■研究紹介
ATF2 におけるビーム収束
KEK
加速器研究施設奥 木 敏 行
[email protected] 2013
年5
月10
日1 はじめに
1.1
ILC
のための加速器開発
2012
年12
月,国際リニアコライダー計画(ILC, Inter-national Linear Collider) [1]
の技術設計書Technical Design Report(TDR)が完成した[2]。ILC
のレイアウトを図1
に示 す。TDRは『ILCの物理』『加速器』『物理と測定器の詳 細ベースライン設計』の3
巻で構成されている。また,第2
巻の『加速器』は,さらに2
部構成になっていて,第1
部には『世界各国でのILC
のためのR&D
の報告』が纏め られ,第2
部には『ILCの基本的なデザイン』が書かれて いる。本稿で報告する,Accelerator Test Facility (ATF)で の研究開発は,TDR第2
巻1
部の『ILCのためのR&D
の 報告』の内容に深く関係している。読者の方には,本稿の 内容をとおして,ILC
の加速器開発はATF
というKEK
内 にある施設での研究開発であってもKEK
だけでおこなっ ているわけではなく,国際的な枠組みで進められているこ と,そして,多少の紆余曲折はあるにしても,順調にILC
のための加速器開発は進められている様子を感じ取っても らえたら嬉しいです。ILC
に要求される加速器技術として重要なことは,全長 を短くするため,あるいは,限りあるトンネルの中で少し でも高いエネルギーに到達するため,高い加速勾配を目指 していることはいうまでもない。しかし,高エネルギー実 験でILC
を使うためには,ただ高い加速勾配が得られれば よいわけではない。何度も衝突のチャンスがある円形衝突 器と異なり,ILC では1つの電子ビームや陽電子ビームに 与えられる衝突のチャンスはたった1
度だけである。この 状況下で高いルミノシティを確保するためにILC
で工夫し ていることは2
つある。1 つ目は単位時間当りに加速でき るビームの数を出来る限り多くすること。そして,2 つ目 には,ビームが交差する際に電子と陽電子が反応を起こす 確率を極限まで上げることである。図1 International Linear Collider (ILC)のレイアウト図
ILC
では単位時間あたりにたくさんのビームを加速する ために,超伝導加速技術を用いたビーム加速を採用してい る。ILC
の超伝導加速技術は,次号にKEK
早野氏が報告を 予定しているので,そちらを参照いただきたい。もう
1
つのILC
で高いルミノシティを得るために必要な 要素は,ビーム交差時の反応確率を上げることである。具 体的には,衝突点でビームを出来る限り小さく絞り,ビー ム同士を正確に衝突させることである。ATFでは,それに 必要な技術開発をおこなっている。1.2 Accelerator Test Facility (ATF)
衝突点でビームを小さく絞るために重要なことは2つあ る。1 つ目はビームの平行性を良くすることである。光を 想像してもらうとイメージしやすいと思うが,懐中電灯の 光とレーザーの光を同じレンズで絞る場合,レーザー光の 方が小さく絞ることができる。これはレーザー光の方が懐 中電灯の光よりも平行性がよい光線(ビーム)だからであ る。光と同じように電子や陽電子ビームにも平行性の良し 悪しがあり,優れた平行性のビームを使うと,衝突点でビー ムを小さく絞ることができる。加速器の用語では,この平 行性の指標をエミッタンスというパラメータで評価してい る。ATF にはダンピングリングという円形加速器があり,
電子ビームをダンピングリングに通過させることで,電子 ビームのエミッタンスを小さくすることができる。ATFで 作られる電子ビームのエミッタンスは,世界トップクラス の小さな値であり,
ATF
では電子ビームをILC
で要求され るエミッタンスと同等の値まで小さくできる。衝突点でビームを小さく絞るために必要な
2
つ目の要素 は,出来るだけ収差の小さいレンズ系を作ることである。ビームには有限の大きさやエネルギーの広がりがあり,レ ンズ系の収差が大きいと,衝突点でビームサイズが広がっ てしまう。これも光の場合を想像すると分かりやすいと思 うが,収差の小さいレンズを作るためには,複数枚のレン ズを組み合わせた最終収束光学系を作る必要がある。ATF では,後に説明する
ATF2
ビームラインで最終収束光学系 の研究もおこなっている。ATF2
のレイアウトを図2
に示した。ATFではビームを 小さく絞るために,まずダンピングリングでビームのエミッタ ビ と タ 最 さ
2
2
リ
C
を( N
まT
系C
収 む パ の収 り と 最
L
収C
に ン と こ ル図2 Acce
タンスを小さ ビームラインで と同じように,
タンスを小さ 最終収束光学系 されている。
2 ATF2 ビ
2.1
ILC
の1990
年代か リニアコライCollider (JLC)
を進めており,(NLC)というリ NLC
は技術開 まざまな技術交Test Beam (FF
系を試験する施Correction
