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System Center 2012 R2 が変える これからのデータセ ンター & クラウド管理 Server and Cloud Platform

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System Center 2012 R2

が変える、これからのデータセ

ンター&クラウド管理

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System Center 2012 R2 が変える、これからのデータセ

ンター&クラウド管理

第 1 版 日本マイクロソフト株式会社 Published: 2014 年 2 月 20 日

概要

このドキュメントについて

System Center 2012 R2 は 8 つのコンポーネントから構成される 1 つの製品です。System Center 2012 R2 の能力を最大限に活かしていただくために、このドキュメントでは、企業の現在の、そしてこれ からの IT 基盤を管理する上で、System Center 2012 R2 をどのように有効に活用できるのかを、「仮想 化」「運用管理」「バックアップ」「ハイブリッド管理」の代表的な 4 つのシナリオに基づいて紹介します。

対象ユーザー

このガイドは、IT 基盤の設計、導入、運用を担当する IT 部門の管理者、担当者、および IT プロフェッ ショナルを対象としています。

このガイドで説明されていないもの

このドキュメントは、System Center 2012 R2 を用いたサーバーおよびクラウドの管理にフォーカスしま す 。 ク ライ ア ント 管 理お よ びセ キ ュリ テ ィに 関連 す る Configuration Manager お よ び Endpoint Protection については説明していません。また、System Center 2012 R2 の各コンポーネントや関連サ ービスの具体的なセットアップおよび利用手順についても説明していません。

著作権情報

このドキュメントは、 "現状のまま" 提供されます。このドキュメントに記載されている情報 (URL など のインターネット Web サイトに関する情報を含む) は、将来予告なしに変更することがあります。 このドキュメントは、Microsoft 製品の知的財産権に関する権利をお客様に許諾するものではありません。 お客様は、内部的な参照目的に限り、ドキュメントを複製して使用することができます。

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Microsoft、Active Directory、Hyper-V、SQL Server、Windows、Windows PowerShell、および Windows Server は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。 その他すべての商標は各社が所有しています。

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目次

概要 ... 1 はじめに ... 3 System Center 2012 R2 を構成する 8 つのコンポーネント ... 3 System Center 2012 R2 のライセンス体系 ... 4 System Center 2012 R2 の導入をお薦めする 4 つのシナリオ ... 6 シナリオ 1 ・・・ 仮想化基盤の管理の統合とシンプルな運用 ... 7 仮想化で生まれた新たな課題 ... 7 System Center 2012 R2 による解決 ... 8 シナリオ 2 ・・・ 運用管理の可視化と自動化 ... 14 複雑化するシステムの運用管理の課題 ... 14 System Center 2012 R2 による解決 ... 14 シナリオ 3 ・・・ データ保護と BCP/DR 対策 ... 20 バックアップの重要性とその課題 ... 20 System Center 2012 R2 による解決 ... 20 シナリオ 4 ・・・ 社内とパブリックのハイブリッド管理 ... 25 ハイブリッド環境の利用と管理の課題 ... 25 System Center 2012 R2 による解決 ... 26 まとめ ... 30 評価リソース ... 31 製品サイト ... 31

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はじめに

マイクロソフトは 1994 年リリースの Systems Management Server 1.0 (現在の Configuration Manager の前身) から始まり、IT 基盤の運用管理に関連する複数の製品を開発、提供してきました。各製 品は個別の製品として提供してきましたが、2012 年リリースの System Center 2012 において大きく生 まれ変わり、1 つの製品として統合されました。それまでの複数の管理製品は System Center のコンポ ーネントの 1 つという位置付けになっています。 最新の System Center 2012 R2 は 8 つのコンポーネントで構成されます。コンポーネントが多いこと に加えて、8 つのコンポーネントのそれぞれが多彩な機能を提供するため、自社の IT 基盤のどの部分にど のように使っていけばよいのか、分かり難いところもあるでしょう。System Center 2012 R2 のコンポー ネントは単体での利用はもちろんのこと、他のコンポーネントやクラウドのサービスを連携することで、さ らなる付加価値を提供します。

System Center 2012 R2 を構成する 8 つのコンポーネント

はじめに、System Center 2012 R2 を構成する 8 つのコンポーネントについて、その概要を説明します。 表 1 に示すように、主にクラウドとデータセンターの管理を行うための 6 つのコンポーネントと、システ ム (サーバー、クライアント PC、およびモバイル デバイス) の管理とセキュリティ対策のための 2 つの コンポーネントと大きく 2 つに分類されますが、後者のコンポーネントもクラウドとデータセンターの管 理に関係しないわけではありません。例えば、Configuration Manager はサーバーの構成管理や、プライ ベート クラウドの基盤のパッチ管理に使用できます。Endpoint Protection はクライアントだけでなく、 サーバーのマルウェア対策にも利用できます。 表 1: System Center 2012 R2 のコンポーネント 管理領域 コンポーネント 主な機能 クラウドとデータ センターの管理 Virtual Machine Manager 仮想化管理 Hyper-V、VMware、XenServer のマルチ ハイパーバイザーに加え、 ストレージやネットワークなど仮想化に関わる基盤全体を包括的に 管理。仮想マシンやサービスの自動プロビジョニングにも対応。 App Controller クラウドのセルフ ポータル

Virtual Machine Manager ベースのプライベート クラウド、サービ ス プロバイダーのクラウド、および Windows Azure に対応したハ イブリッドなセルフ サービス ポータルを提供。 Operations Manager 稼働監視 Windows、UNIX/Linux のエージェントによる監視に加えて、ネッ トワーク監視、.NET および Java アプリケーションの高度な監視 (旧 AVIcode)、クラウドと連携した監視に対応。管理パックの追加に

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- 4 - より、監視機能を拡張可能。 Data Protection Manager データ保護と回復 システム、アプリケーション、仮想マシンをディスクによる短期的な 保護とテープによる長期アーカイブで保護。セカンダリ サイトやク ラウド (Windows Azure Backup) を利用した BCP/DR 対策にも 対応。 Orchestrator プロセス統合 運用管理タスクを Runbook としてデザインし、プロセス統合と自動 化を実現。Integration Pack により、外部システムとの連携が容易。 Service Manager IT サービス管理 CMDB (構成管理データベース) を中心とした ITIL ベースのサービ ス管理基盤とセルフ サービス ポータルを提供。 システムの管理と セキュリティ Configuraion Manager システム構成管理 Windows クライアントおよびサーバーだけでなく、Unix/Linux や Mac にも対応した構成管理ツール。構成やアプリの配布、Windows の OS 展開やパッチ管理に対応。Windows Intune との統合が可能。 Endpoint Protection マルウェア対策 Windows、Linux、Mac に対応したマルウェア対策ソフトウェア。 Windows に関しては Configuration Manager による中央管理とリ モート操作が可能。

