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Eating Disorder Diagnostic Screen-DSM-5 version日本語版の作成およびDSM-5に基づく大学生の摂食障害の有病率推定

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Academic year: 2021

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354 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 問題と目的 摂食障害は拒食や過食,嘔吐などの食行動の 異常に加え,過剰な肥満恐怖やボディイメージ の障害などを症状とする精神障害であり,若年 女性の発症率が高く,さまざまな精神疾患のリ スク要因となる.摂食障害は Diagnostic and. Statistical Manual of Mental Disorder第 5版 (DSM‒5)1)において,神経性やせ症(anorexia nervosa:AN),神経性過食症(bulimia ner- vosa:BN),過食性障害(binge‒eating disor- der:BED),他の特定される食行動障害または 摂食障害(other specified feeding or eating disor- der:OSFED)に大別されている.若年女性の 12カ月有病率は ANが 0.4%,BNが 1~1.5%, BEDが 1.6%とされる1).摂食障害は,うつ病, 不安症,肥満,自殺企図,物質乱用,健康問題 などのリスク要因になることから2)~4),看過で きない問題である. 近年,摂食障害の疫学調査,予防および治療 の研究は発展しており,その背景にはアセスメ. Jpn J Psychosom Med 61:354-363, 2021. 原著. Eating Disorder Diagnostic Screen‒DSM‒5 version 日本語版の作成および DSM‒5に基づく大学生の 摂食障害の有病率推定 栗林千聡*1/武部匡也*2/上田紗津貴*3/Eric Stice*4/佐藤 寛*5. 抄録:背景:Eating Disorder Diagnostic Screen(EDDS:Sticeら,2000)は,DSMに基づく自己 評価式の尺度であり,摂食障害の有病率を推定することが可能である.EDDS‒DSM‒5 version日 本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした. 方法:大学生 1,006名(平 均年齢 19.6±1.4歳,女性 69%)は,EDDS‒DSM‒5 version日本語版に回答した.対象者のうち 68名(平均年齢 20.0±1.0歳,女性 63%)は,Eating Attitude Test‒26(EAT‒26:馬場ら,1993) および Three‒Factor Eating Questionnaire(TFEQ:足達ら,1992)に回答した. 結果:EDDS‒ DSM‒5 version日本語版の内的一貫性(α=.86)および再検査信頼性(r=.81,p<.001)は,ど ちらも十分な値を示した.EAT‒26および TFEQとの相関係数を算出した結果,EDDS‒DSM‒5 version日本語版は両尺度との間に正の相関が示され,収束的妥当性が認められた.摂食障害の 有病率推定を行った結果,神経性やせ症は 2.8%,神経性過食症は 2.4%,過食性障害は 2.4%, 非定型神経性やせ症は 3%,神経性過食症(頻度が低い,および/または期間が短い)は 0.5%, 過食性障害(頻度が低い,および/または期間が短い)は 0.9%,排出性障害は 0%,夜間食行動 異常症候群は 2.8%であった. 結語:EDDS‒DSM‒5 version日本語版は十分な信頼性と妥当性 が示され,今後実践や研究を行ううえで有用である可能性が示唆された. Key words:摂食障害,尺度作成,有病率推定. 2019年 12月 16日受稿,2020年 7月 1日受理 *1 国立スポーツ科学センター(連絡先:栗林千聡, 〒115‒0056 東京都北区西が丘 3‒15‒1). *2 立正大学心理学部 *3 関西学院大学大学院文学研究科 *4 Stanford University Medical Center *5 関西学院大学文学部. 355Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. ント法の発展がある.