とい 収束試験をお むことに成功し パラメータが近 の加速器研究者FFTB
での 収束光学系の研 り進められた。とは違う
Loca
最終収束光学Local Chromat
収 束 光 学 系 はChromaticity
に比べ,全長が ンスが広くとれ という特徴があ ことは,そのま ルギーアクセプelerator Test Fa
くする。その後 でビームを小さ
最初にダン くして,加速 系でビームを衝
ビームライ
の最終収束光 から
2000
年代ダー計画があ という常伝導
SLAC
(アメ リニアコライダ 開発要素が近か交流があった。
FTB)というリ
施設があった。いう収差補正方 こない,電子 した[3]。JLC 近かったことも 者も参加し,そ 実験が終了し 研究は,おも
。そして,現在
al Chromaticit
系を使用する
ticity Correcti
は , か つ て ,Correction
の が約1/3と短く れ,かつ,ビー ある(図4)。
まま建設コス プタンスが広
acility (ATF)の
後,収差を小 さく絞っている ピングリング したのち,最後 衝突点で小さ
ン
光学系 にかけて,世 あった。日本で 導技術を使った
リカ)でも
Ne
ダー計画を進め かったため,加。当時,SLAC ニアコライダ
FFTB
ではGl 方法の最終収 ビームを70 nm とNLC
は,もあり,FFTB その成果に貢献
た後,リニア に計算機シミ 在の
ILC
のデty Correction
ることになってon
の収差補正FFTB
で 試 原理に基づい(図 3),エネ
ームハローが大ビームライン トの削減に繋 く,ビームハロ
レイアウト図
さく抑えた
A
る。ILCでもでビームのエ 後に収差の小 く絞るように
界中には数多 では
Japan Li
リニアコライext Linear Col
めていた。JLC速空洞をはじ
C
にはFinal F
ダーの最終収束lobal Chromat
束光学系でビ m程度まで絞 最終収束光学B
には多くの 献した。コライダーの ュレーション ザインでは,
の原理に基づ ている[4]。現在 正方法を用いた
験 さ れ た
Gl
た最終収束光 ルギーアクセ 大きく広がら の長さが短く がる。また,ローが広がらな
ATF2
ATF
ミッ さい 設計くの
inear
ダー
llider C
とめさ
Focus
束光学ticity
ーム り込 系の 日本最終 によ 当時 づいた 在の 最終
lobal
学系 プタ ない なる エネ ない
図 3 Corr 直方 Loca 収差
図4 Corr ハロ
とい テク
Chr
うにCor
的に2.2 20 Pan
コラ 界に して 初の この 桁以 使え ある を使ATF
3 Global Chr rectionのビーム 方向の色収差補正 al Correctionは 差補正をおこなう
Global Chrom rectionの性能比 ローの分布。
いう性質は,測 クショ ンの 観
romaticity Cor
に多くの利点がrection
方式に に原理証明がな
ATF2
プ004
年 のInt nel ( ITRP)で,
ライダー計画を に1つの計画に て,
2004
年11
の国際ワークシ の場において,以上低いが,
AT
えば,ATF
でI
るという提案が 使ったILC
の最F2
プロジェクromaticity Cor ム光学系の例。G 正セクションと最 は,最終収束レン うので,ビームラ
maticity Correc 比較。(a)エネル
測定器設計に自 観点からも 利
rrection
方式の があるが,ビーム に比べて複雑で なされていないプロジェクト
ternational T
それまで世界 を,超伝導加速 に統一するとい 月に,KEKで ショップとなる
ATF
のビームTF
が作り出すILC
の最終収束 がされた[5,6]。最終収束光学系 クトと命名した
rrection と Loc Global Correcti 最終収束レンズ ンズ系の中で水平
ラインをコンパ
ction とLocal C ギー許容値。(b
自由度を持たせ 点は多い。
の最終収束光学 ム調整がGloba であることや,
いという問題も
Technology Re
界中にいくつ 速技術を用いたいう意思決定が で
ILC
計画がス るLCWS2004
ムエネルギーは す超低エミッタ 束光学系の原理 そして,この 系の試験施設を た。
cal Chromaticit ionでは水平,垂
系が別々。一方,
平,垂直両方の色 クトにできる。
Chromaticity b)焦点でのビーム
せ,マシンプロ し かし,
Loc
学系は,このよal Chromaticit
何よりも実験 もあった。ecommendatio
もあったリニア たILC
という世 がなされた。そ スタートして最 が開催された はILC
よりも タンスビームを 理証明が可能で のATF
のビーム をつくる計画を ty 垂, 色
ム
ロ
al
よty
験on
ア 世 そ 最 た。2
を で ム を原
発 て ど を
た
2
