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Grammatik-Werkstattのドイツ語授業における応用可能性

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(Potenzial der Grammatik-Werkstatt zur Grammatikwiederholung im

Fremdsprachenunterricht)

武井佑介 Yusuke TAKEI キーワード:外国語教授法・文法学習・学習者主体・プロセス主体の文法授業 1. 序 論 1.1 目 的 今日,日本の外国語授業では文法訳読法など文法を中心としたアプローチだ けではなく,コミュニカティブアプローチや Task based language teaching など意味内容にも強く焦点を当てた方法が多く使用されている.しかし,文法 を中心としない外国語授業において,文法項目は必ずしも体系的に学習される とは限らない.すなわち,母語話者(以下「L1」)が母語を習得するように, 様々な文法項目の中から学習者が必要なものを選び学ぶ可能性がある.多様化 する外国語授業において,従来のワークブック等を用いた体系的な文法復習だ けではなく,L1 に近い文法復習(L1 においては文法学習)も有用と考えられ る. 1960 年代からドイツでは,L1 の初等中等教育において文法授業に対するア プローチが活発に提唱されてきた.伝統的な文法授業1)とは異なる代表的なア プローチとして,Situativer Grammatikunterricht(Boettcher/Sitta 1978,以 下「SiGU」),Funktionaler Grammatikunterricht(Köller 1983,以下「FuGU」), Integrativer Grammatikunterricht(Klotz 1996,以下「InGU」),Grammatik-Werkstatt(Menzel/ Eisenberg 1995,以下「GrW」)がある. SiGU は,言語とコミュニケーションの関係性に注目し,文法を実際の使用 場面と結びづけ習得する形をとる.また,文法の計画的学習には重きを置かず, 学習者が偶発的にフォーカスした文法項目を学習する. FuGU では,言語形式に重点を置かず,言語が伝達行為の中でどのように機 能しているかを重視する.また,学習者が無意識に使用している文法知識を意 識的なものに転換させることも重要な要素とする. 1) 60 年代終わりまで,文法授業は主にラテン語文法学習に焦点を当て体系的におこ なわれていた(vgl. Köpcke/Ziegler 2013: 1).

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InGU は,文法授業と(1)他言語授業(2)他科目2)との統合を特徴とする (vgl. Klotz 2008: 60 ff.).すなわち,文法授業を独立させず,他の授業に組み込 み帰納的に文法を学習する. GrW は,プロセス主体の文法授業(prozessorientierter Grammatikunter-richt,以下「PrGU」)を中核とし提唱されたアプローチである.PrGU とは, 学習者が教科書ですでにカテゴリー化された文法項目,すなわち「結果」を直 接的に学ぶのではなく,自ら文法項目の文法的操作(grammatische Operatio-nen)に参加しカテゴリー化をおこなうアプローチである.PrGU でのプロセ スとは,文法項目をカテゴリー化するプロセスを意味する.PrGU を中核とす る点で,GrW は他の 3 アプローチとは大きく異なる. GrW は,教員による一方的な文法授業とは違い,学習者が自ら発見し学習 することを特徴としている(vgl. Menzel 2008: 14).したがって,教科書の説明 を直接的に学ぶ演繹的学習ではなく,学習者主体の帰納的学習となる.しかし, GrW における「発見」とは,学習者が新文法項目を発見することではない. なぜなら,GrW を行う際に教員は学習テーマとして「副詞と形容詞」や「定 冠詞と不定冠詞」などの文法用語を学習者に明示するからである.Menzel (2008: 14)は,「発見」とは,日常で無意識的に使用している文法項目を学習者 の経験をもとに分析し,意識的にカテゴリー化することと位置づけている.そ れゆえ,GrW では学習者の経験や知識が非常に重要となる. Menzel(2008: 10)は,SiGU での偶発的な文法項目へのフォーカスを散発的 と批判し,GrW では計画的に文法学習をおこなう.しかし同時に,学習者は 授業で全ての文法項目に触れる必要はないと述べている.なぜなら,GrW に おいて学習者がカテゴリー化の手順を理解し,活用できることが重要となるか らである(vgl. Menzel 2008: 13 ff.). GrW における「工房(Werkstatt)」とは,言語を材料(Material)とみな し(vgl. Menzel 2008: 12),文法的操作(grammatische Operationen)を言語的 材料を加工する道具(Werkzeug)とする考えによる(vgl. Eisenberg/Menzel 1995: 18).Eisenberg/ Menzel(1995: 18)は, 文 法 的 操 作 を „Grammatische Operationen sind Verfahren zur systematischen Veränderung von sprachli-chen Einheiten wie Wörtern, Phrasen und Sätzen“3)と端的に説明している.

