機械工作の基礎技術の修得
著者 上坂 秀雄, 坪川 勝治, 坪川 正和, 坂口 義輝, 岡 田 文男, 辻 正晴
雑誌名 技術報告集
巻 5 (1999年度)
ページ 69‑76
発行年 2000‑04
URL http://hdl.handle.net/10098/7566
を幾唯或二E 千字 α〉芸毒吾嵯圭支争荷~信事手号
専門研修受講者上坂秀雄、坪川勝治(第一技術室)坪川正和、坂口義輝、
岡田文男(第二技術室〉 辻 正晴(第三技術室)
1.はじめに
機械工作はどの分野に属する技術官にも基礎的な技術については必要である。しかし、技術部 の現況はいろいろな原因によって、その状態にあるとはいえない。そこで、専門的な技術より初 歩的な工作技術を各分野に所属する技術官を対象に、機械工場に現有する工作機械を使用して、
基礎的な工作技術を修得することを目的としてこの研修を計画実施する。この研修によってこれ まで機械工場に依頼していた工作〈専門的な技術を要する工作物は除く)を、技術部の技術官自
らが工作できる体制を構築することが目的である.
2. 研修日程と研修内容
専門研修の受講者を公募したところ 6 名の申し込みがあった.研修をどう進めるかについて受 講者全員で検討会を聞き話し合う中で、受講者のほとんどが機械工作に関して初心者であること から機械工作に必要な旋盤、フライス盤、ボール盤の技術修得を目指すこととした.また、機械 工作をするにあたり是非必要な設計と製図が問題になり、最初はこの問題に取組むこととした。
次に、それぞれの工作作業を実施するのに何を製作するかについて議論を進めた.その結果と して小型ジャッキを製作することになり、設計と製図に取り組んだ.製図についても初心者ばか りであり、第一技術室の河野信夫技術官を講師に招いて「機械製図についてJ の講義を全員で受 講した。その後自分が製作する小型ジャッキの設計と作図を行い、 1 週間後に機械工場大橋係長 に提出し助言をして頂いた。同時にとの研修を実施するにあたり機械工場の大橋係長、嶋崎技術 官、川崎技術官に講師を依頼しご指導して頂くことをお願いしました.
研修は機械工場において実習を主に実施した。表1.に研修日程と研修内容を示す。
表1.研修日程と研修内容
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日程 研修内容 〈講師:機械工場大橋係長、嶋崎技術官、川崎技術官)
8 ,
9 月I
r機誠実習 上、中 J (実教出版)各自で読み予習期間としたー
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10 月 15 日|研修日程(実習)と研修内容の検討会 助言者: I嶋崎技術官
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69 ー10 月 22 日 「機械製闘について
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1
1 月 2 日 小型ジャッキ製作図1
1 月 5 日 機械工場にて実習1
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1
1 月 1 1 日9 : 0 0 ‑ ‑ ‑
辻、岡田、トーーー
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1 月 1 2 日9 : 0 0 ‑ ‑
坪川島、坂口1
1 月 19 日9 : 0 0 ‑ ‑
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坪川1
1 月 26 日, ,9:00--
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1
2 月 3 日9 : 0 0 ‑ ‑
全員 。フ:ト一一一一ー
1
2 月 7 日 講師を交えて機繊工の講義講師:第一技術室河野技術官
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全員受講 O機械工作作業について
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辻 、上坂 O旋盤工作実習ー
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E工作実習 (穴あけ、タップ立て) t 盤 (部品オス、メスの製作〉
手の反省会 画検印
9 : 0 0 ‑ ‑ 3 : 0 0 ‑ ‑
坂口 口、岡
坪}I
ール盤 ライス 作実習
3. 実習内容
研修として小型ジャッキの製作を選択したことから、機誠工場の工作機械を使用することとし 旋盤に関する工作技術から始めた。
旋盤は、一定の位置で工作物を回転させ、刃物台に取り付けたバイトに切り込みと送りを与え て切削する工作機械であり、主として断面を円形に切削するのが目的であるが、工作物の取り付 け方や切削工具の種類とその使い方を工夫することによって、更に広範囲の作業を行うことがで きる.また、旋盤作業は工作物が高速で回転するので、工作物の取り付けには十分な注意が必要 である.