System Center 2012 R2 のライセンス体系

System Center 2012 以降、System Center のライセンス体系は大幅に変更になりました。以前の System Center 製品は、管理サーバー用のサーバー ライセンスと管理対象のオペレーティング システム 環境 (Operating System Environment: OSE) ごとに必要な管理ライセンス (Management License: ML) というライセンス体系でした。System Center 2012 からは、管理サーバー ソフトウェア用のライ センスというものは無くなり、管理対象の OSE がサーバーであるか、クライアントであるかに応じて、サ ーバー管理ライセンス (SML) またはクライアント管理ライセンス (CML) を購入する形になります。SML および CML には、管理サーバー ソフトウェアおよび管理サーバー ソフトウェアが使用する SQL Server Standard Edition ランタイムを実行する権利が含まれます。

サーバー管理ライセンス (SML) は Datacenter と Standard の 2 種類があり、OSE (物理または仮想) を実行する物理サーバーのプロセッサ数に応じて購入します (2 プロセッサごとに 1 ライセンス必要)。 Datacenter の SML は、ライセンスあたりの OSE 数が無制限であり、高密度に仮想化されたデータセン ターにおける仮想化されたサーバーの管理に適しています。一方、Standard の SML はライセンスあたり の OSE 数は 2 つまでで、仮想化していないサーバー、あるいは少数の仮想化されたサーバーを管理する

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のに適しています。どちらの SML も、System Center 2012 R2 のすべてのコンポーネントを使用して、 管理対象のサーバーを管理することができます。

なお、管理対象の OSE が Windows Azure またはその他のパブリック クラウド上に存在する場合、ソフ トウェア アシュアランスのライセンス モビリティ特典を用いて、どちらの SML でも、クラウド上の OSE にライセンスを適用することができます。その場合、Standard SML はライセンスあたりクラウド上の 2 つの仮想 OSE を、Datacenter SML はライセンスあたりクラウド上の 8 つの仮想 OSE を管理すること ができます。Windows Azure クラウド サービスに展開したアプリケーションも、Windows Azure 仮想 マシンに展開した仮想マシン インスタンスも、それぞれ 1 つの仮想 OSE とみなされます。 表 2: 管理対象サーバーに必要なサーバー管理ライセンス (SML) SML の種類 ライセンスあたりの管理対象 OSE 数 管理コンポーネント System Center 2012 R2 Datacenter 無制限 (高密度に仮想化されたデータセンター におけるサーバー管理向き)

 Virtrual Machine Manager  App Controller

 Operations Manager  Data Protection Manager  Orchestrator  Service Manager  Configuration Manager  Endpoint Protection System Center 2012 R2 Standard 2 (仮想化していないか、小規模に仮想化 されたサーバー管理向き) 管理対象の OSE がサーバー OSE でない場合は、クライアント管理ライセンス (CML) が必要です。CML は使用する管理コンポーネントに応じて 3 種類あり、 管理対象のデバイスまたはユーザーごとに購入しま す。Windows Server CAL や Exchange Server CAL などとセットになった Core CAL Suite または Enterprise CAL Suite を利用すると、ライセンスの種類とコストを抑えることができます。

表 3: 管理対象クライアントに必要なサーバー管理ライセンス (CML)

CML の種類 Core CAL Suite Enterprise CAL

Suite 管理コンポーネント

Configuration

Manager ク ラ イ ア ン ト ML

✔ ✔  Configuration Manager  Virtrual Machine Manager

Endpoint Protection

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- 6 - Client Management Suite ク ラ イ ア ン ト ML ✔  Service Manager  Operations Manager  Data Protection Manager  Orchestrator

System Center 2012 R2 の導入をお薦めする 4 つのシナリオ

サーバーおよびクラウドの管理のために System Center 2012 R2 を導入する場合、特定のコンポーネン トだけを使用することもできます。しかし、すべてのコンポーネントを利用してもライセンス コストは変 わりません。System Center 2012 R2 のコンポーネントは、相互に連携しあうことで、さらなる付加価値 を提供します。サーバーおよびクラウドの管理に System Center 2012 R2 を活用する方法について、次 の 4 つのシナリオで説明しましょう。  シナリオ 1 ・・・ 仮想化基盤の管理の統合とシンプルな運用 仮想化基盤は物理サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想マシン テンプレート、アプリケーショ ン パッケージなど、さまざまな要素で構成されます。仮想化を進めると生じるさまざまな管理上の課 題、他社ハイパーバイザーから Hyper-V に乗り換えたい、単なる仮想化からプライベート クラウド に進みたい。Virtual Machine Manager を導入することで、これらの課題を解決できます。  シナリオ 2 ・・・ 運用管理の可視化と自動化 システムごとに複数の管理ツールを使い分けていては管理が煩雑化します。日常的なオペレーションを 人に依存していたのでは、無駄に時間がかかる上、操作ミスが思わぬ事態を招くこともあるでしょう。 Operations Manager を使用すると、企業内の IT 基盤のすべてのレイヤーを、企業が利用するク ラウドも含めて一元的かつ詳細に監視できます。また、Orchestrator を使用すると、複数のシステ ムにまたがる運用管理タスクを標準化し、自動化することができます。  シナリオ 3 ・・・ データ保護と BCP/DR 対策 バックアップの重要性はいつの時代も変わりません。震災を経験した今、その重要性は以前にも増して 認識されるようになり、従来のバックアップに加えて BCP/DR 対策が求められるようになりました。 一方で、保護すべき電子データは年々蓄積され、個々のファイルの肥大化、仮想マシン ファイルの増 加も進みます。Data Protection Manager は、複数サーバーの効率的で確実なバックアップと復旧 を可能にします。Windows Azure 復旧サービスは、低コストな BCP/DR 対策を実現します。  シナリオ 4 ・・・ 社内とパブリックのハイブリッド管理

IT のトレンドは今、適材適所にパブリック クラウドを利用してコストを抑制する、ハイブリッド環境 へと向かっています。IT 部門の完全なコントロール下にあるオンプレミスのプライベート クラウドと、 サービスとして利用するパブリック クラウド、App Controller を使用するとエンド ユーザーはこれ らの違いを意識せずに、リソースを利用することができます。IT 部門は Operations Manager を 使用して、社内だけでなくクラウド上のサービスもリアルタイムで統合的に監視することができます。

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シナリオ 1 ・・・ 仮想化基盤の管理の統合とシンプルな運用