わが国において代表的な 摂食障害の症状を測定する自己評価式の質問紙 としては,Eating Attitude Test‒26(EAT‒26)5), Three‒Factor Eating Questionnaire(TFEQ)6)な どが挙げられる.EAT‒26は ANの症状評価や スクリーニングを目的として作成された質問紙 であり,「摂食制限」「大食と食事支配」「肥満恐 怖」の 3因子によって構成される.TFEQは摂 食障害に限定せず,食行動を包括的に測定する 質問紙であり,「自発的食事制限」「脱抑制」「空 腹感」の 3因子によって構成される.食行動異 常のスクリーニングや減量効果の予測にも有用 であることが報告されている.しかしながら, これらの尺度は摂食障害の症状の程度をアセス メントするに留まり,診断基準に基づいて査定 するものではない. DSMに基づいて作成された自己評価式の尺 度として,Eating Disorder Diagnostic Screen (EDDS)7)がある.原版のEDDSはDSM‒Ⅳに基 づく摂食障害の自己評価式の質問紙として開発 されており,エビデンスに基づく摂食障害のア セスメントとして海外では高く評価され,その 使用が推奨されている8).EDDSは,回答者が 神経性やせ症(神経性無食欲症),神経性過食症 (神経性大食症),過食性障害(むちゃ食い障害) の診断基準に該当するか否かを識別できる採点 アルゴリズムをもち,摂食障害の診断の推定に も役に立つ8).項目数は,22項目と比較的少な いため,臨床現場や介入のスクリーニングにお いても簡易に使用できるという利点がある.本 邦ではすでに井上ら9)によって EDDSの日本語 版の開発が試みられており,信頼性と妥当性が 確認されている. EDDSはその後,DSM‒5の発刊に伴って改訂 が加えられており10),DSM‒Ⅳからの変更点に 合わせて以下の 3点が改訂されている.第 1に 項目内容の修正が挙げられる.神経性やせ症の 診断基準においては,低体重についての記述 が,DSM‒Ⅳでは「標準体重の 85%以下」から,. DSM‒5では「有意に低い体重」となり具体的な 数値の記載はなくなっている.また,DSM‒Ⅳ においては無月経が診断を満たすために必須と されていたが,DSM‒5では削除されている.神 経性過食症の診断基準においては,DSM‒Ⅳで はむちゃ食いおよび不適切な代償行動はとも に,3カ月にわたって平均少なくとも週 2回と いう定義であったが,DSM‒5では,「3カ月に わたって少なくとも週 1回」という定義に変更 されている11). 第 2に,DSM‒5における他の特定される食行 動異常または摂食障害の有病率の算出が可能に なったことが挙げられる.DSM‒5に基づく EDDSでは,これまで算出できなかった非定型 神経性やせ症,神経性過食症(頻度が低い,お よび/または期間が短い),過食性障害(頻度が 低い,および/または期間が短い),排出性障害, 夜間食行動異常症候群の診断についての有病率 の算出が可能になっている.そのため,摂食障 害の詳細なアセスメントができるという利点が ある. 第 3に,摂食障害の症状による生活阻害度の 算出が可能になったことが挙げられる.DSM‒5 に基づく EDDSでは,DSM‒Ⅳに基づく EDDS にはなかった 1項目(食べることやボディイ メージの問題が,友人や家族との関係,学業や 仕事にどのくらい影響していますか)を追加し て 23項目となり,本人が摂食障害の症状に よってどの程度支障をきたしているのかが測定 できるようになった.以上のように EDDSは, DSMの改訂に伴って項目の追加や修正などが 施され,摂食障害の症状を新たな診断基準に 沿ってアセスメントすることが可能となり,有 病率の推定もより広範な診断で算出することが 可能となった. しかしながら,国内において EDDSは DSM‒ Ⅳに基づいて開発されているものの,DSM‒5 に基づいて追加や修正を施されたものは開発さ れていない.そこで本研究では,Eating Disor-. 356 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. der Diagnostic Screen‒DSM‒5 version(EDDS‒ DSM‒5 version)日本語版を作成し,その信頼 性と妥当性を検討することを目的とする.. 方法 1. 研究協力者と手続き,倫理的配慮 調査は 2017年 7月~2019年 6月にかけて, 大学の講義時間が終了した後に実施された.倫 理的配慮として,調査への参加は自由意思であ ること,個人が特定されることはないこと,そ して,調査への参加の有無が成績などには影響 しないことを口頭で説明し,同意が得られたも のに対して調査を実施した.この調査は,関西 学院大学人を対象とする行動学系研究倫理委員 会の許可を得て実施された.他大学について は,調査にあたり事前に各大学の所定の手続き を経たうえで実施された. 