次に、旋盤作業の切削条件について、切削速度と回転速度の関係を下記に示します。
切削速度とは、バイトに対する工作物の被削面の周速度である。したがって、切削速度と工作 物の回転速度は次の式から求められる。
v
=πo ,n /1000
v: 切削速度 [11/ J l i n ]
n: 回転速度 [印刷 D: 工作物の直径
[0]
または
n = 1 0 0 0 v
/πD切削速度は、仕上げ面の粗さ、切削能率、バイトの寿命などを左右する大切な要素で、切削速 度が大きいほど仕上げ面の粗さは良好になり、切削時間も短縮される。したがって、切削速度は
n u
ntできるだけ大きくしたいが、切削速度の増加とともに切削温度は高くなり、バイトの寿命は急激 に短くなって経済的でない。ふつうの作業では、バイトの寿命が60--100分になるような切削速 度を使用する。これを経済的切削速度とよんでいる。一般に切削速度は軟質材には大きく、硬質 材には小さい値がとられる。一般的に高速度鋼バイトを使用する場合軟質材で 30"'"'40 、硬質材 20--30、超鋼バイトを使用する場合軟質材、硬質材ともに 50--60 である。
旋盤作業として必要なバイトの取り付けがある。この取り付け方について記しておく。
バイトは、原則として、シャンクを水平に、先端部をセン タの先端(工作物の中心)に一致させて、刃物台の左側に取 り付ける(図1.参照)。このときのバイトの高さの調整に は敷金を使用するが、敷金は、バイトのシャンクよりやや幅 が広いもので、厚さの異なるものを用意しておく。留意点と して、①バイトの突き出し長さ 1 は、高速度鋼バイトの場 合はシャンクの高さ H の 2 倍、超硬バイトでは1. 5 倍を超 えないようにする。②敷金の使用枚数は、できるだけ少な くする。そのため、なるべく厚いものを選ぴ、 2 枚以上使用 する場合は先端をそろえる。図 -2 のように超硬バイトの場 合は、敷金が刃部の下にとどくように使用する。③往復台
を心押台側に寄せ、心押軸を長めに出し、バイトを刃物台の 左側に置いて、心押台のセンタに近づけ、高さの差を敷金の 高さで調節する。④締め付けボルトは、 2 本以上で平均に 締め付ける。このとき、センタとバイトが接したままだと、
そのいずれかを損傷させるおそれがあるから、バイトをセン タから離して締め付ける。
旋盤作業でバイトの取り付け方は基本であるからバイトの 種類・要素を理解し習得することが必要である。
それでは、小型ジャッキ製作実習の旋盤作業工程を以下に示す。
図1.バイトの取り付け
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(持認す台) l小艮 j図 2_ 敷金の使い方
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0使用する刃物及び工具
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-ドリルチャック -センタードリル
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回し樽切削加工の代表的なものとしては、旋盤による加工が上げられるが、フライス盤、形削り盤
、ボール盤、歯切り盤などによる加工もまた、切削加工として重要なものである.これらは、機 械の構造、取り扱い等の点で旋盤と類似しているものもあるが、各工作機械によって切削運動に 相異があり、それらの特徴を実習を通して充分理解する必要がある。
ここでは、フライス盤とボール盤のあらましを述べておく。
フライス盤 (milling machine) は、多数の刃をもったフライス (milling cutter) を回転さ せ、工作物に送りを与えて切削する工作機械である。フライス盤では、いろいろなフライスや附 属装置を使うことによって、いろいろな作業を行うことができる。また、作業に適したいろいろ な構造のものがあるが、最も広く使われているのがひざ形フライス盤で、これには横フライス盤
、万能フライス盤、立てフライス盤の 3 種類がある。本研修では立てフライス盤を使用して実習 を行った.