仮想化で生まれた新たな課題

Hyper-V などのハイパーバイザーに代表されるサーバー仮想化テクノロジは、複数のサーバーの役割を少 数の高性能なサーバー ハードウェア上に統合することで、IT 基盤のコストを削減する方法として広く受け 入れられるようになりました。仮想化によるサーバー統合は、データセンターへの高密度な集約によるコン ピューティング リソースの削減、設置スペースの削減、空調を含む消費電力の削減など、さまざまなコス ト削減効果をもたらします。また、老朽化した物理サーバーを P2V (物理-仮想) 変換で仮想化することで、 ハードウェアの寿命からソフトウェアのライフサイクルを切り離すことができます。さらには、サーバーを 仮想化することで、プロセッサやメモリ、ディスク リソースの増減や、サーバー数のスケールの増減で負 荷に応じて伸縮できるという、物理にはないメリットを得られます。 サーバー仮想化は、仮想化する前に企業が抱えていた、さまざまな課題を解決に導いてきました。しかし、 サーバー仮想化を進めていくと、物理サーバーが増加し、ストレージやネットワークの増強により、データ センター内の物理的な機器の関係は複雑化します。その上で稼働する仮想サーバー数は、物理環境とは関係 なく増え続けるでしょう。ハイパーバイザーが提供する標準の管理ツールだけでは、とても全体を管理しき れなくなります。ワークロードの過度な偏りによる負荷の不均衡やリソース不足、オペレーション ミスに よる稼働中の仮想サーバーの意図しない停止など、管理上のさまざまな問題が顕在化してくるはずです。

物理サーバーの P2V 移行は EOL (End of Life) 対策にはならない

Windows Server 2003 のすべての製品サポートが、2015 年 7 月 14 日 (米国時間) をもって終了 します。Windows Server 2003 の物理サーバーを Hyper-V 上に P2V 変換で移行することは可能 ですが、Windows Server 2003 を P2V 移行しても、サポート終了の問題を先に引き延ばせるわけ ではないことに留意してください。 P2V 移行のメリットは、ハードウェアとソフトウェアのライフサイクルを分離することにあります。 老朽化したハードウェアが動かなくなる前に、OS、アプリケーション、データを仮想環境に載せかえ ることで、ソフトウェアのライフサイクルが終了するまでシステムを継続利用することができます。 ハードウェアの寿命が近い、あるいは間もなくリース期限が切れるなど、物理サーバーのハードウェア があと 1 年もたないという場合でない限り、Windows Server 2003 を P2V 移行するメリットはあ りません。P2V に時間をかけるよりも、Windows Server 2003 が提供する役割を、後継の Windows Server バージョンやクラウド サービスに移行することを考えるべきです。

Hyper-V はハイパーバイザーとしては比較的後発のテクノロジであるため、早期にサーバー仮想化を進め てきた企業は、VMware を選択し、データセンターを構築、運用しているところも多いでしょう。VMware ESX/ESXi 4.x は、間もなく 2014 年 5 月 21 日にサポート (5 年間の General Support) の期限を迎 えます。それ以前のバージョンはすでにサポートが終了しています。次の仮想化基盤として、VMware の 後継バージョンへの移行でよいのか、今一度、検討してください。スケーラビリティやパフォーマンス、機

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能において、Hyper-V が VMware に遅れをとっているということはまったくありません。Hyper-V なら 最短でも製品リリース後 10 年間の長期サポートを得られますし、より少ないコストで同規模の仮想化基盤 を構築することができます。

参考情報

Hyper-V を選ぶ理由 - Windows Server 2012 Hyper-V の VMware vSphere 5.1 に対する競争上の 優位性 http://download.microsoft.com/download/B/F/4/BF474812-BE9E-41CE-9F5F-6C6E2F0B5B22/Com petitive_Advantages_of_Windows_Server_2012_Hyper-V_over_VMware_vSphere_5.1_ja.pdf マイクロソフトと VMware の比較 (英語) http://www.whymicrosoft.com/Pages/vmware.aspx

System Center 2012 R2 による解決

System Center 2012 R2 には、仮想化管理に特化した管理ツール Virtual Machine Manager があります。 Virtual Machine Manager は単に Hyper-V を管理するためのものではありません。仮想化基盤を構成す る、複数のハイパーバイザー、物理サーバー、ストレージ装置、ネットワーク、ファイル リソース (仮想 ハード ディスク、ISO イメージ、スクリプトなど) を単一のコンソールから統合的に管理できるようにす る、いわばプライベート クラウドの構築および管理ツールです。

図 1: Virtual Machine Manager によるプライベート クラウドの管理。System Center 2012 R2 の他の コンポーネントとも相互に連携する

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仮想化リソースのプール化と最適化

Virtual Machine Manager は、仮想化基盤を構成する要素を “ファブリック” として一元的に管理します。 ファブリックには、ハイパーバイザーを実行する仮想化ホスト、更新管理用のサーバー、ファイル リソー スを格納するライブラリ サーバーなどの「サーバー」ファブリック、論理ネットワークや IP/MAC アドレ ス プール、仮想スイッチ、TOR (Top of Rack) スイッチ、ロード バランサー、ゲートウェイなどで構成 される「ネットワーク」ファブリック、およびストレージをまとめた「記憶域」ファブリックの 3 つがあ ります。Virtual Machine Manager はこの 3 つのファブリックで仮想化関連リソースをプール化します。 例えば、「記憶域」ファブリックでは、ストレージ管理の業界標準である SMI-S (Storage Management Initiative - Specification) に対応した SAN や、Windows Server ベースのファイル サーバーおよび iSCSI ターゲット サーバーを管理でき、どれも Virtual Machine Manager の管理コンソールからプロビ ジョニングできます。

ファブリックとしてリソース プール化されたこの環境に仮想マシンを展開する際には、物理サーバーやス トレージの配置、ネットワークのトポロジなどを意識する必要がありません。このように、パブリック ク ラウドの技術を取り入れた仮想化基盤、それが Virtual Machine Manager が実現するプライベート クラ ウドであり、単に仮想化しただけの仮想化基盤と差別化されるポイントです。

画面 1: 物理サーバー、ネットワーク、記憶域をファブリックとしてプール化して一元管理

Virtual Machine Manager を使用すると、仮想化基盤全体を俯瞰でき、現在、どの仮想化ホストにどれだ けの仮想マシンが展開済みとなっていて、各仮想マシンの稼働状態がどうなっているのかを容易に把握でき ます。複数の仮想化ホストがある場合、特定の仮想化ホストに過度に負荷が集中して、他がアイドル状態と いう非効率的な状態は避けたいでしょう。Virtual Machine Manager の「動的最適化」機能を利用すると、 現在の負荷状況に基づいて、仮想化ホスト間で負荷を平準化するように、ライブ マイグレーションで仮想 マシンを自動的に再配置します。また、「電力の最適化」機能を利用すると、負荷の低い時間帯に不要な仮 想化ホストをシャットダウンし、再び必要となったときに電源をオンすることで、消費電力を抑制します。