調査は,①EDDS‒DSM‒5 version日本語版の 内的一貫性と再検査信頼性の検討を目的とした もの,そして,②妥当性の検討を目的としたも のの 2つが実施された.はじめに,調査①とし て,EDDS‒DSM‒5 version日本語版の内的一貫 性,再検査信頼性の検討を目的とした調査が実 施された.近畿圏および関東圏の大学に所属す る大学生 2,062名(女性 1,367名,男性 626名, 性別未記入 69名;女性 66%;平均年齢 19.7± 1.9歳)に対して,質問紙を配布した.回答に記 入漏れがなかった 1,006名(女性 691名,男性 315名;女性 69%;平均年齢 19.6±1.4歳)を 分析対象者とした.再検査信頼性を検討するた め,一定期間の間隔を空けた 2回の調査への協 力に同意した分析対象者のうち 89名(女性 67 名,男性 22名;女性 75%;平均年齢 20.2±1.0 歳)には,質問紙を 2回配布した.1回目と 2 回目の調査の間隔は 2週間であった.個人が特 定されない匿名化された IDを用いて一時的に 対応表を作成し,1回目と 2回目の対象者を対 応させた後に対応表を削除した. さらに,調査②として,EDDS‒DSM‒5 ver-. sion日本語版の妥当性の検討のために追加の調 査を実施した.この調査の対象者には EDDS‒ DSM‒5 version日本語版に加え,TFEQおよび EAT‒26の回答を求めた.近畿圏および関東圏 の大学に所属する大学生 87名に質問紙を配布 した.回答に記入漏れがなかった 68名(女性 43名,男性 25名;女性 63%;平均年齢 20.0± 1.0歳)を分析対象者とした.. 2. 質問紙 EDDS‒DSM‒5 version日本語版 翻訳にあ たって,原版著者から日本語版作成の許可を得 て,以下の手続きが実施された.まず,研究目 的について熟知しない外部のバイリンガルに原 版質問紙の和訳を依頼した.さらに和訳手続き には関与しなかった外部のバイリンガルに,和 訳手続きで作成されたもののバックトランス レーションを依頼した.和訳およびバックトラ ンスレーション版について,原版著者と臨床心 理学を専門とする大学教員 1名と臨床心理士 2 名が合議し,最終的な EDDS‒DSM‒5 version日 本語版を決定した(Table 1).以上の過程によっ て作成されたEDDS‒DSM‒5 version日本語版を 本研究で用いた.EDDSの原版10)は,23項目か ら構成されている.項目 1,2,3,18は 7件法 (「0:全くない」~「6:とてもよくある」),項目 4,5,7,8,9,10,11,12は 2件法(「いいえ」 「はい」),項目 6,13,14,15,16,17は 17件 法(「0:全くない」~「16+:とてもよくある」) で回答を求める.EDDSは DSM‒5の神経性や せ症,神経性過食症,過食性障害,非定型神経 性やせ症,神経性過食症(頻度が低い,および/ または期間が短い),過食性障害(頻度が低い, および/または期間が短い),排出性障害,夜間 食行動異常症候群の 8つの摂食障害の診断が可 能な尺度である(Table 2).EDDS‒DSM‒5 ver- sion日本語版においても,同様の手続きで回答 を求めた. EAT‒26(Eating Attitude Test‒26)5) 神経性無. 357Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 食欲症患者に特徴的な摂食態度や食行動などの 臨床症状をもとに作成された質問紙で,全 26 項目に対して 6件法(「1:全くない」~「6:常 に」)で回答を求める.EAT‒26は 3因子構造 「摂食制限」,「大食と食事支配」,「肥満恐怖」か らなる.Mukaiら12)により,十分な信頼性と妥 当性が確認されている. TFEQ(Three‒Factor Eating Questionnaire)6). 摂食障害に限定せず,食行動を包括的に測定す る質問紙で,全 51項目から構成されている. TFEQは 3因子構造「自発的食事制限」21項 目,「脱抑制」16項目,「空腹感」14項目からな る.. 3. 統計解析 統計解析には SPSS ver. 24を用いた.EDDS‒ DSM‒5 version日本語版の信頼性の検討を行う. ため,調査①のサンプルを用いて,内的一貫性 の指標である Cronbachのα係数の算出を行っ た.再検査信頼性では,調査①の 1回目と 2回 目のサンプルでEDDS‒DSM‒5 version日本語版 の各合計得点について Pearsonの積率相関係数 を求めた.さらに,EDDS‒DSM‒5 version日本 語版の妥当性の検討を行うため,調査②のサン プルを用いてEDDS‒DSM‒5 version日本語版と TFEQおよび EAT‒26の得点間で Pearsonの積 率相関係数を算出した.. 