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4 古典統計力学の近似

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Academic year: 2021

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(1)

4 古典統計力学の近似

ミクロな粒子 -- 量子力学に従う

が、古典的に取り扱った方が楽な場合があり、古典統計力学を近似として用いる

4-1 量子論と古典論 (ざっと理解すればよろしい - 詳しくは解析力学(力学3) )

古典力学と位相空間(phase space)

粒子の運動は、位置座標 q と運動量 p によって記述される。(位置座標を q と通例おく)

1個の粒子について、

 

p,q の6次元、N個については、6N次元 の位相空間 この位相空間における積分(面積の計算)を考える。

ハミルトン形式(正準変換)

i

i q

p H

,

i

i p

q H

(4.1)

1次元の調和振動子の場合、

 

p, x 空間を粒子の質量を m, 固有振動数を とすると、

2 2 2

2 1

2 m x

m

H p (4.2)

この式において、

m p p x H

qi

m x

x p H

pi 2

は自明。

参考までに、元々の運動方程式は

x m x

m2x Asin

t

粒子の運動中エネルギーは保存。 従って、(4.2) は一定値 E をとり、

 

p,x 空間で、

mE p0 2 ,

0 2

2

m

x E (4.3)

の楕円を描く。(図4-1)

L x 0

4-2 p

x0

x p0

p

0

4-1

(2)

因みに、長さLの領域に閉じ込められた1次元の自由粒子は、ポテンシャル0で、p 2mE

→ 定運動量(速度)で往復するだけ。(図4-2 参照)

前期古典論 - 軌道の量子化

量子力学では、既に論じた様に、調和振動子のエネルギーは量子化される。

 

2

n 1

n

n0,1,2,

(2.93)

これを、古典力学的な軌道の量子化と考えると、(4.3) の楕円(図4-1)の面積は

p q E

A 2

0

0

なので、零点エネルギーを無視すると、軌道の囲む面積が

 

2 n

An

n0,1,2,

(4.4)

の様にとびとびの値しか取れないとする。(図4-3)

これは、Bohr-Sommerfeld quantum condition(前期量子論)

また、有限領域Lに閉じ込められた自由粒子では、軌道の囲む面積は A2pL。 面積が量子化されるとすれば

 

2

2pnLn n

pn L (4.5) これは、量子力学から得られる (2.8) と一致。

即ち、量子論的に許される軌道は、1つの自由度につき位相空間に面積 2h に1個の割合で 一様に分布。

注: 「軌道の囲む面積」というのが分かり難ければ、単に、「(1次元につき)軌道で囲まれるx-p 空 間の面積が量子化され、2h の整数倍」 と考えて構わない。

Heisenberg の不確定性関係 (詳しくは量子力学で。 ここでは結果だけ認識)

波動関数 

 

r → 粒子を r に見出す確率

 

r 2

4-5 1次元粒子が x0 を中心に、x に見出される確率

平面波の場合、(2.1)

 

x aeikx で、

 

x 2 a2 const 存在位置は全く不確定、 一方、pk なので、運動量は確定値 一方、図4-5 の例の場合、波動関数を Fourier 級数展開し、

x p

4-3 0

n=2

n=3 n=1

(3)

  ipx

p pe x

(4.6)

  

x e ipx dx

p

(4.7)

但し、ここに周期的境界条件 

 

x

xL

が成立しているとして、p の和は n p 2L ついてとる。 すると、運動量の測定値が p となる確率は p 2 , つまり、波動関数

 

x に運

動量 p の波動関数 eipx が含まれている重みに比例。

波動関数が Gauss 関数

 

x a14eax22

(4.8)

である場合を考える。 (4.8) における位置の不確かさは

a x 1

の程度。

(4.6), (4.7) より

2 2

2

2 4 1

2

2 2 4

1

4 1

1

a p L

L

ipx ax p

a e L

dx e a e

L

(4.9)

(4.9) において運動量の不確かさは p a の程度

よって、両者を併せると、 xp

一般の波動関数ではこれより常に大きくなり、

x p (4.10) Heisenberg の不確定性関係

=======Ref Fourier変換==========

2 2

22 2

2

1

p a

ipx

ax e dx e

e

==========Ref 終==============

古典力学の近似が許される条件

x

x0  , p0 p (4.11)

であれば不確定さは無視し得る。 であれば



0 0p x

(4)

となり、(4.3) p0 2mE, 0 2 2

m

x E より



E (4.12)

即ち、対象になっている系のエネルギーが、そのエネルギー間隔 より十分大きければ古典的に扱 う事が可能。

理想気体の場合、古典論で扱えるのは、分子位置の不確定さが無視できる時で、

1.運動量の不確かさが、運動量自体より十分小さく、かつ 2.分子間隔より不確定さが十分小さい(分子間隔が十分大きい)