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画面 2: 動的最適化と電力の最適化により、負荷分散の改善と消費電力の削減を実現

物理サーバーのパッチ管理

Virtual Machine Manager は、サーバー ファブリックに対するパッチ管理機能を提供します。この機能は、 Windows Server Update Services (WSUS) と連携して動作するもので、事前に用意したパッチのリスト に基づいて対象のサーバーをスキャンし、パッチが適用されていない場合は、適用を開始させることができ ます。パッチの対象が仮想マシンを実行中の仮想化ホストの場合で再起動が要求される場合は、対象の仮想 化ホストをメンテナンス モードに移行することで、実行中の仮想マシンをライブ マイグレーションで他の ホストに退避し、さらに新規の仮想マシンの展開を受け付けない状態にすることが可能です。これにより、 仮想化基盤全体の可用性を維持しながら、物理サーバーをメンテナンスできます。 画面 3: 仮想化基盤を構成する物理サーバー (サーバー ファブリック) のパッチ管理

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仮想マシンとサービスの自動プロビジョニング

Virtual Machine Manager のライブラリには、仮想マシンやサービスの展開に使用する、仮想ハード ディ スクや ISO イメージ、応答ファイル (unattend.xml)、スクリプト、アプリケーション パッケージなどの ファイル リソースを格納します。OS イメージを含む仮想ハード ディスクから仮想マシン テンプレート を作成し、ライブラリに格納できます。Virtual Machine Manager は、Windows と Linux の仮想マシン テンプレートをサポートします。 Windows の仮想マシン テンプレートは、システム準備ツール (Sysprep.exe) を実行して一般化した Windows のインストール イメージを含む仮想ハード ディスクから作成できます。テンプレートには、仮 想マシンのハードウェア構成や、ゲスト OS のセットアップ情報を含めることができます。この仮想マシ ン テンプレートを使用すると、コンピューター名や管理者パスワードなど、最小限の情報を与えるだけで、 仮想マシンをすばやく作成し、ゲスト OS を自動プロビジョニングできます。IP アドレス プールから固 定の IP アドレスを割り当て、ゲスト OS のネットワークに設定することも可能です。Linux の仮想マシ ン テンプレートは、Virtual Machine Manager が提供する Linux 専用のエージェントをインストールし た、Linux のインストール イメージを含む仮想ハード ディスクから作成できます。このテンプレートから の仮想マシンの作成では、ホスト名、root パスワード、SSH キー、IP アドレスの固定割り当てが可能で す。 また、サービス テンプレートを使用すると、Web フロントエンド、ミドルウェア、SQL Server データベ ースで構成される 3 階層アプリケーションを、複数の仮想マシンに分散配置して自動展開できます。この サービス展開では、Windows Server の役割や機能のインストールやアプリケーションのインストール、 データベースの作成、ロード バランサーの構成までを自動プロビジョニングでき、展開後もスケールアウ トやスケール インが可能です。さらには、物理サーバーである Hyper-V 仮想化ホストやクラスター、フ ァイル サーバーのベアメタル展開にも対応し、仮想化基盤の規模の拡張も半自動化できます。

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混在環境の統合管理と Hyper-V への移行支援

Virtual Machine Manager は、Windows Server 2008 R2 SP1 以降の Hyper-V に加えて、VMware お よび XenServer ハイパーバイザーの管理に対応しています。

 VMware ESXi 4.1、5.0、5.1  VMware ESX 4.1

 Citrix XenServer 6.0、6.1

Virtual Machine Manager を使用すると、それぞれの管理ツールや管理システムを開くことなく、混在す る仮想化基盤を、1 つの管理コンソールから一元的に管理できます。ハイパーバイザーのテクノロジの違い は Virtual Machine Manager が吸収するため、同じ操作で複数のハイパーバイザーを管理できます。 Virtual Machine Manager の管理対象としてこれらの仮想化ホストを追加すると、単一の管理コンソール からこれらの仮想化ホスト上に、同様の操作で仮想マシンを新規に展開したり、仮想マシンの構成を編集し たり、仮想マシンの実行を制御したり、ライブ マイグレーションで再配置したりできます。VMware に関 しては、V2V (仮想-仮想) 変換機能を搭載しており、VMware 仮想化ホストから Hyper-V 仮想化ホスト に仮想マシンを移動するという操作で V2V 変換による移行が可能です。ライブラリに格納した VMware 仮想マシンをファイル ベースで Hyper-V 仮想マシンに V2V 変換することもできます。

なお、VMware 仮想化ホストを管理するには、VMware vCenter Server 4.1、5.0、または 5.1 の管理サ ーバーが必要になります。Virtual Machine Manager は vCenter Server の管理インターフェイスを介し て VMware 仮想化ホストと対話します。XenServer 仮想化ホストは、XenServer 側に Citrix XenServer - System Center Integration Pack (XenServer のダウンロード サイトから入手可) をインストールする ことで、Virtual Machine Manager から直接管理できます。

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Virtual Machine Manager は仮想化管理環境の一部

Virtual Machine Manager は、System Center 2012 R2 の他のコンポーネントと組み合わせることで、 さらに管理基盤を強化できます。

 Operations Manager ・・・ Virtual Machine Manager は Operations Manager との統合構成が可 能です。統合構成にすると、Operations Manager を使用してプライベート クラウドの正常性と可用 性、アラート、パフォーマンスを監視できるほか、ビジュアルなダイアグラム ビュー、レポート機能、 メンテナンス モードの連携、パフォーマンス計測データに基づいた「パフォーマンスとリソースの最 適化 (Performance and Resource Optimization: PRO)」機能が利用可能になります。

 Data Protection Manager ・・・ Data Protection Manager は、Hyper-V の仮想化ホストおよび仮 想マシンのバックアップと回復に対応します。Windows および Linux 仮想マシンのライブ バックア ップが可能です。

 App Controller ・・・ Virtual Machine Manager で管理されるプライベート クラウドのセルフ サー ビス ポータルとして機能します。

 Orchestrator ・・・ 仮想マシンの作成や開始などのタスクを自動化し、他の管理タスクの一部に組み 込むことができます。Orchestrator の Service Provider Foundation (SPF) を使用すると、Virtual Machine Manager のプライベート クラウドを対象とした独自のサービス管理ポータルを作成できま す。