GrW で 重 要 と な る 学 習 者 主 体 の 分 析 的 な 文 法 理 解 は,

2) 他言語授業とは文章表現,言語論や文学等の授業を指している.また,他科目と は,物理学や地理学など言語とは直接的な関わりのない科目を示す.

3) 文法的操作は語・句・文といった言語単位を体系的に変化させるための方法であ る.(筆者訳)

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„wissenschaftspropädeutisch“ の考えに基づく.„wissenschaftspropädeutisch“ とは,GrW において学習者が言語学者のように,文法を観察,記述,比較, まとめ,そしてカテゴリー化することである(vgl. Menzel 2008: 14).カテゴリ ー化について Menzel は明確に定義していない.以下は,Menzel 自身による 定冠詞,不定冠詞のカテゴリー化の一例である4)

Der unbestimmte, vorausverweisende Artikel weist auf etwas situativ Dis-tanziertes oder noch Unbekanntes hin, von dem der Leser erwartet, dass es im Text wieder aufgenommen und erklärt wird. Das muss nicht in je-dem Fall so sein. Es kann auch unbekannt bleiben. ‒ Der bestimmte, zu-rückverweisende Arikel (sic!) bezieht sich etwas zuvor Erwähntes oder auf etwas situativ Nahes. Durch das Zusammenspiel beider entsteht der Zusammenhang in einem Text. (Menzel 2008: 129)5)

上記の例では,定冠詞・不定冠詞の大きな枠組みは変えず,使用する場面や コンテクスト,両冠詞の関係にも焦点をあてまとめたものを記述している.ま た,前述した「発見」でも,大きな枠組みは変えず自らの経験から分析すると 説明している.したがって,本稿では,GrW におけるカテゴリー化を,従来 の文法項目と全く異なるカテゴリーを作りだすことではなく,「学習者が対象 文法を自らの経験から使用場面やコンテクストと結びつけ分析し,結果をまと め記述説明する」と定義する. Menzel(2008: 15)は,以下の 3 点を学習者がカテゴリー化のプロセスへ参 加する理由とする.

・学習心理学的理由(der lernpsychologische Grund) ・教育学的理由(der pädagogische Grund)

・認識論的理由(der erkenntnistheoretische Grund)

学習心理学的理由とは,受動的に得た情報より自ら経験したことや能動的に得 4) Menzel の例は,GrW の用法説明を目的とし読者(教員)に向けて記述されてい る.したがって,学習者に向けたものではない. 5) 不定冠詞,つまり先に言及する冠詞は,状況的に距離のあることや未知のことを 指し,読者はテクスト内で再度取り上げられ,説明されることを期待している.こ れは必ずそうとは限らない.そのまま知らないこととして留まる場合もある.定冠 詞,つまり後に言及する冠詞は,以前に触れられたことや状況的に近いことを示し ている.両者の相互作用を通して,一つのテキストの中で脈略が生まれる(文章の 関連性).(筆者訳)