結果 1. 尺度の信頼性の検討 EDDS‒DSM‒5 version日本語版の内的整合性 を検討するために項目 1~17においてCronbach のαを算出した.その結果,α=.86であった. 次に再検査信頼性を測定するため,調査対象者. Table 1 EDDS⊖DSM⊖5 version日本語版の項目内容. 1 太っていると感じましたか 2 体重が増えたり,肥満になるかもしれないといったはっきりとした不安を感じましたか 3 自分の体重や体型が,自己評価に影響を与えましたか 4 過去 3カ月をふり返って,他の人が同じ状況で一度に食べる量よりも異常に多い量の食べ物(例:500. mlのアイスクリーム等)を食べてしまったと感じることがありましたか 5 異常に多い量の食べ物を食べてしまったとき,食べることをコントロールできなくなってしまったと感. じましたか(食べることを止められなかった,食べるものや量をコントロールできなかった等) 6 過去 3カ月をふり返って,1カ月あたり平均何回くらい,異常に多い量の食べ物を食べてしまい,食べ. ることをコントロールできなくなってしまいましたか 7 普段よりも,食べるのがとても早くなりましたか 8 満腹で気分が悪くなるまで食べましたか 9 体は空腹を感じていなかったのに,かなり多く食べましたか 10 食べる量を見られるのが恥ずかしいので,1人で食べましたか 11 過食の後,自分が嫌になったり,気分が沈んだり,やましさを感じたりしましたか 12 過食に腹が立ったり落ち込んだりすることはありましたか 13 嘔吐しましたか 14 下剤や利尿剤を使いましたか 15 絶食(少なくとも 2回連続で食事を抜くこと)をしましたか 16 過食の影響を打ち消すことだけを目的に,過剰な運動(例:1時間以上続けて走る等)をしましたか 17 過去 3カ月をふり返って,夜間に目覚めた後または夕食の後にかなり多く食べて,気分が落ち込むこと. が 1カ月あたり平均何回くらいありましたか 18 食べることやボディイメージの問題が,友人や家族との関係,学業や仕事にどのくらい影響しています. か 19 体重はどれくらいありますか.測っていない場合は,およそでお答えください 20 身長はどれくらいありますか.cmでお答えください.(1 m=100 cm) 21 現在の身長で 1番重かったときの体重はいくつですか.kgでお答えください 22 あなたの性別はどちらですか 23 あなたは何歳ですか. 358 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. の検査・再検査間でのEDDS‒DSM‒5 version日 本語版について相関係数を算出したところ, r=.81(p<.001)であり,十分な再検査信頼性 が示された.. 2. 尺度の妥当性の検討 収束的妥当性を検討するため,EDDS‒DSM‒ 5 version日本語版と EAT‒26および TFEQとの. 相関係数を算出した(Table 3).EDDS‒DSM‒5 version日本語版はEAT‒26およびTFEQと正の 相関があることが予想される.まず,EDDS‒ DSM‒5 version日本語版と EAT‒26との相関は r=.71(p<.001)であり,強い正の相関が認め られた.さらに,EDDS‒DSM‒5 version日本語 版と TFEQとの相関は r=.65(p<.001)であり 強い正の相関が認められた.. 3. DSM‒5における摂食障害の有病率推定 大学生の摂食障害の有病率推定を行うため に,EDDS‒DSM‒5 versionの採点アルゴリズム を用いて検討を行った(Table 4).生活阻害度 を含めて算出したところ,神経性やせ症は 2.8%,神経性過食症は 2.4%,過食性障害は 2.4%,非定型神経性やせ症は 3%,神経性過食. Table 2 DSM⊖5における摂食障害の有病率推定. 摂食障害の下位分類 採点アルゴリズム 神経性やせ症 ①低体重,項目 2>=4,項目 3>=4. ②低体重,(項目 13+項目 14+項目 15+項目 16)>=4,項目 3>=4 神経性過食症 項目 4=はい,項目 5=はい,項目 6>=4,(項目 13+項目 14+項目 15+項目. 16)>=4,項目 3>=4 過食性障害 項目 4=はい,項目 5=はい,項目 6>=4,(項目 7+項目 8+項目 9+項目 10+. 項目 11)>=3,項目 12=はい,(項目 13+項目 14+項目 15+項目 16)<1 非定型神経性やせ症 項目 19<=(0.9*(項目 21)),項目 2>=4,項目 3>=4 神経性過食症 (頻度が低い,および/または 期間が短い). 項目 4=はい,項目 5=はい,項目 6>=2,(項目 13+項目 14+項目 15+項目 16)>=2,項目 3>=4. 