作 国 過 公 め 推 表 メ 計 系 組 現 のこ 線 フ 各 こ
K
な 分 製 電 計 収 たA
ビ ソ(
ビ ム の A 海
Local Chrom
原理証明をする トを与えると期 発足した2004
ており,最終収 どこにも存在し を発足させた大ATF2
プロジ たのち,国際協2005
年度中は 作り,ハードウ 国際協力による 過程において,公表し,その中 めた。さらに,
推進体制・予算 表した。ATF2 メリカの
3
地域 計,製造および 系の技術開発に 組みを整備した 現する際の国際 のと期待していATF2
ビーム こなわれた[9]。線防御用コンク フラの整備,電 各種ハードウェ こなわれた。A
KEK
の役割は など多岐にわた 分担することで 製作し,六極電 電磁石電源は 計・発注の下で 収束電磁石の架 た。空洞型ビーAccelerator La
ビーム位置モニ ソフトウェアは(イギリス)が このような世 ビームラインは ム運転に関して の研究者が参加 ATFを訪れた 海外からの来訪
maticity Corre
ることは,ILC 期待されていた4
年の段階では収束光学系の試 しなかった。こ 大きなモチベー ジェクトは,
20
協力によるプロ,プロジェク ウェアの検討,
るプロジェク
2005
年8
月 中で『ATF2 の2006
年2
月 算』を説明する2
プロジェク域が同程度の び建設が分担さ に興味を持つ世 た。こういった 際的協力分担体 いる。
ムラインの建設
。その間に,新 クリートブロ 電磁石やモニタ
ェアのビーム
ATF2
ビーム 当然として,電 たる加速器要素 で実現した。電磁石,最終収
SLAC
が担当 でIHEP
が製 架台システムは ーム位置モニタaboratory, PA
ニターの読み出 はRoyal Hollow
が担当している 世界各国の研 は建設され,2 ても,ビーム 加している。図国内外の来訪 訪者が多いこ
ection
方式のC
のデザイン た。しかしなが はFFTB
はす試験をおこな このことが
AT
ーションであっ004
年のLCW
ジェクトとし トを推進する 作業と予算の トの骨格作り には
ATF2 Pr
の目的とハー には『ATF2 るATF2 Prop
トは,アジア 貢献をするこ された。そして 世界中の研究者 たATF2
での 体制のモデル設は
2007
年か 新設部分の床 ックの設置,ーなどのハー ラインへの設 ラインの建設 電磁石システム
素を世界中の大 四極電磁石は 収束電磁石,
した。偏向電磁 造したもので は
LAPP(フ
ーはKEKが設AL(韓国)が製
出し回路は
SLA way University
る。研究機関との協
2009
年に運転ラインの建設 図
5
には共同 者の数をしめ とがわかると思最終収束光学 に大きなイン がら,ILC 計 でに稼働を終 える施設が世
TF2
プロジェ った。WS2004
で提案 て推進してき ための国際組 分配作業を進 がなされた。roposal Vol.1 [7
ドウェア』を のスケジューosal Vol.2 [8]
,ヨーロッパ とを目指して て,ILC 最終 者が参加でき 経験は,ILC としても役立
から
2008
年の の補強工事,冷却水などの ドウェアの製 置などの作業 は,ホストで ムやビームモニ 大学・研究機
IHEP(中国
電磁石ムーバ 磁石はSLAC
ある。また,
ランス)が担 設計を行い,
Poh
製作を担当し
AC
が設計製作of London, RH
協力のもと,A を開始した。
と同様,世界 開発研究のた した。国内よ 思う。
系の パク 画が 終了し 界中 クト
案され た。
組織を 進め,
その
7]
を まと ル・を発
,ア
,設 終収束 る枠 を実 つも
間お 放射 イン 作,
がお ある ニター 関が
)で ー,
の設 最終 担当し
hang
た。
作し,
HUL
ATF2
ビー 各国 めに りも図5
2.3 A
を第 方式 や名 て,の電 と同
図6 デザ
図7 容値 差の
年度毎のATF
ATF2
ビATF2
ビームラ 第一の目的とし 式のビーム光学 名前もILC
の最 色収差(エネ 電磁石の強さ,同程度になるよ
ILCとATF2 ザインと同じ電磁
ILCとATF2 値。(b)電磁石の設 の許容値。(d)電磁
Fへの国内,国
ビームライン ラインは
ILC
の しているので,L
学系を採用して 最終収束光学系 ルギーが違っ 設置位置誤差 ように設計され
2のビーム光学系 磁石の配置になっ
2の電磁石の許容 設置位置誤差の 磁石の振動誤差
外の研究者,学
の最終収束光学
Local Chromati
ている。また,
系と同じである た粒子の収差 差,振動に対する
れている(図
7
系。ATF2ビーム っている。
容値の比較。(a) 許容値。(c)電磁 差に関する許容値
学生の来訪者数。
学系の原理証明
icity Correctio
電磁石の配置 る(図
6)。そ
差)の強さ,個々る許容値も
IL
)。ただし,
IL
ムラインはILCの
)磁場の強さの許 磁石の回転設置誤 値。
明
on
置 し 々C C
の
許 誤
β
の ン 点 る
す に 衝 よ ば 制 な で ビ