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た情報が記憶に残りやすいことである.教育学的理由は,学習内容を自ら再度 認識できることである.そのためには,知識を得る方法を知る必要がある.認 識論的理由は,私たちが何かを学習する際,その方法は人間がその知識にたど り着いた方法と一致するべきというものである(vgl. Menzel 2008: 15). 日本での文法を中心としない外国語授業において,文法は独立せず意味内容 や発音など多くの要素の一つとして非体系的,また帰納的に学習されることが ある.このような外国語授業において,学習者は文法項目を強く意識せず,あ るいは無意識的に学び使用する可能性がある.したがって,強く意識しない, または無意識的な外国語文法学習において,L1 の文法学習を応用した復習法 は,文法項目を整理し,再度理解を深めるために有益と考えられる. 本研究では,日本人外国語学習者(以下「L2」)の文法復習法として,文法 分析をベースとした GrW を応用する.L 1 における GrW では,無意識的に習 得した文法をカテゴリー化のプロセスを通し意識的に整理する.そのため,外 国語授業においても非体系的,また帰納的に学習した文法項目の整理に応用で きると考えられる.しかし,現在までに日本人の文法復習を対象とした GrW 応用の研究は管見の限り見当たらない. 本稿では,GrW の外国語授業における応用の第一歩として,学習者がカテ ゴリー化へ参加する理由の一つである「学習心理学的理由」に焦点を当てる. したがって,GrW の実践を通して学習者が自らカテゴリー化した内容を長期 的に記憶保持できるかの確認を本研究の目的とする.今回,GrW によるカテ ゴリー化の変化および長期的な記憶保持の調査対象を,調査でおこなう計 3 回 のテストの「回答数とその変化」と「回答項目の重複数」に限定する. 1.2 GrW の外国語授業応用における注意点 まず,GrW を外国語授業へ応用するため,L1 と L2 における文法学習の違 いを確認する.L1 の文法授業では,すでに使用できる文法項目(以下「既出 文法」)を扱うのに対し,L2 の場合,多くは初見の文法項目(以下「初出文 法」)を学習する.GrW も前者を対象とするため,L2 の応用でも既出文法学 習(文法復習)が前提となる. 次に,GrW では自らの経験をもとに文法分析をおこなう.したがって,使 用するコンテクストや場面が想像しにくい初出文法学習直後では,GrW は効 果的でないと推察される.また,言語レベル A1 や B1 といった初級から中級 者では,L1 に比べ目標言語に対する知識は低い.ここでの知識とは,目標言 語文法の日常的な使用場面や使用方法を意識的,または無意識的に理解してい ることを指す.したがって,L2 では自らカテゴリー化した内容の正誤を判断

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しにくいと考えられる.L1 の GrW では,文法書等の補助教材は使用していな いが,本研究では L2 の知識を補助するため文法書を試用する.しかし,文法 書はすでにカテゴリー化された結果であり,学習者は記載の説明を直接的に活 用するのではなく,自らカテゴリー化した内容の正誤を確認するために用いる. 本実践にて試用した文法書がどのように作用するかの考察もおこなう. 本節では,「既出文法の復習学習」,「GrW をおこなう時期」,また「L2 の目 標言語に対する知識」について言及した.上記の点を考慮し,実践に取り組む. 2. L2 における GrW の実践 2.1 データ概要 GrW の文法学習前(2017 年 10 月 3 日,以下「事前テスト」),直後(2017 年 10 月 17 日,以下「事後テスト」),二ヶ月後(2018 年 1 月 9 日,以下「二 ヶ月後テスト」)に計 3 回の記述テストをおこなった.テスト内容は,「定冠 詞・不定冠詞学習の有無」と「定冠詞・不定冠詞の用法と使用場面の記述」6) である.全テストは日本語(母語)での自由記述に統一し,回答時間を 20 分 とした.回答時間の延長も予定したが,必要ではなかった. GrW を用いたドイツ語文法授業(1 回 90 分)は,計 2 回おこなった(2017 年 10 月 10 日/ 2017 年 10 月 17 日). 被験者は,大学でドイツ語を主専攻とする学生 9 名である.以下,特定の被 験者を指す際は,「JS」と呼び番号にて区別する.被験者全員が日本語を母語 とし,その内 1 名(JS08)は英語,中国語も母語とする.全被験者が大学にて 2 年 6 ヶ月間ドイツ語を学習し,その内 1 年間はドイツ,またはオーストリア に語学留学をしている. データ分析では,まず,GrW を通して被験者が新たにカテゴリー化をおこ なえたか確認するため,事前テストと事後テストの回答を比較する.次に,カ テゴリー化した内容の長期的な記憶保持を調査するため,事後テストと二ヶ月 後テストの回答を比較し,事後テストの内容がどの程度二ヶ月後テストに反映 されているかを確認する.回答の反映基準は,回答記述が同一かではなく内容 6) テストの設問(設問 1 は事前テストのみ,2 と 3 は事前・事後・二ヶ月後テスト 共通)