立てフライス盤 (vertical
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machine) は、主として正面フライスやエンドミルなどを使って加 工するフライス盤で図 3 のように主軸頭が垂直にな っている。主軸頭には、固定式、上下に移動できる もの、垂直面内で所要の角度に傾けることができる もの、前後方向の適当な位置に固定できるみのがあ る。立てフライス盤は、超硬植刃正面フライスやエ ンドミルの発達により、高精度で能率的な加工が行 えるようになり、利用度が高くなっている。
安全に正確なものをつくるには、機械の構造・機 能をよく知るとともに、正しい操作法を習得する。
とくに、フライス盤は刃物が回転するので危険が大
図 3
.
立てフライス盤 きく、また、工作物を左右・前後・上下に動かすので、操作を充分に理解・体得して作業することが必要である。ここで、フライス盤作業の切削条 件について述べる。フライス削りの場合の切削速度はフライスの刃先の周速度であらわすので、
次の式によって計算することができる。
v=πD
n/1000
v: 切削速度[ m ! m i n ]
D: フライスの外径
[ m m ]
n: フライスの回転速度[印刷
フライス盤作業の時には、切削速度からフライスの回転速度を知りたい場合が多いが、この場 合には次の式によって求める.
n = 1 0 0 0 v
/πDv は、フライスの材質・種類や工作物の材質及び仕上げ面の粗さなどによって決る値で、一般に 軟質材料には大きく、硬質材料には小さい値がとられる。エンドミル使用の場合は硬質材で 15 軟質材で 25 、超鋼フライス使用の場合で硬質材 30 、軟質材 50 である。実際にフライスの回 転速度を決める場合、一般には切削速度の中間値で計算するが、工作物が黒皮などで切れ刃を摩
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耗させやすいときや、フライスの寿命を長くしたいときは低い値をとる。はじめて削るような材 料の場合には、低めの切削速度で削ってみてから、改めて回転速度を決めるとよい。原則的には 計算値に最も近い回転速度を選ぶ。
実習作業として、フライス盤を使用してオス、メスの部品を製作する工作作業を行ったので、
その作業工程を次に示しておく。
王軍~コさ-~、 ̲;;.C. _:::;;I三 αコ作主主震二E 毒室
0使用するヱ具
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vブロックを使用してけがき作業を行うτ:r'.:t;シドミル
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※けがき作業については、
ハイトゲージを使用した。
ハイトゲージとはトースカン とスケールを組み合わせた測 定器で、定盤の上で工作物の 高さを測定したり、工作物に 平行線を精密にけがいたりす るのに用いられる。目盛りの 読み方はノギスと同様です。
実習作業の最後として、ボール盤によるタップ・リーマ・合わせ穴(パカ穴)加工作業を実施 した。
ボール盤 (drilling machine) は、おもにその主軸に取り付けたドリルに、回転運動と軸方向 の送りを与えて、ドリル先端の切れ刃によって工作物を切削しながら穴あけをする工作機械であ る。そのほかボール盤作業には、使用する工具の種類なより、リーマ仕上げ、ねじ立て、中ぐり
、座ぐり、さら座ぐり、深座ぐり作業ができる。
ボール盤の切削条件について述べる。切削速度はドリルの外周速度であらわし、送りは 1 回転
A斗ゐ守s'
当たりのドリルの進む長さであらわす。これらの値はドリルや工作物の材質、ドリルの直径、ボ ール盤の能力などによって決ってくる。作業が進み、穴が深くなるにつれて切りくずの排除が困 難になるので、送りを小さくするなど、切削条件をゆるやかにする必要がある。ドリルの直径と 切削速度とが与えられたときは、ドリルの回転速度 n は次の式で算出できる。
n = 1 0 0 0 v
/πD n: ドリルの回転速度 [rPII]v: 切削速度
[ m / m i n ]
D: ドリルの直径
[ m m ]
次に、リーマ作業について述べる。ドリルであけた穴は、内径・真円度・仕上げ面の粗さなど があまり精密ではない。これらを改善して精密な穴に仕上げるのがりーマ作業である。作業の順 序としては、リーマでの仕上げ代を残して下穴をドリルで正しくあける。このときの仕上げ代は
、工作物の材質、リーマの直径などによって最適の値を選択する。おおよそ 0.1"'0.2& である
。仕上げ代が大きくすぎると、リーマの負担が増し、切れ刃が摩耗してリーマの寿命を縮める。
さらに、リーマの溝に切りくずが多くつまり、これが穴の仕上げ面に傷をつけて、仕上げ精度を わるくする。またミ仕上げ代が少なすぎると切れ刃が滑ってドリルの削りあとが残り、仕上げ面 はよくならないので注意が必要である。
今回はフライス盤で製作した部品オス、メスに、それぞれの加工作業を行ったのでその加工工 程を示しておきます。
0使用する工具
・センタードリル -ドリル (6. 伽皿.8.5_)
(9.