時である。 この条件を考える。

1.運動量

(2.31) E NkBT

2

3 より

T m k

p 2 B

~ 3 2

2 or p2 ~3mkBT p~ mkBT

よって、 p p~ mkBT であれば良い。

2.位置 xa

これらを合わせると、

T mk p

p ~ B

xa (4.13)

よって、

T mk a x

p  B

2 2

T ma kB

 (4.14)

=================[補足] 解析力学概要========================

Lagrangian V T

L T : 運動エネルギー V : potential

0





q L q L dt

d

Hamiltonian

L q p

H p : 運動量 q : 位置ベクトル

p q H

q

p H

1次元自由落下の場合

(5)

m mv p

T 2 2

1 2 2

V mgx pmv

mgx mv

L 2 2

1 H mv mv mgx mv mgx

2 2 2

2 1 2

1

0





q L q L dt

d

0

mx mg

x L v L dt

d

m v mgx p m p p p

q H 



2

2

x m mg m mgx

p x H q

p H 



2

2

詳しくは、「解析力学」 高橋康著 講談社 等を参照

======================補足 終=======================

4-2 古典統計力学近似

カノニカル分布の分配関数

n

T k En B

e

Z (4.15)

これを全ての量子状態を求める事無く古典力学に基づき計算する。

(この先、計算は複雑になるが、求めているのはこれ!)

分配関数の古典近似

エネルギー量子化の間隔 kBT に比べて十

分小さいとする。

kBT

1次元の運動を考え、前期量子論(量子状態は位相 空間に面積 2h に1個の割合で存在)に基づき、

分配関数 (4.15) を位相空間の積分に置き換え計算す る。

4-6 に従い、面積 2 の領域に区分 量子状態 n に対応した軌道

En

q p

H( , ) (4.16)

によって定まる軌道を含む領域を、領域 n と呼ぶ。

領域(右図の赤い領域)の幅は、エネルギー のオーダー(十分小さい ∴この中で En は一定)。 p

q n+1

n-1 n 2h

4-6

(6)

よって、領域 n 中では、 eH(p,q)kBTeEn kBT

また、領域 n での積分は



ndpdq2 よって、



n

T k q p H T

k

E e dpdq

e n B ( , ) B 2

1

従って、 (4.15) は



n n

T k q p

H dpdq

e

Z ( , ) B

2 1

領域 n で積分し、n について和を取るのだから、結局全領域での積分



e dpdq

Z H(p,q)kBT 2

1

(4.17)

自由度 f の系に拡張し、

   

f i i

i T k q p H

f e dpdq

Z B

1 ) , (

2 1

(4.18)

分配関数に関する古典統計力学の近似

注: ややまどろっこしいが、基本的な考え方は、q-p 空間において、

①エネルギーEn を取る量子状態 n に対応した状態(とその近傍)で積分を行う。

②全ての量子状態 n に①と同様にして面積を求め、それらを足し合わせる。

③q-p 空間には、2h 毎に状態があるので、これで割ってやる。

④多次元・多粒子系の場合①~③の操作を繰り返す。

振動子系の古典近似

N 個の振動子系のハミルトニアンは、(振動子間の相互作用は無視)

N

i

i

i m x

m H p

1

2 2 2

2 1

2 (4.19)

分配関数は、

 

j i N

N

j N

i

i i

B

N m x dp dx z

m p T

Z k

   

1 1

2 2 2

2 1 2 exp 1

2

1

(4.20)

dpdx x

m m p T z k

 

B





2 2 2

2 1 2 exp 1

2

1

(4.21)

z は1振動子の分配関数 (3章で量子調和振動子としては既出)

(7)

T k

T k

n B

B B

e n e

T

z k

 

exp 21 1 2

0

(3.42)

ここに、公式

 

dx a ax

exp 2 (A.2) を利用して、

 

T k m

T T k

mk

dx T x k dp m

T mk z p

B B

B

B B

 

2 1 2 2

1

2 2 2

2 2 2

1

exp 2 exp 2

2 1

(4.22)

よって、

N BT

Z k

(4.23)

T T k

Nk Z

T k

F B log B log B (4.24)

log 1

T Nk k

T

S F B B

V

(4.25)

T Nk T Z

T Nk

E B B

2 log (4.26)

or E FTS

理想気体

N 個の分子からなる理想気体の Hamiltonian は、分子を容器に閉じ込めておくポテンシャルを

 

r

U として

  





N

i

i

i U

H m

1 2

2 r

p (4.27)

ここに、

   

 

outer inner

U :

: 0

r

r r (4.28)

(外のポテンシャル高いため、外へは出られない!)

分配関数は、分子が識別出来ないと考えて、

(8)

   

 

N

mkT x y z

N

U kT

N

i i i iz iy ix N

i N

i

i i

B N

dxdydz e

dp dp dp N e

dz dy dx dp dp dp m U

T k Z N

B

B

   

r p

p r

2 3

1 1

2 3

2

2 1

! 1

2 exp 1

2 1

! 1

(4.29)

ここに

 32

2 2

2

T mk dp

dp dp

e mkBT x y z B

p ((A.2) より)

 

 

 

outer inner e U kBT

: 0

: 1

r

r r 

 

 

eUr kBTdxdydz V0 rr::outerinner

よって、

 

N

mkBT

N VN

Z N 3 2 3 2

2 1

!