   1.  以前,授業内で定冠詞 (der, die, das...)と不定冠詞(ein, eine, ein...)を勉強 した.

    はい/いいえ

   2. 定冠詞の用法や使用場面を出来る限り記入してください.(文章,箇条書き可)    3.  不定冠詞の用法や使用場面を出来る限り記入してください.(文章,箇条書き可)

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が類似しているかとする.以下は,3 回おこなったテスト回答の一例である (JS01・定冠詞).内容が類似しているものは同列に記載した. 本実践では,被験者自ら正誤確認が出来るよう文法書を試用するが,GrW を通して誤った知識を身につけることも考えられる.したがって,GrW 後の 文法記述の正誤も確認する. 2.2 L2 における GrW を用いた「定冠詞・不定冠詞」復習実践内容 本実践では,Menzel(vgl. 2008: 124 ff.)による定冠詞と不定冠詞の授業をモ デルとした.以下は実践内容と作業時間である.(テスト)は調査のためおこ なった 3 回のテストを,(1)から(4)は文法的操作によるカテゴリー化の作 業を示す.(5)はカテゴリー化した内容をクラス内で共有する活動である. (テスト) 事前テスト(20 分間) (1) 二つの文を用いた定冠詞と不定冠詞の比較と熟慮(20 分間) (2) 穴埋め文章問題(定冠詞・不定冠詞を入れる)(30 分間) (3) 穴埋め文章問題解答分析(40 分間) (4) 文法項目の分析,まとめ及びポスター作成(60 分間) (5) 結果発表(15 分間) (テスト) 事後テスト(20 分間) (テスト) 二ヶ月後テスト(20 分間)

1 段階目の定冠詞と不定冠詞の比較と熟慮では,(a) Ein Zug fährt langsam in einen Bahnhof ein. (b) Der Zug fährt langsam in den Bahnhof ein.(Menzel 2008: 125)を使用した.本実践では,全体を通し辞書の使用は許可していない. 被験者は,まずパートナー学習にて両文の相違点を話し合い,その後,一斉授 業形式で意見交換をおこなった.はじめ,被験者は主に「特定されている,こ の電車」や「1 つの電車」など定冠詞・不定冠詞に含まれる意味について意見

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交換をしたが,教員の「特定されているとは」「どんな状況で使用するか」「自 分と電車の距離は」といった質問を起点とし,状況やコンテクストに焦点を当 てはじめた7)