3
3
え で さ で 体 で モ のA
ニ 分 ザ ム 散 が 生
表
Chromaticity Correction
Beam Energ
*
* [mm] × * [m
β β
[nm] × [p
ε ε
* [nm]
σ
のビームエネル ンでは1.3GeV 点の
5.9 nm
に対 る。表1
にILC
また,ATF2 く絞るだけでな するという
2
つ に加速された電 衝突させなけれ よりもよい精度 ばならない。I 制御できるこ なビーム位置制 で,ATF2 では ビーム位置制御3 ATF2 仮
3.1
ビームATF2
では電 えている。しか できるビームサ さく絞れたこと でビームを小さ 体も非常に重要 で使われていた モニター)[10]を
の開発および改ATF2
で使用しIP-BSM
は,ニターである。
分け,仮想衝突 ザー光の干渉縞 ムが通過する 散乱により 線 が干渉縞に比べ 生成される 線
1 ATF2の仮想 ILC-500
y Loca
Correc
gy 250 G 3.5 m
mm]11 0
× pm]0.02 0
×5.9
ルギーが
250 G
と低いので,対して
ATF2 C
とATF2、 FF
2
ビームライ なく,仮想焦点つ目の目的も 電子ビームと陽 ればならない。
度で,衝突点で
ILC
では衝突点 とを前提に設計 制御に関して は,仮想焦点 御に関する研究仮想衝突点
ムサイズモニ 電子ビームを仮 かし,ビーム サイズモニター とを証明するこ さく絞るため 要になってくる たビームサイズ を譲り受け使用 改良は,東大と している
IP-BS
レーザー干渉。1台のレーザ 突点で交差させ 縞を作ることが とき,電子ビー 線が生成され べて小さいと 線の発生量が変
想焦点のパラメ
0GeV AT
al ction
Loc Corre
GeV 1.3G
m 1.0
.48 40×
0.07 2.0
×9 37
GeV
に対して,絞れるビーム 仮想焦点では
FTB
のパラメ ンには仮想焦 点で正確にビ ある。ILCで 陽電子ビーム。そのために でビームの位 点でビームの位
計されている も原理証明が におけるビー 究も進めている
でのビーム
ニター
(IP-BS
仮想焦点で37 n
を小さく絞っ ーがないと,ことができない には,ビーム る。
ATF2
仮想衝ズモニターIP- 用している。
A
とKEK
と共同SM
の写真を図 渉縞を利用し ザーから出射さ せることで,仮 が出来る。このームとレーザ る。電子ビー きには,干渉縞 変化する(以下
ータ。
TF2 FF
cal ection
Glo Corre
GeV 46.6
m 0.4
×
0.1 10
××
12 0.33
7 4
ATF2
ビーム ムサイズは,IL
は37 nm
となっ ータを比較し 点でビームを ームの位置を は,それぞれ を衝突点で正 は,ビームサ 置を制御しな 位置を2 nm
以。このような なされていな ム収束ととも る。
ム収束
SM)
nm
まで絞ろう ても,それを 実際にビーム い。そのため,A
サイズモニタ 衝突点には,FF -BSM
(通称,ATF2
でのIP-B
で担当してい 図8
に示した。たビームサイ された光を
2
仮想衝突点に 干渉縞に電子 ーとのコンプ ムのビームサ 縞の位置に応 下,モジュレー
FTB obal ection
6 GeV
4 m
×
0.1 3 20
×45
ライ
LC
焦 てい た。小さ 制御 れ独立 確に イズ けれ 以下に 精密 いの に,
と考 測定 を小
ATF2
ー自FTB
新竹BSM
る。ズモ つに レー 子ビー トン イズ じて ショ
ンが 渉縞 する 干渉 大き
IP
干渉 で決 依存 とが のビ 長を 使っ レー 範囲 とさ ら6
図9 のビ
が起こると記す 縞よりも大きい る 線数にモジ 渉縞の位置を変 きさから,ビー
P-BSM
により 渉縞ピッチの約 決まる。干渉縞 存するが,最小 が出来る。ATF ビームサイズ測 をFFTB
で使わ っている[11]。ーザー光の交差 囲のビームサイ さらに
2
つの小6 m
までの広い図8 ATF2仮
FFTBとATF ビームサイズの測
す)。一方,電子 いときには,干 ジュレーション
変えたときの ームサイズを評 り測定できるビ 約
10 %
から35
縞のピッチは2
小でレーザー波F2
では,小さ 測定感度が高く われていた106
このことによ 差角を最大にし イズの測定が出 小交差角モー い測定範囲を実
仮想衝突点に置か
F2で使われてい 測定範囲。
子ビームのビー 干渉縞の位置を ンは起こらない
線数のモジュ 評価することが
ビームサイズの
%
の範囲と,干2
つのレーザー 波長の半分まで さなビームサイ くなるように,64 nm
から532
り,ATF2 の したとき(174
度 出来る。また,ドを用意する 実現している
かれているIP-B
いるIP-BSMによ
ームサイズが干 を変えても発生 い。このように,
ュレーションの が出来る。
の測定範囲は,
干渉縞のピッチ ー光の交差角に で小さくするこ イズで
IP-BSM
レーザーの波2 nm
に変更してIP-BSM
