博 士 ( 工 学 ) 吉 川 茂 雄
学 位 論 文 題 名
宇宙研究支援プラットフオームの構築と 証に関する研究
学位論文内容の要旨
宇宙機の 設計の基準はMIL規格によっ ており,設計,製造,試験はトレーサブルになっ ている.設 計はフェーズ分けされ,フェーズ毎に審査がある.プログラム実施計画書,コ ンフィギュ レーション管理計画書,信頼性管理計画書,品質管理計画書などの管理文書の 他に各コン ポーネントの設計仕様書,図面,試験計画書,手順書,報告書があり,軌道上 の衛星運用書,テレメトリデータを加えるとその総量は30,000ページを越すものとなる.
このほとん どは電子化されておらずそれぞれの衛星ごとに作られてきた.これらは世界の 流れである 低価格化に対応しておらず,また,複雑な大型人工衛星などではその信頼性や 品質保証の 観点から問題であった.一方,低価格化を実現するには開発期間の大幅な短縮 民生部品の 採用や試験の簡素化で対応せざるを得ないが最近の国内外における衛星の故障 や口ケット 打ち上げの失敗は低価格化のための手抜きと全く無縁とは言いきれないものが ある.2003年2月のコロンピア号の事故 は老朽化したスベースシャトルの現状を示すもの である.2010年までと云われるシャトルの後継機についてはまだ,はっき、りしなしゝ.コス トが問題な のである.低価格化は必然の流れであるが,設計,製作,試験時の人為ミスを 少なくする手立てが講じられなければ結局は事故にっながる事になる. ITの採用は有カな 対策のーつであると思われる,
本論文で は宇宙研究のために我々が独自に開発してきたWEBを用いた研究開発のコラボ レ ーシ ョン 環境(VSRL:Virtual Space Research Laboratory)をプラットフオームと位 置づけ,そ のプラットフオームの分析・設計および実装について述べるとともに,この機 能を積極的 に利用したコンフィギュレーション管理法を提案する.また,VSRLは工学教育 にも極めて 有効であることから,我々が学部,大学院教育に実際に応用した例を示し,そ の効果を検証する,
本論文の構成は以下の通りである
第1章では世界の宇宙産業におけるITの取 り込み状況を概観し,さらに日本国内の宇宙 機を対象としたCALSの適用事例を示した.また,設計活動,研究活動における,コラポレ ーション支援環境の重要性について述ベ,本研究の目的がWeb上の研究活動支援環境構築,
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さらにはそれを応用したコンフィギュレーション管理業務支援環境であることを述べた.
第2章では研究プラットフオームに要求される項目について述ベ,ハードウェアおよび ソフトウェア,ネットワークの構成の詳細について述べた.また,構築したVSRLの全容,
さらに要求される項目を実現するためのライプラル,会議室等の個々の機能につしゝて,動 作,性能等を述べた.
第3章では第2章の要求をUML (Uni fied Modeling Language)を用いてVSRLのオブジェク トモデルを構築し,システムの分析・設計を実施した. さらに,構築されたVSRLのライ プ ラ リ , 会 議 室 等 の 個 々 の GUI(Graphic User Interface)を 表 示 し た , 第4章では,宇宙機のプロジェクト管理のーつであるコンフィギュレーション管理にVSRL を応用したシステムについて述べた,信頼性を保っために,コンフィギュレーション管理 は重要な業務であるにもかかわらず,関係者が多忙である,書類の処理が煩雑であるとい った理由から,適切に実行されていない例が多い.そこでVSRLの地理的・時間的制約を緩 和するという特長を生かし,業務のうち特に文書管理に注目し,それを支援するシステム をWeb上に構築した.ここではハードウェアおよびソフトウェア,ネットワークの構成の 詳細,および提供する各機能について述ベ,さらに,実際に技術仕様書の改訂作業を行っ た例を示した,
第5章ではVSRLの研究プラットフオームを実際に応用した例とそれらの有効性について 述べた.実用レベルとしてVSRLは日本で最初の仮想研究所である.現在までに登録された 宇宙研究プロジェク卜は33(内5プロジェクトは終了)を数え,順調な進展を見せている.
2002年からは,この仮想研究所の機能を大学教育にも応用できるのではないかと考え,大 学院の特別演習や学部一年生の一般教育演習に適用を開始した,米国では普通となってい るWEBを利用した教育も日本では名古屋大学,大阪大学,慶応大学などに見られるだけで ある,今後は社会人を再教育するニーズが高いことが予想され,このために必要な要件を 明 確化 す る た めにVSRLを 用 いた 教 育 実験 を 実 施し た. この結 果を分析 ・評価 する.