2 段階目は,定冠詞・不定冠詞部分が空欄の文章に適切な冠詞を入れる活動 である.本活動では,被験者が取り組みやすいよう有名な文学作品「Der klei-ne Prinz(星の王子様)」一章「Zeichenkünste eiklei-nes Kindes」の一部分を使用 した.以下は使用教材の一部である.„Als ich sechs war, sah ich einmal ... wunderbare( ) Bild in einem Buch“.点線には定冠詞か不定冠詞を入れ,括弧 内には形容詞の変化を入れる.同教材には,実際に „wunderbare( ) Bild” が示 す挿絵もあり,das か ein の両冠詞が考えられる.穴埋め文章問題作成で重要 なのは,一つの決まった解答ではなく,学習者の文章解釈により複数の解答が 生まれることである.ここでは個別での作業を指示した.しかし,長文読解が 目的ではないため,最初に大まかな訳や名詞の性を全員で確認した.2 段階目 以降,教員は活動時間の管理,また被験者からの質問時以外作業への積極的な 関与を避けた. 穴埋め作業後,被験者はグループワークにて互いの解答を比較した.その後, 一斉授業形式で一文ずつ冠詞と解答理由を確認した.この作業で重要なのは, 被験者間の異なる解答に意識を向け,他被験者が文章やシチュエーションをど う解釈し,どのような解答の差異が生まれたかを知ることである.比較作業中, 被験者から異なる解答に対し「どちらも正しい」という発言が何度も確認され た.被験者は,「それ」「一つ」といった定冠詞・不定冠詞の意味だけではなく, 状況やコンテクストへも意識を向けたと考えられる. 4 段階目において,被験者は 3 人組のグループ(グループ 1:JS01,JS02, JS03/グループ 2:JS04,JS05,JS06/グループ 3:JS07,JS08,JS09)で冠 詞の分析をおこない,結果をポスターにまとめた.カテゴリー化した内容の正 誤判断を補助するため,3 冊の文法書8)から冠詞に関する箇所を被験者に与え 7) 定冠詞では,その電車について何かを知っている,自らが電車の近くにいる,歴 史的に重要な電車,自分が乗るはずだった電車など.不定冠詞の使用については, 今までの話に出てきていない電車,自分とあまり関わりがない,自分とは距離のあ る電車,見えないところにある電車などの意見が出た . 8) 鷲巣由美子(2016): これならわかる ドイツ語文法 入門から上級まで.東京 都 : NHK 出版.64-73.    桜井和市(2006):改訂 ドイツ広文典.東京都:第三書房.46-49.    中島悠爾/中尾浩三/朝倉巧(2003):改訂版 必携 ドイツ語文法総まとめ.東 京都 : 白水社.64-67.

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た.1.1 で示した Menzel によるカテゴリー化の例は,被験者がそのまま書き 写す可能性をふまえ与えていない. 最終段階にて,カテゴリー化した内容をクラスで共有するため,各グループ ポスターを用い発表をおこなった.発表では日本語を使用し,発表時間は各グ ループ 5 分間とした. 3. 結果および考察 3.1 カテゴリー化の変化と長期的な記憶保持 本節では,事前テストと事後テストにおける被験者の回答の変化を確認する. また,長期的な記憶保持がみられるかの考察をおこなう. まず,設問 1 の結果を示す.「定冠詞・不定冠詞学習の有無」では,全被験 者が以前に冠詞を学習していると回答した.したがって,被験者は冠詞を初出 文法ではなく既出文法として復習した. 次に,事前テスト,事後テスト,二ヶ月後テストにおいて,以前におこなっ たテストの記述内容がどの程度含まれるかを確認する. 「事前テスト回答」「事後テスト回答」「二ヶ月後テスト回答」は,各テスト 回答記述数を示す.「定」は定冠詞,「不」は不定冠詞を表わす.「反」は以前 おこなったテスト内容の反映数を指し,後ろの(前)は事前テスト内容,(後) は事後テスト内容を示す.また,定冠詞・不定冠詞表内の括弧内数字は,誤答 と判断した数である9).今回,正誤を判断するため,現在広く使用されている 9) 事後テストの定冠詞「固定観念/認識」「形容詞で修飾されるとき」(JS04),不 定冠詞「普遍化」(JS05)と二ヶ月後テストの定冠詞「数えられないもの」(JS02), 「最初に出てくる単語に使う」(JS03)を 5 冊の文法書と照らし合わせ本研究では誤 答と判断した. 表 2 テスト回答数の推移と反映数