では 度),25-90 nm
の2-8
度,30
度 ことで25 nm
か(図
9)。
BSMの写真
よる仮想衝突点で 干 生
の
チ に こ
M
波 て は,の 度 か
で
3.2 ATF2
でのビーム調整技術ATF2
ビームラインのすべての四極電磁石および六極電 磁石は,電磁石ムーバーの上に設置されている。そして,ATF2
ビームラインには,軌道補正用のステアリング電磁 石はいっさい設置せず,ATF2 での軌道調整は電磁石ムー バーを使っておこなっている。このようなビームラインの 仕様はILC
の最終収束光学系と同じ仕様であり,ATF2で のビーム軌道調整の経験はILC
のビーム制御技術に直結す るものであると期待している。また,仮想衝突点でのビームサイズ測定に関しても,
ATF2
では電磁石ムーバーで六極電磁石の位置を変えることで,仮想焦点に電子ビームのウエスト位置を合わせたり,エネ ルギーの違った粒子の焦点の位置を1点に揃えたり,ビー ムの傾きを調整するなど,加速器用語では『線形光学系の 調整』と呼ばれる調整をおこなっている。見ているモニター が,
IP-BSM
か,ルミノシティモニターかの違いはあるが,ATF2
仮想衝突点でのビームサイズの調整方法もILC
焦点 での調整方法と同じ手法を採っている[12]。3.3
仮想焦点でのビームサイズ調整ATF2
ビームラインは2009
年に運転を開始した。運転開 始当初は仮想焦点でビームをあまり小さく絞らず,おもに モニター類などのシステム確認をおこなった。ATF2 プロ ジェクトは国際協力で進められ,各デバイスは,前述の通 りさまざまな国の研究機関や大学が担当し,かつ,それぞ れの担当者はKEK
に常駐できるわけではない。そのため,海外の担当者がいなくても各デバイスを使用できるように 運転システムを構築することは,
ATF2
プロジェクトにとっ て非常に重要なことだった。2009
年の夏にIP-BSM
のレーザーを高出力レーザーに入 れ換えた。それに伴いIP-BSM
のコンプトン 線の信号レ ベルも上がった。この頃からIP-BSM
の低交差角(干渉縞 のピッチを大きくとる測定モード)でのビームサイズ測定 が出来るようになってきた。ビームサイズ測定の精度が上 がるのにあわせて,2010年の年末から仮想焦点でビームサ イズを設計値まで小さく絞りはじめた。そんな折の2011
年3
月11
日に東日本大震災が起こり,ATF
でも加速器の放射 線シールドがずれるなどの多大な被害を受けた。そのため2011
年中は震災からの復旧作業に明け暮れた。2012
年になると震災からの復旧作業も落ち着き,本格的 な仮想衝突点でのビーム収束実験を開始した。しかし,ビー ムは仮想衝突点で150 nm程度までしか絞れなかった。ATF2
ビームラインには,KEKBから借りたスキュー六極磁電磁 石が1台入っていた。そこで,このスキュー六極電磁石を 使ってATF2
ビームラインを通過する電子ビームを調べて みた。ATF2 ビームラインに入っている電磁石の多重極成 分はすべて磁場測定で測定されている。電磁石の磁場測定の値からの想定では,スキュー六極電磁石の強さの最適値 は2 A程度で,スキュー六極磁場によるビームサイズの寄
与は10-20 nm程度と考えられていた。しかし,測定された
スキュー六極磁場によるビームサイズの寄与は,予想より も遥かに大きかった(図
10)。このことは,ATF2
ビームラ インのどこかに想定よりも遥かに大きなスキュー六極磁場 の存在を示唆していた。本来ならば,この原因を探るべくビームライン上の電磁 石の磁場を再確認すべきだが,ATF2 ビームラインに入っ ている電磁石はいろいろな国の研究期間が担当していて,
KEK
にはすべての電磁石にあった磁場測定装置がなかった。そこで,シミュレーションを中心とした検討をすすめ,4 台のスキュー六極電磁石を使えば,ビームライン上のどこ かに強いスキュー六極磁場が存在していても,その誤差を 補正出来る許容値が大幅に広がることがわかった(図
11)。
さらに,
4
台のスキュー六極電磁石を使うことで,スキュー 六極磁場のエラーソースがどこにあるのかを調べることも 可能だとの考えにいたった。2012 年夏の運転停止期間にKEKB
から新たに3
台のスキュー六極電磁石を借り,ATF2
ビームラインに合計4
台のスキュー六極電磁石を入れて,2012
年秋からの運転に臨んだ。図10 2012年2月にスキュー六極電磁石の強さを変えたときの ATF2仮想焦点でのビームサイズの変化。図ではIP-BSMの系統 誤差がないと仮定したときのビームサイズを示した。実際のビー ムサイズは,この値以下になる。
図11 ATF2の各四極電磁石のスキュー六極電磁石磁場の許容値。
図にはビームライン上にまったくスキュー六極電磁石を置かなかっ た場合,1台のスキュー六極電磁石を使って補正をおこなう場合,
4台のスキュー六極電磁石を使って補正をおこなう場合を示した。
図 履
て き 9 し 測 大
ズ の 移
較 あ い レ 磁 使 の ポ 測 け れ え そ た れ
電 交 お る 下
図12 2012年 履歴とIP-BSMの