過食性障害 (頻度が低い,および/または 期間が短い). 項目 4=はい,項目 5=はい,項目 6>=2,(項目 7+項目 8+項目 9+項目 10+ 項目 11)>=3,項目 12=はい,(項目 13+項目 14+項目 15+項目 16)<1. 排出性障害 (項目 13+項目 14)>=4,項目 4=いいえ,項目 3>=4 夜間食行動異常症候群 項目 17>=4 注 1) 最初に項目 1<=6に当てはまった場合は診断なしとみなすが,各摂食障害の診断基準を満たした場合は診断を優先. する 注 2)項目 18<3に当てはまった場合はすべての診断を満たさない * 本研究では,項目 18<3に当てはまる場合は生活支障度あり(生活支障度を含めた算出),当てはまらない場合は生活支 障度なし(生活支障度を含めない算出)とした 注 3)低体重の定義 男女:18歳以上,BMI<=18.5,男性:17歳,BMI<=18.5,16歳,BMI<=18,15歳,BMI<=17.5,女性:17歳,BMI <=18,16歳,BMI<=17.75,15歳,BMI<=17.25,男女:14歳,BMI<=16.75,13歳,BMI<=16.25,12歳,BMI <=15.75,11歳,BMI<=15.25,10歳,BMI<=14.75 *本研究の対象者は 18歳以上である 注 4)項目 4,項目 5のいずれもいいえの回答の場合は,項目 6は 0,項目 7から項目 12はいいえの回答として算出する 注 5) 重複診断された場合は,神経性やせ症>神経性過食症>過食性障害>非定型神経性やせ症>神経性過食症(頻度が. 低い,および/または期間が短い)>過食性障害(頻度が低い,および/または期間が短い)>排出性障害>夜間食行 動異常症候群の順に診断を優先する. 注 6) SPSSシンタックスで実行できるEDDS‒DSM‒5 version日本語版の正式な採点コードの提供を希望される方はhttps:// researchmap.jp/chisato3/published_papers/28596759をご参照ください. Table 3 妥当性の検討. EDDS EAT‒26 TFEQ EDDS ― EAT‒26 .71*** ― TFEQ .65*** .71*** ― ***p<.001 EDDS=Eating Disorder Diagnostic Screen, EAT‒26=Eat- ing Attitude Test‒26, TFEQ=Three‒Factor Eating Question- naire. 359Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 症(頻度が低い,および/または期間が短い)は 0.5%,過食性障害(頻度が低い,および/また は期間が短い)は 0.9%,排出性障害は 0%,夜 間食行動異常症候群は 2.8%であった.生活阻 害度を含めずに算出したところ,神経性やせ症 は 4.4%,神経性過食症は 3%,過食性障害は 4.6%,非定型神経性やせ症は 5.3%,神経性過 食症(頻度が低い,および/または期間が短い) は 0.5%,過食性障害(頻度が低い,および/ま たは期間が短い)は 1.3%,排出性障害は 0%, 夜間食行動異常症候群は 5.2%であった. 性別によって摂食障害の有病率が異なるかを 検討するために,男女に分けて,EDDS‒DSM‒. 5 versionの採点アルゴリズムを用いて検討を 行った(Table 5).男性において生活阻害度を 含めて算出したところ,神経性やせ症は 0.3%, 神経性過食症は 1.3%,過食性障害は 0.3%,非 定型神経性やせ症は 1.3%,神経性過食症(頻度 が低い,および/または期間が短い)は 0%,過 食性障害(頻度が低い,および/または期間が短 い)は 0%,排出性障害は 0%,夜間食行動異常 症候群は 1.6%であった.生活阻害度を含めず に算出したところ,神経性やせ症は 0.3%,神経 性過食症は 1.3%,過食性障害は 0.6%,非定型 神経性やせ症は 1.9%,神経性過食症(頻度が低 い,および/または期間が短い)は 0%,過食性. Table 5 DSM⊖5における摂食障害の有病率推定(男女) 男性 女性. 摂食障害の下位分類. 生活阻害度 あり 有病率 (%). 生活阻害度 なし 有病率 (%). 生活阻害度 あり 有病率 (%). 生活阻害度 なし 有病率 (%). 神経性やせ症 0.3 0.3 3.9 6.2 神経性過食症 1.3 1.3 2.9 3.8 過食性障害 0.3 0.6 3.3 6.4 非定型神経性やせ症 1.3 1.9 3.8 6.8 神経性過食症 (頻度が低い,および/または期間が短い). 0 0 0.7 0.7. 過食性障害 (頻度が低い,および/または期間が短い). 