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「DUDEN」と冠詞の用法が広範に示されている「冠詞の思想」の 2 冊を用い た10).また,被験者がカテゴリー化の作業にて 3 冊の文法書を使用したことを 考慮し,同文法書でも確認をおこなった.JS08 は二ヶ月後テストに参加した が無記述のため,対象個所をマークした. 事後テストにおける事前テストからの内容の反映数は,平均で 1.2 個(定冠 詞),0.8 個(不定冠詞)であった.事後テストにて新たに記述された内容数の 平均 4.1 個(定冠詞)2.4 個(不定冠詞)と比較すると,新たに記述された内 容数が事前テストからの反映数に比べ 3.4 倍(定冠詞),また 3 倍(不定冠詞) ほど多い.したがって,GrW を通してカテゴリー化の内容が変化したとわか る.一方で,JS08 では両冠詞において大きな変化はみられなかった. 以下の表では,事後テストの記述内容が二ヶ月後テストにてどの程度反映さ れているかを確認する. 「パーセンテージ」は,事後テスト回答数のうち何パーセントが二ヶ月後テ ストに反映したかを示す.「ポイント」は,全被験者平均値からの差異を表し ている11).GrW を L2 の定冠詞・不定冠詞復習学習に応用した先行研究がない ことから,ここでは被験者 9 名の事後テスト回答数のうち,二ヶ月後テストに 10) Drosdowski, Günther (Hrsg.) (1995): . Mannheim u. a: Dudenverlag.    細谷行輝 / 山下仁 / 内堀大地(2016):冠詞の思想.関口存男著「冠詞」と意味 形態論への招待.東京都 : 三修社. 11) 本調査ではマイナス値を示すため,一般的に使用される偏差値ではなくポイント を用いる.定冠詞・不定冠詞それぞれの全体平均のパーセンテージを 100 とする.    ポイント=(各被験者の定冠詞・不定冠詞それぞれのパーセンテージ÷定冠詞・ 不定冠詞それぞれの全体平均パーセンテージ×100)−100.小数点は四捨五入する. 表 3 事後テスト内容の二ヶ月後テストにおける反映

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も反映した回答数の平均値(定冠詞 44%・不定冠詞 52%12))を基準とする. 「ポイント」では,被験者によって結果にばらつきがみられた.目立った差 異として JS01(不定冠詞),JS02(定冠詞),JS03(不定冠詞),JS04(定冠詞), JS05(不定冠詞)JS08(両冠詞)13)は,事後テストと二ヶ月後テストの内容重 複数が平均から 20 ポイント以上マイナスだった.それに対し,JS02(不定冠 詞),JS06(定冠詞・不定冠詞),JS07(定冠詞・不定冠詞),JS09(定冠詞・ 不定冠詞)では,20 ポイント以上プラスを示している. 最後に,二ヶ月後テストの回答総数を軸とし,二ヶ月後テストの記述に事後 テストの記述内容がどの程度含まれているかを確認する.表 2 では,「JS02 定 冠詞」を除き,事後テストの記述内容が二ヶ月後テストにて新たに追加された 記述を上回っている.平均では,事後テストの記述内容数が新たに追加された 記述数を定冠詞で 2.6 倍,不定冠詞で 7.5 倍程度超えている14).すなわち,二ヶ 月後テストの内容は,二ヶ月後に追加された記述より事後テストの内容を多く 反映したということである. 3.2 各グループのカテゴリー化内容の共有と文法書使用の影響 本節では,各グループにおけるカテゴリー化の内容を確認する.また,最終 段階にてポスター発表を用いカテゴリー化した内容の共有をおこなった.した がって,各被験者がどのグループの内容を反映したかを調べる.最後に試用し た文法書の影響について考察する. 以下の 2 つの表は,2.2 の 4 段階目で各グループが作成したポスター内容を 整理したもの(表 4)と,各被験者が事後テストにおいてどのグループの内容 を何項目記述したか(表 5)を示している. 12) パーセンテージ=二ヶ月後テスト反映ありの回答総数÷事後テスト回答総数× 100.小数点は四捨五入する. 13) JS08 は二ヶ月後テストにおいて無記述だった. 14) JS08 は二ヶ月後テストにおいて無記述のため除く.