2012年12月 て仮想焦点での きはじめてIP
90 nm以下)で した。図12に 測定したモジュ 大きいほどビー ドで測定された ズ調整ではビー のピッチが大 移行していく。
2012年の運 較して,ビーム あるかを検討し いスキュー六極 レーションがよ 磁石の磁場を再 使える磁場測定 の短絡の有無に ポール1つ1つ 測定をした。コ けで短絡を調べ れば抵抗値だけ えて,LCR メ その結果,1台 たコイルの短絡 れなかった原因 予備の六極電 電磁石を,磁場 交換した。その おこなわずに,
ることができる 下までビームを
12月のIP-BSM の174度モード
の運転では,4 のビームサイズ
-BSMの最大交 の仮想衝突点 は2012年12 ュレーションの ームサイズは小 たモジュレー ームサイズを小 きいモードか
。図からはその 転終了後,実 ムライン上の した。その結果 極磁場がある よい一致を示 再確認すべきだ 定装置がなか に問題を絞り,
つに巻かれてい コイルの抵抗 べるのは難しい けでなくイン メータを使って
台の六極電磁石 絡がわかり,
因であると判明 電磁石がなか 場が弱いとこ の後は,スキ 常に仮想焦点 るようになり,
を絞ることが可
Mでのモジュレ でモジュレーシ
4台のスキュー ズの補正をお 交差角の174度
でのビームサ 月の最後の2 の大きさ(モ 小さい)の履 ションの例を示 小さくしてい ら小さなモー の様子がみて 験結果とシミ どこに強いス 果,ある1台 と考えると,
した。ここで だが,その電磁 った。そこで
六極電磁石の いるコイルの は小さいので い。そこで,
ダクタンスも て各コイルを調
石のポールの これが今まで 明した(図13 ったため,短絡 ろで使われて ュー六極電磁石 点で100 nm以
2013年4月 可能になった
ーションの大き ションを測定した
六極電磁石を こなった。こ 度モード(測定 イズの測定に 週間のIP-BSM ジュレーショ 履歴と,174度 示す。ビーム く過程で,干 ドの測定に徐 とれると思う。
ュレーション キュー六極磁 の六極電磁石 実験結果とシ も本来ならば 磁石に合った
,電磁石のコ のコイルを分解 アドミッタン
,抵抗値の違 コイルの短絡 変わるだろう 調べることにし
1つに巻かれ ビームを小さ
)。
絡がわかった いる六極電磁 石を使った補 下までビーム 月時点では65 n
(図14)。
きさの た例。
使っ のと 範囲 成功 Mで ンが モー サイ 渉縞 々に
。 を比 場が に強 ミュ ば,電 すぐ イル 解し,
スの いだ 絡があ と考 した。
れてい く絞
六極 石と 正を を絞 nm以
図1 使い ほか
図14 図で した
4
4.1
IL ばれ バン に5 のバ ける るこ のよ バン イダ い加 一 とき のビ 過ぎ 点で 子や 角も ある がミ の相 フィ3 SD4FFとい いおこなったコイ かのポールより有
4 2013年3月に ではIP-BSMが た。実際のビーム
仮想衝突点
ILC
のビ LCでは554 ns れる電子ビーム ンチ構造は先頭 554 nsの時間的 バンチの位置情 ることができる ことが超伝導技 ような特徴から ンチ間隔0.5 ns ダー計画に比べ 加速器となって 一般に,電子ビ き,2 つのビー ビームが作る電 ぎた後のビーム でビームを5.9 や陽電子ビーム も大きくなる。I ると,衝突点か ミクロンオーダ 相対位置を,ビ ィードバックでいう電磁石のコイ イル毎のアドミ 有意にアドミッタ
にATF2仮想衝突 完全であると仮 ムサイズは,この
点でのビー
ビーム軌道フ の時間間隔で ムを1つのRF 頭のバンチから 的なゆとりがあ 情報から次のバ る。このように 技術を使ったI ら,ILCはCom )[13]などの常伝 べて,衝突点で ている。
ビームと陽電子 ームの位置が違 電磁場で散乱さ ムの角度が変わ nmと非常に小 ムの密度が非常 ILCでは2つの から数m離れた
ダーで変わる。
ビーム同士の散 で揃えることを
イルを分解して,
ッタンス。5番 タンスが高かっ
突点で測定され 仮定したときのビ
の値以下になる
ーム位置調整
ィードバッ で並んだ1312個
Fパルスで加速 ら次のバンチが あるので,この バンチにフィー に長いバンチ間 ILCの特徴の
pact Linear Co 伝導技術を使 での位置を正確
子ビームが衝突 違うと,一方の される。その結 わる(図15)。
小さく絞るため 常に高くなり,
のビームのオフ たモニターでは
ILC では衝突 散乱の大きさを を考えている
,LCRメータを 目のポールだけ た。
れたビームサイズ ビームサイズを示
。
整
ク
個のバンチと呼 速する。ILCの が通過するまで の時間内に先頭 ードバックをか 間隔で加速出来 1つである。こ ollider (CLIC,
ったリニアコラ 確に制御しやす
突点で交差する のビームが他方 結果,衝突点を
。ILCでは衝突 め,衝突点で電 ビームの散乱 セットが数nm はビームの位置 突点でのビーム をモニターし,
(図16)。
を け,
ズ。
示
呼 の で 頭 か 来 こ
ラ す