Windows Azure Pack のご紹介

Windows Azure Pack は、Windows Azure と一貫性のあるサービスと管理ポータルを System Center 2012 R2 および Windows Server 2012 R2 でオンプレミスに構築できるツール キットで す。Windows Azure Pack を利用すると、Web ホスティング、データベース ホスティング、および IaaS の仮想マシンをセルフ サービスで提供するポータルを導入できます。Windows Azure Pack は IaaS で使用する Virtual Machine Manager との接続部分に Orchestrator の Service Provider Foundation (SPF) を利用しています。

Windows Azure Pack のダウンロード

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シナリオ 2 ・・・ 運用管理の可視化と自動化

複雑化するシステムの運用管理の課題

長く運用しているシステムは、幾たびの変更を繰り返し、全体の把握が難しくなります。障害が発生しても、 その場所や日時、原因、影響範囲を追跡するのには時間がかかるようになります。特に、データセンターに 次々に集約し、無計画に密度を高めてきたとなると、物理環境は混沌とし、その上で稼働する仮想環境は目 に見えない分、さらに把握するのが難しくなるでしょう。最近では、パブリック クラウドという新しい管 理対象についても考慮しなければならなくなりました。 企業の IT は、さまざまなシステムの組み合わせで成り立っています。通常、それぞれのシステムが個別に 管理ツールを持ちます。このこともまた、管理を複雑にする大きな要素です。管理を統合したくても、これ までの管理ツールを使わざるを得ない状況はよくあります。あるいは、あるシステムの管理をアウトソース に任せている場合、その部分だけブラックボックスなってしまい、手を出せないということもあります。 管理が複雑になればなるほど、IT 部門の効率は低下します。人に依存したオペレーションが多ければ多い ほど、時間がかかり、人的なミスが発生する機会も増えます。安定稼働は IT 部門の使命ですが、IT サー ビスの品質を向上することも重要です。日々の対応に追われてばかりでは、品質がおろそかになります。

System Center 2012 R2 による解決

複雑に絡み合う現実の IT 環境を適切に監視し、問題に迅速または事前に対処するには、全体を俯瞰できる 監視ツールが必要です。人的なオペレーション ミスの排除には、タスクの標準化と自動化が有効です。 System Cetner 2012 R2 では、Operations Manager と Orchestrator がこれらの役割を担います。

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マルチ OS 環境をハードウェアからアプリまでトータルに監視

Operations Manager には、Windows コンピューター、UNIX/Linux コンピューター、およびネットワ ーク機器を管理対象として追加できます。 Operations Manager は主要な種類およびバージョンの UNIX/Linux に標準で対応しており、Windows コンピューターと同様、エージェントを使用して管理しま す。エージェントの展開もまた、Windows コンピューターと同様に、Operations Manager の管理コンソ ール側からプッシュ インストールで自動展開することができます。エージェントを展開するために、 UNIX/Linux の専門的な知識は必要としません。

ネットワーク機器については、簡易ネットワーク管理プロトコル (Simple Network Management Protocol: SNMP) 対応のスイッチやルーターを検出して監視することができ、ネットワーク情報やトラフ ィック統計データをポート単位で監視することができます。また、Operations Manager が備えるネット ワーク近傍ダッシュボード (Network Vicinity Dashboard) を使用すると、ネットワークの論理的なトポ ロジやデバイス間の接続状況、ヘルス状態を視覚的に確認できます。 Operations Manager は、個々のコンピューターやネットワーク機器を個別に監視するだけでなく、下位 層のハードウェアや OS から、上位層のミドルウェアやアプリケーションまでを、コンポーネント間の依 存関係を把握しながら可用性やアラート、パフォーマンスを統合的に監視できるのが特長です。管理者は管 理対象のコンピューターやネットワーク機器を追加するだけでよく、どのようなコンポーネントやアプリケ ーションが稼働しているかは、後述する管理パックによって自動検出され、定義済みのルールやしきい値に 基づいて対象に適した監視が開始されます。 画面 6: UNIX/Linux についても、Windows と同じようにエージェントをプッシュ インストールして管 理対象にできる

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プライベート クラウドの可視化

Operations Manager と Virtual Machine Manager を統合構成にすると、Operations Manager の管理 コンソールを使用して、プライベート クラウドの正常性、可用性、アラート、パフォーマンスをほぼリア ルタイムに監視できます。クラウドおよびファブリックの正常性ダッシュボードを使用すると、プライベー ト クラウドとその基盤の正常性をすばやく把握できます。ダイアグラム ビューでは、プライベート クラ ウドの物理と仮想の関係を論理的に視覚化したビューで、各コンポーネントの状態と影響範囲を把握するこ とが可能です。 画面 7: 正常性ダッシュボードとダイアグラム ビューで、プライベート クラウド全体を監視

開発者のナレッジ (管理パック) に基づいたアラート監視

システムに重大な障害が発生したら、当然のことながら、すぐに何らかの対応をしなければいけません。し かし、適切な監視を続けていれば、その予兆をとらえ、重大な障害の発生に至る前に事前に対処できる場合 があります。Windows であれば、イベント ログを確認することで、システムの異常を察知できる場合が ありますし、障害の原因の究明にも役立つことがあります。また、パフォーマンス モニターでパフォーマ ンス データを取得すれば、パフォーマンスの問題を調査できるでしょう。しかし、これらの方法は、平常 時の状態を知っていなければ役に立たない場合があります。ましてや、ログに記録されるメッセージの意味 を理解するには、多くの知識と長年の経験が要求されます。

Operations Manager の監視機能は、さまざまな管理パック (Management Pack または Monitoring Pack) をインポートすることで拡張できます。管理パックは、製品やテクノロジ、サービスごとに提供され るもので、その中には、開発者サイドが作成した製品ナレッジ (問題の原因と解決策) や、異常状態を適切 に判断するしきい値が設定済みの監視ルールが含まれます。通常、管理パックを導入後にしきい値の調整は 必要ありません。マイクロソフトからは広範囲のマイクロソフト製品やテクノロジに対応した管理パックが 提供されます。主要なサーバー ハードウェア ベンダーは、BMC (ベース ボード管理コントローラー) が 提供するハードウェア イベントの監視や、電源ファン、無停電電源装置 (UPS) といったコンポーネント

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- 17 - の監視を行う管理パックを提供しています。

画面 8: アラートに関連付けられた製品ナレッジを参照して、原因と解決策を調べる

参考情報

Operations Manager の管理パックは、Operations Manager の管理コンソールから参照可能なオンラ イン カタログ、Microsoft ダウンロード センター、および管理パックの開発元から入手できます。マイ クロソフトが提供する管理パックについては、以下の WiKi サイトに最新のリリース情報がまとめられて います。

WiKi > TechNet Articles > Microsoft Management Packs http://social.technet.microsoft.com/wiki/contents/articles/16174.microsoft-management-pack s.aspx