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グループ間で類同の内容には共通した番号をふり,グループ間で類似のない 内容は単独の番号と太字で示す. グループ 1 のポスター内容を確認すると,「既知」「付加語」「一般概念」「序 数」「初出の語」等の表現が文法書の記述と類似している15).グループ 1 では, 文法書をカテゴリー化した内容の正誤確認ではなく,カテゴリー化する段階で 直接的に使用したと考えられる. 各被験者の事後テスト回答と表 4 を比較し,各被験者がどのグループの内容 を何項目反映したかをまとめた.類同内容の場合,各被験者の所属グループへ のみ加算し,それ以外は該当グループへ加算した.所属グループ以外の内容で 15) グループ 1 のポスター内容は,正誤確認のため使用した 3 冊の文法書にある記述 と全て類似していた. 表 4 各グループのポスター内容 表 5 事後テストにおける他グループからの影響

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類同の場合は,全該当グループへ加算している. グループ 2 の定冠詞が,所属グループよりもグループ 1 の内容を多く反映し ている.この傾向は,他項目にはみられない.グループ 1(両冠詞)と 2(定 冠詞)では,文法書の内容が他グループより影響していると推察されるが,表 3 の「ポイント」からは他グループと比べ突出した箇所はみられない.また, 表 2 の「二ヶ月後テスト回答」の事後テスト反映数をみても,特徴的な数値は ない.したがって,文法書の使用は長期的な記憶保存に影響しないと考えられ る.しかし,グループ 1 が文法書をカテゴリー化の段階で直接的に使用したか, また,グループ 2 がグループ 1 の内容をどの程度意識したかは明確ではなく, 長期的な記憶保持への影響はあくまでも可能性にとどめたい. 4. まとめと課題 本稿では,GrW を用いた文法復習にて,学習者が自らカテゴリー化した内 容を長期的に記憶保持できるかの調査をおこなった.また,L2 の知識を補う 目的で文法書を試用した. 調査結果からは,事後テストにおいて新たに追加された情報が事前テストの 記述内容を上回り,GrW 前後で回答記述に変化が起きたことが確認された. 一方で,文法書と類似のカテゴリー化をした被験者もいた.本来,自らカテ ゴリー化した内容の正誤確認を目的とし文法書を導入したが,文法書をカテゴ リー化の段階で反映したことは,カテゴリー化の有無を正確に判断できなくし ている. 3.1 にて,カテゴリー化した内容の長期的な記憶保持について考察をおこな った.二ヶ月後テストにおいて,事後テストの記述内容が新たに追加された情 報よりも明らかに多く含まれていたことは,カテゴリー化した内容が長期的に 記憶保持されたことを示している.しかし,事後テストの回答総数を軸にみる と,被験者により差が大きく一概に長期的な記憶保持ができたとはいえない. 本研究では,GrW を L2 のドイツ語授業へ応用する第一歩として,GrW 前 後でカテゴリー化の内容が変化するか,また,カテゴリー化した内容が二ヶ月 後も記憶保持されるかの調査をおこなった.しかし,一つの文法項目(定冠 詞・不定冠詞)に限定し,回答数と回答重複数のみを調査対象とした.加えて, 被験者数が少なく,一つの傾向を示したに過ぎない. 今後,L2 の長期的な記憶保持の調査においても,L1 の GrW と同様に学習 者の経験からのみカテゴリー化させることを改善点とし,再調査をおこないた い.また,カテゴリー化前後での記述内容の変化やどのような記述が長期的な 記憶保持につながるのか,また記憶保持されにくいのかといった質的な側面に

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も焦点をあて研究を進めたい. 参考文献

Boettcher, Wolfgang & Sitta, Horst (1978): . München u. a.: Urban und Schwarzenberg.

Eisenberg, Peter & Menzel, Wolfang (1995): Grammatik-Werkstatt. In: . Seelze: Friedrich, 14-23.

Klotz, Peter (1996): .

Hohengehren: Max Niemeyer.