8 . . 1 ̲ )
・タップ (118.5
x P l . 2 5 )
.リーマ(10園)
57 ツてアーリーー『マ・
壬当「オコ毛主ダミ力目ごE
0作業瀬序
①~盤にてけがき作察を行う.
②都品メスにタップを立てる.
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Jj.依工伺降車り樹、世ンヲー問』民儲掛慨を行う.;:0曹、セイターFり蹴厳選量、工怖政均-Fl.ル耐lil;'*償却あ"Glることを砲する止晶、雇〈工柑民ンテーFl.J.舵蛾経る. Uft,t,5tンタ(総事〉を紛る.
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6.8田町 FIJt切骨量紛る.*
.ネ河機申量骨方"する灼7出品すE・斤時様相."Glo.Eげ骨量輸Ilt,雌嫌ネ;ifl下絞主る.
本 118
x P 1 . 2 5
fl~がを事-.,依主主てる'. (事4餓E型船③都品オスに.ネジの合わせ穴をあける.
*
8.5・ flF鴨方町E紛る.攻、細院滞工伺吃補四位うC1
4m 0F切符E紛る.@部品オスに 10・のりーマ加工を行う.
*
9. S.申 Fリ附常幸紛る.事リーマ且aする.
世 間島市波対局まり総訟齢.より』捕監査ま暗殺肱II:IJ-~値段青う.
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4. まとめ
工作機械は、誤った操作方法を続けていると、機械の精度を低下させるばかりでなく、故障の 原因にもなるので、事前に機械の構造や機能を充分に理解し、正しい操作法を習得してから作業 にかかることが重要である。また、工作機械は、切削工具や工作物が高速で運動するが、正しい 操作法で作業をしている限り危険なものではない。しかし、ちょっとした気の緩みや不注意が災 害に結びっく。特に共同作業の場合は、手違いが生じやすいので、分担を決めるなどして、慎重
に作業するように努めることが必要である。
機械実習では、工作法や機器の操作などの技能的体験に重点がおかれたり、あるときは技術の 科学的根拠である理論の実証・考察に重点がおかれたりする。
しかし、実習はたんに個々ぱらぱらに技能的体験や理論を理解するだけでなく、これまでに習 得した知識や能力を活用して、実習中のいろいろな事象を考察することや、個々に学習した技術 を応用するなど理論と実際とを総合的に学習し、いろいろな問題を解決するための能力を育てる ことが大切である。これによって、いろいろな条件を総合的に判断し、最適の作業や生産方法な どを企画し、実行する能力が養われる。
今回の研修におていも、実習が初めての受講者ばかりであったが、研修の目的を充分に理解し
、各自が製作に取組んだ小型ジャッキにその成果が集約されている。しかし、まだいろいろ解決 しなければならない点も多々ある。この解決策としては本研修をここで終わりとせず、個々人が 明日からの作業を出発点として、技術研修を積み重ねていくことが大切である。
5. 謝辞
研修を実施するにあたり、機械製闘についての講義を担当して頂いた第一技術室河野技術官 機械実習を担当して頂いた機械工場大橋係長、嶋崎技術官、川崎技術官の方々には懇切丁寧なる ご指導を賜り、ここに研修を終了することができましたこと、深く感謝いたします。また、研修 の実施にあたり深いご理解を頂きました派遣先の教官各位に感謝いたします。
6. 文献
1) 基礎シリーズ 「機械実習上j 、 f機械実習 中 J 実教出版 1998年