0 0 1.3 1.9. 排出性障害 0 0 0 0 夜間食行動異常症候群 1.6 4.4 3.3 5.5. Table 4 DSM⊖5における摂食障害の有病率推定. 摂食障害の下位分類. 生活阻害度 あり 有病率 (%). 生活阻害度 なし 有病率 (%). 神経性やせ症 2.8 4.4 神経性過食症 2.4 3 過食性障害 2.4 4.6 非定型神経性やせ症 3 5.3 神経性過食症 (頻度が低い,および/または期間が短い). 0.5 0.5. 過食性障害 (頻度が低い,および/または期間が短い). 0.9 1.3. 排出性障害 0 0 夜間食行動異常症候群 2.8 5.2. 360 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 障害(頻度が低い,および/または期間が短い) は 0%,排出性障害は 0%,夜間食行動異常症候 群は 4.4%であった. 女性において生活阻害度を含めて算出したと ころ,神経性やせ症は 3.9%,神経性過食症は 2.9%,過食性障害は 3.3%,非定型神経性やせ 症は 3.8%,神経性過食症(頻度が低い,およ び/または期間が短い)は 0.7%,過食性障害(頻 度が低い,および/または期間が短い)は 1.3%, 排出性障害は 0%,夜間食行動異常症候群は 3.3%であった.生活阻害度を含めずに算出し たところ,神経性やせ症は 6.2%,神経性過食症 は 3.8%,過食性障害は 6.4%,非定型神経性や せ症は 6.8%,神経性過食症(頻度が低い,およ び/または期間が短い)は 0.7%,過食性障害(頻 度が低い,および/または期間が短い)は 1.9%, 排出性障害は 0%,夜間食行動異常症候群は 5.5%であった.. 考察 本研究の目的は,EDDS‒DSM‒5 version日本 語版を作成し,その信頼性と妥当性を検討する ことであった.本研究で作成した EDDS‒DSM‒ 5 version日本語版は,専門家の検討による十分 な内容的妥当性,EAT‒26と TFEQとの相関関 係による収束的妥当性,および高いα係数によ る内的整合性と 2週間の間隔を空けての再検査 信頼性が確認された.また DSM‒5の診断基準 を用いて大学生における摂食障害の有病率が推 定された. EDDS‒DSM‒5 version日本語版は十分な信頼 性と妥当性を有していることが示された. DSM‒Ⅳに基づいて作成された EDDS日本語版 では,α係数が.85と報告されており9),本研究 の結果とおおむね一致していた.また,EAT‒26 とTFEQとの相関係数を算出してEDDS‒DSM‒ 5 version日本語版の収束的妥当性を検討した結 果,強い正の相関が認められた.DSM‒Ⅳに基 づいて作成された EDDS日本語版においても. EAT‒26および TFEQと EDDSの間には中程度 の相関が認められており,本研究の結果とほと んど一致していた9).EDDS‒DSM‒5 version日 本語版は,DSM‒5の摂食障害の診断基準に準 拠して作成されており,日本においてこれまで 使用されてきた尺度に加えて新たなアセスメン トツールとして使用されることが期待できる. EDDSの採点アルゴリズムを使用し,DSM‒5 の診断基準を用いて大学生における摂食障害の 有病率推定を行ったところ,DSM‒Ⅳに基づい て作成された EDDS日本語版9)を用いて推定さ れた有病率とは若干異なる結果が得られた.神 経性やせ症は DSM‒Ⅳに基づくと 0%であった が,DSM‒5の生活阻害度ありでは 2.8%,生活 阻害度なしでは 4.4%に増加していた.DSM‒Ⅳ の診断基準に従って本邦の女子大学生の有病率 を推定した研究によれば,神経性やせ症は 0.4%であることが報告されている13).本研究の 結果と先行研究を照らし合わせると,DSMの 改訂に伴い,無月経の症状を満たすことが DSM‒5の基準では削除されたことなど,診断 基準の緩和が影響している可能性がある. 神経性過食症は DSM‒Ⅳに基づくと 0.8%で あったが,DSM‒5の生活阻害度ありでは2.4%, 生活阻害度なしでは3%に増加していた.また, 過食性障害は DSM‒Ⅳに基づくと 2.5%であっ たが,DSM‒5の生活阻害度ありでは 2.4%,生 活阻害度なしでは 4.6%であった.DSM‒Ⅳの診 断基準では,むちゃ食いおよび不適切な代償行 動はともに「3カ月にわたって平均少なくとも 週 2回」という定義であったが,DSM‒5では, 「3カ月にわたって少なくとも週 1回」に変更さ れている.項目の修正によって,DSM‒5に基づ いて作成されたEDDS日本語版では有病率が高 く推定された可能性が考えられる.しかしなが ら,DSM‒Ⅳの診断基準に基づいて検討した中 井ら13)の研究では,神経性過食症の有病率は 2.2%であることが報告されている.