る 方 を 突 電 乱 m 置 ム
図 で
4
る た ン の 用
を
v
下 ム 位 は
い に ム る チ の 速 点 い
フ
A
ム 衝 流図15 衝突点で ではビームのオ
図16 ILC
4.2
ATF
でATF2
ビー るだけでなく,ための研究もお ンでは
ILC
と違 のため,ILC 用した位置フィ ドバックは,同 を基準位置に揃versity(イギリ ATF2
仮想衝 下とILC
と同 ム散乱を利用で 位置モニターが はビーム散乱を ドバックの目標 い。それだけの に存在していな ムの位置測定の ることができる チを最大3個ま の位置フィー 速い応答時間が 点でのフィー いものになってATF2
ビーム フィードバックATF2
ビームラ ムの実証試験を 衝突点でビーム 流ではビームのでビーム同士が散 フセットがある
Cの衝突点での位
でのビーム軌 ムラインでは
仮想焦点で正 おこなってい
違い,ビーム とまったく同 ィードバックは 同一パルス内の 揃えるもので リス)を中心に 衝突点でのビー じ値において できるためミ があればよい。
を利用できない 標値である2 n の位置分解能が ない。
ATF2
で のハードルが非 るビームの構造 までしか作るこドバックは
IL
が要求される。ドバックは
IL
ていることが分 ムラインでは,ク技術を磨いて ラインの中流で をおこなった。
ムの位置を安定 の位置と角度の
散乱する様子を表 ると,ビームの角
位置フィードバ
軌道フィード
,仮想焦点で 正確にビーム る。しかし,A
は電子ビーム じ衝突点での はできない。A の
ATF2
仮想ある。この研 に進めている。
ーム位置の安定 いる。ILCで クロンオーダ
。一方,ATF いため,ビー nm以下で測定 がある位置モ では,フィード 非常に高い。ま
造は,バンチ ことが出来ない
C
で要求され。こう考える
C
のフィード 分かってもらえいくつかの段 ている。その最 でフィードバ
。セットアップ 定にするには の
2
つを安定表した模式図。
度が大きく変わ
ックの概念図。
ドバック ビームを小さ の位置を制御
ATF2
ビーム1
つしかない ビームの散乱ATF2
でのフ 焦点のビーム 究はOxford
。
定化目標は2 n は衝突点での ーの位置分解
2
ビームライ ムの位置もフ 定しなければな ニターは現在 バック以前の また,ATFで 間隔150 nsの い。そのため,A
る応答時間よ と,ATF2 仮 バックよりも えると思う。
階を踏みなが 最初の段階とし ックのアルゴ プを図
17
に示,ビームライ 化しなければ
ILC わる。
く絞 する ライ
。そ 乱を利 ィー 位置
Uni-
m以 ビー 能の ンで ィー らな 世界 ビー でつく バン
ATF2
りも 想焦 難しがら,
て,
リズ 示す。
ン中 ばなら
ない クが のフ こ する 隔に 1バ 位置 を表 た
2
クを この クな バッ こと 標に図1 表
4.3 A
位置 る。型ビ は
A
ため おり た[1実 ター して を
L
の運 焦点い。そのために が必要で,1つ フィードバック ここでは
ATF2
る[14]。フィー に3
つのバンチ バンチ目のビー 置にフィードバ 表2にまとめた
2
番目,3
番目 をかけることで の結果を仮想焦 なしでは仮想焦 ックをかけるこ とに相当する。に近い精度でビ
7 ATFビーム
表
2
ATFビーム ( )内は仮想衝Bunch #1 Bunch #2 Bunch #3
ビーム位
ATF2
の仮想焦 置分解能2 nm以ATF
では,こ ビーム位置モニATF2
ビームラ めのビーム位置 り,ATF2 の要16]。達成され
実際にATF2
ーはKyungpoo
ており,IP-BSM
LAL(フランス
運転停止期間に 点での直接的なには
2
つのキッ のキッカーで クより複雑なも2
ビームライン ドバックの試験 チが並ぶ構造の ームの情報から バックをかけた。フィードバッ のバンチの位 で,それぞれ0.4 焦点のジッター 焦点で約15 nm ことで,それぞ
このように
I
ビーム軌道を制ライン中流での
ライン中流での 衝突点の位置ジッ FB OFF
2.1 m (14.5 2.2 m (14.7 2.2 m (14.7
位置モニター 焦点での位置フ
以下のビーム位 この高い位置分 ニターの開発研
ライン中流にお 置モニターのプ 要求に近い3.6 れた位置分解能 仮想焦点に入
ok National Un M
と両立可能に ス)が製作して にATF2
仮想焦 なビーム位置制ッカーを使った フィードバッ ものが要求され
ンでの試験結果 験には前述のよ のビームを使っ ら
2
番目,3番 た。フィードバ ックをかけない置ジッターが 4 m,0.8 mま ーに換算すると
あったジッタ ぞれ2.6 nm,5
ILC
よりも複雑 制御できることの位置フィードバ
の位置フィードバ ッターへの換算値
F
5nm) 2.1
7 nm) 0.4 7 nm) 0.8
ーの開発 フィードバック
位置モニターが 分解能を実現す 研究もすすめて
おいて,仮想衝 プロトタイプの nmの位置分解 能は世界最高の
