自宅 とそれぞれの親戚宅も全壊しました.それでも 私たちの看護の手を止めることはできません. 24 時間体制の私たちの活動をやめてしまえば, 利用者の命に関わる可能性があるからです.私 は泥まみれの長靴のまま利用者のカルテを抱 え,総社市で訪問診療を行っている藤井クリ ニックへ助けを求めました.3日ほどのカルテ 保管をお願いしたのですが,拠点を失った私た. ちの状況にご配慮頂き,元来の拠点で再出発で きるまでの 199 日間もの長期間,クリニックの 一室を仮拠点として提供して頂きました. 在宅避難者や指定避難所がない地域へのサ ポートは遅れがちになるという現状もありま した.私たちは訪問看護を継続させながら,同 年 7月下旬より片付け途中の事業所前で物資配 布を始めました.その後,支援で提供頂いたト レーラーハウスを 2つ目の仮拠点とし,地域巡 回,熱中症予防の飲料水配布,定期的な物資配 布会,同年 9月からは垣根のない住民交流と健 康相談の場「エンリッチカフェ」,加えて翌年 からは学び合いの場「そーるの学校」,防災に ついて語り合う「防災ばあ」を展開してきまし た.これらの活動が継続できているのは,全国 から様々な支援を頂いていることと共に,子ど もから高齢者まで,社会的立場や職業,暮らす まちもバラバラな人たちが,皆への優しい思い を持ち寄って,一緒に活動を続けてくれている からだと思っています. 私たちの経験を多くの方と共有することで, 私やみなさんの暮らすまちがより豊かになっ ていくことを願っています.. ワークショップ. 人材不足を救う・補う『ノーリフティングケア』. 下元 佳子. 一般社団法人ナチュラルハートフルケアネットワーク. ノーリフティングケアは「抱え上げないケア だから,『重度障害者に行うケア』『リフトなど 福祉用具を使用するケア』」そのような限定さ れたもののようにとらえられていることもま だまだ少なくないと感じる.オーストラリア看 護連盟(ビクトリア州)では,看護師の腰痛予 防対策のために 1998 年頃から,危険や苦痛の 伴う,人力のみの移乗を禁止し,患者さんの自 立度を考慮した福祉用具使用による移乗介護 を義務付けており, これが「ノーリフティング ポリシー」である.(一般社団法人日本ノーリ フト協会HPより)この看護師の活動をきっか けに,今では,医療機関・福祉施設はもとより, 在宅においても,そして他の業界においても ノーリフティングは当たり前になっている.高 知でも,県をあげてノーリフティングケアの普 及を事業化し平成 28 年には,「ノーリフティン グケア宣言」をかかげ,ケア現場における介護 者の就労環境をより良くすることで安心して 働ける業界づくりから,介護人材の定着や確保 につなげるべく取り組んでいる.つまりノーリ フティングは労働安全の取り組みであり,単に 抱え上げないケアだけではなく,ケア以外の持 ち上げや不良姿勢での作業等すべての業務を. 見直し就労環境を改善する「働き方を変える」 ための取り組みである.しかし,在宅に普及さ せるためには,組織的な取り組みだけでは進ま ない難しさがある.地域でノーリフティングケ アに対する考え方が当たり前になっているこ と,ユーザーを囲むチームでノーリフティング の知識を持ってケアを検討することが必要と なってくる. 今回在宅におけるノーリフティングケアを 考える・発信する機会をいただくことができ, 少しでも在宅への普及につなげることができ ればと考えている.人材不足が進む今,ノー リフティングケアを早く広く普及することが 人材不足に打ち勝つカギになると感じている. ワークショップでは,基本的なノーリフティン グの考え方,それぞれの事業所において何に 取り組めばいいのか,そして,実際のノーリ フティングケアをすでに実践されている在宅 ユーザーにもご協力いただき具体的な手法ま でをお伝えしたいと思う.皆さんの日々の実践 につなげていただき,住み慣れた在宅での生活 の継続を可能にする手段,人材定着の手段とし てぜひ一緒に普及していただきたい.. 企業セミナー. 