.NET および Java アプリケーションをコード レベルで監視

管理者は、特定のアプリケーションやサービス、プロセス、ネットワーク ポートの正常性や可用性、パフ ォーマンス問題を監視するために、独自の監視シナリオを作成できます。複数の監視用のテンプレートが用 意されているため、最小限のデータを与えるだけで、特別な知識が無くても監視シナリオを実装できるのが 特徴です。

テ ン プ レ ー ト に あ る .NET ア プ リ ケ ー シ ョ ン パ フ ォ ー マ ン ス の 監 視 (.NET APM) お よ び JEE Application Performance Monitoring (Java APM) は、以前は AVICode と呼ばれていた製品の機能を組 み込んだもので、アプリケーションのパフォーマンス問題をプログラム コードのレベルまでドリルダウン して追跡できます。Java APM は、Windows 上の Tomcat だけでなく、Linux 上の Tomcat でホストさ れる Java アプリケーションも監視できます。

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画面 9: .NET APM および Java APM は、アプリケーションのパフォーマンス問題をコード レベルで追跡 できる

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Java APM を利用するには、以下の管理パックをインポートする必要があります。

System Center 2012 Management Pack for Java Application Performance Monitoring http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=39709

Orchestrator による自動化とプロセス統合

IT 部門が日常的に人的に行っている管理タスクを一部でも自動化できれば、省力化できた時間を IT サー ビスの品質向上に向けることができます。自動化は標準化でもあり、人的なオペレーション ミスを取り除 くことができるため、それだけでも IT サービスの品質向上につながるでしょう。自動化というとカスタム スクリプトを記述しなければならないというイメージがあるかもしれません。また、いざ自動化しようと思 っても、自動化に利用できるインターフェイスが目的のシステムに用意されているとは限りません。 Orchestrator は、繰り返し実行するタスクを自動化したり、異なるシステム間を橋渡しして連携したりす るのに非常に強力なツールです。Orchestrator は、Runbook Designer というデザイン ツールを使用し て、Visio を操作するようにアクティビティのアイコンの配置と矢印で複雑なタスクの流れをデザインして いくことができます。コードを記述することなく、各要素のプロパティを設定するだけで、エラー処理や条 件分岐など複雑なロジックを簡単に組み込むことができます。作成した Runbook (作業指示書) は、テス ト実行後に Management Server にチェックインすることで、Runbook Server 上で実行可能状態になり、 RSET ベースの Orchestrator Web Service を介して呼び出すことができます。

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Orchestrator で使用可能なアクティビティは、統合パック (Integration Pack) として追加することがで きます。現在、System Center 2012 R2 の各コンポーネントに接続する統合パック、Active Directory に 接続する統合パック、オンプレミスと Office 365 の Exchange および SharePoint に接続する統合パッ ク、Windows Azure のクラウドに接続する統合パック、および他社運用管理ツールや VMware 仮想化基 盤に接続する統合パックが利用可能です。例えば、Operations Manager の特定のアラートの発生をトリ ガーとして、メンテナンス タスクを自動実行し、アラートの状態を解決済みに更新するといった一連のタ スクを自動化できます。あるいは、新入社員のデータが記述された CSV を読み込んで、Active Directory に ID を作成し、Exchange にメールボックスを作成して、さらには VDI の個人用仮想デスクトップを Hyper-V 上に作成するといった、多数のシステムにまたがる管理タスクを 1 つの Runbook として標準 化できます。

画面 10: Runbook Designer による Runbook の作成

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Orchestrator の統合パックは、Microsoft ダウンロード センター、および統合パックの開発元から入 手できます。マイクロソフトが提供する統合パックについては、以下の URL からダウンロードできま す。

System Center 2012 R2 - Orchestrator Component Add-ons and Extensions http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=39622

Integration Packs for System Center 2012 - Orchestrator

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シナリオ 3 ・・・ データ保護と BCP/DR 対策

バックアップの重要性とその課題

企業が保存しなければならない電子データの量は、年々蓄積され、ストレージ装置の容量を圧迫しています。 電子データの量の増加スピードは、ファイル総数の増加だけでなく、ファイルの種類の多様化や、個々のフ ァイルの肥大化、仮想化の普及による巨大な仮想ハード ディスクの増加などで、拍車がかかっています。 データ量の増加は、ほぼそのままバックアップするべき対象の増加につながります。バックアップの対象は データだけではありません。障害から迅速にシステムを復旧するには、システム イメージのバックアップ が必要です。バックアップの対象が増えると、バックアップにかかる時間と領域が増えます。世代管理を考 慮すると、バックアップを格納するためのコスト (ディスクやテープ装置) は、バックアップ対象の増加よ りも急速に増大します。さらに、業務継続のために必要なデータ、企業内の機密データや顧客データ、法的 に長期間、確実に保存しなければならないデータについては、地理的に離れたオフ サイトへのバックアッ プの複製により、二重、三重に保護することが求められます。特に、震災を経て以降は、BCP (事業継続性 計画) や DR (災害対策) の観点から、バックアップの重要性が再認識されました。しかし、自社でオフ サ イトのソリューションを展開するには、通常、大きな投資が必要になります。

System Center 2012 R2 による解決

Windows Server は標準のバックアップ ツールとして Windows Server Backup を備えており、ベアメ タル回復が可能なバックアップから、Hyper-V 仮想マシンのオンライン バックアップまで対応できます。 しかし、この標準ツールでは、企業の IT 環境全体のバックアップの課題に応えることはできません。 System Center 2012 R2 の Data Protection Manager のような統合的なツールが必要不可欠です。

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保護グループによる複数ターゲットの同時バックアップ

Data Protection Manager は、Windows のサーバーおよびクライアントのシステム、ファイル サーバー の共有、マイクロソフト サーバー ソフトウェア (SQL Server 、Exchange、SharePoint) のデータ、 Hyper-V 仮想マシンの保護に対応したバックアップおよび回復ツールです。

Data Protection Manager は、保護グループという単位でデータ ソースをバックアップします。1 つの保 護グループに、複数のコンピューターの複数のデータ ソースを含め、同時に保護することが可能です。Data Protection Manager によるバックアップは、DPM サーバーのバックアップ用ディスクにデータ ソースの レプリカを作成し、継続的に同期が行われます。増分バックアップに対応するデータ ソース (VSS 対応ア プリケーション) の場合は、最短 15 分からの短いサイクルで同期が行われます。それ以外のデータ ソー ス (システム状態など) は、スケジュールに従った完全バックアップで同期が行われます。