入れる空洞型ビ
niversity(韓国
に設計された真 ている。これ 焦点に設置して 制御をはじめるたフィードバッ クをかける
IL
れる。果を簡単に報告 ように150 ns間 った。そして,
番目のビームの バックの試験結 いと約2 mあっ
,フィードバ まで減少した。
と,フィードバ ーが,フィー 5.2 nmに減った 雑な条件で,目 とがわかった。
バックの概念図
バックの効果。
値を示した。
FB ON
m (14.5 nm) m (2.6 nm) m (5.2 nm)
クの研究には,
が要求されてい するための空洞 ている[15]。現在 衝突点に入れる の試験を進めて 解能が達成され の分解能である
ビーム位置モニ 国)が現在製作 真空チェンバー らは
2013
年夏 て,ATF2仮想 る予定である。ッ
C
告 間
の 結 っ ッ
。 ッ ド た 目
図。
い 洞 在 る て れ る。
ニ 作 ー 夏 想
5 まとめの前に…
高エネルギーニュースの記事ということで,単なる現状 報告だけでは面白くないので,ATF2 のビームサイズ調整 を通して感じた私の雑感を少し書かせてもらう。
ATF2
プロジェクトは国際協力のもとで進められている。このことは,人的,物的資源の立場から多くの利点がある ことは紛れもない事実だ。しかし,国際協力によるデメリッ トがないわけでもない。
今回のように電磁石の磁場が疑わしいと感じたとき,
KEK
内だけで進められている実験ならば,担当者とのコンタク トは容易なので,担当者をとおして電磁石を調べることも 簡単にできる。しかし,海外の研究所が担当しているデバ イスの場合,提示された測定データを信じるしかない。ま た,ATF2 プロジェクトでは,各デバイスをいろいろな国 の研究機関が担当しているといっても,すべてのデバイス がATF2
のために新たにつくられたものではなく,ほかの 加速器で使われていたものを転用したものも少なくない。そのため,運転当初からすでに経年劣化しているデバイス が含まれていてもおかしくない。
そのような状況下で電磁石の磁場に疑問が生じたとき,
磁場を再測定するには,新たに
KEK
内に磁場測定装置を 作るか,送り返して測定しなおす以外方法はない。どちら もコストがかかるので,実際には磁場測定をおこなった方 が早く正確に結論が出ると分かりながら,提示された測定 結果に疑問を抱きながらも,原因をビームに聞くしかない のである。考えてみれば,非常に非効率なことだ。とはいえ,暗中模索の中,できる限りビームの声に耳を 傾けながら原因を探る作業をしたことは,プロジェクトと しては非効率だったとは思うが,私個人としてはよい経験 を積ませてもらえたので,有意義な時間であった。
そして,実際に
ILC
ラボが出来た場合は,さまざまな国 からの出資にはなるが,母体はラボに集約されるので,お なじ国際協力とはいっても,状況はまったく違うというこ とは補足しておきたい。上で書いたことは,ATF2
プロジュ クトの国際協力の性質上起こる問題であって,国際協力全 般にあてはまる話ではない。また,私自身ATF2
プロジェ クトを違った国際協力の骨格で進めることが難しいことも 理解している。なので,ここで書いたことは単なる私の雑 感にすぎないとことだと受け止めてほしい。6 まとめ
ATF2
ビームラインは,ILC の最終収束光学系の試験施 設として,設計建設をとおして国際協力の枠組みで進めら れた。また,ATF2 におけるビーム試験に関しても,国際 協力でおこなっている。現在もILC
に興味をもつ国内外の 多くの研究者や学生とともに研究開発を進めている。ATF2
ビームラインはILC
とまったく同じLocal Chro- maticity Correction
の考え方で設計された光学系で,要求 される難しさやビーム調整方法もILC
とおなじである。こ れらのことからATF2
でのビーム試験はILC
の最終収束光 学系の実証試験といっても過言でない。ATF2
ビームラインでの研究テーマは,仮想衝突点でビー ムを小さく絞ること,および,仮想衝突点でビームの位置 ジッターを抑えることである。そして,ATF2 仮想衝突点 でのビーム収束試験の結果,ILC
で使う予定のLocal Chromaticity Correction
方式の最終収束光学系の原理実証 をすることができた。また,ビーム位置安定化についてはATF2
ビームライン中流でフィードバック回路の試験をお こなった。その結果,フィードバック回路はILCの焦点フィー
ドバックに充分使えるレベルのものだとわかった。今後はATF2
仮想焦点に高分解能のビーム位置モニターを設置し て,仮想衝突点でビームジッターをフィードバックで実際 に抑制できることを実証する予定である。謝辞
本稿を書くにあたり,ATFグループをはじめとする
ILC
関係者の方々には,たくさんの助言やアドバイスを頂きま した。この場を借りて深く感謝申し上げます。また,KEKB
の増澤美佳准教授には,スキュー六極電磁石を貸していた だき,かつ,磁場測定をはじめとする電磁石に関する様々 なアドバイスを頂きました。どうもありがとうございまし た。参考文献