Klotz, Peter (2008): Integrativer Deutschunterricht. In: Kämper-van den Boogart,

Michael (Hrsg.): . Berlin:

Cornelsen Scriptor, 58-70. Köller, Wilhelm (1983):

. Hannover: Schroedel. Köpcke, Klaus-Michael & Ziegler, Arne (Hrsg.) (2013):

. Berlin u. a.: De Gruyter. Menzel, Wolfgang (2008):

. Seelze-Velber: Kallmeyer.

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derholung im Fremdsprachenunterricht

Yusuke T

AKEI

In dieser Arbeit wird das Potenzial der Anwendung des didaktischen Kon-zepts „Grammatik-Werkstatt“ (i. F. GrW) auf die Grammatikwiederholung im Fremdsprachenunterricht in der Praxis analysiert.

Heute werden verschiedene didaktische Methoden im Fremdsprachenun-terricht verwendet, so dass die Lernenden Fremdsprachen nicht nur im grammatikzentrierten Unterricht, sondern auch im handlungsorientierten oder kommunikativen Unterricht lernen. In diesen Unterrichtsformen wird Grammatik oft induktiv und implizit vermittelt. Für diese Situationen muss überlegt werden, in welcher Art und Weise Grammatikwiederholung oder -vertiefung durchgeführt werden kann.

Die GrW wurde von W. Menzel als ein didaktisches Konzept zum prozess-orientierten Grammatikunterricht für muttersprachige Schüler entwickelt. Bei der GrW analysieren die Lernenden selbst Grammatik und stellen grammatische Kategorien (grammatische Operationen) auf, um ihre Aufmerksamkeit nicht nur auf die Ergebnisse der Kategorisierung, sondern auch auf die Kategoriebildungsprozesse zu richten.

Diese Vorgehensweise könnte Grammatik im Langzeitgedächtnis von Ler-nenden verankern, was als ein Grundprinzip dieses Konzepts angesehen wird. Daher beschränkt sich das Ziel dieser Studie darauf, zu untersuchen, ob die Kategorisierung von Nicht-Muttersprachlern (i. F. L2) reibungslos auf-gestellt wird und die Arbeit mit der GrW auch bei L2 die Grammatik im Langzeitgedächtnis verankert.

Bei der Durchführung der GrW im L2-Fremdsprachenunterricht müssen folgende Punkte berücksichtigt werden: Das Timing des Einsatzes der GrW im Fremdsprachenunterricht und fehlende sprachliche Kenntnisse von Ler-nenden. In der Praxis wurden drei Grammatiken als Maßnahmen gegen die fehlenden sprachlichen Kenntnisse der Lernenden experimentell verwendet.

Für die Praxis der GrW im Fremdsprachenunterricht wurde als Beispiel nach Menzel „bestimmter und unbestimmter Artikel“ angewendet. Dafür

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wurden 9 Probanden ausgewählt, die seit ca. zweieinhalb Jahren deutsche Sprache und Kultur als Hauptfach an der Universität studieren.

Insgesamt fanden drei Tests statt: vor der GrW (Vor-Test), unmittelbar im Anschluss daran (Nach-Test) und zwei Monate danach (Zwei-Monats-Test). Es sollte untersucht werden, ob, und wenn ja, wie die Probanden selbst das Grammatikphänomen kategorisieren und ob das Ergebnis der Kategorisie-rung längerfristig behalten wird.

Das Ergebnis der Untersuchung zeigt, dass fast alle Probanden lernen konnten, eigene Kategorisierungen aufzustellen. Jedoch wirkten gleichzeitig die als die Maßnahme verwendeten Grammatiken auf ihre Kategorisierun-gen.

Anhand des Zwei-Monats-Tests lässt sich erfassen, dass dieser mehr Inhal-te des Nach-Tests enthielt, als neu geschriebene InhalInhal-te. Jedoch gab es beim Widerspiegelungsverhältnis der Inhalte vom Nach-Test in den Zwei-Monats-Test große Unterschiede zwischen ihren Ergebnissen.

参照

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