摂食障害 の有病率を算出するアセスメントのシステマ. 361Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. ティックレビューによると,自己評価式の質問 紙はインタビューと比較して,高い有病率が算 出されやすいことが明らかになっている14).そ のため,有病率の差異が測定法の違いによるも のなのか,DSMの改訂によるものなのかを明 らかにするためには,今後さらなる検討が必要 である. さらに,これまで DSM‒Ⅳに基づいて作成さ れた EDDS日本語版では非定型神経性やせ症, 神経性過食症(頻度が低い,および/または期間 が短い),過食性障害(頻度が低い,および/ま たは期間が短い),排出性障害,夜間食行動異常 症候群の有病率を推定できなかったが,本研究 で作成されたEDDS‒DSM‒5 version日本語版で はこれらの他の特定される食行動異常または摂 食障害を推定することが可能になった.特に非 定型神経性やせ症と夜間食行動異常症候群は他 の特定される食行動異常または摂食障害と比較 しても有病率が高かったことは特筆すべき点で ある. 生活阻害度の有無によって,摂食障害の有病 率が変化するのかを検討した結果,神経性やせ 症,神経性過食症,過食性障害,非定型神経性 やせ症,過食性障害(頻度が低い,および/また は期間が短い),夜間食行動異常症候群におい て生活阻害度を考慮しなかった場合に有病率が 増加することが明らかになった.つまり,患者 が摂食障害の症状を伴っていた場合であって も,病識が乏しく,自ら積極的に治療を求めな いものが存在する可能性がある.これまで摂食 障害は病状の重篤さの否認という症状があり, 「病識がない」とされることが多かったが,近年 は病識の有無の二分法で簡単に分けられるもの ではなく,段階的に変化していくと考えられて いる15).EDDS‒DSM‒5 version日本語版は生活 阻害度の有無について測定できるといった利点 はあるが,単に生活阻害度の有無を確認するだ けではなく,「患者が今困っていることはどの ようなことか」を質問紙と併せて専門家が口頭. で確認していく作業を丁寧に行うことで,治療 を促進することが期待される.加えて,摂食障 害はストレス関連疾患といわれており,特に家 族と関連する事項が最も頻度の高い心理社会的 因子である16).摂食障害と診断するためには生 活支障度の有無を尋ねることは重要だが,実臨 床では家族をはじめとした心理社会的因子を念 頭に置いて診察やカウンセリングを行っていく ことが求められる.病態の患者理解だけでな く,家族支援,患者への教育,患者の治療動機 作り,食への取り組みなどが必要である. 性別による摂食障害の有病率を比較した結 果,すべての摂食障害において,男性と比較し て女性のほうが有病率は高いことが明らかに なった.カナダの青年 3,043名を対象にして, EDDSを用いて摂食障害の有病率を推定した研 究においても,男性よりも女性のほうが有病率 は高いことが報告されており17),本研究の結果 と一致している.従来摂食障害は女性特有の病 理として考えられてきたが,近年は男性の摂食 障害についても注目されつつある.男性と女性 では摂食行動やボディイメージなどについて異 なるストレスを受けていることが報告されてお り,今後は男性に特化した摂食障害への予防や 治療も検討していくことが求められる18). 本研究で作成されたEDDS‒DSM‒5 version日 本語版は,DSM‒5に基づいて作成された自己 報告式の尺度であり,広範な摂食障害のアセス メントが可能であるため,本邦の実際の臨床場 面で簡易に使用できる摂食障害のアセスメント ツールになることが期待できる.一方で,本研 究の結果からいくつかの課題が浮き彫りになっ た.第 1に,異文化間において妥当性を有して いるかどうかは明らかになっていない.本研究 では EAT‒26と TFEQとの相関係数によって妥 当性の検討を行ったが,国外における EDDS‒ DSM‒5 versionとの関連は明らかにできていな い.本研究で作成された EDDS‒DSM‒5 version 日本語版と国外で用いられているEDDS‒DSM‒. 362 Vol. 61 No. 4. 2021|心身医. 5 versionの相関係数を算出し,妥当性を検討す ることが求められる.第 2に,EDDSによる診 断推定の精度が未検討である.すなわち,本研 究で作成されたEDDS‒DSM‒5 version日本語版 で摂食障害の診断基準に当てはまったものが, 専門家による半構造化面接においても当てはま るかどうかは明らかになっていない.今後は, 専門家による半構造化面接と組み合わせて EDDS‒DSM‒5 version日本語版を用いて測定す ることが望まれる.