在宅ケアのアウトカム評価方法とシステム開発および現場での利用方法. 島内節 1),芹田三保 2),寺澤保彦 3). 共同開発者:穴田幸雄 4),谷野育規 4),花島誠 4),内田陽子 5),薬袋淳子 6),福田由紀子 7). 1)一般社団法人日本在宅ケア教育研究センター,2)有限会社たくみケアサービス,3)株式会社コンダクト 共同開発者:4)群馬大学大学院保健研究科,5)岐阜医療科学大学大学院保健学研究科,6)人間環境大学大学院看護学研究科.  【目的】在宅ケアのアウトカム評価方法を示 し,そのシステムツール(QOLABO(コラボ)) の開発成果と在宅ケア事業所現場での利用方 法を提示する.多くのケア事業所の参加を募 り,全国規模のアウトカム評価データの集積と 分析によるエビデンスに基づいて各ケア事業 所でのケアの質改善課題の焦点化と改善方法 について発表する.  【内容】 1.アウトカム評価方法(OASIS 日本版)の 開発経緯 アメリカ合衆国で,Peter W.Schaughnessy らによって開発され,メディケア・メディ ケイドの利用者のアウトカム評価指標と してケア事業所に実施が義務化されてい る OASIS(The Outcomes Assessment Information Set)の評価指標と評価方法を参 考にして日本版を作成し,わが国の事例に適 用し,実用化検証後に書籍化した. (島内節・友安直子・内田陽子:在宅ケアアウトカム 評価と質改善の方法.医学書院.2002). 2 .実践事例に基づくアウトカム評価ツール 「QOLABO(コラボ)」のシステム開発 OASIS 日本版の「アウトカム評価票」を 現在のケア事業所の利用者の実態像に合わ せて評価項目や尺度の再評価を行い,本研究 グループが開発した「利用者満足度票」と合. わせて「QOLABO(コラボ)」のアセスメン トツールとして作成した.その上で本研究グ ループに参加したケア事業所の利用者に対 してツールを適用し,2年間にわたるアウト カム評価を実施した.そのデータを検証デー タとして,アウトカム評価からアクションプ ラン(ケア実施計画)の策定まで一連のツー ル機能をクラウドシステム化した.またアウ トカム評価のデータ分析にはAI 機能を搭載 し,アクションプラン項目の抽出を行い,ベ ストプラクティスとしてのケアの質改善提 案を導けるようにした. 3.在宅ケアサービス事業所での「QOLABO (コラボ)」の利用方法 本研究グループによるアウトカム評価票. と満足度調査票を研究開発に参加したケア 事業所の現場で実施検証し,ツールの評価を 行った.またその実施データを開発システム に入力して,アウトカム評価票のアウトプッ トを検証した.本開発システムツールの機能 評価を総合的に行い,本システムツールを 使って,ケア事業所の質改善にどのように取 り組むか,今後の課題など,ケア事業所の立 場から提案する. (本研究開発事業は経済産業省「平成 30 年度.令和 元年度商業・サービス競争力強化連携支援事業」に より実施). 【最 スライド番号 1 スライド番号 2

参照

関連したドキュメント

※1 13市町村とは、飯舘村,いわき市,大熊町,葛尾村, 川内村,川俣町,田村市,富岡町,浪江町,楢葉町, 広野町, 双葉町, 南相馬市.

疎開先所在地 勢多郡大胡町 群馬郡総社村 群馬郡総社村 勢多郡黒保根村 勢多郡富士見村 群馬郡古巻村 群馬郡古巻村 勢多郡北橘村

当法人は、40 年以上の任意団体での活動を経て 2019 年に NPO 法人となりました。島根県大田市大 森町に所在しており、この町は

■実 施 日: 2014年5月~2017年3月.. ■実施場所: 福島県

■実 施 日: 2014年5月~2017年3月.. ■実施場所: 福島県

大村 その場合に、なぜ成り立たなくなったのか ということ、つまりあの図式でいうと基本的には S1 という 場

(水道)各年の区市町村別年平均日揚水量データに、H18 時点に現存 する水道水源井の区市町村ごとの揚水比率を乗じて、メッ

○町田第一部会長