第6章は結諭で本研究で得られた結果を要約した,
本論文で著者はWEB上に宇宙研究支援を目的としたプラットフオームを構築し、これを 20を超えるプロジェクトの研究に供して、その機能の有効性を実証するとともに、特に宇 宙開発においてその信頼性確保の点で重要であるコンフィギュレーション管理をこのプラ ットフオームを用いて実施できることを立証した他、大学院の演習科目、学部学生の一般 教 育 演 習 に も 適 用 し て こ の シ ス テ ム が 教 育 用 に も 有 効 で あ る こ と を 実 証 し た .
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
宇宙研究支援プラットフオームの構築と 実証に関する研究
宇 宙 機 の 設 計 の 基 準 はMIL規 格 に よ っ て お り , 設 計 , 製 造 , 試 験 は ト レ ー サ プ ル に な っ て い る . 設 計 は フ ェ ー ズ 分 け さ れ , フ ェ ー ズ 毎 に 審 査 が あ る . プ 口 グ ラ ム 実 施 計 画 書 , コ ン フ ィ ギ ュ レ ー シ ョ ン 管 理 計 画 書 , 信 頼 性 管 理 計 画 書 , 品 質 管 理 計 画 書 な ど の 管 理 文 書 の 他 に 各 コ ン ポ ー ネ ン ト の 設 計 仕 様 書 , 図 面 , 試 験 計 画 書 , 手 順 書 , 報 告 書 が あ り , 軌 道 上 の 衛 星 運 用 書 , テ レ メ ト リ デ ー タ を 加 え る と そ の 総 量 は30,000ペ ー ジ を 越 す も の と な る . こ の ほ と ん ど は 電 子 化 さ れ て お ら ず そ れ ぞ れ の 衛 星 ご と に 作 ら れ て き た . こ れ ら は 世 界 の 流 れ で あ る 低 価 格 化 に 対 応 し て お ら ず , ま た , 複 雑 な 大 型 人 工 衛 星 な ど で は そ の 信 頼 性 や 品 質 保 証 の 観 点 か ら 問 題 で あ っ た . 一 方 , 低 価 格 化 を 実 現 す る に は 開 発 期 間 の 大 幅 な 短 縮 , 民 生 部 品 の 採 用 お よ び 試 験 の 簡 素 化 等 で 対 応 せ ざ る を 得 な い が , 最 近 の 国 内 外 に お け る 衛 星 の 故 障 や 口 ケ ッ ト 打 ち 上 げ の 失 敗 は 低 価 格 化 の た め の 手 抜 き と 全 く 無 縁 と は 云 い き れ な い も の が あ る .2003年2月 の コ ロ ン ビ ア 号 の 事 故 は 老 朽 化 し た ス ペ ー ス シ ャ ト ル の 現 状 を 示 す も の で あ る .2010年 ま で と 云 わ れ る シ ャ ト ル の 後 継 機 に つ い て は ま だ , は っ き り し な い . コ ス ト が 問 題 で あ る , 低 価 格 化 は 必 然 の 流 れ で あ る が , 設 計 , 製 作 , 試 験 時 の 人 為 ミ ス を 少 な く す る 手 立 て が 講 じ ら れ な け れ ば 結 局 は 事 故 に つ な が る 事 に な る が , 対 策 と し て 本 論 文 で はITの 採 用 が 有 カ な 対 策 で あ る と 課 題 提 起 を 行 っ て い る . 本 論 文 は 上 述 課 題 克 服 を 目 的 に こ れ ま で 行 っ て き た 研 究 成 果 を ま と め た も の で あ る . そ の 概 要 は , 開 発 研 究 を 通 し て き たWEBを 用 い た 研 究 開 発 の コ ラ ボ レ ー シ ョ ン 環 境(VSRL:Virtual Space Research Laboratory)を プ ラ ッ ト フ オ ー ム と 位 置 づ け , そ の プ ラ ッ ト フ オ ー ム の 分 析 ・ 設 計 お よ び 実 装 法 を 議 論 す る と と も に , 宇 宙 シ ス テ ム 開 発 全 体 の 整 合 的 運 用 に 際 し 重 要 と な る 人 間 系 を も 内 包 し た コ ン フ ィ ギ ュ レ ー シ ョ ン 管 理 手 法 を 提 案 し て い る . ま た ,VSRLは 工 学 教 育 に も 極 め て 有 効 で あ る こ と か ら , 学 部 , 大 学 院 教 育 に 実 際 に 応 用 し た 例 を 示 し , そ の 効 果 を も 検 証 し て い る .
本 論 文 の 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る ・