第 3に,DSM‒5では新たに 回避・制限性食物摂取症(avoidant/restrictive food intake disorder:ARFID)がカテゴリーとし て加わった.しかしながら,EDDSでは ARFID を測定できないことが課題である.DSMの改 訂に伴い,EDDSも合わせて修正しなければな らない点については,本研究の限界点として挙 げられる.最後に,摂食障害を測定する尺度は 先行研究の中で多く開発されている.今後はス クリーニング精度の比較などを通じて,他の摂 食障害のスクリーニング法との特徴の差異を検 討する必要がある.. 本研究において開示すべき COIはない.. 文献. 1) American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed.(高橋三郎,大野 裕〔監訳〕:DSM‒5精神 疾患の診断・統計マニュアル.医学書院, 2014). 2) Johnson JG, Cohen P, Kasen S, et al:Eating dis- orders during adolescence and the risk for physi- cal and mental disorders during early adulthood. 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Background:The Eating Disorder Diagnostic Screen(EDDS;Stice et al., 2000)is a widely used self‒report questionnaire originally based on DSM. The EDDS can be used to diagnose eating disorders. The purposes of this. study were to develop a Japanese version of the EDDS‒DSM‒5 version and examine the reliability and validity of this screener.. Methods:Japanese college students(N=1006, mean age=19.6±1.4 years, 69% female)answered the Japanese version of the EDDS‒DSM‒5 version. Sixty‒eight participants(mean age=20.0±1.0 years, 63% female)answered the Eating Attitude Test‒26(EAT‒26;Baba & Tsuboi, 1993)and Three‒Factor Eating Questionnaire(TFEQ;Ada- chi et al., 1992)in addition to the EDDS. Results:The Japanese version of the EDDS‒DSM‒5 version exhibited internal consistency(α=.86)and test‒ retest reliability(r=.81, p<.001). The EDDS correlated positively with EAT‒26 and TFEQ, providing evidence of convergent validity. Estimated prevalence rates were 2.8% for anorexia nervosa, 2.4% for bulimia nervosa, 2.4% for binge eating disorder, 3% for atypical AN, 0.5% for low frequency BN, 0.9% for low frequency BED, 0% for purging disorder, and 2.8% for night eating syndrome. Conclusion:The Japanese version of the EDDS‒DSM‒5 version showed good reliability and validity. It may be useful in clinical and research applications.. Key words:eating disorder, scale development, estimate the prevalence (Received December 16, 2019;accepted July 1, 2020)

参照

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