ディスクを使用したバックアップは、主に短期的な保護を目的としたものです。Data Protection Manager は、Windows 単一インスタンス ストア (SIS) を利用して、ファイルの重複を取り除き、バックアップ デ ィスクの領域を効率的に使用してバックアップ データを格納します。DPM サーバーでテープ装置を利用で きる場合は、ディスクへのバックアップから作成した回復ポイントをテープ メディアに保存して、ディス クによる保護とは異なる保管計画で長期アーカイブ用に保存することが可能です。また、オフ サイトに設 置した別の DPM サーバーにバックアップのレプリカを作成、同期する DR 構成が可能です。 画面 11: 保護グループには、複数のコンピューターの複数のデータ ソースを含めることができる

Windows Azure Backup との統合でオンライン保護に対応

Data Protection Manager は、2013 年 10 月から正式なサービスを開始している Windows Azure 復 旧サービスの Windows Azure Backup と統合可能です。Windows Azure Backup は、クラウドのスト レージをバックアップ領域として Windows Server のファイルとフォルダーを保護するサービスです。ク ラウドをバックアップのオフ サイトとして利用できるため、自社設備で行うよりも、簡単かつ低コストで

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- 22 - バックアップの DR 対策を講じることができます。

Data Protection Manager の DPM サーバーに Windows Azure Backup エージェントを導入し、 Windows Azure Backup にサーバーを登録すると、保護グループの設定でオンライン保護のオプションが 利用可能になります。オンライン保護を有効にすると、保護グループの対象になっているデータ ソースの すべてまたは一部を、ディスクへの保護とは別の保管計画およびスケジュールに従ってクラウドにバックア ップできます。なお、Windows Server から Windows Azure Backup へのバックアップでは、保護対象 はファイルとフォルダーに制限されますが、Data Protection Manager との統合ではファイルとフォルダ ーに加えて、Hyper-V 仮想マシンや SQL Server の保護にも利用できます。

クラウドへのバックアップは、Windows Azure Backup へのサーバー登録時に設定した 16 字以上のパス フレーズ (既定は 36 字) で暗号化された上で転送、保存されます。パスフレーズがクラウド側に送信され ることはないため、バックアップ データはクラウド事業者でさえ解読することはできません。

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画面 13: ファイルとフォルダー、SQL Server データベース、Hyper-V 仮想マシンをクラウドにバックア ップできる

参考情報

Windows Azure Backup 評価ガイド

http://download.microsoft.com/download/E/0/E/E0ECB5FE-CB1C-410A-BB30-EAB8CCDFCE42 /Windows_azure_backup_guide.pdf

プライベート クラウドを第 2 のデータセンターにレプリケーション

Hyper-V で仮想化を進めると、従来型のバックアップとは異なる方法で、BCP/DR 対策を実装できるよう になります。Windows Server 2012 Hyper-V から利用可能になった Hyper-V レプリカによる、仮想マ シンのバックアップです。Hyper-V レプリカは、仮想マシンのレプリカを別の Hyper-V 仮想化ホストに 作成し、短い間隔 (既定は 5 分) で同期します。元の仮想マシンが利用できない場合、仮想マシンのレプ リカにフェールオーバーして、仮想マシンのサービスを短時間で復旧することができます。

この Hyper-V レプリカのソリューションをプライベート クラウド単位で実装できるのが、Windows Azure 復旧サービスのもう 1 つのサービス、Windows Azure Hyper-V Recovery Manager です。 Windows Azure Hyper-V Recovery Manager を利用すると、データセンター内のプライベート クラウド のサービスを、第 2 のデータセンターで待機用にバックアップすることが可能です。

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図 4: Windows Azure Hyper-V Recovery Manager によるサイト間レプリケーションの構成と監視 Windows Azure Hyper-V Recovery Manager は、Virtual Machine Manager で管理されている 2 拠点 のプライベート クラウド間で 1 台以上の仮想マシンのレプリケーションを構成します。クラウド側にある Windows Azure Hyper-V Recovery Manager の役割は各サイトの正常性を監視することにあります。プ ライマリ サイトが電源障害などで不通となった場合、管理者はあらかじめ作成しておいた復旧計画に基づ いて、バックアップ用のプライベート クラウドにフェールオーバーし、レプリカ仮想マシンを開始してプ ライベート クラウドのサービスを復旧できます。サイト全体のメンテナンス作業のために、計画的にフェ ールオーバーを実施することもできます。

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画面 15: Virtual Machine Manager で仮想マシンごとにレプリケーションを有効にする

画面 16: 復旧計画では、仮想マシンの開始順序やカスタム スクリプトの実行を構成できる

シナリオ 4 ・・・ 社内とパブリックのハイブリッド管理

ハイブリッド環境の利用と管理の課題

Windows Server 2003 ベースのレガシ システムを新しいものにリプレースする場合、あるいは新規にシ ステムを構築する場合、これからの時代はパブリック クラウドの利用が視野に入るでしょう。もちろん、 企業の IT の基盤サービスのすべてをクラウドへ移行しようというのではありません。システム要件や法的

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要件によっては、パブリック クラウドがまったく適さないものもあります。ワークロードごとに、パブリ ック クラウドを選択的に利用するのが今後の主流になります。例えば、Web サイトや開発環境はパブリッ ク クラウドの PaaS や IaaS を、メールやコラボレーションは SaaS を利用して、基幹業務システムは オンプレミスで運用するといった具合です。Azure 日本データセンターの開設により、パブリック クラウ ドの利用はこれまで以上に現実味のある選択になりました。 オンプレミスとパブリック クラウドの両方を利用するハイブリッド環境では、サービスの提供元が複数存 在することが、サービス利用や管理の面で問題になることがあります。例えば、現場サイドで勝手にパブリ ック クラウドを契約、利用されるような状況は、ガバナンスを低下させるだけでなく、同種の契約の重複 などで無駄なコストを発生させます。パブリック クラウドの可用性や運用はサービスに含まれているため、 IT 部門の手の及ぶところではありません。しかし、パブリック クラウドのサービス ダウンについてもク レームは IT 部門に集中することになります。

System Center 2012 R2 による解決

System Center 2012 R2 では、今後主流となるハイブリッド環境を見据えた設計がなされています。その 中から 2 つ、App Controller と Operations Manager のハイブリット環境対応を紹介します。

図 5: App Controller によるポータルの 1 本化と Operations Manager による監視の 1 本化

ハイブリッド クラウド対応のシングル ポータル

App Controller は、Virtual Machine Manager のプライベート クラウド、サービス プロバイダーのクラ ウド、および Windows Azure のパブリック クラウドの 3 種のクラウドに対応した、ハイブリッドなセ ルフ サービス ポータルです。