1

(4.30)

これを用いて自由エネルギーを求めると (p.109 問 4-2)

   

   

   

   

1 2 log

2log 3

log 2

2log 2 3

log 3 1 log

log 2

2 log 2 3

log 3 log

log 2

log 2

log 1

! log 1

2 2

1

! log 1 log

2

2 3 3

2 3 3

N V T

T mk Nk

V T

mk N

T Nk

V N T N mk

N N N N T k

V T

N mk T

k

V T N mk

T k Z T k F

B B

B B

B B

N N N B

B

N N N B

B B

これは、弱い結合をした振動子の部分系で近似して求めた、(3.48) の結果と一致。

また内部エネルギーは

   

   

     

T N k dT T

d T N

k

T dT mk

d T N

k T

dT mk T d k

V T

N mk dT

T d k

V T N mk

dT T d k dT Z

T d k E

B B

B B

N B B

N N N B

B

N N N B

B B

2 log 3

2 3

log 2

2 log 2 3

log

log 2

log 2

log 1

! log 1

2 2

1

! log 1 log

2

2 2 2 3

2 3 3

2

2 3 3

2 2

これはミクロカノニカルで理想気体のエントロピー考察から内部エネルギーを求めた (2.31)と一致。

(9)

4-3 古典統計力学の応用

4-2の例は、それ程古典近似のメリットはない。 そこで、次に量子状態を求めるのが困難な例 を扱う。(古典的に扱う必要性)

非調和振動子 (anharmonic oscillator)

ポテンシャルを

 

x Ax2 Bx4

v

A0, B0

(4.31)

の様な形を取るとする。 この時の分配関数を求める。 これは解析的には不可能。

古典統計力学であれば、位相空間の積分として求める事が可能。

 x

m v H p

2

2 (4.32)

1粒子の分配関数は

     

T dx k

x T v

dpdx mk x

m v p T z k

B B

B

 





exp

2 2 2

exp 1 2

1 2 12

(4.33)

この (4.33) のポテンシャル部分の積分

  dx

T k

Bx dx Ax

T k

x I v

B

B

exp exp 2 4 (4.34)

は解析的には計算できないが、数値的には難しくない。 以下に考察。

(4.34) の積分に主に効くのは、v

 

x kBT となる x の領域。 そして、ポテンシャル v

 

x

x が2次の項、4次の項、各々が主となる場合を考えると、

   

 







0 4

0 2

x x Bx

x x x Ax

v (4.35)

ここに、

B

x0 A とおくと

A)   k T

B x A

v 0 2 2  B (4.36)

の場合を考える。 これは図4-7’ の左図。

この時積分は、緑線の下で、v

 

x Ax2 と近似して可能。

A T dx k

T k

I Ax B

B

2

exp (4.37)

(10)

4-7’ 非調和ポテンシャルと場合分け

B)   k T

B x A

v 0 2 2  B (4.38)

の場合を考える。 これは図4-7’ の右図。

この時積分の大半は、

4 1

0

B

T x k

x B x x0 の範囲の積分は十分小さいと考える)

この時積分は、赤線の下で、v

 

x Bx4 と近似が可能。

4 4 1

exp

B

T dx k

T k

I Bx B

B

(4.39)

但し

e t dt

4

注: X cxとおくと、dX cdx

 

  

dX c c X

dx cx T dx

k Bx

B

 

4 4 4

1 exp exp

exp

ここに、 k T B

A

B

2 2

となるような温度を

B k T A

B 2 0

2 と定義すると、

以上の結果より、1振動子の分配関数 z、自由エネルギー 、エネルギー 、比熱 c、は

 

   

 





0 4

3 4 1 2

2

0 2

1

4 2 1

T T T

B k m

T T T

A k m z

B B

(4.40)

 

   











0 4

3 4 1 2 2

0 2

1

log 4 2 log 1

log

T T T

B k T m

k

T T T

A k T m

k z T k

B B

B B

B

(4.41)

0 x0

v0=v(x0)

-x0

v(x)

x kBT

Bx4

0 x0

v0=v(x0)

-x0

v(x)

kBT Ax2 x

図 4-7’  非調和ポテンシャルと場合分け  B)   k T Bx Av02 2  B    (4.38)    の場合を考える。  これは図 4-7’  の右図。  この時積分の大半は、 41 0  BTxkxB ( x  x 0   の範囲の積分は十分小さいと考える)  この時積分は、赤線の下で、 v  x  Bx 4   と近似が可能。  ∴  441 exp    B TdxkTkIBxBB (4.39)  但し

参照

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