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- 27 - 部門が準備したサービスや仮想マシンのテンプレートや、開発者が準備したアプリケーション パッケージ を使用して、プライベート クラウド、サービス プロバイダーのクラウド、あるいは Windows Azure 上 にセルフ サービスでインスタンスを展開し、稼働管理を行うことができます。IT 部門はプライベート ク ラウドの物理環境や Windows Azure サブスクリプション契約情報を隠しながら、アプリケーションや仮 想マシンのオーナーに対してクラウドの利用を公開できるというメリットがあります。 画面 17: App Controller を使用すると、単一のポータルから、プライベートまたはパブリック クラウド に仮想マシン インスタンスを展開して実行できる

Virtual Machine Manager のプライベート クラウドと、Windows Azure の IaaS は、Hyper-V という 共通のテクノロジに基づいているため、仮想マシンのイメージは互換性があります。App Controller を使 用すると、GUI 操作で仮想ハード ディスク (VHD) を Windows Azure にアップロードして、Windows Azure 上に仮想マシンを展開できます。あるいは Windows Azure で作成した仮想マシン インスタンス のイメージをダウンロードして、プライベート クラウド上で実行することもできます。

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画面 18: 仮想ハード ディスク (VHD) のアップロードやダウンロードも GUI で簡単操作

ハイブリッド クラウドのリアルタイム監視

パブリック クラウドは SLA に基づいた高い可用性を提供しますが、パブリック クラウドのサービスはま ったく正常でも、利用者側のインターネット接続に異常があればサービスは利用できません。問題に気が付 いてからクラウド事業者が提供するサービスのステータス情報 (Windows Azure であれば Windows Azure サービス ダッシュボード: http://www.windowsazure.com/ja-jp/support/service-dashboard/) を確認するのでは対応が後手に 回ります。また、IaaS を利用する場合、クラウドの事業者が提供する可用性は、仮想マシンの内部で動作 するゲスト OS の障害やアプリケーションの障害、パフォーマンスの障害にまでは及びません。ゲスト OS とその上で稼働するアプリケーションの管理と監視は、サービスの利用者側が自身で行う必要があります。 Operations Manager を使用すると、パブリック クラウドに展開したアプリケーションや仮想マシンを検 出し、正常性や可用性をリアルタイムに監視し、パフォーマンス データを収集して分析することができま す。

マイクロソフトは Operations Manager 向けに Windows Azure 管理パックを提供します。Windows Azure 管理パックを使用すると、Windows Azure のクラウド サービスに展開されているアプリケーショ ン、展開済みの仮想マシン インスタンス、および Windows Azure ストレージ アカウントを検出して、 その状態を監視することができます。また、ダイアグラム ビューでサービスの関係を可視化できます。さ らには、特定のクラウド サービスのアプリケーション、仮想マシン インスタンス、ストレージ アカウン トを対象とした独自の監視を作成して、アラート監視を行うことができます。

Operations Manager では、Amazon Web Services (AWS) のパブリック クラウドの監視にも対応でき ます。アマゾン社は、Operations Manager 向けに AWS Management Pack for Microsoft System Center を開発、提供しており、これを使用して Operations Manager の管理コンソール上で AWS 上のインスタ ンスやリソースの可視化や、Amazon CloudWatch と統合されたアラートおよびパフォーマンスのリアル

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- 29 - タイムな監視を行えます。

ダウンロード リンク

System Center Management Pack for Windows Azure

http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=38414

AWS Management Pack for Microsoft System Center

https://aws.amazon.com/jp/windows/system-center/

画面 19: Windows Azure 上のアプリケーション、仮想マシン、リソースの関係を可視化

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自社の Web やアプリケーションをグローバルな視点で監視

グローバルにビジネスを展開する企業にとって、自社の Web サイトやサービスへのアクセスが、対象の国 や地域から快適に利用できることは極めて重要なことです。Web サイトやサービスのレスポンスが悪けれ ば、顧客のアクセスはすぐ競合会社に向かうでしょう。Operations Manager の Global Service Monitor (GSM) を利用すると、Windows Azure の持つグローバルなデータセンターの複数の場所から、自社のオ ンプレミスまたはパブリック クラウド上の Web サイトやサービスを継続的に監視し、可用性とパフォー マンスを計測することができます。アプリケーション開発者は、Global Service Monitor の仕組みを利用 して、グローバルな拠点から Visual Studio Web テストの代理トランザクションを実行し、テスト結果を 取得することが可能です。

画面 21: Global Service Monitor が世界各地の拠点から計測した Web サイトのパフォーマンス データ

まとめ

System Center 2012 R2 は企業が今抱えている、あるいはこれから直面するであろう、IT の運用管理に 関わるさまざまな課題を解決し、IT のコスト削減とサービス品質の向上を実現します。System Cener 2012 R2 が対象とするのは、従来型のサーバーやクライアント環境、データセンターだけでなく、エンド ユ ーザーが持ち歩くモバイル デバイスから、プライベート クラウド、パブリック クラウドまで、企業の IT を構成するすべてのものです。 このドキュメントでは、「仮想化」「運用管理」「バックアップ」「ハイブリッド管理」の 4 つのシナリオに 基づいて、クラウドとデータセンター管理に System Center 2012 R2 をどのように活用できるのかを紹 介しました。このドキュメントに書かれていることは、System Center 2012 R2 の一つの側面に過ぎませ ん。

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- 31 - 繰り返しになりますが、System Cener 2012 R2 は 8 つの主要コンポーネントからなる、1 つの製品で す。まずは、必要なコンポーネントの必要な機能を上手に活用して、自社の IT を改善し、運用管理コスト を削減してください。そして、コスト削減の先にあるさまざまな付加価値で、IT の品質を向上していくこ とができるでしょう。

評価リソース

評価版のダウンロード: Windows Server 2012 R2 http://technet.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/dn205286.aspx 評価版のダウンロード: System Center 2012 R2 http://technet.microsoft.com/ja-JP/evalcenter/dn205295

評価版のダウンロード: System Center 2012 R2 Configuration Manager および Endpoint Protection http://technet.microsoft.com/ja-JP/evalcenter/dn205297.aspx

製品サイト

Windows Server 2012 R2 | マイクロソフト サーバー&クラウド プラットフォーム http://www.microsoft.com/japan/windowsserver System Center 2012 R2 | マイクロソフト サーバー&クラウド プラットフォーム http://www.microsoft.com/japan/systemcenter Windows Azure : マイクロソフトのクラウド プラットフォーム http://www.windowsazure.com/ja-jp/

表  3:  管理対象クライアントに必要なサーバー管理ライセンス  (CML)
図  1: Virtual Machine Manager  によるプライベート  クラウドの管理。System Center 2012 R2  の他の コンポーネントとも相互に連携する
図  2: Operations Manager  による  IT  環境全体の監視と  Orchestrator  によるプロセス統合
図  3: Data Protection Manager  による企業データのローカル  バックアップと  BCP/DR
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